JPH09291092A - (フッ化アリール)ホウ素化合物の製造方法 - Google Patents

(フッ化アリール)ホウ素化合物の製造方法

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JPH09291092A
JPH09291092A JP1707397A JP1707397A JPH09291092A JP H09291092 A JPH09291092 A JP H09291092A JP 1707397 A JP1707397 A JP 1707397A JP 1707397 A JP1707397 A JP 1707397A JP H09291092 A JPH09291092 A JP H09291092A
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boron
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reaction
ether
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JP1707397A
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Tsunemasa Ueno
恒正 上野
Ikuyo Katsumi
育代 勝見
Naoko Yamamoto
尚子 山本
Hitoshi Mitsui
均 三井
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Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 (フッ化アリール)ホウ素化合物を選択的に
かつ簡単に安価に製造することができる方法を提供す
る。 【解決手段】 一般式(1) 【化18】 (式中、R1 〜R5 はそれぞれ独立してH、F、炭化水
素基またはアルコキシ基を表し、かつ、該R1 〜R5
うちの少なくとも一つはFであり、XaはCl、Brま
たはIを表す)で表されるフッ化アリールマグネシウム
誘導体をエーテル系溶媒に溶解してなる溶液と、一般式
(2)「BXb3 …(2)」(式中、XbはF、C
l、BrまたはIを表す)で表されるハロゲン化ホウ素
をエーテル系溶媒に溶解してなる溶液とを、エーテル系
溶媒の沸点よりも高い沸点を有する炭化水素系溶媒に混
合すると共に、該エーテル系溶媒を留去しながら反応さ
せる。これにより、一般式(3) 【化19】 (式中、R1 〜R5 、Xbは前記と同じ、nは2または
3である)で表される(フッ化アリール)ホウ素化合物
が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、カチオン
錯体重合反応に供されるメタロセン触媒(重合触媒)の
助触媒として有用なトリス(フッ化アリール)ホウ素や
ビス(フッ化アリール)ホウ素ハライド等の(フッ化ア
リール)ホウ素化合物を製造する方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】(フッ化アリール)ホウ素化合物、とり
わけ、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素は、例
えば、カチオン錯体重合反応に供されるメタロセン触媒
(重合触媒)の活性を高める助触媒として有用な化合物
である。尚、メタロセン触媒は、ポリオレフィン重合用
触媒として、近年、特に注目されている。
【0003】上記のトリス(ペンタフルオロフェニル)
ホウ素を得る方法として、例えば、Proc. Chem. Soc.,
1963(July), 212 には、ブロモペンタフルオロベンゼン
とブチルリチウム(BuLi)とを反応させてなるペン
タフルオロベンゼンリチウムと、三塩化ホウ素とを反応
させることにより、トリス(ペンタフルオロフェニル)
ホウ素を得る方法が記載されている。しかしながら、こ
の方法は、反応系を−78℃に冷却する必要があり、工
業的に実施するのが困難である。
【0004】そこで、上記の問題点を解決する方法とし
て、例えば、Z. Naturforsch., 20b, 5 (1965)には、グ
リニャール(Grignard)反応によってトリス(ペンタフ
ルオロフェニル)ホウ素を得る方法が記載されている。
この方法は、例えばペンタフルオロフェニルマグネシウ
ムブロマイドと三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体と
を鎖状エーテル系溶媒中で反応させるので、反応系を−
78℃に冷却する必要がなく、上記の反応と比較して有
利である。さらに、例えば、特開平6−199871号
公報には、鎖状エーテル系溶媒中、または、鎖状エーテ
ル系溶媒と芳香族炭化水素系溶媒との混合溶媒中で、ハ
ロゲン化アリールマグネシウム誘導体とハロゲン化ホウ
素とを反応させることにより、トリアリールホウ素を得
る方法が記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の方法では、ジエチルエーテル等の、比較的沸点が低
い鎖状エーテル系溶媒を用いるので、反応系を冷却しな
ければならない。このため、例えば(フッ化アリール)
ホウ素化合物を工業的に製造する場合には、冷却装置等
が必要となる。しかも、ジエチルエーテルは引火性が極
めて高い。また、上記従来の方法では、反応の制御が難
しく、テトラキス(フッ化アリール)ホウ素誘導体等の
ホウ素の四級化物等の副生成物が副生するため、トリス
(フッ化アリール)ホウ素やビス(フッ化アリール)ホ
ウ素ハライド等の(フッ化アリール)ホウ素化合物を選
択的に得ることが困難である。さらに、上記の鎖状エー
テル系溶媒は、環状エーテル系溶媒と比較して、一般
に、価格が高い。
【0006】従って、上記従来の方法では、工業的に実
施することが困難であるという問題点、即ち、溶媒の取
り扱いが面倒であると共に、トリス(フッ化アリール)
ホウ素やビス(フッ化アリール)ホウ素ハライド等の
(フッ化アリール)ホウ素化合物を選択的にかつ簡単に
安価に製造することができないという問題点を有してい
る。尚、上記従来の方法において、環状エーテル系溶媒
を溶媒として用いると、該環状エーテル系溶媒の開環重
合等の副反応が起こる。また、上記従来の方法におい
て、芳香族炭化水素系溶媒のみを溶媒として用いると、
トリス(フッ化アリール)ホウ素やビス(フッ化アリー
ル)ホウ素ハライド等の(フッ化アリール)ホウ素化合
物の収率が低下する。
【0007】本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされ
たものであり、その目的は、トリス(フッ化アリール)
ホウ素やビス(フッ化アリール)ホウ素ハライド等の
(フッ化アリール)ホウ素化合物を選択的にかつ簡単に
安価に製造することができる方法を提供することにあ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本願発明者等は、(フッ
化アリール)ホウ素化合物の製造方法について鋭意検討
した。その結果、フッ化アリールマグネシウム誘導体を
エーテル系溶媒に溶解してなる溶液と、ハロゲン化ホウ
素をエーテル系溶媒に溶解してなる溶液とを、エーテル
系溶媒の沸点よりも高い沸点を有する炭化水素系溶媒に
混合すると共に、該エーテル系溶媒を留去しながら反応
させることにより、トリス(フッ化アリール)ホウ素や
ビス(フッ化アリール)ホウ素ハライド等の(フッ化ア
リール)ホウ素化合物を選択的にかつ簡単に安価に製造
することができることを見い出した。また、特定の構造
を有するフッ化アリールと、ハロゲン化炭化水素と、マ
グネシウムとを、エーテル系溶媒中、または、エーテル
系溶媒と炭化水素系溶媒との混合溶媒中で反応させるこ
とによってフッ化アリールマグネシウム誘導体を得た
後、該フッ化アリールマグネシウム誘導体と、ハロゲン
化ホウ素とを反応させることにより、フッ化アリールか
ら(フッ化アリール)ホウ素化合物を得る反応工程を実
質的に一段階(いわゆる1pot)にすることができ、
これにより、(フッ化アリール)ホウ素化合物をより一
層簡単かつ安価に製造することができることを見い出し
て、本発明を完成させるに至った。
【0009】即ち、上記の課題を解決するために、請求
項1記載の発明の(フッ化アリール)ホウ素化合物の製
造方法は、一般式(3)
【0010】
【化8】
【0011】(式中、R1 、R2 、R3 、R4 、R5
それぞれ独立して水素原子、フッ素原子、炭化水素基ま
たはアルコキシ基を表し、かつ、該R1 〜R5 のうちの
少なくとも一つはフッ素原子であり、Xbはフッ素原
子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を表し、nは
2または3である)で表される(フッ化アリール)ホウ
素化合物の製造方法に関するものであり、一般式(1)
【0012】
【化9】
【0013】(式中、R1 、R2 、R3 、R4 、R5
それぞれ独立して水素原子、フッ素原子、炭化水素基ま
たはアルコキシ基を表し、かつ、該R1 〜R5 のうちの
少なくとも一つはフッ素原子であり、Xaは塩素原子、
臭素原子またはヨウ素原子を表す)で表されるフッ化ア
リールマグネシウム誘導体をエーテル系溶媒に溶解して
なる溶液と、一般式(2) BXb3 ……(2) (式中、Xbはフッ素原子、塩素原子、臭素原子または
ヨウ素原子を表す)で表されるハロゲン化ホウ素をエー
テル系溶媒に溶解してなる溶液とを、エーテル系溶媒の
沸点よりも高い沸点を有する炭化水素系溶媒に混合する
と共に、該エーテル系溶媒を留去しながら反応させるこ
とを特徴としている。
【0014】請求項2記載の発明の(フッ化アリール)
ホウ素化合物の製造方法は、上記の課題を解決するため
に、請求項1記載の(フッ化アリール)ホウ素化合物の
製造方法において、エーテル系溶媒を留去しながら反応
させる際の温度が、30℃〜200℃の範囲内であるこ
とを特徴としている。
【0015】請求項3記載の発明の(フッ化アリール)
ホウ素化合物の製造方法は、上記の課題を解決するため
に、請求項1記載の(フッ化アリール)ホウ素化合物の
製造方法において、エーテル系溶媒を留去しながら反応
させる際の(フッ化アリール)ホウ素化合物の濃度が
0.1重量%〜50重量%の範囲内となるように、炭化
水素系溶媒の使用量を調節することを特徴としている。
【0016】請求項4記載の発明の(フッ化アリール)
ホウ素化合物の製造方法は、上記の課題を解決するため
