JPH10128211A - 塗布方法及びその装置 - Google Patents

塗布方法及びその装置

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JPH10128211A
JPH10128211A JP28658896A JP28658896A JPH10128211A JP H10128211 A JPH10128211 A JP H10128211A JP 28658896 A JP28658896 A JP 28658896A JP 28658896 A JP28658896 A JP 28658896A JP H10128211 A JPH10128211 A JP H10128211A
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JP
Japan
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coating liquid
coating
tank
supply tank
liquid supply
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Pending
Application number
JP28658896A
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English (en)
Inventor
Shinji Numazawa
伸二 沼澤
Hiroshi Tokuda
寛志 徳田
Yasusuke Nakanishi
庸介 中西
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 高速域でも筋欠陥がなく,塗液供給量の脈動
による塗布量の変動や塗液の発泡,スカム化による筋欠
陥を発生しない長時間連続塗布が可能な方法を提供す
る。 【解決手段】 2つ以上の気密タンクを使用し,その1
つを塗液供給タンク16とし,他のタンクを脱気処理タ
ンクとし,これらを途中に開閉器を有する配管で連結す
る。開閉器を閉じた状態で塗液供給タンク16に気体圧
力をかけて塗液を連続的にダイコーターに送る。一方脱
気処理タンクに塗液を供給し,減圧脱気した後,開閉器
を開いて脱気した塗液を塗液供給タンク16に送り込
む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は塗布方法及びその装
置に関し,さらに詳しくは走行フィルムへの高速オフラ
インコートまたはフィルム製造工程での高速インライン
コートに適用でき,均一かつ良好な外観を有する塗液膜
(コート層)を形成する塗布方法及びその装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】プラスティックフィルム等のフィルム
(シート状基材含む)に,易接着性,易滑性,ガス遮断
性,防湿性,制電性,インク受容性等の機能を付与する
目的でコーティング加工することが一般的に行われてい
る。これに用いるコーターとして,例えばグラビアコー
ター,キスロールコーター,リバースロールコーター,
スライドコーター,カーテンコーター,ナイフコータ
ー,エクストルージョンダイコーター等が知られてい
る。
【0003】近年,生産性向上の要求が高まり,高速域
でも筋欠陥等の無い高品質の塗布ができるダイコーター
が開発されている。このほかのメリットには,コーティ
ング部で塗液が空気に触れることが無く,塗液の乾燥に
よるトラブルが殆どないことや,塗布部での塗液にかか
るせん断がロールコーターに比して小さいため,エマル
ジョン型塗液を使う場合エマルジョン破壊による塗液変
質を起こし難いことが挙げられる。
【0004】しかし,ダイコーターへの塗液供給量が直
接塗布量に関与するため,塗液供給量の調整には高い精
度が必要とされ,また塗液供給量に脈動があってはなら
ない。これに関して特開平5−293427号公報に,
ポンプから送られてきた塗液をダイのマニホールドの一
端に供給し,他端から塗液の一部を排出することでポン
プ吐出の脈動を抑えることが開示されている。しかしこ
