JPH10127621A - X線コンピュータ断層撮影装置 - Google Patents

X線コンピュータ断層撮影装置

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JPH10127621A
JPH10127621A JP8290190A JP29019096A JPH10127621A JP H10127621 A JPH10127621 A JP H10127621A JP 8290190 A JP8290190 A JP 8290190A JP 29019096 A JP29019096 A JP 29019096A JP H10127621 A JPH10127621 A JP H10127621A
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scan
ray
scanning
computed tomography
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Hiroaki Miyazaki
博明 宮崎
Katsuyuki Taguchi
克行 田口
Yasuo Saito
泰男 斉藤
Tatsuro Suzuki
達郎 鈴木
Koichi Muraki
宏一 村木
Kazufumi Ihira
和史 伊平
Hiroshi Aradate
博 荒舘
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は被検体に造影剤を注入して撮影を行な
う場合に、撮影開始のタイミングにズレが生じることが
なく迅速且つ適切にスキャンを行ない得るX線コンピュ
ータ断層撮影装置を提供することを目的とする。 【解決手段】造影剤が注入された被検体の関心領域のC
T値を変化を監視し、当該CT値の変化に基づいて被検
体の検査部位のスキャン開始のタイミングを制御するた
めのモニタスキャンを行い、このモニタスキャンの制御
にしたがって検査部位をマルチスライススキャンする。
放射線検出器3は、複数の検出素子31が円周方向に沿
って配置されてなる検出器列が、体軸方向に沿って複数
配列された二次元検出器により構成されている。この二
次元検出器によれば、1度のスキャンで複数スライスの
投影データを同時に収集することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、X線コンピュータ
断層撮影装置に関し、例えば被検体への造影剤注入後に
おいて撮影領域のスキャンを開始するための最適なタイ
ミングを得るようしたX線コンピュータ断層撮影装置
(以下、「X線CT装置」と言う)に関する。
【0002】
【従来の技術】いわゆる造影検査において、点滴あるい
は血管注射によって被検体の血管内に注入された造影剤
は血流に乗って体内を移動し、目的臓器に達する。造影
剤が浸透する際の造影効果の有無もしくは程度の違いの
観察、造影部位の形状の観察等により病変又は臓器の異
常を発見することが可能になる。しかしながら、造影剤
は流動性を有しており血流に乗って迅速に移動し拡散す
るので、経過時間とともに目的臓器から流れ去ってしま
う。このため、造影剤の濃度が減少し造影効果が減少す
るという欠点がある。また、造影剤が目的の臓器に到達
するまでの所要時間や造影効果の程度には個人差があ
る。
【0003】目的臓器への造影剤の流入経路を異ならせ
て造影検査を行なうことがある。目的臓器への造影剤の
流入経路は、造影剤注入時からの経過時間により変化す
る。例えば、ある時間帯においては目的臓器は動脈から
流入する造影剤により造影され、また別の時間帯では目
的臓器は静脈からの造影剤の流入によって造影される。
造影剤の流入経路が異なると、たとえ同一臓器内であっ
ても造影される組織が異なってくる。この現象を利用し
て、臓器内の病変部を発見したり、病変部の性質を見極
める際に役立てることが行われている。
【0004】従来ではシングルスライスCT、すなわち
一度のスキャンで単一のスライス撮影が可能なCTを用
い、上述したような造影検査における撮影が行われてい
る。この場合に、造影剤注入後に最適なタイミングで撮
影を開始し、適切なデータを収集するために次のような
手法が採られている。
【0005】すなわち、造影剤が注入された被検体の関
心領域のCT値の変化をモニタスキャンにより監視し、
このCT値の変化に基づいて検査領域(検査目的とする
例えば臓器)のスキャン(ヘリカルスキャン)を開始す
るためのタイミングを得るようなスキャン制御を行う撮
影手法がある。モニタスキャンは、被検体のX線透過デ
ータを収集しながら同時に画像再構成を行ない、スキャ
ンを行いながら画像を動画的に表示するスキャン方法で
