JPH1121287A - トリス(フッ化アリール)ホウ素の単離方法 - Google Patents

トリス(フッ化アリール)ホウ素の単離方法

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JPH1121287A
JPH1121287A JP17451297A JP17451297A JPH1121287A JP H1121287 A JPH1121287 A JP H1121287A JP 17451297 A JP17451297 A JP 17451297A JP 17451297 A JP17451297 A JP 17451297A JP H1121287 A JPH1121287 A JP H1121287A
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boron
tris
fluoroaryl
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JP17451297A
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Ikuyo Katsumi
育代 勝見
Hitoshi Mitsui
均 三井
Tsunemasa Ueno
恒正 上野
Naoko Yamamoto
尚子 山本
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Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 エーテル系溶媒を実質的に含まないトリス
(フッ化アリール)ホウ素を、収率良くかつ高純度の固
体(粉体)として単離することができる方法を提供す
る。 【解決手段】 一般式(1) 【化8】 (式中、R1 〜R5 はそれぞれ独立して水素原子、フッ
素原子、炭化水素基またはアルコキシ基を表し、かつ、
該R1 〜R5 のうちの少なくとも一つはフッ素原子を表
す)で表されるトリス(フッ化アリール)ホウ素と、不
純物としてハロゲン化マグネシウム並びにエーテル系溶
媒とを含んでなる溶液を第一濾過した後、濾液を冷却
し、第二濾過する。第一濾過および第二濾過を行うこと
によってトリス(フッ化アリール)ホウ素を単離するの
で、トリス(フッ化アリール)ホウ素の分解が殆ど起こ
らず、単離されるトリス(フッ化アリール)ホウ素が高
純度となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、カチオン
錯体重合反応に供されるメタロセン触媒(重合触媒)の
助触媒として有用なトリス(フッ化アリール)ホウ素の
単離方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】トリス(フッ化アリール)ホウ素、とり
わけ、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素は、例
えば、カチオン錯体重合反応に供されるメタロセン触媒
(重合触媒)の活性を高める助触媒として有用な化合物
である。尚、メタロセン触媒は、ポリオレフィン重合用
触媒として、近年、特に注目されている。
【0003】上記のトリス(ペンタフルオロフェニル)
ホウ素を得る方法として、例えば、Z. Naturforsch., 2
0b, 5 (1965)には、ペンタフルオロフェニルマグネシウ
ムブロマイドと三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体と
を鎖状エーテル系溶媒中でグリニャール(Grignard)反
応させる方法が記載されている。該文献には、n−ヘキ
サンを用いてトリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素
の濃縮・晶析操作を数回繰り返すことにより、白色針状
結晶のトリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素が収率
88%(純度不明)で得られること、即ち、トリス(ペ
ンタフルオロフェニル)ホウ素の単離方法が記載されて
いる。そして、該文献には、蒸留または昇華することに
よってトリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素を単離
する方法も記載されている。また、一般に、トリス(ペ
ンタフルオロフェニル)ホウ素の溶液から該トリス(ペ
ンタフルオロフェニル)ホウ素を単離するには、蒸発乾
固、或いは、溶液状態での長時間の加熱・濃縮操作が行
われている。
【0004】ところで、エーテル系溶媒が不純物として
混入しているトリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素
をメタロセン触媒の助触媒として用いると、該触媒の活
性が著しく低下する。従って、トリス(ペンタフルオロ
フェニル)ホウ素を上記の助触媒として用いる際には、
反応溶媒であるエーテル系溶媒を、できるだけ分離・除
去しなければならない。一般に、エーテル系溶媒を分離
・除去する方法としては、溶媒交換が行われている。つ
まり、例えばトリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素
を含むグリニャール反応の反応液を、エーテル系溶媒の
沸点よりも高い沸点を有する例えば炭化水素系溶媒に添
加すると共に、上記エーテル系溶媒を留去することによ
り、これら反応溶媒を分離・除去する方法が行われてい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、トリス
(ペンタフルオロフェニル)ホウ素は、蒸発乾固、或い
は、溶液状態での長時間の加熱・濃縮操作を行うと、そ
の一部が、例えばビス(ペンタフルオロフェニル)ホウ
素とペンタフルオロベンゼンとに分解してしまう。例え
ば、不純物として含まれるエーテル系溶媒を分離・除去
するために、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素
の溶液を単純に加熱・濃縮等した場合には、上記分解反
応が起こり、分解生成物であるビス(ペンタフルオロフ
ェニル)ホウ素がトリス(ペンタフルオロフェニル)ホ
ウ素に多量に混入する。
【0006】また、近年、上記触媒活性の低下をより一
層抑制するために、エーテル系溶媒を実質的に含まない
(含有量が10モル%以下である)トリス(ペンタフル
オロフェニル)ホウ素が嘱望されている。しかしなが
ら、このようなトリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ
素を上記溶媒交換だけで得るには、炭化水素系溶媒を多
量に用いて、例えばトリス(ペンタフルオロフェニル)
ホウ素を含む溶液を高温で長時間、加熱しなければなら
ない。従って、上記溶媒交換によってエーテル系溶媒を
実質的に含まないトリス(ペンタフルオロフェニル)ホ
ウ素を得ようとすると、上記分解反応が起こり、ビス
(ペンタフルオロフェニル)ホウ素がトリス(ペンタフ
ルオロフェニル)ホウ素に多量に混入する。
【0007】つまり、上記従来の単離方法では、溶液状
態での長時間の加熱・濃縮操作等を行わなければならな
いため、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素が分
解してしまう。それゆえ、エーテル系溶媒を実質的に含
まないトリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素を、収
率良くかつ高純度の固体(粉体)として単離することが
できないという問題点を有している。
【0008】本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされ
たものであり、その目的は、エーテル系溶媒を実質的に
含まないトリス(フッ化アリール)ホウ素を、収率良く
かつ高純度の固体(粉体)として単離することができる
方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本願発明者等は、トリス
(フッ化アリール)ホウ素の単離方法について鋭意検討
した。その結果、トリス(フッ化アリール)ホウ素と、
不純物としてハロゲン化マグネシウム並びにエーテル系
溶媒とを含んでなる溶液を第一濾過した後、濾液を冷却
し、第二濾過することにより、トリス(フッ化アリー
ル)ホウ素が簡単に単離され、しかも、エーテル系溶媒
が濾液側に移るため、該エーテル系溶媒が容易に分離・
除去されることを見い出した。つまり、該溶液を第一濾
過した後、濾液を冷却し、第二濾過することにより、第
一濾過の濾残としてハロゲン化マグネシウムが除去され
る一方、第二濾過の濾残として、エーテル系溶媒を実質
的に含まない(含有量が10モル%以下である)トリス
(フッ化アリール)ホウ素が、収率良く固体(粉体)と
して容易に単離されることを見い出した。また、上記第
一濾過および第二濾過を行うことによってトリス(フッ
化アリール)ホウ素を単離するので、つまり、高温で長