の方法では脈動を完全に抑えることはできないし,ポン
プ〜ダイの間を循環する塗液が存在し,ポンプでのせん
断により塗液が変質することが考えられる。
【0005】また,塗液内に溶け込んでいる気体が主に
配管途中の急激な圧力変動が要因となって気泡を発生
し,これがダイのビードやドクターエッジに付着して筋
欠陥を発生させ,製品フイルムの品質の低下,あるいは
リジェクト品となる。これに関しては特開平7−289
983号公報に,塗液の気体溶解量を減圧脱気により減
少させ,減圧脱気した温度より高い温度で塗布すること
が開示されている。しかし,この特許公報では脱気した
塗液を塗布部に連続して送ることに関しては詳しい記述
が無い。ポンプを使用する場合には前述のような脈動や
塗液変質といった問題がでてくる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は,上記
の問題を解消するもので,高速域でもロールコーターの
ような筋欠陥がなく,塗液供給量の脈動による塗布量の
変動や,塗液の発泡による筋欠陥を発生しない塗布方法
及びその装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち,本発明は, 1. 走行フィルムの少なくとも一方の表面にダイコー
ターで塗液を連続的に塗布する塗布方法において,少な
くとも2つ以上の気密タンクを使用し,この1つを塗液
供給タンクとし,他のタンクを脱気処理タンクとし,こ
れらタンク同士を途中に開閉器を有する配管で連結し,
該開閉器を閉じた状態で塗液供給タンクに式(1)で示さ
れるP1の気体圧力をかけて該タンク内の塗液を連続的
にダイコーターに送り込み,一方脱気処理タンクに塗液
を供給し,この内部の気体圧力を式(2)で示されるP2
として5分以上60分未満保持して塗液の減圧脱気を行
い,その後脱気処理したタンクの気体圧力を式(3)に示
されるP3とし,前記開閉器を開いて脱気した塗液を塗
液供給タンクに送り込むことを特徴とする塗布方法,
【0008】
【数4】H2<P1≦H2+2.0×104 [mmAq] (1) P2≦230 [torr] (2) P1-H1<P3≦P1+a [mmAq] (3)
【0009】ここで,aは定数(0≦a≦2000[mmA
q]),H1は減圧脱気を行う脱気処理タンクの底部の高
さから塗液供給タンクの底部の高さを差し引いた値 [m
m],H2は塗液供給タンクからダイコーターまでの塗液
配管の最高高さから最低高さを差し引いた値 [mm]であ
る,並びに 2. ダイコーターを用いた塗布装置であって,少なく
とも2つ以上の気密タンクを使用し,この1つを塗液供
給タンクとし,他のタンクを脱気処理タンクとし,これ
らタンク同士を途中に開閉器を有する配管で連結し,塗
液供給タンクに気体圧力調整手段を取付け,脱気処理タ
ンクには気体圧力調整手段と気体排出手段を取付け,塗
液供給タンクを塗液配管を通してダイコーターに接続
し,塗液供給タンクからダイコーターまでの塗液配管途
中に塗液の流量を計測する手段及び/又は該塗液配管で
の圧力損失ヘッドを調整する手段を設け,気体圧力調整
手段の作用で塗液供給タンク内の塗液を安定かつ連続的
にダイコーターに供給するようにし,脱気処理タンクで
塗液の減圧脱気を行い,減圧脱気した塗液を塗液供給タ
ンクに送り込むようにしたことを特徴とする走行フィル
ムに均一な塗液膜を連続的に形成する塗布装置である。
【0010】本発明において走行フィルムは素材によっ
て特に限定されないが,プラスティックフィルムが好ま
しい。このプラスティックフィルムとしては,ポリオレ
フィンフィルム(たとえばポリエチレン(PE)フィル
ム,ポリプロピレン(PP)フィルム等),ポリエステ
ルフィルム(たとえばポリエチレンテレフタレート(P
ET)フィルム,ポリエチレン−2,6-ナフタレート
フィルム等),ポリアミドフィルム(たとえばナイロン
6フィルム,ナイロン66フィルム等),ポリエーテル
エーテルケトンフィルム,ポリカーボネートフィルム等
が例示できる。この中でもポリエステルフィルム,特に
ポリエチレンテレフタレートフィルム,ポリエチレン-
2,6-ナフタレートフィルムが好ましい。
【0011】前記走行フィルムの厚みは通常5〜800
