JPH10182681A - ビスアルキルシクロペンタジエニル錯体化合物の製造法 - Google Patents

ビスアルキルシクロペンタジエニル錯体化合物の製造法

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JPH10182681A
JPH10182681A JP8357749A JP35774996A JPH10182681A JP H10182681 A JPH10182681 A JP H10182681A JP 8357749 A JP8357749 A JP 8357749A JP 35774996 A JP35774996 A JP 35774996A JP H10182681 A JPH10182681 A JP H10182681A
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reaction
complex compound
bisalkylcyclopentadienyl
cyclopentadiene
mol
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JP8357749A
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Yasuo Matsumura
泰男 松村
Yoshihisa Inomata
佳久 猪俣
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Eneos Corp
Original Assignee
Nippon Petrochemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 工業的に有用なビスアルキルシクロペンタジ
エニル錯体化合物を安価に製造する新規な製造法を提供
する。 【解決手段】 塩基性触媒の共存下にシクロペンタジエ
ン類と脂肪族アルデヒドとを縮合させて得られる反応液
に、水素化アルミニウムリチウムあるいは水素化ホウ素
ナトリウムを反応させた後、更に金属ハロゲン化物を反
応させることを特徴とするビスアルキルシクロペンタジ
エニル錯体化合物の製造法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、工業的に有用な、
例えばオレフィン重合用のシングルサイト触媒の一成分
となり得るビスアルキルシクロペンタジエニル錯体化合
物の新規な製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】いわゆるサンドイッチ錯体の形態を取る
ビスアルキルシクロペンタジエニル錯体化合物の製造法
については、従来、各種の提案がなされている。その中
でも工業的に入手が容易な原料を用いる製造法として、
例えば、シクロペンタジエンを金属ナトリウム等のアル
カリ金属あるいはブチルリチウム等の強塩基で処理した
後、アルキルハライドと反応させてアルキルシクロペン
タジエンとし、更にアルカリ金属あるいは強塩基で処理
した後、金属のハロゲン化物と反応させることによりビ
スアルキルシクロペンタジエニル錯体化合物を得る方法
が知られている。しかしながら、この反応では1モルの
ビスアルキルシクロペンタジエニル錯体化合物を得るの
に4モルのアルカリ金属あるいは強塩基が必要であり、
製造コストが高くなる。また、アルカリ金属は発火性が
あり反応の操作が容易ではない。更に、反応工程数が多
いことなどの欠点もある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の点を
改良し、危険性が低く工程数の少ない反応でビスアルキ
ルシクロペンタジエニル錯体化合物を合成する方法を提
供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の第1
は、次の工程(I)から(III)を含むことを特徴とする