に、請求項1記載の(フッ化アリール)ホウ素化合物の
製造方法において、フッ化アリールマグネシウム誘導体
をエーテル系溶媒に溶解してなる溶液と、ハロゲン化ホ
ウ素をエーテル系溶媒に溶解してなる溶液とを、上記炭
化水素系溶媒に同時に混合することを特徴としている。
【0017】また、上記の課題を解決するために、請求
項5記載の発明の(フッ化アリール)ホウ素化合物の製
造方法は、前記一般式(3)で表される(フッ化アリー
ル)ホウ素化合物の製造方法に関するものであり、前記
一般式(1)で表されるフッ化アリールマグネシウム誘
導体をエーテル系溶媒に溶解してなる溶液と、前記一般
式(2)で表されるハロゲン化ホウ素をエーテル系溶媒
に溶解してなる溶液とを、80℃以下の温度で混合した
後、該混合溶液を、エーテル系溶媒の沸点よりも高い沸
点を有する炭化水素系溶媒に混合すると共に、該エーテ
ル系溶媒を留去しながら反応させることを特徴としてい
る。
【0018】上記の方法によれば、反応の制御が容易で
あるので、エーテル系溶媒が鎖状エーテル系溶媒にのみ
限定されない。つまり、取り扱いが比較的容易である環
状エーテル系溶媒を用いることができる。また、得られ
るトリス(フッ化アリール)ホウ素やビス(フッ化アリ
ール)ホウ素ハライド等の(フッ化アリール)ホウ素化
合物が錯体や四級化物を形成しないので、精製が容易で
ある。これにより、トリス(フッ化アリール)ホウ素や
ビス(フッ化アリール)ホウ素ハライド等の(フッ化ア
リール)ホウ素化合物を選択的にかつ簡単に安価に製造
することができる。つまり、従来の方法と比較して、工
業的に有利であり、トリス(フッ化アリール)ホウ素や
ビス(フッ化アリール)ホウ素ハライド等の(フッ化ア
リール)ホウ素化合物を高収率並びに高選択率で得るこ
とができる。さらに、請求項2ないし請求項3記載の方
法によれば、(フッ化アリール)ホウ素化合物を、より
一層高純度で得ることができる。
【0019】また、請求項6記載の発明の(フッ化アリ
ール)ホウ素化合物の製造方法は、上記の課題を解決す
るために、請求項1ないし5の何れか1項に記載の(フ
ッ化アリール)ホウ素化合物の製造方法において、エー
テル系溶媒が環状エーテルであることを特徴としてい
る。
【0020】請求項6記載の方法によれば、トリス(フ
ッ化アリール)ホウ素やビス(フッ化アリール)ホウ素
ハライド等の(フッ化アリール)ホウ素化合物をより一
層選択的にかつ簡単に安価に製造することができる。
【0021】さらに、上記の課題を解決するために、請
求項7記載の発明の(フッ化アリール)ホウ素化合物の
製造方法は、一般式(7)
【0022】
【化10】
【0023】(式中、R2 、R3 、R4 はそれぞれ独立
して水素原子、フッ素原子、炭化水素基またはアルコキ
シ基を表し、Xbはフッ素原子、塩素原子、臭素原子ま
たはヨウ素原子を表し、nは2または3である)で表さ
れる(フッ化アリール)ホウ素化合物の製造方法に関す
るものであり、一般式(4)
【0024】
【化11】
【0025】(式中、R2 、R3 、R4 はそれぞれ独立
して水素原子、フッ素原子、炭化水素基またはアルコキ
シ基を表す)で表されるフッ化アリールと、一般式
(5) R0 Xa ……(5) (式中、R0 は炭化水素基を表し、Xaは塩素原子、臭
素原子またはヨウ素原子を表す)で表されるハロゲン化
炭化水素と、マグネシウムとを、エーテル系溶媒中、ま
たは、エーテル系溶媒と炭化水素系溶媒との混合溶媒中
で反応させて、一般式(6)
【0026】
【化12】
【0027】(式中、R2 、R3 、R4 はそれぞれ独立
して水素原子、フッ素原子、炭化水素基またはアルコキ
シ基を表し、Xaは塩素原子、臭素原子またはヨウ素原
子を表す)で表されるフッ化アリールマグネシウム誘導
体を得た後、該フッ化アリールマグネシウム誘導体と、
前記一般式(2)で表されるハロゲン化ホウ素とを反応
させることを特徴としている。
【0028】請求項7記載の方法によれば、前記請求項
1ないし6記載の方法により得られる種々の効果に加え
て、フッ化アリールから(フッ化アリール)ホウ素化合
物を得る反応工程を実質的に一段階(いわゆる1po
t)にすることができる。従って、(フッ化アリール)
ホウ素化合物をより一層簡単かつ安価に製造することが
できる。
【0029】以下に本発明を詳しく説明する。本発明に
かかる前記一般式(3)で表される(フッ化アリール)
ホウ素化合物の製造方法は、前記一般式(1)で表され
るフッ化アリールマグネシウム誘導体をエーテル系溶媒
に溶解してなる溶液と、前記一般式(2)で表されるハ
ロゲン化ホウ素をエーテル系溶媒に溶解してなる溶液と
を、エーテル系溶媒の沸点よりも高い沸点を有する炭化
水素系溶媒に混合すると共に、該エーテル系溶媒を留去
しながら反応させる方法である。
【0030】また、本発明にかかる前記一般式(3)で
表される(フッ化アリール)ホウ素化合物の製造方法
は、前記一般式(1)で表されるフッ化アリールマグネ
シウム誘導体をエーテル系溶媒に溶解してなる溶液と、
前記一般式(2)で表されるハロゲン化ホウ素をエーテ
ル系溶媒に溶解してなる溶液とを、80℃以下の温度で
混合した後、該混合溶液を、エーテル系溶媒の沸点より
も高い沸点を有する炭化水素系溶媒に混合すると共に、
該エーテル系溶媒を留去しながら反応させる方法であ
る。
【0031】さらに、本発明にかかる前記一般式(7)
で表される(フッ化アリール)ホウ素化合物の製造方法
は、前記一般式(4)で表されるフッ化アリールと、前
記一般式(5)で表されるハロゲン化炭化水素と、マグ
ネシウムとを、エーテル系溶媒中、または、エーテル系
溶媒と炭化水素系溶媒との混合溶媒中で反応させて、前
記一般式(6)で表されるフッ化アリールマグネシウム
誘導体を得た後、該フッ化アリールマグネシウム誘導体
と、前記一般式(2)で表されるハロゲン化ホウ素とを
反応させる方法である。
【0032】本発明において出発物質として使用される
前記一般式(1)で表されるフッ化アリールマグネシウ
ム誘導体は、式中、R1 、R2 、R3 、R4 、R5 で示
される置換基が、それぞれ独立して水素原子、フッ素原
子、炭化水素基またはアルコキシ基で構成され、かつ、
該R1 〜R5 で示される置換基のうちの少なくとも一つ
がフッ素原子であり、Xaが塩素原子、臭素原子または
ヨウ素原子で構成される化合物である。
【0033】上記の炭化水素基とは、具体的には、アリ
ール基、炭素数1〜12の直鎖状、枝分かれ鎖状、また
は環状のアルキル基、および、炭素数2〜12の直鎖
状、枝分かれ鎖状、または環状のアルケニル基等を示
す。尚、上記の炭化水素基は、本発明にかかる反応に対
して不活性な官能基をさらに有していてもよい。該官能
基としては、具体的には、例えば、メトキシ基、メチル
チオ基、N,N−ジメチルアミノ基、o−アニス基、p
−アニス基、トリメチルシリル基、ジメチル−t−ブチ
ルシリルオキシ基、トリフルオロメチル基等が挙げられ
る。
【0034】上記のアルコキシ基は、一般式(A) −ORa ……(A) (式中、Ra は炭化水素基を表す)で表され、式中、R
a で示される炭化水素基とは、具体的には、例えば、ア
リール基、炭素数1〜12の直鎖状、枝分かれ鎖状、ま
たは環状のアルキル基、および、炭素数2〜12の直鎖
状、枝分かれ鎖状、または環状のアルケニル基等を示
す。尚、上記の炭化水素基は、本発明にかかる反応に対
して不活性な官能基をさらに有していてもよい。
【0035】前記一般式(A)で表されるアルコキシ基
としては、具体的には、例えば、メトキシ基、エトキシ
基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキ
シ基、イソブトキシ基、 sec−ブトキシ基、t−ブトキ
シ基、シクロヘキシルオキシ基、アリルオキシ基、フェ
ノキシ基等が挙げられる。
【0036】上記のフッ化アリールマグネシウム誘導体
としては、具体的には、例えば、ペンタフルオロフェニ
ルマグネシウムクロライド、ペンタフルオロフェニルマ
グネシウムブロマイド、ペンタフルオロフェニルマグネ
シウムヨーダイド、1,2,3,5−テトラフルオロフ
ェニルマグネシウムブロマイド、1,2,4,5−テト
ラフルオロフェニルマグネシウムクロライド、1,2,
4−トリフルオロフェニルマグネシウムブロマイド、
1,3,5−トリフルオロフェニルマグネシウムヨーダ
イド、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルフ
ェニルマグネシウムブロマイド、2,5−ジフルオロフ
ェニルマグネシウムブロマイド、2,5−ジフルオロ−
3−メチルフェニルマグネシウムクロライド、2,3,
4,6−テトラフルオロ−5−メチルフェニルマグネシ
ウムブロマイド、2,4,6−トリフルオロ−5−メチ
ルフェニルマグネシウムクロライド、2,3,5,6−
テトラフルオロ−4−メトキシフェニルマグネシウムブ
ロマイド、2,3,6−トリフルオロ−5−メトキシフ
ェニルマグネシウムクロライド、2,4,6−トリフル
オロ−5−メトキシフェニルマグネシウムブロマイド、
2,5−ジフルオロ−3−メトキシフェニルマグネシウ
ムクロライド、2,5−ジフルオロ−4−メトキシフェ
ニルマグネシウムブロマイド、2−フルオロフェニルマ
グネシウムブロマイド、4−フルオロフェニルマグネシ
ウムブロマイド、2−フルオロ−4−メチルフェニルマ
グネシウムブロマイド等が挙げられる。上記例示のフッ
化アリールマグネシウム誘導体のうち、ペンタフルオロ
フェニルマグネシウムブロマイドが特に好ましい。ま
た、フッ化アリールマグネシウム誘導体は、必要に応じ
て、二種類以上を併用することもできる。
【0037】フッ化アリールマグネシウム誘導体の製造
方法は、特に限定されるものではない。フッ化アリール
マグネシウム誘導体は、例えば、塩化フッ化アリール、
臭化フッ化アリール、ヨウ化フッ化アリール等のハロゲ
ン化フッ化アリールと、マグネシウムとの反応によって
得られる。
【0038】また、例えば、前記一般式(1)中の少な
くともR1 、R5 で示される置換基が、何れもフッ素原
子であるフッ化アリールマグネシウム誘導体、即ち、前
記一般式(6)で表されるフッ化アリールマグネシウム
誘導体は、少なくとも水素原子の両隣(オルト位)にフ
ッ素原子を有するフッ化アリール、即ち、前記一般式
(4)で表されるフッ化アリールと、前記一般式(5)
で表されるハロゲン化炭化水素と、マグネシウムとの反
応によって得ることができる。尚、前記一般式(4)で
表されるフッ化アリールを出発物質とする(フッ化アリ
ール)ホウ素化合物の製造方法については、後段で詳述
する。
【0039】前記一般式(2)で表されるハロゲン化ホ
