JP2001015852A - p型のIII族窒化物半導体層上の電極構造とその形成方法 - Google Patents

p型のIII族窒化物半導体層上の電極構造とその形成方法

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JP2001015852A
JP2001015852A JP2000125121A JP2000125121A JP2001015852A JP 2001015852 A JP2001015852 A JP 2001015852A JP 2000125121 A JP2000125121 A JP 2000125121A JP 2000125121 A JP2000125121 A JP 2000125121A JP 2001015852 A JP2001015852 A JP 2001015852A
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electrode structure
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type gan
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Kunihiro Takatani
邦啓 高谷
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Sharp Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 p型のIII族窒化物半導体層上で安定した
低抵抗と高い密着強度を有する電極構造を提供する。 【解決手段】 p型のIII族窒化物半導体層上の電極
構造は、その半導体層上に順次積層された第1、第2お
よび第3の電極層(102,103,104)を含み、
第1電極層(102)はTi,Hf,Zr,V,Nb,
Ta,Cr,WおよびScからなる第1金属グループか
ら選択された少なくとも1種類を含み、第2金属層(1
03)はNi,PdおよびCoからなる第2金属グルー
プから選択された少なくとも1種類を含み、そして第3
電極層(104)はAuを含むことを特徴としている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、たとえば半導体レ
ーザダイオードに代表されるようなIII族窒化物半導
体装置における電極構造の改善に関するものである。
【0002】
【従来の技術】III族窒化物半導体であって、たとえ
ばInxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0≦
x<1、0<y≦1、0≦z<1)で表わされるGaN
系化合物半導体は、大きなエネルギバンドギャップや高
い熱的安定性を有し、またその組成を調節することによ
ってバンドギャップ幅を制御することも可能である。し
たがって、GaN系半導体は、発光素子や高温デバイス
をはじめとして、さまざまな半導体デバイスに応用可能
な材料として期待されている。なかでも、GaN系材料
を用いた発光ダイオード(LED)では、青から緑の光
波長域で数cd級の光度を有するデバイスが既に開発さ
れて実用化されている。今後はさらに、長波長の光用の
LEDを得て、LEDディスプレイをフルカラー化する
ことや、GaN系材料を用いたレーザダイオード(L
D)の実用化が、研究開発の目標になりつつある。
【0003】図7は、GaN系材料を用いた半導体デバ
イスにおいて、従来から用いられているp型電極の構造
を模式的な断面図で示している。このp型電極において
は、p型GaNからなるp型GaNコンタクト層501
上にNiの金属層502を堆積して窒素雰囲気中で50
0℃において10分間アニールすることによって、Ga
Nコンタクト層501とNi層502との拡散反応によ
る中間層504が形成されている。Ni層502上に
は、さらに、ワイヤボンディングまたはデバイスの装着
のための表面電極層503が積層されている。この表面
電極層503の材料としては、Auなどが用いられる場
合が多い。
【0004】このような電極構造において、中間層50
4は、p型GaNコンタクト層501とNi層502が
直接接触した場合に界面に生じるショットキー障壁を緩
和させる効果をもたらす。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図7に
例示されているような従来技術によるp型GaN系コン
タクト層上のp型電極においては、そのオーミック特性
に不安定性があり、比コンタクト抵抗値も比較的高くて
約10-2Ωcm2程度の範囲内にあるという課題があ
る。たとえば、半導体レーザのp型電極に必要とされる
比コンタクト抵抗値は約10-3Ωcm2程度以下であ
り、これを従来技術で達成することは困難である。
【0006】そこで本発明者が従来技術によるp型電極
構造を詳細に検討した結果、図7において形成される中
間層504の主な成分はGaとNiの化合物(Ga‐N
i化合物;以下、元素Xと元素Yの化合物をX−Y化合
物と表記する)からなることがわかった。
【0007】また、中間層504の特性は、p型GaN
コンタクト層501の表面状態、そのp型GaNコンタ
クト層501とNi層502との間の界面反応の進行具
合、さらにはアニール温度などによって影響を受けやす
く、そのような中間層504を含むp型電極では安定し
た一定の電極特性を得ることが困難であることも明らか
になった。特に、中間層504の形成が不十分な場合に
は、p型電極とp型GaNコンタクト層501との間の