ビスアルキルシクロペンタジエニル錯体化合物の製造法
に関するものである。 工程(I):シクロペンタジエンまたはアルキルシクロ
ペンタジエンと脂肪族アルデヒドとを塩基性触媒により
縮合させる工程 工程(II):工程(I)で得られた反応液に水素化金属
を反応させる工程 工程(III):工程(II)で得られた反応液にFe、T
i、Hf およびZrから選ばれる金属のハロゲン化物を反
応させることによりビスアルキルシクロペンタジエニル
錯体化合物を製造する工程 本発明の第2は、下記式〔a〕に示すシクロペンタジエ
ンまたはアルキルシクロペンタジエンと、下記式〔b〕
に示す脂肪族アルデヒドとを塩基性触媒の存在下で反応
させた後、水素化アルミニウムリチウムおよび/または
水素化ホウ素ナトリウムと反応させ、更にFe、Ti、H
f およびZr から選ばれる金属のハロゲン化物と反応さ
せることを特徴とする下記式〔c〕に示すビスアルキル
シクロペンタジエニル錯体化合物の製造法に関するもの
である。
【化4】 〔ここで、R1は炭素数1〜8のアルキル基を表し、m
個のR1は互いに同一でも異なってもよく、mは0〜4
の整数を表す。〕
【化5】 〔ここで、R2は炭素数1〜8のアルキル基を表す。〕
【化6】 〔ここで、MはFe、Ti、Hf およびZr から選ばれる
金属を表し、Yはハロゲン原子あるいは水素原子を表
す。R1、R2およびmの定義は前記式〔a〕および
〔b〕と同様である。〕 本発明の第3は、本発明の第2において、水素化アルミ
ニウムリチウムおよび/または水素化ホウ素ナトリウム
を、脂肪族アルデヒド1モルに対して0.05〜0.75
モル用いることを特徴とする製造法に関する。本発明の
第4は、本発明の第2において、金属のハロゲン化物
を、水素化アルミニウムリチウムおよび/または水素化
ホウ素ナトリウム1モルに対して0.05〜0.5モル用
いることを特徴とする製造法に関する。本発明の第5
は、本発明の第2において、塩基性触媒が塩基性イオン
交換樹脂であることを特徴とする製造法に関する。
【0005】以下、本発明を更に説明する。本発明で
は、まず工程(I)において、式〔a〕に示すシクロペ
ンタジエンまたはアルキルシクロペンタジエン(以下
「シクロペンタジエン類」という)と、式〔b〕に示す
脂肪族アルデヒドとを縮合させる。ここで、式〔a〕と
式〔b〕におけるR1およびR2は、炭素数1から8のア
ルキル基を表し、具体的にはメチル基、エチル基、n−
プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチ
ル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル
基、n−ヘキシル基などが挙げられる。式〔a〕におい
て、置換基R1は最大4個まで導入されていてもよい。
複数のアルキル基が置換する場合は、互いに同一でも異
なってもよい。
【0006】式〔a〕に示すシクロペンタジエン類の具
体例としては、シクロペンタジエン、メチルシクロペン
タジエン、エチルシクロペンタジエン、n−プロピルシ
クロペンタジエン等が挙げられる。これらの中でシクロ
ペンタジエンおよびメチルシクロペンタジエンが好適で
ある。
【0007】式(b)に示す脂肪族アルデヒドの具体例
としては、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、
n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n−バ
レルアルデヒド、イソバレルアルデヒド、ピバリンアル
デヒド、n−ヘキシルアルデヒド、2−エチルブチルア
ルデヒド、2−メチル−n−バレルアルデヒド、3,3
−ジメチル−n−ブチルアルデヒド、n−ヘプチルアル
デヒド、2,3−ジメチル−n−バレルアルデヒド、n
−オクチルアルデヒド、2−エチルヘキシルアルデヒ
ド、n−ノニルアルデヒド等が挙げられる。これらの中
でアセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチ
