JPH10130276A - (フッ化アリール)ホウ素化合物の製造方法並びにテトラキス(フッ化アリール)ホウ素誘導体の製造方法 - Google Patents

(フッ化アリール)ホウ素化合物の製造方法並びにテトラキス(フッ化アリール)ホウ素誘導体の製造方法

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JPH10130276A
JPH10130276A JP28417096A JP28417096A JPH10130276A JP H10130276 A JPH10130276 A JP H10130276A JP 28417096 A JP28417096 A JP 28417096A JP 28417096 A JP28417096 A JP 28417096A JP H10130276 A JPH10130276 A JP H10130276A
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diethyl ether
fluoroaryl
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JP28417096A
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Naoko Yamamoto
尚子 山本
Hitoshi Mitsui
均 三井
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Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 副生するハロゲン化マグネシウムが分離・除
去された(フッ化アリール)ホウ素化合物を選択的にか
つ簡単に安価に製造する。 【解決手段】 一般式(1) 【化28】 (式中、R1 〜R5 はそれぞれ独立してH、F、炭化水
素基又はアルコキシ基を表し、かつ、該R1 〜R5 のう
ちの少なくとも一つはFであり、XaはCl、Br又は
Iを表す)で表されるマグネシウム誘導体と、一般式
(2)「BXb3 …(2)」(式中、XbはF、Cl、
Br又はIを表す)で表されるハロゲン化ホウ素とを、
ジエチルエーテル(Et2 O)及び/又はTHFを含む
溶媒(a)中で反応させた後、該反応液をEt2 O又は
THFの沸点よりも高い沸点を有する溶媒(b)に添加
すると共に、上記Et2 O及び/又はTHFを留去す
る。これにより、一般式(3) 【化29】 (式中、R1 〜R5 、Xbは前記と同じ、nは2又は3
である)で表される(フッ化アリール)ホウ素化合物が
得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、カチオン
錯体重合反応に供されるメタロセン触媒(重合触媒)の
助触媒として有用な、トリス(フッ化アリール)ホウ素
やビス(フッ化アリール)ホウ素ハライド等の(フッ化
アリール)ホウ素化合物を製造する方法、並びに、テト
ラキス(フッ化アリール)ホウ素誘導体を製造する方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】(フッ化アリール)ホウ素化合物、とり
わけ、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素は、例
えば、カチオン錯体重合反応に供されるメタロセン触媒
(重合触媒)の活性を高める助触媒として有用な化合物
である。尚、メタロセン触媒は、ポリオレフィン重合用
触媒として、近年、特に注目されている。
【0003】上記のトリス(ペンタフルオロフェニル)
ホウ素を得る方法として、例えば、Proc. Chem. Soc.,
1963(July), 212 には、ブロモペンタフルオロベンゼン
とブチルリチウム(BuLi)とを反応させてなるペン
タフルオロベンゼンリチウムと、三塩化ホウ素とを反応
させることにより、トリス(ペンタフルオロフェニル)
ホウ素を得る方法が記載されている。しかしながら、こ
の方法は、反応系を−78℃に冷却する必要があり、工
業的に実施するのが困難である。
【0004】そこで、上記の問題点を解決する方法とし
て、例えば、Z. Naturforsch., 20b, 5 (1965)には、グ
リニャール(Grignard)反応によってトリス(ペンタフ
ルオロフェニル)ホウ素を得る方法が記載されている。
この方法は、例えばペンタフルオロフェニルマグネシウ
ムブロマイドと三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体と
を鎖状エーテル系溶媒中で反応させるので、反応系を−
78℃に冷却する必要がなく、上記の反応と比較して有
利である。
【0005】さらに、例えば、特開平6−199871
号公報には、鎖状エーテル系溶媒中、または、鎖状エー
テル系溶媒と芳香族炭化水素系溶媒との混合溶媒中で、
ハロゲン化アリールマグネシウム誘導体とハロゲン化ホ
ウ素とを反応させることにより、トリアリールホウ素を
得る方法が記載されている。そして、上記公報には、目
的物であるトリアリールホウ素から、該トリアリールホ
ウ素と共に副生されるハロゲン化マグネシウムを分離・
除去する方法が記載されている。
【0006】一方、テトラキス(フッ化アリール)ホウ
素誘導体もまた、上記の助触媒として有用な化合物であ
る。テトラキス(フッ化アリール)ホウ素誘導体の一種
であるテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素誘
導体を製造する方法として、例えば、特開平6−247
980号公報には、ペンタフルオロフェニルマグネシウ
ム誘導体と、三フッ化ホウ素等のハロゲン化ホウ素や、
トリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素等のホウ素化
合物とを反応させる方法が記載されている。該方法にお
いてハロゲン化ホウ素を用いた場合には、目的物である
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素誘導体と
共に、ハロゲン化マグネシウムが副生される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、(フッ
化アリール)ホウ素化合物を製造する上記従来の方法で
は、ジエチルエーテル等の、比較的沸点が低い鎖状エー
テル系溶媒を用いるので、反応系を冷却しなければなら
ない。このため、例えば(フッ化アリール)ホウ素化合
物を工業的に製造する場合には、冷却装置等が必要とな
る。しかも、ジエチルエーテルは引火性が極めて高い。
また、上記従来の方法では、反応の制御が難しく、テト
ラキス(フッ化アリール)ホウ素誘導体等のホウ素の四
級化物等の副生成物が副生するため、トリス(フッ化ア
リール)ホウ素やビス(フッ化アリール)ホウ素ハライ
ド等の(フッ化アリール)ホウ素化合物を選択的に得る
ことが困難である。さらに、上記の鎖状エーテル系溶媒
は、環状エーテル系溶媒と比較して、一般に、価格が高
い。
【0008】従って、(フッ化アリール)ホウ素化合物
を製造する上記従来の方法では、工業的に実施すること
が困難であるという問題点、即ち、溶媒の取り扱いが面
倒であると共に、副生するハロゲン化マグネシウムが分
離・除去されたトリス(フッ化アリール)ホウ素やビス
(フッ化アリール)ホウ素ハライド等の(フッ化アリー
ル)ホウ素化合物を選択的にかつ簡単に安価に製造する
ことができないという問題点を有している。尚、上記従
来の方法において、環状エーテル系溶媒を溶媒として用
いると、該環状エーテル系溶媒の開環重合等の副反応が
起こる。また、上記従来の方法において、芳香族炭化水
素系溶媒のみを溶媒として用いると、トリス(フッ化ア
リール)ホウ素やビス(フッ化アリール)ホウ素ハライ
ド等の(フッ化アリール)ホウ素化合物の収率が低下す
る。
【0009】一方、ハロゲン化マグネシウムが混入して
いる(フッ化アリール)ホウ素化合物やテトラキス(フ
ッ化アリール)ホウ素誘導体をメタロセン触媒の助触媒
として用いると、該触媒の活性が著しく低下する。従っ
て、これら化合物や誘導体を上記の助触媒として用いる
際には、副生するハロゲン化マグネシウムを分離・除去
しなければならない。
【0010】しかしながら、テトラキス(ペンタフルオ
ロフェニル)ホウ素誘導体とハロゲン化マグネシウムと
は、各種溶媒に対する溶解度に殆ど差がなく、それゆ
え、両者を分離することが困難である。つまり、テトラ
キス(フッ化アリール)ホウ素誘導体を製造する上記従
来の方法では、目的物であるテトラキス(フッ化アリー
ル)ホウ素誘導体と、副生するハロゲン化マグネシウム
とを分離・除去することが困難である。従って、テトラ
キス(フッ化アリール)ホウ素誘導体を製造する上記従
来の方法では、副生するハロゲン化マグネシウムが分離
・除去されたテトラキス(フッ化アリール)ホウ素誘導
体を得ることができないという問題点を有している。
【0011】本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされ
たものであり、その目的は、副生するハロゲン化マグネ
シウムが分離・除去されたトリス(フッ化アリール)ホ
ウ素やビス(フッ化アリール)ホウ素ハライド等の(フ
ッ化アリール)ホウ素化合物を、選択的にかつ簡単に安
価に製造することができる方法を提供することにある。
【0012】また、本発明の他の目的は、副生するハロ
ゲン化マグネシウムが分離・除去されたテトラキス(フ
ッ化アリール)ホウ素誘導体を、簡単かつ安価に製造す
ることができる方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本願発明者等は、(フッ
化アリール)ホウ素化合物の製造方法について鋭意検討
した。その結果、例えば、フッ化アリールマグネシウム
誘導体と、ハロゲン化ホウ素とを、ジエチルエーテルお
よび/またはテトラヒドロフランを含む溶媒(a)中で
反応させた後、該反応液をジエチルエーテルまたはテト
ラヒドロフランの沸点よりも高い沸点を有する溶媒
(b)に添加すると共に、上記ジエチルエーテルおよび
/またはテトラヒドロフランを留去することにより、
(フッ化アリール)ホウ素化合物と共に副生されるハロ
ゲン化マグネシウムが反応系から析出・沈殿することを
見い出すと共に、該(フッ化アリール)ホウ素化合物を
選択的にかつ簡単に安価に製造することができることを
見い出した。即ち、上記の方法を採用することにより、
副生するハロゲン化マグネシウムが分離・除去されたト
リス(フッ化アリール)ホウ素やビス(フッ化アリー
ル)ホウ素ハライド等の(フッ化アリール)ホウ素化合
物を、選択的にかつ簡単に安価に製造することができる
ことを見い出した。
【0014】また、本願発明者等は、テトラキス(フッ
化アリール)ホウ素誘導体の製造方法について鋭意検討
した。その結果、上記の方法を採用することにより得ら
れる(フッ化アリール)ホウ素化合物と、フッ化アリー
ルマグネシウム誘導体とを反応させることにより、副生
するハロゲン化マグネシウムが分離・除去されたテトラ
キス(フッ化アリール)ホウ素誘導体を、簡単かつ安価
に製造することができることを見い出して、本発明を完
成させるに至った。
【0015】即ち、上記の課題を解決するために、請求
項1記載の発明の(フッ化アリール)ホウ素化合物の製
造方法は、一般式(3)
【0016】
【化12】
【0017】(式中、R1 、R2 、R3 、R4 、R5
それぞれ独立して水素原子、フッ素原子、炭化水素基ま
たはアルコキシ基を表し、かつ、該R1 〜R5 のうちの
少なくとも一つはフッ素原子であり、Xbはフッ素原
子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を表し、nは
2または3である)で表される(フッ化アリール)ホウ
素化合物の製造方法に関するものであり、一般式(1)
【0018】
【化13】
【0019】(式中、R1 、R2 、R3 、R4 、R5
それぞれ独立して水素原子、フッ素原子、炭化水素基ま
たはアルコキシ基を表し、かつ、該R1 〜R5 のうちの
少なくとも一つはフッ素原子であり、Xaは塩素原子、
臭素原子またはヨウ素原子を表す)で表されるフッ化ア
リールマグネシウム誘導体と、一般式(2) BXb3 ……(2) (式中、Xbはフッ素原子、塩素原子、臭素原子または
ヨウ素原子を表す)で表されるハロゲン化ホウ素とを、
ジエチルエーテルおよび/またはテトラヒドロフランを
含む溶媒(a)中で反応させた後、該反応液をジエチル
エーテルまたはテトラヒドロフランの沸点よりも高い沸
点を有する溶媒(b)に添加すると共に、上記ジエチル
エーテルおよび/またはテトラヒドロフランを留去する
ことを特徴としている。
【0020】ハロゲン化マグネシウムは、ジエチルエー
テルおよびテトラヒドロフランに溶解する一方、それ以
外の溶媒(後段にて説明する)には溶解しない。これに
対し、(フッ化アリール)ホウ素化合物は、ジエチルエ
ーテルおよびテトラヒドロフランに溶解すると共に、上
記その他の溶媒にも溶解する。つまり、ハロゲン化マグ
ネシウムと(フッ化アリール)ホウ素化合物とは、ジエ
チルエーテルおよびテトラヒドロフラン以外の溶媒に対
する溶解度が異なる。従って、請求項1記載の方法によ
れば、ジエチルエーテルおよび/またはテトラヒドロフ
ランを反応系から留去するので、(フッ化アリール)ホ
ウ素化合物と共に副生されるハロゲン化マグネシウムを
反応系から析出・沈殿させることができる。即ち、副生
するハロゲン化マグネシウムを分離・除去することがで
きる。そして、上記の方法によれば、反応の制御が容易
