JPH1012567A - 3族窒化物半導体の電極及びその電極を有した素子 - Google Patents

3族窒化物半導体の電極及びその電極を有した素子

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JPH1012567A
JPH1012567A JP17855596A JP17855596A JPH1012567A JP H1012567 A JPH1012567 A JP H1012567A JP 17855596 A JP17855596 A JP 17855596A JP 17855596 A JP17855596 A JP 17855596A JP H1012567 A JPH1012567 A JP H1012567A
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潤一 梅崎
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慎也 浅見
Shiro Yamazaki
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Masanori Murakami
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    • H01L29/43Electrodes ; Multistep manufacturing processes therefor characterised by the materials of which they are formed
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Abstract

(57)【要約】 【課題】3族窒化物半導体に対する電極において、オー
ミック性の改善、低抵抗化、高温特性の安定を図る。 【解決手段】第2コンタクト層72の上にNiから成る厚
さ25Åの第1電極層81が形成され、その第1電極層8
1の上にTaから成る厚さ60Åの第2電極層82が形成さ
れている。この第1電極層81と第2電極層82とでp
型GaN に対する電極層8が構成される。一方、n+ 層3
上には厚さ100 ÅのTaから成る第1金属層11が形成さ
れ、その第1金属層11の上には厚さ3000ÅのAlから成
る第2金属層12が形成されている。この第1金属層1
1と第2金属層12とで、電極パッド10が形成されて
いる。この構成により、p層、n層の電極は、低抵抗で
且つオーミック性が向上し、高温領域で電気的特性が安
定した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、p伝導形又はn伝導形
3族窒化物半導体に対する電極、その電極を有した3族
窒化物半導体素子に関する。特に、接触抵抗を低下さ
せ、オーミック性を改善した電極に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、3族窒化物半導体は、エネルギー
禁制帯幅が広いため、短波長の発光素子として用いられ
たり、600℃以上で動作可能な高温環境用素子として
注目されている。このような素子を実現するには、高温
での熱安定性が要求され、3族窒化物半導体の基板材料
や電極材料の耐熱性の向上が必要である。
【0003】現在のところ、p伝導形 GaN(p-GaN)の電
極として、ニッケル(Ni)の単層、又は、ニッケル(Ni)と
金(Au)の2重層を GaN層表面に蒸着したものが知られて
いる。又、n伝導形 GaN(n-GaN)の電極として、アルミ
ニウム(Al)の単層、又は、チタン(Ti)とアルミニウム(A
l)の2重層又はTiとAlの合金をGaN 層表面に蒸着したも
のが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記構成のp
伝導形3族窒化物半導体の電極も、n伝導形3族窒化物
半導体の電極も、いまだ、接触抵抗が大きく、オーミッ
ク性も良くなく、素子を形成する場合の電極として望ま
しいものではなかった。又、これらの電極は、400℃
位までは熱的安定性があり接触抵抗も小さいが、800
℃以上となると、接触抵抗が2桁程大きくなる。Niをp
伝導形3族窒化物半導体の電極とした場合に、熱処理温
度と接触抵抗との関係を図4に示す。図4から分かるよ