μm,好ましくは10〜200μmである。また走行フィ
ルムの走行速度は5〜1000m/minが好ましく,10
〜350m/minが最適である。
【0012】本発明において塗液は,フィルム表面に機
能特性例えば,接着性(含,易接着性,ヒートシール
性),易滑性(走行性),帯電防止性,導電性,耐摩耗
性,耐削れ性,耐候性,離型性,耐薬品性(含,耐水
性,耐溶剤性),易印刷性,流滴性,防汚性,筆記性,
遮光性,防水性,ガスバリアー性等を付与する表面加工
用の塗液であれば如何なるものであっても良い。これら
の塗液は従来から知られ,あるいは用いられているもの
を用いることができる。塗液の粘度としては1〜200
センチポイズ(cp),更に1.1〜20cpが好まし
い。
【0013】図1は本発明の塗布装置の一例をに示す説
明図である。図中,1は走行フィルム,2はダイ(ダイ
コーター),3は塗液膜,4は圧縮空気源,5,5’は
空気圧レギュレータ,6は圧縮空気配管,7,8,1
3,15はコック,9は脱気ポンプ,10は塗液,11
は塗液タンク,12は液送ポンプ,14は脱気処理タン
ク,16は塗液供給タンク,17は塗液濾過手段,18
は塗液配管,19は流量計,20は補助塗液濾過手段,
21は流量制御装置,22は電気配線,dは走行フィル
ムの走行方向である。
【0014】本発明の塗布装置は,図1を用いて説明す
ると,少なくとも2つ以上の気密タンク14,16を使
用し,この1つを塗液供給タンク16とし,他のタンク
を脱気処理タンク14とし,これらタンク同士を途中に
開閉器(例えば弁15)を有する配管で連結し,塗液供
給タンク16に気体圧力調整手段5'を取付け,脱気処
理タンク14には気体圧力調整手段5と気体排出手段
(例えば廃棄ポンプ9)を取付け,塗液供給タンク16
を塗液配管18を通してダイ2に接続し,塗液供給タン
ク16からダイ2までの塗液配管18の途中に塗液の流
量を計測する手段19及び/又は該塗液配管での圧力損
失ヘッドを調整する手段(図示せず)を設け,気体圧力
調整手段5’の作用で塗液供給タンク16内の塗液を安
定かつ連続的にダイ2に供給するようにし,脱気処理タ
ンク14で塗液の減圧脱気を行い,減圧脱気した塗液を
塗液供給タンク16に送り込むようにしている。
【0015】本発明において,ダイ2は塗液供給系から
送られてくる塗液をマニホールド内でフィルム幅方向に
均一に広げ,一定幅のスリットを通して対向する走行フ
ィルム1に押し出し,ダイ2のフィルム対向面及び液離
れエッジによって一定厚みに計量する。ダイ2からの吐
出の方向はスリット出口を上向きにして走行フィルム1
の下面に塗布してもよく,逆にスリット出口を下向きに
して走行フィルム1の上面に塗布しても本発明は問題な
く適用可能である。また,マニホールドへの塗液の流入
は1カ所でも複数であってもよく,位置はダイ幅方向の
どこにあってもよい。
【0016】気体圧力調整手段の空気圧レギュレータ
5,5’は一般の精密タイプのレギュレータが使用でき
る。電圧指令によって気体圧力を制御する電空変換タイ
プのレギュレータを使用すれば,塗液流量計の値をフィ
ードバックして塗液供給タンク16からダイ2へ供給す
る塗液流量の自動制御が可能である。タンク内の気体圧
力は圧力計(図示せず)で測定するが,この圧力は手動
での流量調整の指針として,また電空変換器のフィード
バック制御用としても有効である。一般のアナログ式で
も良いが厳密に圧力を設定するためにはディジタル式が
好ましい。
【0017】脱気ポンプ9は油真空ポンプ,ダイアフラ
ムポンプ,イジェクタ等の一般の真空ポンプが使用でき
る。塗液タンク11は塗布フイルムの製造に必要な分の
塗液を入れておく元のタンクであり,フイルム製造の途
中で塗液を追加補充しても良い。
【0018】液送ポンプ12にはダイアフラムポンプ,
ベローズポンプ,チューブポンプ,ギアポンプ,プラン
ジャポンプ等の一般の液送用ポンプが使用できる。この
部分での塗液の輸送は吐出の脈動があっても構わないの
で,シール部分のないダイアフラムポンプやチューブポ
ンプが好適である。
【0019】脱気処理タンク14および塗液供給タンク
16は耐圧構造の気密タンクであれば良く,脈動のない
高級なポンプに比べ安く製造または購入することができ
