JP2012008042A - 寄生虫卵の検出方法およびシステム - Google Patents

寄生虫卵の検出方法およびシステム Download PDF

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Koji Sakurai
孝司 櫻井
Susumu Terakawa
進 寺川
Hideo Mogami
秀夫 最上
Akira Ishii
明 石井
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Abstract

【課題】簡便かつ迅速な、寄生虫卵の検出方法およびシステム、ならびに寄生虫卵の有無を自動的に判定する方法およびシステムを提供すること。
【解決手段】寄生虫卵が有する自家蛍光特性を利用した寄生虫卵の有無を検出する方法およびシステムであって、1つの励起光または異なる2つの波長の励起光を用いるものである。1つの励起光を用いる場合、励起光によって得られる蛍光強度を測定し、該蛍光強度に基づいて寄生虫卵の有無を判定する。異なる2つの波長の励起光を用いる場合、2つの励起光の時系列的な照射によって得られる複数帯域の蛍光強度を、時系列的に特定波長で測定し、蛍光強度の比を演算して該蛍光強度の比に基づいて寄生虫卵の有無を判定する。
【選択図】
なし

Description

本発明は、寄生虫卵を検出する方法およびシステムに関する。詳しくは、寄生虫卵が有する自家蛍光特性を利用した寄生虫卵の有無を検出する方法およびシステムであって、1つの励起光または異なる2つの波長の励起光を用いるものである。1つの励起光を用いる場合、励起光によって得られる蛍光強度を測定し、該蛍光強度に基づいて寄生虫卵の有無を判定する。異なる2つの波長の励起光を用いる場合、2つの励起光の時系列的な照射によって得られる複数帯域の蛍光強度を、時系列的に特定波長で測定し、蛍光強度の比を演算して該蛍光強度の比に基づいて寄生虫卵の有無を判定する。
寄生虫に対する罹患の判定は顕鏡法が主に用いられている。具体的には、糞便を直接塗抹法、MGL法、飽和食塩水浮遊法等で処理してサンプルを調製し、該サンプル中に寄生虫卵やシスト、栄養体等が存在するか否かを顕微鏡観察により検出する。
魚介類の肉に含まれる寄生虫その他の異物を検出する方法として、肉片に紫外線を照射してそれにより生じる発光を検出する方法(特許文献1)、および、可視光を照射して励起される蛍光を測定する方法(特許文献2)が開発されている。しかし、ヒトをはじめとする哺乳動物に感染する寄生虫については、そのような簡便な検出方法は開発されていなかった。
ヒト蟯虫(Enterobius vermicularis)は、蟯虫が有する宿主の肛門周辺に産卵する性質を利用して、肛門に産卵された卵を検出することにより、罹患が判定されている。具体的には、肛門周辺に検査用粘着フィルムを押し当て、フィルム上に移行した卵の有無を顕微鏡を用いて観察することにより検出される。卵の存在が確認された場合に、被検者がヒト蟯虫に罹患していると判定される。現在、1検体を処理するのに5分ほど要するため、検査技師1人1日あたり数百程度の処理能力となっている。もし被検体数が現行以上に増加すると、迅速な判定が困難となる懸念があるが、検査時期は年に2度程度と限定されているため、技師の人数を増やすという対応は現実的な解決方法ではない。
以上より、寄生虫感染、特にヒト蟯虫感染についての自動判定または簡便迅速な一次選別を可能とする方法または装置が要求されていた。
特開平1−311253 特開2007−286041
本発明は、寄生虫卵が有する自家蛍光特性を利用した、簡便かつ迅速な、寄生虫卵の有無を自動判定するまたは一次選別するための、検出法およびシステムを提供する。
本発明の目的は、簡便かつ迅速な、寄生虫卵の検出方法およびシステム、ならびに寄生虫卵の有無を自動的に判定または簡便迅速に一次選別する方法およびシステムを提供することである。
