JP3472981B2 - トリアリールホウ素配位化合物アルカリ金属塩の製造法 - Google Patents

トリアリールホウ素配位化合物アルカリ金属塩の製造法

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【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の技術分野】本発明は、トリアリールホウ素配位
化合物アルカリ金属塩の製造方法に関する。さらに詳し
くは、本発明は、光重合性または熱重合性モノマーの重
合開始剤としてのスルホニウム塩、および写真感光材料
としてのアンモニウム塩などに対アニオンとして好適に
使用できるトリアリールホウ素配位化合物アルカリ金属
塩を、高純度かつ高収率で容易に製造する方法に関す
る。 【0002】 【発明の技術的背景】光重合性または熱重合性モノマー
の重合開始剤として使用される各種のスルホニウム塩
(特開平5−255347号公報)や、写真感光材料と
して使用されるアンモニウム塩などには、対アニオンと
して、有機ホウ素配位化合物のアルカリ金属塩を好適に
用い得ることが知られている。 【0003】このような有機ホウ素化合物アルカリ金属
塩は、従来では、例えばトリアリールホウ素化合物(A
3B:式中Arはアリール基である)に有機アルカリ
金属化合物を反応させて製造されていた(ジャーナル・
オブ・ケミカル・ソサエティー・パーキン・トランス
(J. Chem. Soc. Perkin Trans.) 、第32巻、1225
頁(1978年))。 【0004】しかしながら、このような従来の有機ホウ
素配位化合物アルカリ金属塩の製造方法では、反応条件
下において、反応原料として用いられるトリアリールホ
ウ素化合物の安定性が低く、その取り扱いに特殊な装置
や技術が必要とされ、著しく煩雑な操作を伴うばかりで
なく、充分に高い収率をあげられないという問題があっ
た。 【0005】また、有機ホウ素配位化合物アルカリ金属
塩の製造方法としては、ハロゲン化アリールマグネシウ
ムとハロゲン化ホウ素とを反応させて得たトリアリール
ホウ素化合物を、炭化水素系溶媒、鎖状エーテル系溶媒
あるいはその混合溶媒に溶解して溶液を調製し、このト
リアリールホウ素化合物溶液に、有機アルカリ金属化合
物(R−M:式中Rはアルキル基またはアリール基であ
り、Mはアルカリ金属である)を炭化水素系溶媒、鎖状
エーテル系溶媒あるいはその混合溶媒に溶解して得た有
機アルカリ金属塩溶液を、−80〜25℃の温度を維持
しながら滴下し反応させる方法が知られている(特開平
6−199872号公報)。この方法でのトリアリール
ホウ素化合物と、有機アルカリ金属化合物との反応は、
以下の反応式で示すことができる。 【0006】 Ar3B + R−M → [Ar3(R)B]M (1) (式中、Arはアリール基を示し、Rはアルキル基また
はアリール基を示し、Mはアルカリ金属を示す。) この有機ホウ素配位化合物アルカリ金属塩の製造方法
は、前述の方法と比べると収率面で改善されているもの
の、反応原料としてやはりトリアリールホウ素化合物が
用いられているため、これに起因する同様の問題があっ
た。 【0007】また、この方法では、トリアリールホウ素
化合物の製造に際して、副生成物としてマグネシウム塩
が生成する他、ハロゲン化アリールマグネシウムが未反
応のままで残存するため、これらの除去処理が必要であ
った。 【0008】さらに、こうして得られたトリアリールホ
ウ素化合物と、有機アルカリ金属化合物との有機溶媒中
での反応では、原料のトリアリールホウ素化合物に由来
するモノアリールホウ素化合物やジアリールホウ素化合
物が副生物として生成する恐れがあった。 【0009】加えて、トリアリールホウ素化合物の製造
時に未反応のままで残されたハロゲン化アリールマグネ