時間、加熱しないので、トリス(フッ化アリール)ホウ
素の分解が殆ど起こらず、単離されるトリス(フッ化ア
リール)ホウ素が高純度となることを見い出して、本発
明を完成させるに至った。
【0010】即ち、請求項1記載の発明のトリス(フッ
化アリール)ホウ素の単離方法は、上記の課題を解決す
るために、一般式(1)
【0011】
【化4】
【0012】(式中、R1 、R2 、R3 、R4 、R5
それぞれ独立して水素原子、フッ素原子、炭化水素基ま
たはアルコキシ基を表し、かつ、該R1 〜R5 のうちの
少なくとも一つはフッ素原子を表す)で表されるトリス
(フッ化アリール)ホウ素と、不純物としてハロゲン化
マグネシウム並びにエーテル系溶媒とを含んでなる溶液
を第一濾過した後、濾液を冷却し、第二濾過してトリス
(フッ化アリール)ホウ素を単離することを特徴として
いる。
【0013】請求項1記載の方法によれば、トリス(フ
ッ化アリール)ホウ素が簡単に単離され、しかも、エー
テル系溶媒が容易に分離・除去される。つまり、第一濾
過の濾残としてハロゲン化マグネシウムが除去される一
方、第二濾過の濾残として、エーテル系溶媒を実質的に
含まないトリス(フッ化アリール)ホウ素が、収率良く
固体(粉体)として容易にかつ安価に単離される。ま
た、上記第一濾過および第二濾過を行うことによってト
リス(フッ化アリール)ホウ素を単離するので、トリス
(フッ化アリール)ホウ素の分解が殆ど起こらず、単離
されるトリス(フッ化アリール)ホウ素が高純度とな
る。これにより、エーテル系溶媒を実質的に含まないト
リス(フッ化アリール)ホウ素を、収率良くかつ高純度
の固体(粉体)として単離・精製することができる。
【0014】請求項2記載の発明のトリス(フッ化アリ
ール)ホウ素の単離方法は、上記の課題を解決するため
に、一般式(2)
【0015】
【化5】
【0016】(式中、R1 、R2 、R3 、R4 、R5
それぞれ独立して水素原子、フッ素原子、炭化水素基ま
たはアルコキシ基を表し、かつ、該R1 〜R5 のうちの
少なくとも一つはフッ素原子であり、Xaは塩素原子、
臭素原子またはヨウ素原子を表す)で表されるフッ化ア
リールマグネシウム誘導体と、一般式(3) BXb3 ……(3) (式中、Xbはフッ素原子、塩素原子、臭素原子または
ヨウ素原子を表す)で表されるハロゲン化ホウ素とを、
エーテル系溶媒を含む溶媒(a)中で反応させて得られ
る、前記一般式(1)で表されるトリス(フッ化アリー
ル)ホウ素を含む反応液を、非水溶媒(b)に添加する
と共に、上記エーテル系溶媒を除去し、得られる溶液を
第一濾過した後、第一濾液を冷却し、第二濾過してトリ
ス(フッ化アリール)ホウ素を単離すると共に、第二濾
液を上記非水溶媒(b)の少なくとも一部として供する
ことを特徴としている。
【0017】請求項2記載の方法によれば、前記請求項
1記載の方法により得られる種々の効果と同様の効果を
奏する。即ち、エーテル系溶媒を実質的に含まないトリ
ス(フッ化アリール)ホウ素を、収率良くかつ高純度の
固体(粉体)として単離・精製することができる。ま
た、第二濾液を上記非水溶媒(b)の少なくとも一部と
して供するので、第二濾液を再利用(リサイクル)する
ことができる。これにより、トリス(フッ化アリール)
ホウ素を、より一層収率良くかつ安価に単離することが
できる。
【0018】請求項3記載の発明のトリス(フッ化アリ
ール)ホウ素の単離方法は、上記の課題を解決するため
に、請求項1または2記載のトリス(フッ化アリール)
ホウ素の単離方法において、第一濾過するときの上記溶
液の温度が0℃〜200℃の範囲内であることを特徴と
している。
【0019】請求項3記載の方法によれば、トリス(フ
ッ化アリール)ホウ素を、より一層効率的に単離するこ
とができる。
【0020】また、請求項4記載の発明の固体状のトリ
ス(フッ化アリール)ホウ素は、エーテル系溶媒の含有
量が10モル%以下であることを特徴としている。
【0021】請求項4記載の構成によれば、エーテル系
溶媒を実質的に含まない固体状のトリス(フッ化アリー
ル)ホウ素を提供することができる。
【0022】以下に本発明を詳しく説明する。本発明に
かかる前記一般式(1)で表されるトリス(フッ化アリ
ール)ホウ素の単離方法は、該トリス(フッ化アリー
ル)ホウ素と、不純物としてハロゲン化マグネシウム並
びにエーテル系溶媒とを含んでなる溶液(以下、溶液
(i)と記す)を第一濾過した後、濾液を冷却し、第二
濾過してトリス(フッ化アリール)ホウ素を単離する方
法である。
【0023】上記の溶液(i)は、例えば、前記一般式
(2)で表されるフッ化アリールマグネシウム誘導体
と、前記一般式(3)で表されるハロゲン化ホウ素と
を、エーテル系溶媒を含む溶媒(a)中で反応させて得
られる反応液を、非水溶媒(b)に添加すると共に、上
記エーテル系溶媒を除去することにより得ることができ
る。尚、上記の溶液(i)を得る方法は、特に限定され
るものではない。
【0024】本発明において単離・精製されるべきトリ
ス(フッ化アリール)ホウ素は、式中、R1 、R2 、R
3 、R4 、R5 で示される置換基が、それぞれ独立して
水素原子、フッ素原子、炭化水素基またはアルコキシ基
で構成され、かつ、該R1 〜R5 で示される置換基のう
ちの少なくとも一つがフッ素原子で構成される化合物で
ある。
【0025】上記の炭化水素基とは、具体的には、アリ
ール基、炭素数1〜12の直鎖状、枝分かれ鎖状、また
は環状のアルキル基、および、炭素数2〜12の直鎖
状、枝分かれ鎖状、または環状のアルケニル基等を示
す。尚、上記の炭化水素基は、本発明にかかる単離方法
に対して不活性な官能基をさらに有していてもよい。該
官能基としては、具体的には、例えば、メトキシ基、メ
チルチオ基、N,N−ジメチルアミノ基、o−アニス
基、p−アニス基、トリメチルシリル基、ジメチル−t
−ブチルシリルオキシ基、トリフルオロメチル基等が挙
げられる。
【0026】上記のアルコキシ基は、一般式(A) −ORa ……(A) (式中、Ra は炭化水素基を表す)で表され、式中、R
a で示される炭化水素基とは、具体的には、例えば、ア
リール基、炭素数1〜12の直鎖状、枝分かれ鎖状、ま
たは環状のアルキル基、および、炭素数2〜12の直鎖
状、枝分かれ鎖状、または環状のアルケニル基等を示
す。尚、上記の炭化水素基は、本発明にかかる単離方法
に対して不活性な官能基をさらに有していてもよい。
【0027】前記一般式(A)で表されるアルコキシ基
としては、具体的には、例えば、メトキシ基、エトキシ
基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキ
シ基、イソブトキシ基、 sec−ブトキシ基、t−ブトキ
シ基、シクロヘキシルオキシ基、アリルオキシ基、フェ
ノキシ基等が挙げられる。
【0028】上記のトリス(フッ化アリール)ホウ素と
しては、具体的には、例えば、トリス(ペンタフルオロ
フェニル)ホウ素、トリス(2,3,4,6−テトラフ
ルオロフェニル)ホウ素、トリス(2,3,5,6−テ
トラフルオロフェニル)ホウ素、トリス(2,3,5−
トリフルオロフェニル)ホウ素、トリス(2,4,6−
トリフルオロフェニル)ホウ素、トリス(1,3−ジフ
ルオロフェニル)ホウ素、トリス(2,3,5,6−テ
トラフルオロ−4−メチルフェニル)ホウ素、トリス
(2,3,4,6−テトラフルオロ−5−メチルフェニ
ル)ホウ素、トリス(2,4,5−トリフルオロ−6−
メチルフェニル)ホウ素、トリス(2,3,6−トリフ
ルオロ−4−メチルフェニル)ホウ素、トリス(2,
4,6−トリフルオロ−3−メチルフェニル)ホウ素、
トリス(2,6−ジフルオロ−3−メチルフェニル)ホ
ウ素、トリス(2,4−ジフルオロ−5−メチルフェニ
ル)ホウ素、トリス(3,5−ジフルオロ−2−メチル
フェニル)ホウ素、トリス(4−メトキシ−2,3,
5,6−テトラフルオロフェニル)ホウ素、トリス(3
−メトキシ−2,4,5,6−テトラフルオロフェニ
ル)ホウ素、トリス(2−メトキシ−3,5,6−テト
ラフルオロフェニル)ホウ素、トリス(3−メトキシ−
2,5,6−テトラフルオロフェニル)ホウ素、トリス
(3−メトキシ−2,4,6−テトラフルオロフェニ
ル)ホウ素、トリス(2−メトキシ−3,5−テトラフ
ルオロフェニル)ホウ素、トリス(3−メトキシ−2,
6−テトラフルオロフェニル)ホウ素、トリス(3−メ
トキシ−4,6−テトラフルオロフェニル)ホウ素、ト
リス(2−メトキシ−4,6−テトラフルオロフェニ
ル)ホウ素、トリス(4−メトキシ−2,6−テトラフ
ルオロフェニル)ホウ素等が挙げられる。上記例示の化
合物のうち、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素
が特に好適である。
【0029】本発明において不純物として含まれるハロ
ゲン化マグネシウム、つまり、分離・除去されるべきハ
ロゲン化マグネシウムは、特に限定されるものではない
が、具体的には、例えば、一般式(B) MgXaXb ……(B) (式中、Xaは塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を