であるので、溶媒(a)が鎖状エーテル系溶媒にのみ限
定されない。つまり、取り扱いが比較的容易である環状
エーテル系溶媒等の種々の溶媒を用いることができる。
また、得られるトリス(フッ化アリール)ホウ素やビス
(フッ化アリール)ホウ素ハライド等の(フッ化アリー
ル)ホウ素化合物が錯体や四級化物を形成しないので、
精製が容易である。これにより、副生するハロゲン化マ
グネシウムが分離・除去されたトリス(フッ化アリー
ル)ホウ素やビス(フッ化アリール)ホウ素ハライド等
の(フッ化アリール)ホウ素化合物を、選択的にかつ簡
単に安価に製造することができる。つまり、従来の方法
と比較して、工業的に有利であり、ハロゲン化マグネシ
ウムが分離・除去された(フッ化アリール)ホウ素化合
物を高収率並びに高選択率で得ることができる。
【0021】また、上記の課題を解決するために、請求
項2記載の発明の(フッ化アリール)ホウ素化合物の製
造方法は、前記一般式(3)で表される(フッ化アリー
ル)ホウ素化合物の製造方法に関するものであり、前記
一般式(1)で表されるフッ化アリールマグネシウム誘
導体と、前記一般式(2)で表されるハロゲン化ホウ素
とを、ジエチルエーテルおよび/またはテトラヒドロフ
ランと、ジエチルエーテルまたはテトラヒドロフランの
沸点よりも高い沸点を有する化合物とを含む溶媒(c)
中で反応させた後、該反応液から上記ジエチルエーテル
および/またはテトラヒドロフランを留去することを特
徴としている。
【0022】請求項2記載の方法によれば、前記請求項
1記載の方法により得られる種々の効果と同様の効果を
奏する。即ち、副生するハロゲン化マグネシウムが分離
・除去されたトリス(フッ化アリール)ホウ素やビス
(フッ化アリール)ホウ素ハライド等の(フッ化アリー
ル)ホウ素化合物を、選択的にかつ簡単に安価に製造す
ることができる。つまり、従来の方法と比較して、工業
的に有利であり、ハロゲン化マグネシウムが分離・除去
された(フッ化アリール)ホウ素化合物を高収率並びに
高選択率で得ることができる。
【0023】請求項3記載の発明の(フッ化アリール)
ホウ素化合物の製造方法は、上記の課題を解決するため
に、請求項1または2記載の(フッ化アリール)ホウ素
化合物の製造方法において、フッ化アリールマグネシウ
ム誘導体がペンタフルオロフェニルマグネシウムブロマ
イドであることを特徴としている。
【0024】請求項3記載の方法によれば、副生するハ
ロゲン化マグネシウムが分離・除去されたトリス(ペン
タフルオロフェニル)ホウ素やビス(ペンタフルオロフ
ェニル)ホウ素ハライド等の(ペンタフルオロフェニ
ル)ホウ素化合物を効率的にかつ簡単に安価に製造する
ことができる。
【0025】また、上記の課題を解決するために、請求
項4記載の発明のテトラキス(フッ化アリール)ホウ素
誘導体の製造方法は、一般式(5)
【0026】
【化14】
【0027】(式中、R1 、R2 、R3 、R4 、R5
6 、R7 、R8 、R9 、R10はそれぞれ独立して水素
原子、フッ素原子、炭化水素基またはアルコキシ基を表
し、かつ、該R1 〜R5 のうちの少なくとも一つはフッ
素原子であり、該R6 〜R10のうちの少なくとも一つは
フッ素原子であり、Xcは塩素原子、臭素原子またはヨ
ウ素原子を表し、nは2または3である)で表されるテ
トラキス(フッ化アリール)ホウ素誘導体の製造方法に
関するものであり、請求項1ないし3の何れか1項に記
載の方法により得られる(フッ化アリール)ホウ素化合
物と、一般式(4)
【0028】
【化15】
【0029】(式中、R6 、R7 、R8 、R9 、R10
それぞれ独立して水素原子、フッ素原子、炭化水素基ま
たはアルコキシ基を表し、かつ、該R6 〜R10のうちの
少なくとも一つはフッ素原子であり、Xcは塩素原子、
臭素原子またはヨウ素原子を表す)で表されるフッ化ア
リールマグネシウム誘導体とを反応させることを特徴と
している。
【0030】請求項4記載の方法によれば、(フッ化ア
リール)ホウ素化合物を製造する際に副生するハロゲン
化マグネシウムが分離・除去されたテトラキス(フッ化
アリール)ホウ素誘導体を、簡単かつ安価に製造するこ
とができる。
【0031】また、上記の課題を解決するために、請求
項5記載の発明のテトラキス(フッ化アリール)ホウ素
誘導体の製造方法は、請求項4記載のテトラキス(フッ
化アリール)ホウ素誘導体の製造方法において、上記
(フッ化アリール)ホウ素化合物と、上記一般式(4)
で表されるフッ化アリールマグネシウム誘導体とを、ジ
エチルエーテルおよび/またはテトラヒドロフランと、
ジエチルエーテルまたはテトラヒドロフランの沸点より
も高い沸点を有する化合物とを含む溶媒(d)中で反応
させた後、上記ジエチルエーテルおよび/またはテトラ
ヒドロフランを留去することを特徴としている。
【0032】請求項5記載の方法によれば、例えば、
(フッ化アリール)ホウ素化合物がビス(フッ化アリー
ル)ホウ素ハライドである場合においては、ジエチルエ
ーテルおよび/またはテトラヒドロフランを反応系から
留去するので、テトラキス(フッ化アリール)ホウ素誘
導体と共に副生されるハロゲン化マグネシウムを反応系
から析出・沈殿させることができる。即ち、副生するハ
ロゲン化マグネシウムを分離・除去することができる。
これにより、テトラキス(フッ化アリール)ホウ素誘導
体を製造する際に副生するハロゲン化マグネシウムが分
離・除去されたテトラキス(フッ化アリール)ホウ素誘
導体を、簡単かつ安価に製造することができる。また、
得られるテトラキス(フッ化アリール)ホウ素誘導体
は、比較的安定な化合物であり、上記の方法によれば、
該テトラキス(フッ化アリール)ホウ素誘導体を結晶、
若しくは溶液の状態で反応系から分離することができ
る。一方、例えば、(フッ化アリール)ホウ素化合物が
トリス(フッ化アリール)ホウ素である場合において
は、該テトラキス(フッ化アリール)ホウ素誘導体を結
晶、若しくは溶液の状態で反応系から分離することがで
きる。
【0033】また、上記の課題を解決するために、請求
項6記載の発明のテトラキス(フッ化アリール)ホウ素
誘導体の製造方法は、一般式(10)
【0034】
【化16】
【0035】(式中、R2 、R3 、R4 、R6 、R7
8 、R9 、R10はそれぞれ独立して水素原子、フッ素
原子、炭化水素基またはアルコキシ基を表し、かつ、該
6 〜R10のうちの少なくとも一つはフッ素原子であ
り、Xcは塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を表
し、nは2または3である)で表されるテトラキス(フ
ッ化アリール)ホウ素誘導体の製造方法に関するもので
あり、一般式(6)
【0036】
【化17】
【0037】(式中、R2 、R3 、R4 はそれぞれ独立
して水素原子、フッ素原子、炭化水素基またはアルコキ
シ基を表す)で表されるフッ化アリールと、一般式
(7) R0 Xa ……(7) (式中、R0 は炭化水素基を表し、Xaは塩素原子、臭
素原子またはヨウ素原子を表す)で表されるハロゲン化
炭化水素と、マグネシウムとを、ジエチルエーテルおよ
び/またはテトラヒドロフランを含む溶媒(a)中で反
応させて、一般式(8)
【0038】
【化18】
【0039】(式中、R2 、R3 、R4 はそれぞれ独立
して水素原子、フッ素原子、炭化水素基またはアルコキ
シ基を表し、Xaは塩素原子、臭素原子またはヨウ素原
子を表す)で表されるフッ化アリールマグネシウム誘導
体を得た後、該フッ化アリールマグネシウム誘導体と、
一般式(2) BXb3 ……(2) (式中、Xbはフッ素原子、塩素原子、臭素原子または
ヨウ素原子を表す)で表されるハロゲン化ホウ素とを反
応させ、次いで、該反応液をジエチルエーテルまたはテ
トラヒドロフランの沸点よりも高い沸点を有する溶媒
(b)に添加すると共に、上記ジエチルエーテルおよび
/またはテトラヒドロフランを留去して一般式(9)
【0040】
【化19】
【0041】(式中、R2 、R3 、R4 はそれぞれ独立
して水素原子、フッ素原子、炭化水素基またはアルコキ
シ基を表し、Xbはフッ素原子、塩素原子、臭素原子ま
たはヨウ素原子を表し、nは2または3である)で表さ
れる(フッ化アリール)ホウ素化合物を得た後、該(フ
ッ化アリール)ホウ素化合物と、前記一般式(4)で表
されるフッ化アリールマグネシウム誘導体とを反応させ
ることを特徴としている。
【0042】請求項6記載の方法によれば、フッ化アリ
ールを出発物質として使用して、副生するハロゲン化マ
グネシウムが分離・除去されたテトラキス(フッ化アリ
ール)ホウ素誘導体を、簡単かつ安価に製造することが
できる。
【0043】以下に本発明を詳しく説明する。本発明に
かかる前記一般式(3)で表される(フッ化アリール)
ホウ素化合物の製造方法は、前記一般式(1)で表され
るフッ化アリールマグネシウム誘導体(以下、フッ化ア
リールマグネシウム誘導体(1)と記す)と、前記一般
式(2)で表されるハロゲン化ホウ素とを、ジエチルエ
ーテルおよび/またはテトラヒドロフランを含む溶媒
(a)中で反応させた後、該反応液をジエチルエーテル
(沸点34.48℃)またはテトラヒドロフラン(沸点
66℃)の沸点よりも高い沸点を有する溶媒(b)に添
加すると共に、上記ジエチルエーテルおよび/またはテ
トラヒドロフランを留去する方法である。
【0044】また、本発明にかかる前記一般式(3)で
表される(フッ化アリール)ホウ素化合物の製造方法
は、フッ化アリールマグネシウム誘導体(1)と、前記
一般式(2)で表されるハロゲン化ホウ素とを、ジエチ
ルエーテルおよび/またはテトラヒドロフランと、ジエ
チルエーテルまたはテトラヒドロフランの沸点よりも高
い沸点を有する化合物とを含む溶媒(c)中で反応させ
た後、該反応液から上記ジエチルエーテルおよび/また
はテトラヒドロフランを留去する方法である。
【0045】さらに、本発明にかかる前記一般式(5)
で表されるテトラキス(フッ化アリール)ホウ素誘導体
の製造方法は、上記の方法により得られる(フッ化アリ
ール)ホウ素化合物と、前記一般式(4)で表されるフ
ッ化アリールマグネシウム誘導体(以下、フッ化アリー
ルマグネシウム誘導体(4)と記す)とを反応させる方
法である。
【0046】また、本発明にかかる前記一般式(10)
で表されるテトラキス(フッ化アリール)ホウ素誘導体
の製造方法は、前記一般式(6)で表されるフッ化アリ
ールと、前記一般式(7)で表されるハロゲン化炭化水
素と、マグネシウムとを、ジエチルエーテルおよび/ま
たはテトラヒドロフランを含む溶媒(a)中で反応させ
て、前記一般式(8)で表されるフッ化アリールマグネ
シウム誘導体(以下、フッ化アリールマグネシウム誘導
体(8)と記す)を得た後、該フッ化アリールマグネシ
ウム誘導体(8)と、前記一般式(2)で表されるハロ
ゲン化ホウ素とを反応させ、次いで、該反応液をジエチ
ルエーテルまたはテトラヒドロフランの沸点よりも高い
沸点を有する溶媒(b)に添加すると共に、上記ジエチ
ルエーテルおよび/またはテトラヒドロフランを留去し
て前記一般式(9)で表される(フッ化アリール)ホウ
素化合物を得た後、該(フッ化アリール)ホウ素化合物
と、フッ化アリールマグネシウム誘導体(4)とを反応
させる方法である。
【0047】本発明において出発物質として使用される
フッ化アリールマグネシウム誘導体(1)は、式中、R
1 、R2 、R3 、R4 、R5 で示される置換基が、それ
ぞれ独立して水素原子、フッ素原子、炭化水素基または
アルコキシ基で構成され、かつ、該R1 〜R5 で示され
る置換基のうちの少なくとも一つがフッ素原子であり、
Xaが塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子で構成され
る化合物である。
【0048】また、本発明において使用されるフッ化ア
リールマグネシウム誘導体(4)は、式中、R6
7 、R8 、R9 、R10で示される置換基が、それぞれ
独立して水素原子、フッ素原子、炭化水素基またはアル
コキシ基で構成され、かつ、該R6 〜R10で示される置
換基のうちの少なくとも一つがフッ素原子であり、Xc
が塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子で構成される化
合物である。
【0049】上記の炭化水素基とは、具体的には、アリ
ール基、炭素数1〜12の直鎖状、枝分かれ鎖状、また
は環状のアルキル基、および、炭素数2〜12の直鎖
状、枝分かれ鎖状、または環状のアルケニル基等を示
す。尚、上記の炭化水素基は、本発明にかかる反応に対
して不活性な官能基をさらに有していてもよい。該官能
基としては、具体的には、例えば、メトキシ基、メチル
チオ基、N,N−ジメチルアミノ基、o−アニス基、p
−アニス基、トリメチルシリル基、ジメチル−t−ブチ
ルシリルオキシ基、トリフルオロメチル基等が挙げられ
る。
【0050】上記のアルコキシ基は、一般式(A) −ORa ……(A) (式中、Ra は炭化水素基を表す)で表され、式中、R
a で示される炭化水素基とは、具体的には、例えば、ア
リール基、炭素数1〜12の直鎖状、枝分かれ鎖状、ま
たは環状のアルキル基、および、炭素数2〜12の直鎖
状、枝分かれ鎖状、または環状のアルケニル基等を示
す。尚、上記の炭化水素基は、本発明にかかる反応に対
して不活性な官能基をさらに有していてもよい。
【0051】前記一般式(A)で表されるアルコキシ基
としては、具体的には、例えば、メトキシ基、エトキシ
基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキ
シ基、イソブトキシ基、 sec−ブトキシ基、t−ブトキ
シ基、シクロヘキシルオキシ基、アリルオキシ基、フェ
