JP2790603B2 - 高純度トリアリールホウ素のアルキル化あるいはアリール化アルカリ金属とのアート錯体の製造法 - Google Patents
高純度トリアリールホウ素のアルキル化あるいはアリール化アルカリ金属とのアート錯体の製造法Info
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Description
ルキル化あるいはアリール化アルカリ金属とのアート錯
体の高純度品を安定的に製造する方法に関する。
錯体の製法においては一般的(NEGISHI E. et al., J.
C.S. Perkin II, 32, 1225 (1978))に有機ホウ素はテ
トラヒドロフランまたはジエチルエーテルを溶媒として
有機アルカリ金属と0℃で反応させている。一方有機リ
チウムはテトラヒドロフランを溶媒として反応を行った
場合、下記に示すような副反応が起こる可能性がある。
(BROWN H.C. etal., J. Organometallic Chem., 188,
1-10 (1980))
機ホウ素のアルカリ金属アート錯体の製法においては一
般的に有機ホウ素はテトラヒドロフランまたはジエチル
エーテルを溶媒として有機アルカリ金属と0℃で反応さ
せている。また有機アルカリ金属化合物はテトラヒドロ
フランを溶媒として反応を行った場合、副反応が起こる
可能性がある。
リールホウ素のアルキル化あるいはアリール化アルカリ
金属とのアート錯体の製造方法について検討した結果、
トリアリールホウ素合成後にエーテル系溶媒を留去し、
炭化水素系溶媒のみにして副生するマグネシウム塩と未
反応ハロゲン化アリールマグネシウムを固化させて充分
除去した後に−80〜25℃でアルキル化あるいはアリール
化アルカリ金属の炭化水素系溶媒、鎖状エーテル系溶媒
あるいはその混合溶媒からなる溶液と反応させることに
より副生したマグネシウム塩あるいは未反応のハロゲン
化アリールマグネシウムとの副反応を防止すると共に前
述の問題点が解決されることを見出し本発明に達した。
アリールマグネシウムとハロゲン化ホウ素より得られる
トリアリールホウ素から充分に副生するマグネシウム塩
と未反応のハロゲン化アリールマグネシウムを除去した
後炭化水素系溶媒、鎖状エーテル系溶媒あるいはその混
合溶媒からなる溶液中にアルキル化あるいはアリール化
アルカリ金属の炭化水素系溶媒、鎖状エーテル系溶媒あ
るいはその混合溶媒からなる溶液を−80〜25℃の温度範
囲を保ちながら滴下し、反応させることによって高純度
のトリアリールホウ素のアルキル化あるいはアリール化
アルカリ金属とのアート錯体を生成することを特徴とす
る製法である。
ホウ素とは、一般式(I)で表されるホウ素化合物であ
る。 R1 3 B (I)
カルボアニオンやアルコキシアニオンなど多くのアニオ
ン種が付加し、アート錯体(ate complex)と呼ばれる4
配位の安定な金属アニオン(II)となる。 R1 3 B + R2 M → [R1 3 B- −R2 ]M+ (II)
=アルキル基またはアリール基、M=アルカリ金属であ
る。
フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル、ビフェ
ニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル
基、ペンタフルオロフェニル基、トリス(トリフルオロ
メチル)フェニル基である。さらにアルキル基をいくつ
か例示すると、メチル基、プロピル基、イソプロピル
基、ブチル基、第二ブチル基、第三ブチル基、ペンチル
基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シ
クロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチ
ル基等と前述したアリール基である。アルカリ金属をい
くつか例示するとリチウム、ナトリウム、カリウム等で
あり、前駆体であるアルキル化あるいはアリール化アル
カリ金属の安定性より好ましくはリチウムである。
よび高純度で安定的に(I)を得るためには理論量より
若干過剰のハロゲン化アリールマグネシウムが必要であ