あって、ダイナミックスキャン又は透視スキャンと称さ
れている。
【0006】図12は、上記従来例に係るモニタスキャ
ンを行なう場合の配置図、図13は、上記ヘリカルスキ
ャンを行なう場合の配置図である。X線管1からスリッ
ト20を介し被検体に向けて曝射されたX線は、シング
ルスライスの放射線検出器90に入射する。モニタスキ
ャンにおいては、モニタ部位30に対するスキャンが行
われ、ヘリカルスキャンにおいては、検査部位40がス
キャンされる。
【0007】モニタスキャンにおいてCT値の変化を監
視する関心領域(モニタ部位30)は、図14に示すよ
うに、モニタスキャンの前に得られた断層像上でROI
マーカ等を用いて設定され、造影検査を行おうとする臓
器への造影剤の流入路(血管など)の領域が設定され
る。この関心領域と臓器との位置関係としては、両者が
体軸方向に離間して位置する場合、近接して位置する場
合がある。
【0008】被検体に造影剤を注入した直後において
は、関心領域には造影剤は流入していないためそのCT
値は低い。さらに時間が経過すると、造影剤が関心領域
に流入してCT値が変化(増加)する。この関心領域の
CT値が所定の閾値を超えると、検査領域である臓器に
も造影剤が流入していると考えられ、この時点で検査領
域のスキャンを開始するタイミング信号を発生するよう
にしている。したがって、造影剤が臓器に流入した最適
な時期に撮影を開始することができる。
【0009】上述したような造影検査における撮影手法
においては、次のような問題点がある。 (1)モニタスキャンするスライス位置と検査領域のス
ライス位置とが離れている場合、モニタスキャンを終了
した後に検査領域のスライス位置まで寝台(又は架台)
を移動させる必要があり、係る移動時間によってスキャ
ン開始のタイミングにズレ(遅れ)が生じるという問題
点がある。 (2)検査領域が比較的大きい場合は、ヘリカルスキャ
ンを行なっている。このヘリカルスキャンにおいては、
寝台速度(寝台の移動速度)が一定になってから投影デ
ータを収集する必要がある。しかしながら、図15に示
すように寝台速度を一定とするためには機構的な助走が
必要であり、上記(1)と同様にスキャン開始のタイミ
ングにズレが生じる。 (3)モニタスキャンを行っているスライス位置が撮影
したいスライス位置に含まれる又は近接する場合は、モ
ニタスキャンのスライス位置から検査領域の端の位置ま
で寝台を移動させ、当該スライス位置から折り返してス
キャンを行なう必要がある。この場合は、寝台を検査領
域の端に移動させるための所要時間により上記(1)と
同様にスキャン開始のタイミングにズレが生じる。特
に、ヘリカルスキャンを行なう場合は、所望のスライス
を再構成可能な程度に体軸方向に幅広くスキャンを行な
う必要がある。このため、折り返しまでの距離はより長
くなる。
【0010】ところで、モニタスキャンにおいて監視す
るCT値の閾値を、上記したような条件を考慮し、これ
を見越して設定するためには、かなりの経験を要し困難
を極める。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、検査
領域のスキャン開始のタイミングが与えられた時点か
ら、実際にスキャンが開始されるまでの時間にズレが生
じるという問題点がある。このような時間のズレは、迅
速且つ適切に検査を行なうためにも抑制する必要があ
る。
【0012】本発明の目的は、被検体の関心領域のCT
値の変化を監視し、このCT値の変化に応じて撮影開始
のタイミングにズレが生じることがなく迅速且つ適切に
スキャンを行ない得るX線コンピュータ断層撮影装置を
提供することを目的とする。
【0013】また、本発明の他の目的は、被検体の関心
領域のCT値の変化を監視し、このCT値の変化に応じ
て撮影を行なう場合に、被検体に対し不必要なX線が曝
射されることが無く、被曝の低減を図り得るX線コンピ
ュータ断層撮影装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
(1)本発明のX線コンピュータ断層撮影装置は、被検
体の関心領域のCT値の変化を監視し、当該CT値の変
化に基づいて、前記被検体の撮影領域のスキャンを開始
するタイミングを制御するスキャン制御手段と、前記ス
キャン制御手段による制御に従い、前記被検体の体軸方
向に所定の幅を有する領域で前記撮影領域をスキャンす
るスキャン手段と、を具備する。 (2)本発明のX線コンピュータ断層撮影装置は、上記
(1)に記載の装置であって、且つ前記スキャン制御手
段は、前記被検体に対する造影剤の注入によるCT値の
変化を監視することを特徴とする。 (3)本発明のX線コンピュータ断層撮影装置は、上記
(1)に記載の装置であって、且つ前記スキャン制御手
