JPH10131266A - 便器及び排水管の防汚防臭方法及びそのための装置 - Google Patents

便器及び排水管の防汚防臭方法及びそのための装置

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JPH10131266A
JPH10131266A JP25417397A JP25417397A JPH10131266A JP H10131266 A JPH10131266 A JP H10131266A JP 25417397 A JP25417397 A JP 25417397A JP 25417397 A JP25417397 A JP 25417397A JP H10131266 A JPH10131266 A JP H10131266A
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JP
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water
toilet
trap
sterilizing
drain pipe
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Application number
JP25417397A
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English (en)
Inventor
Nobuhiro Shono
信浩 庄野
Shuhei Kono
秀平 河野
Satoshi Yamakawa
聡士 山川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toto Ltd
Original Assignee
Toto Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 便器及び排水管における尿石等の汚れや臭気
の発生を効果的に防止する方法を提供する。 【解決手段】 便器A11の上流に連続式電気分解槽1
1を設け、水道水を流量調節しつつ電気分解槽11に供
給して電気分解することにより生成した遊離塩素含有殺
菌水を便器A11に流し、トラップA12に滞留させ
る。その後、電気分解槽11で電気分解を行なわず、水
道水を本来の水圧で便器A11に供給することにより、
トラップA12に滞留した殺菌水を排水管A13に圧送
する。これにより殺菌水が排水管A13の内面全面に接
触するようになり、排水管A13内においても充分な殺
菌が行なわれるようになる。すなわち、便器A11、ト
ラップA12及び排水管A13の全体の洗浄及び殺菌が
充分に行なわれ、これらからの尿石の付着及び臭気の発
生が確実に防止される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、便器及び排水管に
おける尿石等の汚れの付着や臭気の発生を防止する方法
及びそのための装置に関する。
【0002】
【従来の技術】便器の日常的洗浄は、通常、使用者のボ
タン操作等により上水又は中水を流す手動洗浄装置、或
いは、赤外線センサ等を用いて便器の前に人が立ったこ
とを検知し、便器の使用が終了した時点で自動的に上水
又は中水を流す自動洗浄装置により行われている。しか
しながら、便器使用後に単に洗浄水を流すのみでは、便
器や便器より下流の配管に尿石等が徐々に付着すること
や、アンモニア等による臭気が発生することを防止する
ことができなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本願出願人
は、上記のような洗浄装置による便器洗浄に加え、水道
水を電気分解して得られる遊離塩素含有水等の殺菌水を
便器に供給して尿石等の原因となる細菌を殺し、これに
より便器の汚れを有効に防止する方法を提案した(PC
T/JP95/01650)。更に、便器の下流に接続
された排水管に殺菌水を供給することにより、排水管の
汚れ及び臭気の発生を防止する方法を提案した(特願平
8−56710号)。
【0004】前記洗浄装置による便器洗浄においては、
通常、比較的多量の洗浄水(例えば、トラップ容量51
0ミリリットルの小便器に対し約4リットル)が流され
る。このため、便器使用後の洗浄により菌を含む水が勢
いよく排水管内を流れて排水管内面の全面に接触し、排
水管の内面は却って菌で汚染された状態となる。ところ
が、遊離塩素含有水は電気分解により生成されるため、
ポンプ等の圧送手段を用いない限り、その後に便器に供
給される殺菌水の勢いは弱い。このため、殺菌水は排水
管の内面の下部のみを流れ、排水管の内面の上部が殺菌
されずに残って、その部分で尿石等の汚れや臭気が発生
することになる。
【0005】本発明は、排水管内の殺菌を更に徹底的に
行なうことにより、尿石等の汚れや臭気の発生を更に確
実に防止する方法を提供することを目的とするものであ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】このような課題を解決す
るために成された本発明の便器及び排水管の防汚防臭方
法は、便器に殺菌水を供給して一旦トラップ内に滞留さ
せ、その後トラップ内の該滞留水を排水管へ圧送するこ
とにより、便器のみならず排水管においても、しかもそ
の内面全体において、汚れ及び臭気の発生を防ぐことを
特徴とするものである。
【0007】「トラップ内の滞留水を排水管へ圧送す
る」とは、トラップ内の滞留水に圧力を加えることによ
り、該滞留水を大きな瞬間流量でトラップから押し出
し、該トラップに接続された排水管の内面上部にまで到
達させることを意味する。なお、「瞬間流量」とは、単