ウ素は、式中、Xbがフッ素原子、塩素原子、臭素原子
またはヨウ素原子で構成される化合物であり、具体的に
は、三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素、三臭化ホウ素、お
よび三ヨウ化ホウ素が挙げられる。このうち、三フッ化
ホウ素が特に好ましい。また、ハロゲン化ホウ素は、必
要に応じて、二種類以上を併用することもできる。尚、
ハロゲン化ホウ素は、例えば、ジエチルエーテル錯体や
テトラヒドロフラン錯体等のエーテル錯体になっていて
もよい。
【0040】上記のエーテル系溶媒は、フッ化アリール
マグネシウム誘導体、ハロゲン化ホウ素、並びに、必要
に応じてフッ化アリールおよびハロゲン化炭化水素を溶
解し、かつ、本発明にかかる反応に対して不活性な液体
状の化合物であればよく、特に限定されるものではな
い。エーテル系溶媒としては、具体的には、例えば、ジ
エチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピル
エーテル、ジブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、
ジペンチルエーテル、ジイソペンチルエーテル、1,2
−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、ジ−
2−メトキシエチルエーテル等の鎖状エーテル;テトラ
ヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサ
ン等の環状エーテル;等が挙げられる。これら化合物
は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併
用してもよい。上記例示の化合物のうち、ジエチルエー
テル、およびテトラヒドロフランが、反応がより一層進
行し易いのでより好ましい。また、上記例示の化合物を
二種類以上、併用する場合には、該エーテル系溶媒は、
少なくともジエチルエーテルまたはテトラヒドロフラン
を含んでいることがより好ましい。本発明にかかる製造
方法においては、エーテル系溶媒として、環状エーテル
を用いることができる。さらに、本発明にかかる反応に
対して支障が無い範囲内で、エーテル系溶媒と共に、炭
化水素系溶媒を用いる(併用する)こともできる。
【0041】エーテル系溶媒の使用量は、特に限定され
るものではないが、例えば、フッ化アリールマグネシウ
ム誘導体、または、ハロゲン化ホウ素の濃度が、0.1
重量%〜80重量%程度となる量が好ましい。尚、エー
テル系溶媒にフッ化アリールマグネシウム誘導体、また
は、ハロゲン化ホウ素を溶解させる方法は、特に限定さ
れるものではない。つまり、フッ化アリールマグネシウ
ム誘導体をエーテル系溶媒に溶解してなる溶液の調製方
法、並びに、ハロゲン化ホウ素をエーテル系溶媒に溶解
してなる溶液の調製方法は、特に限定されるものではな
い。
【0042】フッ化アリールマグネシウム誘導体とハロ
ゲン化ホウ素とのモル比(フッ化アリールマグネシウム
誘導体/ハロゲン化ホウ素)は、特に限定されるもので
はないが、1.0〜5.0の範囲内がより好ましい。そ
して、上記のモル比を2.5以上、5.0以下の範囲
内、さらに好ましくは2.7以上、4.0以下の範囲
内、特に好ましくは2.8以上、3.7以下の範囲内に
することにより、前記一般式(3)中のnが3である
(フッ化アリール)ホウ素化合物、即ち、トリス(フッ
化アリール)ホウ素を選択的に得ることができる。ま
た、上記のモル比を1.0以上、2.5未満の範囲内、
さらに好ましくは1.2以上、2.4以下の範囲内、特
に好ましくは1.3以上、2.3以下の範囲内にするこ
とにより、前記一般式(3)中のnが2である(フッ化
アリール)ホウ素化合物、即ち、ビス(フッ化アリー
ル)ホウ素ハライドを主生成物とすることができる。上
記のモル比が1.0よりも小さいと、未反応のハロゲン
化ホウ素が多くなる。また、上記のモル比が5.0より
も大きいと、未反応のフッ化アリールマグネシウム誘導
体が多くなる。従って、トリス(フッ化アリール)ホウ
素やビス(フッ化アリール)ホウ素ハライド等の(フッ
化アリール)ホウ素化合物を効率的に製造することがで
きなくなる場合がある。
【0043】上記の炭化水素系溶媒は、エーテル系溶媒
の沸点よりも高い沸点を有すると共に、目的物であるト
リス(フッ化アリール)ホウ素やビス(フッ化アリー
ル)ホウ素ハライド等の(フッ化アリール)ホウ素化合
物を溶解し、かつ、本発明にかかる反応に対して不活性
な液体状の化合物であればよく、特に限定されるもので
はない。炭化水素系溶媒としては、具体的には、例え
ば、ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、シクロヘキサ
ン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカ
ン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカ
ン、ヘキサデカン、オクタデカン、パラフィン、石油エ
ーテル等の、直鎖状、枝分かれ鎖状、または環状の脂肪
族炭化水素等が挙げられる。これら化合物は、一種類の
みを用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよ
い。さらに、炭化水素系溶媒には、本発明にかかる反応
に対して支障が無い範囲内で、ベンゼン、トルエン、o
−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、1,2,3
−トリメチルベンゼン、1,2,4−トリメチルベンゼ
ン、1,2,5−トリメチルベンゼン、1,3,5−ト
リメチルベンゼン、エチルベンゼン、プロピルベンゼ
ン、ブチルベンゼン等の芳香族炭化水素が混合されてい
てもよい。また、炭化水素系溶媒の沸点は、60℃以上
がより好ましい。尚、炭化水素系溶媒およびエーテル系
溶媒は、共沸組成物を形成しないことがより望ましい。
【0044】エーテル系溶媒および炭化水素系溶媒の好
適な組み合わせとしては、ジエチルエーテルおよびヘキ
サン、ジエチルエーテルおよびシクロヘキサン、ジエチ
ルエーテルおよびヘプタン、ジエチルエーテルおよびオ
クタン、ジエチルエーテルおよびIsoparE(商品
名;Exxon社製、炭素数が10程度のイソパラフィ
ンの混合物)、ジエチルエーテルおよびデカン、ジエチ
ルエーテルおよびオクタデカン、ジエチルエーテルおよ
び流動パラフィン、テトラヒドロフランおよびヘプタ
ン、テトラヒドロフランおよびオクタン、テトラヒドロ
フランおよびIsoparE、テトラヒドロフランおよ
びデカン、テトラヒドロフランおよびオクタデカン、テ
トラヒドロフランおよび流動パラフィン、等が挙げられ
る。
【0045】また、炭化水素系溶媒の使用量は、特に限
定されるものではないが、例えば、エーテル系溶媒を留
去しながら反応させる際における、目的物であるトリス
(フッ化アリール)ホウ素やビス(フッ化アリール)ホ
ウ素ハライド等の(フッ化アリール)ホウ素化合物の濃
度が、より好ましくは0.1重量%〜80重量%の範囲
内、さらに好ましくは0.1重量%〜50重量%の範囲
内となるように調節すればよい。特に、該濃度を0.1
重量%〜50重量%の範囲内に調節することによって、
(フッ化アリール)ホウ素化合物を、より一層高純度で
得ることができる。上記濃度を調節する方法は、特に限
定されるものではないが、例えば、エーテル系溶媒を留
去しながら反応させる際に、炭化水素系溶媒を反応系に
適宜追加する方法;反応器に蒸留塔を設け、炭化水素系
溶媒とエーテル系溶媒とを分留して該炭化水素系溶媒を
反応系に還流する方法;等がより好ましい。
【0046】フッ化アリールマグネシウム誘導体をエー
テル系溶媒に溶解してなる溶液(以下、マグネシウム誘
導体溶液と称する)、および、ハロゲン化ホウ素をエー
テル系溶媒に溶解してなる溶液(以下、ハロゲン化ホウ
素溶液と称する)を、炭化水素系溶媒に混合する混合順
序は、特に限定されるものではない。混合順序として
は、具体的には、マグネシウム誘導体溶液およびハロゲ
ン化ホウ素溶液を実質的に同時に炭化水素系溶媒に混合
する混合順序、並びに、マグネシウム誘導体溶液および
ハロゲン化ホウ素溶液を混合した後、該混合溶液を炭化
水素系溶媒に混合する混合順序が特に好ましい。
【0047】尚、エーテル系溶媒の存在下でフッ化アリ
ールマグネシウム誘導体とハロゲン化ホウ素とを長時間
接触させると、副反応が起こってトリス(フッ化アリー
ル)ホウ素やビス(フッ化アリール)ホウ素ハライド等
の(フッ化アリール)ホウ素化合物の収率および選択率
が低下し易い。このため、マグネシウム誘導体溶液およ
びハロゲン化ホウ素溶液を混合した後、該混合溶液を炭
化水素系溶媒に混合する場合には、上記の混合溶液を炭
化水素系溶媒に出来るだけ速やかに混合することが望ま
しい。
【0048】さらに、マグネシウム誘導体溶液およびハ
ロゲン化ホウ素溶液を混合する場合における両者の混合
温度は、好ましくは80℃以下、より好ましくは−40
℃〜70℃の範囲内、さらに好ましくは−20℃〜50
℃の範囲内に調節する。80℃以下の温度でマグネシウ
ム誘導体溶液およびハロゲン化ホウ素溶液を混合するこ
とにより、副反応を抑制することができる。該混合温度
が80℃を越えると、副反応を抑制することが困難とな
り、トリス(フッ化アリール)ホウ素やビス(フッ化ア
リール)ホウ素ハライド等の(フッ化アリール)ホウ素
化合物の収率および選択率が低下する。尚、混合温度を
−40℃よりも低く調節しても、上記の温度範囲内で混
合する場合と比較して、顕著な効果が得られない。
【0049】マグネシウム誘導体溶液およびハロゲン化
ホウ素溶液を上記の炭化水素系溶媒に混合する混合方
法、若しくは、マグネシウム誘導体溶液とハロゲン化ホ
ウ素溶液とを混合する混合方法は、特に限定されるもの
ではないが、連続的若しくは逐次的に滴下することが好
ましい。
【0050】マグネシウム誘導体溶液およびハロゲン化
ホウ素溶液を、非水溶媒である上記の炭化水素系溶媒に
混合すると共に、エーテル系溶媒を留去しながら攪拌す
ることにより、該炭化水素系溶媒中でフッ化アリールマ
グネシウム誘導体とハロゲン化ホウ素との反応が進行す
る。反応時においては、反応系に水が存在すると、フッ
化アリールマグネシウム誘導体が水と反応して分解す
る。従って、上記の反応は、窒素ガス等の不活性ガス雰
囲気下で行うことが望ましい。また、前記の混合時にお
いても、反応系、即ち、反応容器内は、窒素ガス等の不
活性ガスによって置換されていることが望ましい。さら