シウムが、トリアリールホウ素化合物およびアルキルま
たはアリールアルカリ金属塩の存在下で、下記反応式
(2)、(3)で表されるような副反応を起こす。 【0010】 ArMgBr+R−M→Ar−M+RMgBr (2) Ar3B+Ar−M→[Ar4-]M+ (3) このような副反応の結果、目的とする基Rの代わりにハ
ロゲン化アリールマグネシウム由来のAr基を有するテ
トラアリールホウ素配位化合物アルカリ金属塩が副生し
てしまう。 【0011】以上説明した副生物の生成は、目的生成物
の純度および収率を著しく低下させることとなる。した
がって、このような従来の方法では、目的とするトリア
リールホウ素配位化合物アルカリ金属塩を高純度で製造
するには、上述したような副生物の除去精製工程を必要
とし、かつこれら副生物の生成を抑えるために、25℃
以下、好ましくは0℃以下の低温に維持して反応を行な
わなければならず、製造工程が煩雑で、反応条件の設定
が面倒であるという問題があった。 【0012】 【発明の目的】本発明は、このような従来技術に伴う問
題点を解決しようとするものであって、トリアリールホ
ウ素配位化合物アルカリ金属塩を、高純度かつ高収率で
容易に製造する方法を提供することを目的としている。 【0013】 【発明の概要】本発明に係るトリアリールホウ素配位化
合物アルカリ金属塩の製造方法は、一般式(i): Ar3B−NR1 n (i) (式中、Arはアリール基であり、NR1 nは活性水素を
持たない三級アミン基あるいは芳香族アミン基であっ
て、N原子はn=3個の各々独立な基を有していても、
n=2個の置換基と共に芳香環を形成してもよい)で表
されるトリアリール(アミン)ホウ素配位化合物と、一
般式(ii): R−M (ii) (式中、Rはアルキル基またはアリール基であり、Mは
アルカリ金属である)で表される有機アルカリ金属化合
物とを、不活性溶媒中、0〜50℃の温度にて反応さ
せ、一般式(I): [Ar3(R)B]M (I) (式中Ar、RおよびMは、上記式(i)および(i
i)と同様である)で示されるトリアリールホウ素配位
化合物アルカリ金属塩を製造することを特徴としてい
る。 【0014】 【発明の具体的説明】本発明に係るトリアリールホウ素
配位化合物アルカリ金属塩の製造方法では、下記の反応
式で示されるように、一般式(i)で表されるトリアリ
ール(アミン)ホウ素配位化合物と、一般式(ii)で
表される有機アルカリ金属化合物とを、不活性溶媒中、
特定温度にて反応させて、一般式(I)で表されるトリ
アリールホウ素配位化合物アルカリ金属塩を製造してい
る。 【0015】 Ar3B−NR1 n (i) + R−M (ii) →[Ar3(R)B]M (I) 以下、先ず、本発明の方法で、原料として用いられるト
リアリール(アミン)ホウ素配位化合物(以下、トリア
リール(アミン)ホウ素配位化合物(i)と記す)と、
有機アルカリ金属化合物(以下、有機アルカリ金属化合
物(ii)と記す)とをより具体的に説明する。 【0016】本発明で、原料として用いられるトリアリ
ール(アミン)ホウ素配位化合物(i)は、下記一般式
(i): Ar3B−NR1 n (i) で表される。 【0017】一般式(i)中、Arはアリール基であ
る。このようなArとしては、具体的には、フェニル
基、p-トリル基、m-トリル基、メシチル基、キシリル
基、ビフェニル基、ナフチル基およびペンタフルオロフ
ェニル基等を挙げることができる。 【0018】Arとしては、このような基の内、特にフ
ェニルが好ましい。また、NR1 nは、活性水素を有さな
い三級アミン基または芳香族アミン基である。 【0019】即ち、NR1 nが三級アミン基である場合、
n=3個のR1 は、各々独立した基、例えば単素数1〜
4の炭化水素基、フェニル基などである。また、NR1 n