表し、Xbはフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨ
ウ素原子を表す)で表されるハロゲン化マグネシウムが
挙げられる。
【0030】本発明において不純物として含まれるエー
テル系溶媒、つまり、分離・除去されるべきエーテル系
溶媒としては、具体的には、例えば、ジメチルエーテ
ル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプ
ロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジイソブチルエー
テル、ジペンチルエーテル、ジイソペンチルエーテル、
1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタ
ン、ジ−2−メトキシエチルエーテル等の鎖状エーテ
ル;テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4
−ジオキサン等の環状エーテル;等が挙げられるが、特
に限定されるものではない。
【0031】溶液(i)を構成する溶媒は、特に限定さ
れるものではないが、エーテル系溶媒の沸点よりも高い
沸点を有すると共に、トリス(フッ化アリール)ホウ素
を溶解する一方、ハロゲン化マグネシウムを溶解せず、
かつ、本発明にかかる単離方法に対して不活性な非水溶
媒であればよい。上記の溶媒としては、非水溶媒(b)
が好適であり、該非水溶媒(b)としては、炭化水素系
溶媒が最適である。
【0032】上記の炭化水素系溶媒としては、具体的に
は、例えば、ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、シク
ロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ヘプタン、オクタ
ン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカ
ン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、オク
タデカン、パラフィン、石油エーテル等の、直鎖状、枝
分かれ鎖状、または環状の脂肪族炭化水素;ベンゼン、
トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレ
ン、1,2,3−トリメチルベンゼン、1,2,4−ト
リメチルベンゼン、1,2,5−トリメチルベンゼン、
1,3,5−トリメチルベンゼン、エチルベンゼン、プ
ロピルベンゼン、ブチルベンゼン等の芳香族炭化水素;
等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
【0033】上記例示の炭化水素系溶媒のうち、ヘキサ
ン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ヘプタ
ン、オクタン、IsoparE(商品名;Exxon社
製、炭素数が10程度のイソパラフィンの混合物)、ノ
ナン、デカン、オクタデカンがより好適である。また、
炭化水素系溶媒は、一種類のみを用いてもよく、また、
二種類以上を併用してもよい。
【0034】非水溶媒(b)の沸点は、特に限定される
ものではないが、60℃以上であることがより好まし
く、80℃以上であることがさらに好ましい。尚、非水
溶媒(b)が混合物である場合における沸点とは、該混
合物中の、最も低い沸点を有する化合物の沸点を示す。
【0035】溶液(i)におけるトリス(フッ化アリー
ル)ホウ素の含有量、つまり、濃度は、特に限定される
ものではないが、単離操作をより一層効率的に行うこと
ができるように、できるだけ高濃度であることがより好
ましい。具体的には、トリス(フッ化アリール)ホウ素
の濃度は、第一濾過するときの該溶液(i)の温度にお
いて、ほぼ飽和濃度となっていることが望ましい。尚、
トリス(フッ化アリール)ホウ素が飽和濃度を越えて溶
液(i)に含まれている場合には、第一濾過の濾残とし
てトリス(フッ化アリール)ホウ素の一部が分離されて
しまうので、トリス(フッ化アリール)ホウ素を収率良
く単離することができなくなる。
【0036】溶液(i)におけるハロゲン化マグネシウ
ムの含有量は、特に限定されるものではない。ハロゲン
化マグネシウムは、非水溶媒(b)には溶解しない。従
って、溶液(i)におけるハロゲン化マグネシウムは、
沈澱若しくは分散した状態の不溶物(固体)として存在
している。
【0037】上記の溶液(i)を第一濾過することによ
り、濾残としてハロゲン化マグネシウムが分離・除去さ
れる。第一濾過の濾過方法としては、例えば、減圧濾
過、加圧濾過等が挙げられるが、特に限定されるもので
はない。第一濾過するときの溶液(i)の温度は、濾過
時の圧力における溶媒の沸点未満であればよく、特に限
定されるものではないが、単離操作をより一層効率的に
行うことができるように、より高温であることが好まし
い。該温度は、具体的には、0℃〜200℃の範囲内で
あることがより好ましく、30℃〜150℃の範囲内で
あることがさらに好ましい。また、第一濾過の操作時に
おいては、トリス(フッ化アリール)ホウ素の析出を抑
制するために、溶液(i)の温度が低下しないようにす
ることが望ましい。
【0038】第一濾過することによって得られる第一濾
液を冷却することにより、トリス(フッ化アリール)ホ
ウ素が結晶として析出する。冷却後の第一濾液の温度
は、第一濾過するときの溶液(i)の温度未満で、か
つ、溶媒が凝固しない温度であればよいが、単離操作を
より一層効率的に行うことができるように、より低温で
あることが望ましい。該温度は、具体的には、150℃
以下であることがより好ましく、−50℃〜80℃の範
囲内であることがさらに好ましい。
【0039】上記の第一濾液を第二濾過することによ
り、濾残としてエーテル系溶媒を実質的に含まない(含
有量が10モル%以下である)トリス(フッ化アリー
ル)ホウ素が単離される。第二濾過の濾過方法として
は、例えば、減圧濾過、加圧濾過等が挙げられるが、特
に限定されるものではない。第二濾過の操作時において
は、析出したトリス(フッ化アリール)ホウ素の溶解を
抑制するために、第一濾液の温度が上昇しないようにす
ることが望ましい。単離したトリス(フッ化アリール)
ホウ素は、例えば減圧乾燥させればよい。これにより、
該トリス(フッ化アリール)ホウ素を、収率良くかつ高
純度の固体(粉体)として単離・精製することができ
る。
【0040】第二濾過することによって得られる第二濾
液には、該第二濾液の温度において、ほぼ飽和濃度とな
る量のトリス(フッ化アリール)ホウ素が溶解してい
る。また、第二濾液には、トリス(フッ化アリール)ホ
ウ素から分離・除去されたエーテル系溶媒が含まれてい
る。さらに、第二濾液には、反応副生成物である例えば
ビス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素が若干含まれて
いる場合がある。
【0041】尚、上記の第二濾液は、必要に応じて、さ
らに冷却して、溶解しているトリス(フッ化アリール)
ホウ素を結晶として析出させた後、濾過(第三濾過)し
てもよい。これにより、第二濾液からトリス(フッ化ア
リール)ホウ素をさらに単離・精製することができる。
つまり、第一濾液からトリス(フッ化アリール)ホウ素
を単離する単離操作は、必要に応じて、数回繰り返し行
ってもよい。
【0042】以上のように、本発明にかかる方法によれ
ば、トリス(フッ化アリール)ホウ素が簡単に単離さ
れ、しかも、エーテル系溶媒が濾液側に移るため、該エ
ーテル系溶媒が容易に分離・除去される。つまり、第一
濾過の濾残としてハロゲン化マグネシウムが除去される
一方、第二濾過の濾残として、エーテル系溶媒を実質的
に含まない(含有量が10モル%以下である)トリス
(フッ化アリール)ホウ素が、収率良く固体(粉体)と
して容易にかつ安価に単離される。また、上記第一濾過
および第二濾過を行うことによってトリス(フッ化アリ
ール)ホウ素を単離するので、つまり、高温で長時間、
加熱しないので、トリス(フッ化アリール)ホウ素の分
解が殆ど起こらず、単離されるトリス(フッ化アリー
ル)ホウ素が高純度となる。これにより、エーテル系溶
媒を実質的に含まないトリス(フッ化アリール)ホウ素
を、収率良くかつ高純度の固体(粉体)として単離・精
製することができる。本発明にかかる方法によって単離
されるトリス(フッ化アリール)ホウ素の純度は、90
重量%以上、より好ましくは95重量%以上、さらに好
ましくは97重量%以上の高純度である。
【0043】次に、上記溶液(i)が、前記一般式
(2)で表されるフッ化アリールマグネシウム誘導体
と、前記一般式(3)で表されるハロゲン化ホウ素と
を、エーテル系溶媒を含む溶媒(a)中で反応させて得
られる反応液を、非水溶媒(b)に添加すると共に、上
記エーテル系溶媒を除去することによって得られている
場合について、詳述する。つまり、フッ化アリールマグ
ネシウム誘導体とハロゲン化ホウ素とを反応させて得ら