に、上記のエーテル系溶媒、炭化水素系溶媒、およびハ
ロゲン化ホウ素は、水分を含んでいないことが望まし
い。尚、エーテル系溶媒、炭化水素系溶媒、およびハロ
ゲン化ホウ素の脱水方法は、特に限定されるものではな
い。
【0051】エーテル系溶媒は、フッ化アリールマグネ
シウム誘導体とハロゲン化ホウ素との反応が完結するま
でに留去すればよい。留去するタイミングとしては、具
体的には、例えば、マグネシウム誘導体溶液および/
またはハロゲン化ホウ素溶液を炭化水素系溶媒に混合し
た後、留去する;マグネシウム誘導体溶液および/ま
たはハロゲン化ホウ素溶液を炭化水素系溶媒に混合しな
がら、留去する(混合と留去とを同時に行う);等が挙
げられるが、特に限定されるものではない。但し、前記
した理由により、エーテル系溶媒は、出来るだけ速やか
に留去することが望ましい。このため、マグネシウム誘
導体溶液および/またはハロゲン化ホウ素溶液を炭化水
素系溶媒に混合しながら、留去することが特に好まし
い。
【0052】エーテル系溶媒を留去する際の温度は、3
0℃〜200℃の範囲内、より好ましくは30℃〜15
0℃の範囲内に調節する。これにより、エーテル系溶媒
の残存量を少なくすることができる。特に、該温度を3
0℃〜150℃の範囲内に調節することによって、(フ
ッ化アリール)ホウ素化合物を、より一層高純度で得る
ことができる。エーテル系溶媒の留去は、常圧(大気
圧)、減圧、加圧の何れで実施してもよい。
【0053】反応温度は、30℃〜200℃の範囲内、
より好ましくは30℃〜170℃の範囲内、さらに好ま
しくは30℃〜150℃の範囲内に調節する。反応温度
が30℃未満であると、反応の進行が遅くなり、トリス
(フッ化アリール)ホウ素やビス(フッ化アリール)ホ
ウ素ハライド等の(フッ化アリール)ホウ素化合物を効
率的に製造することができなくなるので好ましくない。
また、反応温度が200℃を越えると、反応を制御する
ことが困難となる。
【0054】反応時間は、上記反応が完結するように、
反応温度や、フッ化アリールマグネシウム誘導体とハロ
ゲン化ホウ素との組み合わせ、モル比等に応じて、適宜
設定すればよい。また、反応圧力は、特に限定されるも
のではなく、常圧(大気圧)、減圧、加圧の何れであっ
てもよい。
【0055】上記の方法により、前記一般式(3)で表
される(フッ化アリール)ホウ素化合物が生成する。ま
た、一般式(B) MgXaXb ……(B) (式中、Xaは塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を
表し、Xbはフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨ
ウ素原子を表す)で表されるハロゲン化マグネシウムが
副生される。尚、該ハロゲン化マグネシウムは、必要に
応じて、(フッ化アリール)ホウ素化合物と分離すれば
よい。該分離方法は、特に限定されるものではない。そ
して、二種類以上のフッ化アリールマグネシウム誘導体
を混合して用いた場合には、数種類の(フッ化アリー
ル)ホウ素化合物の混合物が得られる。
【0056】上記の方法によれば、反応の制御が容易で
あるので、エーテル系溶媒が鎖状エーテル系溶媒にのみ
限定されない。つまり、取り扱いが比較的容易である環
状エーテル系溶媒を用いることができる。また、得られ
るトリス(フッ化アリール)ホウ素やビス(フッ化アリ
ール)ホウ素ハライド等の(フッ化アリール)ホウ素化
合物が錯体や四級化物を形成しないので、精製が容易で
ある。これにより、トリス(フッ化アリール)ホウ素や
ビス(フッ化アリール)ホウ素ハライド等の(フッ化ア
リール)ホウ素化合物を選択的にかつ簡単に安価に製造
することができる。つまり、従来の方法と比較して、工
業的に有利であり、トリス(フッ化アリール)ホウ素や
ビス(フッ化アリール)ホウ素ハライド等の(フッ化ア
リール)ホウ素化合物を高収率並びに高選択率で得るこ
とができる。(フッ化アリール)ホウ素化合物、とりわ
け、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素は、例え
ば、メタロセン触媒(重合触媒)の活性を高める助触媒
として有用である。さらに、フッ化アリールマグネシウ
ム誘導体がペンタフルオロフェニルマグネシウムブロマ
イドである場合には、トリス(ペンタフルオロフェニ
ル)ホウ素やビス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素ハ
ライド等の(ペンタフルオロフェニル)ホウ素化合物を
効率的にかつ簡単に安価に製造することができる。
【0057】次に、前記一般式(4)で表されるフッ化
アリールを出発物質とする(フッ化アリール)ホウ素化
合物の製造方法について説明する。
【0058】前記一般式(4)で表されるフッ化アリー
ルとしては、具体的には、例えば、ペンタフルオロベン
ゼン、1,2,3,5−テトラフルオロベンゼン、1,
2,4,5−テトラフルオロベンゼン、1,2,4−ト
リフルオロベンゼン、1,3,5−トリフルオロベンゼ
ン、1,3−ジフルオロベンゼン、2,3,5,6−テ
トラフルオロトルエン、2,3,4,6−テトラフルオ
ロトルエン、2,3,5−トリフルオロトルエン、2,
4,6−トリフルオロトルエン、2,4−ジフルオロト
ルエン、2,3,5,6−テトラフルオロアニソール、
2,3,4,6−テトラフルオロアニソール、2,4,
5−トリフルオロアニソール、2,4,6−トリフルオ
ロアニソール、2,4−ジフルオロアニソール、3,5
−ジフルオロアニソール等が挙げられる。
【0059】前記一般式(5)で表されるハロゲン化炭
化水素は、式中、R0 で示される置換基が炭化水素基で
あり、Xaが塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子で構
成される化合物である。上記の炭化水素基とは、具体的
には、例えば、アリール基、炭素数1〜12の直鎖状、
枝分かれ鎖状、または環状のアルキル基、および、炭素
数2〜12の直鎖状、枝分かれ鎖状、または環状のアル
ケニル基等を示す。尚、上記の炭化水素基は、本発明に
かかる反応に対して不活性な官能基をさらに有していて
もよい。該官能基としては、具体的には、例えば、メト
キシ基、メチルチオ基、N,N−ジメチルアミノ基、o
−アニス基、p−アニス基、トリメチルシリル基、ジメ
チル−t−ブチルシリルオキシ基、トリフルオロメチル
基等が挙げられる。
【0060】上記のハロゲン化炭化水素としては、具体
的には、例えば、塩化メチル、臭化メチル、ヨウ化メチ
ル、塩化エチル、臭化エチル、ヨウ化エチル、塩化n−
プロピル、臭化n−プロピル、ヨウ化n−プロピル、塩
化イソプロピル、臭化イソプロピル、ヨウ化イソプロピ
ル、塩化n−ブチル、臭化n−ブチル、ヨウ化n−ブチ
ル、塩化イソブチル、臭化イソブチル、ヨウ化イソブチ
ル、塩化 sec−ブチル、臭化 sec−ブチル、ヨウ化 sec
−ブチル、塩化t−ブチル、臭化t−ブチル、ヨウ化t
−ブチル、塩化ヘキシル、臭化ヘキシル、ヨウ化ヘキシ
ル、塩化シクロヘキシル、臭化シクロヘキシル、ヨウ化
シクロヘキシル、塩化アリル、臭化アリル、ヨウ化アリ
ル、塩化ベンゼン、臭化ベンゼン、ヨウ化ベンゼン等が
挙げられる。上記例示のハロゲン化炭化水素のうち、塩
化エチル、臭化エチル、ヨウ化エチル、塩化イソプロピ
ル、臭化イソプロピル、ヨウ化イソプロピル、塩化アリ
ル、臭化アリル、ヨウ化アリルが特に好ましい。また、
ハロゲン化炭化水素は、必要に応じて、二種類以上を併
用することもできる。
【0061】フッ化アリールに対するハロゲン化炭化水
素の割合は、特に限定されるものではないが、0.5当
量以上がより好ましく、0.5当量〜3.0当量の範囲
内がさらに好ましく、0.8当量〜1.5当量の範囲内
が特に好ましい。ハロゲン化炭化水素の割合が0.5当
量未満であると、未反応のフッ化アリールが多くなり、
前記一般式(6)で表されるフッ化アリールマグネシウ
ム誘導体を効率的に調製することができなくなる場合が
ある。
【0062】上記マグネシウムは、反応がより一層進行
し易いように、表面積が比較的広い形状、例えば、粉末
状、粒状、薄片状(リボン状)等であることが望まし
い。フッ化アリールに対するマグネシウムの割合は、特
に限定されるものではないが、0.5当量以上がより好
ましく、0.5当量〜3.0当量の範囲内がさらに好ま
しく、0.8当量〜1.5当量の範囲内が特に好まし
い。マグネシウムの割合が0.5当量未満であると、未
反応のフッ化アリールが多くなり、フッ化アリールマグ
ネシウム誘導体を効率的に調製することができなくなる
場合がある。
【0063】前記一般式(6)で表されるフッ化アリー
ルマグネシウム誘導体を経由する反応に好適なエーテル
系溶媒としては、前記例示の鎖状エーテル、環状エーテ
ル等が挙げられる。これら化合物は、一種類のみを用い
てもよく、また、二種類以上を併用してもよい。上記例
示の化合物のうち、ジエチルエーテル、およびテトラヒ
ドロフランが、反応がより一層進行し易いのでより好ま
しい。また、上記例示の化合物を二種類以上、併用する
場合には、該エーテル系溶媒は、少なくともジエチルエ
ーテルまたはテトラヒドロフランを含んでいることがよ
り好ましい。
【0064】エーテル系溶媒の使用量は、特に限定され
るものではないが、例えば、得られるフッ化アリールマ
グネシウム誘導体の濃度が、0.1重量%〜80重量%
程度となる量が好ましい。
【0065】前記一般式(6)で表されるフッ化アリー
ルマグネシウム誘導体を経由する反応に好適な炭化水素
系溶媒としては、前記例示の脂肪族炭化水素、芳香族炭
化水素等が挙げられる。これら化合物は、一種類のみを
用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。
【0066】また、エーテル系溶媒と炭化水素系溶媒と
の混合比率は、両者が均一に混合されて混合溶媒となる
比率であればよく、特に限定されるものではないが、容
量比で、1:0〜1:10の範囲内が好ましい。また、
非水溶媒である混合溶媒の使用量は、特に限定されるも
のではないが、例えば、得られるフッ化アリールマグネ
シウム誘導体の濃度が、0.1重量%〜80重量%程度
となる量が好ましい。
【0067】エーテル系溶媒、または、エーテル系溶媒
と炭化水素系溶媒との混合溶媒(以下、両者をまとめて
単に溶媒と記す)に、フッ化アリール、ハロゲン化炭化
水素、およびマグネシウムを混合する混合順序は、特に
限定されるものではない。混合順序としては、具体的に
は、例えば、フッ化アリール、ハロゲン化炭化水素、
およびマグネシウムを実質的に同時に溶媒に混合する;