が芳香族アミン基である場合、n=2個のR1 は、N原
子と協同して芳香環例えば、ピリジン環、キノリン環を
形成する。 【0020】このようなNR1 nとしては、具体的には、
トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルア
ミン、トリブチルアミン、ジメチルアニリンおよびジエ
チルアニリンなどの活性水素を有しない三級アミンおよ
びピリジン等の活性水素を有さない芳香族アミンを例示
することができる。 【0021】このような基の内、特にピリジンが好まし
い。このようなトリアリール(アミン)ホウ素配位化合
物(i)は、トリアリールホウ素化合物と、不対電子を
持つルイス塩基化合物である三級アミンあるいは芳香族
アミンとの反応により得られる(ベリヒテ(Ber)、
第57巻、813頁(1924年))。この反応により得ら
れた反応混合物から、再結晶等の精製操作により容易に
高純度のトリアリール(アミン)ホウ素配位化合物
(i)を得ることができる。 【0022】本発明の方法で用いられるトリアリール
(アミン)ホウ素配位化合物(i)としては、具体例に
は、トリフェニル(ピリジン)ボラン(m.p.210℃)、
トリ-p-トリル(ピリジン)ボラン、トリ-m-トリル(ピ
リジン)ボラン、トリフェニル(トリメチルアミン)ボ
ラン(m.p.135 〜137℃)、トリフェニル(トリエチル
アミン)ボラン、トリフェニル(トリ-n-プロピルアミ
ン)ボランおよびトリフェニル(トリ-n-メチルアミ
ン)ボラン等を例示することができる。 【0023】このようなトリアリール(アミン)ホウ素
配位化合物(i)の内、特にトリフエニル(ピリジン)
ボランが好ましい。本発明で、もう一方の原料として用
いられる有機アルカリ金属化合物(ii)は、下記一般
式(ii): R−M (ii) で表される。 【0024】一般式(ii)中、Rは、アルキル基また
はアリール基である。アルキル基としては、具体的に
は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル
基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert- ブチル基、ペン
チル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシ
ル基およびヘプチル基などがあげられる。また、アリー
ル基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、メ
シチル基、ペンタフルオロフェニル基、ビフェニル基、
ナフチル基、アントリル基およびインデニル基などがあ
げられる。 【0025】このようなRで表される基の内、特にn-ブ
チル基が望ましい。また、一般式(ii)中、Mは、ア
ルカリ金属であり、具体的には、リチウム、ナトリウ
ム、カリウムなどを挙げることができる。この内、リチ
ウムが望ましい。 【0026】このような有機アルカリ金属化合物(i
i)としては、例えばメチルリチウム、エチルリチウ
ム、n-プロピルリチウム、iso-プロピルリチウム、n-ブ
チルリチウム、シクロペンチルリチウム、フェニルリチ
ウム、p-トリルリチウム、ペンタフルオロフェニルリチ
ウム等を好ましい例として挙げることができる。このよ
うな有機リチウム化合物は、安定で取扱いが容易である
ため実用的であるが、これらの有機リチウム化合物に代
えて、有機ナトリウム化合物や有機カリウム化合物も有
効に使用することができる。 【0027】本発明の方法で用いられる有機アルカリ金
属化合物(ii)は、炭化水素系溶媒、鎖状エーテル系
溶媒あるいはそれらの混合溶媒中、アルキルまたはアリ
ールハライドとアルカリ金属とを反応させることにより