位時間当たりに流れる流体の量のことであり、通常は単
に「流量(flow rate)」と呼ばれる物理量であるが、本
明細書中では、流された流体の総量(総流量)との区別
を明確にするため、「流量」の代わりに適宜「瞬間流
量」と記載することにする。
【0008】トラップ滞留水を排水管に圧送する方法と
しては、例えば流体(液体、気体)により滞留水をトラ
ップから押し出す方法が挙げられる。より具体的には、
一般に考えられる水を用いる方法の他、空気を用いる方
法を使用することができる。水を用いる場合、通常の便
器に備えられている洗浄装置からの洗浄水による圧送の
他、殺菌水を供給するための手段から供給される水を圧
送のために用いるという方法も考えられる。
【0009】
【作用及び効果】本願出願人は、前記したように、殺菌
水を便器に供給して尿石等の原因となる細菌を殺し、こ
れにより便器の汚れを有効に防止する方法を提案してい
る(PCT/JP95/01650)。この出願には、
便器に供給する殺菌水の種類、殺菌水を供給する手段並
びに殺菌水を供給するタイミング等が開示されている
が、これらは本発明においても好適に適用することがで
きる。以下、上記出願の開示内容と共通する部分も含
め、本発明の方法を具体的に説明する。
【0010】尿石の付着は次のようなプロセスで生じる
と考えられている。一般に、便器には桿菌等の細菌が存
在しており、細菌の有する酵素ウレアーゼの作用により
尿中の尿素がアンモニアと二酸化炭素に分解される。ウ
レアーゼを体内に有する細菌としては、一般細菌が基本
的に全て該当するが、そのうち、便器において特に顕著
に生息が認められるのは桿菌である。これらの細菌の活
動に伴って生成するアンモニアにより、尿と洗浄水から
なる混合排水のpHが上昇する。pHが高くなると、尿
中に含有されるカルシウムイオンとリン酸イオンが反応
して生成するリン酸カルシウムの溶解度が低下し、リン
酸カルシウムが有機成分とともに便器や排水管内に析出
する。これが尿石である。又、上記酵素ウレアーゼの作
用により尿素から生成するアンモニア量が多いと、臭気
の原因となる。
【0011】本発明において用いる「殺菌水」は、単に
細菌を殺す成分を含有する水のみならず、ウレアーゼの
酵素作用を阻害し得る成分を含有する水をも含む広い意
味で用いる。ウレアーゼの酵素作用を阻害する成分を用
いることによって、細菌によるアンモニアの生成が抑制
され、アンモニアの溶解によるpHの上昇が抑制されて
尿石の付着が防止されるとともに、臭気の一因も防止さ
れることから、結果的に殺菌と同等の作用を行なうため
である。
【0012】上記細菌を殺す(又は、ウレアーゼの酵素
作用を阻害する)成分としては、例えば、遊離塩素、結
合塩素、オゾン、抗菌性金属又はそのイオン、有機塩素
系消毒剤、有機リン酸系消毒剤、ベルオクソ炭酸イオン
又はその塩、アルコール系消毒剤等が挙げられる。
【0013】このうち、遊離塩素、結合塩素及びオゾン
は、有機塩素系消毒剤、有機リン酸系消毒剤等と比較し
て水中での存在寿命が短く、せいぜい数週間程度で分解
してしまうため、水質汚染等のおそれが少ないという点
で好ましい。
【0014】ここで、遊離塩素とは次亜塩素酸及び次亜
塩素酸イオンをいう。又、結合塩素とはモノクロラミ
ン、ジクロラミン、トリクロラミン等をいい、このうち
モノクロラミン、ジクロラミンには殺菌力があることが
知られている。
【0015】殺菌水として遊離塩素含有水を用いるよう
にすると、遊離塩素は少量で高い殺菌力を有し、且つウ
レアーゼの酵素作用を阻害する効果も有するので、より
一層アンモニアの生成が抑制され、アンモニアの溶解に
よるpHの上昇が抑制されて尿石の付着が防止されると
ともに、臭気の一因も防止される。
【0016】遊離塩素含有水は、塩素を含む水道水を電
気分解することにより生成することができる。なお、こ
こに言う「水道水」とは、上水、中水、工業用水等の水
道により得られる水を主に指すが、ここではそれ以外
に、塩素を含有する井戸水をも含んだ意味で用いるもの
とする。遊離塩素含有水は電気分解で生成されるため、
別途殺菌液を用いる場合と比較して、タンク中の液体の
交換等のメインテナンスの必要性が少なく、使用者にと
って安全である。
【0017】本発明の方法では、以上のような殺菌水を
便器に供給して、まず便器内の殺菌を行う。これによ
り、便器内に存在する上記桿菌等の細菌が消滅し、或い
はその酵素ウレアーゼ作用が阻止されてアンモニアの生
成が抑制される。アンモニアの生成が抑制されることに
より、アンモニアの溶解によるpHの上昇が防止され、
尿石の付着、臭気の発生が防止される。こうして、まず
便器の防汚及び防臭が行なわれる。
【0018】便器を殺菌した殺菌水は、トラップに入
る。便器に供給する殺菌水の量をトラップの容量に対し
て適切な値にすることにより、殺菌水は既にトラップに
滞留している水の大部分と置換されて、殺菌水がトラッ
プ内に滞留する。その後、水、空気等によりトラップ滞
留水を排水管へ圧送することにより、排水管内において
も殺菌を行う。ここにおける「圧送」とは、トラップ滞
留水が排水管の内面の上部にも十分に接触し得る程度に
トラップ滞留水に圧力を付与して排水管へ流すことを意
味する。これにより、殺菌水を含有するトラップ滞留水
が排水管の内面の全面に接触しながら流れ、その結果、
排水管の内面が全面的に殺菌される。従って、便器に供
給される時点での殺菌水の勢いが弱い場合でも、排水管
内における尿石等の付着や臭気の発生を確実に防止する
ことができる。以上のことから、本発明によって、便器
からトラップ及び排水管にかけての一連の配管系の全体
を常に清浄な状態に保つことができることになり、便器
・配管システム全体としての防汚・防臭対策が可能とな