フッ化アリールおよびマグネシウムを溶媒に混合した
後、ハロゲン化炭化水素を混合する;フッ化アリール
を溶媒に混合した後、ハロゲン化炭化水素およびマグネ
シウムを実質的に同時に混合する;マグネシウムを溶
媒に混合した後、フッ化アリールおよびハロゲン化炭化
水素を実質的に同時に混合する;マグネシウムを溶媒
に混合した後、フッ化アリールを混合し、次いで、ハロ
ゲン化炭化水素を混合する;フッ化アリールおよびハ
ロゲン化炭化水素を溶媒に混合した後、マグネシウムを
混合する;等が挙げられる。上記例示の方法のうち、フ
ッ化アリールおよびマグネシウムを溶媒に混合した後、
ハロゲン化炭化水素を混合する混合順序が特に好まし
い。
【0068】フッ化アリールおよび/またはハロゲン化
炭化水素を上記の溶媒に混合する混合方法は、特に限定
されるものではないが、連続的若しくは逐次的に滴下す
ることが好ましい。フッ化アリールやハロゲン化炭化水
素を滴下することにより、反応をより一層容易に制御す
ることができる。尚、滴下方法は、特に限定されるもの
ではない。フッ化アリールやハロゲン化炭化水素は、そ
のまま滴下してもよく、また、溶媒を加えて薄めた状態
で滴下してもよい。
【0069】フッ化アリールおよび/またはハロゲン化
炭化水素を上記の溶媒に混合する際の混合温度は、特に
限定されるものではないが、ハロゲン化炭化水素を溶媒
に混合する際には、混合温度を、−20℃以上、当該溶
媒の還流温度以下、より好ましくは−20℃〜100℃
の範囲内、さらに好ましくは20℃〜70℃の範囲内に
調節する。上記の温度範囲内でハロゲン化炭化水素を溶
媒に混合することにより、反応をより一層容易に制御す
ることができる。該混合温度を−20℃よりも低く調節
しても、上記の温度範囲内で混合する場合と比較して、
顕著な効果が得られないので、工業的に不利である。ま
た、混合温度が当該溶媒の還流温度を越えると、反応を
制御することが困難となる。尚、混合温度を、−20℃
以上、当該溶媒の還流温度以下の範囲内に調節すること
は、工業的に容易である。
【0070】フッ化アリール、ハロゲン化炭化水素、お
よびマグネシウムを、非水溶媒である上記の溶媒に混合
した後、攪拌することにより、該溶媒中で三者の反応が
進行する。そして、マグネシウムは、反応の進行に伴っ
て徐々に溶解する。反応時においては、反応系に水が存
在すると、生成するフッ化アリールマグネシウム誘導体
が水と反応して分解する。従って、上記の反応は、窒素
ガス等の不活性ガス雰囲気下で行うことが望ましい。ま
た、前記の混合時においても、反応系、即ち、反応容器
内は、窒素ガス等の不活性ガスによって置換されている
ことが望ましい。さらに、上記の溶媒、フッ化アリー
ル、およびハロゲン化炭化水素は、水分を含んでいない
ことが望ましい。尚、フッ化アリール、ハロゲン化炭化
水素、および溶媒の脱水方法は、特に限定されるもので
はない。
【0071】反応温度は、30℃以上、当該溶媒の還流
温度以下、より好ましくは30℃〜200℃の範囲内、
さらに好ましくは30℃〜70℃の範囲内に調節する。
反応温度が30℃未満であると、反応の進行が遅くな
り、フッ化アリールマグネシウム誘導体を効率的に調製
することができなくなるので好ましくない。また、反応
温度が当該溶媒の還流温度を越えると、反応を制御する
ことが困難となる。
【0072】反応時間は、上記反応が完結するように、
反応温度や、フッ化アリールとハロゲン化炭化水素との
組み合わせ、使用量等に応じて、適宜設定すればよい。
また、反応圧力は、特に限定されるものではなく、常
圧、減圧、加圧の何れであってもよい。
【0073】上記の方法により、前記一般式(6)で表
されるフッ化アリールマグネシウム誘導体が生成する。
つまり、フッ化アリールマグネシウム誘導体の溶液が得
られる。また、一般式(C) R0 H ……(C) (式中、R0 は炭化水素基を表す)で表される炭化水素
が副生される。尚、該炭化水素は、必要に応じて、フッ
化アリールマグネシウム誘導体と分離すればよい。該分
離方法は、特に限定されるものではない。
【0074】そして、上記の方法により得られたフッ化
アリールマグネシウム誘導体と、前記一般式(2)で表
されるハロゲン化ホウ素とを反応させる(in-situ で反
応させる)ことにより、前記一般式(7)で表される
(フッ化アリール)ホウ素化合物が得られる。フッ化ア
リールマグネシウム誘導体とハロゲン化ホウ素とのモル
比は、特に限定されるものではないが、前記例示の範囲
内がより好ましい。
【0075】フッ化アリールマグネシウム誘導体の溶液
と、ハロゲン化ホウ素とを混合する混合方法は、特に限
定されるものではなく、該溶液にハロゲン化ホウ素を一
度に添加してもよく、或いは連続的若しくは逐次的に滴
下してもよい。ハロゲン化ホウ素は、そのまま混合して
もよく、また、溶媒を加えて薄めた状態で混合してもよ
い。
【0076】フッ化アリールマグネシウム誘導体の溶液
と、ハロゲン化ホウ素とを混合する際の混合温度や反応
温度は、特に限定されるものではないが、前記例示の範
囲内に調節することがより好ましい。また、反応時間
は、上記反応が完結するように、反応温度や、フッ化ア
リールマグネシウム誘導体とハロゲン化ホウ素との組み
合わせ、使用量等に応じて、適宜設定すればよい。ま
た、反応圧力は、特に限定されるものではなく、常圧、
減圧、加圧の何れであってもよい。このうち、前記一般
式(3)で表される(フッ化アリール)ホウ素化合物を
製造する際に採用する反応条件を採用することがより好
ましい。
【0077】上記の方法により、前記一般式(7)で表
される(フッ化アリール)ホウ素化合物が生成する。ま
た、前記一般式(B)で表されるハロゲン化マグネシウ
ムが副生される。尚、該ハロゲン化マグネシウムは、必
要に応じて、(フッ化アリール)ホウ素化合物と分離す
ればよい。該分離方法は、特に限定されるものではな
い。
【0078】上記の方法によれば、上述した種々の効果
に加えて、フッ化アリールから(フッ化アリール)ホウ
素化合物を得る反応工程を実質的に一段階(いわゆる1
pot)にすることができる。従って、(フッ化アリー
ル)ホウ素化合物をより一層簡単かつ安価に製造するこ
とができる。
【0079】
【実施例】以下、実施例により、本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるもの
ではない。
【0080】〔実施例1〕温度計、滴下ロート、攪拌
機、窒素ガス導入管、およびジムロート型冷却器を備え
た100mlの四ツ口フラスコを混合容器とした。該混
合容器内を、数回にわたって窒素ガス置換した後、混合
容器に、エーテル系溶媒としてのテトラヒドロフラン3
5mlと、ハロゲン化ホウ素としての三フッ化ホウ素テ
トラヒドロフラン錯体1.8159g(12.81ミリ
モル)とを仕込んだ。また、フッ化アリールマグネシウ
ム誘導体としてのペンタフルオロフェニルマグネシウム
ブロマイド37.9ミリモルを含むテトラヒドロフラン
溶液(マグネシウム誘導体溶液)35mlを、滴下ロー
トに仕込んだ。ペンタフルオロフェニルマグネシウムブ
ロマイドと三フッ化ホウ素テトラヒドロフラン錯体との
モル比は、3.0であった。
【0081】次いで、窒素気流下、上記の内容物(ハロ
ゲン化ホウ素溶液)を攪拌しながら、上記のテトラヒド
ロフラン溶液を25℃(混合温度)で15分間かけて滴
下した。これにより、混合溶液を得た。そして、この混
合溶液を用いて、以下に示す反応および操作等を直ちに
実施した。
【0082】温度計、滴下ロート、攪拌機、窒素ガス導
入管、およびリービッヒ型冷却器を備えた300mlの
四ツ口フラスコを反応容器とした。また、リービッヒ型
冷却器の出口側先端部には、受器を取り付けると共に、
真空ポンプ等を備えたいわゆる真空排気ラインを接続し
た。上記の反応容器内を、数回にわたって窒素ガス置換
した後、反応容器に、炭化水素系溶媒としてのIsop
arE(商品名;Exxon社製)200mlを仕込ん
だ。また、上記の混合溶液を滴下ロートに仕込んだ。
尚、反応容器内、つまり、反応系は、常圧とした。
【0083】次いで、窒素気流下、上記の炭化水素系溶
媒を攪拌しながら60℃に昇温し、上記の混合溶液を該
温度で滴下した。混合溶液の凡そ半量を滴下し終わった
時点で、残りの混合溶液を滴下しながら、反応系を徐々
に減圧状態にし、テトラヒドロフランの留去を開始し
た。そして、1.5時間かけて混合溶液の滴下を終了し
た。この時点での反応系の圧力は、250mmHgとな
った。
【0084】滴下終了後、窒素気流下、反応系の減圧度
をさらに高めながら、反応液を60℃(反応温度)で3
時間攪拌して反応(熟成)させた。反応終了時点での反
応系の圧力は、80mmHgとなった。
【0085】反応終了後、反応液を室温に冷却し、次い
で、窒素雰囲気下、該反応液を濾過した。これにより、
(フッ化アリール)ホウ素化合物としてのトリス(ペン
タフルオロフェニル)ホウ素を、炭化水素系溶媒の溶液
(濾液)の状態で得た。
【0086】トリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素
の収率は、19F−NMRを測定することにより求めた。
即ち、p−フルオロトルエンを内部標準として用い、19
F−NMRを、所定の条件下で測定した。そして、得ら
れた19F−NMRのチャートから、p−フルオロトルエ
ンのフッ素原子の積分値と、トリス(ペンタフルオロフ
ェニル)ホウ素におけるペンタフルオロフェニル基のオ
ルト位のフッ素原子の積分値とを求め、両積分値からト
リス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素の量を算出し
た。その結果、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ
素の収率は、76.8モル%であった。
【0087】〔実施例2〕実施例1と同様の混合容器内
を、数回にわたって窒素ガス置換した。該混合容器に、
テトラヒドロフラン35mlと、三フッ化ホウ素テトラ
ヒドロフラン錯体1.7712g(12.49ミリモ
ル)とを仕込んだ。また、ペンタフルオロフェニルマグ
ネシウムブロマイド37.81ミリモルを含むテトラヒ
ドロフラン溶液35mlを、滴下ロートに仕込んだ。ペ
ンタフルオロフェニルマグネシウムブロマイドと三フッ
化ホウ素テトラヒドロフラン錯体とのモル比は、3.0
であった。
【0088】次いで、窒素気流下、上記の内容物を攪拌
しながら、上記のテトラヒドロフラン溶液を25℃(混
合温度)で5分間かけて滴下した。これにより、混合溶
液を得た。そして、この混合溶液を用いて、以下に示す