製造することができる。この反応で用いられる炭化水素
系溶媒としては、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプ
タンなどを挙げることができる。また、鎖状エーテル系
溶媒としては、エチルエーテル、ブチルエーテルなどを
挙げることができる。 【0028】本発明では、この反応で得られる有機アル
カリ金属化合物(ii)を、特に単離することなく、不
活性溶媒溶液としてそのままトリアリール(アミン)ホ
ウ素配位化合物(i)との反応に用いることができる。 【0029】本発明に係るトリアリールホウ素配位化合
物アルカリ金属塩(I)の製造方法では、以上説明した
トリアリール(アミン)ホウ素配位化合物(i)と、有
機アルカリ金属化合物(ii)とを、不活性溶媒中で反
応させて、トリアリールホウ素配位化合物(I)を製造
している。 【0030】このような不活性溶媒は、反応原料および
反応生成物に対して不活性であれば特に限定されない
が、例えば、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン
などの炭化水素系溶媒、エチルエーテル、ブチルエーテ
ルなどの鎖状エーテル系溶媒、およびこれらの混合溶媒
などを挙げることができる。 【0031】また、有機アルカリ金属化合物(ii)が
炭化水素系溶媒で製造される場合、この炭化水素系溶媒
を不活性溶媒として用いればよく、エーテル系溶媒は必
ずしも必要としない。 【0032】以下、より具体的に、本発明のトリアリー
ルホウ素配位化合物(I)の製造方法を説明する。本発
明では、トリアリール(アミン)ホウ素配位化合物
(i)および有機アルカリ金属化合物(ii)を、不活
性溶媒と混合してこの不活性溶媒中で接触、反応させて
いる。 【0033】トリアリール(アミン)ホウ素配位化合物
(i)および有機アルカリ金属化合物(ii)と、有機
溶媒との混合順序は特に限定されないが、例えば下記方
法によって好適に行うことができる。 【0034】先ず、トリアリール(アミン)ホウ素配位
化合物(i)を、上記不活性溶媒中に投入し、攪拌して
懸濁液を調製する。この懸濁液中、トリアリール(アミ
ン)ホウ素配位化合物(i)は、通常10〜50重量%
の範囲、特に反応混合物の流動性の観点から、20〜3
0重量%の範囲で含まれることが望ましい。 【0035】次に、この懸濁液を、0〜50℃、好まし
くは20〜40℃の温度に保ち、攪拌しながら、有機ア
ルカリ金属化合物(ii)の不活性溶媒溶液を滴下する
と、原料化合物(i)および(ii)は、不活性溶媒中
で接触し、この反応は、室温近傍の温度でも、容易に進
行し、副反応も起こりにくい。 【0036】有機アルカリ金属化合物(ii)は、反応
混合物中のトリアリール(アミン)ホウ素配位化合物
(i)が、有機アルカリ金属化合物(ii)に対して
1.0〜1.5倍モルの量となった時点で、滴下を終了
させることが望ましい。特に、トリアリール(アミン)
ホウ素配位化合物(i)が、有機アルカリ金属化合物
(ii)に対して1.1倍モル以上の量で使用される場
合には、反応は、加えた有機アルカリ金属化合物量に比
例してほとんど定量的に進行する。したがって、用いた
有機アルカリ金属化合物(ii)とほぼ同モル数の目的
化合物が得られる。過剰のトリアリール(アミン)ホウ
素配位化合物(i)は、固体のままで反応混合物内に残
存する。この固体は、濾過により容易に除くことができ
るため、除去操作は極めて容易である。 【0037】この方法では、トリアリール(アミン)ホ
ウ素配位化合物(i)および有機アルカリ金属化合物
(ii)の混合終了後、さらに1〜2時間、適当な温度
を維持して熟成させることにより、反応を完結させるこ
とが望ましい。 【0038】得られたトリアリールホウ素配位化合物ア
ルカリ金属塩の反応混合物からの回収は、抽出、洗浄お