うに、800℃の接触抵抗は、最低の接触抵抗が得られ
る400℃の時の値の200倍程度となっている。
【0005】従って本発明の目的は、p伝導形、又は、
n伝導形3族窒化物半導体に対する電極において、より
オーミック性を改善し、接触抵抗を小さくすると共に、
高温での電気的特性を改善することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明では、3
族窒化物半導体と700℃以上の高温でのみ反応する融
点2400℃以上の高融点金属を3族窒化物半導体上に
形成し、700℃以上の温度で熱処理して電極としたこ
とから、Ni単層の電極に比べて、接触抵抗が低く、オー
ミック性が改善され、且つ、高温特性に優れた電極が得
られた。
【0007】請求項2の発明では、電極を、仕事関数が
大きく、400℃以下において3族窒化物半導体の表面
層と反応する金属元素で構成された第1金属層と、その
第1金属層の上に形成され、3族窒化物半導体とは70
0℃以上の高温でのみ反応する融点2400℃以上の高
融点金属元素で構成された第2金属層とで構成した結
果、Ni単層の電極に比べて、接触抵抗が低く、オーミッ
ク性が改善され、且つ、高温特性に優れた電極が得られ
た。
【0008】請求項3の発明では、高融点金属を、タン
タル(Ta), タングステン(W),ニオブ(Nb)のうち少なくと
も1種の元素とすることで、請求項4の発明では、第1
金属層の構成元素を、ニッケル(Ni), パラジウム(Pd),
白金(Pt),コバルト(Co)のうち少なくとも一種の元素で
あり、第2金属層の構成元素は、タンタル(Ta), タング
ステン(W),ニオブ(Nb)のうち少なくとも1種の元素とす
ることで、いずれも、Ni単層の電極に比べて、接触抵抗
が低く、オーミック性が改善され、且つ、高温特性に優
れた電極が得られた。
【0009】請求項5の発明では、3族窒化物をp伝導
形半導体とし、請求項6の発明では、3族窒化物をp伝
導形半導体とし、第1金属層の構成元素を、Niとし、第
2金属層の構成元素はTaとしたので、p伝導形3族窒化
物に対するNi単層の電極に比べて、接触抵抗が低く、オ
ーミック性が改善され、且つ、高温特性に優れた電極が
得られた。請求項7の発明では、電極が700℃以上の
温度で熱処理されていることから、接触抵抗が確実に低
下し、且つ、高温特性の優れた電極を得ることができ
た。
【0010】請求項8の発明では、3族窒化物はn伝導
形半導体とし、請求項9の発明では、高融点金属を、タ
ンタル(Ta)としたことで、n伝導形3族窒化物半導体に
対しても、確実に、接触抵抗が小さく、オーミック性の
良好な電極を得ることができた。又、請求項10の発明
では、さらに、電極の表面層として、金(Au)、又は、ア
ルミニウム(Al)からなる金属層を形成したことで、さら
に、電極の抵抗を低下させることができた。
【0011】上記の電極は、請求項11の発明のよう
に、発光ダイオード、レーザダイオード、又は、トラン
ジスタ等の素子に用いることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体的な実施例に
基づいて説明する。なお本発明は下記実施例に限定され
るものではない。本実施例では、電極金属の半導体上へ
の積層は、スパッタリング蒸着法、電子ビーム蒸着法、
抵抗加熱法により行った。
【0013】p伝導形のGaN の上に、Al,Ta,Zn,In,Ti,C
r,Cu,Au,Pd,Ni を、それぞれ、蒸着して、接触抵抗を測
定した。尚、以下の図3、図4、図4、図6において、
測定された接触抵抗R0 は、8μmの間隔を持った電極
間において、±0.1Vを印加した時に測定した抵抗値
である。抵抗R0 =1×103 Ω、接触抵抗率ρc =1×
10-2Ωcm2 に対応する。そして、各金属元素の仕事関数
と接触抵抗との関係を測定した。その結果を図3に示
す。この結果から、仕事関数が小さい元素程、接触抵抗
が大きいことが分かる。仕事関数が5.1eV以上の金
属元素の場合には、蒸着した状態で、 5×103 〜 2×10
4 Ωの抵抗( 5×10-2〜 2×10-1Ωcm2 の抵抗率)を示
す。
【0014】しかし、これらの金属を800℃まで熱処
理すると、500℃位までは、接触抵抗は余り変化しな
いが、それ以上の温度になると接触抵抗は大きくなる。
Niについて、熱処理温度と接触抵抗との関係を測定し