れる、トリス(フッ化アリール)ホウ素を含む反応液か
ら、溶液(i)を経由してトリス(フッ化アリール)ホ
ウ素を単離・精製する場合について、詳述する。
【0044】本発明にかかるフッ化アリールマグネシウ
ム誘導体は、式中、R1 、R2 、R 3 、R4 、R5 で示
される置換基が、それぞれ独立して水素原子、フッ素原
子、炭化水素基またはアルコキシ基で構成され、かつ、
該R1 〜R5 で示される置換基のうちの少なくとも一つ
がフッ素原子であり、Xaが塩素原子、臭素原子または
ヨウ素原子で構成される化合物である。上記の炭化水素
基並びにアルコキシ基としては、具体的には、前述のト
リス(フッ化アリール)ホウ素が有するR1 〜R5 で示
される置換基を構成する炭化水素基並びにアルコキシ基
と同様の炭化水素基並びにアルコキシ基が挙げられる。
【0045】上記のフッ化アリールマグネシウム誘導体
としては、具体的には、例えば、ペンタフルオロフェニ
ルマグネシウムクロライド、ペンタフルオロフェニルマ
グネシウムブロマイド、ペンタフルオロフェニルマグネ
シウムヨーダイド、1,2,3,5−テトラフルオロフ
ェニルマグネシウムブロマイド、1,2,4,5−テト
ラフルオロフェニルマグネシウムクロライド、1,2,
4−トリフルオロフェニルマグネシウムブロマイド、
1,3,5−トリフルオロフェニルマグネシウムヨーダ
イド、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルフ
ェニルマグネシウムブロマイド、2,5−ジフルオロフ
ェニルマグネシウムブロマイド、2,5−ジフルオロ−
3−メチルフェニルマグネシウムクロライド、2,3,
4,6−テトラフルオロ−5−メチルフェニルマグネシ
ウムブロマイド、2,4,6−トリフルオロ−5−メチ
ルフェニルマグネシウムクロライド、2,3,5,6−
テトラフルオロ−4−メトキシフェニルマグネシウムブ
ロマイド、2,3,6−トリフルオロ−5−メトキシフ
ェニルマグネシウムクロライド、2,4,6−トリフル
オロ−5−メトキシフェニルマグネシウムブロマイド、
2,5−ジフルオロ−3−メトキシフェニルマグネシウ
ムクロライド、2,5−ジフルオロ−4−メトキシフェ
ニルマグネシウムブロマイド、2−フルオロフェニルマ
グネシウムブロマイド、4−フルオロフェニルマグネシ
ウムブロマイド、2−フルオロ−4−メチルフェニルマ
グネシウムブロマイド等が挙げられる。上記例示のフッ
化アリールマグネシウム誘導体のうち、ペンタフルオロ
フェニルマグネシウムブロマイドが特に好適である。ま
た、フッ化アリールマグネシウム誘導体は、必要に応じ
て、二種類以上を併用することもできる。
【0046】フッ化アリールマグネシウム誘導体の製造
方法は、特に限定されるものではない。フッ化アリール
マグネシウム誘導体は、例えば、塩化フッ化アリール、
臭化フッ化アリール、ヨウ化フッ化アリール等のハロゲ
ン化フッ化アリールと、マグネシウムとの反応によって
得られる。
【0047】また、例えば、前記一般式(2)中の少な
くともR1 、R5 で示される置換基が、何れもフッ素原
子であるフッ化アリールマグネシウム誘導体は、少なく
とも水素原子の両隣(オルト位)にフッ素原子を有する
フッ化アリールと、ハロゲン化炭化水素と、マグネシウ
ムとの反応によって得ることができる。
【0048】前記一般式(3)で表されるハロゲン化ホ
ウ素は、式中、Xbがフッ素原子、塩素原子、臭素原子
またはヨウ素原子で構成される化合物であり、具体的に
は、三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素、三臭化ホウ素、お
よび三ヨウ化ホウ素が挙げられる。このうち、三フッ化
ホウ素が特に好ましい。また、ハロゲン化ホウ素は、必
要に応じて、二種類以上を併用することもできる。尚、
ハロゲン化ホウ素は、例えば、ジエチルエーテル錯体や
テトラヒドロフラン錯体等のエーテル錯体になっていて
もよい。
【0049】本発明において、溶媒(a)とは、エーテ
ル系溶媒、好ましくはジエチルエーテルおよび/または
テトラヒドロフランを含むと共に、フッ化アリールマグ
ネシウム誘導体、ハロゲン化ホウ素、並びに、反応生成
物であるトリス(フッ化アリール)ホウ素を溶解し、か
つ、本発明にかかる反応並びに単離方法に対して不活性
な非水溶媒であればよく、特に限定されるものではな
い。
【0050】本発明において、非水溶媒(b)とは、反
応生成物であるトリス(フッ化アリール)ホウ素を溶解
する一方、副生するハロゲン化マグネシウムを溶解せ
ず、かつ、本発明にかかる反応並びに単離方法に対して
不活性な非水溶媒であればよく、特に限定されるもので
はないが、エーテル系溶媒の沸点よりも高い沸点を有し
ていることがより好ましい。非水溶媒(b)としては、
具体的には、前述の炭化水素系溶媒が好適である。そし
て、より好適な炭化水素系溶媒としては、ヘキサン、シ
クロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ヘプタン、オク
タン、IsoparE(商品名)、ノナン、デカン、オ
クタデカン等が挙げられる。
【0051】尚、前記の溶媒(a)は、これら炭化水素
系溶媒を必要に応じて含んでいてもよい。また、非水溶
媒(b)は、前記のエーテル系溶媒を必要に応じて含ん
でいてもよい。
【0052】これら炭化水素系溶媒、つまり、非水溶媒
(b)は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以
上を併用してもよい。非水溶媒(b)の沸点は、80℃
以上であることがより好ましい。つまり、非水溶媒
(b)は、例えば溶媒交換によってエーテル系溶媒の大
部分を速やかに留去することができるように、80℃以
上に加熱することができることがより好ましい。
【0053】溶媒(a)の使用量は、特に限定されるも
のではないが、例えば、フッ化アリールマグネシウム誘
導体またはハロゲン化ホウ素の濃度が、0.1重量%〜
80重量%程度となる量が好ましい。尚、溶媒(a)に
フッ化アリールマグネシウム誘導体またはハロゲン化ホ
ウ素を溶解させる方法は、特に限定されるものではな
い。つまり、フッ化アリールマグネシウム誘導体を溶媒
(a)に溶解してなる溶液の調製方法、および、必要に
応じてハロゲン化ホウ素を溶媒(a)に溶解してなる溶
液の調製方法は、特に限定されるものではない。
【0054】フッ化アリールマグネシウム誘導体とハロ
ゲン化ホウ素とのモル比(フッ化アリールマグネシウム
誘導体/ハロゲン化ホウ素)は、特に限定されるもので
はないが、1.0〜5.0の範囲内がより好ましく、
2.5〜5.0の範囲内がさらに好ましく、2.7〜
4.0の範囲内が特に好ましく、2.8〜3.5の範囲
内が最も好ましい。これにより、トリス(フッ化アリー
ル)ホウ素を選択的に得ることができる。上記のモル比
が1.0よりも小さいと、未反応のハロゲン化ホウ素が
多くなる。また、上記のモル比が5.0よりも大きい
と、未反応のフッ化アリールマグネシウム誘導体が多く
なる。従って、トリス(フッ化アリール)ホウ素を効率
的に製造することができなくなる場合がある。
【0055】フッ化アリールマグネシウム誘導体を溶媒
(a)に溶解してなる溶液(以下、マグネシウム誘導体
溶液と称する)と、ハロゲン化ホウ素を溶媒(a)に溶
解してなる溶液(以下、ハロゲン化ホウ素溶液と称す
る)とを混合する混合方法は、特に限定されるものでは
ないが、一方の溶液を他方の溶液に連続的若しくは逐次
的に滴下することが好ましい。尚、ハロゲン化ホウ素
は、ハロゲン化ホウ素溶液を調製せずに、そのままマグ
ネシウム誘導体溶液と混合してもよい。
【0056】そして、マグネシウム誘導体溶液およびハ
ロゲン化ホウ素溶液を混合する場合における両者の混合
温度は、好ましくは80℃以下、より好ましくは−40
℃〜70℃の範囲内、さらに好ましくは−20℃〜50
℃の範囲内に調節する。80℃以下の温度でマグネシウ
ム誘導体溶液およびハロゲン化ホウ素溶液を混合するこ
とにより、副反応を抑制することができる。該混合温度
が80℃を越えると、副反応を抑制することが困難とな
り、トリス(フッ化アリール)ホウ素の収率および選択
率が低下する。尚、混合温度を−40℃よりも低く調節
しても、上記の温度範囲内で混合する場合と比較して、
顕著な効果が得られない。
【0057】上記マグネシウム誘導体溶液およびハロゲ
ン化ホウ素溶液を混合・撹拌することにより、溶媒
(a)中でフッ化アリールマグネシウム誘導体とハロゲ
ン化ホウ素との反応が進行する。反応時においては、反
応系に水が存在すると、フッ化アリールマグネシウム誘
導体が水と反応して分解する。従って、上記の反応は、
窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で行うことが望まし
い。また、前記の混合時においても、反応系、即ち、反
応容器内は、窒素ガス等の不活性ガスによって置換され
ていることが望ましい。さらに、上記の溶媒(a)およ
びハロゲン化ホウ素は、水分を含んでいないことが望ま
しい。尚、溶媒(a)およびハロゲン化ホウ素の脱水方
法は、特に限定されるものではない。