上記目的を達成するため、発明者らはヒト蟯虫卵が有する自家蛍光特性について検討し、波長330〜600nmの励起光を照射すると卵が蛍光を呈すること、さらに、励起波長が380nmである時に蛍光強度が極小点を持つことを発見した。かかる発見に基づき、発明者らは本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、寄生虫卵を検出する方法であって、
(a)検体に励起光を照射する工程、
(b)前記励起光によって得られる蛍光強度を特定波長で測定する工程、および
(c)前記蛍光強度に基づいて寄生虫卵の有無を判定する工程、
を含む、前記方法に関する。
前記励起光の波長は330〜600nmとすることができ、また、前記特定波長は460nm〜700nmとすることができる。
また、本発明は、寄生虫卵を検出する方法であって、
(a)検体に、異なる波長を有する第1の励起光と第2の励起光を、時系列的に照射する工程、
(b)前記第1の励起光と第2の励起光によって得られる蛍光強度を、時系列的に特定波長で測定する工程、および
(c)前記第1の励起光と第2の励起光による蛍光強度の比を演算し、該蛍光強度の比に基づいて寄生虫卵の有無を判定する工程、
を含む、前記方法に関する。
前記第1の励起光および第2の励起光のうち、一方の波長を370〜390nm、他方の波長を330〜350nmまたは395〜415nmとしてもよい。
前記第1の励起光および第2の励起光のうち、一方の波長を380nm、他方の波長を340nmまたは405nmとしてもよい。
本発明において、460nm〜700nmにおける蛍光強度を測定してもよいし、460nm〜530nmにおける蛍光強度を測定してもよい。
本発明において、寄生虫は、横川吸虫(Metagonimus yokogawai)、広節裂頭条虫(Diphyllobothrium latum)、ヒト蟯虫(Enterobius vermicularis)、ウマ蟯虫(Heterakis, Oxyuris)、エキノコックス(Echinococcus multilocularis)、ヒト回虫(Ascaris lumbricoides)、イヌ回虫(Toxocara canis)、ネコ回虫(Toxocara cati)、肝吸虫(Clonorchis sinensis)、日本住血吸虫(Schistosoma japonicum)、鞭虫(Trichuris trichiura)、無鉤条虫(Taenia saginata)、有鉤条虫(Taenia solium)、ズビニ鉤虫(Ancylostoma deodenale)、およびアメリカ鉤虫(Necator americanus)からなる群から選択することができる。
本発明において、検体を粘着性の蟯虫卵の検査フィルムとし、寄生虫をヒト蟯虫(Enterobius vermicularis)とすることができる。
また、本発明は、寄生虫卵を検出するためのシステムであって、
(a)検体に励起光を照射する手段、
(b)前記励起光によって得られる蛍光強度を特定波長で測定する手段、および
(c)前記蛍光強度に基づいて寄生虫卵の有無を判定する手段、
を含む、前記システムも提供する。
さらに、本発明は、寄生虫卵を検出するためのシステムであって、
(a)検体に第1の励起光および第2の励起光を、時系列的に照射する手段、
(b)前記第1の励起光および第2の励起光によって得られる蛍光強度を、時系列的に特定波長で測定する手段、
(c)測定した蛍光強度を記憶する手段、
(d)前記第1の励起光と第2の励起光による蛍光強度の比を演算する手段、および
(e)前記蛍光強度の比に基づいて寄生虫卵の有無を判定する手段、
を含む、前記システムも提供する。
本発明のシステムは、寄生虫卵の検出結果を表示する手段をさらに含んでもよい。
本発明により、迅速かつ簡便に寄生虫卵を検出することができる。特に、検査フィルム上のヒト蟯虫卵の検査鑑別を容易にすることが可能である。また、大量または複数種の検体を測定するための蛍光検出器として専用のイメージセンサを適用して、寄生虫卵の自動検出装置を構成することもできる。
