JP2856655B2 - トリアリールホウ素の製造方法 - Google Patents
トリアリールホウ素の製造方法Info
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製造方法に関する。さらに詳しくはハロゲン化ホウ素と
ハロゲン化アリールマグネシウムのモル比を限定するこ
とにより高純度なトリアリールホウ素を安定的に高収率
で製造するものである。
素エチルエーテル錯体のようなハロゲン化ホウ素を反応
させて、アルキル及びアリールホウ素化合物が得られる
ことは既に知られている。(例えば、Inorg. Synth., 1
5, 1947, P134)ところがハロゲン化アリールマグネシウ
ムとハロゲン化ホウ素のモル比が、3:1よりもほんの
僅かでもハロゲン化アリールマグネシウム過剰で反応さ
れたり、ハロゲン化アリールマグネシウムの滴下時間が
早い場合にはテトラアリールホウ酸イオンの生成が顕著
となりトリアリールホウ素の収率低下をもたらすと述べ
てあり、製造条件が厳しくなり製造工程の管理が困難と
なる。
法としては、金属マグネシウムと三フッ化ホウ素エチル
エーテル錯体に臭化フェニルを添加しておいて、超音波
を利用する方法(例えば、J. Org. Chem., 51, 1986, P
427)や臭化フェニルマグネシウムとトリアルキルホウ酸
エステルからトリアリールホウ素を合成する方法(例え
ば、米国特許第3,651,146)、さらにフェニルリチウムと
三フッ化ホウ素エチルエーテル錯体との反応による方法
(例えば、A., 563, 1949, P110)等がある。
しくなく、ホウ素源としてトリアルキルホウ酸エステル
の使用は収率が低いといった欠点があり、また、アリー
ルリチウムを用いる方法ではテトラアリールホウ酸イオ
ンが主生成するといった問題がある。以上、従来の方法
では、トリアリールホウ素の収率及び純度の低下や再現
性に乏しいといった問題があった。
ン化ホウ素とハロゲン化アリールマグネシウムの反応に
よりトリアリールホウ素の製造条件について種々検討し
た。そしてハロゲン化ホウ素とハロゲン化アリールマグ
ネシウムの使用量が文献記載の1:3のモル比で合成検
討を行った。その結果、文献(例えば、Inorg. Synth.,
15, 1947, P134)記載の合成法ではトリアリールホウ素
の収率、純度共に低く再現性も乏しいことが判った。本
発明の目的とする所は、かかる欠点を改良し、より高い
収率及び高い純度でトリアリールホウ素が得られる製造
法を提供する事である。
を続けた結果、ハロゲン化ホウ素とハロゲン化アリール
マグネシウムを、ハロゲン化ホウ素1モルに対しハロゲ
ン化アリールマグネシウムを 3.1から 3.5モルの間で反
応を行い、更にエーテル系溶媒を反応系から除去するこ
とによって副生するハロゲン化マグネシウム塩を固化さ
せマグネシウム塩中に取り込まれているトリアリールホ
ウ素を遊離させることにより安定的に高収率でトリアリ
ールホウ素が得られることを見いだし本発明を完成する
に至った。
〜8.0mol/Lのハロゲン化ホウ素と0.1 〜3.0mol/Lのハロ
ゲン化アリールマグネシウムを反応させる際に、ハロゲ
ン化ホウ素1モルに対してハロゲン化アリールマグネシ
ウムを 3.1モルから 3.5モル反応させ、その後エーテル
系溶媒を反応系から除去することによって副生するハロ
ゲン化マグネシウム塩を固化させマグネシウム塩中に取
り込まれているトリアリールホウ素を遊離させることを
特徴とするトリアリールホウ素の製造方法に関する。
ホウ素とは、一般式(I)で表されるホウ素化合物であ
る。 R3 B (I) ここで、Rは同一又は異なるものであり、アリール基又
は置換アリール基、例えばフェニル、フルオロフェニ
ル、クロルフェニル、ブロムフェニル、メトキシフェニ
ル、トリル、キシリル、メシチル、ビフェニル、ナフチ
ル、ピリジル、トリフルオロフェニル、ペンタフルオロ
フェニル基、トリス(トリフルオロメチル)フェニル基
等のようなものが挙げられる。
に有用な化合物としては、トリフェニルホウ素及びトリ
ス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素が選ばれる。トリ
フェニルホウ素は、オレフィン化合物のヒドロホウ素化
反応の促進剤として有用である(例えば、J. Am. Chem.