密着強度に著しい低下を生じ、半導体デバイスをステム
などと電気的に連結するためのワイヤボンディング時に
電極の剥がれが頻発することもわかった。
【0008】さらに、中間層504の内部には、主要成
分としてのGa−Niの化合物以外にNi−Nの化合物
も形成されていることもわかった。このNi−Nの化合
物のためのNの供給源は、p型GaNコンタクト層50
1である。すなわち、p型GaNコンタクト層501中
のN原子が中間層504中に吸出され、p型GaNコン
タクト層501の表面近傍が高抵抗層(またはn型層)
に変質し、その結果としてp型電極構造の高抵抗化を引
起こすことも明らかになった。
【0009】本発明者が明らかにした上述のような先行
技術における課題に鑑み、本発明は、p型のIII族窒
化物半導体層上で安定した低抵抗と高い密着強度を有す
る電極構造を高い歩留まりで提供することを目的として
いる。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、p型の
III族化合物半導体層上の電極構造は、半導体層上に
順次積層された第1、第2および第3の電極層を含み、
第1電極層はTi、Hf、Zr、V、Nb、Ta、C
r、W、およびScからなる第1金属グループから選択
された少なくとも1種類を含み、第2電極層はNi、P
d、およびCoからなる第2金属グループから選択され
た少なくとも1種類を含み、そして第3電極層はAuを
含むことを特徴としている。
【0011】このような電極構造において、第1電極層
に含まれるたとえばTiはたとえばn型GaN層に対す
るn型電極構造において用いられてきた金属であり、p
型GaN層上にTi層を単体で形成すれば、それはショ
ットキー電極としてふるまう。しかし、たとえばNiを
含む第2電極層とp型GaN層との界面に第1電極層と
してTiを均一に少量用いることによって、この少量の
Tiがほとんどショットキー効果を生じることなく界面
反応促進剤として作用することが明らかになった。
【0012】その結果、p型電極構造において、良好な
オーミックコンタクトを得るために施されるアニール温
度が従来に比べて100〜200℃程度低温化され得る
とともに、小さな比コンタクト抵抗値と高い密着強度が
得られることがわかった。
【0013】第1電極層の厚さは1〜500nmの範囲
内にあり、第2電極層の厚さは5nm以上であり、そし
て第3電極層の厚さが50nm以上であることが好まし
い。
【0014】オーミック化の熱処理の後において、第1
電極層は第1金属グループに含まれる金属の窒化物を含
むとともに、第2金属グループに含まれる金属とGaと
の化合物をも含んでいる。
【0015】本発明によればまた、p型のIII族窒化
物半導体層上の電極構造の形成方法において、Ti、H
f、Zr、V、Nb、Ta、Cr、W、およびScから
なる第1金属グループから選択された少なくとも1種類
を含む第1電極層を半導体層上に堆積し、Ni、Pd、
およびCoからなる第2金属グループから選択された少
なくとも1種類を含む第2の電極層を第1電極層上に堆
積し、そしてAuを含む第3の電極層を第2電極層上に
堆積する工程を含んでいることを特徴としている。
【0016】こうして第1から第3の電極層が堆積され
た後に、その電極構造は、N2雰囲気中、Ar雰囲気
中、または真空中で300〜700℃の範囲内の温度の
もとでオーミック化のために熱処理される。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態の具体例とし
て以下の実施例1と2が試みられるとともに、それらに
関連する事項も検討された。実施例1はp型GaNコン
タクト層上に順次積層されたTi層、Ni層、およびA
u層を含むAu/Ni/Ti電極構造に関するものであ
り、実施例2はNi層の代わりにPd層を用いたAu/
Pd/Ti電極構造に関するものである。
【0018】(実施例1)図1の模式的な断面図を参照
して、まず、任意の半導体デバイスに含まれるp型のI
II族窒化物半導体のコンタクト層101として、サフ
ァイア基板上にp型GaN層が形成された。このp型G
aN層101を形成するために、有機金属気相成長(M
OCVD)法によって、MgをドープしたGaN層がエ
ピタキシャル成長させられた。GaN層101には10
19/cm3のMgが添加されており、N2雰囲気下でのア
ニールによるp型化処理後に、p型GaN層101は
1.5×1017/cm3のキャリア濃度を示した。
【0019】その後、サファイア基板は電子ビーム(E
B)真空蒸着装置内に配置され、p型GaNコンタクト
層101上の第1、第2および第3の電極層102、1
03、104として、厚さ5nmのTi層、厚さ15n
mのNi層、および厚さ200nmのAu層がそれぞれ
堆積された。
【0020】最後に、サファイア基板上の電極構造全体
をN2雰囲気下において約400℃でアニールすること
によって、第1実施例による電極構造が完成させられ
た。
【0021】図2において、本発明を利用して完成され
た電極構造が模式的な断面図で示されている。実施例1
において400℃でアニールされた後の電極構造を詳細
に調べたところ、サファイア基板上では下から順にp型
GaN層101、Ti−N化合物とNi−Ga化合物と
の混合物層102A、Ni層103、そしてAu層10
4からなっていることが明らかになった。他方、400
℃でのアニール前の電極断面構造では、Ti−N化合物
とNi−Ga化合物はほとんど検出されなかった。この
ことから、これらTi−NとNi−Gaの2種類の化合
物は、400℃におけるオーミック化アニール工程中の