る。
【0019】前記のように、遊離塩素含有水は塩素を含
む水道水を電気分解することにより生成されるため、安
定した濃度の遊離塩素を得るには電気分解時に流量調節
が必要であり、このため、便器に供給される遊離塩素含
有水の水圧は低い。従って、一旦これを貯留するタンク
を設けない場合、或いはポンプ等の圧送手段を用いない
場合には、排水管の内面に殺菌されない部分が残るおそ
れがある。本発明の方法では、殺菌水をトラップ内に一
旦滞留させ、その後トラップ内の該滞留水を排水管へ圧
送するようにしているので、排水管内の全面を完全に殺
菌することができる。
【発明の実施の形態】
【0020】殺菌水として遊離塩素を含む酸性水を用い
るようにすると、以下の作用により、より効果的に尿石
の付着及び臭気の発生が防止される。 (1)遊離塩素は少量で高い殺菌力を有し、且つウレア
ーゼの酵素作用を阻害する効果も有する。 (2)pHが8以上になりにくいので、リン酸カルシウ
ム等からなる尿石が付着しにくい。 (3)遊離塩素は、酸性では次亜塩素酸(HClO)と
して存在する。この形態では、アルカリ性での存在形態
である次亜塩素酸イオン(ClO-)と比較して約10
倍殺菌力が強い。従って、アンモニアの生成が抑制さ
れ、アンモニアの溶解によるpHの上昇が抑制されて尿
石の付着が防止されるとともに、臭気の一因も防止され
る。
【0021】遊離塩素を生成するための電気分解装置と
しては、陽極と陰極との間を隔膜で隔てることにより、
或いは、無隔膜型の電気分解槽の電極にスリットを設け
ること(特願平7−206540号、特願平7−206
541号に開示)によりアルカリ水と酸性水とを分離し
て取り出し、そのうち酸性水のみを便器に流す方法と、
無隔膜型の電気分解槽として電気分解した全ての液体を
便器に流す方法とがある。無隔膜型にして電気分解した
全ての液体を便器に流す方法は、複数の便器を連立させ
た便器ユニットのように、一度に大量の殺菌水を要する
場合には好ましい。逆に、アルカリ水と酸性水とに分離
して取り出す方法は、一般家庭等においてそのような装
置を上水配管に設置し、アルカリ水は飲料用に供する一
方、遊離塩素を含む酸性水を便器に流す等、他用途と組
み合わせて利用することができる。
【0022】塩素イオン含有水を電気分解する方法にお
いては、塩素生成反応を酸素生成反応よりも優勢にして
遊離塩素の発生効率を向上させるために、少なくとも陽
極の電極には塩素発生用電極を用いた電気分解装置を用
いる。
【0023】ここで塩素発生用電極とは塩素生成反応を
惹起し得る電極であり、その基本構造には、導電性基材
に塩素発生用触媒を担持したもの、及び、導電性の塩素
発生用触媒材料のみからなるものがある。導電性基材に
塩素発生用触媒を担持したものは、構造を担う基材部を
安価なチタン、ステンレス等の材料で構成できるので、
製造コスト上有利である。
【0024】塩素発生用電極には、塩素発生用触媒の種
類により、例えば、フェライト等の鉄系電極、パラジウ
ム系電極、ルテニウム系電極、イリジウム系電極、白金
系電極、ルテニウム−スズ系電極、パラジウム−白金系
電極、イリジウム−白金系電極、ルテニウム−白金系電
極、イリジウム−白金−タンタル系電極等がある。特
に、塩素イオン含有量が3〜40ppm程度しかない水道
水を利用する場合、遊離塩素の発生効率を向上させるこ
とはウレアーゼを含む菌を充分に殺す上で非常に重要で
ある。その観点から、イリジウム系電極、イリジウム−
白金系電極、イリジウム−白金−タンタル系電極等が好
適である。又、導電性基材に塩素発生用触媒を担持した
ものを利用する場合、白金を含むほうが基材への固定が
よく、脱離しにくいため、電極寿命の向上の点で好まし
い。
【0025】電気分解槽内の電極に印加する電圧は、直
流でも交流でもよい。交流の場合には、両極ともに塩素
発生用電極を用いるのが望ましい。直流の場合は、陰極
の電極は基本的に導電性材料であれば何でもよい。例え
ば、鉄、ステンレス鋼等の安価な材料を用いれば、製造
コスト上有利である。
【0026】殺菌水として結合塩素含有水を用いるよう
にすると、結合塩素は殺菌力を有し、且つウレアーゼの
酵素作用を阻害する効果も有するので、より一層アンモ
ニアの生成が抑制され、アンモニアの溶解によるpHの
上昇が抑制されて尿石の付着が防止されるとともに、臭
気の一因も防止される。
【0027】更に、結合塩素含有水は、中水、井戸水等
の塩素と有機窒素を含む水を電気分解することにより生
成されるので、前記遊離塩素含有水の場合と同様に、本
発明の方法を適用するのに有用である。又、タンク中の
液体の交換等のメインテナンスの必要性も低減する。そ
して、中水を原料水として用いることができるため、水
を再生利用している高層ビル、工場等の場合に対応しや
すい。又、結合塩素は遊離塩素に比べて自然分解しにく
いため、残留性がよいという特長を有する。更に、約
3.0mg/リットルの濃度で5分程度の作用時間(滞
留時間)により細菌を全滅させることができるという強
力な殺菌力を有する。
【0028】殺菌水としてオゾン含有水を用いるように
すると、オゾン含有水は殺菌力を有し、且つアンモニア
を酸化する作用を有するので、ウレアーゼによるアンモ
ニアの生成が抑制され、アンモニアの溶解によるpHの
上昇が抑制されて尿石の付着が防止されるとともに、臭
気の一因も防止される。
【0029】オゾン含有水は、無声放電による生成オゾ
ンの水への溶解、或いは水の電気分解により得られるの
で、前記遊離塩素含有水や結合塩素含有水の場合と同様
に、本発明の方法を適用するのに有用であり、タンク中
の液体の交換等のメインテナンスの必要性も低減する。
【0030】オゾン含有水中のオゾン濃度は、通常0.
