JP2001015852A - p型のIII族窒化物半導体層上の電極構造とその形成方法 - Google Patents
p型のIII族窒化物半導体層上の電極構造とその形成方法Info
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Abstract
低抵抗と高い密着強度を有する電極構造を提供する。 【解決手段】 p型のIII族窒化物半導体層上の電極
構造は、その半導体層上に順次積層された第1、第2お
よび第3の電極層(102,103,104)を含み、
第1電極層(102)はTi,Hf,Zr,V,Nb,
Ta,Cr,WおよびScからなる第1金属グループか
ら選択された少なくとも1種類を含み、第2金属層(1
03)はNi,PdおよびCoからなる第2金属グルー
プから選択された少なくとも1種類を含み、そして第3
電極層(104)はAuを含むことを特徴としている。
Description
ーザダイオードに代表されるようなIII族窒化物半導
体装置における電極構造の改善に関するものである。
ばInxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0≦
x<1、0<y≦1、0≦z<1)で表わされるGaN
系化合物半導体は、大きなエネルギバンドギャップや高
い熱的安定性を有し、またその組成を調節することによ
ってバンドギャップ幅を制御することも可能である。し
たがって、GaN系半導体は、発光素子や高温デバイス
をはじめとして、さまざまな半導体デバイスに応用可能
な材料として期待されている。なかでも、GaN系材料
を用いた発光ダイオード(LED)では、青から緑の光
波長域で数cd級の光度を有するデバイスが既に開発さ
れて実用化されている。今後はさらに、長波長の光用の
LEDを得て、LEDディスプレイをフルカラー化する
ことや、GaN系材料を用いたレーザダイオード(L
D)の実用化が、研究開発の目標になりつつある。
イスにおいて、従来から用いられているp型電極の構造
を模式的な断面図で示している。このp型電極において
は、p型GaNからなるp型GaNコンタクト層501
上にNiの金属層502を堆積して窒素雰囲気中で50
0℃において10分間アニールすることによって、Ga
Nコンタクト層501とNi層502との拡散反応によ
る中間層504が形成されている。Ni層502上に
は、さらに、ワイヤボンディングまたはデバイスの装着
のための表面電極層503が積層されている。この表面
電極層503の材料としては、Auなどが用いられる場
合が多い。
4は、p型GaNコンタクト層501とNi層502が
直接接触した場合に界面に生じるショットキー障壁を緩
和させる効果をもたらす。
例示されているような従来技術によるp型GaN系コン
タクト層上のp型電極においては、そのオーミック特性
に不安定性があり、比コンタクト抵抗値も比較的高くて
約10-2Ωcm2程度の範囲内にあるという課題があ
る。たとえば、半導体レーザのp型電極に必要とされる
比コンタクト抵抗値は約10-3Ωcm2程度以下であ
り、これを従来技術で達成することは困難である。
構造を詳細に検討した結果、図7において形成される中
間層504の主な成分はGaとNiの化合物(Ga‐N
i化合物;以下、元素Xと元素Yの化合物をX−Y化合
物と表記する)からなることがわかった。
コンタクト層501の表面状態、そのp型GaNコンタ
クト層501とNi層502との間の界面反応の進行具
合、さらにはアニール温度などによって影響を受けやす
く、そのような中間層504を含むp型電極では安定し
た一定の電極特性を得ることが困難であることも明らか
になった。特に、中間層504の形成が不十分な場合に
は、p型電極とp型GaNコンタクト層501との間の
密着強度に著しい低下を生じ、半導体デバイスをステム
などと電気的に連結するためのワイヤボンディング時に
電極の剥がれが頻発することもわかった。
分としてのGa−Niの化合物以外にNi−Nの化合物