段は、ダイナミックスキャン又は透視スキャンを含むモ
ニタスキャンにより前記被検体の関心領域のCT値の変
化を監視することを特徴とする。 (4)本発明のX線コンピュータ断層撮影装置は、上記
(1)に記載の装置であって、且つ前記スキャン手段
は、複数スライスの断層像を同時に収集可能な二次元検
出器によりマルチスライススキャンを行ない、前記スキ
ャン制御手段は、前記二次元検出器の一部の検出器列を
用いて前記モニタスキャンを行なうことを特徴とする。 (5)本発明のX線コンピュータ断層撮影装置は、上記
(3)又は(4)に記載の装置であって、且つ前記モニ
タスキャンは、前記スキャン手段によるスキャン時より
も低いX線量により行われることを特徴とする請求項3
又は4に記載のX線コンピュータ断層撮影装置。 (6)本発明のX線コンピュータ断層撮影装置は、上記
(5)に記載の装置であって、且つ前記二次元検出器の
一部のスライスのみにX線が曝射されるように該X線の
一部を遮へいするX線遮へい手段をさらに具備すること
を特徴とする。 (7)本発明のX線コンピュータ断層撮影装置は、上記
(6)に記載の装置であって、且つ前記X線遮へい手段
は、前記X線を曝射するX線管の焦点を含むX線パスを
中心軸として左右非対象に運動可能であることを特徴と
する。 (8)本発明のX線コンピュータ断層撮影装置は、上記
(1)に記載の装置であって、且つ前記CT値の変化に
対する閾値を設定する閾値設定手段をさらに具備し、前
記スキャン制御手段は、前記閾値設定手段により設定さ
れた閾値に基づいて前記被検体の撮影領域のスキャンを
開始することを特徴とする。 (9)本発明のX線コンピュータ断層撮影装置は、上記
(1)に記載の装置であって、且つ前記CT値の変化を
操作者に対して報知する報知手段と、前記報知手段によ
る報知に基づく前記操作者からの指示を入力する入力手
段とをさらに具備し、前記スキャン制御手段は、前記入
力手段により入力された操作者からの指示に応じて前記
被検体の撮影領域のスキャンを開始することを特徴とす
る。 (10)本発明のX線コンピュータ断層撮影装置は、上
記(1)に記載の装置であって、且つ前記被検体のスキ
ャノグラム又は三次元画像を収集し、このスキャノグラ
ム又は三次元画像に基づいて、前記被検体の撮影領域を
設定する撮影領域設定手段をさらに具備し、前記スキャ
ン手段は、前記撮影領域設定手段により設定された撮影
領域をスキャンすることを特徴とする。 (11)本発明のX線コンピュータ断層撮影装置は、上
記(1)に記載の装置であって、且つ前記スキャン手段
によるスキャン結果を画像処理することにより、特定ス
ライスの断層像をスキャンとほぼ同時に再構成する再構
成手段と、前記再構成手段により再構成された断層像を
表示する表示手段と、前記表示手段の表示内容に基づく
前記操作者からの指示により、前記撮影領域を変更する
撮影領域変更手段とをさらに具備することを特徴とす
る。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明
の実施形態を説明する。本実施形態においては、以下の
ように検出器の種別及びスキャンの仕方がそれぞれ異な
るX線CT装置の複数の実施形態を説明する。
【0016】(第1実施形態)…検出器A+全幅モニタ
スキャン+全幅ヘリカルスキャン (第2実施形態)…検出器A+絞りモニタスキャン+全
幅ヘリカルスキャン (第3実施形態)…検出器B+全幅モニタスキャン+全
幅コンベンショナルスキャン (第4実施形態)…検出器B+絞りモニタスキャン+絞
りコンベンショナルスキャン (第5実施形態)…検出器B+絞りモニタスキャン+絞
りヘリカルスキャン なお、上記検出器Aは体軸(セグメント)方向の幅が比
較的狭い二次元検出器、検出器Bは同方向の幅が比較的
広い二次元検出器である。 (第1実施形態)…検出器A+全幅モニタスキャン+全
幅ヘリカルスキャン 図1は本発明の第1実施形態に係るX線CT装置のハー
ドウェア構成を概略的に示すブロック図である。本実施
形態のX線CT装置は、X線管1、架台・寝台2、放射
線検出器3、X線制御・高電圧発生装置4、架台・寝台
駆動制御装置5、データ収集装置6、データ記憶装置
7、画像再構成装置8、CPU9、画像記憶装置10、
画像処理装置11、画像表示部12、操作部13から構
成されている。
【0017】X線管1から曝射されたX線は、寝台2上
に載置された被検体を透過して減弱したのち放射線検出
器3に到達する。放射線検出器3は、この透過X線を検
出してデータ収集装置6に出力する。データ収集装置6
は、放射線検出器3からの出力信号を処理することによ
り投影データを作成する。この投影データは画像再構成
装置8に出力される。画像再構成装置8は、投影データ