反応によって形成されているものであると考えられる。
【0022】前述のように、従来の電極構造においてp
型GaNコンタクト層501とNi層502との間に形
成されるNi−N化合物は、その電極構造の高抵抗化や
不安定性の要因となる。しかし、実施例1においてはオ
ーミック化の最終アニール前にTi層102が存在して
いるので、その最終アニールの初期において、まずp型
GaN層101とTi層102との間でTi−N化合物
が形成される。このTi−N化合物のためのNは主とし
てp型GaN層101から供給されるので、GaN層1
01の表面はGaが過剰な状態になっている。そして、
過剰になったフリーのGaとNi層103からのNiと
が直接反応することによって、混合物層102A中のN
i−Ga化合物が形成される。このような反応過程を経
ることによって、実施例1ではp型GaN層101の表
面の化学量論的組成比を損なうことなく、そしてNi−
N化合物の形成に伴う高抵抗層(またはn型層)を形成
することなく、p型GaNコンタクト層101と金属電
極との間のオーミック化反応を促進させることができる
と考えられる。
【0023】ところで、TiとNは相互に高い反応性を
有しているので、上述の混合物層102Aに含まれてい
るTi−N化合物は、図7におけるようなGaN層50
1とNi層502との反応によって生じるNi−Ga化
合物層504と比較して、より低温のアニールによって
生じる。そして、TiによってNが奪われてフリーにな
ったGaの存在下において、Ni−Ga化合物の形成反
応も、NiがGaとNとの結合を切ってGaと反応する
に要する温度より低いアニール温度で生じやすくなる。
すなわち、実施例1の電極構造がオーミック性を得るた
めに必要とされるアニールは、図7に示された従来の電
極構造に比べて低温で行なうことが可能である。
【0024】図3は、このような事実を立証するグラフ
である。このグラフにおいて、横軸のアロイ温度(℃)
は電極構造をオーミック化するためのアニール温度を表
わし、縦軸のコンタクト抵抗(Ωcm2)はオーミック
化処理後の抵抗を表わしている。
【0025】図3から理解されるように、従来のAu/
Ni電極構造においては黒丸印で表わされているように
400℃のアニール温度からGaN層501とNi層5
02との界面反応によるコンタクト抵抗の顕著な低下が
生じ始めるのに対し、実施例1のAu/Ni/Ti電極
構造では白丸印で表わされているように300℃のアニ
ール温度からコンタクト抵抗の顕著な低下が開始してお
り、従来より低温でGaN層101とNi層103との
反応が生じ始めていることがわかる。このように比較的
低温のアニールによってオーミック化され得ることは、
電極製造プロセス中の温度制御精度の向上やそのプロセ
スの簡便化を可能にし、生産工程上で非常に有益な利点
となる。
【0026】同じく図3からわかるように、実施例1の
Au/Ni/Ti電極構造は、従来のAu/Ni電極構
造に比べて、300〜600℃のアニール温度範囲内で
小さなコンタクト抵抗を有している。また、最小のコン
タクト抵抗の得られるアニール温度についても従来のA
u/Ni電極構造では500℃であるのに対して、実施
例1のAu/Ni/Ti電極構造ではそれより低い40
0℃である。これらの理由としては、実施例1ではTi
層102が介在するので、従来の電極構造で見られたG
aN層501の表面における化学量論的組成比のずれや
Ni−N化合物の生成に起因する高抵抗層(またはn型
層)の形成が抑制された効果によると考えられる。
【0027】図4は、実施例1のAu/Ni/Ti電極
構造において、Ti層102とNi層103のそれぞれ
の厚さを種々に変化させてアニール処理した後のオーミ
ック性を判定した結果を示している。この図4のグラフ
において、横軸はTi層102の膜厚(nm)を表わ
し、縦軸はNi層103の膜厚(nm)を表わしてい
る。黒丸印はAu/Ni/Ti電極において従来のAu
/Ni電極より小さなコンタクト抵抗が安定して得られ
た場合を表わし、×印は従来に比べて明らかな改善効果
が得られなかった場合を示している。
【0028】図4に示されているように、Ti層102
の膜厚に関しては、それが約1〜500nmの範囲内に
ある場合に、Au/Ni/Ti電極構造において従来の
Au/Ni電極構造に比べて小さなコンタクト抵抗が安
定して得られた。しかし、Ti層102が1nmより薄
くてたとえば0.5nmの場合、Au/Ni/Ti電極
構造のアニール後のコンタクト抵抗は、従来のAu/N
i電極構造に比べてほとんど改善されなくなった。これ
は、Ti層102が薄すぎるために、GaN層101と
の界面反応においてTi−N化合物を形成するための絶
対量が不足し、Ni層103からのNiとGaN層10
1との間の反応が支配的になるためと考えられる。他
方、Ti層102が500nmより厚い場合には、Au
/Ni/Ti電極構造はアニールの温度を高くしたり時
間を長くしてもオーミック特性を示さず、ショットキー
特性しか示さなかった。これは、Ti層102が厚すぎ
るためにNi層103とGaN層101とが完全に遮断
され、Niが反応に寄与し得ないためであると考えられ
る。
【0029】Ni層103の膜厚に関しては、それが約
5nm以上の場合に、Au/Ni/Ti電極構造におい
て従来のAu/Ni電極構造に比べて小さいコンタクト
抵抗が安定して得られた。しかし、Ni層103が5n
mより薄くてたとえば1nmの場合、Au/Ni/Ti
電極構造はアニール後においてもオーミック特性が不十
分であった。これは、Ni層103の厚さが十分でない
