JP3919267B2 - 鋼材の表面状態の測定方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は鋼材の表面に光を照射し、その反射光から表面状態を測定する鋼材の表面状態の測定方法に関する。詳しくは、ボイラ等の実機に用いられている鋼材表面の特定酸化物の含有率等を測定する場合に好適な鋼材の表面状態の測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ボイラ水に水処理薬剤を添加し、ドラム、チューブ等の鋼材の腐食を抑制すると共に、定期的にボイラを開缶し、内部の鋼材表面の腐食状況(例えば酸化物発生状況)を目視観察することが行われている。
【0003】
この場合のボイラ缶内の鋼材表面の色調は、ボイラ水処理効果判定のための重要な情報の1つであるが、目視では、この色調の表現方法は個人個人に委ねられ、個人差があり、千差万別である。
【0004】
これまで、色調に関する規格は、JIS(JIS D5500など)により工業製品(自動車用ランプ類)などについて規定があるが、ボイラの水処理効果の判定については規定がない。
【0005】
なお、鋼材表面に生成した酸化鉄の種類や含有率は、生成物のサンプルを持ち帰り、X線回折などによる分析を行うことにより測定されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術では、色調を人の感覚的なものとして扱っていたため、同じ色調でも個人個人や時間が経つと同一な人でも異なった表現となり、普遍的な情報とはなり得なかった。また、ボイラ缶内は外部からの光がほとんど入らないため、任意の照明を用いて、鋼材表面の状態を観察することが常である。しかし、この照明の種類によっても色調が違ってみえるという問題があった。
【0007】
本発明は、かかる従来技術に鑑みてなされたものであり、その目的は、鋼材の表面状態を高精度に評価しうる鋼材の表面状態の測定方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の鋼材の表面状態の測定方法は、鋼材の表面に特定の光源からの光のみを照射し、その反射光を分光測色計により測定して該鋼材表面の色相を検出し、該鋼材表面の酸化鉄発生状況を測定する鋼材の表面状態の測定方法であって、予め求めておいた特定酸化鉄の含有率と色相との相関関係から該鋼材表面の酸化鉄中における該特定酸化鉄の含有率を求めることを特徴とするものである。
【0009】
本発明では、色相を精度良く測定するために、被検査鋼材表面に特定の光源からの光のみを照射し、その反射光から色相を測定する。
【0010】
この場合、外乱光(周囲光)の影響を避けるために、鋼材表面の少なくとも光照射部位を密閉状態とするように囲み、この密閉状態において特定の光源からの光を照射し、この特定の光源からの光の反射光のみを受光する。
【0011】
この反射光を分光測色計によって受光し、この反射光の色相を求めるのが好ましい。
【0012】
なお、この色相は、例えばJIS Z 8729で定義されたL* a* b* 表色系のa* 及び/又はb* 値で表わすことができる。もちろん、L* をも加味しても良いことは明らかである。
【0013】
なお、L* a* b* 表色系以外のL* C* h表色系、ハンターLab表色系、マンセル表色系(JIS Z 8721)、XYZ(Yxy)表色系などの表色系に従っても良い。
【0014】
本発明において、色相を測定するには後述の図1に示すような分光測色計によるのが好ましいが、例えば、赤の波長域に大きな感度を有するセンサ、緑の波長域に大きな感度を有するセンサ、青の波長域に大きな感度を有するセンサを有し、それぞれの感度を数値化するものでもよいし、複数(例えば40個)のセンサで、反射光を分光して各波長毎の反射率を測定するものでもよい。
【0015】
本発明は、ボイラ缶内に生成する酸化鉄を測定対象とするのに好適であるが、それ以外の例えば冷却水系などに生成する酸化鉄などにも適用することが可能である。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1は分光測色計の照明受光光学系を示す断面図であり、積分球3内面にキセノンランプ8等の光源から光が照射され、反射散乱光が試料面開口4から鋼材表面に照射される。その反射光を集光レンズ5,6を介して分光センサ2に入射させ、可視光領域の波長成分に分光させ、各波長の受光強度を検出する。
【0017】