に対し再構成演算処理を施して被検体の断層像を再構成
する。再構成により得られた断層像は、CPU9を介し
て画像記憶装置10に記憶される。又は、画像処理装置
11により種々の画像処理が施された後、画像表示部1
2において表示に供される。
【0018】また、本実施形態のX線CT装置は、スキ
ャノグラム撮影が行なえるように構成されている。この
スキャノグラムは、X線管1と放射線検出器3とを定位
置に固定させた状態において寝台2を移動させながらX
線の曝射及びデータ収集を繰り返すことにより得られ
る。
【0019】図2は、放射線検出器3の構成を概略的に
示す斜視図である。放射線検出器3は、複数の検出素子
31が円周方向(チャンネル方向)に沿って配置されて
なる検出器列が、体軸方向(スライス、又はセグメン
ト)に沿って複数配列された二次元検出器により構成さ
れている。この二次元検出器によれば、被検体の体軸方
向に所定の幅を有する領域(すなわち二次元の検出領
域)により検査部位のスキャンできる。ちなみに、この
放射線検出器3は、セグメント方向の幅が比較的狭い二
次元検出器Aから成る。
【0020】このような放射線検出器を用い、1度のス
キャンで複数スライスの投影データを同時に収集するよ
うなスキャン方法を「マルチスライススキャン」と称す
る。なお、特にスライス幅を考慮しない場合は、「ボリ
ュームスキャン」と称する。
【0021】本実施形態のX線CT装置は、上述したよ
うな被検体の造影検査に用いられ、造影剤が注入された
被検体の関心領域のCT値の変化を監視し、当該CT値
の変化に基づいて被検体の検査部位(臓器)のスキャン
開始のタイミングを制御するためのモニタスキャンを行
い、このモニタスキャンの制御にしたがって検査部位を
マルチスライススキャンするように構成されている。
【0022】モニタスキャンは、被検体のX線透過デー
タを収集しながら同時に画像再構成を行ない、スキャン
を行いながら画像を動画的に表示するスキャン方法であ
って、ダイナミックスキャン又は透視スキャンである。
またモニタスキャンにおいて被検体の関心領域のCT値
の変化を監視する。この関心領域は、モニタスキャンの
事前の撮影によって得られた断層像上でROIマーカ等
を用いて設定され、造影検査を行おうとする検査部位へ
の造影剤の流入路(血管など)の領域が設定される。関
心領域と検査部位との位置関係としては、両者が体軸方
向に離間して位置する場合を想定する。また、モニタス
キャンは被曝低減のため最小限のX線量において行われ
る。モニタスキャンにおける画像再構成は、シングルス
ライススキャンに係るファンビーム再構成法、マルチス
ライススキャン又はボリュームスキャン等に係る3次元
再構成法が適用される。
【0023】なお、このようなモニタスキャンに係り、
現実的な装置においてはスキャンデータの収集後におい
て画像再構成処理、CRT表示処理、そして関心領域の
CT値の計算からなる3つの処理時間を必要とする。
【0024】図3は、本実施形態においてモニタスキャ
ンを行っている様子を示す図である。X線管1からは略
四角錘状のX線ビームがスリット20を介して被検体に
向けて曝射される。このX線ビームのパス内にはモニタ
部位30が含まれている。また、被検体を透過したX線
ビームは二次元検出器Aの全面に入射する。これにより
全幅モニタスキャンが行われる。
【0025】なお、図3に示すようにモニタ部位30と
検査部位40とが離間している場合は、検出器Aの体軸
方向の端部のスライス位置においてモニタ部位30が検
出されるモニタスキャンを行う。検査開始の信号が発せ
られると、図4に示すようにヘリカルスキャンを開始す
る。この場合、ヘリカルスキャンに必要な機構的な助走
距離を検出器Aの幅によってカバーできるので、寝台を
Uターンさせる必要がなく、迅速且つ適切に検査部位の
スキャンを開始できる。なお、検査部位40が検出器A
の幅内に収まる程度に小さい場合は、ヘリカルスキャン
を行う必要はないので、コンベンショナルスキャンを行
なう。なお、コンベンショナルスキャンは、寝台及び架
台の両者の体軸方向の相対的な移動を伴わないスキャン
方法である。
【0026】なお、上記検査部位のスキャンによる特定
スライスのスキャン結果を画像処理することにより、こ
の特定スライスの断層像をスキャンとほぼ同時に再構成
し、この断層像を表示部12によって表示し、この表示
画像上において、検査部位の撮影領域を変更する撮影領
域変更手段を備えても良い。これにより、任意の時点に
おいて撮影領域を変更可能になる。
【0027】図5は、経過時間に応じた関心領域のCT
値の変動を示すグラフである。目的臓器への造影剤の流
入経路は、造影剤注入時からの経過時間により変化す
る。例えば、ある時間帯において目的臓器は動脈から流