も形成されていることもわかった。このNi−Nの化合
物のためのNの供給源は、p型GaNコンタクト層50
1である。すなわち、p型GaNコンタクト層501中
のN原子が中間層504中に吸出され、p型GaNコン
タクト層501の表面近傍が高抵抗層(またはn型層)
に変質し、その結果としてp型電極構造の高抵抗化を引
起こすことも明らかになった。
技術における課題に鑑み、本発明は、p型のIII族窒
化物半導体層上で安定した低抵抗と高い密着強度を有す
る電極構造を高い歩留まりで提供することを目的として
いる。
III族化合物半導体層上の電極構造は、半導体層上に
順次積層された第1、第2および第3の電極層を含み、
第1電極層はTi、Hf、Zr、V、Nb、Ta、C
r、W、およびScからなる第1金属グループから選択
された少なくとも1種類を含み、第2電極層はNi、P
d、およびCoからなる第2金属グループから選択され
た少なくとも1種類を含み、そして第3電極層はAuを
含むことを特徴としている。
に含まれるたとえばTiはたとえばn型GaN層に対す
るn型電極構造において用いられてきた金属であり、p
型GaN層上にTi層を単体で形成すれば、それはショ
ットキー電極としてふるまう。しかし、たとえばNiを
含む第2電極層とp型GaN層との界面に第1電極層と
してTiを均一に少量用いることによって、この少量の
Tiがほとんどショットキー効果を生じることなく界面
反応促進剤として作用することが明らかになった。
オーミックコンタクトを得るために施されるアニール温
度が従来に比べて100〜200℃程度低温化され得る
とともに、小さな比コンタクト抵抗値と高い密着強度が
得られることがわかった。
内にあり、第2電極層の厚さは5nm以上であり、そし
て第3電極層の厚さが50nm以上であることが好まし
い。
電極層は第1金属グループに含まれる金属の窒化物を含
むとともに、第2金属グループに含まれる金属とGaと
の化合物をも含んでいる。
物半導体層上の電極構造の形成方法において、Ti、H
f、Zr、V、Nb、Ta、Cr、W、およびScから
なる第1金属グループから選択された少なくとも1種類
を含む第1電極層を半導体層上に堆積し、Ni、Pd、
およびCoからなる第2金属グループから選択された少
なくとも1種類を含む第2の電極層を第1電極層上に堆
積し、そしてAuを含む第3の電極層を第2電極層上に
堆積する工程を含んでいることを特徴としている。
た後に、その電極構造は、N2雰囲気中、Ar雰囲気
中、または真空中で300〜700℃の範囲内の温度の
もとでオーミック化のために熱処理される。
て以下の実施例1と2が試みられるとともに、それらに
関連する事項も検討された。実施例1はp型GaNコン
タクト層上に順次積層されたTi層、Ni層、およびA
u層を含むAu/Ni/Ti電極構造に関するものであ
り、実施例2はNi層の代わりにPd層を用いたAu/
Pd/Ti電極構造に関するものである。
して、まず、任意の半導体デバイスに含まれるp型のI
II族窒化物半導体のコンタクト層101として、サフ
ァイア基板上にp型GaN層が形成された。このp型G
aN層101を形成するために、有機金属気相成長(M
OCVD)法によって、MgをドープしたGaN層がエ
ピタキシャル成長させられた。GaN層101には10
19/cm3のMgが添加されており、N2雰囲気下でのア
ニールによるp型化処理後に、p型GaN層101は
1.5×1017/cm3のキャリア濃度を示した。
B)真空蒸着装置内に配置され、p型GaNコンタクト
層101上の第1、第2および第3の電極層102、1
03、104として、厚さ5nmのTi層、厚さ15n
mのNi層、および厚さ200nmのAu層がそれぞれ
堆積された。
をN2雰囲気下において約400℃でアニールすること
によって、第1実施例による電極構造が完成させられ
た。
た電極構造が模式的な断面図で示されている。実施例1
において400℃でアニールされた後の電極構造を詳細
に調べたところ、サファイア基板上では下から順にp型
GaN層101、Ti−N化合物とNi−Ga化合物と