【0058】反応温度は、30℃以上、当該溶媒の還流
温度以下、より好ましくは30℃〜200℃の範囲内、
さらに好ましくは30℃〜70℃の範囲内に調節する。
反応温度が30℃未満であると、反応の進行が遅くな
り、トリス(フッ化アリール)ホウ素を効率的に製造す
ることができなくなるので好ましくない。また、反応温
度が当該溶媒の還流温度を越えると、反応を制御するこ
とが困難となる。
【0059】反応時間は、上記反応が完結するように、
反応温度や、フッ化アリールマグネシウム誘導体とハロ
ゲン化ホウ素との組み合わせ、使用量等に応じて、適宜
設定すればよい。また、反応圧力は、特に限定されるも
のではなく、常圧(大気圧)、減圧、加圧の何れであっ
てもよい。
【0060】上記の方法によってフッ化アリールマグネ
シウム誘導体とハロゲン化ホウ素とを反応させることに
より、トリス(フッ化アリール)ホウ素を含む反応液が
得られる。尚、反応液には、トリス(フッ化アリール)
ホウ素と共に、副生成物である一般式(C) MgXaXb ……(C) (式中、Xaは塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を
表し、Xbはフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨ
ウ素原子を表す)で表されるハロゲン化マグネシウムが
溶解している。
【0061】そして、該反応液を非水溶媒(b)に添加
すると共に、反応液中のエーテル系溶媒の大部分を除去
することにより、溶液(i)が得られる。エーテル系溶
媒の大部分を分離・除去する方法は、特に限定されるも
のではないが、例えば溶媒交換によってエーテル系溶媒
を留去する方法が好適である。反応液に対する非水溶媒
(b)の使用量は、特に限定されるものではなく、トリ
ス(フッ化アリール)ホウ素を溶解することができる
量、つまり、非水溶媒(b)に反応液を添加してなる混
合物からエーテル系溶媒の大部分を除去した後におい
て、トリス(フッ化アリール)ホウ素が溶液状態で存在
することができる量であればよい。
【0062】反応液を非水溶媒(b)に添加する添加方
法は、特に限定されるものではないが、80℃以上に加
熱された非水溶媒(b)に上記の反応液を連続的若しく
は逐次的に滴下することがより好ましい。
【0063】副生成物であるハロゲン化マグネシウム
は、エーテル系溶媒に溶解する一方、非水溶媒(b)に
は溶解しない。これに対し、トリス(フッ化アリール)
ホウ素は、エーテル系溶媒に溶解すると共に、非水溶媒
(b)にも溶解する。つまり、ハロゲン化マグネシウム
とトリス(フッ化アリール)ホウ素とは、非水溶媒
(b)に対する溶解度が異なる。従って、例えば溶媒交
換を行う場合において、80℃以上に加熱された非水溶
媒(b)に反応液を添加すると、エーテル系溶媒が速や
かに沸騰して気化し、混合物からエーテル系溶媒の大部
分が留去されると共に、ハロゲン化マグネシウムが混合
物から析出する。このとき、ハロゲン化マグネシウム
は、濾別することが比較的容易な状態で析出・沈殿す
る。それゆえ、エーテル系溶媒を留去した後、第一濾過
することによって、ハロゲン化マグネシウムを溶液
(i)から容易に分離・除去することができる。
【0064】溶媒交換を行う場合において、エーテル系
溶媒を留去する方法(タイミング)は、特に限定される
ものではないが、前記した理由により、エーテル系溶媒
は、できるだけ速やかに留去することが望ましい。この
ため、反応液を非水溶媒(b)に添加しながら、留去す
る(添加と留去とを同時に行う)方法が特に好ましい。
尚、エーテル系溶媒の留去は、常圧、減圧、加圧の何れ
で実施してもよい。また、上記の添加および留去は、窒
素ガス等の不活性ガス雰囲気下で行うことが望ましい。
【0065】上記の方法により、トリス(フッ化アリー
ル)ホウ素と、不純物としてハロゲン化マグネシウム並
びにエーテル系溶媒とを含んでなる溶液、即ち、溶液
(i)が得られる。そして、前段にて詳述したように、
溶液(i)を第一濾過することにより、濾残としてハロ
ゲン化マグネシウムが分離・除去される。また、第一濾
過することによって得られる第一濾液を冷却することに
より、トリス(フッ化アリール)ホウ素が結晶として析
出するので、該第一濾液を第二濾過することにより、濾
残としてエーテル系溶媒を実質的に含まない(含有量が
10モル%以下である)トリス(フッ化アリール)ホウ
素が単離される。単離したトリス(フッ化アリール)ホ
ウ素は、例えば減圧乾燥させればよい。
【0066】これにより、フッ化アリールマグネシウム
誘導体とハロゲン化ホウ素とを反応させて得られる、ト
リス(フッ化アリール)ホウ素を含む反応液から、上記
溶液(i)を経由してトリス(フッ化アリール)ホウ素
を単離・精製することができる。つまり、該トリス(フ
ッ化アリール)ホウ素を、収率良くかつ高純度の固体
(粉体)として単離・精製することができる。本発明に
かかる方法によって単離されるトリス(フッ化アリー
ル)ホウ素の純度は、90重量%以上、より好ましくは
95重量%以上、さらに好ましくは97重量%以上の高
純度である。
【0067】第二濾過することによって得られる第二濾
液には、該第二濾液の温度において、ほぼ飽和濃度とな
る量のトリス(フッ化アリール)ホウ素が溶解してい
る。即ち、第二濾液には、非水溶媒(b)と、トリス
(フッ化アリール)ホウ素とが含まれている。従って、
第二濾液は、反応液が添加されるべき上記非水溶媒
(b)の少なくとも一部として供することができる。つ
まり、第二濾液の全部または一部を、非水溶媒(b)の
少なくとも一部として再利用(リサイクル)することが
できる。これにより、トリス(フッ化アリール)ホウ素
を、より一層収率良くかつ安価に単離することができ
る。
【0068】トリス(フッ化アリール)ホウ素、とりわ
け、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素は、例え
ば、メタロセン触媒(重合触媒)の活性を高める助触媒
として有用である。そして、フッ化アリールマグネシウ
ム誘導体がペンタフルオロフェニルマグネシウムブロマ
イドである場合には、トリス(ペンタフルオロフェニ
ル)ホウ素を効率的にかつ簡単に安価に製造し、しか
も、収率良くかつ安価に単離することができる。
【0069】
【実施例】以下、実施例により、本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるもの
ではない。
【0070】〔実施例1〕温度計、滴下ロート、撹拌
機、窒素ガス導入管、および還流冷却器を備えた反応容
器内を、充分に窒素ガス置換した。該反応容器に、ハロ
ゲン化ホウ素としての三フッ化ホウ素ジエチルエーテル
錯体8.385gと、溶媒(a)としてのジエチルエー
テル(エーテル系溶媒)49.7gとを仕込んだ。ま
た、フッ化アリールマグネシウム誘導体としてのペンタ
フルオロフェニルマグネシウムブロマイド0.177モ
ルを含むジエチルエーテル溶液(マグネシウム誘導体溶
液)90mlを、滴下ロートに仕込んだ。
【0071】次いで、窒素ガス雰囲気下、上記の内容物
(ハロゲン化ホウ素溶液)を撹拌しながら、上記のジエ
チルエーテル溶液を室温で75分間かけて滴下した。滴
下終了後、反応液を窒素ガス雰囲気下、還流温度で3時
間撹拌して反応(熟成)させた。これにより、トリス
(フッ化アリール)ホウ素としてのトリス(ペンタフル
オロフェニル)ホウ素のジエチルエーテル溶液を得た。
【0072】続いて、温度計、滴下ロート、撹拌機、窒
素ガス導入管、およびリービッヒ型冷却器を備えた蒸留
容器に、非水溶媒(b)としてのIsoparE(商品
名,炭化水素系溶媒)250gを仕込んだ。リービッヒ
型冷却器の出口側先端部は開放状態とし、所定位置に受
器を配置した。また、上記トリス(ペンタフルオロフェ
ニル)ホウ素のジエチルエーテル溶液を滴下ロートに仕
込んだ。
【0073】次いで、窒素ガス気流下、IsoparE
を撹拌しながら90℃に昇温した後、滴下ロート内のジ
エチルエーテル溶液を50分間かけて滴下した。そし
て、滴下操作時に留出してくるジエチルエーテルを常圧
で留去した。滴下終了後、蒸留容器の内容物(混合物)
を125℃に昇温した。これにより、ジエチルエーテル
を含む溶媒を合計で221.097g、留去した。
【0074】ジエチルエーテルを含む溶媒の留去を終了
した後、内容物である溶液(i)を90℃に冷却した。
次いで、該溶液(i)を熱時吸引濾過(第一濾過)し、
析出物、即ち、副生成物であるフッ化臭化マグネシウム
を分離した。これにより、フッ化臭化マグネシウムが除
去されたトリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素を、
IsoparE溶液(第一濾液)の状態で得た。
【0075】上記のIsoparE溶液を室温に冷却し
た後、該溶液を吸引濾過(第二濾過)し、析出した結
晶、即ち、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素を
ケーキとして分離した。そして、得られたケーキを減圧
下、室温で乾燥させた。乾燥後のケーキの重量は16.