なお、積分球3に一端が接続された光ファイバ7を介して積分球3内の光が分光センサ1に入射される。これらの分光センサ1,2の検出信号が信号処理装置に入力され、例えばL* 、a* 、b* 値が演算され、数値化される。なお、この分光測色計及び信号処理装置は既に周知のものであり、市販されている。
【0018】
ところで、鋼材の腐食により酸化鉄が発生するが、Fe3 O4 (マグネタイト)とα−Fe2 O3 (ヘマタイト)では、周知の通り前者が黒色系、後者が茶褐色系と色調が相違するので、鋼材表面の色相から鋼材表面の酸化鉄中のα−Fe2 O3 含有率を本発明方法によって高精度に推定できる。そのためには、酸化鉄中のマグネタイトとヘマタイトとの割合が既知のものについて例えばa* 値を求めておく。そしてヘマタイト含有率未知の鋼材表面の反射光からa* 値を求め、この値からヘマタイト含有率を求める。
【0019】
【実施例】
実施例1
ボイラ実機のチューブの表面に生成した酸化鉄中のヘマタイト量を本発明方法に従って推定した。次に、この実験手順を説明する。
【0020】
I.検量線の作成
▲1▼ 純度99%、粒径1μmのFe3 O4 (マグネタイト)とα−Fe2 O3 (ヘマタイト)を所定の割合で混合したものを数種類調製した。
▲2▼ この混合した標準物質をn−ヘキサンの入ったビーカー中で撹拌し、ほぼ均一に混合したところで、ろ紙によりろ過をし、ろ紙上に薄く堆積した酸化鉄の混合物を得た。
▲3▼ この混合物を分光測色計により測定し、a* 値と混合酸化鉄中のヘマタイトの割合との関係について調べた。
▲4▼ 図2に色度(a* 値)と混合酸化鉄中のα−Fe2 O3 (ヘマタイト)の割合との関係を示した。その結果、a* 値が増すにつれてヘマタイトの含有率も増加し、相関関係があることがわかった。
【0021】
II 実サンプルのヘマタイト含有率の本発明法による測定(推定)
ボイラー実機を開缶し、複数本のチューブを抜管した。このチューブ表面を図1の分光測色計によって色相分析してa* 値を求め、図2の検量線からヘマタイト含有率を求めた。結果を表1に示す。
【0022】
III 実サンプルのヘマタイト含有率のX線回折法による分析値との対照
上記の実機サンプルの表面の酸化鉄はX線回折法によって分析し、ヘマタイト含有率を測定した。結果を表1に示す。
【0023】
【表1】
【0024】
表1より、本発明により高精度にて鋼材表面の酸化鉄中のヘマタイト含有率を推定できることが認められる。
【0025】
比較例1
6機のボイラ実機(A〜F)の缶内をカラー写真機によってストロボ撮影し、この写真を6人の判定者が見て色調を判別した。その結果を表2に示す。
【0026】
また、上記のA〜Fのうち5機(B〜F)の缶内について、上記と同じ6名の判定者が直接に目視観察し、その色調を判定した。(このときの照明は白色蛍光灯を用いた。)この判定結果を表2に併せて示す。
【0027】
なお、表2に、上記6機(A〜F)の缶内を図1の装置で測定したときのL* 、a* 、b* 値を併せて示す。
【0028】
【表2】
【0029】
表2より、目視による色の判定結果は個人差がかなり大きく、精度の良いヘマタイト含有率の推定は無理であることが認められた。
【0030】
【発明の効果】
以上の通り、本発明によると、鋼材表面の状態を高精度に測定できる。本発明によると、実機サンプルの鋼材の表面状態を現場にて測定することができる。
【0031】
なお、本発明によると、鋼材表面の酸化鉄中のヘマタイト含有率(又はマグネタイト含有率)を高精度に推定することもでき、ボイラ水等の水処理の効果を判定することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】分光測色計の光学系の断面図である。
【図2】実施例における測定結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1,2 分光センサ
3 積分球
4 試料面開口
5,6 集光レンズ
7 光ファイバ
8 キセノンランプ
Claims (2)
- 鋼材の表面に特定の光源からの光のみを照射し、その反射光を分光測色計により測定して該鋼材表面の色相を検出し、該鋼材表面の酸化鉄発生状況を測定する鋼材の表面状態の測定方法であって、
予め求めておいた特定酸化鉄の含有率と色相との相関関係から該鋼材表面の酸化鉄中における該特定酸化鉄の含有率を求めることを特徴とする鋼材の表面状態の測定方法。 - 請求項1において、前記鋼材は実機ボイラ缶内の鋼製の部材であり、前記特定酸化鉄の含有率と色相との相関関係が、ヘマタイトの含有率とa * 値との相関関係であることを特徴とする鋼材の表面状態の測定方法。
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