た。その結果を図4に示す。図4から理解されるよう
に、400℃で1×104 Ωの接触抵抗( 1×10-1Ωcm2
の抵抗率)は500℃までは、余り変化しないが、80
0℃では2×106 Ω(抵抗率 2×10Ωcm2 )に増加して
いる。この原因について解析した結果、高温では、Niと
GaN が反応して、Niが全てNi3Ga に変態するためである
ことが分かった。
【0015】一方、高融点金属( 融点2400℃以上)
は仕事関数が小さく、蒸着時には高い接触抵抗を示す
が、700℃以上の高温熱処理では接触抵抗の低下が見
られた。Taをp-GaN に蒸着して熱処理して、熱処理温度
と接触抵抗との関係を測定した。その結果を図5に示
す。図5から理解されるように、700℃までは、 7×
106 Ω( 抵抗率 7×10Ωcm2 )以上の高抵抗を示した
が、700℃以上となると1×106 Ω( 抵抗率 1×10Ω
cm2 )より小さくなり、特に、800℃では、 2×103
Ω( 抵抗率 2×10-2Ωcm2 )、即ち、約1/1000に低下し
ているのが分かる。
【0016】高温熱処理による接触抵抗の低下の原因に
ついて解析した結果、TaとGaN との界面に非常に薄い5
nm位のTa5Ga3が形成されるためであることが分かっ
た。よって、仕事関数が小さい高融点金属元素であって
も、蒸着後に700℃以上、より望ましくは800℃の
高温により熱処理することで、接触抵抗の小さい電極が
得られることが分かった。尚、p-GaN の他、n-GaN につ
いても、同様な実験を行った結果、同様に接触抵抗の小
さいな電極が得られた。
【0017】このことから、GaN 半導体に対して、Ta,
W,Nb 等の高融点金属を蒸着して、700℃以上の温
度、より望ましくは800℃以上の温度で熱処理するこ
とで、接触抵抗が小さく、且つ、オーミック性の良い、
しかも、高温での特性の安定した電極が得られるのが分
かる。
【0018】次に、p-GaN 半導体の上に、Niを5nmの
厚さに形成し、その上に、Taを30nmの厚さに形成し
て、同様に熱処理した。その時の熱処理温度と接触抵抗
との関係を測定した。又、p-GaN 半導体の上に、Pdを5
nmの厚さに形成し、その上に、Taを30nmの厚さに
形成して、同様に熱処理した。その時の熱処理温度と接
触抵抗との関係を測定した。それらの熱処理温度と接触
抵抗との関係を図6に示す。400℃では接触抵抗は 6
×103 Ω( 抵抗率 6×10-2Ωcm2 )と低いが、熱処理温
度が高くなるに従って、接触抵抗が 4×105 Ω( 抵抗率
4Ωcm2 )に増加し、さらに、熱処理温度を800℃以
上とすることで、接触抵抗を 6×103 Ω( 抵抗率 6×10
-2Ωcm2 )程度とすることができた。Taの一層の場合の
特性図(図5)と比較すると、2層構造の方が熱処理温
度が750℃以下での接触抵抗を低下させることができ
る。特に、700℃ではTaの一層の場合の接触抵抗が 1
×106 Ω( 抵抗率 1×10Ωcm2 )であり、2層構造では
1×105 Ω( 抵抗率 1cm2)であるので、2層構造の接
触抵抗はTaの1層の接触抵抗の1/10となっているのが分
かる。このことからも、2層構造とすることで、より低
い熱処理温度で低い接触抵抗が得られることが分かる。
【0019】p伝導形の半導体には仕事関数が大きい金
属の方が接触抵抗が小さくなることが分かっており、N
i,Pd は、仕事関数が大きく、400℃以下の温度でGaN
の表面不純物層と反応する金属である。又、Taは上述
したように700℃以上で3族窒化物半導体と反応する
高融点金属である。このことから、一般に、p伝導形3
族窒化物半導体の電極としては、Ni,Pd,Pt,Co 等の仕事
関数が大きく400℃以下の温度でGaN の表面不純物層
と反応する金属を第1金属層とし、Ta,W,Nb 等の700
℃以上の高温でのみ3族窒化物半導体と反応する高融点
金属を第2金属層とする2層構造により、接触抵抗が小
さく、オーミック性が良好で、且つ、高温特性に優れた
電極とすることができる。
【0020】次に、n-GaN 上に、大きさ140 μmφで、
400 μmのピッチで、Taを100 Å、その上にAlを3000Å
の厚さに形成した。又、比較例として、同一寸法で、Ti
とAlを2層構造に積層したものを作成した。そして、6
00℃で30秒間、熱処理した。そして、その電極のV