る利点を有する。材質はステンレスが好ましく,さらに
は内面にテフロンコーティングを施したものが良い。容
量は取り扱い性を考えると200リットル以下が好まし
い。塗液供給タンク16にかける気体圧力は式(1)を満
足し,
【0020】
【数5】 H2<P1≦H2+2.0×104 [mmAq] (1)
【0021】ここで,H1は減圧脱気を行う脱気処理タ
ンクの底部の高さから塗液供給タンクの底部の高さを差
し引いた値 [mm],H2は塗液供給タンクからダイコー
ターまでの塗液配管の最高高さから最低高さを差し引い
た値 [mm]である,該タンクからダイ2までの塗液配管
18,塗液濾過手段17,補助塗液濾過手段20,流量
計19,および弁(図示せず)での圧力損失ヘッド分と
位置ヘッドH2分の圧の和より大きい圧であればよい。
低粘度の塗液では通常圧力損失は非常に小さいので,弁
で配管を絞ってある程度圧力を上げる方が吐出が安定
し,配管途中での発泡も起こり難くなる。しかし,過度
に圧を上げると減圧脱気した塗液に再度気体(例えば空
気)が溶け込む現象が加速されるため好ましくない。P
1は2 kg/cm2(20000mmAq)以下に抑えるのが良
く,さらに好ましくはH1より大きく1kg/cm2以下にす
るのが好ましい。H1は3000mm未満,H2は100
00mm未満であることが好ましい。
【0022】塗液の減圧脱気処理時の脱気処理タンク1
4の内部圧力は式(2)のように230torr以下にすれば
脱気効果は出てくるが,80torr以下にする方が短時間
で効果がでるので好ましい。減圧下で脱気する時間は塗
液の粘度が高ければ長くする必要がある。前記塗液では
5〜60分間の処理で良い結果が得られる。これより短
い場合は充分な脱気効果が得られず,またこれより長い
場合は塗液の飽和蒸気圧以下で脱気しているため,溶媒
蒸発量が多くなり塗液組成の変化が無視できなくなるた
め好ましくない。脱気中は塗液が沸騰状態を呈すが大気
圧に戻せば完全に静まり,その後の塗布には悪影響を及
ぼさない。タンクの配置は,減圧脱気した塗液を脱気処
理タンク14から塗液供給タンク16へヘッド差を利用
して緩やかに流し込むのが好ましいので,H1の分だけ
脱気処理タンク14を塗液供給タンク16より高い位置
に設置するのが好ましい。脱気処理タンク14と塗液供
給タンク16の連通は配管を図1のように独立させるこ
とが好ましいが,弁15から先の配管を塗液供給タンク
からダイへの配管につなぐ(ただし,塗液濾過手段より
タンク16側の配管につなぐ)ことで行うこともでき
る。脱気処理タンク14から塗液供給タンク16へ塗液
を流し込む時,脱気処理タンク14の圧力が過剰に高い
と,塗液供給タンク16内での塗液ヘッド面の上昇速度
が速くなりすぎ,ダイ2への塗液流量を調整しきれず塗
膜厚みの変動を起こす危険がある。逆に脱気処理タンク
14の底部の液圧力より塗液供給タンク16の底部の液
圧力が高いと塗液が液送タンク16から脱気処理タンク
14へ逆流してしまう。このため脱気処理タンク14か
ら塗液供給タンク16へ塗液を流し込む時は脱気処理タ
ンク14の圧力を式(3)に示される範囲にしなくてはな
らない。
【0023】
【数6】P1-H1<P3≦P1+a [mmAq] (3)
【0024】ここで,aは定数(0≦a≦2000[mmA
q]),H1は減圧脱気を行う脱気処理タンクの底部の高
さから塗液供給タンクの底部の高さを差し引いた値 [m
m],P1は塗液供給タンクの気体圧力[mmAq]である。
【0025】塗液濾過手段17は塗液供給タンク16に
できるだけ近い配管系に設けるのが好ましく,メインフ
ィルターとなる。絶対濾過精度は粗濾過用として5〜5
0μm,さらに好ましくは10〜30μmが良く,その下
流側(ダイに近い方)に精密濾過用として0.5〜20
μm,さらに好ましくは1〜10μmの塗液濾過手段を設
ける。補助塗液濾過手段20はダイ2の直前に設け,塗
液配管18,流量計19,流量調整弁等に塗液固化物が
付着していて,それが剥離し流れてきた場合もダイ2の
前でトラップするためのものである。絶対濾過精度は精
密濾過用として0.5〜20μmが好ましく,さらには
1〜10μmが良い。塗液濾過手段17,20ともに濾