る。
の温度による副反応の影響を確認することができた(下
記一般式(III) 、(IV))。
もハロゲン化アリールマグネシウムと同様の副反応を起
こす。−80〜25℃の温度範囲で反応させることにより高
純度なトリアリールホウ素のアルキル化あるいはアリー
ル化アルカリ金属とのアート錯体を合成することが可能
となった。ただし、反応温度は導入するアルキル化ある
いはアリール化アルカリ金属の反応性によって差がある
ため一概には言えないが−50℃以上が好ましく、生成す
るトリアリールホウ素のアルキル化あるいはアリール化
アルカリ金属とのアート錯体の純度が低下するため5℃
以下が望ましい。
ールホウ素はトリアリールホウ素自体を製造する際に副
生するハロゲン化マグネシウム塩および未反応のハロゲ
ン化アリールマグネシウムを充分に除去したものを用い
る必要がある。
ゲン化アリールマグネシウムを含有したトリアリールホ
ウ素のトルエン溶液とアルキル化あるいはアリール化ア
ルカリ金属の反応温度について検討を行ったものであ
る。
が系内に存在するとホウ素に結合する4つの置換基の比
率が元のトリアリールホウ素のアリール基と後からアル
キル化あるいはアリール化アルカリ金属によって導入す
るアルキル基またはアリール基の比率である3:1から
外れた組成のアート錯体が生成するためエーテル系溶媒
を用いる際には鎖状エーテル系溶媒である必要がある
が、アルキル化あるいはアリール化アルカリ金属がエー
テル系溶媒を用いなくても調製できる場合にはエーテル
系溶媒は反応に必須ではない。
説明するが本発明はその要旨を超えない限り、以下の実
施例により何らの限定をうけるものではない。
ラフィーにより面積百分率法で求めた。またここでの略
称を以下に示す。 Ar4=M+ [R1 4 B] Ar3=M+ [R1 3 R2 B] Ar2=M+ [R1 2 R2 2 B] Ar1=M+ [R1 R2 3 B]
50mlのガラス製滴下漏斗を装着し、充分に窒素で置換す
る。その後フラスコにトルエン30mlと三フッ化ホウ素エ
チルエーテル錯体2.78g(0.0196モル)を装入した。35
wt%の臭化フェニルマグネシウムのエーテル溶液 38.49
g(0.0743モル)を滴下漏斗に装入した。攪拌した反応
槽中に臭化フェニルマグネシウムのエーテル溶液を滴下
漏斗により滴下する。その時の反応温度は20〜30℃であ
った。
チルエーテルの除去を行なった。その温度で2時間熟成
を行ない副生するフッ化臭化マグネシウムが濾過可能な
懸濁状態になった後にガラスフィルターによりフッ化臭
化マグネシウムの除去を行なった。得られたトリフェニ
ルホウ素のトルエン溶液を充分に窒素置換した 200mlの
3つ口丸底フラスコに装入した。攪拌した反応槽中に24
wt%n−ブチルリチウムのヘキサン溶液をトリフェニル
ホウ素を合成する際に使用した三フッ化ホウ素エチルエ
ーテル錯体を基準とした 1.1倍モル当量を注射器により
装入した。その時の反応温度は−40℃(±2℃)であっ
た。
0℃以下で加水分解を行なった。有機層を蒸留水で2回
抽出した。その合せた水層を用意した液体クロマトグラ
フィーによりトリフェニルホウ素のアート錯体であるブ
チルトリフェニルホウ酸塩の純度を求めた。その結果を
表1に示す。
50mlのガラス製滴下漏斗を装着し、充分に窒素で置換す
る。その後フラスコにトルエン30mlと三フッ化ホウ素エ
チルエーテル錯体2.78g(0.0196モル)を装入した。35
wt%の臭化フェニルマグネシウムのエチルエーテル溶液
38.49g(0.0743モル)を滴下漏斗に装入した。攪拌し
た反応槽中に、臭化フェニルマグネシウムのエチルエー
テル溶液を滴下漏斗により滴下する。その時の反応温度
は20〜30℃であった。
チルエーテルの除去を行なった。その温度で2時間熟成
を行ない副生するフッ化臭化マグネシウムが濾過可能な
懸濁状態になった後にガラスフィルターによりフッ化臭
化マグネシウムの除去を行なった。得られたトリフェニ
ルホウ素のトルエン溶液を充分に窒素置換した 200mlの
3つ口丸底フラスコに装入した。攪拌した反応層中に24
wt%n−ブチルリチウムのヘキサン溶液をトリフェニル
ホウ素を合成する際に使用した三フッ化ホウ素エチルエ