よび蒸留等の処理を適宜組み合わせ、例えば下記方法に
より、容易に行なうことができる。 【0039】先ず、反応混合物を30℃以下に保ち、攪
拌しながら水を加えると目的のトリアリールホウ素配位
化合物アルカリ金属塩は、水に容易に溶解して水層に移
行する。また、この際、未反応のまま残った有機アルカ
リ金属化合物は、加水分解される。この水層を分液し、
トルエン等の有機溶媒で抽出洗浄すると、水層に混入す
る有機性の不純物が完全に除去される。次いで減圧条件
で若干溶解している抽出溶媒を留去すると高純度のトリ
アリールホウ素配位化合物アルカリ金属塩の水溶液が得
られる。 【0040】以上説明した本発明のトリアリールホウ素
配位化合物金属塩の製造方法は、極めて安定なトリアリ
ール(アミン)ホウ素配位化合物(i)を原料として用
いているため、反応操作および反応条件設定が容易であ
ることに利点がある。また、トリアリール(アミン)ホ
ウ素配位化合物(i)は、精製が容易で高純度とするこ
とができ、さらにその有機アルカリ金属化合物(ii)
との交換反応が、副反応を伴わずに進行するため、高純
度の目的化合物が高収率で得られることとなる。 【0041】 【発明の効果】以上説明したように本発明に係るトリア
リールホウ素配位化合物金属塩の製造方法によれば、極
めて安定で精製が容易なトリアリール(アミン)ホウ素
配位化合物(i)を原料として用い、かつその有機アル
カリ金属化合物(ii)との交換反応が、室温近傍の反
応温度でも副反応を伴わずに進行するため、反応操作お
よび反応条件設定が容易である他、副生物の除去操作も
簡単であり、したがって、トリアリールホウ素配位化合
物アルカリ金属塩を、高純度かつ高収率で容易に製造す
ることが可能である。 【0042】以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細
に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下
の実施例に何らの限定を受けるものではない。 【0043】 【実施例】以下の実施例の純度測定は、反応により得ら
れたトリアリールホウ素配位化合物アルカリ金属塩水溶
液を用い、液体クロマトグラフィーによる面積百分率法
でその組成比を求めることによって行なった。 【0044】また、収率測定では、得られたトリアリー
ルホウ素配位化合物アルカリ金属塩([Ar3(R)
B]M)の水溶液に、過剰のテトラブチルホスホニウム
ブロミド(PBu4Br:式中Buはブチル基である)
の水溶液を加えて、テトラブチルホスホニウムホウ酸塩
(PBu4[Ar3(R)B])を沈澱させ(下記反応式
(4)参照)、これを濾取・乾燥して得た乾燥重量を用
いて行なった。 【0045】即ち、本実施例では、上記乾燥重量から、
生成したトリアリールホウ素配位化合物アルカリ金属塩
のモル数を換算し、このモル数の、使用した有機アルカ
リ金属化合物の使用モル数に対する比(百分率)を収率
とした。 [Ar3(R)B]M+PBu4Br→PBu4[Ar3(R)B] (4) 【0046】 【実施例1】リチウムトリフェニル(n-ブチル) ボレー
ト([Ph3(n−Bu)B]Li)の合成 十分に窒素置換した100mlの4径フラスコにトリフェ
ニル(ピリジン)ボラン(5.2g、0.016モル)
と25mlのトルエンを仕込んだ。この懸濁液を激しく攪
拌し、30℃以下に保って、1.61モル/リットルの
n-ブチルリチウム(10ml、0.016モル)のヘキサ
ン溶液を滴下した。滴下後のスラリー状の混合物を、さ
らに20〜25℃で1時間熟成させ反応を完結させた。
反応終了後、反応液温を、30℃以下に保ちながら、水
(25ml)を加えて未反応のn-ブチルリチウムを加水分
解した。反応液の中間層には、過剰分の原料のトリフェ