840gであった。また、第二濾液は111.4g得ら
れた。
【0076】上記ケーキの分析には、19F−NMRを用
いた。即ち、p−フルオロトルエンを内部標準として用
い、19F−NMRを、所定の条件下で測定した。そし
て、得られた19F−NMRのチャートから、p−フルオ
ロトルエンのフッ素原子の積分値と、トリス(ペンタフ
ルオロフェニル)ホウ素におけるペンタフルオロフェニ
ル基のオルト位のフッ素原子の積分値とを求め、両積分
値からトリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素の重量
を算出した。その結果、上記ケーキは、トリス(ペンタ
フルオロフェニル)ホウ素を純度99重量%以上で含ん
でおり、単離収率は55.7モル%であった。
【0077】また、上記ケーキに含まれている残存ジエ
チルエーテルの量は、 1H−NMRを測定することによ
り求めた。即ち、p−フルオロトルエンを内部標準とし
て用い、 1H−NMRを、所定の条件下で測定した。そ
して、得られた 1H−NMRのチャートと、上記19F−
NMRのチャートとから、ジエチルエーテルのメチレン
基の水素原子の積分値、p−フルオロトルエンのメチル
基の水素原子の積分値、p−フルオロトルエンのフッ素
原子の積分値、および、トリス(ペンタフルオロフェニ
ル)ホウ素におけるペンタフルオロフェニル基のオルト
位のフッ素原子の積分値を求め、これら積分値からトリ
ス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素に対する残存ジエ
チルエーテルの割合を算出した。その結果、ジエチルエ
ーテルは検出されなかった。
【0078】一方、上記の第二濾液を、上記方法と同様
の方法によって分析した。その結果、該第二濾液には、
トリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素4.874g
と、フッ化ビス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素0.
932gとが含まれていた。また、トリス(ペンタフル
オロフェニル)ホウ素に対する残存ジエチルエーテルの
割合は、6.1モル%であった。
【0079】〔実施例2〕実施例1の反応・操作と同様
の反応・操作を行うことにより、トリス(ペンタフルオ
ロフェニル)ホウ素のジエチルエーテル溶液190ml
を得た。
【0080】続いて、実施例1の蒸留容器と同様の蒸留
容器に、IsoparE(商品名)146.5gと、実
施例1にて得られた第二濾液111.4gとを仕込ん
だ。つまり、実施例1にて得られた第二濾液の全部を、
非水溶媒(b)の一部として再利用した。また、上記ト
リス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素のジエチルエー
テル溶液を滴下ロートに仕込んだ。
【0081】次いで、窒素ガス気流下、上記の内容物
(IsoparEと第二濾液との混合物)を撹拌しなが
ら、滴下ロート内のジエチルエーテル溶液10mlを室
温で滴下した。その後、内容物を90℃に昇温し、残り
のジエチルエーテル溶液を65分間かけて滴下した。そ
して、滴下操作時に留出してくるジエチルエーテルを常
圧で留去した。滴下終了後、蒸留容器の内容物(混合
物)を125℃に昇温した。これにより、ジエチルエー
テルを含む溶媒を合計で192.946g、留去した。
【0082】ジエチルエーテルを含む溶媒の留去を終了
した後、内容物である溶液(i)を90℃に冷却した。
次いで、該溶液(i)を熱時吸引濾過し、析出物である
フッ化臭化マグネシウムを分離した。これにより、フッ
化臭化マグネシウムが除去されたトリス(ペンタフルオ
ロフェニル)ホウ素を、IsoparE溶液の状態で得
た。
【0083】上記のIsoparE溶液を室温に冷却し
た後、該溶液を吸引濾過し、析出した結晶をケーキとし
て分離した。そして、得られたケーキを減圧下、室温で
乾燥させた。乾燥後のケーキの重量は19.736gで
あった。また、第二濾液は161.0g得られた。
【0084】実施例1の方法と同様の方法で分析した結
果、上記ケーキは、トリス(ペンタフルオロフェニル)
ホウ素を97.1重量%含んでおり、単離収率は63.
4モル%であった。また、該ケーキは、フッ化ビス(ペ
ンタフルオロフェニル)ホウ素を2.9重量%含んでい
た。上記ケーキからはジエチルエーテルは検出されなか
った。
【0085】一方、第二濾液には、トリス(ペンタフル
オロフェニル)ホウ素8.216gと、フッ化ビス(ペ
ンタフルオロフェニル)ホウ素2.508gとが含まれ
ていた。また、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ
素に対する残存ジエチルエーテルの割合は、2.4モル
%であった。
【0086】〔実施例3〕実施例1の反応・操作と同様
の反応・操作を行うことにより、トリス(ペンタフルオ
ロフェニル)ホウ素のジエチルエーテル溶液180ml
を得た。
【0087】続いて、実施例1の蒸留容器と同様の蒸留
容器に、IsoparE(商品名)100.3gと、実
施例2にて得られた第二濾液161.0gとを仕込ん
だ。つまり、実施例2にて得られた第二濾液の全部を、
非水溶媒(b)の一部として再利用した。また、上記ト
リス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素のジエチルエー
テル溶液を滴下ロートに仕込んだ。
【0088】次いで、窒素ガス気流下、上記の内容物
(IsoparEと第二濾液との混合物)を撹拌しなが
ら、滴下ロート内のジエチルエーテル溶液10mlを室
温で滴下した。その後、内容物を96℃に昇温し、残り
のジエチルエーテル溶液を60分間かけて滴下した。そ
して、滴下操作時に留出してくるジエチルエーテルを常
圧で留去した。滴下終了後、蒸留容器の内容物(混合
物)を125℃に昇温した。これにより、ジエチルエー
テルを含む溶媒を合計で168.283g、留去した。
【0089】ジエチルエーテルを含む溶媒の留去を終了
した後、内容物である溶液(i)を90℃に冷却した。
次いで、該溶液(i)を熱時吸引濾過し、析出物である
フッ化臭化マグネシウムを分離した。これにより、フッ
化臭化マグネシウムが除去されたトリス(ペンタフルオ
ロフェニル)ホウ素を、IsoparE溶液の状態で得
た。
【0090】上記のIsoparE溶液を室温に冷却し
た後、該溶液を吸引濾過し、析出した結晶をケーキとし
て分離した。そして、得られたケーキを減圧下、室温で
乾燥させた。乾燥後のケーキの重量は23.382gで
あった。また、第二濾液は148.9g得られた。
【0091】実施例1の方法と同様の方法で分析した結
果、上記ケーキは、トリス(ペンタフルオロフェニル)
ホウ素を97.5重量%含んでおり、単離収率は75.