反応および操作等を直ちに実施した。
【0089】実施例1と同様の反応容器内を、数回にわ
たって窒素ガス置換した。該反応容器に、炭化水素系溶
媒としてのIsoparE(商品名;Exxon社製)
200mlを仕込んだ。また、上記の混合溶液を滴下ロ
ートに仕込んだ。尚、反応容器内、つまり、反応系は、
常圧とした。
【0090】次いで、窒素気流下、上記の炭化水素系溶
媒を攪拌しながら85℃に昇温し、上記の混合溶液を該
温度で滴下した。混合溶液の凡そ半量を滴下し終わった
時点で、残りの混合溶液を滴下しながら、反応系を徐々
に減圧状態にし、テトラヒドロフランの留去を開始し
た。そして、1.5時間かけて混合溶液の滴下を終了し
た。この時点での反応系の圧力は、450mmHgとな
った。
【0091】滴下終了後、窒素気流下、反応系の減圧度
をさらに高めながら、反応液を60℃(反応温度)で1
時間攪拌して反応(熟成)させた。反応終了時点での反
応系の圧力は、80mmHgとなった。
【0092】反応終了後、反応液を室温に冷却し、次い
で、窒素雰囲気下、該反応液を濾過した。これにより、
(フッ化アリール)ホウ素化合物としてのトリス(ペン
タフルオロフェニル)ホウ素を、炭化水素系溶媒の溶液
(濾液)の状態で得た。
【0093】トリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素
の収率を、実施例1の方法と同様の方法で求めた。その
結果、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素の収率
は、69.2モル%であった。また、上記の濾過で得た
濾残(不溶物)をジエチルエーテルで抽出することによ
り、抽出液を得た。そして、この抽出液に含まれている
トリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素の量を、実施
例1の方法と同様の方法で求めた。その結果、該抽出液
には、収率で22.5モル%に相当する量のトリス(ペ
ンタフルオロフェニル)ホウ素が含まれていた。従っ
て、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素の全収率
は、91.7モル%であった。
【0094】〔実施例3〕実施例1と同様の混合容器内
を、数回にわたって窒素ガス置換した。該混合容器に、
エーテル系溶媒としてのジエチルエーテル10mlと、
ハロゲン化ホウ素としての三フッ化ホウ素ジエチルエー
テル錯体3.395g(23.90ミリモル)とを仕込
んだ。また、ペンタフルオロフェニルマグネシウムブロ
マイド38.57ミリモルを含むジエチルエーテル溶液
35mlを、滴下ロートに仕込んだ。ペンタフルオロフ
ェニルマグネシウムブロマイドと三フッ化ホウ素ジエチ
ルエーテル錯体とのモル比は、1.6であった。
【0095】次いで、窒素気流下、上記の内容物を攪拌
しながら、上記のジエチルエーテル溶液を25℃(混合
温度)で30分間かけて滴下した。これにより、混合溶
液を得た。そして、この混合溶液を用いて、以下に示す
反応および操作等を直ちに実施した。
【0096】温度計、滴下ロート、攪拌機、窒素ガス導
入管、およびリービッヒ型冷却器を備えた300mlの
四ツ口フラスコを反応容器とした。また、リービッヒ型
冷却器の出口側先端部には、受器を取り付けた。上記の
反応容器内を、数回にわたって窒素ガス置換した後、反
応容器に、炭化水素系溶媒としてのIsoparE(商
品名;Exxon社製)200mlを仕込んだ。また、
上記の混合溶液を滴下ロートに仕込んだ。尚、反応容器
内、つまり、反応系は、常圧とした。
【0097】次いで、窒素気流下、上記の炭化水素系溶
媒を攪拌しながら90℃に昇温し、上記の混合溶液を該
温度で1時間かけて滴下した。また、混合溶液の滴下と
同時に、ジエチルエーテルを含む留出液の留去を開始し
た。
【0098】滴下終了後、窒素気流下、反応液を110
℃(反応温度)に昇温し、該温度で1時間攪拌して反応
(熟成)させた。
【0099】反応終了後、反応液を室温に冷却し、次い
で、窒素雰囲気下、該反応液を濾過した。これにより、
(フッ化アリール)ホウ素化合物としてのビス(ペンタ
フルオロフェニル)ホウ素フルオライドを、炭化水素系
溶媒の溶液(濾液)の状態で得た。
【0100】ビス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素フ
ルオライドの収率を、実施例1の方法と同様の方法で求
めた。その結果、ビス(ペンタフルオロフェニル)ホウ
素フルオライドの収率は、92.5モル%であった。
【0101】〔実施例4〕温度計、2つの滴下ロート、
攪拌機、窒素ガス導入管、およびリービッヒ型冷却器を
備えた300mlの四ツ口フラスコを反応容器とした。
また、リービッヒ型冷却器の出口側先端部には、受器を
取り付けると共に、真空ポンプ等を備えたいわゆる真空
排気ラインを接続した。上記の反応容器内を、数回にわ
たって窒素ガス置換した後、反応容器に、炭化水素系溶
媒としてのIsoparE(商品名;Exxon社製)
200mlを仕込んだ。また、一方の滴下ロートに、テ
トラヒドロフラン35mlと三フッ化ホウ素テトラヒド
ロフラン錯体1.8128g(12.79ミリモル)と
を仕込むと共に、他方の滴下ロートに、ペンタフルオロ
フェニルマグネシウムブロマイド37.30ミリモルを
含むテトラヒドロフラン溶液35mlを仕込んだ。ペン
タフルオロフェニルマグネシウムブロマイドと三フッ化
ホウ素テトラヒドロフラン錯体とのモル比は、2.9で
あった。尚、反応容器内、つまり、反応系は、常圧とし
た。
【0102】次いで、窒素気流下、上記の炭化水素系溶
媒を攪拌しながら64℃に昇温し、上記2つの滴下ロー
トに仕込んだテトラヒドロフラン溶液を、該温度で実質
的に同時に滴下した。各テトラヒドロフラン溶液の凡そ
半量を滴下し終わった時点で、残りの各テトラヒドロフ
ラン溶液を滴下しながら、反応系を徐々に減圧状態に
し、テトラヒドロフランの留去を開始した。そして、1
時間かけて両テトラヒドロフラン溶液の滴下を終了し
た。この時点での反応系の圧力は、250mmHgとな
った。また、反応液の温度は、55℃となった。
【0103】滴下終了後、窒素気流下、反応系の減圧度
をさらに高めながら、反応液を55℃(反応温度)で2
時間攪拌して反応(熟成)させた。反応終了時点での反
応系の圧力は、80mmHgとなった。
【0104】反応終了後、反応液を室温に冷却し、次い
で、窒素雰囲気下、該反応液を濾過した。これにより、
(フッ化アリール)ホウ素化合物としてのトリス(ペン
タフルオロフェニル)ホウ素を、炭化水素系溶媒の溶液
(濾液)の状態で得た。
【0105】トリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素
の収率を、実施例1の方法と同様の方法で求めた。その
結果、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素の収率
は、41.9モル%であった。また、上記の濾過で得た
濾残(不溶物)をジエチルエーテルで抽出することによ
り、抽出液を得た。そして、この抽出液に含まれている
トリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素の量を、実施
例1の方法と同様の方法で求めた。その結果、該抽出液
には、収率で21.4モル%に相当する量のトリス(ペ
ンタフルオロフェニル)ホウ素が含まれていた。従っ
て、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素の全収率
は、63.3モル%であった。
【0106】〔実施例5〕フッ化アリールを出発物質と
して(フッ化アリール)ホウ素化合物を製造した。即
ち、温度計、滴下ロート、攪拌機、窒素ガス導入管、お
よび還流冷却器を備えた反応容器内を、充分に窒素ガス
置換した。該反応容器に、マグネシウム2.320g
(0.095モル)、フッ化アリールとしてのペンタフ
ルオロベンゼン15.110g(0.090モル)、お
よび溶媒(エーテル系溶媒)としてのジエチルエーテル
20mlを仕込んだ。また、ハロゲン化炭化水素として
の臭化イソプロピル11.707g(0.095モル)
をジエチルエーテル5mlに混合してなる混合溶液を滴
下ロートに仕込んだ。ペンタフルオロベンゼンに対する
臭化イソプロピルの割合、並びに、ペンタフルオロベン
ゼンに対するマグネシウムの割合は、それぞれ約1.0
6当量であった。
【0107】そして、窒素気流下、上記の内容物を攪拌
しながら、上記の混合溶液を1時間かけて滴下した。滴
下終了後、窒素気流下、反応液を65.0℃(反応温
度)で3時間攪拌して反応(熟成)させた。反応終了
後、ジエチルエーテル20mlを加えることにより反応
液を希釈した。これにより、フッ化アリールマグネシウ
ム誘導体としてのペンタフルオロフェニルマグネシウム
ブロマイドを、ジエチルエーテル溶液の状態で得た。
【0108】ペンタフルオロフェニルマグネシウムブロ
マイドの反応収率は、19F−NMRを測定することによ
り求めた。即ち、測定試料は、反応終了後の反応液の一
部を抜き取り、窒素雰囲気下、該反応液に重水素化ベン
ゼンを混合することにより調製した。また、19F−NM
Rは、所定の条件下で測定した。そして、得られた19
−NMRのチャートから、ペンタフルオロベンゼンのメ
タ位のフッ素原子の積分値と、ペンタフルオロフェニル
マグネシウムブロマイドにおけるペンタフルオロフェニ
ル基のメタ位のフッ素原子の積分値とを求め、両積分値
からペンタフルオロフェニルマグネシウムブロマイドの
量を算出した。
【0109】その結果、ペンタフルオロフェニルマグネ
シウムブロマイドの反応収率は、88.0モル%であっ
た。そして、得られたペンタフルオロフェニルマグネシ
ウムブロマイドのジエチルエーテル溶液を用いて以下の
反応を行った。
【0110】温度計、滴下ロート、攪拌機、窒素ガス導
入管、および還流冷却器を備えた反応容器内を、充分に
窒素ガス置換した。該反応容器に、三フッ化ホウ素ジエ
チルエーテル錯体3.198gと、ジエチルエーテル2
0mlとを仕込んだ。また、上記ペンタフルオロフェニ
ルマグネシウムブロマイドのジエチルエーテル溶液を滴
下ロートに仕込んだ。ペンタフルオロフェニルマグネシ
ウムブロマイドと三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体
とのモル比は、3.5であった。
【0111】そして、窒素気流下、上記の内容物を攪拌
しながら、滴下ロート内のジエチルエーテル溶液を0.
