JP6404687B2 - 蛍光イメージング装置及び蛍光イメージング方法 - Google Patents
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Description
(1)ガラス管にリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で希釈した所定の濃度の蛍光物質を充填してマウスの皮下に挿入した後、撮像し、得られた蛍光画像上で蛍光物質が光っている部位を選択し、蛍光物質の蛍光とマウスの自家蛍光が混ざったスペクトルデータを取得する。
(2)次に、同様のガラス管に蛍光物質を希釈するのに用いたリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を充填して上記(1)の場合と同じ部位に挿入し、撮像し、得られた蛍光画像上で上記(1)において選択した部位と同じ部位を選択し、マウスの自家蛍光のスペクトルデータを取得する。該スペクトルデータを、解析手段に、マウスの自家蛍光のスペクトルデータ(基準データ)として登録する。
このように、ガラス管を挿入する方法を用いることで、略同じ時間の、略同じ部位における、蛍光物質と自家蛍光の混合スペクトルデータ及び自家蛍光のみのスペクトルデータを取得することができる。蛍光物質の蛍光や自家蛍光は経時変化するとともに、部位によっても強度が異なる。上記の方法で同時刻・同部位の2つのスペクトルデータを取得することで、マウスなどの被検体における蛍光物質のスペクトルデータの真値を得ることができる。また、下記(3)で説明するスペクトルデータを差し引きする処理の際に、波形がクリップしないように蛍光の強度を本来の強度から増減する処理(レベル補正)が不要となる。
(3)次に、蛍光物質の蛍光とマウスの自家蛍光が混ざったスペクトルデータからマウスの自家蛍光のスペクトルデータを差し引いて、蛍光物質の蛍光のスペクトルデータを取得する。このときレベル補正が不要なため、正確な蛍光物質の蛍光のスペクトルデータを取得することができる。該スペクトルデータを、解析手段に、蛍光物質の蛍光のスペクトルデータ(基準データ)として登録する。このように作成した蛍光物質の蛍光のスペクトルデータ(基準データ)は、マウスの皮膚を透過して得られた蛍光物質の蛍光のスペクトルデータであり、生体に投与された状態の蛍光物質の蛍光のスペクトルをほぼ正確に再現しており、解析の精度が高くなる。
なお、上記(1)〜(3)の手順を蛍光物質の種類を変えて複数回行い、複数の蛍光物質の蛍光のスペクトルデータ(基準データ)を登録することもできる。例えば、複数の蛍光色素や蛍光タンパク質の蛍光のスペクトルデータをそれぞれ基準データに登録しておいてもよい。
(4)また、飼料を食べさせたマウスを撮像し、得られた蛍光画像上で飼料が光っている部位を選択し、スペクトルデータを取得する。得られたスペクトルデータを飼料の蛍光のスペクトルデータ(基準データ)として登録する。このように作成した飼料の蛍光のスペクトルデータ(基準データ)は、生体が摂取した状態、即ち生体における飼料の蛍光のスペクトルデータであり、精度が高くなる。
(5)また、尿が溜まった状態でマウスを撮像し、得られた蛍光画像上で尿が光っている部位を選択し、スペクトルデータを取得する。得られたスペクトルデータを尿の蛍光のスペクトルデータ(基準データ)として登録する。
自家蛍光の発光スペクトル:g(λ1)、g(λ2)・・・g(λn) (2)
m(λ2)=a×k(λ2)+b×g(λ2)、
・・・
m(λn)=a×k(λn)+b×g(λn) (3)
上記式(3)において、aは蛍光物質の蛍光の線形加算係数、bは自家蛍光の線形加算係数である。
被検体としてマウス(BALB/c−nu系統、♀、4週齢)を用い、蛍光物質としてCELL BIOLABS社製の「MCF−7/GFP Cell Line」を用いた。
(II)分光手段3:回転ホルダーにセットした6枚のバンドパスフィルタ(透過波長は、それぞれ、520nm、540nm、568nm、600nm、632nm、660nmnmである)
(III)撮像手段4:ペルチェ冷却式高感度CCDカメラ(140万画素)
(IV)解析手段5:外部コンピュータ。蛍光画像表示部(図示無い)として外部コンピュータに接続した表示手段(液晶モニタ)を備える。蛍光画像表示部には蛍光画像のほか、解析に必要な各種情報を表示することができる。
(V)試料台6:ヒーターを内蔵し、外部の麻酔装置と連結されているマスクを備えていた。
(VI)明視野撮影用のLED照明(図示無い)
蛍光イメージング装置100において、解析手段5、励起光源21以外は、暗箱7の内部に配置されていた。なお、解析手段5として用いる外部コンピュータは、照射手段2、分光手段3と連結され、これらの機能を制御する制御部を備えている。暗箱7の内部には、励起光照射手段とは別に、白色LED光源からなる明視野撮影用の照明を備えており、必要に応じてマウスの明視野画像を撮影できる。