の混合物層102A、Ni層103、そしてAu層10
4からなっていることが明らかになった。他方、400
℃でのアニール前の電極断面構造では、Ti−N化合物
とNi−Ga化合物はほとんど検出されなかった。この
ことから、これらTi−NとNi−Gaの2種類の化合
物は、400℃におけるオーミック化アニール工程中の
反応によって形成されているものであると考えられる。
型GaNコンタクト層501とNi層502との間に形
成されるNi−N化合物は、その電極構造の高抵抗化や
不安定性の要因となる。しかし、実施例1においてはオ
ーミック化の最終アニール前にTi層102が存在して
いるので、その最終アニールの初期において、まずp型
GaN層101とTi層102との間でTi−N化合物
が形成される。このTi−N化合物のためのNは主とし
てp型GaN層101から供給されるので、GaN層1
01の表面はGaが過剰な状態になっている。そして、
過剰になったフリーのGaとNi層103からのNiと
が直接反応することによって、混合物層102A中のN
i−Ga化合物が形成される。このような反応過程を経
ることによって、実施例1ではp型GaN層101の表
面の化学量論的組成比を損なうことなく、そしてNi−
N化合物の形成に伴う高抵抗層(またはn型層)を形成
することなく、p型GaNコンタクト層101と金属電
極との間のオーミック化反応を促進させることができる
と考えられる。
有しているので、上述の混合物層102Aに含まれてい
るTi−N化合物は、図7におけるようなGaN層50
1とNi層502との反応によって生じるNi−Ga化
合物層504と比較して、より低温のアニールによって
生じる。そして、TiによってNが奪われてフリーにな
ったGaの存在下において、Ni−Ga化合物の形成反
応も、NiがGaとNとの結合を切ってGaと反応する
に要する温度より低いアニール温度で生じやすくなる。
すなわち、実施例1の電極構造がオーミック性を得るた
めに必要とされるアニールは、図7に示された従来の電
極構造に比べて低温で行なうことが可能である。
である。このグラフにおいて、横軸のアロイ温度(℃)
は電極構造をオーミック化するためのアニール温度を表
わし、縦軸のコンタクト抵抗(Ωcm2)はオーミック
化処理後の抵抗を表わしている。
Ni電極構造においては黒丸印で表わされているように
400℃のアニール温度からGaN層501とNi層5
02との界面反応によるコンタクト抵抗の顕著な低下が
生じ始めるのに対し、実施例1のAu/Ni/Ti電極
構造では白丸印で表わされているように300℃のアニ
ール温度からコンタクト抵抗の顕著な低下が開始してお
り、従来より低温でGaN層101とNi層103との
反応が生じ始めていることがわかる。このように比較的
低温のアニールによってオーミック化され得ることは、
電極製造プロセス中の温度制御精度の向上やそのプロセ
スの簡便化を可能にし、生産工程上で非常に有益な利点
となる。
Au/Ni/Ti電極構造は、従来のAu/Ni電極構
造に比べて、300〜600℃のアニール温度範囲内で
小さなコンタクト抵抗を有している。また、最小のコン
タクト抵抗の得られるアニール温度についても従来のA
u/Ni電極構造では500℃であるのに対して、実施
例1のAu/Ni/Ti電極構造ではそれより低い40
0℃である。これらの理由としては、実施例1ではTi
層102が介在するので、従来の電極構造で見られたG
aN層501の表面における化学量論的組成比のずれや
Ni−N化合物の生成に起因する高抵抗層(またはn型
層)の形成が抑制された効果によると考えられる。
構造において、Ti層102とNi層103のそれぞれ
の厚さを種々に変化させてアニール処理した後のオーミ
ック性を判定した結果を示している。この図4のグラフ
において、横軸はTi層102の膜厚(nm)を表わ
し、縦軸はNi層103の膜厚(nm)を表わしてい
る。黒丸印はAu/Ni/Ti電極において従来のAu
/Ni電極より小さなコンタクト抵抗が安定して得られ