−I特性を測定した。結果を図7に示す。Ta/Al の2層
構造の電極の接触抵抗は、Ti/Al の2層構造の電極の接
触抵抗の約3/4 であることが分かる。このことら、n伝
導形3族窒化物半導体の電極をTaから成る第1金属層と
Alから成る第2金属層との2層構造とすることで、接触
抵抗を低下させ、且つ、オーミック性を改善することが
できた。又、温度600〜850℃の範囲で熱処理する
ことで、接触抵抗が低下することが確認された。
【0021】次に、上記の電極を形成した発光素子につ
いて説明する。図1は本願実施例の発光素子100 全体図
を示す。発光素子100 は、サファイア基板1を有してお
り、そのサファイア基板1上に0.05μmのAlN バッファ
層2が形成されている。
【0022】そのバッファ層2の上には、順に、膜厚約
4.0 μm、電子濃度2 ×1018/cm3のシリコン(Si)ドープ
GaN から成る高キャリア濃度n+ 層3、膜厚約0.5 μm
の電子濃度5 ×1017/cm3のシリコン(Si)ドープのGaN か
ら成るn層4、膜厚約100 nm,亜鉛(Zn)とシリコン(S
i)が、それぞれ、 5×1018/cm3にドープされたIn0.20Ga
0.80N から成る発光層5,膜厚約100 nm,ホール濃度
2×1017/cm3, 濃度 5×1019/cm3にマグネシウム(Mg)
がドープされたAl0.09Ga0.92N から成るp伝導型のクラ
ッド層6、膜厚約200 nm,ホール濃度 3×1017/cm3
濃度 5×1019/cm3にマグネシウム(Mg) がドープされた
GaN から成る第1コンタクト層71、膜厚約50nm,ホ
ール濃度 6×1017/cm3,濃度 1×1020/cm3にマグネシウ
ム(Mg)がドープされたGaN から成るp+ の第2コンタ
クト層72が形成されている。
【0023】そして、第2コンタクト層72の上面全体
にNiから成る厚さ25Åの第1金属層81が形成され、そ
の第1金属層81の上にTaから成る厚さ60Åの第2金属
層82が形成されている。この第1金属層81と第2金
属層82とでp型GaN に対する電極層8が構成される。
この電極層8は透明である。又、第2金属層82の上面
の隅の部分にはp電極パッド9が設けられており、p電
極パッド9は、Niから成る厚さ1000Åのp電極パッド第
1金属層91、Auから成る厚さ1.5 μmのp電極パッド
第2金属層92、Alから成る厚さ300 Åのp電極パッド
第3金属層93が形成されている。この3重層により、
p電極パッド9が形成されている。一方、n+ 層3上に
は、n電極パッド10が設けられており、n電極パッド
10は、厚さ0.1 μmのTaから成るn電極パッド第1金
属層11が形成され、そのn電極パッド第1金属層11
の上には厚さ1.5 μmのAlから成るn電極パッド第2金
属層12が形成されている。この第1金属層11と第2
金属層12とで、n電極パッド10が形成されている。
そして、p電極パッド9とn電極パッド10のワイヤボ
ンディングされる領域に窓9Aと窓10Aが形成された
SiO2から成る保護膜13が基板1の最上層上に形成され
ている。
【0024】次に、この構造の半導体素子の製造方法に
ついて説明する。上記発光素子100 は、有機金属気相成
長法(以下MOVPE)による気相成長により製造され
た。用いられたガスは、アンモニア(NH3) 、キャリアガ
ス(H2)、トリメチルガリウム(Ga(CH3)3)(以下「TMG
」と記す) 、トリメチルアルミニウム(Al(CH3)3)(以
下「TMA 」と記す) 、トリメチルインジウム(In(CH3)3)
(以下「TMI 」と記す) 、シラン(SiH4)、ジエチル亜鉛
(Zn(C2H5)2)(以下、「DEZ 」と記す) とシクロペンタジ
エニルマグネシウム(Mg(C5H5)2)(以下「CP2Mg 」と記
す)である。
【0025】まず、有機洗浄及び熱処理により洗浄した
a面を主面とし、単結晶のサファイア基板1をM0VPE 装
置の反応室に載置されたサセプタに装着する。次に、常
圧でH2を流速2 liter/分で約30分間反応室に流しながら
温度1100℃でサファイア基板1をベーキングした。
【0026】次に、温度を 400℃まで低下させて、H2
20 liter/分、NH3 を10 liter/分、TMA を 1.8×10-5
モル/分で約90秒間供給してAlN のバッファ層2を約0.