ノキシ基等が挙げられる。
【0052】上記のフッ化アリールマグネシウム誘導体
(1)・(4)としては、具体的には、例えば、ペンタ
フルオロフェニルマグネシウムクロライド、ペンタフル
オロフェニルマグネシウムブロマイド、ペンタフルオロ
フェニルマグネシウムヨーダイド、1,2,3,5−テ
トラフルオロフェニルマグネシウムブロマイド、1,
2,4,5−テトラフルオロフェニルマグネシウムクロ
ライド、1,2,4−トリフルオロフェニルマグネシウ
ムブロマイド、1,3,5−トリフルオロフェニルマグ
ネシウムヨーダイド、2,3,5,6−テトラフルオロ
−4−メチルフェニルマグネシウムブロマイド、2,5
−ジフルオロフェニルマグネシウムブロマイド、2,5
−ジフルオロ−3−メチルフェニルマグネシウムクロラ
イド、2,3,4,6−テトラフルオロ−5−メチルフ
ェニルマグネシウムブロマイド、2,4,6−トリフル
オロ−5−メチルフェニルマグネシウムクロライド、
2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシフェニ
ルマグネシウムブロマイド、2,3,6−トリフルオロ
−5−メトキシフェニルマグネシウムクロライド、2,
4,6−トリフルオロ−5−メトキシフェニルマグネシ
ウムブロマイド、2,5−ジフルオロ−3−メトキシフ
ェニルマグネシウムクロライド、2,5−ジフルオロ−
4−メトキシフェニルマグネシウムブロマイド、2−フ
ルオロフェニルマグネシウムブロマイド、4−フルオロ
フェニルマグネシウムブロマイド、2−フルオロ−4−
メチルフェニルマグネシウムブロマイド等が挙げられ
る。上記例示のフッ化アリールマグネシウム誘導体のう
ち、ペンタフルオロフェニルマグネシウムブロマイドが
特に好ましい。また、フッ化アリールマグネシウム誘導
体(1)・(4)は、必要に応じて、二種類以上を併用
することもできる。
【0053】フッ化アリールマグネシウム誘導体(1)
・(4)の製造方法は、特に限定されるものではない。
フッ化アリールマグネシウム誘導体(1)・(4)は、
例えば、塩化フッ化アリール、臭化フッ化アリール、ヨ
ウ化フッ化アリール等のハロゲン化フッ化アリールと、
マグネシウムとの反応によって得られる。
【0054】また、例えば、前記一般式(1)中の少な
くともR1 、R5 で示される置換基が、何れもフッ素原
子であるフッ化アリールマグネシウム誘導体、即ち、フ
ッ化アリールマグネシウム誘導体(8)は、少なくとも
水素原子の両隣(オルト位)にフッ素原子を有するフッ
化アリール、即ち、前記一般式(6)で表されるフッ化
アリールと、前記一般式(7)で表されるハロゲン化炭
化水素と、マグネシウムとの反応によって得ることがで
きる。尚、前記一般式(6)で表されるフッ化アリール
を出発物質とするテトラキス(フッ化アリール)ホウ素
誘導体の製造方法については、後段で詳述する。
【0055】前記一般式(2)で表されるハロゲン化ホ
ウ素は、式中、Xbがフッ素原子、塩素原子、臭素原子
またはヨウ素原子で構成される化合物であり、具体的に
は、三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素、三臭化ホウ素、お
よび三ヨウ化ホウ素が挙げられる。このうち、三フッ化
ホウ素が特に好ましい。また、ハロゲン化ホウ素は、必
要に応じて、二種類以上を併用することもできる。尚、
ハロゲン化ホウ素は、例えば、ジエチルエーテル錯体や
テトラヒドロフラン錯体等のエーテル錯体になっていて
もよい。
【0056】本発明において、溶媒(a)とは、ジエチ
ルエーテルおよび/またはテトラヒドロフランを含むと
共に、フッ化アリールマグネシウム誘導体(1)・
(8)、ハロゲン化ホウ素、目的物であるトリス(フッ
化アリール)ホウ素やビス(フッ化アリール)ホウ素ハ
ライド等の(フッ化アリール)ホウ素化合物、並びに、
必要に応じてフッ化アリールおよびハロゲン化炭化水素
を溶解し、かつ、本発明にかかる反応に対して不活性な
非水溶媒であればよく、特に限定されるものではない。
【0057】本発明において、溶媒(b)とは、ジエチ
ルエーテルまたはテトラヒドロフランの沸点よりも高い
沸点を有すると共に、目的物である(フッ化アリール)
ホウ素化合物を溶解する一方、副生するハロゲン化マグ
ネシウムを溶解せず、かつ、本発明にかかる反応に対し
て不活性な非水溶媒であればよく、特に限定されるもの
ではない。
【0058】本発明において、溶媒(c)とは、ジエチ
ルエーテルおよび/またはテトラヒドロフランと、ジエ
チルエーテルまたはテトラヒドロフランの沸点よりも高
い沸点を有する化合物とを含むと共に、フッ化アリール
マグネシウム誘導体(1)、ハロゲン化ホウ素、およ
び、目的物である(フッ化アリール)ホウ素化合物を溶
解する一方、副生するハロゲン化マグネシウムを上記の
化合物が溶解せず、かつ、本発明にかかる反応に対して
不活性な非水溶媒であればよく、特に限定されるもので
はない。
【0059】本発明において、溶媒(d)とは、ジエチ
ルエーテルおよび/またはテトラヒドロフランと、ジエ
チルエーテルまたはテトラヒドロフランの沸点よりも高
い沸点を有する化合物とを含むと共に、(フッ化アリー
ル)ホウ素化合物、フッ化アリールマグネシウム誘導体
(4)、および、目的物であるテトラキス(フッ化アリ
ール)ホウ素誘導体を溶解する一方、副生するハロゲン
化マグネシウムを上記の化合物が溶解せず、かつ、本発
明にかかる反応に対して不活性な非水溶媒であればよ
く、特に限定されるものではない。
【0060】上記の溶媒(a)・(c)・(d)におい
て、ジエチルエーテルとテトラヒドロフランとを併用す
る場合における両者の割合は、特に限定されるものでは
ない。また、上記の溶媒(b)、並びに、溶媒(c)・
(d)に含まれる化合物としては、エーテル系溶媒、並
びに、炭化水素系溶媒が好適である。また、溶媒(a)
は、これらエーテル系溶媒並びに炭化水素系溶媒(以
下、両者をまとめて称する場合には、エーテル系・炭化
水素系溶媒と記す)を必要に応じて含んでいてもよい。
【0061】上記のエーテル系溶媒としては、具体的に
は、例えば、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエー
テル、ジブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジペ
ンチルエーテル、ジイソペンチルエーテル、1,2−ジ
メトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、ジ−2−
メトキシエチルエーテル等の鎖状エーテル;テトラヒド
ロピラン、1,4−ジオキサン等の環状エーテル;等が
挙げられるが、特に限定されるものではない。尚、本発
明においては、「エーテル系溶媒」に、ジエチルエーテ
ル並びにテトラヒドロフランは含まれないこととする。
【0062】上記の炭化水素系溶媒としては、具体的に
は、例えば、ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、シク
ロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウ
ンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペン
タデカン、ヘキサデカン、オクタデカン、パラフィン、
石油エーテル等の、直鎖状、枝分かれ鎖状、または環状
の脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、o−キシレ
ン、m−キシレン、p−キシレン、1,2,3−トリメ
チルベンゼン、1,2,4−トリメチルベンゼン、1,
2,5−トリメチルベンゼン、1,3,5−トリメチル
ベンゼン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、ブチル
ベンゼン等の芳香族炭化水素;等が挙げられるが、特に
限定されるものではない。
【0063】ジエチルエーテルと組み合わせるのにより
好適なエーテル系・炭化水素系溶媒としては、ヘキサ
ン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、Isopa
rE(商品名;Exxon社製、炭素数が10程度のイ
ソパラフィンの混合物)、デカン、オクタデカン、流動
パラフィン等が挙げられる。また、テトラヒドロフラン
と組み合わせるのにより好適なエーテル系・炭化水素系
溶媒としては、ヘプタン、オクタン、IsoparE、
デカン、オクタデカン、流動パラフィン等が挙げられ
る。
【0064】これらエーテル系・炭化水素系溶媒は、一
種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用して
もよい。本発明にかかる製造方法においては、エーテル
系・炭化水素系溶媒として、環状エーテルを用いること
ができる。エーテル系・炭化水素系溶媒の沸点は、60
℃以上であることがより好ましく、該エーテル系・炭化
水素系溶媒を溶媒(b)として用いる場合には、その沸
点は80℃以上であることがさらに好ましい。つまり、
溶媒(b)は、ジエチルエーテルおよび/またはテトラ
ヒドロフランを速やかに留去することができるように、
80℃以上に加熱することができることがより好まし
い。尚、エーテル系・炭化水素系溶媒が混合物である場
合における沸点とは、該混合物中の、最も低い沸点を有
する化合物の沸点を示す。また、ジエチルエーテルおよ
びテトラヒドロフラン、並びに、エーテル系・炭化水素
系溶媒は、共沸組成物を形成しないことがより望まし
い。
【0065】上記の溶媒(c)・(d)における、ジエ
チルエーテルおよび/またはテトラヒドロフランと、エ
ーテル系・炭化水素系溶媒との割合は、両者が均一に混
合されて混合溶媒となる割合であればよく、特に限定さ
れるものではないが、容量比で、1:0〜1:10の範
囲内がより好ましい。つまり、エーテル系・炭化水素系
溶媒は、本発明にかかる反応に対して支障が無い範囲内
で用いればよい。また、溶媒(a)がエーテル系・炭化
水素系溶媒を含む場合においては、該エーテル系・炭化
水素系溶媒は、本発明にかかる反応に対して支障が無い
範囲内で用いればよい。
【0066】溶媒(a)の使用量は、特に限定されるも
のではないが、例えば、フッ化アリールマグネシウム誘
導体(1)・(8)、または、ハロゲン化ホウ素の濃度
が、0.1重量%〜80重量%程度となる量が好まし
い。尚、溶媒(a)にフッ化アリールマグネシウム誘導
体(1)、または、ハロゲン化ホウ素、或いは、フッ化
アリールやハロゲン化炭化水素を溶解させる方法は、特
に限定されるものではない。つまり、フッ化アリールマ
グネシウム誘導体(1)を溶媒(a)に溶解してなる溶
液の調製方法、必要に応じてハロゲン化ホウ素を溶媒
(a)に溶解してなる溶液の調製方法、並びに、フッ化
アリールやハロゲン化炭化水素を溶媒(a)に溶解して
なる溶液の調製方法は、特に限定されるものではない。
【0067】溶媒(b)の使用量は、特に限定されるも
のではなく、(フッ化アリール)ホウ素化合物、また
は、テトラキス(フッ化アリール)ホウ素誘導体を溶解
することができる量であればよい。
【0068】溶媒(c)の使用量は、特に限定されるも
のではないが、例えば、フッ化アリールマグネシウム誘
導体(1)、または、ハロゲン化ホウ素の濃度が、0.
1重量%〜80重量%程度となる量が好ましい。尚、溶
媒(c)にフッ化アリールマグネシウム誘導体(1)、
または、ハロゲン化ホウ素を溶解させる方法は、特に限
定されるものではない。つまり、フッ化アリールマグネ
シウム誘導体(1)を溶媒(c)に溶解してなる溶液の
調製方法、並びに、必要に応じてハロゲン化ホウ素を溶
媒(c)に溶解してなる溶液の調製方法は、特に限定さ
れるものではない。
【0069】溶媒(d)の使用量は、特に限定されるも
のではないが、例えば、(フッ化アリール)ホウ素化合
物、または、フッ化アリールマグネシウム誘導体(4)
の濃度が、0.1重量%〜80重量%程度となる量が好
ましい。尚、溶媒(d)に(フッ化アリール)ホウ素化
合物、または、フッ化アリールマグネシウム誘導体
(4)を溶解させる方法は、特に限定されるものではな
い。つまり、(フッ化アリール)ホウ素化合物を溶媒
(d)に溶解してなる溶液の調製方法、並びに、フッ化
アリールマグネシウム誘導体(4)を溶媒(d)に溶解
してなる溶液の調製方法は、特に限定されるものではな
い。また、(フッ化アリール)ホウ素化合物を溶媒
(d)に溶解してなる溶液は、溶媒(a)・(b)また
は溶媒(c)を用いて製造された(フッ化アリール)ホ
ウ素化合物の溶液、即ち、反応液であってもよい。
【0070】フッ化アリールマグネシウム誘導体(1)
とハロゲン化ホウ素とのモル比(フッ化アリールマグネ
シウム誘導体(1)/ハロゲン化ホウ素)は、特に限定
されるものではないが、1.0〜5.0の範囲内がより
好ましい。そして、上記のモル比を2.5以上、5.0
以下の範囲内、さらに好ましくは2.7以上、4.0以
下の範囲内、特に好ましくは2.8以上、3.5以下の
範囲内にすることにより、前記一般式(3)中のnが3
である(フッ化アリール)ホウ素化合物、即ち、トリス
(フッ化アリール)ホウ素を選択的に得ることができ
る。また、上記のモル比を1.0以上、2.5未満の範
囲内、さらに好ましくは1.2以上、2.4以下の範囲
内、特に好ましくは1.3以上、2.3以下の範囲内に
することにより、前記一般式(3)中のnが2である
(フッ化アリール)ホウ素化合物、即ち、ビス(フッ化
アリール)ホウ素ハライドを主生成物とすることができ
る。上記のモル比が1.0よりも小さいと、未反応のハ
ロゲン化ホウ素が多くなる。また、上記のモル比が5.