入する造影剤により造影され(動脈相)、また別の時間
帯において目的臓器は静脈からの造影剤の流入により造
影される(静脈相)。後述する検査スキャン(ヘリカル
スキャン)は、動脈相及び静脈相の両者又は少なくとも
一方の時相において実施される。本実施形態においては
スキャン所要時間を考慮して高々2、3相とするが、高
速スキャンを実現可能な場合には5〜10相のマルチフ
ェーズ(多相)にすると良い。この場合臓器の機能診断
に有利となる可能性がある。
【0028】図6は以上のように構成された本実施形態
の動作を示すフローチャートである。先ずステップS1
において、被検体のスキャノグラム撮影が行なわれる。
この場合の撮影範囲は、少なくとも、続くステップにお
いてモニタスキャンする部位及び検査部位の両者を含む
程度に幅広く設定される。なお、スキャノグラム撮影の
代わりに、管電流を低く抑えてボリュームスキャンを行
うようにしても良い。
【0029】ところで、ボリュームスキャンを行なう場
合は、画像処理装置11により被検体の三次元画像(3
D像)を得るように構成しても良い。当該三次元画像を
用いることにより、立体的なROIを設定することが可
能となる。これにより、ある断面だけでなく、体軸方向
に幅の広い領域をROIとして設定すること可能とな
る。具体的には、血管のような円柱体をROIとして設
定することが可能となる。
【0030】次にステップS2において、モニタスキャ
ンを行なうスライス位置が指定されるとともに、当該ス
ライス位置がスキャンされて断層像(モニタ像)が再構
成される。次にステップS3において、CT値の変化を
監視(モニタ)する関心領域(ROI)が、前ステップ
で得られた断層像上において設定される。これは、操作
者がROIマーカ等を用いて表示画面上において設定す
るようにしても良いし、いわゆる輪郭抽出処理等による
自動設定としても良い。そして、設定された関心領域に
おけるCT値の閾値が指定される。この閾値は、検査部
位のスキャンを開始するタイミングを与えるものであ
る。
【0031】次に、ステップS4において、検査部位の
撮影範囲が上記ステップS1で撮影されたスキャノグラ
ム上に基づいて指定される。そしてステップS5〜S7
においてモニタスキャンが行われる。モニタスキャン
は、ステップS5において医師が被検体に造影剤を注入
すると同時に開始される。ステップS6において上記R
OIを含むモニタスライスが再構成される。ステップS
7において、ROIのCT値が閾値を超えたか否かが判
定される。
【0032】CT値が閾値を超えたことが判定される
と、モニタスキャンを終了してステップS8に移行す
る。ステップS8では、先に指定された検査部位の領域
がヘリカルスキャンされる。ヘリカルスキャンが完了し
た後、検査が終了する。
【0033】ところで、上記ヘリカルスキャンを行うに
当たっては、本実施形態では単一のスライスのみしか撮
影し得ない一次元検出器ではなく、二次元検出器Aを用
いてスキャン(マルチスライススキャン)するように構
成されている。このため、機械的又は再構成的な助走距
離を考慮して離れた位置でモニタスキャンを実施して
も、迅速且つ適切に検査部位のヘリカルスキャンを開始
することができる。
【0034】なお、モニタ部位30と検査部位40との
位置関係に応じて、検出器Aの体軸方向のどの検出器列
を利用するかを可変として構成しても良い。以上説明し
たように第1実施形態によれば、迅速且つ適切に検査部
位のスキャンを行える。 (第2実施形態)…検出器A+絞りモニタスキャン+全
幅ヘリカルスキャン 次に、本発明の第2実施形態を説明する。第1実施形態
では全幅モニタスキャンを行なったが、本実施形態にお
いては、絞りモニタスキャンを行なう点において第1実
施形態と異なっている。
【0035】図7は、第2実施形態に係るモニタスキャ
ンの様子を示す図である。モニタスキャンを行う際に、
スリット20により被検体のモニタスライス(モニタ部
位30を含むスライス)のみにX線が照射されるように
構成されている。すなわち、モニタスキャン時におい
て、データとして使用されることのない検出器列に向け
て曝射されるX線はスリット20により遮蔽される。
【0036】このような第2実施形態によれば、第1実
施形態と同様に、迅速且つ適切にスキャンを行える上、
モニタスキャン時における被検体に対する不必要な被曝
を防止できる。 (第3実施形態)…検出器B+全幅モニタスキャン+全
幅コンベンショナルスキャン 次に、本発明の第3実施形態を説明する。第1又は第2
実施形態では、体軸方向の幅が比較的狭い二次元検出器
Aを用いたが、本実施形態においては、同方向の幅が比
較的広い二次元検出器Bを用いる。
【0037】図8は、体軸方向にかなり幅の広い二次元