05μmの厚さに形成した。次に、サファイア基板1の温
度を1150℃に保持し、H2を20liter/分、NH3 を10 lite
r/分、TMG を 1.7×10-4モル/分、H2ガスにより0.86p
pm に希釈されたシランを20×10-8モル/分で40分導入
し、膜厚約4.0 μm、電子濃度 1×1018/cm3、シリコン
濃度 4×1018/cm3のシリコン(Si)ドープGaN から成る高
キャリア濃度n+ 層3を形成した。
【0027】上記の高キャリア濃度n+ 層3を形成した
後、続いて温度を1100°C に保持し、H2を20 liter/
分、NH3 を10 liter/分、TMG を 1.12 ×10-4モル/
分、H2ガスにより0.86ppm に希釈されたシランを10×10
-9モル/分で30分導入し、膜厚約5.0 μm、電子濃度 5
×1017/cm3、シリコン濃度 1×1018/cm3のシリコン(Si)
ドープGaN から成るn層4を形成した。
【0028】続いて、温度を800 ℃に保持し、N2又はH2
を20 liter/分、NH3 を10 liter/分、TMG を0.2 ×10
-4モル/分、TMI を1.6 ×10-4モル/分、H2ガスにより
0.86ppm に希釈されたシランを10×10-8mol/分で、DEZ
を 2×10-4モル/ 分で、30分間供給して厚さ100nm のシ
リコンと亜鉛が、それぞれ、 5×1018/cm3にドープさた
In0.20Ga0.80N から成る発光層5を形成した。
【0029】続いて、温度を1100℃に上げて、N2又はH2
を20 liter/分、NH3 を10 liter/分、TMG を1.12×10
-4モル/分、TMA を0.47×10-4モル/分、及び、CP2Mg
を2×10-5モル/分で 6分間導入し、膜厚約100 nmの
マグネシウム(Mg)ドープのAl0.08Ga0.92N から成るクラ
ッド層6を形成した。クラッド層6のマグネシウム濃度
は 5×1019/cm3である。この状態では、クラッド層6
は、まだ、抵抗率108 Ωcm以上の絶縁体である。
【0030】次に、温度を1100℃に保持し、N2又はH2
20 liter/分、NH3 を10 liter/分、TMG を1.12×10-4
モル/分、及び、CP2Mg を 2×10-5モル/分で 1分間導
入し、膜厚約200 nmのマグネシウム(Mg)ドープのGaN
から成る第1コンタクト層71を形成した。第1コンタ
クト層71のマグネシウム濃度は 5×1019/cm3である。
この状態では、第1コンタクト層71は、まだ、抵抗率
108 Ωcm以上の絶縁体である。
【0031】次に、温度を1100℃に保持し、N2又はH2
20 liter/分、NH3 を10 liter/分、TMG を1.12×10-4
モル/分、及び、CP2Mg を 4×10-5モル/分で3 分間導
入し、膜厚約50nmのマグネシウム(Mg)ドープのGaN か
ら成るp+ の第2コンタクト層72を形成した。第2コ
ンタクト層72のマグネシウム濃度は 1×1020/cm3であ
る。この状態では、第2コンタクト層72は、まだ、抵
抗率108 Ωcm以上の絶縁体である。
【0032】次に、電子線照射装置を用いて、第2コン
タクト層72,第1コンタクト層71,及びクラッド層
6に一様に電子線を照射した。電子線の照射条件は、加
速電圧約10KV、試料電流1μA、ビームの移動速度0.2m
m/sec 、ビーム径60μmφ、真空度5.0 ×10-5Torrであ
る。この電子線の照射により、第2コンタクト層72,
第1コンタクト層71,クラッド層6は、それぞれ、ホ
ール濃度 6×1017/cm3,3×1017/cm3,2×1017/cm3、抵抗
率 2Ωcm, 1 Ωcm,0.7Ωcmのp伝導型半導体となった。
このようにして多層構造のウエハが得られた。
【0033】次に、第2コンタクト層72の上にTiを20
00Åの厚さに形成し、そのTi層の上にNiを9000Åの厚さ
に形成した。そして、そのNi層の上にフォトレジストを
一様に塗布して、フォトリソグラフィによりn電極パッ