01mg/リットル以上、好ましくは0.05mg/リット
ル以上とする。これにより、配管内の殺菌が充分に行な
われるとともに細菌の作用に基づくウレアーゼの増加が
有効に抑制され、アンモニアの溶解によるpHの上昇が
抑制されて、尿石の付着及び臭気の発生が防止される。
【0031】殺菌水として抗菌性金属又はそのイオンを
含有する水を用いるようにすると、抗菌性金属又はその
イオンは殺菌力を有するので、ウレアーゼによるアンモ
ニアの生成が抑制され、アンモニアの溶解によるpHの
上昇が抑制されて尿石の付着が防止されるとともに、臭
気の一因も防止される。
【0032】抗菌性金属又はそのイオンは、それら原子
又はイオンが小さいため、有機物や比較的大きな陰イオ
ンに取り囲まれると抗菌寿命が尽きる。しかし、遊離塩
素やオゾンと比較して、瞬時の接触による殺菌能力は低
いが、抗菌寿命が長いため、トラップにある程度以上の
時間滞留した後でも活性を喪失し難い。又、抗菌性金属
又はそのイオンを含む物質を例えばトラップ部に配する
だけで、かなり長期間新たな殺菌成分を供給しなくても
優れた殺菌性を示す。
【0033】抗菌性金属又はそのイオンを含む物質に
は、抗菌性金属又はそのイオン自体及び抗菌性金属又は
そのイオンを含む化合物若しくは抗菌性金属又はそのイ
オンを担持した物質が挙げられる。
【0034】抗菌性金属には銀、銅、亜鉛等があり、抗
菌性金属又はそのイオンの担持体としては、釉薬、ガラ
ス、溶解性ガラス、層状ケイ酸塩、層状アルミノケイ酸
塩、アパタイト、リン酸カルシウム、リン酸アルミニウ
ム、ゼオライト、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化チタン等が利
用できる。このうち、衛生陶器の焼成温度においても耐
熱性を有することから、釉薬、ガラス、アパタイト、リ
ン酸カルシウム、リン酸アルミニウム、酸化亜鉛、酸化
鉄、酸化チタンが特に好ましい。
【0035】抗菌性金属イオンが銀イオンである場合に
おいて、銀イオン濃度を1μg/リットル以上、好まし
くは10μg/リットル以上とすると、配管内が充分に
殺菌される。従って、細菌の作用に基づくウレアーゼの
増加が有効に抑制され、アンモニアの溶解によるpHの
上昇が抑制されて尿石の付着が防止されるとともに、臭
気の一因も防止される。
【0036】抗菌性金属イオン含有水は、抗菌性金属イ
オン担持体により放出された抗菌性金属イオンを含む水
であるようにすると、メインテナンスが抗菌性金属イオ
ン担持体の交換のみで済むため、より安全であり、好ま
しい。抗菌性金属イオン担持体は、例えば便器のトラッ
プ部に配するようにすることができる。
【0037】殺菌水のpHを5.5以下とすると、以下
に示す2つの効果により、尿石の付着及びアンモニアの
生成がより生じにくくなる。 (1)リン酸カルシウムの溶解度はpHが8以上で非常
に低くなるが、pHを5.5以下とすることによりリン
酸カルシウムの溶解度が高くなり、尿石の付着が生じに
くい。 (2)酵素ウレアーゼの最適活性pHは大体7程度であ
ると言われている。pHを5.5以下にすることにより
酵素ウレアーゼの活性が大きく下がり、アンモニアの生
成が生じにくい。
【0038】ただし、酸性があまりに強いと配管が腐食
する場合があるので、pHは3以上とすることが望まし
い。
【0039】上記のようにして便器に殺菌水を供給する
と、トラップ内には、トラップ滞留水の大部分と置換さ
れて、上記殺菌水が滞留する。本発明においては、この
トラップ滞留殺菌水を排水管に圧送することにより排水
管内全面の殺菌を行うのであるが、例えばトラップ滞留
水を洗浄水で圧送する場合には、トラップ滞留水が洗浄
水で希釈される。このため、排水管内を流れる排水中に
おける殺菌成分の濃度が十分となるように、洗浄水によ
る希釈率に応じて、最初に便器に供給するときの殺菌水
の濃度を予め高めに設定しておく必要がある。
【0040】表1に、遊離塩素含有水の殺菌特性を調べ
た実験の結果を示す。この実験においては、0.1pp
m、0.3ppm、0.5ppm、1.0ppm及び3.0ppmの
5種類に濃度を変えた遊離塩素含有水中に、遊離塩素含
有水1ミリリットル当り104個、105個、106個、
107個及び108個の5種類に菌濃度(菌数)を変えて
細菌を入れ、それぞれ細菌が全滅するまでの時間を調べ
た。
【0041】
【表1】
【0042】表1からわかるように、濃度0.3ppm以
上の遊離塩素含有水であれば、遊離塩素含有水1ミリリ
ットル当り107個程度までの細菌を十数秒で全滅させ
ることができる。実際には、これより作用時間が短くて
も、ウレアーゼの酵素作用は十分に阻害することができ
るため、例えば殺菌水が10秒間程度排水管に流れると
すると、遊離塩素濃度が0.3ppm程度以上であれば、
排水管内における尿石等の汚れや臭気の発生を十分に防
止することができると考えられる。
【0043】又、濃度3.0ppm以上の高濃度の遊離塩
素含有水であれば、遊離塩素含有水1ミリリットル当り
108個程度までの細菌でも1分で全滅させることがで
きる。
【0044】後にも述べるように、菌濃度が104個/
ミリリットル未満であれば、尿石の付着は生じない。従
って、細菌を全滅させなくても、生菌数を104個/ミ
リリットル未満にまで減少させることができれば、尿石
等の汚れや臭気の発生を十分に防止することができる。
【0045】ここで、例えばトラップ容量を約500ミ
リリットル、トラップ滞留水を排水管に圧送するための
洗浄水の供給量を約4リットルとした場合、洗浄水を流
すとトラップ滞留水は99.9%以上が置換されるか
ら、排水管内にはトラップ滞留水約500ミリリットル
と洗浄水約3.5リットルとが混合されて流れることに
なり、その結果、トラップ滞留水は洗浄水により1/8
程度に希釈されることになる。従って、排水管内を流れ
る排水中の遊離塩素濃度を例えば0.3ppm程度以上と
するには、トラップ滞留水中の遊離塩素濃度を2.4pp
m程度以上とする必要がある。上記と同様に考えて、洗
浄水の供給量が約2リットル、約1リットルの場合、ト