ニル(ピリジン)ボランが未反応のまま固体で残るの
で、濾過して除き、水層を分液した。 【0047】さらに、この水層をトルエン洗浄・分液し
て得られたリチウムトリフェニル(n-ブチル) ボレート
水溶液の純度および収率を上記の方法で求めた。得られ
た結果を表1に示す。 【0048】 【実施例2】リチウムトリフェニル(p-トリル) ボレー
ト([Ph3(p-Tolyl)B]Li)の合成 十分に窒素置換した100mlの4径フラスコにトリフェ
ニル(ピリジン)ボラン(5.2g、0.016モル)
と25mlのトルエンを仕込んだ。この懸濁液を激しく攪
拌し、30℃以下に保って、1.61モル/リットルの
フェニルリチウム(10ml、0.016モル)のエチル
エーテル溶液を滴下した。滴下後のスラリー状の混合物
を、さらに20〜25℃で1時間熟成させ反応を完結さ
せた。反応終了後、反応液温を、30℃以下に保ちなが
ら、水(25ml)を加えて未反応のn-ブチルリチウムを
加水分解した。反応液の中間層に、過剰分の原料のトリ
フェニル(ピリジン)ボランが未反応のまま固体で残る
ので、濾過して除き、水層を分液した。水層をトルエン
で洗浄した。また、収率をテトラブチルホスホニウム塩
の形に導き重量分析により求めた。その結果を表1に示
す。 【0049】さらに、この水層をトルエン洗浄・分液し
て得られたリチウムトリフェニル(p-トリル) ボレート
水溶液の純度および収率を上記の方法で求めた。得られ
た結果を表1に示す。 【0050】 【実施例3】リチウムトリフェニル(n-ブチル) ボレー
ト([Ph3(n−Bu)B]Li)の合成 十分に窒素置換した100mlの4径フラスコにトリフェ
ニル(トリエチルアミン)ボランとPhMe(25ml)
を仕込んだ。この懸濁液を激しく攪拌しながら、30℃
以下に保って、1.61モル/リットルのn-ブチルリチ
ウムのヘキサン溶液を滴下した。滴下後、スラリーを、
さらに20〜25℃で1時間熟成し、30℃以下で加水
分解(水25ml)した。反応液の中間層には、過剰分の
原料のトリフェニルボラン−ピリジン錯体が未反応のま
ま固体で残るので、濾過して除き、水層を分液した。 【0051】さらに、この水層をトルエン洗浄・分液し
て得られたリチウムトリフェニル(n-ブチル) ボレート
水溶液の純度および収率を上記の方法で求めた。得られ
た結果を表1に示す。 【0052】 【実施例4】リチウムトリフェニル(p-トリル) ボレー
ト([Ph3(p-Tolyl)B]Li)の合成 十分に窒素置換した100mlの4径フラスコにトリ(p-
トリル)ボランジメチルアニリン錯体とトルエン(25
ml)を仕込んだ。この懸濁液を激しく攪拌しながら、3
0℃以下に保って、1.61モル/リットルのn-ブチル
リチウムのエチルエーテル溶液を滴下した。滴下後、ス
ラリー状の反応混合物を、さらに20〜25℃で1時間
熟成し、30℃以下に保って、水25mlで加水分解し
た。反応液の中間層には、過剰分の原料のトリフェニル
ボラン−ピリジン錯体が未反応のまま固体で残るので、
濾過して除き、水層を分液した。 【0053】さらに、この水層をトルエン洗浄・分液し
て得られたリチウムトリフェニル(p-トリル) ボレート
水溶液の純度および収率を上記の方法で求めた。得られ
た結果を表1に示す。 【0054】 【比較例1】リチウムトリフェニル(n-ブチル) ボレー
ト([Ph3(n−Bu)B]Li)の合成(特開平6
−199872号公報記載の方法) 十分に窒素置換した50mlの4径フラスコに三フッ化ホ
ウ素ジエチルエーテル錯体2.78g(0.0196モ
ル)とトルエン30mlを仕込んだ。三フッ化ホウ素ジエ
チルエーテル錯体のトルエン溶液中に、20〜30℃の
温度を維持し、攪拌しながら、1.5モル/リットルの
臭化フェニルマグネシウムのエーテル溶液50ml(0.