なお、本発明における検体は、従来用いられているヒト蟯虫卵の検査用フィルムを使用できるため、ヒト蟯虫卵の検査において、検査体制への影響を最小限としながら、検査技師の負担を軽減し、処理量を向上させることができる。
図1は、ヒト蟯虫卵に波長408nmの励起光のみを照射したときの蛍光スペクトル画像、卵および背景の蛍光スペクトル、ならびに励起波長および蛍光波長を変化させたときの蛍光スペクトル画像を示す。 図2は、励起波長および蛍光波長を変化させた際の、ヒト蟯虫卵の蛍光スペクトル画像、および異なる2つの波長の励起光を用いた場合の蛍光強度の比(レシオ)を示す。 図3は、励起波長および蛍光波長を変化させた際の、異なる2つの波長の励起光を用いた場合の蛍光強度の比(レシオ)および平均値を示す。
本発明は、寄生虫卵を検出する方法およびシステムに関する。詳しくは、寄生虫卵が有する自家蛍光特性を利用した寄生虫卵の有無を検出する方法およびシステムであって、1つの励起光または異なる2つの波長の励起光を用いるものである。
1.寄生虫卵の検出方法
(1)検体調製工程
本発明において、検出対象となる「検体」は、寄生虫卵を含んでいる可能性がある検体であって、例えば、寄生虫の宿主となりうる動物から単離した試料、水、または土壌が挙げられる。寄生虫の宿主となりうる動物としては、限定するものではないが、例えば、ウシ、ブタ、ウマ、イヌ、ネコ、およびヒト等の哺乳動物が挙げられ、単離した試料としては、その組織、体液、排出物を使用することができる。
本発明において「寄生虫」とは、寄生性生物のうち、動物に分類されるものをいう。寄生虫としては、例えば、横川吸虫(Metagonimus yokogawai)、広節裂頭条虫(Diphyllobothrium latum)、ヒト蟯虫(Enterobius vermicularis)、ウマ蟯虫(Heterakis, Oxyuris)、エキノコックス(Echinococcus multilocularis)、ヒト回虫(Ascaris lumbricoides)、イヌ回虫(Toxocara canis)、ネコ回虫(Toxocara cati)、肝吸虫(Clonorchis sinensis)、日本住血吸虫(Schistosoma japonicum)、鞭虫(Trichuris trichiura)、無鉤条虫(Taenia saginata)、有鉤条虫(Taenia solium)、ズビニ鉤虫(Ancylostoma deodenale)、およびアメリカ鉤虫(Necator americanus)等がある。
たとえば、動物由来の糞便を「検体」として利用できる。糞便は、当業者に周知の方法、例えば、飽和食塩水浮遊法、硫苦食塩水浮遊法、MGL法、AMSIII法等に従って処理され、糞便中から寄生虫卵が回収される。そのようにして得られた寄生虫卵を含む試料も、本発明における検体として使用することができる。
単離された試料(検体)は、ガラススライド、テープ、フィルム等の光透過性のある支持体上に塗布あるいは固定して供されることが望ましい。本発明の一態様において、検体は、従来よりヒト蟯虫卵の検査に汎用されている検査用フィルム(テープ)の形態で供される。
(2)励起光照射工程
本発明では、前項のようにして調製した検体に、1つの励起光を照射するか、または異なる2つの波長の励起光を時系列的に照射する。
発明者は、寄生虫卵が、330〜600nmの波長の励起光によって、自家蛍光を呈することを見出した。よって、本発明において、1つの励起光を照射する場合には、波長は330〜600nmの範囲に設定される。
異なる2つの波長の励起光を時系列的に照射する場合には、第1の励起光および第2の励起光は、330〜600nmの範囲に含まれる相異なる波長に設定される。好ましくは、第1の励起光の波長は370〜390nm、第2の励起光の波長は330〜350nmまたは395〜415nmである。より好ましくは、第1の励起光が380nm、第2の励起光が340nmまたは405nmである。ただし、第1の励起光および第2の励起光は、どちらを先に照射してもよい。