た場合を表わし、×印は従来に比べて明らかな改善効果
が得られなかった場合を示している。
の膜厚に関しては、それが約1〜500nmの範囲内に
ある場合に、Au/Ni/Ti電極構造において従来の
Au/Ni電極構造に比べて小さなコンタクト抵抗が安
定して得られた。しかし、Ti層102が1nmより薄
くてたとえば0.5nmの場合、Au/Ni/Ti電極
構造のアニール後のコンタクト抵抗は、従来のAu/N
i電極構造に比べてほとんど改善されなくなった。これ
は、Ti層102が薄すぎるために、GaN層101と
の界面反応においてTi−N化合物を形成するための絶
対量が不足し、Ni層103からのNiとGaN層10
1との間の反応が支配的になるためと考えられる。他
方、Ti層102が500nmより厚い場合には、Au
/Ni/Ti電極構造はアニールの温度を高くしたり時
間を長くしてもオーミック特性を示さず、ショットキー
特性しか示さなかった。これは、Ti層102が厚すぎ
るためにNi層103とGaN層101とが完全に遮断
され、Niが反応に寄与し得ないためであると考えられ
る。
5nm以上の場合に、Au/Ni/Ti電極構造におい
て従来のAu/Ni電極構造に比べて小さいコンタクト
抵抗が安定して得られた。しかし、Ni層103が5n
mより薄くてたとえば1nmの場合、Au/Ni/Ti
電極構造はアニール後においてもオーミック特性が不十
分であった。これは、Ni層103の厚さが十分でない
ために、Au層104からNi層103を貫通してAu
がTi層102まで達してしまうためであると考えられ
る。他方、Ni層103の膜厚の上限に関しては、それ
を1μm程度まで厚くしてもAu/Ni/Ti電極構造
の電気的特性に対する悪影響は見られなかったが、1μ
mを超える厚さでは電極構造が少し剥がれやすくなる傾
向のあることが観察された。したがって、電極構造を実
際の半導体デバイスに使用するうえで重要なその密着強
度を考慮すれば、Ni層103の好ましい厚さの上限は
約1μmであると考えられる。
構造の特性をさらに詳細に調べるために、Au層を含ま
ない比較例としてのNi/Ti電極構造も試作された。
しかし、このNi/Ti電極構造はN2雰囲気中のアニ
ール時にNiが雰囲気中のNと化合物を形成してしま
い、良好なオーミック特性を得ることができなかった。
この現象について検討した結果、Ni層の窒化による変
質を防ぐためには実施例1におけるようにAu層104
を積層しておけばよく、Au層の厚さは約50nm以上
であれば十分であることがわかった。
は、電極の電気的特性からは何ら制限がない。しかし、
Au層104が約5μmより厚くなれば、電極のパター
ニングにリフトオフ工程が利用される場合にそのリフト
オフの容易性が低下する。また、ワイヤボンディング工
程の接着性の観点からもAu層104の厚さが5μmあ
れば十分であり、それ以上厚くしても高価なAuの使用
量が増えるだけであって好ましくない。したがって、A
u層104の厚さの好ましい上限は、約5μmであると
考えられる。
構造に対する比較例としてAu/Ti/Ni電極構造と
Au/(TiNi合金)電極構造も試作されたが、いず
れの比較例においても実施例1におけるような良好な電
気的特性を得ることができなかった。これらの事実が、
図3のグラフと同様な図8と図9のグラフに示されてい
る。
は、それぞれ比較例のAu/Ti/Ni電極構造と従来
のAu/Ni電極構造におけるコンタクト抵抗のアニー
ル温度依存性を表わしている。このグラフに示されてい
るように、比較例のAu/Ti/Ni電極構造は、いず
れの温度によるアニール後においても、従来のAu/N
i電極構造に比べて、ほとんどコンタクト抵抗の改善を
もたらしはしない。これは、Au/Ti/Ni電極構造
においても従来と同様にNi層がp型GaN層に直接接
触しているのでその界面にNi−N化合物を生成し、高
抵抗の界面層が生じるからであると考えられる。
が、それぞれ比較例のAu/(TiNi合金)電極構造
と実施例1のAu/Ni/Ti電極構造におけるコンタ