ド10を形成する部分のフォトレジストを除去した。そ
の後、残ったフォトレジストをマスクとして、フォトレ
ジストで覆われていないTi層とNi層とを酸性エッチング
液にてエッチングした。その後、残ったTi層とNi層とを
マスクとして、Ti層とNi層とにより覆われていない部分
の第2コンタクト層72、第1コンタクト層71、クラ
ッド層6、発光層5、n層4の一部を塩素を含むガスに
よる反応性イオンエッチングによりエッチングして、n
+ 層3の表面を露出させた。その後、Ti層とNi層とを酸
性エッチング液にて除去した。次に、以下の手順で電極
層8を形成した。
【0034】(1) 表面上にフォトレジスト14を一様に
塗布して、フォトリソグラフィにより、第2コンタクト
層72の上の電極形成部分のフォトレジスト14を除去
して、窓部14Aを形成する。 (2) 蒸着装置にて、露出させた第2コンタクト層72の
上に、10-7Torr程度の高真空にてニッケル(Ni)を25Å成
膜させて、図2に示すように、第1金属層81を形成す
る。 (3) 続いて、第1金属層81の上にタンタル(Ta)を60Å
成膜させて、図2に示すように、第2金属層82を形成
する。 (4) 次に、試料を蒸着装置から取り出し、リフトオフ法
により、フォトレジスト14上に堆積したNiとTaとを除
去して、第2コンタクト層72に対するNi/Taの透明な
電極層8を整形する。 (5) 次に、フォトレジストを一様に塗布して、p電極パ
ッド9の形成部分のフォトレジストに窓を開ける。そし
て、10-7Torr程度の高真空にて、Ni、Au、Alを、順次、
厚さ、1000Å、1.5 μm、300 Åに蒸着した。その後、
レジストをリフトオフすることで、必要な箇所にp電極
パッド第1金属層91、p電極パッド第2金属層92、
p電極パッド第3金属層93を形成した。このようにし
て、3層構造のp電極パッド9を形成した。 (6)次に、フォトレジストを一様に塗布して、n電極パ
ッド10の形成部分のフォトレジストに窓を開ける。そ
して、10-7Torr程度の高真空にて、Ta、Alを、順次、厚
さ、1000Å、1.5 μmに蒸着した。その後、レジストを
リフトオフすることで、必要な箇所にn電極パッド第1
金属層11、n電極パッド第2金属層12を形成した。
このようにして、2層構造のn電極パッド10を形成し
た。 (7) 次に、上記の基板1を加熱炉に配設し、加熱炉の雰
囲気を1m Torr以下にまで排気し、その後大気圧までN2
で封入した。そして、その状態で雰囲気温度を700 ℃〜
850 ℃の範囲の温度に設定して、数秒〜10分程度、基板
1を加熱した。 但し、雰囲気ガスはH2,He,N2,O2,Ne,Ar,Kr又はこれらの
混合ガスが利用でき、圧力は1mTorrから大気圧を越える
圧力まで実施可能である。
【0035】次に、上記のように形成された基板1の最
上層の上に一様に、エレクトロンビーム蒸着によりによ
りSiO2膜を形成し、フォトレジストの塗布、フォトリソ
グラフィー工程、エッチング工程を経て、p電極パッド
9、n電極パッド10のワイヤボンディング領域に当た
る部分のSiO2膜に窓9A、窓10Aをウエットエッチン
グにより形成した。
【0036】この時、p電極パッド第3金属層93のAl
と保護膜11のSiO2とは接合度が高いので、p電極パッ
ド第3金属層93と保護膜13との間にエッチング液が
浸透することが防止される。よって、保護膜13のマス
クされた部分はエッチングされないため、窓9Aの側壁
は垂直となる。この結果、保護膜13はp電極パッド第
1金属層91、p電極パッド第2金属層92、p電極パ
ッド第3金属層93の側面を完全に覆うことになり、保
護膜として十分に機能する。
【0037】p電極パッド第3金属層93は、保護膜1
3に対する接合度がp電極パッド第2金属層92の構成
元素の金よりも強いものであれば良い。例えば、Alの
他、Ni、Tiを用いることができる。保護膜13は窒化珪
素を用いることもできる。熱処理の時に、p電極パッド
第1金属層91のNiとp電極パッド第2金属層92のAu