Soc., 1986, 108. 7410及びJ. Am. Chem. Soc.,1991,
113, 8570)。また、トリス(ペンタフルオロフェニル)
ホウ素は重合用助触媒として有用である(例えば、Macr
omol, Chem, Rapid Commun,. 1991, 2, p.p663〜667)。
ルマグネシウムは、一般式(II)ArMgXで示される
化合物である。ここで、Arは先に述べたアリール基を
示し、Xはハロゲンを示す。また、ハロゲン化アリール
マグネシウムに用いられる溶媒は、鎖状エーテルが好ま
しい。特に好ましいのは留去が容易なエチルエーテルで
ある。
ウ素としては、一般式(III) BX3で示されるものが含
まれている。ただし、ここでXはハロゲンである。さら
に、ハロゲン化ホウ素のエーテル、チオエーテル等の配
位化合物もこれに含まれる。三塩化ホウ素、三臭化ホウ
素、三ヨウ化ホウ素、三フッ化ホウ素は沸点が低いた
め、エチルエーテル錯体などの化合物がより扱い易く、
望ましい。
な有機溶媒として、炭化水素系溶媒あるいは炭化水素系
溶媒と鎖状エーテル系溶媒が好ましい。炭化水素系溶媒
は飽和炭化水素系溶媒芳香族系炭化水素、中でもキシレ
ン、トルエン、ベンゼンのような芳香族系溶媒が好まし
い結果を与える。
0.1〜8.0mol/Lで、ハロゲン化アリールマグネシウムの
濃度が 0.1〜3.0mol/Lの時、反応混合物の濃度も生産性
を著しく落とさず、また、反応混合物の粘度もエーテル
系溶媒の留去を妨げるほど高くないため、特に好ましい
結果を与える。
ロゲン化アリールマグネシウムと反応する場合には、芳
香族系溶媒に溶解されたハロゲン化ホウ素中に、ハロゲ
ン化アリールマグネシウムのエーテル系溶媒溶液を滴下
する方法で反応させる。
あることが望ましい。混合温度が15℃未満では、生成す
るトリアリールホウ素あるいは副生するマグネシウム塩
が結晶として析出し、攪拌を妨げる事がある。また、混
合温度が65℃を越えるようになると、収率が低下するこ
とが多い。また、ハロゲン化アリールマグネシウムの滴
下時間は、トリアリールホウ素の収率に影響しない。
ながら反応を完結させるために 110℃以上に加熱する事
により、トリアリールホウ素の反応収率を向上させ更に
副生するマグネシウム塩を固化させることによりマグネ
シウム塩に取り込まれているトリアリールホウ素を遊離
させ回収率を向上させることができまた再現性も向上さ
せる事ができる。
用いた加圧下でもかまわない。しかし、トリアリールホ
ウ素は、酸素や水分に敏感であることを考えると、それ
らの影響の除去という意味で、加圧下での反応は、より
好ましい。
ネシウムとハロゲン化ホウ素の反応において、ハロゲン
化ホウ素に対してハロゲン化アリールマグネシウムを
3.1当量よりも少しだけ過剰に用いる事により、安定的
に高い純度、収率でトリアリールホウ素を得る事ができ
る。
アリールマグネシウムの使用がハロゲン化ホウ素に対し
て 3.1当量よりも少なかったり、また 3.5当量よりも過
剰すぎたりすれば生成するトリアリールホウ素の安定性
が悪くなり、収率、純度の低下をもたらす。これに対し
て、実施例では、安定的に高収率、高純度でトリアニー
ルホウ素が得られているのである。
リールマグネシウムを使用する意義は、単にトリアリー
ルホウ素の収率を増加させるにとどまらず、安定性の増
加にも寄与するのである。この特徴は、工業化に際して
再現性のあるトリアリールホウ素製造を可能にするもの
であり、大きなメリットとなるものである。
明するが、これは説明を具体的に行うための例であっ
て、本発明は以下の実施例によりなんらの制限を受ける
ものではない。
は、ブチルリチウムとの反応により安定な錯体としてか
ら、液体クロマトグラフィーを用いた内部標準法で求め
たものであり、ハロゲン化ホウ素に基づくものである。
また、実施例3と比較例3は、ブチルリチウムより生成
する錯体が吸湿性で不安定であるので、さらにテトラメ
チルアンモニウム塩またはN,N−ジメチルアニリニウ
ム塩の形に導き、乾燥重量より収率を求め、更にフッ素
核磁気共鳴スペクトルを用いて内部標準法で収率及び純
度を求めた。特に実施例3ではトリアリールホウ素自体
の収率及び純度をフッ素核磁気共鳴スペクトルを用いて
内部標準法で直接求められたのでその値も添記した。
トを装着し、十分に窒素で置換する。そして、フラスコ
に窒素で十分に脱気したキシレン30mlと三フッ化ホウ素
エチルエーテル錯体2.78g(0.0196モル)を装入した。
また、滴下ロートに35wt%の臭化フェニルマグネシウム