本発明の一態様において、異なる2つの波長の励起光を時系列的に照射する場合には、照射される励起光の波長は、第1の励起光が380nm、第2の励起光が340nmである。
励起光の光源としては、当業者に周知のものを使用することができ、例えば、公知の超高圧水銀灯、キセノンランプ、紫外線LED、レーザー光等を使用することができる。また、所望の波長の光のみを通すゼラチンフィルター、色ガラスフィルター、バンドパスフィルター等のフィルターやビームスプリッターを光源と併せて使用してもよい。また、分光器を用いて波長を変えることもできる。分光器としては、光学フィルターを用いた分光器、分散型分光器、フーリエ変換型分光器のいずれも用いることができる。
(3)蛍光強度の測定工程
つぎに、励起光を照射した検体からの蛍光強度を測定する。蛍光強度の測定は、1つの励起光を照射した場合には、該励起光の照射により得られた蛍光強度を特定波長で測定する。異なる2つの波長の励起光を時系列的に照射した場合には、該2つの波長の励起光の照射により得られた複数帯域の蛍光強度を、同一の特定波長で時系列的に測定する。
発明者は、寄生虫卵が、330〜600nmの波長の励起光によって、450〜700nmの波長の蛍光を呈することを見出した。よって、蛍光を測定する波長は、450〜700nmの範囲内に設定される。
1つの励起光を照射する場合には、得られる蛍光強度が大きくなるように、励起光の波長および蛍光測定波長を設定することが好ましい。
異なる2つの波長の励起光を時系列的に照射する場合には、寄生虫卵が呈する蛍光強度は大きく変化するが、宿主動物の組織片等の不純物が呈する蛍光強度はあまり変化しないように、または寄生虫卵が呈する蛍光強度は増大し、不純物が呈する蛍光強度は減少する、もしくは寄生虫卵が呈する蛍光強度は減少し、不純物が呈する蛍光強度は増大するように、第1および第2の励起光の波長、ならびに蛍光測定波長を設定することが好ましい。
検体が従来公知の蟯虫卵検査用フィルム(テープ)の形態で供される場合、励起光を照射された寄生虫卵は、460〜530nmおよび700nm付近の波長の蛍光を呈するが、検査用フィルムは410nmおよび700nm付近の波長の蛍光を呈する。よって、前記検査用フィルムを用いて検出を行う場合、蛍光を測定する波長は、460〜530nmの範囲内に設定することが好ましい。例えば、好適な検出波長は、465nmおよび520nmに設定される。
また、検体が従来公知の蟯虫卵検査用フィルム(テープ)の形態で供される場合、第1および第2の励起光を380nmおよび340nm、ならびに蛍光検出波長を465nmと設定すると、寄生虫卵が呈する蛍光強度は大きく変化するが、不純物が呈する蛍光強度はほとんど変化しないことが確認された。よって、前記検査用フィルムを検体とし、異なる2つの波長の励起光を用いて検出を行う場合、第1および第2の励起光をそれぞれ380nmおよび340nm付近、ならびに蛍光検出波長を465nm付近に設定することが好ましい。さらに、検査用フィルムの蛍光スペクトル情報を背景値として、その背景値を全体の蛍光から分離(アンミキシング)して、卵由来の蛍光値を抽出することで信号を増強してもよい。
蛍光の測定は、励起光およびその反射光の波長の光を遮断してその蛍光の波長の光のみを通すゼラチンフィルター、色ガラスフィルター、バンドパスフィルター等のフィルターを通して行ってもよい。測定機器は、デジタルカメラ、CCDカメラ、ならびに受けた光の強度を電気信号として出力する内部光電効果型光検出器および外部光電効果型光検出器を用いることができる。
(4)蛍光強度の比の演算工程
本発明において、異なる波長を有する2つの励起光を時系列的に照射した場合には、同一の特定波長で時系列的に測定して得た蛍光強度の比(レシオ)を演算する。
蛍光強度の比(レシオ)の演算は、公知の画像解析装置やプログラムを使用して行うことができる。第1の励起光によって得られた蛍光強度および第2の励起光によって得られた蛍光強度のどちらを分母として、比(レシオ)を求めてもよい。
(5)寄生虫卵の有無の判定工程
寄生虫卵の検出は、1つの励起光を照射した場合には、得られた蛍光強度に基づいて行うことができる。