ために、Au層104からNi層103を貫通してAu
がTi層102まで達してしまうためであると考えられ
る。他方、Ni層103の膜厚の上限に関しては、それ
を1μm程度まで厚くしてもAu/Ni/Ti電極構造
の電気的特性に対する悪影響は見られなかったが、1μ
mを超える厚さでは電極構造が少し剥がれやすくなる傾
向のあることが観察された。したがって、電極構造を実
際の半導体デバイスに使用するうえで重要なその密着強
度を考慮すれば、Ni層103の好ましい厚さの上限は
約1μmであると考えられる。
【0030】さらに、実施例1のAu/Ni/Ti電極
構造の特性をさらに詳細に調べるために、Au層を含ま
ない比較例としてのNi/Ti電極構造も試作された。
しかし、このNi/Ti電極構造はN2雰囲気中のアニ
ール時にNiが雰囲気中のNと化合物を形成してしま
い、良好なオーミック特性を得ることができなかった。
この現象について検討した結果、Ni層の窒化による変
質を防ぐためには実施例1におけるようにAu層104
を積層しておけばよく、Au層の厚さは約50nm以上
であれば十分であることがわかった。
【0031】他方、Au層104の厚さの上限について
は、電極の電気的特性からは何ら制限がない。しかし、
Au層104が約5μmより厚くなれば、電極のパター
ニングにリフトオフ工程が利用される場合にそのリフト
オフの容易性が低下する。また、ワイヤボンディング工
程の接着性の観点からもAu層104の厚さが5μmあ
れば十分であり、それ以上厚くしても高価なAuの使用
量が増えるだけであって好ましくない。したがって、A
u層104の厚さの好ましい上限は、約5μmであると
考えられる。
【0032】さらに、実施例1のAu/Ni/Ti電極
構造に対する比較例としてAu/Ti/Ni電極構造と
Au/(TiNi合金)電極構造も試作されたが、いず
れの比較例においても実施例1におけるような良好な電
気的特性を得ることができなかった。これらの事実が、
図3のグラフと同様な図8と図9のグラフに示されてい
る。
【0033】図8のグラフにおいて、白丸印と黒丸印
は、それぞれ比較例のAu/Ti/Ni電極構造と従来
のAu/Ni電極構造におけるコンタクト抵抗のアニー
ル温度依存性を表わしている。このグラフに示されてい
るように、比較例のAu/Ti/Ni電極構造は、いず
れの温度によるアニール後においても、従来のAu/N
i電極構造に比べて、ほとんどコンタクト抵抗の改善を
もたらしはしない。これは、Au/Ti/Ni電極構造
においても従来と同様にNi層がp型GaN層に直接接
触しているのでその界面にNi−N化合物を生成し、高
抵抗の界面層が生じるからであると考えられる。
【0034】図9のグラフにおいては、黒丸印と白丸印
が、それぞれ比較例のAu/(TiNi合金)電極構造
と実施例1のAu/Ni/Ti電極構造におけるコンタ
クト抵抗のアニール温度依存性を表わしている。比較例
のAu/(TiNi合金)電極構造においては、やはり
TiNi合金層中のNiまたはNiの濃度の高い部分と
p型GaNコンタクト層とが部分的に直接接触反応し
て、NiN化合物を生成する傾向がある。したがって、
比較例のAu/(Ti−Ni合金)電極構造ではアニー
ル後に部分的に高抵抗領域が形成され、その結果とし
て、電極全体として平均化したコンタクト抵抗も高くな
ると考えられる。
【0035】他方、実施例1のAu/Ni/Ti電極構
造では、アニール前にTi層102がGaN層101の
表面を覆っているので高抵抗化の要因であるNi−N化
合物が生成されることがなく、図9に示されているよう
に比較例のAu/(TiNi合金)電極構造に比べて小さ
なコンタクト抵抗値を安定して得ることができる。すな
わち、実施例1の電極構造における電気的特性の改善効
果に関して、Ni層103とp型GaNコンタクト層1
01との間に形成されたTi層102が重要な役割を果
たしていることがわかる。
【0036】なお、実施例1において、p型GaNコン
タクト層に含まれるMg濃度に関しては1.0×1018
〜1.0×1020/cm3の範囲で変化させられたが、
いずれのMg濃度のp型GaNコンタクト層に対しても
Au/Ni/Ti電極構造によって良好なオーミック特
性を得ることができた。
【0037】また、実施例1では電極構造のオーミック
化のアニールがN2雰囲気中で行なわれたが、Ar雰囲
気中または真空中でアニールされてもよい。その場合に
は、最適なアニール温度がN2雰囲気を用いる場合に比
べて少し変化するが、従来のAu/Ni電極構造の最適
アニール温度に比べて低くなることに変わりはない。
【0038】さらに、実施例1においては、アニール時
の界面反応が従来例に比べて低温でかつ温度などの条件
に影響されにくくて確実に生じるので、従来の電極にお
いてしばしば見られた界面の密着強度不足による剥がれ
の問題を生じることもない。
【0039】(実施例2)図1を参照して、実施例2に
おいても、実施例1と同様にサファイア基板上にMgが
ドープされたp型GaNコンタクト層101が形成され
た。このGaNコンタクト層101上には、厚さ5nm
のTi層102、厚さ30nmのPd層103、および
厚さ200nmのAu層104がEB蒸着法によって堆
積された。そして、サファイア基板上の電極構造全体を
2雰囲気下において約500℃でアニールすることに
よって、実施例2による電極構造が完成させられた。
【0040】図2を参照して、この実施例2によって完
成した電極構造において、サファイア基板上では下から
順にp型GaN層101、Ti−N化合物とPd−Ga
化合物との混合物層102A、Pd層103、そしてA
u層104からなっていることが明らかになった。な