ラップ滞留水において必要な遊離塩素濃度はそれぞれ
1.2ppm程度以上、0.6ppm程度以上である。
【0046】なお、最初に殺菌水を便器に供給する際
に、殺菌水の供給量が少ないと殺菌水はトラップ滞留水
で希釈されることになるが、例えば殺菌水の供給量がト
ラップ容量の2倍以上程度であれば、トラップ滞留水の
95%以上程度が置換されるので、トラップに滞留させ
た後の殺菌水濃度の低下は小さい。この場合、便器に供
給するときの殺菌水の濃度は、前記したような、トラッ
プ滞留水中において必要な殺菌成分の濃度とほぼ同程度
でよい。
【0047】上記殺菌水を含有するトラップ滞留水を排
水管へ圧送する際の圧送方法としては、上記のように水
を用いる以外に、例えば空気等の他の流体を流す方法を
挙げることができる。
【0048】トラップ滞留水を水で排水管に圧送する際
には、排水管内を流れる排水が十分な水圧を有して排水
管内面の全面に殺菌成分が接触し得るように、十分な量
の水を供給するようにする。具体的には、トラップ容量
や排水管の径にもよるが、通常のトラップ(例えば容量
500ミリリットル程度)及び排水管(径約50mm)の
場合で、2リットル/回以上程度、好ましくは4リット
ル/回以上程度とすることが適当である。
【0049】ただし、水量が多すぎると、圧送用の水に
より殺菌水が過度に希釈され、十分な殺菌効果が得られ
なくなるおそれがある。従って、圧送用の水の量は殺菌
水の初期濃度(供給直後の濃度)をも考慮して決定する
ことが望ましい。例えば、濃度1.2ppmの遊離塩素含
有水を殺菌水として用いるものとし、トラップの容量や
排水管の寸法が上記の数値であるときには、圧送用の水
の量を2リットル/回、その瞬間流量を14リットル/
分とすれば、殺菌水が排水管の内面上部の全体に接触す
るようになり、そこにおける生菌数を殺菌前の1/10
00以下(すなわち、殺菌率99.9%以上)にするこ
とができる。このように、トラップの容量や排水管の寸
法、形状等に応じて、殺菌水の濃度や圧送用の水の瞬間
流量及び総流量等を決定し、所望の殺菌率が達成される
ようにすることが好ましい。
【0050】上記の圧送用の水の供給は、一般的には、
従来より設けられている洗浄水供給手段を用いる。この
場合、上記殺菌水供給手段は洗浄水供給用配管に並列に
接続したり、洗浄水供給用配管とは別に殺菌水供給用の
配管を設ける。しかし、洗浄水供給手段を用いることな
く、殺菌水を生成する手段を圧送用の水の供給に用いる
こともできる。例えば殺菌水供給手段としての電気分解
槽において、電極に電圧を印加しないようにして、水道
水を電気分解せずにそのまま通過させるようにすればよ
い。ただしこの場合、電気分解時に行う流量調節はここ
では行わず、通常の水道水の水圧レベルを維持するよう
にする。
【0051】上記したような、殺菌水の供給及び圧送に
よる配管系(便器及び排水管を含む一連の配管)内の殺
菌を便器使用毎に行うようにすると、通常の洗浄水のみ
による洗浄は省略することもできるが、通常行なわれる
便器使用毎の洗浄水による配管の洗浄と本発明に係る方
法による殺菌とを併せて行うようにしてもよい。これに
よれば、大部分の細菌が水洗により配管から排除され、
その後に殺菌水を配管に供給することにより、残留した
細菌を効果的に殺すことができる。
【0052】更に、上記のように便器使用毎の通常の洗
浄水による配管の洗浄を併せて行う場合に、洗浄水の瞬
間流量を通常の洗浄の場合よりも少なくするようにして
もよい。便器使用後に洗浄水を流すと、汚染された排水
が排水管を流れるが、このとき供給される洗浄水の瞬間
流量が通常通りであれば、排水が排水管内面の全面に接
触するため、排水管内面が全面的に汚染されることにな
る。ここで、供給される洗浄水の瞬間流量を少なくする
と、排水は排水管内面の下面部分のみを流れるようにな
るため、排水管内面の上面部分は汚染され難い。従っ
て、その後殺菌水を圧送することにより、排水管内面が
より効率良く殺菌されることになる。なお、瞬間流量を
少なくする場合には、便器の吐出口には散水しやすいも
のを設け、少流量でも便器(ボウル)の洗浄面を十分に
洗浄できるようにすると効果的である。
【0053】上記のように少量とする場合の洗浄水の瞬
間流量は、排水が排水管内面の下面部分のみを流れるよ
うな流量とする。例えば、通常のトラップ(容量500
ミリリットル程度)及び排水管(径約50mm)の場合、
5リットル/分程度以下、好ましくは1リットル/分程
度以下とすることが適当である。ただし、瞬間流量を少
なくする場合には、洗浄水を流す時間をそれに応じて適
宜延長して、洗浄水の総量が大幅に低下することを避け
ることが望ましい。例えば瞬間流量を5リットル/分と
した場合には洗浄水を流す時間を12秒程度以上、1リ
ットル/分とした場合には60秒程度以上等として、洗
浄水総量を1リットル程度以上、すなわちトラップ置換
率で約95%以上を確保しておくことが望ましい。な
お、通常の場合は、14〜20リットル/分程度の流量
で約3〜18秒程度の洗浄が行なわれ、総量約4リット
ル程度の洗浄水(置換率99.9%)が使用される。
【0054】なお、便器への殺菌水の供給が完了してか
ら圧送用の水の供給が開始されるまでの時間は、トラッ
プに滞留した殺菌水により該トラップの殺菌が十分に行
なわれるように、十分に長い時間とすることが望まし
い。例えば、トラップ内の生菌数が殺菌前の1/100
0以下(すなわち、殺菌率が99.9%以上)になるま
で、トラップに殺菌水を保持し、その後に、上述したよ
うな方法で圧送用の水を供給する、というようにするの
である。このようにすると、トラップの殺菌と排水管が
共に十分に殺菌され、汚れや悪臭の発生が効果的に防止
される。なお、トラップ内に殺菌水を保持すべき時間、
すなわち、トラップの容量や殺菌水の濃度を所与とした
ときに所望の殺菌率を達成するためにはどのくらいの時
間殺菌水をトラップ内に保持すればよいかは、予め実験
的に決定しておけばよい。
【0055】図1は、本発明の方法が実施される便器の
一例を示す模式図である。同図に示す例においては、便