たとえば、検体に、波長が408nmの励起光のみを照射して465nmにおける蛍光強度を測定する。蛍光強度が1.5〜2、好ましくは2〜4、より好ましくは4以上であるときに、ヒト蟯虫卵が存在すると判定する。
異なる2つの波長の励起光を時系列的に照射した場合には、寄生虫卵の検出は、演算した蛍光強度の比(レシオ)に基づいて、顕微鏡観察、および公知の画像解析装置や画像解析プログラム等により行うことができる。
本発明の一態様において、検体に、波長が340nmの第1の励起光および波長が380nmの第2の励起光を検体に時系列的に照射して465nmにおける蛍光強度を測定し、第2の励起光を照射した時の蛍光強度に対する第1の励起光を照射した時の蛍光強度の比(レシオ)を求める。蛍光強度の比(レシオ)が1.5〜2.0、好ましくは2.0〜2.5、より好ましくは2.5以上であるときに、ヒト蟯虫卵が存在すると判定し、1.0〜1.5、好ましくは0.5〜1.0、より好ましくは0.5未満であるときにヒト蟯虫卵が存在しないと判定する。
別の態様においては、ヒト蟯虫卵を検出するために、波長が340nmの第1の励起光および波長が380nmの第2の励起光を検体に時系列的に照射して465nmにおける蛍光強度を測定し、第1の励起光を照射した時の蛍光強度に対する第2の励起光を照射した時の蛍光強度の比(レシオ)を求める。蛍光強度の比(レシオ)が0.5〜0.67、好ましくは0.4〜0.5、より好ましくは0.4未満であるときに、ヒト蟯虫卵が存在すると判定し、0.67〜1.0、好ましくは1.0〜2.0、より好ましくは2.0以上であるときにヒト蟯虫卵が存在しないと判定する。
1つの励起光を照射した場合であっても、異なる2つの波長の励起光を時系列的に照射した場合であっても、判定の基準値は、励起光の波長および蛍光検出波長に応じて決定される。
1つの励起光を照射した場合には、寄生虫卵の検出は、公知の画像解析装置を用いて蛍光強度を画像化することで、検査技師の目視により行うことができる。また、画像解析によらずとも、単に蛍光量の測定を行い、その蛍光強度の値に基づいて、寄生虫卵の有無をコンピューターに自動的に判定させることもできる。
異なる2つの波長の励起光を時系列的に照射した場合には、寄生虫卵の検出は、公知の画像解析装置を用いて蛍光強度の比を画像化することで、検査技師の目視により行うことができる。また、蛍光強度の比(レシオ)の値に基づいて、寄生虫卵の有無をコンピューターに自動的に判定させることもできる。
2.寄生虫卵の検出システム
本発明は、寄生虫卵を検出するためのシステムも提供する。前記システムは、たとえば以下の手段を含む。
(a)検体に励起光を照射する手段、
(b)前記励起光によって得られる蛍光強度を特定波長で測定する手段、および
(c)前記蛍光強度に基づいて寄生虫卵の有無を判定する手段
2つの異なる波長の励起光を時系列的に照射して測定する場合には、前記システムは、以下の手段を含むことが好ましい。
(a)検体に第1の励起光および第2の励起光を、時系列的に照射する手段、
(b)前記第1の励起光および第2の励起光によって得られる蛍光強度を、時系列的に特定波長で測定する手段、
(c)前記第1の励起光および第2の励起光によって得られる蛍光強度を記憶する手段、
(d)前記第1の励起光と第2の励起光による蛍光強度の比を演算する手段、および
(e)前記蛍光強度の比に基づいて寄生虫卵の有無を判定する手段
本発明において、励起光を照射する手段としては、公知の超高圧水銀灯、キセノンランプ、紫外線LED、レーザー光等を使用することができる。所望の波長の光のみを通すゼラチンフィルター、色ガラスフィルター、バンドパスフィルター等のフィルターやビームスプリッターを備えてもよい。また、分光器を用いて波長を変えることもできる。分光器としては、光学フィルターを用いた分光器、分散型分光器、フーリエ変換型分光器のいずれも用いることができる。