ルアルデヒドおよびn−バレルアルデヒドが好適であ
る。
【0008】工程(I)においては、式〔a〕に示すシ
クロペンタジエン類および式〔b〕に示す脂肪族アルデ
ヒドを、塩基性触媒の存在下で反応させる。両反応基質
の配合割合は、シクロペンタジエン類の1モルに対して
脂肪族アルデヒドが0.5〜1.5モルの範囲である。好
ましくはシクロペンタジエン類を過剰に用いる。すなわ
ち、脂肪族アルデヒドは、シクロペンタジエン類1モル
に対し1モル未満として実質的に全量を反応で消費し、
シクロペンタジエン類が未反応の状態で残るようにする
ことが望ましい。
【0009】塩基性触媒としてはピロリジン、ジエチル
アミン等のアルキルアミンあるいは塩基性イオン交換樹
脂が用いられる。この中でも、反応液から触媒の除去が
容易であることから塩基性イオン交換樹脂が好ましい。
塩基性イオン交換樹脂は、スチレン・ジビニルベンゼン
ポリマーからなるゲル型あるいはポーラス型ポリマーの
ベンゼン環にトリメチルアンモニウム基やジメチルエタ
ノールアンモニウム基等の第四級アンモニウム基をイオ
ン交換基として有する樹脂である。塩基性イオン交換樹
脂は、一般に塩素イオンを対イオンとした含水型で販売
されており、その使用に先立ち常法に従い水酸化ナトリ
ウム等の塩基性水溶液でイオン交換しなければならな
い。その後、含まれる水分をアルコールで置換するかあ
るいは減圧乾燥により除去した後、本発明に供すること
が好ましい。
【0010】工程(I)におけるシクロペンタジエン類
と脂肪族アルデヒドとの反応は、通常−20〜100℃
の温度範囲で行う。好ましくは0〜40℃の範囲であ
る。−20℃より低い温度では反応が遅すぎたり、溶液
が固化して反応操作が困難となるため好ましくない。1
00℃を超える高温では反応熱の除去が不十分となり反
応を制御することができなくなる場合がある。また反応
温度が反応溶媒の沸点以上になると、加圧反応器が必要
となるため反応操作が煩雑になったり、反応熱の除去が
不十分となって反応の制御が困難になるため好ましくな
い。反応時間は、反応原料を加えた後15分以上とすれ
ば十分である。通常は10時間以内で反応を終了させ
る。
【0011】工程(I)の反応溶媒としては、適宜にジ
エチルエーテル、ジブチルエーテル、THF、ジオキサ
ン、トルエン、ヘキサン、ヘプタン等を用いることがき
る。これらの溶媒は、次の反応工程(II)および(II
I)の溶媒としても使用することができ、この点を考慮
すると、特にTHFおよびジエチルエーテルが好まし
い。また、反応基質の一つであるシクロペンタジエン類
を過剰に用いて溶媒とすることもできる。ただし、この
ように大過剰に用いる場合は、溶媒として残った未反応
のシクロペンタジエン類を減圧下で留出させるなどの方
法によりあらかじめ除去した後に次の反応工程へ供給す
ることが好ましい。
【0012】シクロペンタジエン類と脂肪族アルデヒド
とを縮合し、脱水するとことにより、6−位にアルキル
基、好ましくは直鎖アルキル基が置換した6−アルキル
フルベンが生成する。例えば、シクロペンタジエンとn
−ブチルアルデヒドを縮合させることにより6−n−プ
ロピルフルベンが得られる。
【0013】上記の反応の後、反応混合物から触媒とし
ての塩基を除去することが肝要である。したがって、ア
ルキルアミンのように揮発性塩基であれば蒸留により分
離することができ、塩基性イオン交換樹脂のように固体
塩基の場合は、反応液を常法により濾過分離することに
より固体塩基を反応混合物から除くことができる。反応
により生成する水も適宜に分離する。ただし、水は次の
工程において添加する水素化金属と反応して消費される
ため、生成した水は分離することなくそのまま次の工程
に供することができる。
【0014】なお、一般にアルキルフルベン、特に6−
位にアルキル基、好ましくは直鎖アルキル基が置換した
6−アルキルフルベンは、熱安定性に乏しい化合物であ
る。したがって、本工程において得られる反応液を蒸留
などの加熱処理工程に供すると、アルキルフルベンの損