器A11の上部に接続された給水管12に連続式電気分
解槽11が配設されている。連続式電気分解槽11に
は、少なくとも一対の電極と、電極間に形成された流路
と、その流路に連通する流入口及び流出口とが設けられ
ている。連続式電気分解槽11よりも上流側の給水管1
2には流量調節弁13が配設されている。連続式電気分
解槽11及び流量調節弁13は共に制御装置14に接続
されており、制御装置14は連続式電気分解槽11の電
極への電圧の印加や流量調節弁13における流量調節を
制御する。又、制御装置14にはセンサ15が接続され
ており、これにより便器A11の使用が検知される。
【0056】便器A11が使用されると、センサ15か
ら制御装置14へ所定の信号が送られる。この信号を受
けた制御装置14は、流量調節弁13に指示信号を送っ
て流量調節弁13を所定の開度で開き、水道水を所定の
流量で連続式電気分解槽11に流入させる。流量調節弁
13の開放と同時に、若しくはやや遅延させて、制御装
置14は連続式電気分解槽11の電極に電圧を印加す
る。これにより水道水が電気分解されて遊離塩素含有水
となる。生成された遊離塩素含有水は便器A11に供給
される。電圧を印加してから所定時間の後、制御装置1
4は連続式電気分解槽11の電極への電圧の印加を停止
し、流量調節弁13を閉じる。
【0057】上記のようにして遊離塩素含有水が便器A
11に供給されることにより、便器A11が洗浄され、
同時に殺菌される。そして、便器A11のトラップA1
2内の滞留水の大部分と置換されて、この遊離塩素含有
水がトラップA12内に滞留する。
【0058】その後、制御装置14は、連続式電気分解
槽11の電極への電圧の印加を停止したままで、流量調
節弁13を再び開く。このとき、流量調節弁13の開度
を最大とする。これにより水道水が通常の水道水圧レベ
ルを維持しながら便器A11に供給される。
【0059】この水道水の供給により、トラップA12
内の遊離塩素含有滞留水が排水管A13に押し出され
る。上記の通り、供給される水道水は通常の水道水圧を
有しているので、トラップA12内に滞留している遊離
塩素含有滞留水は後方から十分な水圧で排水管A13内
に押し出される。このため、遊離塩素含有水は排水管A
13内面の全面に接触しながら流れてゆき、これにより
排水管A13内面の全面が遊離塩素により殺菌される。
【0060】ここに示す例では、殺菌水(遊離塩素含有
水)が便器使用後直ちに便器に流されるため、細菌の増
殖する時間がなく、高い殺菌効果が得られる。又、圧送
用の水道水の供給が便器使用毎の洗浄用としても作用す
る。更に、殺菌水供給手段が自動洗浄装置とは別に設け
られている場合に比して、配管及び制御系統が簡素化さ
れており、製造や設置のためのコストが低くてすむ。
【0061】図2は、本発明の方法が実施される便器の
他の例を示す模式図である。同図に示す例においては、
給水管22の途上に三方弁27が設けられ、分岐管26
の一方端がこの三方弁27に接続されている。分岐管2
6の他端は便器A11に接続される直前の給水管22に
接続され、分岐管26の途上には流量調節弁23及び連
続式電気分解槽21が設けられている。すなわち、流量
調節弁23及び連続式電気分解槽21は給水管22に並
列に接続されている。流量調節弁23、連続式電気分解
槽21及び三方弁27は制御装置24に接続されてお
り、制御装置24には更にセンサ25が接続されてい
る。なお、便器A11以下の配管は図1に示す例と同様
である。
【0062】ここに示す例では、流量調節弁23及び連
続式電気分解槽21は前記図1に示した連続式電気分解
槽11の場合と同様、制御装置24により制御される
が、便器A11に水道水のみを流す場合は、連続式電気
分解槽21を経ずに流される。従って、連続式電気分解
槽21の流入口、電極、流出口等による水道水圧力の低
下がなく、より効果的な圧送を行なうことができる。
【0063】上記の例では便器使用毎に殺菌水の圧送に
よる配管内の殺菌及び洗浄を行なったが、もちろん、こ
のような殺菌水の圧送による配管内の殺菌及び洗浄を便
器使用とは切り離して行なうようにしてもよい。この場
合には、便器使用後には従来と同様の便器洗浄を行なう
必要があるが、図1及び図2の例とも、単に水道水を便
器A11に流すようにすればよいだけであり、センサ1
5、25、制御装置14、24及び流量調節弁13又は
三方弁27を用いて簡単に行なうことができる。
【0064】更に、便器使用毎に先ず通常の便器A11
の洗浄を行ない、その後、殺菌水の供給及びその滞留水
のトラップA12から排水管A13への圧送を行なうよ
うにしてもよい。この場合、最初の便器洗浄用の水道水
の供給量を通常の洗浄時よりも少なくすることにより、
前記の通り、排水管A13の汚染を少なくすることがで
き、その後の殺菌が効果的に行なわれるようになる。
【0065】上記のように、殺菌水の圧送による配管内
の殺菌及び洗浄を便器使用とは切り離して行なう場合、
例えば以下のような態様にて行うことが可能である。 (1)殺菌を所定の時間間隔で行なう、(2)殺菌を夜
間にのみ行なう、(3)殺菌を、便器使用後一定時間以
内に便器が使用されない場合に行なう。
【0066】上記(1)のように、殺菌を所定の時間間
隔で行なうようにすることにより、細菌を断続的に死滅
させ、除去することになるので、外気等から配管に付着
する細菌の増殖及び固着を有効に防ぐことができる。従
って、細菌の作用に基づくウレアーゼの増加が有効に抑
制され、アンモニアの溶解によるpHの上昇が抑制され
て尿石の付着が防止されるとともに、臭気の一因も防止
される。
【0067】殺菌を所定の時間間隔で行なう場合は、そ
の時間間隔を8時間程度以内とすることが望ましい。一
度便器を洗浄又は殺菌してから8時間以内は、便器の使
用状況の如何に拘らず便器内の菌濃度は1×105個/
ミリリットル以上には上昇しないことがわかっている
(特願平8−56709号)ためである。
【0068】上記(2)のように、殺菌を夜間にのみ行
なうようにすることにより、例えば、オフィスビル、デ