のエチルエーテル溶液 33.51g(0.0647モル)を装入し
た。攪拌した反応槽中に、臭化フェニルマグネシウムの
エチルエーテル溶液を滴下ロートより滴下する。その時
の反応温度は、18.6から29.9℃であった。滴下終了後、
反応槽を加熱し、エチルエーテルの除去を行った。
で1時間・3時間・5時間熟成させ、それぞれサンプリ
ングを行い、グラスフィルターでフッ化臭化マグネシウ
ムを除去した後、薄黄色透明の液体にブチルリチウムを
投入し、安定な錯体として得られた化合物より収率を求
めたところ、それぞれ88.7%、87.7%、86.2%であっ
た。
トを装着し、十分に窒素で置換する。そして、フラスコ
に窒素で十分に脱気したトルエン30mlと三フッ化ホウ素
エチルエーテル錯体2.78g(0.0196モル)を装入した。
また、滴下ロートに35wt%の臭化フェニルマグネシウム
のエチルエーテル溶液 33.51g(0.0647モル)を装入し
た。攪拌した反応槽中に、臭化フェニルマグネシウムの
エチルエーテル溶液を滴下ロートより滴下する。その時
の反応温度は、18.6から29.9℃であった。滴下終了後、
反応槽を加熱し、エチルエーテルの除去を行った。
で1時間・3時間・5時間熟成させ、それぞれサンプリ
ングを行い、グラスフィルターでフッ化臭化マグネシウ
ムを除去した後、薄黄色透明の液体にブチルリチウムを
投入し、安定な錯体として得られた化合物より収率を求
めたところ、それぞれ91.0%、90.7%、90.7%であっ
た。
トを装着し、十分に窒素で置換する。そして、フラスコ
に窒素で十分に脱気したトルエン30mlと三フッ化ホウ素
エチルエーテル錯体2.78g(0.0196モル)を装入した。
また、滴下ロートに20wt%の臭化ペンタフルオロフェニ
ルマグネシウムのエチルエーテル溶液84.99 g(0.0627
モル)を装入した。攪拌した反応槽中に、臭化ペンタフ
ルオロフェニルマグネシウムのエチルエーテル溶液を滴
下ロートより滴下する。その時の反応温度は、26℃程度
で発熱はほとんどなかった。滴下終了後、反応槽を加熱
し、エチルエーテルの除去を行った。
後、その温度で1時間熟成を行い、それぞれサンプリン
グを行い、グラスフィルターでフッ化臭化マグネシウム
を除去した。溶媒を濃縮・乾固し、フッ素核磁気共鳴ス
ペクトルでペンタフルオロトルエンを内部標準物質に使
用して定量すると収率は92%だった。薄茶色の液体にブ
チルリチウムを投入し、次いで塩化トリメチルアンモニ
ウム水溶液を加えて得られた化合物の乾燥重量は、理論
値の85%であった。また、ブチルリチウムのかわりに臭
化ペンタフルオロベンゼンとブチルリチウムよりエチル
エーテル・ヘキサン混合溶媒中−70℃で調製したペンタ
フルオロフェニルリチウムと反応させた後、塩化N,N
−ジメチルアニリニウムの水溶液を加えて得られた化合
物の乾燥重量は理論値の85%でフッ素核磁気共鳴スペク
トルでペンタフルオロトルエンを内部標準物質に使用し
て定量すると収率は85%だった。
トを装着し、十分に窒素で置換する。そして、フラスコ
に窒素で十分に脱気したトルエン30mlと三フッ化ホウ素
エチルエーテル錯体2.78g(0.0196モル)を装入した。
また、滴下ロートに20wt%の臭化p−トリルマグネシウ
ムのエチルエーテル溶液 61.42g(0.0619モル)を装入
した。攪拌した反応槽中に、臭化p−トリルマグネシウ
ムのエチルエーテル溶液を滴下ロートより滴下する。そ
の時の反応温度は20〜30℃程度で発熱はほとんどなかっ
た。滴下終了後、反応槽を加熱し、エチルエーテルの除
去を行った。
で3時間熟成させ、グラスフィルターでフッ化臭化マグ
ネシウムを除去した後、薄黄色透明の液体にブチルリチ
ウムを投入し、安定な錯体として得られた化合物より収
率を求めたところ89.6%であり液体クロマトグラフィー
で純度を測定したところ面積百分率で91.6%であった。
トを装着し、十分に窒素で置換する。そして、フラスコ
に窒素をバブリングし十分に脱気したトルエン30mlと三
フッ化ホウ素エチルエーテル錯体2.78g(0.0196モル)
を装入した。また、滴下ロートに35wt%の臭化フェニル
マグネシウムのエチルエーテル溶液30.83 g(0.0597モ
ル)を装入した。攪拌した反応槽中に、臭化フェニルマ
グネシウムのエチルエーテル溶液を滴下ロートより滴下
する。滴下終了後、反応槽を加熱し、エチルエーテルの
除去を行った。
温度で1時間・3時間・5時間熟成させ、それぞれサン