5時間かけて滴下した。滴下開始時の内容物の温度は2
5℃であり、滴下中の内容物の温度(混合温度)は36
℃に達した。
【0112】滴下終了後、窒素気流下、反応液を37℃
(反応温度)で3時間攪拌して反応(熟成)させた。こ
れにより、(フッ化アリール)ホウ素化合物としてのト
リス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素を、ジエチルエ
ーテル溶液の状態で得た。
【0113】トリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素
の収率を、実施例1の方法と同様の方法で求めた。その
結果、三フッ化ホウ素に対するトリス(ペンタフルオロ
フェニル)ホウ素の収率は、88.7モル%であった。
【0114】〔実施例6〕フッ化アリールを出発物質と
して(フッ化アリール)ホウ素化合物を製造した。即
ち、実施例5と同様の反応容器内を、充分に窒素ガス置
換した。該反応容器に、マグネシウム2.184g
(0.090モル)、ペンタフルオロベンゼン15.1
28g(0.090モル)、およびジエチルエーテル1
5mlを仕込んだ。また、臭化イソプロピル12.18
9g(0.099モル)をジエチルエーテル10mlに
混合してなる混合溶液を滴下ロートに仕込んだ。ペンタ
フルオロベンゼンに対する臭化イソプロピルの割合は、
1.10当量であり、ペンタフルオロベンゼンに対する
マグネシウムの割合は、1.00当量であった。
【0115】そして、窒素気流下、上記の内容物を攪拌
しながら、上記の混合溶液を55分間かけて滴下した。
滴下終了後、窒素気流下、反応液を61.0℃(反応温
度)で4時間攪拌して反応(熟成)させた。これによ
り、フッ化アリールマグネシウム誘導体としてのペンタ
フルオロフェニルマグネシウムブロマイドを、ジエチル
エーテル溶液の状態で得た。
【0116】ペンタフルオロフェニルマグネシウムブロ
マイドの反応収率を、実施例5の方法と同様の方法で求
めた。その結果、ペンタフルオロフェニルマグネシウム
ブロマイドの反応収率は、85.7モル%であった。そ
して、得られたペンタフルオロフェニルマグネシウムブ
ロマイドのジエチルエーテル溶液を用いて以下の反応を
行った。
【0117】温度計、滴下ロート、攪拌機、窒素ガス導
入管、および還流冷却器を備えた混合容器内を、充分に
窒素ガス置換した。該混合容器に、三フッ化ホウ素ジエ
チルエーテル錯体2.994g(0.021モル)と、
ジエチルエーテル20mlとを仕込んだ。また、上記ペ
ンタフルオロフェニルマグネシウムブロマイドのジエチ
ルエーテル溶液と、ジエチルエーテル25mlとを滴下
ロートに仕込んだ。ペンタフルオロフェニルマグネシウ
ムブロマイドと三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体と
のモル比は、3.66であった。
【0118】そして、窒素気流下、上記の内容物を攪拌
しながら、滴下ロート内のジエチルエーテル溶液を80
分間かけて滴下した。滴下終了後、窒素気流下、混合溶
液を室温で一晩攪拌した。そして、この混合溶液を用い
て、以下に示す反応および操作等を実施した。
【0119】温度計、滴下ロート、攪拌機、窒素ガス導
入管、および還流冷却器を備えた反応容器内を、充分に
窒素ガス置換した。該反応容器に、炭化水素系溶媒とし
てのIsoparE(商品名;Exxon社製)300
mlを仕込んだ。また、上記方法により調製した混合溶
液を滴下ロートに仕込んだ。
【0120】次いで、窒素気流下、上記の炭化水素系溶
媒を攪拌しながら115℃に昇温し、上記の混合溶液を
該温度で1時間かけて滴下した。また、混合溶液の滴下
と同時に、ジエチルエーテルを含む留出液の留去を開始
した。滴下終了後、窒素気流下、反応容器内を123℃
(反応温度)まで徐々に昇温することによってジエチル
エーテルを含む留出液の留去をさらに行った。
【0121】反応終了後、反応液を室温に冷却した後、
窒素雰囲気下、該反応液を濾過した。これにより、(フ
ッ化アリール)ホウ素化合物としてのトリス(ペンタフ
ルオロフェニル)ホウ素を、炭化水素系溶媒の溶液(濾
液)の状態で得た。
【0122】トリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素
の収率を、実施例1の方法と同様の方法で求めた。その
結果、三フッ化ホウ素に対するトリス(ペンタフルオロ
フェニル)ホウ素の収率は、73.1モル%であった。
【0123】〔実施例7〕温度計、滴下ロート、攪拌
機、窒素ガス導入管、およびジムロート型冷却器を備え
た1,000mlの四ツ口フラスコを混合容器とした。
該混合容器内を、数回にわたって窒素ガス置換した後、
混合容器に、ジエチルエーテル350mlと三フッ化ホ
ウ素ジエチルエーテル錯体33.7127g(237.
53ミリモル)とを仕込んだ。また、ペンタフルオロフ
ェニルマグネシウムブロマイド707.4ミリモルを含
むジエチルエーテル溶液360mlを滴下ロートに仕込
んだ。ペンタフルオロフェニルマグネシウムブロマイド
と三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体とのモル比は、
3.0であった。尚、混合容器内は、常圧とした。
【0124】次いで、窒素気流下、上記の内容物を攪拌
しながら、滴下ロート内のジエチルエーテル溶液を1時
間かけて滴下した。滴下開始時の混合容器内の温度は2
5℃であり、滴下中の内容物の温度は34℃に達した。
これにより、混合溶液670.8gを得た。そして、こ
の混合溶液を用いて、以下に示す反応および操作等を直
ちに実施した。
【0125】温度計、滴下ロート、攪拌機、窒素ガス導
入管、および段数10段のオールダーショウ(Oldersha
w) 蒸留塔を備えた3,000mlの四ツ口フラスコを
反応容器とした。また、蒸留塔から留出する留出液を受
ける受器を所定位置に取り付けた。上記の反応容器内
を、数回にわたって窒素ガス置換した後、反応容器に、
炭化水素系溶媒としてのIsoparE(商品名;Ex
xon社製)1,056.0gを仕込んだ。また、上記
の混合溶液を滴下ロートに仕込んだ。尚、反応容器内、
つまり、反応系は、常圧とした。
【0126】次いで、窒素気流下、上記の炭化水素系溶
媒を攪拌しながら95℃に昇温し、上記の混合溶液を該
温度で1時間かけて滴下した。また、混合溶液の滴下と
同時に、ジエチルエーテルを含む留出液の留去を開始し
た。滴下終了後、窒素気流下、反応容器内を125℃
(反応温度)まで徐々に昇温することによってジエチル
エーテルを含む留出液の留去をさらに行うと共に、該温
度で所定時間、反応(熟成)させた。留出液の全量は7
92.9gであり、このうち、ジエチルエーテル留分は
404.6gであった。従って、ジエチルエーテルの回
収率は92.1重量%であった。また、反応終了時点に
おける反応液中のトリス(ペンタフルオロフェニル)ホ
ウ素の濃度を、実施例1の方法に準じて求めた。その結
果、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素の濃度
は、12.9重量%であった。
【0127】反応終了後、IsoparEを2,27
5.7g加えることにより反応液を希釈した。次いで、
反応液を室温に冷却した後、窒素雰囲気下、該反応液を
濾過した。これにより、(フッ化アリール)ホウ素化合
物としてのトリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素
を、炭化水素系溶媒の溶液(濾液)の状態で得た。
【0128】トリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素
の収率を、実施例1の方法と同様の方法で求めた。その
結果、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素の収率
は、95.9モル%であった。また、上記溶液(濾液)
に含まれるジエチルエーテルの残存量を、p−フルオロ
トルエンを内部標準として用い、 1H−NMRを測定す
ることにより求めた。その結果、トリス(ペンタフルオ
ロフェニル)ホウ素に対するジエチルエーテルの残存量
は、4.7モル%であった。
【0129】
【発明の効果】本発明の(フッ化アリール)ホウ素化合
物の製造方法は、以上のように、一般式(3)
【0130】
【化13】
【0131】(式中、R1 、R2 、R3 、R4 、R5
それぞれ独立して水素原子、フッ素原子、炭化水素基ま
たはアルコキシ基を表し、かつ、該R1 〜R5 のうちの
少なくとも一つはフッ素原子であり、Xbはフッ素原
子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を表し、nは
2または3である)で表される(フッ化アリール)ホウ
素化合物の製造方法に関するものであり、一般式(1)
【0132】
【化14】
【0133】(式中、R1 、R2 、R3 、R4 、R5
それぞれ独立して水素原子、フッ素原子、炭化水素基ま
たはアルコキシ基を表し、かつ、該R1 〜R5 のうちの
少なくとも一つはフッ素原子であり、Xaは塩素原子、
臭素原子またはヨウ素原子を表す)で表されるフッ化ア
リールマグネシウム誘導体をエーテル系溶媒に溶解して
なる溶液と、一般式(2) BXb3 ……(2) (式中、Xbはフッ素原子、塩素原子、臭素原子または
ヨウ素原子を表す)で表されるハロゲン化ホウ素をエー
テル系溶媒に溶解してなる溶液とを、エーテル系溶媒の
沸点よりも高い沸点を有する炭化水素系溶媒に混合する
と共に、該エーテル系溶媒を留去しながら反応させる方
法である。
【0134】本発明の(フッ化アリール)ホウ素化合物
の製造方法は、以上のように、エーテル系溶媒を留去し
ながら反応させる際の温度が、30℃〜200℃の範囲
内である方法である。
【0135】本発明の(フッ化アリール)ホウ素化合物
の製造方法は、以上のように、エーテル系溶媒を留去し
ながら反応させる際の(フッ化アリール)ホウ素化合物
の濃度が0.1重量%〜50重量%の範囲内となるよう
に、炭化水素系溶媒の使用量を調節する方法である。