お、500℃でのアニール前の電極断面構造では、Ti
−N化合物とPd−Ga化合物はほとんど検出されなか
った。このことから、これらのTi−NとPd−Gaの
2種類の化合物は、500℃におけるオーミック化アニ
ール工程中の反応によって形成されるものであると考え
られる。
【0041】Ti層を含まない比較例としてのAu/P
d電極構造の場合、アニール処理後においてPd層とG
aNコンタクト層との間にPd−N化合物が形成され
る。このPd−N化合物は、従来のAu/Ni電極構造
におけるNi−N化合物と同様に、電極構造の高抵抗化
や不安定性の要因となる。しかし、実施例2においては
オーミック化アニールの前にTi層102が実施例1の
場合と同じ役割を果たすので、p型GaN層101の表
面の化学量論的組成比を損なうことなく、そしてPd−
N化合物の形成に伴う高抵抗層(またはn型層)を形成
することなく、p型GaNコンタクト層101と金属電
極との間のオーミック化反応を促進させることができる
と考えられる。
【0042】図3のグラフと同様な図5のグラフにおい
て、白丸印と黒丸印は、それぞれ実施例2のAu/Pb
/Ti電極構造と比較例のAu/Pd電極構造における
コンタクト抵抗のアニール温度依存性を表わしている。
このグラフに示されているように、400〜600℃の
温度範囲において実施例2のAu/Pd/Ti電極構造
は比較例のAu/Pd電極構造に比べて小さなコンタク
ト抵抗を有している。また、界面反応によってコンタク
ト抵抗が顕著に低減し始めるアニール温度に関しても、
比較例のAu/Pd電極構造においては500℃からで
あるのに対して、実施例2のAu/Pd/Ti電極構造
においては400℃からであり、約100℃だけ低下し
ている。このようにより低い温度のアニールによってオ
ーミック化され得ることは、実施例1に関しても述べら
れたように、電極製造工程において非常に有益な利点と
なり得る。
【0043】図4に類似した図6のグラフは、実施例2
のAu/Pd/Ti電極構造において、Ti層102と
Pd層103のそれぞれの厚さを種々に変化させてアニ
ール処理した後のオーミック性を判定した結果を示して
いる。実施例1の場合と同様に、実施例2においても、
Ti層102の膜厚が約1〜500nmの範囲内にある
場合に低いコンタクト抵抗が安定して得られた。Pd層
103の膜厚に関しては、それが約10nm以上の場合
に、従来に比べて低いコンタクト抵抗が安定して得られ
た。Pd層103の膜厚の上限に関しては、1μm程度
まで厚くしてもAu/Pd/Ti電極構造の電気的特性
に対する悪影響は見られなかったが、1μmを超える厚
さでは、実施例1の場合と同様に電極構造が少し剥がれ
やすくなる傾向のあることが観察された。したがって、
実施例1の場合と同様に、実施例2においてもPd層1
03の好ましい厚さの上限は約1μmであると考えられ
る。
【0044】また、Au層を含まない比較例のPd/T
i電極構造も試作された。しかし、この比較例のPd/
Ti電極構造においても、N2雰囲気中のアニール時に
Pdが雰囲気中のNと化合物を形成してしまい、良好な
オーミック特性を得ることができなかった。この現象に
ついて検討した結果、実施例1に関連して述べられたの
と同様に、Pd層の窒化による変質を防ぐためにはAu
層を積層しておけばよく、そのAu層の厚さは約50n
mであれば十分であることがわかった。また、Au層の
厚さの上限については、実施例1に関連して述べられた
のと同様の理由によって、約5μm以下であることが好
ましいと考えられる。
【0045】なお、実施例1の場合と同様に、実施例2
においてもp型GaNコンタクト層に含まれるMgの濃
度が1.0×1018〜1.0×1020/cm3の範囲で
変化させられたが、いずれのMg濃度のp型GaNコン
タクト層に対してもAu/Pd/Ti電極構造によって
良好なオーミック特性を得ることができた。
【0046】また、実施例1の場合と同様に、上述の実
施例2の電極構造のオーミック化のアニールはN2雰囲
気中で行なわれたが、Ar雰囲気中または真空中でアニ
ールされてもよい。その場合にも、最適なアニール温度
がN2雰囲気を用いる場合に比べて少し変化するが、比
較例のAu/Pd電極構造の最適アニール温度に比べて
低くなることに変わりはない。
【0047】さらに、実施例1の場合と同様に実施例2
においても、アニール時の界面反応が従来例に比べて低
温でかつ温度などの条件に影響されにくくて確実に生じ
るので、従来の電極においてしばしば見られた界面の密
着強度不足による剥がれの問題を生じることもない。
【0048】(関連事項の検討)上述の実施例1と2の
電極構造をAlGaInN系半導体レーザ素子に適用し
たところ、従来の電極構造に比べて電極部における電圧
降下を低く抑えることができ、半導体レーザ素子全体の
消費電力を低減し得ることが確認された。たとえば、5
μmのストライプ幅と500μmの共振器長の寸法を有
する半導体レーザに実施例1のAu/Ni/Ti電極と
従来のAu/Ni電極を適用した場合、20mA通電時
の電極部における電圧降下はそれぞれ約0.8Vと約4
Vであり、本発明による優れた効果を明確に確認するこ
とができた。また、実施例2におけるようにNi層の代
わりにPd層を用いることによってコンタクト抵抗のよ
り抵抗化を図ることができ、それに伴って半導体レーザ
素子の電極部分における電圧降下もさらに低減し得るこ
とが確認された。
【0049】なお、実施例2においてはTiの第1金属
層102上にPdの第2金属層103が積層されている
が、これは、実施例1に関連して述べられたように、本