プリングを行い、先に述べた方法で収率を求めたとこ
ろ、それぞれ90.0%、86.5%、83.8%と収率に減少傾向
が認められた。また、熟成時間の増加とともにフルオロ
ジフェニルボラン由来の副生物の増加も認められた。
トを装着し、十分に窒素で置換する。そして、フラスコ
に窒素をバブリングし十分に脱気したトルエン30mlと三
フッ化ホウ素エチルエーテル錯体2.78g(0.0196モル)
を装入した。また、滴下ロートに35wt%の臭化フェニル
マグネシウムのエチルエーテル溶液38.23 g(0.0738モ
ル)を装入した。攪拌した反応槽中に、臭化フェニルマ
グネシウムのエチルエーテル溶液を滴下ロートより滴下
する。滴下終了後、反応槽を加熱し、エチルエーテルの
除去を行った。
温度で1時間・3時間・5時間熟成させ、それぞれサン
プリングを行い、先に述べた方法で収率を求めたとこ
ろ、それぞれ65.0%、64.5%、64.5%と収率は低かった
が、減少傾向はほとんど認められ無かった。
トを装着し、十分に窒素で置換する。そして、フラスコ
に窒素で十分に脱気したトルエン30mlと三フッ化ホウ素
エチルエーテル錯体2.78g(0.0196モル)を装入した。
また、滴下ロートに20wt%の臭化ペンタフルオロフェニ
ルマグネシウムのエチルエーテル溶液79.67 g(0.0588
モル)を装入した。攪拌した反応槽中に、臭化ペンタフ
ルオロフェニルマグネシウムのエチルエーテル溶液を滴
下ロートより滴下する。その時の反応温度は26℃程度で
発熱はほとんどなかった。滴下終了後、反応槽を加熱
し、エチルエーテルの除去を行った。
後、その温度で1時間熟成を行い、それぞれサンプリン
グを行い、グラスフィルターでフッ化臭化マグネシウム
を除去した。薄茶色の液体にブチルリチウムを投入し、
次いで塩化トリメチルアンモニウム水溶液を加えて得ら
れた化合物の乾燥重量は、理論値の65%であった。
Claims (1)
- 【請求項1】 反応物に対して不活性な有機溶媒中にお
いて 0.1〜8.0mol/Lのハロゲン化ホウ素と 0.1〜3.0mol
/Lのハロゲン化アリールマグネシウムの鎖状エーテル系
溶媒溶液を反応させる際に、ハロゲン化ホウ素1モルに
対してハロゲン化アリールマグネシウムを 3.1モルから
3.5モル反応させ、その後鎖状エーテル系溶媒を反応系
内から留去することによって反応を充分進行させ更に副
生するハロゲン化マグネシウム塩を結晶化させることに
よって回収率を向上させることを特徴とする高純度のト
リアリールホウ素を高収率で製造する方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28771093A JP2856655B2 (ja) | 1992-11-02 | 1993-10-22 | トリアリールホウ素の製造方法 |
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JP4-317707 | 1992-11-02 | ||
JP28771093A JP2856655B2 (ja) | 1992-11-02 | 1993-10-22 | トリアリールホウ素の製造方法 |
Publications (2)
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Family Applications (1)
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JP28771093A Expired - Fee Related JP2856655B2 (ja) | 1992-11-02 | 1993-10-22 | トリアリールホウ素の製造方法 |
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DE19746540A1 (de) | 1997-10-22 | 1999-04-29 | Bayer Ag | S-(4-Biphenyl)-thioschwefelsäuren und ihre Salze, Verfahren zu deren Herstellung und die Herstellung von 4-Mercaptobiphenylen |
CN114369110A (zh) * | 2022-01-24 | 2022-04-19 | 中山大学 | 一种三苯基硼的制备方法 |
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