失を招くので好ましくない。そのため、前記触媒として
の塩基およびその除去方法等の選択においては、反応後
の後処理の際に加熱操作を要しないように留意すること
が好ましい。このような観点から、濾過分離や抽出分離
などのように熱負荷を受けない分離手段で分離が可能な
触媒として固体塩基を使用したり、生成した水を蒸留分
離せず次の工程において消費するなどの方法を採用すれ
ば、アルキルフルベンの損失を低下させることが可能と
なる。工程(I)から流出し、触媒としての塩基を適宜
の方法により除去した反応液を、以下「A液」と称す
る。A液は好ましくは水を含むものである。
【0015】工程(II)においては、前の工程から得ら
れたA液を、水素化金属、例えば水素化アルミニウムリ
チウムあるいは水素化ホウ素ナトリウムと反応させる。
この反応液を以下「B液」という。反応に用いる水素化
金属としては、LiAlH4(水素化アルミニウムリチウ
ム)、NaBH4(水素化ホウ素ナトリウム)などのほ
か、NaB(CN)H3、(CH3)4NBH4、(C25)4NB
4、BH3、NaAlH4およびこれらの混合物などのよ
うな水素化金属錯体が例示される。好ましくは、水素化
アルミニウムリチウム、水素化ホウ素ナトリウムまたは
これらの混合物である。水素化アルミニウムリチウムや
水素化ホウ素ナトリウムは、粉体またはタブレット等の
固体状、またはエーテル、THF、トルエン、ヘキサン
等の溶媒に溶解しあるいは分散した液体状のいずれの形
態でも反応に供することができる。
【0016】水素化金属の投入方法について特に制限は
ない。水素化アルミニウムリチウムあるいは水素化ホウ
素ナトリウムを固体として扱う場合には、あらかじめ反
応器にこれらの固体および溶媒を仕込んだ後、A液を徐
々に加える方法を用いると操作および装置が簡便であ
る。いずれの方法においても、反応は発熱を伴うため、
水素化金属は徐々に加える必要がある。
【0017】水素化金属、例えば水素化アルミニウムリ
チウムあるいは水素化ホウ素ナトリウムは、前記式
〔b〕の脂肪族アルデヒド1モルに対して0.05〜0.
75モルを用いる。好ましくは0.10〜0.5モルであ
る。0.05モル未満では反応が進行し難く、また0.7
5モルを超える量では未反応のシクロペンタジエン類が
付加して副反応を起こす可能性があるので好ましくな
い。副反応物の存在はその後の操作を妨害する可能性が
ある。反応系中に前の工程からの水や不純物としての水
等を含む場合には、あらかじめこれらの量を計算してそ
の分だけ過剰の水素化金属を用いることができる。
【0018】工程(II)における反応溶媒としては、従
来公知の適宜の溶媒、たとえばジエチルエーテル、ジブ
チルエーテル、THF、ジオキサン、トルエン、ヘキサ
ン、ヘプタン等を用いることができる。これらのなかで
ジエチルエーテルおよびTHFが特に好ましい。溶媒は
脱水処理しておくことが望ましい。溶媒中に水分が含ま
れていると、水素化金属として水素化アルミニウムリチ
ウムを採用した場合には、水分の1/4モルに相当する
水素化アルミニウムリチウムが無駄に消費されることに
なり経済的に不利である。
【0019】反応温度は−50℃〜100℃の範囲であ
り、好ましくは0〜20℃である。反応温度が−50℃
未満では、反応が遅すぎたり、溶液が固化して反応が実
施できなくなるため好ましくない。反応温度が100℃
を超える場合には、反応熱の除去が不十分となり反応を
制御することができなくなることがあり、また反応溶媒
の沸点以上になると加圧反応器が必要になり、反応操作
が煩雑になるので、いずれも好ましくない。反応時間
は、反応原料を加えた後15分以上とすれば十分であ
る。通常は10時間以内で反応を終了させてB液を得
る。
【0020】工程(III)においては、このようにして
製造したB液と、Fe、Ti、Hf およびZr から選ばれ
る金属のハロゲン化物とを反応させる。この反応により
得られる反応液を以下「C液」という。ハロゲンとして
はフッ素、塩素、臭素およびヨウ素が挙げられ、それら