ーテル錯体を基準とした 1.1倍モル当量を注射器により
装入した。その時の反応温度は0℃(±5℃)であっ
た。
0℃以下で加水分解を行なった。有機層を蒸留水で2回
抽出した。その合せた水層を用意した液体クロマトグラ
フィーによりトリフェニルホウ素アート錯体であるブチ
ルトリフェニルホウ酸塩の純度を求めた。その結果を表
1に示す。
50mlのガラス製滴下漏斗を装着し、充分に窒素で置換す
る。その後フラスコにトルエン30mlと三フッ化ホウ素エ
ーテル錯体2.78g(0.0196モル)を装入した。35wt%の
臭化フェニルマグネシウムのエチルエーテル溶液 38.49
g(0.0743モル)を滴下漏斗に装入した。攪拌した反応
槽中に臭化フェニルマグネシウムのエチルエーテル溶液
を滴下漏斗により滴下する。その時の反応温度は20〜30
℃であった。
チルエーテルの除去を行なった。その温度で2時間熟成
を行ない副生するフッ化臭化マグネシウムが濾過可能な
懸濁状態になった後にガラスフィルターによりフッ化臭
化マグネシウムの除去を行なった。得られたトリフェニ
ルホウ素のトルエン溶液を充分に窒素置換した 200mlの
3つ口丸底フラスコに装入した。攪拌した反応槽中に24
wt%n−ブチルリチウムのヘキサン溶液をトリフェニル
ホウ素を合成する際に使用した三フッ化ホウ素エチルエ
ーテル錯体を基準とした 1.1倍モル当量を注射器により
装入した。その時の反応温度は25〜35℃であった。
0℃以下で加水分解を行なった。有機層を蒸留水で2回
抽出した。その合せた水層を用意した液体クロマトグラ
フィーによりトリフェニルホウ素アート錯体であるブチ
ルトリフェニルホウ酸塩の純度を求めた。その結果を表
1に示す。
50mlのガラス製滴下漏斗を装着し、充分に窒素で置換す
る。その後フラスコにテトラヒドロフラン30mlと三フッ
化ホウ素エチルエーテル錯体2.78g(0.0196モル)を装
入した。35wt%の臭化フェニルマグネシウムのエチルエ
ーテル溶液 38.49g(0.0743モル)を滴下漏斗に装入し
た。攪拌した反応槽中に臭化フェニルマグネシウムのエ
チルエーテル溶液を滴下漏斗により滴下する。その時の
反応温度は20〜30℃であった。
チルエーテルの除去を行なった。その温度で2時間熟成
を行ない副生するフッ化臭化マグネシウムが濾過可能な
懸濁状態になった後にガラスフィルターによりフッ化臭
化マグネシウムの除去を行なった。得られたトリフェニ
ルホウ素のテトラヒドロフラン溶液を充分に窒素置換し
た 200mlの3つ口丸底フラスコに装入した。攪拌した反
応槽中に24wt%n−ブチルリチウムのヘキサン溶液をト
リフェニルホウ素を合成する際に使用した三フッ化ホウ
素エチルエーテル錯体を基準とした 1.1倍モル当量を注
射器により装入した。その時の反応温度は25〜35℃であ
った。
0℃以下で加水分解を行なった。有機層を蒸留水で2回
抽出した。その合せた水層を用意した液体クロマトグラ
フィーによりトリフェニルホウ素アート錯体であるブチ
ルトリフェニルホウ酸塩の純度を求めた。その結果を表
1に示す。
のトリフェニルホウ素アート錯体が得られることが判
る。
50mlのガラス製滴下漏斗を装着し、充分に窒素で置換す
る。そしてフラスコに窒素で充分に脱気したトルエン30
mlと三フッ化ホウ素エチルエーテル錯体2.78g(0.0196
モル)を装入した。また、滴下漏斗に20wt%の臭化ペン
タフルオロフェニルマグネシウムのエチルエーテル溶液
84.99g(0.0627モル)を装入した。攪拌した反応槽中
に臭化ペンタフルオロフェニルマグネシウムのエチルエ
ーテル溶液を滴下漏斗より滴下する。その時の反応温度
は26℃程度で発熱はほとんどなかった。
テルの除去を行なった。反応槽の温度がトルエン沸点に
なった後、その温度で1ないし3時間熟成を行ない、フ
ッ化臭化マグネシウムが固化した後にガラスフィルター
でフッ化臭化マグネシウムを除去した。薄茶色の液体に
臭化ペンタフルオロベンゼンとブチルリチウムよりエチ
ルエーテル・ヘキサン混合溶媒中−70℃で調製したペン
タフルオロフェニルリチウムと反応させた後、塩化N,
N−ジメチルアニリニウムの水溶液を加えて得られた化