検出器Bを用いて、モニタスキャンを行っている様子を
示す図である。本実施形態では、図8に示されるよう
に、モニタスキャンにおいて、モニタ部位30と検査部
位40の両者を含む広い領域にX線が曝射される。この
場合のデータ収集は、原則として全領域について同時に
収集する。また、本実施形態では第1又は第2実施形態
のようにヘリカルスキャンを行わず、コンベンショナル
スキャンを行う。
【0038】このような第3実施形態によれば、モニタ
スキャン開始から検査終了、すなわちコンベンショナル
スキャンの終了まで、全領域をスキャンし続けられるの
で、寝台2の移動に伴うスキャン開始のタイミングのず
れが生じることがない。ここでは、検査過程において単
にROIのCT値が閾値を超えたか否かを判定してコン
ベンショナルスキャンに切り替えれば良い。また、RO
IのCT値が所定値を下回った時点で検査を終了すれば
よい。すなわち、検査開始と同様に、あらかじめ検査終
了のCT値の閾値を設定しておき、自動的に検査を終了
しても良い。先に述べたように、モニタスキャン時は被
曝を低減するようにX線量を抑えてスキャンするように
構成されるので、通常スキャンを行なう場合に比べてメ
リットがある。
【0039】なお、モニタスキャンは、被検体内部の時
間変化を監視しなければならないので、かなりのデータ
収集速度が要求される。データ収集装置6の能力如何に
よっては、スキャンと同時に投影データを収集すること
が困難な場合も考慮される。この場合は、モニタ部位3
0のみのデータ収集を行なうように構成しても良い。そ
して、ROIのCT値が閾値を超えた時点で検査領域の
データ収集を開始する。
【0040】コンベンショナルスキャン時に発生するデ
ータ量が膨大となり、データ収集部6の処理能力が追い
つかない場合は、スキャン速度を低下させる。また、収
集されたデータの再構成も同様に、モニタスキャン時及
び検査時も常に全領域を再構成し続けても良いし、画像
再構成装置8の能力に合わせて、モニタスキャン時に
は、モニタ領域を再構成し、検査スキャン時には、検査
領域のみを再構成するようにしても良い。この場合、領
域に応じて再構成方法が切り替わるように構成しても良
い。例えば、狭い領域にはファンビーム再構成法又は特
殊な再構成法が適用され、広い領域にはFeldKam
p法又は3次元再構成法又は特殊な再構成法が適用され
るようにしても良い。
【0041】このような第3実施形態によれば、モニタ
スキャンからコンベンショナルスキャンにスキャンに切
り替わる際の時間のズレが殆ど生じることがなく、迅速
且つ適切にスキャンを行える。 (第4実施形態)…検出器B+絞りモニタスキャン+絞
りコンベンショナルスキャン 次に、本発明の第4実施形態を説明する。
【0042】実施例3 図9は、検出器Bを用いてモニタスキャンを行っている
様子を示す図である。本実施形態においては、モニタス
キャンを行っている最中は、モニタ部位30のみにX線
が曝射され、検査スキャン(ここではコンベンショナル
スキャン)を行っている最中は、検査部位40のみにX
線が曝射されるようにX線の曝射制御が行われるように
構成されている。すなわち、スリット20の開口幅の制
御が行われる。モニタ部位30のCT値が閾値を超える
までは、検査部位40に向けて曝射されるX線はスリッ
ト20により遮蔽される。これにより、被検体に対する
不要なX線被曝を防止できる。図10は、ROIのCT
値が閾値を超過し、検査スキャンを行っている様子を示
す図である。検査開始の信号と同時に、あらかじめ設定
された検査部位にX線が照射されるようにスリットの開
口幅が変化する。すなわち、図中矢印S方向に向けてス
リット20の開口部が広がる。ちなみに、スリット20
は、X線を曝射するX線管1の焦点を含むX線パスを中
心軸として左右非対象に運動可能なように構成されてい
る。
【0043】このような第4実施形態によれば、モニタ
スキャンからコンベンショナルスキャンにスキャンに切
り替わる際の時間のズレが殆ど生じることがなく、迅速
且つ適切にスキャンを行える上、被検体に対する不必要
なX線被曝を防止することができる。 (第5実施形態)…検出器B+絞りモニタスキャン+絞
りヘリカルスキャン 次に、本発明の第5実施形態を説明する。本実施形態は
第4実施形態の変形例に関する。
【0044】図11は、検出器Bの検出器列の一部を利
用し、ヘリカルスキャンによる検査を行っている様子を
示す図である。現在、主流となっている再構成方法によ
れば、体軸方向に幅広くデータを収集するよりも、検出
幅を狭くしてヘリカルスキャンによってデータを収集し
た方が画質が良い場合がある。また、全体のデータが膨
大になる場合、又は検出器ピッチもしくはデータ収集系
の都合により検出幅を狭くした方が有利な場合がある。