の混合物も利用することができる。Fe、Ti、Hf およ
びZr から選ばれる金属のハロゲン化物として、具体的
には、塩化ジルコニウム、臭化ジルコニウム、フッ化ジ
ルコニウム、ヨウ化ジルコニウム、塩化チタン、臭化チ
タン、フッ化チタン、ヨウ化チタン、塩化ハフニウム、
臭化ハフニウム、フッ化ハフニウム、ヨウ化ハフニウ
ム、塩化鉄、臭化鉄、フッ化鉄、ヨウ化鉄等が挙げられ
る。
【0021】上記反応における反応基質の投入方法は、
特に制限はない。Fe、Ti、Hf およびZr から選ばれ
る金属のハロゲン化物を固体で扱う場合には、あらかじ
め反応器に固体および溶媒を仕込んだ後、B液を徐々に
加える方法を用いると操作および装置が簡便である。い
ずれの方法においても、反応は発熱を伴うため、反応基
質は徐々に加える必要がある。
【0022】Fe、Ti、Hf およびZr から選ばれる金
属のハロゲン化物の量は、水素化金属としての水素化ア
ルミニウムリチウムあるいは水素化ホウ素ナトリウムの
1モルに対して0.05〜0.5モルであり、好ましくは
0.25〜0.5モルである。0.05モル未満では反応
が進行し難く、0.5モルを超えると未反応のシクロペ
ンタジエン類が重合することがあり、重合物はその後の
操作の障害になるので、いずれも好ましくない。
【0023】反応溶媒は、前記工程で用いた溶媒のいず
れも用いることができる。したがって、前の工程から得
られる反応液であるB液をそのまま用い、特に溶媒を追
加することなく反応させることが好ましい。
【0024】反応温度は−50℃〜100℃の範囲であ
り、好ましくは0〜40℃である。反応温度が−50℃
未満では反応が遅すぎたり、溶液が固化して反応操作を
行うことが困難となり好ましくない。反応温度が100
℃を超えるような場合には、反応熱の除去が不十分とな
り反応を制御することができなくなることがあり、また
反応溶媒の沸点以上になると加圧反応器が必要になり、
反応操作が煩雑になるので、いずれも好ましくない。反
応時間についてはは、反応基質を加えた後15分以上反
応させれば十分である。通常は10時間以内で反応を終
了させてC液を得る。
【0025】C液からは常法により目的とするビスアル
キルシクロペンタジエニル錯体化合物を単離することが
できる。例えば、C液に固体が懸濁している場合には、
懸濁固体を適宜の手段、例えば濾紙等で濾過した後、濾
液から溶媒を減圧下で除去することにより黒色固体とし
てビスアルキルシクロペンタジエニル錯体化合物が得ら
れる。再結晶により精製するには、この黒色固体を、n
−ヘキサンあるいはn−ヘプタン等の再結晶溶媒に加熱
下で溶解させ、溶解後、徐々に冷却して結晶を析出させ
る。析出した結晶を濾過分離することにより、ビスアル
キルシクロペンタジエニル錯体化合物が単離される。得
られたビスアルキルシクロペンタジエニル錯体化合物
は、使用目的により、上記のように適宜の手段で単離し
再結晶化させて用いたり、あるいは溶液の状態のままで
用いることができる。ビスアルキルシクロペンタジエニ
ル錯体化合物は、例えばオレフィン重合用のシングルサ
イト触媒の一成分として好適である。
【0026】本発明により得られるビスアルキルシクロ
ペンタジエニル錯体化合物として具体的には、以下に記
載する配位子を有するジルコニウムジクロリド、チタニ
ウムジクロリド、ハフニウムジクロリド、鉄ジクロリ
ド、ジルコニウムジブロミド、チタニウムジブロミド、
ハフニウムジブロミド、鉄ジブロミド等が挙げられる。
すなわち、配位子(基)として具体的には、ビスエチル
シクロペンタジエニル、ビスn−プロピルシクロペンタ
ジエニル、ビスn−ブチルシクロペンタジエニル、ビス
イソブチルシクロペンタジエニル、ビスn−ペンチルシ
クロペンタジエニル、ビス(3−メチルブチル)シクロペ
ンタジエニル、ビス(2−メチルブチル)シクロペンタジ
エニル、ビス(2,2−ジメチルプロピル)シクロペンタ
ジエニル、ビスn−ヘキシルシクロペンタジエニル、ビ
スn−ヘプチルシクロペンタジエニル、ビス(1−メチ