パート、駅構内、展示場、観光施設内、昼間のみ運行す
る乗物等のトイレに設置された便器のように、昼間のみ
使用され夜間は殆ど使用されない便器において、夜間の
便器不使用時に配管内で細菌が増殖し、ウレアーゼが増
加して配管内面に固着するという事態が防止され、ひい
ては尿石の付着が防止されるとともに、臭気の一因も防
止される。
【0069】このように、殺菌を夜間にのみ行なう場
合、まず、洗浄水を流して配管の水洗を行った後に、殺
菌水の圧送による殺菌を行なうようにするとよい。これ
によれば、便器使用後でないため、大部分の細菌がまず
水洗により配管から排除され、その後に殺菌水が配管に
圧送されることになり、より効果的な配管の殺菌を行な
うことができる。
【0070】又、夜間に複数回の殺菌を行なう場合、夜
間の最初に供給する際のみ高濃度の殺菌水を供給し、或
いは大量の殺菌水を供給し、その夜間の2回目以降はそ
れよりも低濃度又は少量の殺菌水を供給するようにして
もよい。昼間は徐々に菌数が増加するため、夜間の最初
は菌の数が最大となっている。従って、最初だけは高濃
度又は大量の殺菌水で充分な殺菌を行う必要がある。し
かし、夜間は細菌の増殖速度は低いため、このように最
初に充分な殺菌を行った後は、低濃度又は少量の殺菌水
を供給するだけで充分な殺菌を行うことができる。
【0071】この場合も上記同様、まず、洗浄水を流し
て配管の水洗を行った後、殺菌水を供給するようにして
もよい。
【0072】上記(3)のように、殺菌を、便器使用後
一定時間以内に便器が使用されない場合に行なうように
することにより、便器不使用時に配管内で細菌が増殖
し、ウレアーゼが増加して配管内面に固着するという事
態が防止され、ひいては尿石の付着が防止されるととも
に、臭気の一因も防止される。更に、必要時にのみ供給
することになり、殺菌水を節約することができる。
【0073】上記の通り、便器使用直後の洗浄を行なっ
た後は、8時間程度経過しても便器内の菌濃度は1×1
5個/ミリリットル以上には上昇しないことがわかっ
ている(特願平8−56709号)ため、殺菌水の圧送
による配管内の殺菌、或いは洗浄水の供給による配管の
洗浄は、便器使用後8時間以内に行うようにすれば、尿
石等の汚れや臭気の発生を防止する効果が得られる。
【0074】なお、殺菌を、便器使用後一定時間以内に
便器が使用されない場合に、所定の時間間隔で行なうよ
うにしてもよい。
【0075】以上のように殺菌を時間限定的に行うよう
にすることにより、高い節電効果及び節水効果を得るこ
とができる。特に、水道水を電気分解することにより得
られる殺菌水(例えば遊離塩素含有水等)を用いる場
合、このような時間限定的実行により、電気分解の累積
時間を短くすることができるため、電極の寿命を延ばす
ことができ、従って電極交換の頻度も少なくすることが
できる。
【0076】
【実施例】
実施例1 昼間通常に使用される小便器(トラップ容量510ミリ
リットル)において、以下の要領にて、便器を含む一連
の配管の洗浄及び殺菌を行い、該配管における殺菌効果
を調べた。 (配管の洗浄)便器が使用される毎に、自動洗浄装置に
より水道水4リットルを便器に流して配管の洗浄を行っ
た。 (配管の殺菌)3:00及び22:00の各時刻におい
て、水道水を電気分解して濃度1.0ppmの遊離塩素含
有水1リットルを電解槽から直接便器に流し、一旦トラ
ップに滞留させた後、水道水2リットルを便器に流して
トラップ滞留水を排水管に圧送した。
【0077】上記のようにして洗浄及び殺菌を行いなが
ら便器の使用を継続し、開始から約6カ月経過した時点
で、1日におけるトラップ滞留水の菌数及びpHの変化
を調べたところ、それぞれ図3及び図4に示す結果が得
られた。なお、図中の矢印は殺菌を行った時刻を示す。
【0078】比較例1 上記実施例1で使用した小便器に並設されている別の小
便器において、配管の殺菌を行わず洗浄のみを行うよう
にする以外は全て同様にして便器の使用を継続し、開始
から約6カ月経過した時点での1日におけるトラップ滞
留水の菌数及びpHの変化を上記と同様に調べたとこ
ろ、それぞれ図5及び図6に示す結果が得られた。
【0079】図5及び図6を見ると、使用毎の水道水に
よる洗浄のみを行った場合、便器が使用され洗浄が行わ
れる昼間(8:00〜20:00)においてはトラップ
滞留水の菌数が1×103個/ミリリットル程度まで低
下し、pHも8程度まで低下する場合もあるが、便器が
使用されず洗浄も行われない夜間(20:00〜8:0
0)においては菌数が常に1×105個/ミリリットル
以上という状態が維持され、pHもほぼ9近くという高
い値が維持されていることがわかる。これに対し、図3
及び図4を見ると、3:00及び22:00における上
記殺菌処理により、1日を通じて、トラップ滞留水の菌
数は1×103個/ミリリットル以下に抑えられ、pH
も8未満となっていることがわかる。すなわち、本発明
に係る防汚防臭方法により、トラップ及び排水管を含む
配管系全体内における尿石等の汚れや臭気の発生が有効
に防止され得ることがわかる。
【0080】実施例2 上記実施例1と同じ小便器(トラップ容量510ミリリ
ットル)において、まず、トラップ及び排水管を洗浄
し、菌数が0で、且つ汚れが無い状態としておいた。そ
の後、昼間通常に使用し、使用毎に水道水による配管の
洗浄及び本発明の方法による殺菌を行った。ただし、殺
菌水(遊離塩素含有水)の供給量は1リットル/回とし
た。
【0081】実施例3 上記実施例2において、洗浄時の水道水の供給量を1リ
ットル/回とする以外は全て同様にした。
【0082】比較例2 上記実施例2において、本発明の方法による殺菌を行わ
ず、便器使用後の水道水による洗浄のみを行った。
【0083】比較例3 上記実施例2において、殺菌水(遊離塩素含有水)供給
後、圧送用の水道水供給を行わないようにした。
【0084】上記実施例2〜3及び比較例2〜3のそれ
ぞれにおいて、1カ月経過後にトラップ滞留水を採取し
て細菌数を測定し、又、排水管内面の単位面積部分に付
着した水を綿棒で拭き取って生理食塩水中に分散させ、