合物テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸N,
N−ジメチルアニリニウムの乾燥重量は理論値の85%で
フッ素核磁気共鳴スペクトルでペンタフルオロトルエン
を内部標準物質に使用して定量すると収率は85%だっ
た。
50mlのガラス製滴下漏斗を装着し、充分に窒素で置換す
る。そしてフラスコに窒素で充分に脱気したトルエン30
mlと三フッ化ホウ素エチルエーテル錯体2.78g(0.0196
モル)を装入した。また、滴下漏斗に20wt%の臭化p−
トリルマグネシウムのエチルエーテル溶液 61.42g(0.
0619モル)を装入した。攪拌した反応槽中に臭化p−ト
リルマグネシウムのエチルエーテル溶液を滴下漏斗によ
り滴下する。その時の反応温度は20〜30℃程度ど発熱は
ほとんどなかった。
テルの除去を行なった。反応槽の温度が沸点になった
後、その温度で3時間熟成を行ない、ガラスフィルター
でフッ化臭化マグネシウムを除去した後、薄黄色透明の
液体に−20℃でブチルリチウムを投入し、安定な錯体と
して得られた化合物より収率を求めたところ89.6%であ
り液体クロマトグラフィーで純度を測定したところ面積
百分率で91.6%であった。
ホウ素のアルキル化あるいはアリール化アルカリ金属と
のアート錯体の高純度品を安定的に製造することが可能
となる。
Claims (1)
- 【請求項1】 ハロゲン化アリールマグネシウムとハロ
ゲン化ホウ素より得られるトリアリールホウ素から充分
に副生するマグネシウム塩と未反応のハロゲン化アリー
ルマグネシウムを除去した後炭化水素溶媒、鎖状エーテ
ル系溶媒あるいはその混合溶媒からなる溶液中にアルキ
ル化あるいはアリール化アルカリ金属の炭化水素系溶
媒、鎖状エーテル系溶媒あるいはその混合溶媒からなる
溶液を−80〜25℃の温度範囲を保ちながら滴下し、反応
させることによって高純度のトリアリールホウ素のアル
キル化あるいはアリール化アルカリ金属とのアート錯体
を生成することを特徴とする製法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28771193A JP2790603B2 (ja) | 1992-11-02 | 1993-10-22 | 高純度トリアリールホウ素のアルキル化あるいはアリール化アルカリ金属とのアート錯体の製造法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4-317706 | 1992-11-02 | ||
JP31770692 | 1992-11-02 | ||
JP28771193A JP2790603B2 (ja) | 1992-11-02 | 1993-10-22 | 高純度トリアリールホウ素のアルキル化あるいはアリール化アルカリ金属とのアート錯体の製造法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06199872A JPH06199872A (ja) | 1994-07-19 |
JP2790603B2 true JP2790603B2 (ja) | 1998-08-27 |
Family
ID=26556853
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP28771193A Expired - Fee Related JP2790603B2 (ja) | 1992-11-02 | 1993-10-22 | 高純度トリアリールホウ素のアルキル化あるいはアリール化アルカリ金属とのアート錯体の製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2790603B2 (ja) |
-
1993
- 1993-10-22 JP JP28771193A patent/JP2790603B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH06199872A (ja) | 1994-07-19 |
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