クト抵抗のアニール温度依存性を表わしている。比較例
のAu/(TiNi合金)電極構造においては、やはり
TiNi合金層中のNiまたはNiの濃度の高い部分と
p型GaNコンタクト層とが部分的に直接接触反応し
て、NiN化合物を生成する傾向がある。したがって、
比較例のAu/(Ti−Ni合金)電極構造ではアニー
ル後に部分的に高抵抗領域が形成され、その結果とし
て、電極全体として平均化したコンタクト抵抗も高くな
ると考えられる。
造では、アニール前にTi層102がGaN層101の
表面を覆っているので高抵抗化の要因であるNi−N化
合物が生成されることがなく、図9に示されているよう
に比較例のAu/(TiNi合金)電極構造に比べて小さ
なコンタクト抵抗値を安定して得ることができる。すな
わち、実施例1の電極構造における電気的特性の改善効
果に関して、Ni層103とp型GaNコンタクト層1
01との間に形成されたTi層102が重要な役割を果
たしていることがわかる。
タクト層に含まれるMg濃度に関しては1.0×1018
〜1.0×1020/cm3の範囲で変化させられたが、
いずれのMg濃度のp型GaNコンタクト層に対しても
Au/Ni/Ti電極構造によって良好なオーミック特
性を得ることができた。
化のアニールがN2雰囲気中で行なわれたが、Ar雰囲
気中または真空中でアニールされてもよい。その場合に
は、最適なアニール温度がN2雰囲気を用いる場合に比
べて少し変化するが、従来のAu/Ni電極構造の最適
アニール温度に比べて低くなることに変わりはない。
の界面反応が従来例に比べて低温でかつ温度などの条件
に影響されにくくて確実に生じるので、従来の電極にお
いてしばしば見られた界面の密着強度不足による剥がれ
の問題を生じることもない。
おいても、実施例1と同様にサファイア基板上にMgが
ドープされたp型GaNコンタクト層101が形成され
た。このGaNコンタクト層101上には、厚さ5nm
のTi層102、厚さ30nmのPd層103、および
厚さ200nmのAu層104がEB蒸着法によって堆
積された。そして、サファイア基板上の電極構造全体を
N2雰囲気下において約500℃でアニールすることに
よって、実施例2による電極構造が完成させられた。
成した電極構造において、サファイア基板上では下から
順にp型GaN層101、Ti−N化合物とPd−Ga
化合物との混合物層102A、Pd層103、そしてA
u層104からなっていることが明らかになった。な
お、500℃でのアニール前の電極断面構造では、Ti
−N化合物とPd−Ga化合物はほとんど検出されなか
った。このことから、これらのTi−NとPd−Gaの
2種類の化合物は、500℃におけるオーミック化アニ
ール工程中の反応によって形成されるものであると考え
られる。
d電極構造の場合、アニール処理後においてPd層とG
aNコンタクト層との間にPd−N化合物が形成され
る。このPd−N化合物は、従来のAu/Ni電極構造
におけるNi−N化合物と同様に、電極構造の高抵抗化
や不安定性の要因となる。しかし、実施例2においては
オーミック化アニールの前にTi層102が実施例1の
場合と同じ役割を果たすので、p型GaN層101の表
面の化学量論的組成比を損なうことなく、そしてPd−
N化合物の形成に伴う高抵抗層(またはn型層)を形成
することなく、p型GaNコンタクト層101と金属電
極との間のオーミック化反応を促進させることができる
と考えられる。
て、白丸印と黒丸印は、それぞれ実施例2のAu/Pb
/Ti電極構造と比較例のAu/Pd電極構造における
コンタクト抵抗のアニール温度依存性を表わしている。
このグラフに示されているように、400〜600℃の
温度範囲において実施例2のAu/Pd/Ti電極構造
は比較例のAu/Pd電極構造に比べて小さなコンタク
ト抵抗を有している。また、界面反応によってコンタク
ト抵抗が顕著に低減し始めるアニール温度に関しても、
比較例のAu/Pd電極構造においては500℃からで
あるのに対して、実施例2のAu/Pd/Ti電極構造