0よりも大きいと、未反応のフッ化アリールマグネシウ
ム誘導体(1)が多くなる。従って、トリス(フッ化ア
リール)ホウ素やビス(フッ化アリール)ホウ素ハライ
ド等の(フッ化アリール)ホウ素化合物を効率的に製造
することができなくなる場合がある。
【0071】フッ化アリールマグネシウム誘導体(1)
を溶媒(a)・(c)に溶解してなる溶液(以下、マグ
ネシウム誘導体(1)溶液と称する)と、ハロゲン化ホ
ウ素またはハロゲン化ホウ素を溶媒(a)・(c)に溶
解してなる溶液(以下、ハロゲン化ホウ素溶液と称す
る)とを混合する混合方法は、特に限定されるものでは
ないが、一方の溶液を他方の溶液に連続的若しくは逐次
的に滴下することが好ましい。尚、ハロゲン化ホウ素
は、ハロゲン化ホウ素溶液を調製せずに、そのままマグ
ネシウム誘導体(1)溶液と混合してもよい。
【0072】そして、マグネシウム誘導体(1)溶液お
よびハロゲン化ホウ素溶液を混合する場合における両者
の混合温度は、好ましくは80℃以下、より好ましくは
−40℃〜70℃の範囲内、さらに好ましくは−20℃
〜50℃の範囲内に調節する。80℃以下の温度でマグ
ネシウム誘導体(1)溶液およびハロゲン化ホウ素溶液
を混合することにより、副反応を抑制することができ
る。該混合温度が80℃を越えると、副反応を抑制する
ことが困難となり、トリス(フッ化アリール)ホウ素や
ビス(フッ化アリール)ホウ素ハライド等の(フッ化ア
リール)ホウ素化合物の収率および選択率が低下する。
尚、混合温度を−40℃よりも低く調節しても、上記の
温度範囲内で混合する場合と比較して、顕著な効果が得
られない。
【0073】上記マグネシウム誘導体(1)溶液および
ハロゲン化ホウ素溶液を混合・攪拌することにより、溶
媒(a)・(c)中でフッ化アリールマグネシウム誘導
体(1)とハロゲン化ホウ素との反応が進行する。反応
時においては、反応系に水が存在すると、フッ化アリー
ルマグネシウム誘導体(1)が水と反応して分解する。
従って、上記の反応は、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気
下で行うことが望ましい。また、前記の混合時において
も、反応系、即ち、反応容器内は、窒素ガス等の不活性
ガスによって置換されていることが望ましい。さらに、
上記の溶媒(a)・(c)、ハロゲン化ホウ素は、水分
を含んでいないことが望ましい。尚、溶媒(a)・
(c)、ハロゲン化ホウ素の脱水方法は、特に限定され
るものではない。
【0074】反応温度は、30℃以上、当該溶媒の還流
温度以下、より好ましくは30℃〜200℃の範囲内、
さらに好ましくは30℃〜70℃の範囲内に調節する。
反応温度が30℃未満であると、反応の進行が遅くな
り、(フッ化アリール)ホウ素化合物を効率的に製造す
ることができなくなるので好ましくない。また、反応温
度が当該溶媒の還流温度を越えると、反応を制御するこ
とが困難となる。
【0075】反応時間は、上記反応が完結するように、
反応温度や、フッ化アリールマグネシウム誘導体(1)
とハロゲン化ホウ素との組み合わせ、使用量等に応じ
て、適宜設定すればよい。また、反応圧力は、特に限定
されるものではなく、常圧(大気圧)、減圧、加圧の何
れであってもよい。
【0076】上記の方法によってフッ化アリールマグネ
シウム誘導体(1)とハロゲン化ホウ素とを反応させる
ことにより、前記一般式(3)で表される(フッ化アリ
ール)ホウ素化合物を含む反応液が得られる。そして、
溶媒(a)を用いて上記の反応液を得た場合には、該反
応液を溶媒(b)に添加すると共に、反応液中のジエチ
ルエーテルおよび/またはテトラヒドロフランを留去す
る。一方、溶媒(c)を用いて上記の反応液を得た場合
には、該反応液からジエチルエーテルおよび/またはテ
トラヒドロフランを留去する。尚、反応液には、(フッ
化アリール)ホウ素化合物と共に副生される、一般式
(B) MgXaXb ……(B) (式中、Xaは塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を
表し、Xbはフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨ
ウ素原子を表す)で表されるハロゲン化マグネシウムが
溶解している。
【0077】上記反応液に対する溶媒(b)の使用量
は、特に限定されるものではなく、(フッ化アリール)
ホウ素化合物を溶解することができる量、つまり、溶媒
(b)に反応液を添加してなる混合物からジエチルエー
テルおよび/またはテトラヒドロフランを留去した後に
おいて、(フッ化アリール)ホウ素化合物が溶液状態で
存在することができる量であればよい。
【0078】溶媒(a)を用いて得た反応液を溶媒
(b)に添加する添加方法は、特に限定されるものでは
ないが、80℃以上に加熱された溶媒(b)に上記の反
応液を連続的若しくは逐次的に滴下することがより好ま
しい。尚、反応液の温度は、ジエチルエーテルまたはテ
トラヒドロフランの沸点未満であればよく、特に限定さ
れるものではない。
【0079】(フッ化アリール)ホウ素化合物と共に副
生されるハロゲン化マグネシウムは、ジエチルエーテル
およびテトラヒドロフランに溶解する一方、それ以外の
溶媒(即ち、上述したエーテル系溶媒並びに炭化水素系
溶媒)には溶解しない。これに対し、(フッ化アリー
ル)ホウ素化合物は、ジエチルエーテルおよびテトラヒ
ドロフランに溶解すると共に、上記その他の溶媒(エー
テル系溶媒並びに炭化水素系溶媒)にも溶解する。つま
り、ハロゲン化マグネシウムと(フッ化アリール)ホウ
素化合物とは、ジエチルエーテルおよびテトラヒドロフ
ラン以外の溶媒に対する溶解度が異なる。従って、80
℃以上に加熱された溶媒(b)に反応液を添加すると、
ジエチルエーテルおよび/またはテトラヒドロフランが
速やかに沸騰して気化し、混合物からジエチルエーテル
および/またはテトラヒドロフランが留去されると共
に、ハロゲン化マグネシウムが混合物から析出する。こ
のとき、ハロゲン化マグネシウムは、濾別することが比
較的容易な状態で析出・沈殿する。それゆえ、ジエチル
エーテルおよび/またはテトラヒドロフランを留去した
後、濾過することによって副生するハロゲン化マグネシ
ウムを反応系から容易に分離・除去することができる。
尚、ハロゲン化マグネシウムを分離・除去する方法は、
濾過にのみ限定されるものではない。
【0080】ジエチルエーテルおよび/またはテトラヒ
ドロフランを留去する方法(タイミング)は、特に限定
されるものではないが、前記した理由により、ジエチル
エーテルおよび/またはテトラヒドロフランは、出来る
だけ速やかに留去することが望ましい。このため、反応
液を溶媒(b)に添加しながら、留去する(添加と留去
とを同時に行う)方法が特に好ましい。一方、溶媒
(c)を用いて得た反応液からジエチルエーテルおよび
/またはテトラヒドロフランを留去する際には、該反応
液を出来るだけ速やかに80℃以上に加熱すればよい。
尚、ジエチルエーテルおよび/またはテトラヒドロフラ
ンの留去は、常圧、減圧、加圧の何れで実施してもよい
が、減圧で実施することがより好ましい。また、上記の
添加および留去は、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で
行うことが望ましい。
【0081】上記の方法により、前記一般式(3)で表
される(フッ化アリール)ホウ素化合物、即ち、副生す
るハロゲン化マグネシウムが分離・除去されたトリス
(フッ化アリール)ホウ素やビス(フッ化アリール)ホ
ウ素ハライド等の(フッ化アリール)ホウ素化合物が得
られる。(フッ化アリール)ホウ素化合物、とりわけ、
トリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素は、例えば、
メタロセン触媒(重合触媒)の活性を高める助触媒とし
て有用である。さらに、フッ化アリールマグネシウム誘
導体(1)がペンタフルオロフェニルマグネシウムブロ
マイドである場合には、トリス(ペンタフルオロフェニ
ル)ホウ素やビス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素ハ
ライド等の(ペンタフルオロフェニル)ホウ素化合物を
効率的にかつ簡単に安価に製造することができる。尚、
(フッ化アリール)ホウ素化合物にジエチルエーテルや
テトラヒドロフランが混入していると、該(フッ化アリ
ール)ホウ素化合物の助触媒としての活性が低下する。
従って、ジエチルエーテル並びにテトラヒドロフラン
は、実質的に全量が留去されることがより好ましい。
【0082】次に、ハロゲン化マグネシウムが分離・除
去された上記の(フッ化アリール)ホウ素化合物と、フ
ッ化アリールマグネシウム誘導体(4)とを反応させる
ことにより、前記一般式(5)で表されるテトラキス
(フッ化アリール)ホウ素誘導体を含む反応液が得られ
る。尚、上記フッ化アリールマグネシウム誘導体(4)
は、ジエチルエーテルおよび/またはテトラヒドロフラ
ン、或いは溶媒(d)に溶解してなる溶液(以下、マグ
ネシウム誘導体(4)溶液と称する)であることが望ま
しい。該溶液におけるフッ化アリールマグネシウム誘導
体(4)の濃度は、特に限定されるものではない。
【0083】(フッ化アリール)ホウ素化合物とフッ化
アリールマグネシウム誘導体(4)とのモル比((フッ
化アリール)ホウ素化合物/フッ化アリールマグネシウ
ム誘導体(4))は、特に限定されるものではないが、
理論比である1.0前後が好適である。上記のモル比が
1.0よりも極端に大きい場合や小さい場合には、テト
ラキス(フッ化アリール)ホウ素誘導体を効率的に製造
することができなくなる場合がある。
【0084】(フッ化アリール)ホウ素化合物の溶液
と、マグネシウム誘導体(4)溶液とを混合する混合方
法は、特に限定されるものではなく、両者を一度に混合
してもよく、或いは、一方の溶液を他方の溶液に連続的
若しくは逐次的に滴下してもよい。
【0085】そして、(フッ化アリール)ホウ素化合物
の溶液、およびマグネシウム誘導体(4)溶液を混合す
る際の混合温度は、特に限定されるものではないが、−
20℃以上、当該溶媒の還流温度以下、より好ましくは
−20℃〜100℃の範囲内、さらに好ましくは20℃
〜70℃の範囲内に調節する。上記の温度範囲内で両者
を混合することにより、反応をより一層容易に制御する
ことができる。該混合温度を−20℃よりも低く調節し
ても、上記の温度範囲内で混合する場合と比較して、顕
著な効果が得られないので、工業的に不利である。ま
た、混合温度が当該溶媒の還流温度を越えると、反応を
制御することが困難となる。
【0086】(フッ化アリール)ホウ素化合物の溶液
と、マグネシウム誘導体(4)溶液とを混合した後、攪
拌することにより、該溶液中で(フッ化アリール)ホウ
素化合物とフッ化アリールマグネシウム誘導体(4)と
の反応が進行する。反応時においては、反応系に水が存
在すると、フッ化アリールマグネシウム誘導体(4)が
水と反応して分解する。従って、上記の反応は、窒素ガ
ス等の不活性ガス雰囲気下で行うことが望ましい。ま
た、前記の混合時においても、反応系、即ち、反応容器
内は、窒素ガス等の不活性ガスによって置換されている
ことが望ましい。尚、マグネシウム誘導体(4)溶液の
脱水方法は、特に限定されるものではない。
【0087】反応温度は、30℃以上、当該溶媒の還流
温度以下、より好ましくは50℃以上、当該溶媒の還流
温度以下、さらに好ましくは60℃以上、当該溶媒の還
流温度以下に調節する。反応温度が30℃未満である
と、反応の進行が遅くなり、テトラキス(フッ化アリー
ル)ホウ素誘導体を効率的に製造することができなくな
るので好ましくない。また、反応温度が当該溶媒の還流
温度を越えると、反応を制御することが困難となる。
【0088】反応時間は、上記反応が完結するように、
反応温度や、(フッ化アリール)ホウ素化合物とフッ化
アリールマグネシウム誘導体(4)との組み合わせ、使
用量等に応じて、適宜設定すればよい。また、反応圧力
は、特に限定されるものではなく、常圧、減圧、加圧の
何れであってもよい。
【0089】上記の方法により、前記一般式(5)で表
されるテトラキス(フッ化アリール)ホウ素誘導体を含
む反応液が得られる。そして、(フッ化アリール)ホウ
素化合物がビス(フッ化アリール)ホウ素ハライドであ
る場合には、反応液に、テトラキス(フッ化アリール)
ホウ素誘導体と共に副生される、一般式(C) MgXbXc ……(C) (式中、Xbはフッ素原子、塩素原子、臭素原子または
ヨウ素原子を表し、Xcは塩素原子、臭素原子またはヨ
ウ素原子を表す)で表されるハロゲン化マグネシウムが
溶解している。従って、該ハロゲン化マグネシウムを分
離・除去するために、該反応液中のジエチルエーテルお
よび/またはテトラヒドロフランを留去する。一方、
(フッ化アリール)ホウ素化合物がトリス(フッ化アリ
ール)ホウ素である場合には、必要に応じて、反応液中
のジエチルエーテルおよび/またはテトラヒドロフラン
を留去すればよい。
【0090】上記の方法により、副生するハロゲン化マ
グネシウムが分離・除去された前記一般式(5)で表さ
れるテトラキス(フッ化アリール)ホウ素誘導体が得ら
れる。テトラキス(フッ化アリール)ホウ素誘導体は、
比較的安定な化合物であり、上記の方法によれば、該テ
トラキス(フッ化アリール)ホウ素誘導体を結晶、若し
くは溶液の状態で反応系から分離することができる。
【0091】次に、前記一般式(6)で表されるフッ化
アリールを出発物質とする前記一般式(10)で表され
るテトラキス(フッ化アリール)ホウ素誘導体の製造方
法について説明する。
【0092】前記一般式(6)で表されるフッ化アリー
ルとしては、具体的には、例えば、ペンタフルオロベン
ゼン、1,2,3,5−テトラフルオロベンゼン、1,
2,4,5−テトラフルオロベンゼン、1,2,4−ト
リフルオロベンゼン、1,3,5−トリフルオロベンゼ
ン、1,3−ジフルオロベンゼン、2,3,5,6−テ
トラフルオロトルエン、2,3,4,6−テトラフルオ
ロトルエン、2,3,5−トリフルオロトルエン、2,
4,6−トリフルオロトルエン、2,4−ジフルオロト
ルエン、2,3,5,6−テトラフルオロアニソール、
2,3,4,6−テトラフルオロアニソール、2,4,
5−トリフルオロアニソール、2,4,6−トリフルオ
ロアニソール、2,4−ジフルオロアニソール、3,5
−ジフルオロアニソール等が挙げられる。