本発明に係るシステムは、励起光の照射によって得られた蛍光強度の値を記憶する手段を含む。第1の励起光および第2の励起光を時系列的に照射して蛍光強度を検出する場合、該記憶する手段は、比(レシオ)を演算するため、先に照射した励起光により得た蛍光強度の値、または第1および第2の励起光の両方により得た蛍光強度の値を記憶する。
本発明において、蛍光強度を測定し、測定した蛍光強度の比を演算する手段としては、励起光およびその反射光の波長の光を遮断してその蛍光の波長の光のみを通すゼラチンフィルター、色ガラスフィルター、バンドパスフィルター等のフィルターを備えた測定機器、および蛍光強度の比(レシオ)を演算する、当業者に周知のプログラムを使用することができる。測定機器は、デジタルカメラ、CCDカメラ、ならびに受けた光の強度を電気信号として出力する内部光電効果型光検出器および外部光電効果型光検出器を用いることができる。
蛍光強度の比(レシオ)の演算は、公知の画像解析装置やプログラムを使用して行うことができる。第1の励起光によって得られた蛍光強度および第2の励起光によって得られた蛍光強度のどちらを分母として、比(レシオ)を求めてもよい。第1および第2の励起光、ならびに蛍光検出波長に応じて判定の基準値を決定し、その値に基づいて、寄生虫卵の有無をコンピューターに自動的に判定させることもできる。
本発明の一態様において、例えば、公知の画像解析装置を用いて蛍光強度を画像化すること、または蛍光強度の値に基づいて、寄生虫卵の有無をコンピューターに自動的に判定させることもできる。
別な態様において、本発明のシステムは、寄生虫卵の検出結果を表示する表示手段を、さらに含んでもよい。出力画面には、蛍光強度、蛍光強度の比(レシオ)、レシオを示す画像、および寄生虫卵の検出結果を表示してもよい。
以下、実施例をもって本発明をさらに詳しく説明するが、これらの実施例は本発明を制限するものではない。
ヒト蟯虫の卵検査用フィルムへ波長が408nmの励起光を照射して蛍光スペクトルを測定した。すると、卵(直径約50μm)は波長460−530nmと700nm付近に蛍光を呈し、フィルムは410nm付近と700nm付近の蛍光強度が強かった(図1)。この結果から、波長460−530nmの蛍光を測定すれば、バックグラウンドのフィルムが発する蛍光に干渉されずに、卵由来の蛍光を検出できることがわかった。
次に、励起波長を340nmおよび380nmとし、465nmおよび520nmの蛍光を測定した。340nmおよび380nmで励起した場合の蛍光強度を比較すると、465nmの卵輝度値は10〜20%変化したのに対し、520nmでは輝度変化が少なかった(図2)。そこで、340nmおよび380nm励起で取得した465nm蛍光画像の比(レシオ)を計算したところ、卵のレシオ値は有意に上昇し、一方、不純物のレシオ値は一定だった(図2)。
さらに、340nm、365nm、380nmおよび405nm励起で取得した465nmおよび520nm蛍光画像の比をそれぞれ求めた(図3)。340nmおよび380nmの2波長UV励起・465nm蛍光レシオの場合が、最も卵のレシオ値は有意に上昇し、不純物のレシオ値は一定となることがわかった。このことから、340nmおよび380nmの2波長UV励起・465nm蛍光レシオ画像解析法が、フィルム上のヒト蟯虫卵の検査鑑別に最適であることがわかった。
尚、明細書中に示した波長の数値は機器、例えば光源の性能やフィルター類の性能の限界により当該数値の近辺の波長を含むことは勿論である。また、照射する2つの励起光の順序の規制は無い。
本発明により、迅速かつ簡便に寄生虫卵を検出することができ、特にフィルム上のヒト蟯虫卵の検査鑑別をすることが可能である。大量または複数種の検体を測定するための蛍光検出器として専用のイメージセンサを適用して、寄生虫卵の自動検出装置を構成することもできる。本発明における検体として、従来用いられているヒト蟯虫卵の検査用フィルム(テープ)を使用できるため、ヒト蟯虫卵検査において、検査体制への影響を最小限としながら、検査技師の負担を軽減し、処理量を向上させることができる。

Claims (13)

  1. 寄生虫卵を検出する方法であって、