細菌数を測定した。更に、臭いの発生の有無、並びにト
ラップ内及び排水管内の汚れの発生状況を調べた。これ
らの結果を表2に示す。
【0085】
【表2】
【0086】表2から、上記実施例2ではトラップ内だ
けでなく排水管内においても菌数が少なく汚れの発生も
みられないのに対し、比較例3では、底部は殺菌水が接
触するため尿石の付着量は少ないものの、排水管内部の
全体では菌数が多く、汚れの発生もみられることがわか
る。このことから、殺菌水を供給した後、トラップ内に
滞留している殺菌水を水道水で圧送することにより、排
水管内を効果的に殺菌できることがわかる。又、実施例
3では、実施例2の場合に比して排水管内の菌数がやや
多く、底部における汚れの発生もみられるが、比較例3
に比べると、排水管内の菌数は1/1000に抑えら
れ、汚れの発生も約1.5カ月遅く、又尿石の発生もみ
られない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の方法が実施される便器の一例を示す
模式図。
【図2】 本発明の方法が実施される便器の他の例を示
す模式図。
【図3】 殺菌水を排水管に圧送することによるトラッ
プ及び排水管を含む配管系の殺菌効果を確認する試験に
おいて、6カ月経過時の1日におけるトラップ滞留水の
菌数の変化を示す図。
【図4】 図3に係る試験において、6カ月経過時の1
日におけるトラップ滞留水のpHの変化を示す図。
【図5】 図3に係る試験において、殺菌水を供給しな
い場合の6カ月経過時の1日におけるトラップ滞留水の
菌数の変化を示す図。
【図6】 図5に係る試験において、6カ月経過時の1
日におけるトラップ滞留水のpHの変化を示す図。
【符号の説明】
11、21…連続式電気分解槽 12、22…給水管 13、23…流量調節弁 14、24…制御装置 15、25…センサ 26…分岐管 27…三方弁 A11…便器 A12…トラップ A13…排水管

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 便器に殺菌水を供給してトラップ内に滞
    留させ、その後トラップ内の該滞留水を排水管へ圧送す
    ることにより、便器及び排水管の汚れ及び臭気の発生を
    防止する方法。
  2. 【請求項2】 便器に殺菌水を供給してトラップ内に滞
    留させ、その後トラップ内の該滞留水を水で排水管へ圧
    送することにより、便器及び排水管の汚れ及び臭気の発
    生を防止する方法。
  3. 【請求項3】 便器に殺菌水を供給してトラップ内に滞
    留させ、その後、殺菌水供給手段とは別に設けた洗浄水
    供給手段で洗浄水を便器に供給してトラップ内の該滞留
    水を排水管へ圧送することにより、便器及び排水管の汚
    れ及び臭気の発生を防止する方法。
  4. 【請求項4】 便器に洗浄水を供給して便器及び排水管
    の洗浄を行った後、便器に殺菌水を供給してトラップ内
    に滞留させ、ついでトラップ内の該滞留水を洗浄水で排
    水管へ圧送して便器及び排水管の殺菌を行うことによ
    り、便器及び排水管の汚れ及び臭気の発生を防止する方
    法。
  5. 【請求項5】 便器に瞬間流量の少ない洗浄水を供給し
    て便器及び排水管の洗浄を行った後、便器に殺菌水を供
    給してトラップ内に滞留させ、ついでトラップ内の該滞
    留水を洗浄水で排水管へ圧送して便器及び排水管の殺菌
    を行うことにより、便器及び排水管の汚れ及び臭気の発
    生を防止する方法。
  6. 【請求項6】 便器使用後、請求項1〜5のいずれかに
    記載の方法を実施する便器及び排水管の汚れ及び臭気の
    発生を防止する方法。
  7. 【請求項7】 殺菌水が、水道水を電気分解することに
    より得られるものである請求項1〜6のいずれかに記載
    の便器及び排水管の汚れ及び臭気の発生を防止する方
    法。
  8. 【請求項8】 便器へ殺菌水を供給するための殺菌水供
    給手段と、 前記殺菌水供給手段により前記便器へ所定濃度の殺菌水
    が供給され、該殺菌水が前記便器のトラップ内に滞留し
    た後で、液体を、前記トラップ内に滞留した殺菌水が該
    液体により前記トラップから圧送されて該トラップに接
    続された排水管の内面上部に達するような瞬間流量で、
    前記液体により圧送された殺菌水が該液体により希釈さ
    れた後においても所定値以上の濃度を維持するような量
    だけ、前記トラップへ供給するための液体供給手段と、
    を備えることを特徴とする便器及び排水管の防汚防臭装
    置。
  9. 【請求項9】 便器へ殺菌水を供給するための殺菌水供
    給手段と、 前記殺菌水供給手段により前記便器へ所定濃度の殺菌水
    が供給され、該殺菌水が前記便器のトラップ内に滞留
    し、該トラップ内の生菌数が所定の割合まで減少した後
    で、流体を、前記トラップ内に滞留した殺菌水が該流体
    により前記トラップから圧送されて該トラップに接続さ
    れた排水管の内面上部に達するような瞬間流量で、前記
    トラップへ供給するための流体供給手段と、を備えるこ
    とを特徴とする便器及び排水管の防汚防臭装置。
JP25417397A 1996-09-04 1997-09-02 便器及び排水管の防汚防臭方法及びそのための装置 Pending JPH10131266A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011000449A (ja) * 1997-08-14 2011-01-06 Novozyme As 悪臭の抑制

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011000449A (ja) * 1997-08-14 2011-01-06 Novozyme As 悪臭の抑制

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