過エレメントは塗液にあった材質を選択する必要がある
が,本発明を制限するものではない。一般的にはPPや
PETの不織布を用いた体積濾過エレメントが寿命も長
く,良い結果を得られるため推奨される。
【0026】流量調整弁はどのようなタイプの弁も使用
可能であるが,精密な調整ができるニードルバルブが好
適である。またモーターでバルブ開度を調整するバルブ
であれば流量計19の流量フィードバック値によってダ
イ2への塗液流量の自動制御が可能となる。また塗布終
了時などは流量調整弁を全閉することでダイ2からの吐
出を完全に止めることができ,周囲環境を汚すことがな
い。
【0027】流量制御装置22は汎用シーケンサーやパ
ソコン,専用制御機器等が使用可能である。多数のタン
クの圧力制御を柔軟に行う際はパソコンによるソフトウ
ェアコントロールが最適である。制御手法としては一般
的なPI(比例・積分)制御手法を用いれば問題なく制
御可能である。
【0028】塗液濾過手段17は並列の2系列に組まれ
たものが好ましい。各系列では粗濾過用塗液濾過器とこ
の下流側に配した精密濾過用塗液濾過器からなる。塗液
をどの系列に通すかまたは両方の系列に通すかは三方切
替コックの操作で行うとよい。この切替で塗液を片方ず
つ完全に流れを止めて,ダイからの吐出を止めずにフィ
ルタエレメントの交換がオンラインで行うことができ
る。2系列併用の場合は濾過後に塗液を合流させてダイ
方向に移送する。
【0029】
【実施例】以下,実施例を用いて本発明をさらに説明す
る。
【0030】[実施例1]図1に示す設備を用いて走行
フィルムへの塗液の連続塗布を行った。ここで,H1は
300mm,H2は600mm,タンク14,16はステン
レス製で,容量は40リットル,レギュレータ5,5’
には電空変換タイプを使用し,ギア式流量計19の信号
により流量のフィードバック制御をパソコンのソフトウ
ェアコントロールで行った。流量調節弁には手動のニー
ドルバルブを使用した。塗液供給タンク16直後のフィ
ルター17には粗濾過用にPP不織布の絶対濾過精度1
0μmのエレメント,精密濾過用にPET不織布を使用
した絶対濾過精度2μmのエレメントを使用し,ダイ直
前のフィルター20には絶対濾過精度2μmのグラスフ
ァイバーエレメントを使用した。液送ポンプ12にはダ
イアフラム式を使い,脱気ポンプには油真空ポンプを使
用した。
【0031】粘度が4cp,比重1.1の水系のエマル
ジョン塗液を塗液タンク11に入れ,コック15を閉め
コック13を開け液送ポンプ12を作動させ塗液を脱気
処理タンク14に送った。塗液がほぼ満杯になったとこ
ろで液送ポンプ12を止め,コック13を閉じた。その
後コック7を閉じ,コック8を開け脱気ポンプ9を作動
させP2が150torrになるまでタンク内の気体圧力を
下げたのち,コック8を閉じてそのまま10分間保持し
た。その後タンク14の気体圧力を大気圧にし,塗液供
給タンク16の圧力も大気圧とし,弁15を開けた。塗
液はヘッド差によって脱気処理タンク14から塗液供給
タンク16へ流れ込み,ヘッド差がなくなり供給タンク
16がほぼ塗液で満たされた。弁15を閉じ供給タンク
16にはP1が2000mmAqの気体圧力をかけ,流量調
整弁を塗液流量が200cc/minになるよう調整し,ダイ
2に送り始めた。ダイ2からは初め塗液配管中の空気が
泡になって排出されたが,3分ほど放流すると泡が消え
安定化したので塗液流量のフィードバック制御を始め
た。ダイ2を移動させてフィルムに液膜を介して接触さ
せ,走行フィルム上に塗布を始めた。その際ダイ2の背
圧が変化し流量が一端下がったがフィードバック制御が
働きすぐに元の設定流量に戻り,塗布速度が100m/mi
n,厚み56μm,幅500mmのPETフィルム上にwet
で一定に連続して膜厚5μm,幅400mmの塗液を塗布
することができた。
【0032】塗液供給タンク16内の塗液残量が10リ
ットルを切ったところで前記と同様の操作で脱気処理タ
ンク14に塗液を送り,減圧脱気を行った。今度はコッ
ク7を開けて塗液供給タンク14に1900mmAqの気体
圧力をかけてコック15を開けて,供給タンク16から
ダイ2に塗液を供給しながら脱気処理タンク14から供
給タンク16へ塗液を追加した。供給タンク16の塗液