(2)次に、同様のガラス管に蛍光物質を希釈するのに用いたリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を充填して上記(1)の場合と同じ部位に挿入し、撮像した。得られた蛍光画像上で上記(1)において蛍光物質が光っている部位と同じ部位を選択し、図2に示すスペクトルデータBを取得した。スペクトルデータBは、マウスの自家蛍光のスペクトルデータである。スペクトルデータBを、解析手段5に、マウスの自家蛍光のスペクトルデータ(基準データ)として登録した。
(3)次に、スペクトルデータAからスペクトルデータBを差し引いて、図2に示すスペクトルデータCを得た。スペクトルデータCは、蛍光物質の蛍光のスペクトルデータである。スペクトルデータCを、解析手段5に、蛍光物質の蛍光のスペクトルデータ(基準データ)として登録した。
(4)また、飼料を食べさせたマウスを撮像し、得られた蛍光画像上で飼料が光っている部位を選択し、スペクトルデータを取得した(図示無し)。得られたスペクトルデータを、解析手段5に、飼料の蛍光のスペクトルデータ(基準データ)として登録した。
(5)また、尿が溜まった状態でマウスを撮像し、得られた蛍光画像上で尿が光っている部位を選択し、スペクトルデータを取得した(図示無し)。得られたスペクトルデータを解析手段5に、尿の蛍光のスペクトルデータ(基準データ)として登録した。
上記において、スペクトルデータは6波長のシグナル値からなる波形データであった。上記のように解析手段5に基準データを登録することにより、図1に示す構成の蛍光イメージング装置とした。
実施例1では、上述したようにして、基準データ40を登録した図1に示す蛍光イメージング装置を用いた。まず、マウス(BALB/c−nu系統、♀、4週齢)に麻酔をかけた後、蛍光物質(MCF7/GFP細胞を1000個/μLになるようPBSで調整した50μLの懸濁液)を体内に投与し、試料台6の上にマウス10を固定し、マスクを装着した。マウス10に照射手段2の照射部22より、励起光を4方向にて照射し、分光手段3の回転ホルダーを回転させてフィルタを切り替えながら各波長(520nm、540nm、568nm、600nm、632nm、660nmnm)の画像を撮像手段4にて順番に撮像し、図3Aに示す蛍光画像を得た。解析手段5における基準データ40を呼び出し、図3Aに示す蛍光画像における各画素ごとのスペクトルデータと基準データを比較し、上記で説明した多成分解析処理を行うことにより、蛍光の種類(蛍光物質の蛍光、自家蛍光、飼料の蛍光、尿の蛍光)を判別し、判別した結果に基づいて、図3Aに示す蛍光画像から、自家蛍光などのノイズを除去し、図3Bに示す蛍光物質の蛍光のみからなる画像を作成した。次に、蛍光物質の蛍光のみからなる画像とマウスの明視野画像を重ね合せ、マウスにおける腫瘍部位に集積した蛍光物質の蛍光画像を図3Cに示した。
2 照射手段
3 分光手段
4 撮像手段
5 解析手段
6 試料台
7 暗箱
10 蛍光物質を有する被検体
21 励起光源
22 照射部
23 ライトガイド
40 基準データ
Claims (6)
- 蛍光物質を有する生体又は生体から摘出された組織である被検体に励起光を照射する照射手段と、
前記被検体より発せられた蛍光を複数の波長に分光する分光手段と、
前記分光された各波長の蛍光画像を取得する撮像手段と、
前記蛍光画像を解析する解析手段を含み、
前記解析手段は、予め記憶された基準データを備えており、前記基準データは、被検体における蛍光物質の蛍光のスペクトルデータと、生体が摂取した状態における飼料の蛍光のスペクトルデータ及び/又は生体に溜まった尿の蛍光のスペクトルデータを含み、前記蛍光画像と前記基準データを用いてノイズ除去処理を行い、
前記ノイズ除去処理で除去されるノイズは、生体が摂取した状態における飼料の蛍光及び/又は生体に溜まった尿の蛍光を含むことを特徴とする蛍光イメージング装置。 - 前記ノイズ除去処理で除去されるノイズは、さらに生体又は生体から摘出された組織の自家蛍光を含む請求項1に記載の蛍光イメージング装置。
- 前記ノイズ除去処理は、前記蛍光画像から前記ノイズを除去して目的の蛍光物質の蛍光成分のみを抽出する処理である請求項1又は2に記載の蛍光イメージング装置。
- 蛍光物質を有する生体又は生体から摘出された組織である被検体に励起光を照射する工程と、
前記被検体より発せられた蛍光を複数の波長に分光する工程と、
前記分光された各波長の蛍光画像を取得する工程と、
前記蛍光画像を解析する工程を含み、
前記解析は、前記蛍光画像と予め記憶された基準データを用いたノイズ除去処理を行い、
前記基準データは、被検体における蛍光物質の蛍光のスペクトルデータと、生体が摂取した状態における飼料の蛍光のスペクトルデータ及び/又は生体に溜まった尿の蛍光のスペクトルデータを含み、
前記ノイズ除去処理で除去されるノイズは、生体が摂取した状態における飼料の蛍光及び/又は生体に溜まった尿の蛍光を含むことを特徴とする蛍光イメージング方法。 - 前記ノイズ除去処理で除去されるノイズは、さらに生体又は生体から摘出された組織の自家蛍光を含む請求項4に記載の蛍光イメージング方法。
- 前記ノイズ除去処理は、前記蛍光画像から前記ノイズを除去して目的の蛍光物質の蛍光成分のみを抽出する処理である請求項4又は5に記載の蛍光イメージング方法。
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