ル−2−エチル)シクロペンタジエニル、ビス(1−メチ
ル−2−n−プロピル)シクロペンタジエニル、ビス(1
−メチル−2−n−ブチル)シクロペンタジエニル、ビ
ス(1−メチル−2−イソブチル)シクロペンタジエニ
ル、ビス(1−メチル−2−n−ペンチル)シクロペンタ
ジエニル、ビス〔1−メチル−2−(3−メチルブチ
ル)〕シクロペンタジエニル、ビス〔1−メチル−2−
(2−メチルブチル)〕シクロペンタジエニル、ビス〔1
−メチル−2−(2,2−ジメチルプロピル)〕シクロペ
ンタジエニル、ビス(1−メチル−2−n−ヘキシル)シ
クロペンタジエニル、ビス(1−メチル−2−n−ヘプ
チル)シクロペンタジエニル、ビス(1−メチル−3−エ
チル)シクロペンタジエニル、ビス(1−メチル−3−n
−プロピル)シクロペンタジエニル、ビス(1−メチル−
3−n−ブチル)シクロペンタジエニル、ビス(1−メチ
ル−3−イソブチル)シクロペンタジエニル、ビス(1−
メチル−3−n−ペンチル)シクロペンタジエニル、ビ
ス〔1−メチル−3−(3−メチルブチル)〕シクロペン
タジエニル、ビス〔1−メチル−3−(2−メチルブチ
ル)〕シクロペンタジエニル、ビス〔1−メチル−3−
(2,2−ジメチルプロピル)〕シクロペンタジエニル、
ビス(1−メチル−3−n−ヘキシル)シクロペンタジエ
ニル、ビス(1−メチル−3−n−ヘプチル)シクロペン
タジエニル等が挙げられる。したがって、工程(III)
において、例えばn−ブチルシクロペンタジエニルアニ
オンと塩化ジルコニウムとを反応させることにより、い
わゆるサンドイッチ錯体の形態をとるビスn−ブチルシ
クロペンタジエニルジルコニウムジクロリドが得られ
る。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、実施例により本発明を更に
説明する。以下に記載の%はいずれも重量%を表す。
【実施例】
<実施例1> 工程(I):攪拌機付きの内容積200mlの4つ口フ
ラスコに窒素気流下で、シクロペンタジエン9.9g
(0.150mol)とイオン交換後乾燥したアンバーリス
トA−27(オルガノ(株)製)4.4gを入れた。0℃
に冷却後、n−ブチルアルデヒド9.0g(0.125mo
l)を15分間で滴下した。滴下終了後、室温に戻し、
さらに1時間攪拌した後、イオン交換樹脂を濾別した。
反応液は、ガスクロマトグラフィーにより分析したとこ
ろ、n−ブチルアルデヒドが完全に消費されており、6
−n−プロピルフルベン46.6%およびシクロペンタ
ジエン19.2%を含む黄色の溶液であった。 工程(II):攪拌機付きの内容積200mlの4つ口フ
ラスコに窒素気流下で、水素化アルミニウムリチウム
0.72g(18.8mmol)と脱水THF50mlを入れ
た。フラスコを氷冷下で攪拌し、スラリー溶液の温度を
5℃まで降下させた。ここに、工程(I)からの反応液
13.9g(6−n−プロピルフルベン6.0g(50mm
ol)含有)と脱水THF20mlの混合溶液を、反応液
の温度が10℃以上にならないように20分間で滴下し
た。氷浴を取り去り、攪拌しながら徐々に室温まで昇温
すると、灰色の濁った溶液が得られた。 工程(III):工程(II)で得られた灰色の濁った溶液
を再度氷浴で5℃まで冷却し、塩化ジルコニウム5.8
2g(25mmol)を少量ずつ加えた。5℃で2時間、更
に室温で1時間攪拌を続けると、赤黄色の反応液が得ら
れた。これを濾紙で濾過した後、濾液からTHFを25
℃で減圧下に留出させ、20.4gの黒色固体を得た。
再結晶のため、得られた黒色固体5gをn−ヘキサン1
00mlに加熱下で溶解し、黒色のヘキサン不溶分を濾
別した。濾液を5℃まで冷却し、析出する結晶を濾過分
離した。得られた結晶は真空乾燥して秤量したところ
1.12gであった。以下の分析結果から、結晶はビス
n−ブチルシクロペンタジエニルジルコニウムジクロリ
ドであることが分かった。すなわち、結晶の融点は9
7.7〜102℃であり、元素分析の結果は以下の通り