発明において特徴的なPd−Ga化合物とTi−N化合
物との混合層102Aを効率よく形成するために必要な
構成である。すなわち、積層構造がAu/Ti/Pdま
たはAu/(TiPd合金)であっても、本発明の特徴
である低いコンタクト抵抗率が得られなくなる。
【0050】また、上述の実施例1と2ではp型GaN
コンタクト層と直接接する第1金属層102としてTi
が用いられたが、さらに検討した結果、Tiのみならず
Hf、Zr、V、Nb、Ta、Cr、W、Scなどの金
属単体またはこれらの合金を用いてもTiと同様の効果
が得られることがわかった。
【0051】さらに、第1金属層102上に積層される
第2金属層としてCoを選択したAu/Co/Ti電極
構造についても検討したが、実施例1および2の場合と
同様に、Ti層を含まないAu/Co電極構造に比較し
て優れた電気的特性および密着性が得られることも確認
された。
【0052】さらにまた、実施例1と2では各金属層の
堆積にEB蒸着法が用いられたが、金属層の堆積法に関
しては、スパッタリング法やCVD法のように他の方法
が用いられてもよいことは言うまでもない。
【0053】(実施例3)以下に、本発明の第3の実施
例を素子断面を模式的に示した図10〜図12を参照し
ながら説明する。本実施例は、実施例1で説明した電極
構造を実際のレーザ素子構造に適用した例である。この
レーザ素子は、以下の方法により作製される。
【0054】最初に、図10に示すように、C面の結晶
面を有するサファイア基板1000上にGaNバッファ
層1001、n型GaNコンタクト層1002、n型A
lGaNクラッド層1003、n型GaN光ガイド層1
004、InGaN多重量子井戸活性層1005、P型
GaN光ガイド層1006、p型AlGaN層100
7、p型GaNコンタクト層1008をMOCVD法に
より順次エピタキシャル成長させ、GaN系半導体積層
構造を製作する。
【0055】続いて、図11に示すように、GaN系半
導体積層構造上にドライエッチングマスク1009を作
製した後、ドライエッチングマスク1009で被覆され
ていない部分を、リアクティブイオンエッチング(RI
E)法によりn型GaNコンタクト層1002まで掘り
下げ、メサ構造を形成する。
【0056】次に、ドライエッチングマスク1009を
完全に除去した後、メサ上部に絶縁膜1010によるス
トライプパターンを形成する。
【0057】次に、図12に示すように、メサ上部にA
u/Ni/Tiからなるp型電極1011、メサ底部に
あたn型GaNコンタクト層1002上にAl/Tiか
らなるn型電極1012を形成する。尚、各電極金属の
積層膜厚はp型電極1011では、Auが200nm、
Niが15nm、Tiが5nm、n型電極ではAlが1
50nm、Ti30nmである。最後に、レーザ素子構
造全体をN2雰囲気下において、約400℃でアニール
し、レーザ素子を完成させる。
【0058】このようにして作製された本実施例のレー
ザ素子では、Au/Niからなるp型電極を有する従来
のレーザ素子に比べて、p型電極の密着強度のレーザ素
子ごとのばらつきが抑制され、良品のとれる歩留まりが
向上した。また、p型電極形成後に行うアニール処理温
度も400℃と従来より100℃も低くなり、これによ
り製造プロセスの温度制御精度の向上や製造プロセスの
簡便化に寄与した。
【0059】また、p型電極が全面に渡り均一にp型G
aNコンタクト層1008との界面反応が生じることに
よって、電極−コンタクト層における良好なオーミック
特性が得られる接触面積が大きくでき、結果的にp型電
極のコンタクト抵抗が低減される。これにより、従来の
Au/Ti電極をp型電極に使用したレーザ素子に比べ
て、動作電圧の低減が図れた。
【0060】(実施例4)以下に、本発明の第4の実施
例を素子断面を模式的に示した図10〜図12を参照し
ながら説明する。本実施例は、実施例3で説明したレー
ザ素子構造と比較すると、p型電極以外の構造は同じで
ある。
【0061】実施例3と同様に、図10に示すように、
C面の結晶面を有するサファイア基板1000上にGa
Nバッファ層1001、n型GaNコンタクト層100
2、n型AlGaNクラッド層1003、n型GaN光
ガイド層1004、InGaN多重量子井戸活性層10
05、P型GaN光ガイド層1006、p型AlGaN
層1007、P型GaNコンタクト層1008をMOC
VD法により順次エピタキシャル成長させ、GaN系半
導体積層構造を製作する。
【0062】続いて、図11に示すように、GaN系半
導体積層構造上にドライエッチングマスク1009を作
製した後、ドライエッチングマスク1009で被覆され
ていない部分を、リアクティブイオンエッチング(RI
E)法によりn型GaNコンタクト層1002まで掘り
下げ、メサ構造を形成する。
【0063】次に、ドライエッチングマスク1009を
完全に除去した後、メサ上部に絶縁膜1010によるス
トライプパターンを形成する。
【0064】次に、図12に示すように、メサ上部にA
u/Pd/Tiからなるp型電極1011、メサ底部に
あたn型GaNコンタクト層1002上にAl/Tiか
らなるn型電極1012を形成する。尚、各電極金属の
積層膜厚はp型電極1011では、Auが200nm、
Pdが50nm、Tiが5nm、n型電極ではAlが1
50nm、Ti30nmである。最後に、レーザ素子構
造全体をN2雰囲気下において、約500℃でアニール
し、レーザ素子を完成させる。
【0065】このようにして作製された本実施例のレー
ザ素子では、実施例3で示すレーザ素子と同様に、p型
電極の密着強度のレーザ素子ごとのばらつきが抑制さ