【0093】前記一般式(7)で表されるハロゲン化炭
化水素は、式中、R0 で示される置換基が炭化水素基で
あり、Xaが塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子で構
成される化合物である。上記の炭化水素基とは、具体的
には、例えば、アリール基、炭素数1〜12の直鎖状、
枝分かれ鎖状、または環状のアルキル基、および、炭素
数2〜12の直鎖状、枝分かれ鎖状、または環状のアル
ケニル基等を示す。尚、上記の炭化水素基は、本発明に
かかる反応に対して不活性な官能基をさらに有していて
もよい。該官能基としては、具体的には、例えば、メト
キシ基、メチルチオ基、N,N−ジメチルアミノ基、o
−アニス基、p−アニス基、トリメチルシリル基、ジメ
チル−t−ブチルシリルオキシ基、トリフルオロメチル
基等が挙げられる。
【0094】上記のハロゲン化炭化水素としては、具体
的には、例えば、塩化メチル、臭化メチル、ヨウ化メチ
ル、塩化エチル、臭化エチル、ヨウ化エチル、塩化n−
プロピル、臭化n−プロピル、ヨウ化n−プロピル、塩
化イソプロピル、臭化イソプロピル、ヨウ化イソプロピ
ル、塩化n−ブチル、臭化n−ブチル、ヨウ化n−ブチ
ル、塩化イソブチル、臭化イソブチル、ヨウ化イソブチ
ル、塩化 sec−ブチル、臭化 sec−ブチル、ヨウ化 sec
−ブチル、塩化t−ブチル、臭化t−ブチル、ヨウ化t
−ブチル、塩化ヘキシル、臭化ヘキシル、ヨウ化ヘキシ
ル、塩化シクロヘキシル、臭化シクロヘキシル、ヨウ化
シクロヘキシル、塩化アリル、臭化アリル、ヨウ化アリ
ル、塩化ベンゼン、臭化ベンゼン、ヨウ化ベンゼン等が
挙げられる。上記例示のハロゲン化炭化水素のうち、塩
化エチル、臭化エチル、ヨウ化エチル、塩化イソプロピ
ル、臭化イソプロピル、ヨウ化イソプロピル、塩化アリ
ル、臭化アリル、ヨウ化アリルが特に好ましい。また、
ハロゲン化炭化水素は、必要に応じて、二種類以上を併
用することもできる。
【0095】フッ化アリールに対するハロゲン化炭化水
素の割合は、特に限定されるものではないが、0.5当
量以上がより好ましく、0.5当量〜3.0当量の範囲
内がさらに好ましく、0.8当量〜1.5当量の範囲内
が特に好ましい。ハロゲン化炭化水素の割合が0.5当
量未満であると、未反応のフッ化アリールが多くなり、
フッ化アリールマグネシウム誘導体(8)を効率的に調
製することができなくなる場合がある。
【0096】上記マグネシウムは、反応がより一層進行
し易いように、表面積が比較的広い形状、例えば、粉末
状、粒状、薄片状(リボン状)等であることが望まし
い。フッ化アリールに対するマグネシウムの割合は、特
に限定されるものではないが、0.5当量以上がより好
ましく、0.5当量〜3.0当量の範囲内がさらに好ま
しく、0.8当量〜1.5当量の範囲内が特に好まし
い。マグネシウムの割合が0.5当量未満であると、未
反応のフッ化アリールが多くなり、フッ化アリールマグ
ネシウム誘導体(8)を効率的に調製することができな
くなる場合がある。
【0097】溶媒(a)に、フッ化アリール、ハロゲン
化炭化水素、およびマグネシウムを混合する混合順序
は、特に限定されるものではない。混合順序としては、
具体的には、例えば、フッ化アリール、ハロゲン化炭
化水素、およびマグネシウムを実質的に同時に溶媒
(a)に混合する;フッ化アリールおよびマグネシウ
ムを溶媒(a)に混合した後、ハロゲン化炭化水素を混
合する;フッ化アリールを溶媒(a)に混合した後、
ハロゲン化炭化水素およびマグネシウムを実質的に同時
に混合する;マグネシウムを溶媒(a)に混合した
後、フッ化アリールおよびハロゲン化炭化水素を実質的
に同時に混合する;マグネシウムを溶媒(a)に混合
した後、フッ化アリールを混合し、次いで、ハロゲン化
炭化水素を混合する;フッ化アリールおよびハロゲン
化炭化水素を溶媒(a)に混合した後、マグネシウムを
混合する;等が挙げられる。上記例示の方法のうち、フ
ッ化アリールおよびマグネシウムを溶媒(a)に混合し
た後、ハロゲン化炭化水素を混合する混合順序が特に好
ましい。
【0098】フッ化アリールおよび/またはハロゲン化
炭化水素を溶媒(a)に混合する混合方法は、特に限定
されるものではないが、連続的若しくは逐次的に滴下す
ることが好ましい。フッ化アリールやハロゲン化炭化水
素を滴下することにより、反応をより一層容易に制御す
ることができる。尚、滴下方法は、特に限定されるもの
ではない。フッ化アリールやハロゲン化炭化水素は、そ
のまま滴下してもよく、また、溶媒(a)を加えて薄め
た状態で滴下してもよい。
【0099】フッ化アリールおよび/またはハロゲン化
炭化水素を溶媒(a)に混合する際の混合温度は、特に
限定されるものではないが、ハロゲン化炭化水素を溶媒
(a)に混合する際には、混合温度を、−20℃以上、
当該溶媒の還流温度以下、より好ましくは−20℃〜1
00℃の範囲内、さらに好ましくは20℃〜70℃の範
囲内に調節する。上記の温度範囲内でハロゲン化炭化水
素を溶媒(a)に混合することにより、反応をより一層
容易に制御することができる。該混合温度を−20℃よ
りも低く調節しても、上記の温度範囲内で混合する場合
と比較して、顕著な効果が得られないので、工業的に不
利である。また、混合温度が当該溶媒の還流温度を越え
ると、反応を制御することが困難となる。尚、混合温度
を、−20℃以上、当該溶媒の還流温度以下の範囲内に
調節することは、工業的に容易である。
【0100】フッ化アリール、ハロゲン化炭化水素、お
よびマグネシウムを、非水溶媒である溶媒(a)に混合
した後、攪拌することにより、該溶媒(a)中で三者の
反応が進行する。そして、マグネシウムは、反応の進行
に伴って徐々に溶解する。反応時においては、反応系に
水が存在すると、生成するフッ化アリールマグネシウム
誘導体(8)が水と反応して分解する。従って、上記の
反応は、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で行うことが
望ましい。また、前記の混合時においても、反応系、即
ち、反応容器内は、窒素ガス等の不活性ガスによって置
換されていることが望ましい。さらに、上記の溶媒
(a)、フッ化アリール、およびハロゲン化炭化水素
は、水分を含んでいないことが望ましい。尚、フッ化ア
リール、ハロゲン化炭化水素、および溶媒(a)の脱水
方法は、特に限定されるものではない。
【0101】反応温度は、30℃以上、当該溶媒の還流
温度以下、より好ましくは30℃〜200℃の範囲内、
さらに好ましくは30℃〜70℃の範囲内に調節する。
反応温度が30℃未満であると、反応の進行が遅くな
り、フッ化アリールマグネシウム誘導体(8)を効率的
に調製することができなくなるので好ましくない。ま
た、反応温度が当該溶媒の還流温度を越えると、反応を
制御することが困難となる。
【0102】反応時間は、上記反応が完結するように、
反応温度や、フッ化アリールとハロゲン化炭化水素との
組み合わせ、使用量等に応じて、適宜設定すればよい。
また、反応圧力は、特に限定されるものではなく、常
圧、減圧、加圧の何れであってもよい。
【0103】上記の方法により、フッ化アリールマグネ
シウム誘導体(8)が生成する。つまり、フッ化アリー
ルマグネシウム誘導体(8)の溶液が得られる。また、
一般式(D) R0 H ……(D) (式中、R0 は炭化水素基を表す)で表される炭化水素
が副生される。尚、該炭化水素は、必要に応じて、フッ
化アリールマグネシウム誘導体(8)と分離すればよ
い。該分離方法は、特に限定されるものではない。
【0104】そして、上記の方法により得られたフッ化
アリールマグネシウム誘導体(8)と、前記一般式
(2)で表されるハロゲン化ホウ素とを反応させる(in
-situ で反応させる)ことにより、前記一般式(9)で
表される(フッ化アリール)ホウ素化合物が得られる。
フッ化アリールマグネシウム誘導体(8)とハロゲン化
ホウ素とのモル比は、特に限定されるものではないが、
前記例示の範囲内がより好ましい。
【0105】フッ化アリールマグネシウム誘導体(8)
の溶液と、ハロゲン化ホウ素とを混合する混合方法は、
特に限定されるものではなく、該溶液にハロゲン化ホウ
素を一度に添加してもよく、或いは連続的若しくは逐次
的に滴下してもよい。ハロゲン化ホウ素は、そのまま混
合してもよく、また、溶媒(a)を加えて薄めた状態で
混合してもよい。
【0106】フッ化アリールマグネシウム誘導体(8)
の溶液と、ハロゲン化ホウ素とを混合する際の混合温度
や反応温度は、特に限定されるものではないが、前記例
示の範囲内に調節することがより好ましい。また、反応
時間は、上記反応が完結するように、反応温度や、フッ
化アリールマグネシウム誘導体(8)とハロゲン化ホウ
素との組み合わせ、使用量等に応じて、適宜設定すれば
よい。また、反応圧力は、特に限定されるものではな
く、常圧、減圧、加圧の何れであってもよい。
【0107】上記の方法により、前記一般式(9)で表
される(フッ化アリール)ホウ素化合物を含む反応液が
得られる。そして、該反応液を溶媒(b)に添加すると
共に、反応液中のジエチルエーテルおよび/またはテト
ラヒドロフランを留去した後、濾過することによって副
生するハロゲン化マグネシウムを反応系から容易に分離
・除去する。これにより、前記一般式(9)で表される
(フッ化アリール)ホウ素化合物、即ち、前記一般式
(B)で表されるハロゲン化マグネシウムが分離・除去
されたトリス(フッ化アリール)ホウ素やビス(フッ化
アリール)ホウ素ハライド等の(フッ化アリール)ホウ
素化合物が得られる。
【0108】次に、ハロゲン化マグネシウムが分離・除
去された上記の(フッ化アリール)ホウ素化合物と、フ
ッ化アリールマグネシウム誘導体(4)とを反応させる
ことにより、前記一般式(10)で表されるテトラキス
(フッ化アリール)ホウ素誘導体を含む反応液が得られ
る。そして、(フッ化アリール)ホウ素化合物がビス
(フッ化アリール)ホウ素ハライドである場合には、反
応液に、テトラキス(フッ化アリール)ホウ素誘導体と
共に副生される、前記一般式(C)で表されるハロゲン
化マグネシウムが溶解している。従って、該ハロゲン化
マグネシウムを分離・除去するために、該反応液中のジ
エチルエーテルおよび/またはテトラヒドロフランを留
去する。一方、(フッ化アリール)ホウ素化合物がトリ
ス(フッ化アリール)ホウ素である場合には、必要に応
じて、反応液中のジエチルエーテルおよび/またはテト
ラヒドロフランを留去すればよい。
【0109】上記の方法により、副生するハロゲン化マ
グネシウムが分離・除去された前記一般式(10)で表
されるテトラキス(フッ化アリール)ホウ素誘導体が得
られる。
【0110】
【実施例】以下、実施例により、本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるもの
ではない。
【0111】〔実施例1〕温度計、滴下ロート、攪拌
機、窒素ガス導入管、および還流冷却器を備えた反応容
器内を、充分に窒素ガス置換した。該反応容器に、ハロ
ゲン化ホウ素としての三フッ化ホウ素ジエチルエーテル
錯体2.874g(0.0203モル)と、溶媒(a)
としてのジエチルエーテル40mlとを仕込んだ。ま
た、フッ化アリールマグネシウム誘導体(1)としての
ペンタフルオロフェニルマグネシウムブロマイド0.0
624モルを含むジエチルエーテル溶液(マグネシウム
誘導体(1)溶液)30mlを、滴下ロートに仕込ん
だ。該ジエチルエーテル溶液におけるペンタフルオロフ
ェニルマグネシウムブロマイドの濃度は、2.08モル
/Lであった。また、ペンタフルオロフェニルマグネシ
ウムブロマイドと三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体
とのモル比は、3.1であった。
【0112】次いで、窒素雰囲気下、上記の内容物(ハ
ロゲン化ホウ素溶液)を攪拌しながら、上記のジエチル
エーテル溶液を20分間かけて滴下した。滴下開始時の
内容物の温度は31℃(混合温度)であり、滴下中に該
温度は36℃に達した。滴下終了後、反応液を34℃
(反応温度)で3時間攪拌して反応(熟成)させた。こ
れにより、(フッ化アリール)ホウ素化合物としてのト
リス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素のジエチルエー
テル溶液を得た。
【0113】続いて、温度計、滴下ロート、攪拌機、お
よびリービッヒ型冷却器を備えた蒸留容器に、溶媒
(b)としてのトルエン300mlを仕込んだ。リービ
ッヒ型冷却器の出口側先端部は開放状態とし、所定位置
に受器を配置した。また、上記トリス(ペンタフルオロ
フェニル)ホウ素のジエチルエーテル溶液を滴下ロート
に仕込んだ。
【0114】次いで、トルエンを攪拌しながら80℃に
昇温した後、該温度を保ちながら、滴下ロート内のジエ
チルエーテル溶液を1時間かけて滴下した。そして、滴
下開始と同時にジエチルエーテルの留去を常圧で開始し
た。滴下終了後、蒸留容器の内容物(混合物)を110
℃に昇温し、ジエチルエーテルを実質的に全て留去し
た。
【0115】ジエチルエーテルの留去を終了した後、内
容物を室温に冷却した。次いで、窒素雰囲気下、該内容
物を濾過し、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素
と共に副生したフッ化臭化マグネシウムを分離した。こ
れにより、フッ化臭化マグネシウムが除去されたトリス
(ペンタフルオロフェニル)ホウ素を、トルエン溶液
(濾液)の状態で得た。
【0116】トリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素
の収率は、19F−NMRを測定することにより求めた。
即ち、p−フルオロトルエンを内部標準として用い、19
F−NMRを、所定の条件下で測定した。そして、得ら
れた19F−NMRのチャートから、p−フルオロトルエ
ンのフッ素原子の積分値と、トリス(ペンタフルオロフ
ェニル)ホウ素におけるペンタフルオロフェニル基のオ
ルト位のフッ素原子の積分値とを求め、両積分値からト
リス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素の量を算出し
た。その結果、ペンタフルオロフェニルマグネシウムブ
ロマイドに対するトリス(ペンタフルオロフェニル)ホ
ウ素の反応収率は81.8モル%であり、純度は93.