ヘッドの上昇によりダイからの吐出量が増加するとこ
ろ,フィードバック制御により一定の吐出量がキープさ
れ,wetで一定に連続して膜厚5μm,幅400mmの塗布
をキープすることができた。
【0033】[比較例1]図2に示すポンプを使用した
塗液供給系によってダイへの液送を行った以外は実施例
1と同様な条件で実験を行った。
【0034】 ポンプ:IBEX・ギアポンプ, H3=500mm まず弁47を閉じ脱気ポンプ44を動作させ,脱気処理
タンク46内の塗液45の減圧脱気を実施例1と同様の
条件で実施した。その後脱気処理タンク46の内部気体
圧力を大気圧にし,脱気タンク46内の塗液を大気圧の
塗液供給タンク48に送り,液送ポンプ49によって塗
液をダイ42に送りダイ内の塗液の一部を塗液帰還配管
53を通し塗液供給タンク48に戻した。この状態でP
ETフィルム41に塗布を開始し,約8時間ほど連続塗
布したところで塗液濾過手段50の精密濾過エレメント
にて圧損が大きくなり始め,流量計51で検出している
流量が徐々に減少しだした。液送ポンプ49の回転数を
上げていくと,ダイのスリット出口から泡が出始めダイ
筋が発生した。塗液タンク48の内部を見ると塗液帰還
流のため発泡が見られ,脱気の効果がポンプによる塗液
の循環によって消失していることが示された。また16
時間ほど連続塗布したところで液送ポンプ49のグラン
ドパッキン部分から塗液の漏れが発生し,塗布量が管理
幅下限を割ったため塗布を中断した。濾過エレメントを
観察したところポンプでのせん断で発生したと思われる
塗液のスカムが多数見られた。
【0035】[実施例2,3及び比較例2〜4]図1に
示す設備を用いて,減圧脱気の条件,液送圧力の条件を
変えて最適値を探索した。そのほかの条件は実施例1と
同様にして行った。その結果を表1に示す。
【0036】
【表1】
【0037】
【発明の効果】本発明によれば,高速域でもロールコー
ターのような筋欠陥がなく,塗液供給量の脈動による塗
布量の変動や,塗液の発泡,スカム化による筋欠陥を発
生しないダイ方式での長時間連続塗布が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による塗布装置の一つの形態を示す,全
体構成図である。
【図2】従来の塗布装置の一つの形態を示す,全体構成
図である。
【符号の説明】
2:ダイ 5,5’:空気圧レギュレータ 9:脱気ポンプ 11:塗液タンク 12:液送ポンプ 14:塗液脱気タンク 16:塗液供給タンク 17:塗液濾過手段 19:流量計 20:補助塗液濾過手段 21:流量制御装置 42:ダイ 44:脱気ポンプ 46:塗液脱気用気密タンク 48:塗液供給タンク 49:液送ポンプ 50:塗液濾過手段 51:流量計 52:補助塗液濾過手段 d:走行フィルムの走行方向

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 走行フィルムの少なくとも一方の表面に
    ダイコーターで塗液を連続的に塗布する塗布方法におい
    て,少なくとも2つ以上の気密タンクを使用し,この1
    つを塗液供給タンクとし,他のタンクを脱気処理タンク
    とし,これらタンク同士を途中に開閉器を有する配管で
    連結し,該開閉器を閉じた状態で塗液供給タンクに式
    (1)で示されるP1の気体圧力をかけて該タンク内の塗
    液を連続的にダイコーターに送り込み,一方脱気処理タ
    ンクに塗液を供給し,この内部の気体圧力を式(2)で示
    されるP2として5分以上60分未満保持して塗液の減
    圧脱気を行い,その後脱気処理したタンク内の気体圧力
    を式(3)に示されるP3とし,前記開閉器を開いて脱気
    した塗液を塗液供給タンクに送り込むことを特徴とする
    塗布方法。 【数1】H2<P1≦H2+2.0×104 [mmAq] (1) P2≦230 [torr] (2) P1-H1<P3≦P1+a [mmAq] (3) ここで,aは定数(0≦a≦2000[mmAq]),H1は減圧
    脱気を行う脱気処理タンクの底部の高さから塗液供給タ
    ンクの底部の高さを差し引いた値 [mm],H2は塗液供