5モル%であった。また、該ケーキは、フッ化ビス(ペ
ンタフルオロフェニル)ホウ素を2.5重量%含んでい
た。上記ケーキからはジエチルエーテルは検出されなか
った。
【0092】一方、第二濾液には、トリス(ペンタフル
オロフェニル)ホウ素9.148gと、フッ化ビス(ペ
ンタフルオロフェニル)ホウ素3.379gとが含まれ
ていた。また、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ
素に対する残存ジエチルエーテルの割合は、4.8モル
%であった。
【0093】〔実施例4〕実施例1の反応容器と同様の
反応容器内を、充分に窒素ガス置換した。該反応容器
に、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体8.316g
と、ジエチルエーテル50.660gとを仕込んだ。ま
た、ペンタフルオロフェニルマグネシウムブロマイド
0.177モルを含むジエチルエーテル溶液90ml
を、滴下ロートに仕込んだ。次いで、窒素ガス雰囲気
下、上記の内容物を撹拌しながら、上記のジエチルエー
テル溶液を室温で40分間かけて滴下した。滴下終了
後、反応液を窒素ガス雰囲気下、還流温度で3時間撹拌
して反応(熟成)させた。これにより、トリス(フッ化
アリール)ホウ素としてのトリス(ペンタフルオロフェ
ニル)ホウ素のジエチルエーテル溶液を得た。
【0094】続いて、実施例1の蒸留容器と同様の蒸留
容器に、非水溶媒(b)としてのn−オクタン(炭化水
素系溶媒)200.1gを仕込んだ。また、上記トリス
(ペンタフルオロフェニル)ホウ素のジエチルエーテル
溶液を滴下ロートに仕込んだ。
【0095】次いで、窒素ガス気流下、n−オクタンを
撹拌しながら92℃に昇温した後、滴下ロート内のジエ
チルエーテル溶液を35分間かけて滴下した。そして、
滴下操作時に留出してくるジエチルエーテルを常圧で留
去した。滴下終了後、蒸留容器の内容物(混合物)を1
20℃に昇温した。これにより、ジエチルエーテルを含
む溶媒を合計で117.684g、留去した。
【0096】ジエチルエーテルを含む溶媒の留去を終了
した後、内容物である溶液(i)を90℃に冷却した。
次いで、該溶液(i)を熱時吸引濾過し、析出物である
フッ化臭化マグネシウムを分離した。これにより、フッ
化臭化マグネシウムが除去されたトリス(ペンタフルオ
ロフェニル)ホウ素を、n−オクタン溶液の状態で得
た。
【0097】上記のn−オクタン溶液を室温に冷却した
後、該溶液を吸引濾過し、析出した結晶をケーキとして
分離した。そして、得られたケーキを減圧下、室温で乾
燥させた。乾燥後のケーキの重量は18.504gであ
った。また、第二濾液は168.0g得られた。
【0098】実施例1の方法と同様の方法で分析した結
果、上記ケーキは、トリス(ペンタフルオロフェニル)
ホウ素を純度99重量%以上で含んでおり、単離収率は
61.3モル%であった。また、トリス(ペンタフルオ
ロフェニル)ホウ素に対する残存ジエチルエーテルの割
合は、1.0モル%であった。
【0099】一方、第二濾液には、トリス(ペンタフル
オロフェニル)ホウ素7.657gと、フッ化ビス(ペ
ンタフルオロフェニル)ホウ素0.458gとが含まれ
ていた。また、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ
素に対する残存ジエチルエーテルの割合は、46.9モ
ル%であった。
【0100】〔実施例5〕実施例1の反応・操作と同様
の反応・操作を行うことにより、トリス(ペンタフルオ
ロフェニル)ホウ素のジエチルエーテル溶液168ml
を得た。
【0101】続いて、実施例1の蒸留容器と同様の蒸留
容器に、n−オクタン33.2gと、実施例4にて得ら
れた第二濾液168.0gとを仕込んだ。つまり、実施
例4にて得られた第二濾液の全部を、非水溶媒(b)の
一部として再利用した。また、上記トリス(ペンタフル
オロフェニル)ホウ素のジエチルエーテル溶液を滴下ロ
ートに仕込んだ。
【0102】次いで、窒素ガス気流下、上記の内容物
(n−オクタンと第二濾液との混合物)を撹拌しなが
ら、滴下ロート内のジエチルエーテル溶液10mlを室
温で滴下した。その後、内容物を90℃に昇温し、残り
のジエチルエーテル溶液を60分間かけて滴下した。そ
して、滴下操作時に留出してくるジエチルエーテルを常
圧で留去した。滴下終了後、蒸留容器の内容物(混合
物)を120℃に昇温した。これにより、ジエチルエー
テルを含む溶媒を合計で104.243g、留去した。
【0103】ジエチルエーテルを含む溶媒の留去を終了
した後、内容物である溶液(i)を90℃に冷却した。
次いで、該溶液(i)を熱時吸引濾過し、析出物である
フッ化臭化マグネシウムを分離した。これにより、フッ
化臭化マグネシウムが除去されたトリス(ペンタフルオ
ロフェニル)ホウ素を、n−オクタン溶液の状態で得
た。
【0104】上記のn−オクタン溶液を室温に冷却した
後、該溶液を吸引濾過し、析出した結晶をケーキとして
分離した。そして、得られたケーキを減圧下、室温で乾
燥させた。乾燥後のケーキの重量は22.319gであ
った。また、第二濾液は182.9g得られた。
【0105】実施例1の方法と同様の方法で分析した結
果、上記ケーキは、トリス(ペンタフルオロフェニル)
ホウ素を99.6重量%含んでおり、単離収率は73.
6モル%であった。また、該ケーキは、フッ化ビス(ペ
ンタフルオロフェニル)ホウ素を0.4重量%含んでい
た。トリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素に対する
残存ジエチルエーテルの割合は、1.4モル%であっ
た。
【0106】一方、第二濾液には、トリス(ペンタフル
オロフェニル)ホウ素8.706gと、フッ化ビス(ペ
ンタフルオロフェニル)ホウ素3.367gとが含まれ
ていた。また、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ
素に対する残存ジエチルエーテルの割合は、62.3モ
ル%であった。
【0107】〔実施例6〕実施例1の反応容器と同様の
反応容器内を、充分に窒素ガス置換した。該反応容器
に、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体8.451g
と、ジエチルエーテル50.1gとを仕込んだ。また、
ペンタフルオロフェニルマグネシウムブロマイド0.1
77モルを含むジエチルエーテル溶液90mlを、滴下
ロートに仕込んだ。次いで、窒素ガス雰囲気下、上記の
内容物を撹拌しながら、上記のジエチルエーテル溶液を
室温で60分間かけて滴下した。滴下終了後、反応液を
窒素ガス雰囲気下、還流温度で4.5時間撹拌して反応
(熟成)させた。これにより、トリス(フッ化アリー
ル)ホウ素としてのトリス(ペンタフルオロフェニル)
ホウ素のジエチルエーテル溶液を得た。
【0108】続いて、実施例1の蒸留容器と同様の蒸留
容器に、n−オクタン200.1gを仕込んだ。また、
上記トリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素のジエチ
ルエーテル溶液を滴下ロートに仕込んだ。
【0109】次いで、窒素ガス気流下、n−オクタンを
撹拌しながら95℃に昇温した後、滴下ロート内のジエ
チルエーテル溶液を55分間かけて滴下した。そして、
滴下操作時に留出してくるジエチルエーテルを常圧で留
去した。滴下終了後、蒸留容器の内容物(混合物)を1
21℃に昇温した。これにより、ジエチルエーテルを含
む溶媒を合計で117.001g、留去した。
【0110】ジエチルエーテルを含む溶媒の留去を終了
した後、内容物にn−オクタン50.0gを加えること
により、溶液(i)を得た。そして、該溶液(i)を9
0℃に冷却した。次いで、該溶液(i)を熱時吸引濾過
し、濾残をn−オクタン50.0gで洗浄した後、析出
物(濾残)であるフッ化臭化マグネシウムを分離した。
これにより、フッ化臭化マグネシウムが除去されたトリ
ス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素を、n−オクタン
溶液の状態で得た。
【0111】上記のn−オクタン溶液を室温に冷却した
後、該溶液を吸引濾過し、析出した結晶をケーキとして
分離した。そして、得られたケーキを減圧下、室温で乾
燥させた。乾燥後のケーキの重量は14.410gであ
った。また、第二濾液は250.2g得られた。
【0112】実施例1の方法と同様の方法で分析した結
果、上記ケーキは、トリス(ペンタフルオロフェニル)
ホウ素を純度99重量%以上で含んでおり、単離収率は
47.7モル%であった。また、トリス(ペンタフルオ
ロフェニル)ホウ素に対する残存ジエチルエーテルの割
合は、0.68モル%であった。
【0113】一方、第二濾液には、トリス(ペンタフル
オロフェニル)ホウ素10.277gと、フッ化ビス
(ペンタフルオロフェニル)ホウ素0.883gとが含
まれていた。また、トリス(ペンタフルオロフェニル)
ホウ素に対する残存ジエチルエーテルの割合は、51.