2%であった。
【0117】〔実施例2〕実施例1の反応容器と同様の
反応容器内を、充分に窒素ガス置換した。該反応容器
に、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体5.238g
(0.0369モル)と、ジエチルエーテル50mlと
を仕込んだ。また、ペンタフルオロフェニルマグネシウ
ムブロマイド0.1151モルを含むジエチルエーテル
溶液50mlを、滴下ロートに仕込んだ。該ジエチルエ
ーテル溶液におけるペンタフルオロフェニルマグネシウ
ムブロマイドの濃度は、2.30モル/Lであった。ま
た、ペンタフルオロフェニルマグネシウムブロマイドと
三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体とのモル比は、
3.1であった。次いで、窒素雰囲気下、上記の内容物
を攪拌しながら、上記のジエチルエーテル溶液を30分
間かけて滴下した。滴下開始時の内容物の温度は31℃
であり、滴下中に該温度は37℃に達した。滴下終了
後、反応液を35℃で3時間攪拌して反応(熟成)させ
た。これにより、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホ
ウ素のジエチルエーテル溶液を得た。
【0118】続いて、実施例1の蒸留容器と同様の蒸留
容器に、溶媒(b)としてのシクロヘキサン300ml
を仕込んだ。また、上記トリス(ペンタフルオロフェニ
ル)ホウ素のジエチルエーテル溶液を滴下ロートに仕込
んだ。次いで、シクロヘキサンを攪拌しながら70℃に
昇温した後、該温度を保ちながら、滴下ロート内のジエ
チルエーテル溶液を1時間かけて滴下した。そして、滴
下開始と同時にジエチルエーテルの留去を常圧で開始し
た。滴下終了後、蒸留容器の内容物を80℃に昇温し、
ジエチルエーテルを実質的に全て留去した。
【0119】ジエチルエーテルの留去を終了した後、内
容物を室温に冷却した。次いで、実施例1の操作と同様
の操作を行うことにより、副生したフッ化臭化マグネシ
ウムが除去されたトリス(ペンタフルオロフェニル)ホ
ウ素を、シクロヘキサン溶液の状態で得た。実施例1の
方法と同様の方法で求めたトリス(ペンタフルオロフェ
ニル)ホウ素の反応収率は88.3モル%であり、純度
は94.7%であった。
【0120】〔実施例3〕実施例1の反応容器と同様の
反応容器内を、充分に窒素ガス置換した。該反応容器
に、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体7.432g
(0.0520モル)と、ジエチルエーテル70mlと
を仕込んだ。また、ペンタフルオロフェニルマグネシウ
ムブロマイド0.1129モルを含むジエチルエーテル
溶液70mlを、滴下ロートに仕込んだ。該ジエチルエ
ーテル溶液におけるペンタフルオロフェニルマグネシウ
ムブロマイドの濃度は、2.26モル/Lであった。ま
た、ペンタフルオロフェニルマグネシウムブロマイドと
三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体とのモル比は、
2.2であった。次いで、窒素雰囲気下、上記の内容物
を攪拌しながら、上記のジエチルエーテル溶液を30分
間かけて滴下した。滴下開始時の内容物の温度は29℃
であり、滴下中に該温度は36℃に達した。滴下終了
後、反応液を35℃で3時間攪拌して反応(熟成)させ
た。これにより、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホ
ウ素のジエチルエーテル溶液を得た。
【0121】続いて、実施例1の蒸留容器と同様の蒸留
容器に、溶媒(b)としてのキシレン300mlを仕込
んだ。また、上記トリス(ペンタフルオロフェニル)ホ
ウ素のジエチルエーテル溶液を滴下ロートに仕込んだ。
次いで、キシレンを攪拌しながら80℃に昇温した後、
該温度を保ちながら、滴下ロート内のジエチルエーテル
溶液を1時間かけて滴下した。そして、滴下開始と同時
にジエチルエーテルの留去を常圧で開始した。滴下終了
後、蒸留容器の内容物を135℃に昇温し、ジエチルエ
ーテルを実質的に全て留去した。
【0122】ジエチルエーテルの留去を終了した後、内
容物を室温に冷却した。次いで、実施例1の操作と同様
の操作を行うことにより、副生したフッ化臭化マグネシ
ウムが除去されたトリス(ペンタフルオロフェニル)ホ
ウ素を、キシレン溶液の状態で得た。実施例1の方法と
同様の方法で求めたトリス(ペンタフルオロフェニル)
ホウ素の反応収率は92.0モル%であり、純度は9
1.9%であった。
【0123】〔実施例4〕実施例3の反応と同様の反応
を行うことにより、トリス(ペンタフルオロフェニル)
ホウ素のジエチルエーテル溶液を得た。続いて、実施例
1の蒸留容器と同様の蒸留容器に、溶媒(b)としての
n−オクタン300mlを仕込んだ。また、上記トリス
(ペンタフルオロフェニル)ホウ素のジエチルエーテル
溶液を滴下ロートに仕込んだ。次いで、n−オクタンを
攪拌しながら80℃に昇温した後、該温度を保ちなが
ら、滴下ロート内のジエチルエーテル溶液を1時間かけ
て滴下した。そして、滴下開始と同時にジエチルエーテ
ルの留去を常圧で開始した。滴下終了後、蒸留容器の内
容物を110℃に昇温し、ジエチルエーテルを実質的に
全て留去した。
【0124】ジエチルエーテルの留去を終了した後、内
容物を室温に冷却した。次いで、実施例1の操作と同様
の操作を行うことにより、副生したフッ化臭化マグネシ
ウムが除去されたトリス(ペンタフルオロフェニル)ホ
ウ素を、n−オクタン溶液の状態で得た。実施例1の方
法と同様の方法で求めたトリス(ペンタフルオロフェニ
ル)ホウ素の反応収率は92.0モル%であり、純度は
92.5%であった。
【0125】〔実施例5〕実施例1の反応容器と同様の
反応容器内を、充分に窒素ガス置換した。該反応容器
に、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体8.040g
(0.0569モル)と、ジエチルエーテル60mlと
を仕込んだ。また、ペンタフルオロフェニルマグネシウ
ムブロマイド0.1707モルを含むジエチルエーテル
溶液110mlを、滴下ロートに仕込んだ。該ジエチル
エーテル溶液におけるペンタフルオロフェニルマグネシ
ウムブロマイドの濃度は、1.54モル/Lであった。
また、ペンタフルオロフェニルマグネシウムブロマイド
と三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体とのモル比は、
3.0であった。次いで、窒素雰囲気下、上記の内容物
を攪拌しながら、上記のジエチルエーテル溶液を1時間
かけて滴下した。滴下開始時の内容物の温度は30℃で
あり、滴下中に該温度は32℃に達した。滴下終了後、
反応液を35℃で3時間攪拌して反応(熟成)させた。
これにより、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素
のジエチルエーテル溶液を得た。
【0126】続いて、実施例1の蒸留容器と同様の蒸留
容器に、溶媒(b)としてのジブチルエーテル250m
lを仕込んだ。また、上記トリス(ペンタフルオロフェ
ニル)ホウ素のジエチルエーテル溶液を滴下ロートに仕
込んだ。次いで、ジブチルエーテルを攪拌しながら95
℃に昇温した後、該温度を保ちながら、滴下ロート内の
ジエチルエーテル溶液を1時間かけて滴下した。そし
て、滴下開始と同時にジエチルエーテルの留去を常圧で
開始した。滴下終了後、蒸留容器の内容物を110℃に
昇温し、ジエチルエーテルを実質的に全て留去した。
【0127】ジエチルエーテルの留去を終了した後、内
容物を室温に冷却した。次いで、実施例1の操作と同様
の操作を行うことにより、副生したフッ化臭化マグネシ
ウムが除去されたトリス(ペンタフルオロフェニル)ホ
ウ素を、ジブチルエーテル溶液の状態で得た。実施例1
の方法と同様の方法で求めたトリス(ペンタフルオロフ
ェニル)ホウ素の反応収率は86.8モル%であり、純
度は89.8%であった。
【0128】〔実施例6〕実施例1の反応容器と同様の
反応容器内を、充分に窒素ガス置換した。該反応容器
に、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体2.695g
(0.0191モル)、並びに、溶媒(a)としてのジ
エチルエーテル20mlおよびトルエン20mlを仕込
んだ。また、ペンタフルオロフェニルマグネシウムブロ
マイド0.0600モルを含むジエチルエーテル・トル
エン混合溶液50mlを、滴下ロートに仕込んだ。該混
合溶液におけるジエチルエーテルとトルエンとの混合比
は、2:1であった。また、混合溶液におけるペンタフ
ルオロフェニルマグネシウムブロマイドの濃度は、1.
20モル/Lであった。さらに、ペンタフルオロフェニ
ルマグネシウムブロマイドと三フッ化ホウ素ジエチルエ
ーテル錯体とのモル比は、3.1であった。
【0129】次いで、窒素雰囲気下、上記の内容物を攪
拌しながら、上記の混合溶液を1時間かけて滴下した。
滴下開始時の内容物の温度は28℃であり、滴下中に該
温度は35℃に達した。滴下終了後、反応液を40℃で
1時間攪拌して反応(熟成)させた。これにより、トリ
ス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素のジエチルエーテ
ル・トルエン混合溶液を得た。
【0130】続いて、実施例1の蒸留容器と同様の蒸留
容器に、溶媒(b)としてのトルエン100mlを仕込
んだ。また、上記トリス(ペンタフルオロフェニル)ホ
ウ素のジエチルエーテル・トルエン混合溶液を滴下ロー
トに仕込んだ。次いで、トルエンを攪拌しながら100
℃に昇温した後、該温度を保ちながら、滴下ロート内の
混合溶液を1時間かけて滴下した。そして、滴下開始と
同時にジエチルエーテルの留去を常圧で開始した。滴下
終了後、蒸留容器の内容物を110℃に昇温し、ジエチ
ルエーテルを実質的に全て留去した。
【0131】ジエチルエーテルの留去を終了した後、内
容物を室温に冷却した。次いで、実施例1の操作と同様
の操作を行うことにより、副生したフッ化臭化マグネシ
ウムが除去されたトリス(ペンタフルオロフェニル)ホ
ウ素を、トルエン溶液の状態で得た。実施例1の方法と
同様の方法で求めたトリス(ペンタフルオロフェニル)
ホウ素の反応収率は82.7モル%であり、純度は9
1.0%であった。
【0132】〔実施例7〕実施例1の反応容器と同様の
反応容器内を、充分に窒素ガス置換した。該反応容器
に、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体16.95g
(0.120モル)と、ジエチルエーテル150mlと
を仕込んだ。また、ペンタフルオロフェニルマグネシウ
ムブロマイド0.360モルを含むジエチルエーテル溶
液300mlを、滴下ロートに仕込んだ。該ジエチルエ
ーテル溶液におけるペンタフルオロフェニルマグネシウ
ムブロマイドの濃度は、1.20モル/Lであった。ま
た、ペンタフルオロフェニルマグネシウムブロマイドと
三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体とのモル比は、
3.0であった。次いで、窒素雰囲気下、上記の内容物
を攪拌しながら、上記のジエチルエーテル溶液を90分
間かけて滴下した。滴下開始時の内容物の温度は28℃
であり、滴下中に該温度は34℃に達した。滴下終了
後、反応液を35℃で3時間攪拌して反応(熟成)させ
た。これにより、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホ
ウ素のジエチルエーテル溶液を得た。
【0133】続いて、実施例1の蒸留容器と同様の蒸留
容器に、トルエン500mlを仕込んだ。また、上記ト
リス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素のジエチルエー
テル溶液を滴下ロートに仕込んだ。次いで、トルエンを
攪拌しながら35℃に昇温した後、該温度を保ちなが
ら、滴下ロート内のジエチルエーテル溶液を90分間か
けて滴下した。滴下終了後、蒸留容器の内容物の温度を
徐々に上昇させ、ジエチルエーテルの留去を常圧で開始
した。そして、最終的に該内容物(混合物)を110℃
にまで昇温し、ジエチルエーテルを実質的に全て留去し
た。
【0134】ジエチルエーテルの留去を終了した後、内
容物を室温に冷却した。次いで、窒素雰囲気下、該内容
物を濾過し、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素
と共に副生したフッ化臭化マグネシウムを分離した。こ
のとき、蒸留容器の内壁には、多量のフッ化臭化マグネ
シウムが付着していたが、濾過に支障を生じなかった。
これにより、フッ化臭化マグネシウムが除去されたトリ
ス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素を、トルエン溶液
の状態で得た。実施例1の方法と同様の方法で求めたト
リス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素の反応収率は7
5.0モル%であり、純度は85.5%であった。
【0135】〔実施例8〕実施例1にて得られたトリス
(ペンタフルオロフェニル)ホウ素のトルエン溶液を用
いて、テトラキス(フッ化アリール)ホウ素誘導体とし
てのテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素誘導
体を製造した。
【0136】温度計、滴下ロート、攪拌機、窒素ガス導
入管、およびリービッヒ型冷却器を備えた反応容器内
を、充分に窒素ガス置換した。該反応容器に、フッ化ア
リールマグネシウム誘導体(4)としてのペンタフルオ
ロフェニルマグネシウムブロマイド0.059モルを含
むジエチルエーテル溶液(マグネシウム誘導体(4)溶
液)35mlを仕込んだ。該ジエチルエーテル溶液にお
けるペンタフルオロフェニルマグネシウムブロマイドの
濃度は、1.67モル/Lであった。また、実施例1に
て得られたトリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素の
トルエン溶液116.0gを、滴下ロートに仕込んだ。
該トルエン溶液におけるトリス(ペンタフルオロフェニ
ル)ホウ素の濃度は、25.0重量%であり、トルエン
溶液116.0g中にトリス(ペンタフルオロフェニ
ル)ホウ素は、0.057モル含まれていた。
【0137】次いで、窒素雰囲気下、上記のジエチルエ
ーテル溶液を攪拌しながら、上記のトルエン溶液を室温
(混合温度)で30分間かけて滴下した。滴下終了後、
反応容器の内容物の温度を110℃(反応温度)に昇温
して反応(熟成)させながら、ジエチルエーテルを常圧
で留去した。
【0138】ジエチルエーテルの留去を終了した後、内
容物を室温に冷却すると、テトラキス(フッ化アリー
ル)ホウ素誘導体としてのテトラキス(ペンタフルオロ
フェニル)ホウ素・臭化マグネシウム塩の結晶が析出し
た。次いで、該内容物を濾過し、該結晶を単離した。こ
れにより、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ
素・臭化マグネシウム塩27.8gを得た。収率は6
2.7モル%であった。
【0139】また、上記の濾過で得た濾液を減圧下で加
熱することによりトルエンを留去した。そして、その残
留物(残査)に含まれているテトラキス(ペンタフルオ
ロフェニル)ホウ素・臭化マグネシウム塩の量を、実施
例1の方法と同様の方法で求めた。その結果、該残留物
には、収率で2.0モル%に相当する量のテトラキス
(ペンタフルオロフェニル)ホウ素・臭化マグネシウム
塩が含まれていた。従って、テトラキス(ペンタフルオ
ロフェニル)ホウ素・臭化マグネシウム塩の全収率は6
4.7モル%であった。
【0140】〔実施例9〕実施例2にて得られたトリス
(ペンタフルオロフェニル)ホウ素のシクロヘキサン溶
液を用いて、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホ
ウ素誘導体を製造した。
【0141】実施例8の反応容器と同様の反応容器内
を、充分に窒素ガス置換した。該反応容器に、ペンタフ
ルオロフェニルマグネシウムブロマイド0.008モル
を含むジエチルエーテル溶液20mlを仕込んだ。該ジ
エチルエーテル溶液におけるペンタフルオロフェニルマ
グネシウムブロマイドの濃度は、0.374モル/Lで
あった。また、実施例2にて得られたトリス(ペンタフ
ルオロフェニル)ホウ素のシクロヘキサン溶液118.