【0136】本発明の(フッ化アリール)ホウ素化合物
の製造方法は、以上のように、フッ化アリールマグネシ
ウム誘導体をエーテル系溶媒に溶解してなる溶液と、ハ
ロゲン化ホウ素をエーテル系溶媒に溶解してなる溶液と
を、上記炭化水素系溶媒に同時に混合する方法である。
【0137】また、本発明の(フッ化アリール)ホウ素
化合物の製造方法は、以上のように、前記一般式(3)
で表される(フッ化アリール)ホウ素化合物の製造方法
に関するものであり、前記一般式(1)で表されるフッ
化アリールマグネシウム誘導体をエーテル系溶媒に溶解
してなる溶液と、前記一般式(2)で表されるハロゲン
化ホウ素をエーテル系溶媒に溶解してなる溶液とを、8
0℃以下の温度で混合した後、該混合溶液を、エーテル
系溶媒の沸点よりも高い沸点を有する炭化水素系溶媒に
混合すると共に、該エーテル系溶媒を留去しながら反応
させる方法である。
【0138】上記の方法によれば、エーテル系溶媒が鎖
状エーテル系溶媒にのみ限定されないので、取り扱いが
比較的容易である環状エーテル系溶媒を用いることがで
きる。また、得られるトリス(フッ化アリール)ホウ素
やビス(フッ化アリール)ホウ素ハライド等の(フッ化
アリール)ホウ素化合物が錯体や四級化物を形成しない
ので、精製が容易である。これにより、トリス(フッ化
アリール)ホウ素やビス(フッ化アリール)ホウ素ハラ
イド等の(フッ化アリール)ホウ素化合物を選択的にか
つ簡単に安価に製造することができる。つまり、従来の
方法と比較して、工業的に有利であり、トリス(フッ化
アリール)ホウ素やビス(フッ化アリール)ホウ素ハラ
イド等の(フッ化アリール)ホウ素化合物を高収率並び
に高選択率で得ることができるという効果を奏する。
【0139】また、本発明の(フッ化アリール)ホウ素
化合物の製造方法は、以上のように、エーテル系溶媒が
環状エーテルである方法である。これにより、トリス
(フッ化アリール)ホウ素やビス(フッ化アリール)ホ
ウ素ハライド等の(フッ化アリール)ホウ素化合物をよ
り一層選択的にかつ簡単に安価に製造することができる
という効果を奏する。
【0140】さらに、本発明の(フッ化アリール)ホウ
素化合物の製造方法は、以上のように、一般式(7)
【0141】
【化15】
【0142】(式中、R2 、R3 、R4 はそれぞれ独立
して水素原子、フッ素原子、炭化水素基またはアルコキ
シ基を表し、Xbはフッ素原子、塩素原子、臭素原子ま
たはヨウ素原子を表し、nは2または3である)で表さ
れる(フッ化アリール)ホウ素化合物の製造方法に関す
るものであり、一般式(4)
【0143】
【化16】
【0144】(式中、R2 、R3 、R4 はそれぞれ独立
して水素原子、フッ素原子、炭化水素基またはアルコキ
シ基を表す)で表されるフッ化アリールと、一般式
(5) R0 Xa ……(5) (式中、R0 は炭化水素基を表し、Xaは塩素原子、臭
素原子またはヨウ素原子を表す)で表されるハロゲン化
炭化水素と、マグネシウムとを、エーテル系溶媒中、ま
たは、エーテル系溶媒と炭化水素系溶媒との混合溶媒中
で反応させて、一般式(6)
【0145】
【化17】
【0146】(式中、R2 、R3 、R4 はそれぞれ独立
して水素原子、フッ素原子、炭化水素基またはアルコキ
シ基を表し、Xaは塩素原子、臭素原子またはヨウ素原
子を表す)で表されるフッ化アリールマグネシウム誘導
体を得た後、該フッ化アリールマグネシウム誘導体と、
前記一般式(2)で表されるハロゲン化ホウ素とを反応
させる方法である。
【0147】上記の方法によれば、上述した種々の効果
に加えて、フッ化アリールから(フッ化アリール)ホウ
素化合物を得る反応工程を実質的に一段階(いわゆる1
pot)にすることができる。従って、(フッ化アリー
ル)ホウ素化合物をより一層簡単かつ安価に製造するこ
とができるという効果を奏する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 三井 均 大阪府吹田市西御旅町5番8号 株式会社 日本触媒内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(1) 【化1】 (式中、R1 、R2 、R3 、R4 、R5 はそれぞれ独立
    して水素原子、フッ素原子、炭化水素基またはアルコキ
    シ基を表し、かつ、該R1 〜R5 のうちの少なくとも一
    つはフッ素原子であり、Xaは塩素原子、臭素原子また
    はヨウ素原子を表す)で表されるフッ化アリールマグネ
    シウム誘導体をエーテル系溶媒に溶解してなる溶液と、
    一般式(2) BXb3 ……(2) (式中、Xbはフッ素原子、塩素原子、臭素原子または
    ヨウ素原子を表す)で表されるハロゲン化ホウ素をエー
    テル系溶媒に溶解してなる溶液とを、エーテル系溶媒の
    沸点よりも高い沸点を有する炭化水素系溶媒に混合する
    と共に、該エーテル系溶媒を留去しながら反応させるこ
    とを特徴とする一般式(3) 【化2】 (式中、R1 、R2 、R3 、R4 、R5 はそれぞれ独立
    して水素原子、フッ素原子、炭化水素基またはアルコキ
    シ基を表し、かつ、該R1 〜R5 のうちの少なくとも一
    つはフッ素原子であり、Xbはフッ素原子、塩素原子、
    臭素原子またはヨウ素原子を表し、nは2または3であ
    る)で表される(フッ化アリール)ホウ素化合物の製造
    方法。
  2. 【請求項2】エーテル系溶媒を留去しながら反応させる
    際の温度が、30℃〜200℃の範囲内であることを特
    徴とする請求項1記載の(フッ化アリール)ホウ素化合
    物の製造方法。
  3. 【請求項3】エーテル系溶媒を留去しながら反応させる
    際の(フッ化アリール)ホウ素化合物の濃度が0.1重
    量%〜50重量%の範囲内となるように、炭化水素系溶
    媒の使用量を調節することを特徴とする請求項1記載の
    (フッ化アリール)ホウ素化合物の製造方法。
  4. 【請求項4】フッ化アリールマグネシウム誘導体をエー
    テル系溶媒に溶解してなる溶液と、ハロゲン化ホウ素を
    エーテル系溶媒に溶解してなる溶液とを、上記炭化水素
    系溶媒に同時に混合することを特徴とする請求項1記載
    の(フッ化アリール)ホウ素化合物の製造方法。
  5. 【請求項5】一般式(1) 【化3】 (式中、R1 、R2 、R3 、R4 、R5 はそれぞれ独立
    して水素原子、フッ素原子、炭化水素基またはアルコキ
    シ基を表し、かつ、該R1 〜R5 のうちの少なくとも一
    つはフッ素原子であり、Xaは塩素原子、臭素原子また
    はヨウ素原子を表す)で表されるフッ化アリールマグネ
    シウム誘導体をエーテル系溶媒に溶解してなる溶液と、
    一般式(2) BXb3 ……(2) (式中、Xbはフッ素原子、塩素原子、臭素原子または
    ヨウ素原子を表す)で表されるハロゲン化ホウ素をエー
    テル系溶媒に溶解してなる溶液とを、80℃以下の温度
    で混合した後、該混合溶液を、エーテル系溶媒の沸点よ
    りも高い沸点を有する炭化水素系溶媒に混合すると共
    に、該エーテル系溶媒を留去しながら反応させることを
    特徴とする一般式(3) 【化4】 (式中、R1 、R2 、R3 、R4 、R5 はそれぞれ独立
    して水素原子、フッ素原子、炭化水素基またはアルコキ
    シ基を表し、かつ、該R1 〜R5 のうちの少なくとも一
    つはフッ素原子であり、Xbはフッ素原子、塩素原子、
    臭素原子またはヨウ素原子を表し、nは2または3であ
    る)で表される(フッ化アリール)ホウ素化合物の製造
    方法。
  6. 【請求項6】エーテル系溶媒が環状エーテルであること
    を特徴とする請求項1ないし5の何れか1項に記載の
    (フッ化アリール)ホウ素化合物の製造方法。
  7. 【請求項7】一般式(4) 【化5】 (式中、R2 、R3 、R4 はそれぞれ独立して水素原
    子、フッ素原子、炭化水素基またはアルコキシ基を表
    す)で表されるフッ化アリールと、一般式(5) R0 Xa ……(5) (式中、R0 は炭化水素基を表し、Xaは塩素原子、臭
    素原子またはヨウ素原子を表す)で表されるハロゲン化
    炭化水素と、マグネシウムとを、エーテル系溶媒中、ま
    たは、エーテル系溶媒と炭化水素系溶媒との混合溶媒中
    で反応させて、一般式(6) 【化6】 (式中、R2 、R3 、R4 はそれぞれ独立して水素原
    子、フッ素原子、炭化水素基またはアルコキシ基を表
    し、Xaは塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を表
    す)で表されるフッ化アリールマグネシウム誘導体を得
    た後、該フッ化アリールマグネシウム誘導体と、一般式
    (2) BXb3 ……(2) (式中、Xbはフッ素原子、塩素原子、臭素原子または
    ヨウ素原子を表す)で表されるハロゲン化ホウ素とを反
    応させることを特徴とする一般式(7) 【化7】 (式中、R2 、R3 、R4 はそれぞれ独立して水素原
    子、フッ素原子、炭化水素基またはアルコキシ基を表
    し、Xbはフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ
    素原子を表し、nは2または3である)で表される(フ
    ッ化アリール)ホウ素化合物の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006080538A1 (en) * 2005-01-28 2006-08-03 Nippon Shokubai Co., Ltd. Stabilizing method and stabilized composition for aryl boron compounds

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