JPH10132733A - 鋼材の表面状態の測定方法 - Google Patents

鋼材の表面状態の測定方法

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JPH10132733A
JPH10132733A JP28986796A JP28986796A JPH10132733A JP H10132733 A JPH10132733 A JP H10132733A JP 28986796 A JP28986796 A JP 28986796A JP 28986796 A JP28986796 A JP 28986796A JP H10132733 A JPH10132733 A JP H10132733A
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Katsuhiko Momozaki
勝彦 百崎
Hitoshi Moriyama
仁 森山
Shiro Taya
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 鋼材表面の状態(例えば該表面の酸化鉄中の
ヘマタイト含有率)を高精度に測定する。 【解決手段】 マグネタイトとヘマタイトとを所定の割
合で混合し、この混合物を分光測色計で測定してa*
を求め、検量線を作成する。ボイラチューブ等の表面の
酸化鉄を分光測色計で測定してa* 値を求め、検量線か
ら該表面の酸化鉄中のヘマタイト含有率を求める。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は鋼材の表面に光を照
射し、その反射光から表面状態を測定する鋼材の表面状
態の測定方法に関する。詳しくは、ボイラ等の実機に用
いられている鋼材表面の特定酸化物の含有率等を測定す
る場合に好適な鋼材の表面状態の測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ボイラ水に水処理薬剤を添加し、ドラ
ム、チューブ等の鋼材の腐食を抑制すると共に、定期的
にボイラを開缶し、内部の鋼材表面の腐食状況(例えば
酸化物発生状況)を目視観察することが行われている。
【0003】この場合のボイラ缶内の鋼材表面の色調
は、ボイラ水処理効果判定のための重要な情報の1つで
あるが、目視では、この色調の表現方法は個人個人に委
ねられ、個人差があり、千差万別である。
【0004】これまで、色調に関する規格は、JIS
(JIS D5500など)により工業製品(自動車用
ランプ類)などについて規定があるが、ボイラの水処理
効果の判定については規定がない。
【0005】なお、鋼材表面に生成した酸化鉄の種類や
含有率は、生成物のサンプルを持ち帰り、X線回折など
による分析を行うことにより測定されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来技術では、色調を
人の感覚的なものとして扱っていたため、同じ色調でも
個人個人や時間が経つと同一な人でも異なった表現とな
り、普遍的な情報とはなり得なかった。また、ボイラ缶
内は外部からの光がほとんど入らないため、任意の照明
を用いて、鋼材表面の状態を観察することが常である。
しかし、この照明の種類によっても色調が違ってみえる
という問題があった。
【0007】本発明は、かかる従来技術に鑑みてなされ
たものであり、その目的は、鋼材の表面状態を高精度に
評価しうる鋼材の表面状態の測定方法を提供することに
ある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の鋼材の表面状態
の測定方法は、鋼材の表面に特定の光源からの光のみを
照射し、その反射光から該鋼材表面の色相を検出して該
鋼材の表面状態を測定することを特徴とするものであ
る。
【0009】本発明では、色相を精度良く測定するため
に、被検査鋼材表面に特定の光源からの光のみを照射
し、その反射光から色相を測定する。
【0010】この場合、外乱光(周囲光)の影響を避け
るために、鋼材表面の少なくとも光照射部位を密閉状態
とするように囲み、この密閉状態において特定の光源か
らの光を照射し、この特定の光源からの光の反射光のみ
を受光する。
【0011】この反射光を分光測色計によって受光し、
この反射光の色相を求めるのが好ましい。
【0012】なお、この色相は、例えばJIS Z 8
729で定義されたL* * * 表色系のa* 及び/又
はb* 値で表わすことができる。もちろん、L* をも加
味しても良いことは明らかである。
【0013】なお、L* * * 表色系以外のL* *
h表色系、ハンターLab表色系、マンセル表色系(J
IS Z 8721)、XYZ(Yxy)表色系などの
表色系に従っても良い。
【0014】本発明において、色相を測定するには後述
の図1に示すような分光測色計によるのが好ましいが、
例えば、赤の波長域に大きな感度を有するセンサ、緑の
波長域に大きな感度を有するセンサ、青の波長域に大き
な感度を有するセンサを有し、それぞれの感度を数値化
するものでもよいし、複数(例えば40個)のセンサ
で、反射光を分光して各波長毎の反射率を測定するもの
でもよい。
【0015】本発明は、ボイラ缶内に生成する酸化鉄を
測定対象とするのに好適であるが、それ以外の例えば冷