    給タンクからダイコーターまでの塗液配管の最高高さか
    ら最低高さを差し引いた値 [mm]である。
  2. 【請求項2】 減圧脱気を行う脱気処理タンクの底部の
    高さから塗液供給タンクの底部の高さを差し引いた値H
    1が式(4)を満足するようにし,かつ塗液供給タンクか
    らダイコーターまでの塗液配管の最高高さから最低高さ
    を差し引いた値H2が式(5)を満足するようにタンクを
    配置したを特徴とする請求項1に記載の塗布方法。 【数2】0<H1<3000 [mm] (4) H1<H2<10000 [mm] (5)
  3. 【請求項3】 塗液供給タンクからダイコーターまでの
    塗液配管途中で塗液流量を計測し,所定流量になるよう
    に,塗液供給タンク内の気体圧力P1及び/または塗液
    供給タンクからダイコーターの間の塗液配管の圧力損失
    ヘッドを調整する請求項1または2に記載の塗布方法。
  4. 【請求項4】 塗液供給タンクにかける気体圧力の調整
    及び/または塗液供給タンクからダイコーターの間の塗
    液配管の圧力損失ヘッドの調整を自動制御で行う請求項
    3に記載の塗布方法。
  5. 【請求項5】 塗液供給タンクから塗液流量を計測する
    位置までの間で,塗液を絶対濾過精度5〜50μmの塗
    液濾過手段と,該塗液濾過手段の下流側に配置した絶対
    濾過精度0.5〜20μmの塗液濾過手段とで濾過する
    請求項1に記載の塗布方法。
  6. 【請求項6】 ダイコーターの直前で塗液を絶対濾過精
    度0.5〜20μmの補助塗液濾過手段で濾過する請求
    項1または5項に記載の塗布方法。
  7. 【請求項7】 ダイコーターを用いた塗布装置であっ
    て,少なくとも2つ以上の気密タンクを使用し,この1
    つを塗液供給タンクとし,他のタンクを脱気処理タンク
    とし,これらタンク同士を途中に開閉器を有する配管で
    連結し,塗液供給タンクに気体圧力調整手段を取付け,
    脱気処理タンクには気体圧力調整手段と気体排出手段を
    取付け,塗液供給タンクを塗液配管を通してダイコータ
    ーに接続し,塗液供給タンクからダイコーターまでの塗
    液配管途中に塗液の流量を計測する手段及び/又は該塗
    液配管での圧力損失ヘッドを調整する手段を設け,気体
    圧力調整手段の作用で塗液供給タンク内の塗液を安定か
    つ連続的にダイコーターに供給するようにし,脱気処理
    タンクで塗液の減圧脱気を行い,減圧脱気した塗液を塗
    液供給タンクに送り込むようにしたことを特徴とする走
    行フィルムに均一な塗液膜を連続的に形成する塗布装
    置。
  8. 【請求項8】 脱気処理タンクの底部の高さから塗液供
    給タンクの底部の高さを差し引いた値H1が式(4)を満
    足し,かつ塗液供給タンクからダイコーターまでの塗液
    配管の最高高さから最低高さを差し引いた値H2が式
    (5)を満足するようにタンクを配置した請求項7に記載
    の塗布装置。 【数3】0<H1<3000 [mm] (4) H1<H2<10000 [mm] (5)
  9. 【請求項9】 塗液供給タンクにかける気体圧力を調整
    する及び/または塗液供給タンクからダイコーター間の
    塗液配管の圧力損失ヘッドを調整する自動制御手段を備
    えている請求項7に記載の塗布装置。
  10. 【請求項10】 塗液供給タンクから塗液流量を計測す
    る位置までの間で,絶対濾過精度5〜50μmの塗液濾
    過手段を,その下流側に絶対濾過精度0.5〜20μm
    の塗液濾過手段を設けた請求項7に記載の塗布装置。
  11. 【請求項11】 塗液濾過手段を並列2系列とし,濾過
    した後塗液を合流するよう配管した請求項10に記載の
    塗布装置。
  12. 【請求項12】 ダイコーターの直前に絶対濾過精度
    0.5〜20μmの塗液濾過手段を設けた請求項7に記
    載の塗布装置。
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