その他にも、検査領域が不確定な場合など、検査領域を
ヘリカルスキャンして再構成し、画像を確認しながら必
要と思われる検査領域のデータを収集し終わった時点で
検査を終了させるように構成しても良い。
【0045】以上のような様々な条件に応じて、本実施
形態においては、体軸方向に比較的幅の広い二次元検出
器Bを用いる場合において、敢えてヘリカルスキャンを
実施する。
【0046】このような第5実施形態によれば、第4実
施形態と同様に、モニタスキャンからコンベンショナル
スキャンにスキャンに切り替わる際の時間のズレが殆ど
生じることがなく、迅速且つ適切にスキャンを行える
上、被検体に対する不必要なX線被曝を防止することが
でき、さらに、高画質の検査画像が得られる。 (変形例)本発明は上述した実施形態に限定されず、種
々変形して実施可能である。例えば、上述した実施形態
は、造影検査、すなわち被検体に造影剤を注入して画像
撮影を行なうものであったが、造影剤を用いない場合の
撮影にも本発明は適用可能である。また、造影剤による
CT値の変化を監視する構成について説明したが、モニ
タスキャンにより得られた画像に輪郭抽出等の画像処理
を施し、これにより被検体の動きをモニタし、このモニ
タ結果に基づいて検査領域のスキャンを開始するような
スキャン手順を構築しても良い。この場合は、被検体の
呼吸の状態、あるいは対象物の動態をダイナミックスキ
ャン等でモニタし、これらが撮影に適した状態になった
時点、又は遅くともスキャン中には適した状態になると
思われる時点で検査スキャンを開始する。被検体の特定
の動態に伴って繰り返し発生する症例や、特定の呼吸位
置でのみ観察しやすい病変等をとらえる場合に有効とな
る。
【0047】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
X線CTの検査において、モニタスキャンによって検査
のためのスキャン開始のタイミング信号が発せられた時
点から、実際に検査領域のスキャンが開始されるまでの
時間の遅れを減少することができる。これによって、検
査開始のタイミング信号を与えるCT値の閾値の設定が
より容易なものとなり、最適なタイミングで迅速に検査
を行える。
【0048】また、モニタスキャン時に二次元検出器の
1部のスライスのみにX線が曝射されるように構成され
ているので、被検体に対する不必要なX線被曝を防止す
ることができる。また、被検体のある状態をモニタして
おき、その状態をトリガとして常に同じ状態の被検体を
繰り返し検査可能となるため、検査効率を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係るX線コンピュータ
断層撮影装置のハードウェア構成を示すブロック図。
【図2】本発明の第1実施形態に係るX線コンピュータ
断層撮影装置において用いられる二次元検出器の構成を
模式的に示す斜視図。
【図3】本発明の第1実施形態に係るX線コンピュータ
断層撮影装置においてモニタスキャンを行っている様子
を示す図。
【図4】本発明の第1実施形態に係るX線コンピュータ
断層撮影装置において検査部位のヘリカルスキャンを行
っている様子を示す図。
【図5】本発明の第1実施形態に係るX線コンピュータ
断層撮影装置において経過時間に対する関心領域のCT
値の変動を示すグラフ。
【図6】本発明の第1実施形態に係るX線コンピュータ
断層撮影装置の動作を示すフローチャート。
【図7】本発明の第2実施形態に係るX線コンピュータ
断層撮影装置においてモニタスキャンを行っている様子
を示す図。
【図8】本発明の第3実施形態に係るX線コンピュータ
断層撮影装置においてモニタスキャンを行っている様子
を示す図。
【図9】本発明の第4実施形態に係るX線コンピュータ
断層撮影装置においてモニタスキャンを行っている様子
を示す図。
【図10】本発明の第4実施形態に係るX線コンピュー
タ断層撮影装置において検査部位のコンベンショナルス
キャンを行っている様子を示す図。
【図11】本発明の第5実施形態に係るX線コンピュー
タ断層撮影装置において検査部位のヘリカルスキャンを
行っている様子を示す図。
【図12】従来例に係り、モニタスキャンを行っている
様子を示す図。
【図13】従来例に係り、検査部位のヘリカルスキャン
を行っている様子を示す図。
【図14】従来例に係り、CT値のモニタ領域を示す
図。
【図15】従来例に係り、経過時間に対する寝台速度の
変化を示すグラフ。
【符号の説明】