7モル%であった。
【0114】〔実施例7〕実施例1の反応・操作と同様
の反応・操作を行うことにより、トリス(ペンタフルオ
ロフェニル)ホウ素のジエチルエーテル溶液190ml
を得た。
【0115】続いて、実施例1の蒸留容器と同様の蒸留
容器に、実施例6にて得られた第二濾液249.1gを
仕込んだ。つまり、実施例6にて得られた第二濾液の全
部を、非水溶媒(b)の全部として再利用した。また、
上記トリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素のジエチ
ルエーテル溶液を滴下ロートに仕込んだ。
【0116】次いで、窒素ガス気流下、上記の内容物
(第二濾液)を撹拌しながら、滴下ロート内のジエチル
エーテル溶液10mlを室温で滴下した。その後、内容
物を90℃に昇温し、残りのジエチルエーテル溶液を5
0分間かけて滴下した。そして、滴下操作時に留出して
くるジエチルエーテルを常圧で留去した。滴下終了後、
蒸留容器の内容物(混合物)を122℃に昇温した。こ
れにより、ジエチルエーテルを含む溶媒を合計で11
6.445g、留去した。
【0117】ジエチルエーテルを含む溶媒の留去を終了
した後、内容物にn−オクタン11.9gを加えること
により、溶液(i)を得た。そして、該溶液(i)を9
0℃に冷却した。次いで、該溶液(i)を熱時吸引濾過
し、濾残をn−オクタン50.0gで洗浄した後、析出
物(濾残)であるフッ化臭化マグネシウムを分離した。
これにより、フッ化臭化マグネシウムが除去されたトリ
ス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素を、n−オクタン
溶液の状態で得た。
【0118】上記のn−オクタン溶液を室温に冷却した
後、該溶液を吸引濾過し、析出した結晶をケーキとして
分離した。そして、得られたケーキを減圧下、室温で乾
燥させた。乾燥後のケーキの重量は24.394gであ
った。また、第二濾液は227.3g得られた。
【0119】実施例1の方法と同様の方法で分析した結
果、上記ケーキは、トリス(ペンタフルオロフェニル)
ホウ素を純度99重量%以上で含んでおり、単離収率は
80.8モル%であった。上記ケーキからはジエチルエ
ーテルは検出されなかった。
【0120】一方、第二濾液には、トリス(ペンタフル
オロフェニル)ホウ素8.605gと、フッ化ビス(ペ
ンタフルオロフェニル)ホウ素4.142gとが含まれ
ていた。また、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ
素に対する残存ジエチルエーテルの割合は、45.2モ
ル%であった。
【0121】
【発明の効果】本発明の請求項1記載のトリス(フッ化
アリール)ホウ素の単離方法は、以上のように、一般式
(1)
【0122】
【化6】
【0123】(式中、R1 、R2 、R3 、R4 、R5
それぞれ独立して水素原子、フッ素原子、炭化水素基ま
たはアルコキシ基を表し、かつ、該R1 〜R5 のうちの
少なくとも一つはフッ素原子を表す)で表されるトリス
(フッ化アリール)ホウ素と、不純物としてハロゲン化
マグネシウム並びにエーテル系溶媒とを含んでなる溶液
を第一濾過した後、濾液を冷却し、第二濾過してトリス
(フッ化アリール)ホウ素を単離する方法である。
【0124】これにより、エーテル系溶媒を実質的に含
まないトリス(フッ化アリール)ホウ素を、収率良くか
つ高純度の固体(粉体)として単離・精製することがで
きるという効果を奏する。
【0125】本発明の請求項2記載のトリス(フッ化ア
リール)ホウ素の単離方法は、以上のように、一般式
(2)
【0126】
【化7】
【0127】(式中、R1 、R2 、R3 、R4 、R5
それぞれ独立して水素原子、フッ素原子、炭化水素基ま
たはアルコキシ基を表し、かつ、該R1 〜R5 のうちの
少なくとも一つはフッ素原子であり、Xaは塩素原子、
臭素原子またはヨウ素原子を表す)で表されるフッ化ア
リールマグネシウム誘導体と、一般式(3) BXb3 ……(3) (式中、Xbはフッ素原子、塩素原子、臭素原子または
ヨウ素原子を表す)で表されるハロゲン化ホウ素とを、
エーテル系溶媒を含む溶媒(a)中で反応させて得られ
る、前記一般式(1)で表されるトリス(フッ化アリー
ル)ホウ素を含む反応液を、非水溶媒(b)に添加する
と共に、上記エーテル系溶媒を除去し、得られる溶液を
第一濾過した後、第一濾液を冷却し、第二濾過してトリ
ス(フッ化アリール)ホウ素を単離すると共に、第二濾
液を上記非水溶媒(b)の少なくとも一部として供する
方法である。
【0128】これにより、エーテル系溶媒を実質的に含
まないトリス(フッ化アリール)ホウ素を、収率良くか
つ高純度の固体(粉体)として単離・精製することがで
きる。また、第二濾液を再利用(リサイクル)すること
ができるので、トリス(フッ化アリール)ホウ素を、よ
り一層収率良くかつ安価に単離することができるという
効果を奏する。
【0129】本発明の請求項3記載のトリス(フッ化ア
リール)ホウ素の単離方法は、以上のように、第一濾過
するときの上記溶液の温度が0℃〜200℃の範囲内で
ある方法である。
【0130】これにより、トリス(フッ化アリール)ホ
ウ素を、より一層効率的に単離することができるという
効果を奏する。
【0131】本発明の請求項4記載の固体状のトリス
(フッ化アリール)ホウ素は、以上のように、エーテル
系溶媒の含有量が10モル%以下である構成である。
【0132】これにより、エーテル系溶媒を実質的に含
まない固体状のトリス(フッ化アリール)ホウ素を提供
することができるという効果を奏する。
フロントページの続き (72)発明者 山本 尚子 大阪府吹田市西御旅町5番8号 株式会社 日本触媒内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(1) 【化1】 (式中、R1 、R2 、R3 、R4 、R5 はそれぞれ独立
    して水素原子、フッ素原子、炭化水素基またはアルコキ
    シ基を表し、かつ、該R1 〜R5 のうちの少なくとも一
    つはフッ素原子を表す)で表されるトリス(フッ化アリ
    ール)ホウ素と、不純物としてハロゲン化マグネシウム
    並びにエーテル系溶媒とを含んでなる溶液を第一濾過し
    た後、濾液を冷却し、第二濾過してトリス(フッ化アリ
    ール)ホウ素を単離することを特徴とするトリス(フッ
    化アリール)ホウ素の単離方法。
  2. 【請求項2】一般式(2) 【化2】 (式中、R1 、R2 、R3 、R4 、R5 はそれぞれ独立
    して水素原子、フッ素原子、炭化水素基またはアルコキ
    シ基を表し、かつ、該R1 〜R5 のうちの少なくとも一
    つはフッ素原子であり、Xaは塩素原子、臭素原子また
    はヨウ素原子を表す)で表されるフッ化アリールマグネ
    シウム誘導体と、一般式(3) BXb3 ……(3) (式中、Xbはフッ素原子、塩素原子、臭素原子または
    ヨウ素原子を表す)で表されるハロゲン化ホウ素とを、
    エーテル系溶媒を含む溶媒(a)中で反応させて得られ
    る、一般式(1) 【化3】 (式中、R1 、R2 、R3 、R4 、R5 はそれぞれ独立
    して水素原子、フッ素原子、炭化水素基またはアルコキ
    シ基を表し、かつ、該R1 〜R5 のうちの少なくとも一
    つはフッ素原子を表す)で表されるトリス(フッ化アリ
    ール)ホウ素を含む反応液を、非水溶媒(b)に添加す
    ると共に、上記エーテル系溶媒を除去し、得られる溶液
    を第一濾過した後、第一濾液を冷却し、第二濾過してト
    リス(フッ化アリール)ホウ素を単離すると共に、第二
    濾液を上記非水溶媒(b)の少なくとも一部として供す
    ることを特徴とするトリス(フッ化アリール)ホウ素の
    単離方法。
  3. 【請求項3】第一濾過するときの上記溶液の温度が0℃
    〜200℃の範囲内であることを特徴とする請求項1ま
    たは2記載のトリス(フッ化アリール)ホウ素の単離方
    法。
  4. 【請求項4】エーテル系溶媒の含有量が10モル%以下
    であることを特徴とする固体状のトリス(フッ化アリー
    ル)ホウ素。
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