れ、良品のとれる歩留まりが向上した。また、p型電極
形成後に行うアニール処理温度もTiをp型電極に含ま
ない場合と比較して100℃ほど低くなり、これにより
製造プロセスの温度制御精度の向上や製造プロセスの簡
便化に寄与した。
【0066】また、本実施例では、Au/Pd電極をp
型電極として用いた場合に比べて、p型電極部の電圧降
下及びレーザ素子全体の動作電圧が減少する。また、N
iのかわりにPdを用いることによって、実施例3に示
すレーザ素子よりもp型電極部の動作電圧及びレーザ素
子全体の動作電圧を低減することができた。
【0067】(実施例5)次に、本発明の第5の実施例
を素子断面を模式的に示した図13〜図14を参照しな
がら説明する。本実施例は、実施例1で説明した電極構
造を実際のレーザ素子構造に適用したまた別の例であ
る。このレーザ素子は、以下の方法により作製される。
【0068】最初に、図13に示すように、{000
1}面の面方位を有するn型GaN基板1100上にn
型GaNバッファ層1101、n型AlGaNクラッド
層1102、n型GaN光ガイド層1103、InGa
N多重量子井戸活性層1104、p型GaN光ガイド層
1105、p型AlGaN層1106、p型GaNコン
タクト層1107をMOCVD法により順次エピタキシ
ャル成長させ、GaN系半導体積層構造を製作する。
【0069】続いて、p型GaNコンタクト層1107
の上面に絶縁膜1108によるストライプパターンを形
成する。
【0070】次に、図14に示すように、p型GaNコ
ンタクト層1107上にAu/Ni/Tiからなるp型
電極1109、及びn型GaN基板1100裏面にAl
/Tiからなるn型電極1110を形成する。尚、各電
極金属の積層膜厚はp型電極1009では、Auが20
0nm、Niが15nm、Tiが5nm、n型電極10
10ではAlが150nm、Ti30nmである。最後
に、レーザ素子構造全体をN2雰囲気下において、約4
00℃でアニールし、レーザ素子を完成させる。
【0071】本実施例では、半導体層をエピタキシャル
成長させる基板として、n型GaN基板を使用した。こ
のことによって、実施例3、実施例4に説明したサファ
イア基板を用いたレーザ素子に比べ、欠陥密度の低減な
どのエピタキシャル層の結晶性が向上し、ひいては、本
実施例のレーザ素子の特性が向上する。このようなGa
N基板を用いた場合でも、本願発明の電極構造を用いる
ことによって、サファイア基板上のレーザ素子と同様な
効果を示し、従来のAu/Ti電極をp型電極に使用し
たレーザ素子に比べて、p型電極の密着強度の向上、ま
た、p型電極部での電圧降下及び素子全体の動作電圧の
低減が図れた。
【0072】(実施例6)次に、本発明の第5の実施例
を素子断面を模式的に示した図13〜図14を参照しな
がら説明する。本実施例は、実施例1で説明した電極構
造を実際のレーザ素子構造に適用したまた別の例であ
る。このレーザ素子は、以下の方法により作製される。
【0073】最初に、図13に示すように、{000
1}面の面方位を有するn型GaN基板1100上にn
型GaNバッファ層1101、n型AlGaNクラッド
層1102、n型GaN光ガイド層1103、InGa
N多重量子井戸活性層1104、p型GaN光ガイド層
1105、p型AlGaN層1106、P型GaNコン
タクト層1107をMOCVD法により順次エピタキシ
ャル成長させ、GaN系半導体積層構造を製作する。
【0074】続いて、p型GaNコンタクト層1107
の上面に絶縁膜1108によるストライプパターンを形
成する。
【0075】次に、図14に示すように、p型GaNコ
ンタクト層1107上にAu/Pd/Tiからなるp型
電極1109及びn型GaN基板1100裏面にAl/
Tiからなるn型電極1010を形成する。尚、各電極
金属の積層膜厚はp型電極1011では、Auが200
nm、Pdが50nm、Tiが5nm、n型電極ではA
lが150nm、Ti30nmである。最後に、レーザ
素子構造全体をN2雰囲気下において、約400℃でア
ニールし、レーザ素子を完成させる。
【0076】本実施例でも、半導体層をエピタキシャル
成長させる基板として、n型GaN基板を使用した。ま
た、本実施例では、Au/Pd電極をp型電極として用
いた場合に比べて、p型電極部の電圧降下及びレーザ素
子全体の動作電圧が減少する。また、NiのかわりにP
dを用いることによって、実施例5に示すレーザ素子よ
りもp型電極部の動作電圧及びレーザ素子全体の動作電
圧を低減することができた。
【0077】尚、実施例5及び実施例6では、基板とし
て{0001}面の面方位を有するがN基板を用いた
が、基板はこれに限られるものではなく、{0001}
面の他に{0−100}面、{11−20}面、{1−
101}面、{01−12}面で実施例5、6と同等の
特性を有するレーザ素子を作製できる。また、本発明は
活性層としてInGaN多重量子井戸構造を用いたが、
例えば活性層としてGaN系半導体にAsやPなどが含
まれる構造を用いてもよい。また、レーザ素子ではp型
GaNコンタクト層の電流注入部は電極ストライプ構造
を使用しているが、リッジ構造やその他の構造を用いて
も構わない。また、レーザ素子に限るものではなく、発
光素子(LED)にも本発明は適用できる。
【0078】
【発明の効果】以上のように、本発明の電極構造によれ
ば、p型GaNコンタクト層に対する電極構造の高抵抗
化要因を抑制して低抵抗で良好なオーミック特性を有す
る電極構造を実現することができるとともに、コンタク
ト層と電極構造との間の密着強度も改善され、半導体デ