1…X線管 2…架台・寝台 3…放射線検出器 4…X線制御・高電圧発生装置 5…架台・寝台駆動制御装置 6…データ収集装置 7…データ記憶装置 8…画像再構成装置 9…CPU 10…画像記憶装置 11…画像処理装置 12…画像表示部 13…操作部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 達郎 栃木県大田原市下石上1385番の1 株式会 社東芝那須工場内 (72)発明者 村木 宏一 栃木県大田原市下石上1385番の1 株式会 社東芝那須工場内 (72)発明者 伊平 和史 栃木県大田原市下石上1385番の1 株式会 社東芝那須工場内 (72)発明者 荒舘 博 栃木県大田原市下石上1385番の1 株式会 社東芝那須工場内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被検体の関心領域のCT値の変化を監視
    し、当該CT値の変化に基づいて、前記被検体の撮影領
    域のスキャンを開始するタイミングを制御するスキャン
    制御手段と、 前記スキャン制御手段による制御に従い、前記被検体の
    体軸方向に所定の幅を有する領域で前記撮影領域をスキ
    ャンするスキャン手段と、 を具備することを特徴とするX線コンピュータ断層撮影
    装置。
  2. 【請求項2】 前記スキャン制御手段は、前記被検体に
    対する造影剤の注入によるCT値の変化を監視すること
    を特徴とする請求項1に記載のX線コンピュータ断層撮
    影装置。
  3. 【請求項3】 前記スキャン制御手段は、ダイナミック
    スキャン又は透視スキャンを含むモニタスキャンにより
    前記被検体の関心領域のCT値の変化を監視することを
    特徴とする請求項1に記載のX線コンピュータ断層撮影
    装置。
  4. 【請求項4】 前記スキャン手段は、複数スライスの断
    層像を同時に収集可能な二次元検出器によりマルチスラ
    イススキャンを行い、前記スキャン制御手段は、前記二
    次元検出器の一部の検出器列を用いてモニタスキャンを
    行なうことを特徴とする請求項1に記載のX線コンピュ
    ータ断層撮影装置。
  5. 【請求項5】 前記モニタスキャンは、前記スキャン手
    段によるスキャン時よりも低いX線量により行われるこ
    とを特徴とする請求項3又は4に記載のX線コンピュー
    タ断層撮影装置。
  6. 【請求項6】 前記二次元検出器の一部のスライスのみ
    にX線が曝射されるように該X線の一部を遮へいするX
    線遮へい手段をさらに具備することを特徴とする請求項
    5に記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
  7. 【請求項7】 前記X線遮へい手段は、前記X線を曝射
    するX線管の焦点を含むX線パスを中心軸として左右非
    対象に運動可能であることを特徴とする請求項6に記載
    のX線コンピュータ断層撮影装置。
  8. 【請求項8】 前記CT値の変化に対する閾値を設定す
    る閾値設定手段をさらに具備し、 前記スキャン制御手段は、前記閾値設定手段により設定
    された閾値に基づいて前記被検体の撮影領域のスキャン
    を開始することを特徴とする請求項1に記載のX線コン
    ピュータ断層撮影装置。
  9. 【請求項9】 前記CT値の変化を操作者に対して報知
    する報知手段と、 前記報知手段による報知に基づく前記操作者からの指示
    を入力する入力手段とをさらに具備し、 前記スキャン制御手段は、前記入力手段により入力され
    た操作者からの指示に応じて前記被検体の撮影領域のス
    キャンを開始することを特徴とする請求項1に記載のX
    線コンピュータ断層撮影装置。
  10. 【請求項10】 前記被検体のスキャノグラム又は三次
    元画像を収集し、このスキャノグラム又は三次元画像に
    基づいて、前記被検体の撮影領域を設定する撮影領域設
    定手段をさらに具備し、 前記スキャン手段は、前記撮影領域設定手段により設定
    された撮影領域をスキャンすることを特徴とする請求項
    1に記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
  11. 【請求項11】 前記スキャン手段によるスキャン結果
    を画像処理することにより、特定スライスの断層像をス
    キャンとほぼ同時に再構成する再構成手段と、 前記再構成手段により再構成された断層像を表示する表
    示手段と、 前記表示手段の表示内容に基づく前記操作者からの指示
    により、前記撮影領域を変更する撮影領域変更手段とを
    さらに具備することを特徴とする請求項1に記載のX線
    コンピュータ断層撮影装置。
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