においては400℃からであり、約100℃だけ低下し
ている。このようにより低い温度のアニールによってオ
ーミック化され得ることは、実施例1に関しても述べら
れたように、電極製造工程において非常に有益な利点と
なり得る。
のAu/Pd/Ti電極構造において、Ti層102と
Pd層103のそれぞれの厚さを種々に変化させてアニ
ール処理した後のオーミック性を判定した結果を示して
いる。実施例1の場合と同様に、実施例2においても、
Ti層102の膜厚が約1〜500nmの範囲内にある
場合に低いコンタクト抵抗が安定して得られた。Pd層
103の膜厚に関しては、それが約10nm以上の場合
に、従来に比べて低いコンタクト抵抗が安定して得られ
た。Pd層103の膜厚の上限に関しては、1μm程度
まで厚くしてもAu/Pd/Ti電極構造の電気的特性
に対する悪影響は見られなかったが、1μmを超える厚
さでは、実施例1の場合と同様に電極構造が少し剥がれ
やすくなる傾向のあることが観察された。したがって、
実施例1の場合と同様に、実施例2においてもPd層1
03の好ましい厚さの上限は約1μmであると考えられ
る。
i電極構造も試作された。しかし、この比較例のPd/
Ti電極構造においても、N2雰囲気中のアニール時に
Pdが雰囲気中のNと化合物を形成してしまい、良好な
オーミック特性を得ることができなかった。この現象に
ついて検討した結果、実施例1に関連して述べられたの
と同様に、Pd層の窒化による変質を防ぐためにはAu
層を積層しておけばよく、そのAu層の厚さは約50n
mであれば十分であることがわかった。また、Au層の
厚さの上限については、実施例1に関連して述べられた
のと同様の理由によって、約5μm以下であることが好
ましいと考えられる。
においてもp型GaNコンタクト層に含まれるMgの濃
度が1.0×1018〜1.0×1020/cm3の範囲で
変化させられたが、いずれのMg濃度のp型GaNコン
タクト層に対してもAu/Pd/Ti電極構造によって
良好なオーミック特性を得ることができた。
施例2の電極構造のオーミック化のアニールはN2雰囲
気中で行なわれたが、Ar雰囲気中または真空中でアニ
ールされてもよい。その場合にも、最適なアニール温度
がN2雰囲気を用いる場合に比べて少し変化するが、比
較例のAu/Pd電極構造の最適アニール温度に比べて
低くなることに変わりはない。
においても、アニール時の界面反応が従来例に比べて低
温でかつ温度などの条件に影響されにくくて確実に生じ
るので、従来の電極においてしばしば見られた界面の密
着強度不足による剥がれの問題を生じることもない。
電極構造をAlGaInN系半導体レーザ素子に適用し
たところ、従来の電極構造に比べて電極部における電圧
降下を低く抑えることができ、半導体レーザ素子全体の
消費電力を低減し得ることが確認された。たとえば、5
μmのストライプ幅と500μmの共振器長の寸法を有
する半導体レーザに実施例1のAu/Ni/Ti電極と
従来のAu/Ni電極を適用した場合、20mA通電時
の電極部における電圧降下はそれぞれ約0.8Vと約4
Vであり、本発明による優れた効果を明確に確認するこ
とができた。また、実施例2におけるようにNi層の代
わりにPd層を用いることによってコンタクト抵抗のよ
り抵抗化を図ることができ、それに伴って半導体レーザ
素子の電極部分における電圧降下もさらに低減し得るこ
とが確認された。
層102上にPdの第2金属層103が積層されている
が、これは、実施例1に関連して述べられたように、本
発明において特徴的なPd−Ga化合物とTi−N化合
物との混合層102Aを効率よく形成するために必要な
構成である。すなわち、積層構造がAu/Ti/Pdま
たはAu/(TiPd合金)であっても、本発明の特徴
である低いコンタクト抵抗率が得られなくなる。
コンタクト層と直接接する第1金属層102としてTi
が用いられたが、さらに検討した結果、Tiのみならず
Hf、Zr、V、Nb、Ta、Cr、W、Scなどの金