バイスの生産歩留まりを大幅に向上させることができ
る。また、本発明の副次的な効果として、電極構造のオ
ーミック化に必要なアニール温度を従来に比べて低くす
ることができるので、半導体デバイスの製造プロセスに
おける簡便化や制御の容易化に大きく貢献することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電極構造において、III族窒化物半
導体コンタクト層上に複数の金属層が堆積された直後の
状態を示す模式的な断面図である。
【図2】本発明の電極構造において、オーミック化アニ
ール処理後の状態を示す模式的な断面図である。
【図3】実施例1による電極構造のオーミック化アニー
ルとしてのアロイ温度とコンタクト抵抗の関係を示すグ
ラフである。
【図4】実施例1の電極構造において、Ti層とNi層
の好ましい厚さ範囲を示すグラフである。
【図5】実施例2による電極構造において、オーミック
化アロイ温度とコンタクト抵抗との関係を示すグラフで
ある。
【図6】実施例2による電極構造において、Ti層とP
d層の好ましい厚さ範囲を示すグラフである。
【図7】従来の電極構造において、オーミック化熱処理
後の状態を示す模式的な断面図である。
【図8】比較例のAu/Ti/Ni電極構造と従来のA
u/Ni電極構造におけるオーミック化アロイ温度とコ
ンタクト抵抗との関係を示すグラフである。
【図9】比較例のAu/(TiNi合金)電極構造にお
けるオーミック化アロイ温度とコンタクト抵抗との関係
を実施例1との対比において示すグラフである。
【図10】サファイア基板上に形成した本発明の電極構
造を有したレーザ素子の作製工程を示す図である。
【図11】サファイア基板上に形成した本発明の電極構
造を有したレーザ素子の作製工程を示す図である。
【図12】サファイア基板上に形成した本発明の電極構
造を有したレーザ素子の作製工程を示す図である。
【図13】GaN基板上に形成した本発明の電極構造を
有したレーザ素子の作製工程を示す図である。
【図14】GaN基板上に形成した本発明の電極構造を
有したレーザ素子の作製工程を示す図である。
【符号の説明】
101 p型GaNコンタクト層 102 第1金属層 102A オーミック化熱処理後の混合層 103 第2金属層 104 第3金属層 501 p型GaNコンタクト層 502 Ni層 503 Au層 504 GaNiとNiNを含む中間層 1000 サファイア基板 1001 GaNバッファ層 1002 n型GaNコンタクト層 1003 n型AlGaNクラッド層 1004 n型GaN光ガイド層 1005 InGaN多重量子井戸活性層 1006 p型GaN光ガイド層 1007 p型AlGaN層 1008 p型GaNコンタクト層 1009 ドライエッチングマスク 1010 絶縁膜 1011 p型電極 1012 n型電極 1100 n型GaN基板 1101 n型GaNバッファ層 1102 n型AlGaNクラッド層 1103 n型GaN光ガイド層 1104 InGaN多重量子井戸活性層 1105 p型GaN光ガイド層 1106 p型AlGaN層 1107 p型GaNコンタクト層 1108 絶縁膜 1109 p型電極 1110 n型電極

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 p型のIII族窒化物半導体層上の電極
    構造であって、前記半導体層上に順次積層された第1、
    第2および第3の電極層を含み、 前記第1電極層はTi、Hf、Zr、V、Nb、Ta、
    Cr、W、およびScからなる第1金属グループから選
    択された少なくとも1種類を含み、 前記第2電極層はNi、Pd、およびCoからなる第2
    金属グループから選択された少なくとも1種類を含み、 前記第3電極層はAuを含むことを特徴とする電極構
    造。
  2. 【請求項2】 前記第1電極層の厚さが1〜500nm
    の範囲内にあることを特徴とする請求項1に記載の電極
    構造。
  3. 【請求項3】 前記第2電極層の厚さが5nm以上であ
    ることを特徴とする請求項1または2に記載の電極構
    造。
  4. 【請求項4】 前記第3電極層の厚さが50nm以上で
    あることを特徴とする請求項1から3のいずれかの項に
    記載の電極構造。
  5. 【請求項5】 前記第1電極層は前記第1金属グループ
    に含まれる金属の窒化物を含むとともに前記第2金属グ
    ループに含まれる金属とGaとの化合物をも含むことを
    特徴とする請求項1から4のいずれかの項に記載の電極
    構造。
  6. 【請求項6】 p型のIII族窒化物半導体層上の電極
    構造の形成方法であって、 Ti、Hf、Zr、V、Nb、Ta、Cr、W、および
    Scからなる第1金属グループから選択された少なくと
    も1種類を含む第1電極層を前記半導体層上に堆積し、 Ni、Pd、およびCoからなる第2金属グループから
    選択された少なくとも1種類を含む第2の電極層を前記
    第1電極層上に堆積し、 Auを含む第3の電極層を前記第2電極層上に堆積する
    工程を含むことを特徴とする電極構造の形成方法。
  7. 【請求項7】 前記第1から第3の電極層が堆積された
    後にN2雰囲気中、Ar雰囲気中、または真空中で30
    0〜700℃の範囲内の温度のもとで前記電極構造を熱
    処理する工程をさらに含むことを特徴とする請求項6に
    記載の電極構造の形成方法。
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