    (a)検体に励起光を照射する工程、
    (b)前記励起光によって得られる蛍光強度を特定波長で測定する工程、および
    (c)前記蛍光強度に基づいて寄生虫卵の有無を判定する工程、
    を含む、前記方法。
  2. 前記励起光の波長が330〜600nmである、請求項1記載の方法。
  3. 前記特定波長が460nm〜700nmである、請求項1または2に記載の方法。
  4. 寄生虫卵を検出する方法であって、
    (a)検体に、異なる波長を有する第1の励起光と第2の励起光を、時系列的に照射する工程、
    (b)前記第1の励起光と第2の励起光によって得られる蛍光強度を、時系列的に特定波長で測定する工程、および
    (c)前記第1の励起光と第2の励起光による蛍光強度の比を演算し、該蛍光強度の比に基づいて寄生虫卵の有無を判定する工程、
    を含む、前記方法。
  5. 第1の励起光および第2の励起光のうち、一方の波長が370〜390nmであり、他方の波長が330〜350nmまたは395〜415nmである、請求項4に記載の方法。
  6. 第1の励起光および第2の励起光のうち、一方の波長が380nmであり、他方の波長が340nmまたは405nmである、請求項4に記載の方法。
  7. 前記特定波長が460nm〜700nmであることを特徴とする、請求項4から6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記特定波長が460nm〜530nmであることを特徴とする、請求項4から6のいずれか1項に記載の方法。
  9. 寄生虫が、横川吸虫(Metagonimus yokogawai)、広節裂頭条虫(Diphyllobothrium latum)、ヒト蟯虫(Enterobius vermicularis)、ウマ蟯虫(Heterakis, Oxyuris)、エキノコックス(Echinococcus multilocularis)、ヒト回虫(Ascaris lumbricoides)、イヌ回虫(Toxocara canis)、ネコ回虫(Toxocara cati)、肝吸虫(Clonorchis sinensis)、日本住血吸虫(Schistosoma japonicum)、鞭虫(Trichuris trichiura)、無鉤条虫(Taenia saginata)、有鉤条虫(Taenia solium)、ズビニ鉤虫(Ancylostoma deodenale)、およびアメリカ鉤虫(Necator americanus)からなる群から選択される、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 検体が粘着性の蟯虫卵の検査フィルムであり、寄生虫がヒト蟯虫(Enterobius vermicularis)である、請求項1から9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 寄生虫卵を検出するためのシステムであって、
    (a)検体に励起光を照射する手段、
    (b)前記励起光によって得られる蛍光強度を特定波長で測定する手段、および
    (c)前記蛍光強度に基づいて寄生虫卵の有無を判定する手段、
    を含む、前記システム。
  12. 寄生虫卵を検出するためのシステムであって、
    (a)検体に第1の励起光および第2の励起光を、時系列的に照射する手段、
    (b)前記第1の励起光および第2の励起光によって得られる蛍光強度を、時系列的に特定波長で測定する手段、
    (c)測定した蛍光強度を記憶する手段、
    (d)前記第1の励起光と第2の励起光による蛍光強度の比を演算する手段、および
    (e)前記蛍光強度の比に基づいて寄生虫卵の有無を判定する手段、
    を含む、前記システム。
  13. 寄生虫卵の有無の判定結果を表示する手段をさらに含む、請求項11または12に記載のシステム。
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