であった。元 素 実測値(%) 計算値(%) 炭 素 53.3 53.4 水 素 6.6 6.4 塩 素 18.0 17.6 ジルコニウム 22.0 22.6 また、結晶の12eVの Electron−Impact 法による質
量分析により下記のピークが検出された。 408(25)、407(17)、406(73)、4
05(35)、404(100)、403(42)、4
02(97)、372(11)、370(30)、36
9(47)、367(28)、366(65) 更に、1H−NMR分析の結果は下記の通りである。 6.4〜6.1 多重線(4H) 2.8〜2.5 多重線(2H) 1.8〜1.1 多重線(4H) 1.0〜0.7 多重線(3H)
【0028】
【発明の効果】本発明の製造法は、安価な原料を用いる
こと、反応試薬の取り扱いが容易なこと、および反応工
程数が少ない点において特に有利である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次の工程(I)から(III)を含むことを
    特徴とするビスアルキルシクロペンタジエニル錯体化合
    物の製造法、 工程(I):シクロペンタジエンまたはアルキルシクロ
    ペンタジエンと脂肪族アルデヒドとを塩基性触媒により
    縮合させる工程 工程(II):工程(I)で得られた反応液に水素化金属
    を反応させる工程 工程(III):工程(II)で得られた反応液にFe、T
    i、Hf およびZr から選ばれる金属のハロゲン化物を
    反応させることによりビスアルキルシクロペンタジエニ
    ル錯体化合物を製造する工程。
  2. 【請求項2】 下記式〔a〕に示すシクロペンタジエン
    またはアルキルシクロペンタジエンと、下記式〔b〕に
    示す脂肪族アルデヒドとを塩基性触媒の存在下で反応さ
    せた後、水素化アルミニウムリチウムおよび/または水
    素化ホウ素ナトリウムと反応させ、更にFe、Ti、Hf
    およびZr から選ばれる金属のハロゲン化物と反応させ
    ることを特徴とする下記式〔c〕に示すビスアルキルシ
    クロペンタジエニル錯体化合物の製造法。 【化1】 〔ここで、R1は炭素数1〜8のアルキル基を表し、m
    個のR1は互いに同一でも異なってもよく、mは0〜4
    の整数を表す。〕 【化2】 〔ここで、R2は炭素数1〜8のアルキル基を表す。〕 【化3】 〔ここで、MはFe、Ti、Hf およびZr から選ばれる
    金属を表し、Yはハロゲン原子あるいは水素原子を表
    す。R1、R2およびmの定義は前記式〔a〕および
    〔b〕と同様である。〕
  3. 【請求項3】 前記水素化アルミニウムリチウムおよび
    /または水素化ホウ素ナトリウムを、脂肪族アルデヒド
    1モルに対して0.05〜0.75モル用いることを特徴
    とする請求項2に記載の製造法。
  4. 【請求項4】 前記金属のハロゲン化物を、水素化アル
    ミニウムリチウムおよび/または水素化ホウ素ナトリウ
    ム1モルに対して0.05〜0.5モル用いることを特徴
    とする請求項2に記載の製造法。
  5. 【請求項5】 前記塩基性触媒が塩基性イオン交換樹脂
    であることを特徴とする請求項2に記載の製造法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012197296A (ja) * 2005-09-02 2012-10-18 Otsuka Pharmaceut Co Ltd ベンゾアゼピン化合物又はその塩の製造方法

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JP2014205699A (ja) * 2005-09-02 2014-10-30 大塚製薬株式会社 ベンゾアゼピン化合物又はその塩の製造方法

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