3gを、滴下ロートに仕込んだ。該シクロヘキサン溶液
におけるトリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素の濃
度は、3.24重量%であり、シクロヘキサン溶液11
8.3g中にトリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素
は、0.007モル含まれていた。
【0142】次いで、窒素雰囲気下、上記のジエチルエ
ーテル溶液を攪拌しながら、上記のシクロヘキサン溶液
を室温で30分間かけて滴下した。滴下終了後、反応容
器の内容物の温度を71℃に昇温して反応(熟成)させ
ながら、ジエチルエーテルを常圧で留去した。
【0143】ジエチルエーテルの留去を終了した後、内
容物を室温に冷却すると、該内容物は、2層に分離し
た。即ち、内容物は、シクロヘキサンからなる上層と、
液状のテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素・
臭化マグネシウム塩からなる下層とに分離した。次い
で、両層を分液することにより、テトラキス(ペンタフ
ルオロフェニル)ホウ素・臭化マグネシウム塩を、液状
で得た。該テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ
素・臭化マグネシウム塩の反応収率を、実施例1の方法
と同様の方法で求めた。その結果、ペンタフルオロフェ
ニルマグネシウムブロマイドに対するテトラキス(ペン
タフルオロフェニル)ホウ素・臭化マグネシウム塩の反
応収率は81.2モル%であった。
【0144】〔実施例10〕実施例3にて得られたトリ
ス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素のキシレン溶液を
用いて、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素
誘導体を製造した。
【0145】実施例8の反応容器と同様の反応容器内
を、充分に窒素ガス置換した。該反応容器に、ペンタフ
ルオロフェニルマグネシウムブロマイド0.024モル
を含むジエチルエーテル溶液20mlを仕込んだ。該ジ
エチルエーテル溶液におけるペンタフルオロフェニルマ
グネシウムブロマイドの濃度は、1.22モル/Lであ
った。また、実施例3にて得られたトリス(ペンタフル
オロフェニル)ホウ素のキシレン溶液92.7gを、滴
下ロートに仕込んだ。該キシレン溶液におけるトリス
(ペンタフルオロフェニル)ホウ素の濃度は、11.8
4重量%であり、キシレン溶液92.7g中にトリス
(ペンタフルオロフェニル)ホウ素は、0.021モル
含まれていた。
【0146】次いで、窒素雰囲気下、上記のジエチルエ
ーテル溶液を攪拌しながら、上記のキシレン溶液を室温
で30分間かけて滴下した。滴下終了後、反応容器の内
容物の温度を130℃に昇温して反応(熟成)させなが
ら、ジエチルエーテルを常圧で留去した。
【0147】ジエチルエーテルの留去を終了した後、内
容物を室温に冷却すると、該内容物は、キシレンからな
る上層と、液状のテトラキス(ペンタフルオロフェニ
ル)ホウ素・臭化マグネシウム塩からなる下層とに分離
した。次いで、両層を分液することにより、テトラキス
(ペンタフルオロフェニル)ホウ素・臭化マグネシウム
塩を、液状で得た。実施例1の方法と同様の方法で求め
た、ペンタフルオロフェニルマグネシウムブロマイドに
対するテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素・
臭化マグネシウム塩の反応収率は92.5モル%であっ
た。
【0148】〔実施例11〕実施例4にて得られたトリ
ス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素のn−オクタン溶
液を用いて、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホ
ウ素誘導体を製造した。
【0149】実施例8の反応容器と同様の反応容器内
を、充分に窒素ガス置換した。該反応容器に、ペンタフ
ルオロフェニルマグネシウムブロマイド0.017モル
を含むジエチルエーテル溶液10mlを仕込んだ。該ジ
エチルエーテル溶液におけるペンタフルオロフェニルマ
グネシウムブロマイドの濃度は、1.68モル/Lであ
った。また、実施例4にて得られたトリス(ペンタフル
オロフェニル)ホウ素のn−オクタン溶液85.4g
を、滴下ロートに仕込んだ。該n−オクタン溶液におけ
るトリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素の濃度は、
8.89重量%であり、n−オクタン溶液85.4g中
にトリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素は、0.0
15モル含まれていた。
【0150】次いで、窒素雰囲気下、上記のジエチルエ
ーテル溶液を攪拌しながら、上記のn−オクタン溶液を
室温で30分間かけて滴下した。滴下終了後、反応容器
の内容物の温度を110℃に昇温して反応(熟成)させ
ながら、ジエチルエーテルを常圧で留去した。
【0151】ジエチルエーテルの留去を終了した後、内
容物を室温に冷却すると、該内容物は、n−オクタンか
らなる上層と、液状のテトラキス(ペンタフルオロフェ
ニル)ホウ素・臭化マグネシウム塩からなる下層とに分
離した。次いで、両層を分液することにより、テトラキ
ス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素・臭化マグネシウ
ム塩を、液状で得た。実施例1の方法と同様の方法で求
めた、ペンタフルオロフェニルマグネシウムブロマイド
に対するテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素
・臭化マグネシウム塩の反応収率は77.1モル%であ
った。
【0152】〔実施例12〕実施例5にて得られたトリ
ス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素のジブチルエーテ
ル溶液を用いて、テトラキス(ペンタフルオロフェニ
ル)ホウ素誘導体を製造した。
【0153】実施例8の反応容器と同様の反応容器内
を、充分に窒素ガス置換した。該反応容器に、ペンタフ
ルオロフェニルマグネシウムブロマイド0.050モル
を含むジエチルエーテル溶液37mlを仕込んだ。該ジ
エチルエーテル溶液におけるペンタフルオロフェニルマ
グネシウムブロマイドの濃度は、1.34モル/Lであ
った。また、実施例5にて得られたトリス(ペンタフル
オロフェニル)ホウ素のジブチルエーテル溶液139.
0gを、滴下ロートに仕込んだ。該ジブチルエーテル溶
液におけるトリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素の
濃度は、18.2重量%であり、ジブチルエーテル溶液
139.0g中にトリス(ペンタフルオロフェニル)ホ
ウ素は、0.049モル含まれていた。
【0154】次いで、窒素雰囲気下、上記のジエチルエ
ーテル溶液を攪拌しながら、上記のジブチルエーテル溶
液を室温で30分間かけて滴下した。滴下終了後、反応
容器の内容物の温度を137℃に昇温して反応(熟成)
させながら、ジエチルエーテルを常圧で留去した。
【0155】ジエチルエーテルの留去を終了した後、内
容物を室温に冷却すると、該内容物は、ジブチルエーテ
ルからなる上層と、液状のテトラキス(ペンタフルオロ
フェニル)ホウ素ジブチルエーテル錯体からなる下層と
に分離した。次いで、両層を分液することにより、テト
ラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素ジブチルエー
テル錯体を、液状で得た。実施例1の方法と同様の方法
で求めた、ペンタフルオロフェニルマグネシウムブロマ
イドに対するテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホ
ウ素ジブチルエーテル錯体の反応収率は92.8モル%
であった。
【0156】
【発明の効果】本発明の請求項1記載の(フッ化アリー
ル)ホウ素化合物の製造方法は、以上のように、一般式
(3)
【0157】
【化20】
【0158】(式中、R1 、R2 、R3 、R4 、R5
それぞれ独立して水素原子、フッ素原子、炭化水素基ま
たはアルコキシ基を表し、かつ、該R1 〜R5 のうちの
少なくとも一つはフッ素原子であり、Xbはフッ素原
子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を表し、nは
2または3である)で表される(フッ化アリール)ホウ
素化合物の製造方法に関するものであり、一般式(1)
【0159】
【化21】
【0160】(式中、R1 、R2 、R3 、R4 、R5
それぞれ独立して水素原子、フッ素原子、炭化水素基ま
たはアルコキシ基を表し、かつ、該R1 〜R5 のうちの
少なくとも一つはフッ素原子であり、Xaは塩素原子、
臭素原子またはヨウ素原子を表す)で表されるフッ化ア
リールマグネシウム誘導体と、一般式(2) BXb3 ……(2) (式中、Xbはフッ素原子、塩素原子、臭素原子または
ヨウ素原子を表す)で表されるハロゲン化ホウ素とを、
ジエチルエーテルおよび/またはテトラヒドロフランを
含む溶媒(a)中で反応させた後、該反応液をジエチル
エーテルまたはテトラヒドロフランの沸点よりも高い沸
点を有する溶媒(b)に添加すると共に、上記ジエチル
エーテルおよび/またはテトラヒドロフランを留去する
方法である。
【0161】ハロゲン化マグネシウムは、ジエチルエー
テルおよびテトラヒドロフランに溶解する一方、それ以
外の溶媒には溶解しない。これに対し、(フッ化アリー
ル)ホウ素化合物は、ジエチルエーテルおよびテトラヒ
ドロフランに溶解すると共に、上記その他の溶媒にも溶
解する。つまり、ハロゲン化マグネシウムと(フッ化ア
リール)ホウ素化合物とは、ジエチルエーテルおよびテ
トラヒドロフラン以外の溶媒に対する溶解度が異なる。
従って、上記の方法によれば、ジエチルエーテルおよび
/またはテトラヒドロフランを反応系から留去するの
で、(フッ化アリール)ホウ素化合物と共に副生される
ハロゲン化マグネシウムを反応系から析出・沈殿させる
ことができる。即ち、副生するハロゲン化マグネシウム
を分離・除去することができる。これにより、副生する
ハロゲン化マグネシウムが分離・除去されたトリス(フ
ッ化アリール)ホウ素やビス(フッ化アリール)ホウ素
ハライド等の(フッ化アリール)ホウ素化合物を、選択
的にかつ簡単に安価に製造することができる。つまり、
従来の方法と比較して、工業的に有利であり、ハロゲン
化マグネシウムが分離・除去された(フッ化アリール)
ホウ素化合物を高収率並びに高選択率で得ることができ
るという効果を奏する。
【0162】また、本発明の請求項2記載の(フッ化ア
リール)ホウ素化合物の製造方法は、以上のように、前
記一般式(3)で表される(フッ化アリール)ホウ素化
合物の製造方法に関するものであり、前記一般式(1)
で表されるフッ化アリールマグネシウム誘導体と、前記
一般式(2)で表されるハロゲン化ホウ素とを、ジエチ
ルエーテルおよび/またはテトラヒドロフランと、ジエ
チルエーテルまたはテトラヒドロフランの沸点よりも高
い沸点を有する化合物とを含む溶媒(c)中で反応させ
た後、該反応液から上記ジエチルエーテルおよび/また
はテトラヒドロフランを留去する方法である。
【0163】上記の方法によれば、副生するハロゲン化
マグネシウムが分離・除去されたトリス(フッ化アリー
ル)ホウ素やビス(フッ化アリール)ホウ素ハライド等
の(フッ化アリール)ホウ素化合物を、選択的にかつ簡
単に安価に製造することができる。つまり、従来の方法
と比較して、工業的に有利であり、ハロゲン化マグネシ
ウムが分離・除去された(フッ化アリール)ホウ素化合
物を高収率並びに高選択率で得ることができるという効
果を奏する。
【0164】本発明の請求項3記載の(フッ化アリー
ル)ホウ素化合物の製造方法は、以上のように、フッ化
アリールマグネシウム誘導体がペンタフルオロフェニル
マグネシウムブロマイドである方法である。該方法によ
れば、副生するハロゲン化マグネシウムが分離・除去さ
れたトリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素やビス
(ペンタフルオロフェニル)ホウ素ハライド等の(ペン
タフルオロフェニル)ホウ素化合物を効率的にかつ簡単
に安価に製造することができるという効果を奏する。
【0165】また、本発明の請求項4記載のテトラキス
(フッ化アリール)ホウ素誘導体の製造方法は、以上の
ように、一般式(5)
【0166】
【化22】
【0167】(式中、R1 、R2 、R3 、R4 、R5
6 、R7 、R8 、R9 、R10はそれぞれ独立して水素
原子、フッ素原子、炭化水素基またはアルコキシ基を表
し、かつ、該R1 〜R5 のうちの少なくとも一つはフッ