却水系などに生成する酸化鉄などにも適用することが可
能である。
【0016】
【発明の実施の形態】図1は分光測色計の照明受光光学
系を示す断面図であり、積分球3内面にキセノンランプ
8等の光源から光が照射され、反射散乱光が試料面開口
4から鋼材表面に照射される。その反射光を集光レンズ
5,6を介して分光センサ2に入射させ、可視光領域の
波長成分に分光させ、各波長の受光強度を検出する。
【0017】なお、積分球3に一端が接続された光ファ
イバ7を介して積分球3内の光が分光センサ1に入射さ
れる。これらの分光センサ1,2の検出信号が信号処理
装置に入力され、例えばL* 、a* 、b* 値が演算さ
れ、数値化される。なお、この分光測色計及び信号処理
装置は既に周知のものであり、市販されている。
【0018】ところで、鋼材の腐食により酸化鉄が発生
するが、Fe3 4 (マグネタイト)とα−Fe2 3
(ヘマタイト)では、周知の通り前者が黒色系、後者が
茶褐色系と色調が相違するので、鋼材表面の色相から鋼
材表面の酸化鉄中のα−Fe2 3 含有率を本発明方法
によって高精度に推定できる。そのためには、酸化鉄中
のマグネタイトとヘマタイトとの割合が既知のものにつ
いて例えばa* 値を求めておく。そしてヘマタイト含有
率未知の鋼材表面の反射光からa* 値を求め、この値か
らヘマタイト含有率を求める。
【0019】
【実施例】
実施例1 ボイラ実機のチューブの表面に生成した酸化鉄中のヘマ
タイト量を本発明方法に従って推定した。次に、この実
験手順を説明する。
【0020】I.検量線の作成 純度99%、粒径1μmのFe3 4 (マグネタイ
ト)とα−Fe2 3 (ヘマタイト)を所定の割合で混
合したものを数種類調製した。 この混合した標準物質をn−ヘキサンの入ったビー
カー中で撹拌し、ほぼ均一に混合したところで、ろ紙に
よりろ過をし、ろ紙上に薄く堆積した酸化鉄の混合物を
得た。 この混合物を分光測色計により測定し、a* 値と混
合酸化鉄中のヘマタイトの割合との関係について調べ
た。 図2に色度(a* 値)と混合酸化鉄中のα−Fe2
3 (ヘマタイト)の割合との関係を示した。その結
果、a* 値が増すにつれてヘマタイトの含有率も増加
し、相関関係があることがわかった。
【0021】II 実サンプルのヘマタイト含有率の本発
明法による測定(推定) ボイラー実機を開缶し、複数本のチューブを抜管した。
このチューブ表面を図1の分光測色計によって色相分析
してa* 値を求め、図2の検量線からヘマタイト含有率
を求めた。結果を表1に示す。
【0022】III 実サンプルのヘマタイト含有率のX
線回折法による分析値との対照 上記の実機サンプルの表面の酸化鉄はX線回折法によっ
て分析し、ヘマタイト含有率を測定した。結果を表1に
示す。
【0023】
【表1】
【0024】表1より、本発明により高精度にて鋼材表
面の酸化鉄中のヘマタイト含有率を推定できることが認
められる。
【0025】比較例1 6機のボイラ実機(A〜F)の缶内をカラー写真機によ
ってストロボ撮影し、この写真を6人の判定者が見て色
調を判別した。その結果を表2に示す。
【0026】また、上記のA〜Fのうち5機(B〜F)
の缶内について、上記と同じ6名の判定者が直接に目視
観察し、その色調を判定した。(このときの照明は白色
蛍光灯を用いた。)この判定結果を表2に併せて示す。
【0027】なお、表2に、上記6機(A〜F)の缶内
を図1の装置で測定したときのL*、a* 、b* 値を併
せて示す。
【0028】
【表2】
【0029】表2より、目視による色の判定結果は個人
差がかなり大きく、精度の良いヘマタイト含有率の推定
は無理であることが認められた。
【0030】
【発明の効果】以上の通り、本発明によると、鋼材表面
の状態を高精度に測定できる。本発明によると、実機サ
ンプルの鋼材の表面状態を現場にて測定することができ
る。
【0031】なお、本発明によると、鋼材表面の酸化鉄
中のヘマタイト含有率(又はマグネタイト含有率)を高
精度に推定することもでき、ボイラ水等の水処理の効果
を判定することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】分光測色計の光学系の断面図である。
【図2】実施例における測定結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1,2 分光センサ 3 積分球 4 試料面開口 5,6 集光レンズ 7 光ファイバ 8 キセノンランプ

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼材の表面に特定の光源からの光のみを
    照射し、その反射光から該鋼材表面の色相を検出して該
    鋼材の表面状態を測定することを特徴とする鋼材の表面
    状態の測定方法。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記鋼材は実機の鋼
    製の部材であり、前記反射光を分光測色計により測定し
    て色相を求め、予め求めておいた特定酸化鉄の含有率と
    色相との相関関係から該鋼材表面における該特定酸化鉄
    の含有率を求めることを特徴とする鋼材の表面状態の測
    定方法。
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