075モル)を滴下漏斗より滴下した。 【0055】滴下終了後、反応液を110℃に加熱し、
エチルエーテルの除去を行った。その温度で副生するフ
ッ化臭化マグネシウムが濾過可能な懸濁状態になった
後、ガラスフィルターによりフッ化臭化マグネシウムの
除去を行ってトリフェニルボランのトルエン溶液を得
た。 【0056】得られたトリフェニルボランのトルエン溶
液を、十分に窒素置換した200mlの4径フラスコに仕
込んで、−40(±2℃)の温度に冷却した。冷却した
トリフェニルボランのトルエン溶液に、この温度を維持
して攪拌しながら、n-ブチルリチウムのヘキサン溶液
を、滴下ロートにより滴下した。なお、n-ブチルリチウ
ムのヘキサン溶液の滴下量は、トリフェニルボラン合成
で使用した三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体から換
算したトリフェニルボラン量の1.1倍モル当量となっ
た時点で終了させた。滴下終了後、同温度で30分間熟
成した後、0℃以下で加水分解を行い、この際に水層に
リチウムトリフェニル(n-ブチル) ボレートを移行させ
た。 【0057】さらに、この水層をトルエン洗浄・分液し
て得られたリチウムトリフェニル(n-ブチル) ボレート
水溶液の純度および収率を上記の方法で求めた。得られ
た結果を表1に示す。 【0058】 【比較例2】リチウムトリフェニル(n-ブチル) ボレー
ト([Ph3(n−Bu)B]Li)の合成(特開平6
−199872号公報記載の方法を本発明と同様の温度
で行なった実験例) 十分に窒素置換した50mlの4径フラスコに三フッ化ホ
ウ素ジエチルエーテル錯体2.78g(0.0196モ
ル)とトルエン30mlを仕込んだ。三フッ化ホウ素ジエ
チルエーテル錯体のトルエン溶液中に、20〜30℃の
温度を維持して攪拌しながら、1.5モル/リットルの
臭化フェニルマグネシウムのエーテル溶液50ml(0.
075モル)を滴下漏斗より滴下した。 【0059】滴下終了後、反応液を110℃に加熱し、
エチルエーテルの除去を行った。その温度で副生するフ
ッ化臭化マグネシウムが濾過可能な懸濁状態になった
後、ガラスフィルターによりフッ化臭化マグネシウムの
除去を行ってトリフェニルボランのトルエン溶液を得
た。 【0060】得られたトリフェニルボランのトルエン溶
液を、十分に窒素置換した200mlの4径フラスコに仕
込んだ。トリフェニルボランのトルエン溶液に、25〜
30℃の温度に維持し、攪拌しながら、n-ブチルリチウ
ムのヘキサン溶液を滴下ロートにより滴下した。なお、
n-ブチルリチウムのヘキサン溶液の滴下量は、トリフェ
ニルボラン合成で使用した三フッ化ホウ素ジエチルエー
テル錯体から換算したトリフェニルボラン量の1.1倍
モル当量となった時点で終了させた。滴下終了後、同温
度で30分間熟成した後、0℃以下で加水分解を行い、
この際に水層にリチウムトリフェニル(n-ブチル) ボレ
ートを移行させた。 【0061】さらに、この水層をトルエン洗浄・分液し
て得られたリチウムトリフェニル(n-ブチル) ボレート
水溶液の純度および収率を上記の方法で求めた。得られ
た結果を表1に示す。 【0062】 【表1】
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−199872(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07F 5/02 CA(STN) CAOLD(STN) REGISTRY(STN)

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 一般式(i): Ar3B−NR1 n (i) (式中、Arはアリール基であり、NR1 nは活性水素を
    持たない三級アミンあるいは芳香族アミンであって、N
    原子はn=3個の各々独立な基を有していても、n=2
    個の置換基と共に芳香環を形成してもよい)で表される
    トリアリール(アミン)ホウ素配位化合物と、一般式
    (ii): R−M (ii) (式中、Rはアルキル基またはアリール基であり、Mは
    アルカリ金属である)で表される有機アルカリ金属化合
    物とを、不活性溶媒中、0〜50℃の温度にて反応さ
    せ、一般式(I): [Ar3(R)B]M (I) (式中、Ar、RおよびMは上記式(i)および(i
    i)と同様である)で示されるトリアリールホウ素配位
    化合物アルカリ金属塩を製造することを特徴とするトリ
    アリールホウ素配位化合物アルカリ金属塩の製造方法。
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