素原子であり、該R6 〜R10のうちの少なくとも一つは
フッ素原子であり、Xcは塩素原子、臭素原子またはヨ
ウ素原子を表し、nは2または3である)で表されるテ
トラキス(フッ化アリール)ホウ素誘導体の製造方法に
関するものであり、請求項1ないし3の何れか1項に記
載の方法により得られる(フッ化アリール)ホウ素化合
物と、一般式(4)
【0168】
【化23】
【0169】(式中、R6 、R7 、R8 、R9 、R10
それぞれ独立して水素原子、フッ素原子、炭化水素基ま
たはアルコキシ基を表し、かつ、該R6 〜R10のうちの
少なくとも一つはフッ素原子であり、Xcは塩素原子、
臭素原子またはヨウ素原子を表す)で表されるフッ化ア
リールマグネシウム誘導体とを反応させる方法である。
【0170】上記の方法によれば、(フッ化アリール)
ホウ素化合物を製造する際に副生するハロゲン化マグネ
シウムが分離・除去されたテトラキス(フッ化アリー
ル)ホウ素誘導体を、簡単かつ安価に製造することがで
きるという効果を奏する。
【0171】また、本発明の請求項5記載のテトラキス
(フッ化アリール)ホウ素誘導体の製造方法は、以上の
ように、上記(フッ化アリール)ホウ素化合物と、上記
一般式(4)で表されるフッ化アリールマグネシウム誘
導体とを、ジエチルエーテルおよび/またはテトラヒド
ロフランと、ジエチルエーテルまたはテトラヒドロフラ
ンの沸点よりも高い沸点を有する化合物とを含む溶媒
(d)中で反応させた後、上記ジエチルエーテルおよび
/またはテトラヒドロフランを留去する方法である。
【0172】上記の方法によれば、例えば、(フッ化ア
リール)ホウ素化合物がビス(フッ化アリール)ホウ素
ハライドである場合においては、ジエチルエーテルおよ
び/またはテトラヒドロフランを反応系から留去するの
で、テトラキス(フッ化アリール)ホウ素誘導体と共に
副生されるハロゲン化マグネシウムを反応系から析出・
沈殿させることができる。即ち、副生するハロゲン化マ
グネシウムを分離・除去することができる。これによ
り、テトラキス(フッ化アリール)ホウ素誘導体を製造
する際に副生するハロゲン化マグネシウムが分離・除去
されたテトラキス(フッ化アリール)ホウ素誘導体を、
簡単かつ安価に製造することができるという効果を奏す
る。また、得られるテトラキス(フッ化アリール)ホウ
素誘導体は、比較的安定な化合物であり、上記の方法に
よれば、該テトラキス(フッ化アリール)ホウ素誘導体
を結晶、若しくは溶液の状態で反応系から分離すること
ができるという効果も併せて奏する。
【0173】また、本発明の請求項6記載のテトラキス
(フッ化アリール)ホウ素誘導体の製造方法は、以上の
ように、一般式(10)
【0174】
【化24】
【0175】(式中、R2 、R3 、R4 、R6 、R7
8 、R9 、R10はそれぞれ独立して水素原子、フッ素
原子、炭化水素基またはアルコキシ基を表し、かつ、該
6 〜R10のうちの少なくとも一つはフッ素原子であ
り、Xcは塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を表
し、nは2または3である)で表されるテトラキス(フ
ッ化アリール)ホウ素誘導体の製造方法に関するもので
あり、一般式(6)
【0176】
【化25】
【0177】(式中、R2 、R3 、R4 はそれぞれ独立
して水素原子、フッ素原子、炭化水素基またはアルコキ
シ基を表す)で表されるフッ化アリールと、一般式
(7) R0 Xa ……(7) (式中、R0 は炭化水素基を表し、Xaは塩素原子、臭
素原子またはヨウ素原子を表す)で表されるハロゲン化
炭化水素と、マグネシウムとを、ジエチルエーテルおよ
び/またはテトラヒドロフランを含む溶媒(a)中で反
応させて、一般式(8)
【0178】
【化26】
【0179】(式中、R2 、R3 、R4 はそれぞれ独立
して水素原子、フッ素原子、炭化水素基またはアルコキ
シ基を表し、Xaは塩素原子、臭素原子またはヨウ素原
子を表す)で表されるフッ化アリールマグネシウム誘導
体を得た後、該フッ化アリールマグネシウム誘導体と、
一般式(2) BXb3 ……(2) (式中、Xbはフッ素原子、塩素原子、臭素原子または
ヨウ素原子を表す)で表されるハロゲン化ホウ素とを反
応させ、次いで、該反応液をジエチルエーテルまたはテ
トラヒドロフランの沸点よりも高い沸点を有する溶媒
(b)に添加すると共に、上記ジエチルエーテルおよび
/またはテトラヒドロフランを留去して一般式(9)
【0180】
【化27】
【0181】(式中、R2 、R3 、R4 はそれぞれ独立
して水素原子、フッ素原子、炭化水素基またはアルコキ
シ基を表し、Xbはフッ素原子、塩素原子、臭素原子ま
たはヨウ素原子を表し、nは2または3である)で表さ
れる(フッ化アリール)ホウ素化合物を得た後、該(フ
ッ化アリール)ホウ素化合物と、前記一般式(4)で表
されるフッ化アリールマグネシウム誘導体とを反応させ
る方法である。
【0182】上記の方法によれば、フッ化アリールを出
発物質として使用して、副生するハロゲン化マグネシウ
ムが分離・除去されたテトラキス(フッ化アリール)ホ
ウ素誘導体を、簡単かつ安価に製造することができると
いう効果を奏する。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(1) 【化1】 (式中、R1 、R2 、R3 、R4 、R5 はそれぞれ独立
    して水素原子、フッ素原子、炭化水素基またはアルコキ
    シ基を表し、かつ、該R1 〜R5 のうちの少なくとも一
    つはフッ素原子であり、Xaは塩素原子、臭素原子また
    はヨウ素原子を表す)で表されるフッ化アリールマグネ
    シウム誘導体と、一般式(2) BXb3 ……(2) (式中、Xbはフッ素原子、塩素原子、臭素原子または
    ヨウ素原子を表す)で表されるハロゲン化ホウ素とを、
    ジエチルエーテルおよび/またはテトラヒドロフランを
    含む溶媒(a)中で反応させた後、該反応液をジエチル
    エーテルまたはテトラヒドロフランの沸点よりも高い沸
    点を有する溶媒(b)に添加すると共に、上記ジエチル
    エーテルおよび/またはテトラヒドロフランを留去する
    ことを特徴とする一般式(3) 【化2】 (式中、R1 、R2 、R3 、R4 、R5 はそれぞれ独立
    して水素原子、フッ素原子、炭化水素基またはアルコキ
    シ基を表し、かつ、該R1 〜R5 のうちの少なくとも一
    つはフッ素原子であり、Xbはフッ素原子、塩素原子、
    臭素原子またはヨウ素原子を表し、nは2または3であ
    る)で表される(フッ化アリール)ホウ素化合物の製造
    方法。
  2. 【請求項2】一般式(1) 【化3】 (式中、R1 、R2 、R3 、R4 、R5 はそれぞれ独立
    して水素原子、フッ素原子、炭化水素基またはアルコキ
    シ基を表し、かつ、該R1 〜R5 のうちの少なくとも一
    つはフッ素原子であり、Xaは塩素原子、臭素原子また
    はヨウ素原子を表す)で表されるフッ化アリールマグネ
    シウム誘導体と、一般式(2) BXb3 ……(2) (式中、Xbはフッ素原子、塩素原子、臭素原子または
    ヨウ素原子を表す)で表されるハロゲン化ホウ素とを、
    ジエチルエーテルおよび/またはテトラヒドロフラン
    と、ジエチルエーテルまたはテトラヒドロフランの沸点
    よりも高い沸点を有する化合物とを含む溶媒(c)中で
    反応させた後、該反応液から上記ジエチルエーテルおよ
    び/またはテトラヒドロフランを留去することを特徴と
    する一般式(3) 【化4】 (式中、R1 、R2 、R3 、R4 、R5 はそれぞれ独立
    して水素原子、フッ素原子、炭化水素基またはアルコキ
    シ基を表し、かつ、該R1 〜R5 のうちの少なくとも一
    つはフッ素原子であり、Xbはフッ素原子、塩素原子、
    臭素原子またはヨウ素原子を表し、nは2または3であ
    る)で表される(フッ化アリール)ホウ素化合物の製造
    方法。
  3. 【請求項3】フッ化アリールマグネシウム誘導体がペン
    タフルオロフェニルマグネシウムブロマイドであること
    を特徴とする請求項1または2記載の(フッ化アリー
    ル)ホウ素化合物の製造方法。
  4. 【請求項4】請求項1ないし3の何れか1項に記載の方
    法により得られる(フッ化アリール)ホウ素化合物と、
    一般式(4) 【化5】 (式中、R6 、R7 、R8 、R9 、R10はそれぞれ独立
    して水素原子、フッ素原子、炭化水素基またはアルコキ
    シ基を表し、かつ、該R6 〜R10のうちの少なくとも一
    つはフッ素原子であり、Xcは塩素原子、臭素原子また
    はヨウ素原子を表す)で表されるフッ化アリールマグネ
    シウム誘導体とを反応させることを特徴とする一般式
    (5) 【化6】 (式中、R1 、R2 、R3 、R4 、R5 、R6 、R7
    8 、R9 、R10はそれぞれ独立して水素原子、フッ素
    原子、炭化水素基またはアルコキシ基を表し、かつ、該
    1 〜R5 のうちの少なくとも一つはフッ素原子であ
    り、該R6 〜R10のうちの少なくとも一つはフッ素原子
    であり、Xcは塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を
    表し、nは2または3である)で表されるテトラキス
    (フッ化アリール)ホウ素誘導体の製造方法。
  5. 【請求項5】上記(フッ化アリール)ホウ素化合物と、
    上記一般式(4)で表されるフッ化アリールマグネシウ
    ム誘導体とを、ジエチルエーテルおよび/またはテトラ
    ヒドロフランと、ジエチルエーテルまたはテトラヒドロ
    フランの沸点よりも高い沸点を有する化合物とを含む溶
    媒(d)中で反応させた後、上記ジエチルエーテルおよ
    び/またはテトラヒドロフランを留去することを特徴と
    する請求項4記載のテトラキス(フッ化アリール)ホウ
    素誘導体の製造方法。
  6. 【請求項6】一般式(6) 【化7】 (式中、R2 、R3 、R4 はそれぞれ独立して水素原
    子、フッ素原子、炭化水素基またはアルコキシ基を表
    す)で表されるフッ化アリールと、一般式(7) R0 Xa ……(7) (式中、R0 は炭化水素基を表し、Xaは塩素原子、臭
    素原子またはヨウ素原子を表す)で表されるハロゲン化
    炭化水素と、マグネシウムとを、ジエチルエーテルおよ
    び/またはテトラヒドロフランを含む溶媒(a)中で反
    応させて、一般式(8) 【化8】 (式中、R2 、R3 、R4 はそれぞれ独立して水素原
    子、フッ素原子、炭化水素基またはアルコキシ基を表
    し、Xaは塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を表
    す)で表されるフッ化アリールマグネシウム誘導体を得
    た後、該フッ化アリールマグネシウム誘導体と、一般式
    (2) BXb3 ……(2) (式中、Xbはフッ素原子、塩素原子、臭素原子または
    ヨウ素原子を表す)で表されるハロゲン化ホウ素とを反
    応させ、次いで、該反応液をジエチルエーテルまたはテ
    トラヒドロフランの沸点よりも高い沸点を有する溶媒
    (b)に添加すると共に、上記ジエチルエーテルおよび
    /またはテトラヒドロフランを留去して一般式(9) 【化9】 (式中、R2 、R3 、R4 はそれぞれ独立して水素原
    子、フッ素原子、炭化水素基またはアルコキシ基を表
    し、Xbはフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ
    素原子を表し、nは2または3である)で表される(フ
    ッ化アリール)ホウ素化合物を得た後、該(フッ化アリ
    ール)ホウ素化合物と、一般式(4) 【化10】 (式中、R6 、R7 、R8 、R9 、R10はそれぞれ独立
    して水素原子、フッ素原子、炭化水素基またはアルコキ
    シ基を表し、かつ、該R6 〜R10のうちの少なくとも一
    つはフッ素原子であり、Xcは塩素原子、臭素原子また
    はヨウ素原子を表す)で表されるフッ化アリールマグネ
    シウム誘導体とを反応させることを特徴とする一般式
    (10) 【化11】 (式中、R2 、R3 、R4 、R6 、R7 、R8 、R9
    10はそれぞれ独立して水素原子、フッ素原子、炭化水
    素基またはアルコキシ基を表し、かつ、該R6 〜R10
    うちの少なくとも一つはフッ素原子であり、Xcは塩素
    原子、臭素原子またはヨウ素原子を表し、nは2または
    3である)で表されるテトラキス(フッ化アリール)ホ
    ウ素誘導体の製造方法。
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