との分布において、すこし反転が生じ、p電極パッド第
2金属層92の表面にNiが一部現れる。しかし、p電極
パッド第3金属層93にAlを用いた場合には、Niはp電
極パッド第3金属層93の上には現れなかった。ところ
が、p電極パッド第3金属層93にNi、Tiを用いた場合
には、p電極パッド第1金属層91のNiがp電極パッド
第3金属層93の表面に現れ、p電極パッド第3金属層
93に模様が見られた。この点からすれば、p電極パッ
ド第3金属層93にはAlを用いるのが良い。
【0038】上記のごとく処理されたウエハは、各素子
毎に切断され、図1に示す構造の発光素子100 を得た。
このような構造の発光素子は駆動電流20mAで発光ピー
ク波長430 nm、発光強度2000mCd であった。従来構造
の発光素子に比べて発光強度は2倍になった。又、接触
抵抗を低下でき、オーミック性が改善された。尚、発光
効率を向上させることを目的とする発光素子では、p電
極パッド9は、Ni、Au又はAuの単層でも、2層でも良い
し、保護膜13がなくとも良い。
【0039】上記の第1金属層81の厚さは5 Å〜200
Åが望ましい。5 Åより薄いと密着性が不良となり望ま
しくなく、200 Åより厚いと透明性が悪化し望ましくな
い。又、第2金属層82の厚さは、5 Å〜200 Åが望ま
しい。5 Åより薄いとコンタクト抵抗が高くなって望ま
しくなく、200 Åより厚いと透明性が悪化し望ましくな
い。
【0040】更に、上記のp電極パッド第1金属層91
の厚さは20Å〜5 μmが望ましい。20Åより薄いと密着
性が不良となり望ましくなく、5 μmよりも厚いと形成
に時間を要し形成が困難となり望ましくない。又、p電
極パッド第2金属層92の厚さは、100 Å〜5 μmが望
ましい。100 Åよりも薄いとワイヤーボンディング性能
が低下し望ましくなく、5 μmより厚いと形成困難とな
り且つ製造コストが高くなるので望ましくない。又、p
電極パッド第3金属層93の厚さは、10Å〜5μmが望
ましい。10Åより薄いと保護膜の横方向のエッチングが
防止できなく望ましくなく、5 μmより厚いと形成困難
となり望ましくない。又、p電極パッド第3金属層93
がNi又はTiの場合には、10Å〜500 Åがより望ましい。
500 Åより厚いとワイヤーボンディングの信頼性が低下
するので望ましくない。
【0041】更に、n電極パッド第1金属層11の厚さ
は、20Å〜5 μmが望ましい。20Åより薄いと密着性が
不良となり望ましくなく、5 μmよりも厚いと形成に時
間を要し形成が困難となり望ましくない。又、n電極パ
ッド第2金属層12の厚さは、10Å〜5 μmが望まし
い。10Åより薄いと保護膜の横方向のエッチングが防止
できなく望ましくなく、5 μmより厚いと形成困難とな
り望ましくない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の具体的な実施例にかかる発光素子の構
造を示した断面図。
【図2】第2コンタクト層上における電極層の構造を模
式的に示した断面図。
【図3】各種の金属の仕事関数とp-GaN に対する接触抵
抗との関係の測定結果を示す特性図。
【図4】ニッケルとp-GaN との接触抵抗の熱処理温度に
対する関係の測定結果を示す特性図。
【図5】タンタルとp-GaN との接触抵抗の熱処理温度に
対する関係の測定結果を示す特性図。
【図6】ニッケル/タンタルの2層金属又はパラジウム
/タンタルの2層金属とp-GaNとの接触抵抗の熱処理温
度に対する関係の測定結果を示す特性図。
【図7】タンタル/アルミニウムの2層金属又はチタン
/アルミニウムの2層金属とn-GaN との接触抵抗の熱処
理温度に対する関係の測定結果を示す特性図。
【符号の説明】
100…半導体発光素子 4…n層 5…活性層 6…クラッド層 8…電極層 9…p電極パッド 9A…窓 10A…窓 10…n電極パッド 11…n電極パッド第1金属層 12…n電極パッド第2金属層 13…保護膜 71…第1コンタクト層 72…第2コンタクト層 81…第1金属層 82…第2金属層 91…p電極パッド第1金属層 92…p電極パッド第2金属層 93…p電極パッド第3金属層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小出 典克 愛知県西春日井郡春日町大字落合字長畑1 番地 豊田合成株式会社内 (72)発明者 浅見 慎也 愛知県西春日井郡春日町大字落合字長畑1 番地 豊田合成株式会社内 (72)発明者 山崎 史郎 愛知県西春日井郡春日町大字落合字長畑1 番地 豊田合成株式会社内 (72)発明者 村上 正紀 京都府綴喜郡田辺町薪長尾谷22−32 (72)発明者 小出 康夫 京都府京都市伏見区深草西伊達町官有地 深草合同宿舎423号室

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 3族窒化物から成る半導体の電極におい
    て、3族窒化物半導体と700℃以上の高温でのみ反応
    する融点2400℃以上の高融点金属を3族窒化物半導
    体上に形成し、700℃以上の温度で熱処理して電極と
    したことを特徴とする3族窒化物から成る半導体の電
    極。
  2. 【請求項2】 3族窒化物から成る半導体の電極におい
    て、 前記電極は、前記半導体の表面上に形成され、仕事関数
    が大きく、400℃以下において3族窒化物半導体の表
    面層と反応する金属元素で構成された第1金属層と、そ
    の第1金属層の上に形成され、3族窒化物半導体とは7
    00℃以上の高温でのみ反応する融点2400℃以上の
    高融点金属元素で構成された第2金属層とから成ること
    を特徴とする3族窒化物から成る半導体の電極。
  3. 【請求項3】 前記高融点金属は、タンタル(Ta), タン
    グステン(W),ニオブ(Nb)のうち少なくとも1種の元素で
    あることを特徴とする請求項1に記載の3族窒化物半導
    体の電極。
  4. 【請求項4】 前記第1金属層の構成元素は、ニッケル
    (Ni), パラジウム(Pd), 白金(Pt),コバルト(Co)のうち
    少なくとも一種の元素であり、前記第2金属層の構成元
    素は、タンタル(Ta), タングステン(W),ニオブ(Nb)のう
    ち少なくとも1種の元素であることを特徴とする請求項
    2に記載の3族窒化物半導体の電極。
  5. 【請求項5】 前記3族窒化物はp伝導形半導体である
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の3族窒
    化物半導体の電極。
  6. 【請求項6】 前記3族窒化物はp伝導形半導体であ
    り、前記第1金属層の構成元素は、Niであり、前記第2
    金属層の構成元素はTaであることを特徴とする請求項2
    に記載の3族窒化物半導体の電極。
  7. 【請求項7】 前記電極は700℃以上の温度で熱処理
    されていることを特徴とする請求項2乃至請求項6のい
    ずれかに記載の3族窒化物半導体の電極。
  8. 【請求項8】 前記3族窒化物はn伝導形半導体である
    ことを特徴とする請求項1に記載の3族窒化物半導体の
    電極。
  9. 【請求項9】 前記高融点金属は、タンタル(Ta)である
    ことを特徴とする請求項8に記載の3族窒化物半導体の
    電極。
  10. 【請求項10】 さらに、電極の表面層として、金(A
    u)、又は、アルミニウム(Al)からなる金属層が形成され
    ていることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれ
    かに記載の3族窒化物半導体の電極。
  11. 【請求項11】 請求項1乃至請求項10のいずれかに
    記載の電極を有したことを特徴とする発光ダイオード、
    レーザダイオード、又は、トランジスタ等の素子。
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