属単体またはこれらの合金を用いてもTiと同様の効果
が得られることがわかった。
第2金属層としてCoを選択したAu/Co/Ti電極
構造についても検討したが、実施例1および2の場合と
同様に、Ti層を含まないAu/Co電極構造に比較し
て優れた電気的特性および密着性が得られることも確認
された。
堆積にEB蒸着法が用いられたが、金属層の堆積法に関
しては、スパッタリング法やCVD法のように他の方法
が用いられてもよいことは言うまでもない。
例を素子断面を模式的に示した図10〜図12を参照し
ながら説明する。本実施例は、実施例1で説明した電極
構造を実際のレーザ素子構造に適用した例である。この
レーザ素子は、以下の方法により作製される。
面を有するサファイア基板1000上にGaNバッファ
層1001、n型GaNコンタクト層1002、n型A
lGaNクラッド層1003、n型GaN光ガイド層1
004、InGaN多重量子井戸活性層1005、P型
GaN光ガイド層1006、p型AlGaN層100
7、p型GaNコンタクト層1008をMOCVD法に
より順次エピタキシャル成長させ、GaN系半導体積層
構造を製作する。
導体積層構造上にドライエッチングマスク1009を作
製した後、ドライエッチングマスク1009で被覆され
ていない部分を、リアクティブイオンエッチング(RI
E)法によりn型GaNコンタクト層1002まで掘り
下げ、メサ構造を形成する。
完全に除去した後、メサ上部に絶縁膜1010によるス
トライプパターンを形成する。
u/Ni/Tiからなるp型電極1011、メサ底部に
あたn型GaNコンタクト層1002上にAl/Tiか
らなるn型電極1012を形成する。尚、各電極金属の
積層膜厚はp型電極1011では、Auが200nm、
Niが15nm、Tiが5nm、n型電極ではAlが1
50nm、Ti30nmである。最後に、レーザ素子構
造全体をN2雰囲気下において、約400℃でアニール
し、レーザ素子を完成させる。
ザ素子では、Au/Niからなるp型電極を有する従来
のレーザ素子に比べて、p型電極の密着強度のレーザ素
子ごとのばらつきが抑制され、良品のとれる歩留まりが
向上した。また、p型電極形成後に行うアニール処理温
度も400℃と従来より100℃も低くなり、これによ
り製造プロセスの温度制御精度の向上や製造プロセスの
簡便化に寄与した。
aNコンタクト層1008との界面反応が生じることに
よって、電極−コンタクト層における良好なオーミック
特性が得られる接触面積が大きくでき、結果的にp型電
極のコンタクト抵抗が低減される。これにより、従来の
Au/Ti電極をp型電極に使用したレーザ素子に比べ
て、動作電圧の低減が図れた。
例を素子断面を模式的に示した図10〜図12を参照し
ながら説明する。本実施例は、実施例3で説明したレー
ザ素子構造と比較すると、p型電極以外の構造は同じで
ある。
C面の結晶面を有するサファイア基板1000上にGa
Nバッファ層1001、n型GaNコンタクト層100
2、n型AlGaNクラッド層1003、n型GaN光
ガイド層1004、InGaN多重量子井戸活性層10
05、P型GaN光ガイド層1006、p型AlGaN
層1007、P型GaNコンタクト層1008をMOC
VD法により順次エピタキシャル成長させ、GaN系半
導体積層構造を製作する。
導体積層構造上にドライエッチングマスク1009を作
製した後、ドライエッチングマスク1009で被覆され
ていない部分を、リアクティブイオンエッチング(RI
E)法によりn型GaNコンタクト層1002まで掘り
下げ、メサ構造を形成する。
完全に除去した後、メサ上部に絶縁膜1010によるス
トライプパターンを形成する。
u/Pd/Tiからなるp型電極1011、メサ底部に
あたn型GaNコンタクト層1002上にAl/Tiか
らなるn型電極1012を形成する。尚、各電極金属の
積層膜厚はp型電極1011では、Auが200nm、
Pdが50nm、Tiが5nm、n型電極ではAlが1
50nm、Ti30nmである。最後に、レーザ素子構
造全体をN2雰囲気下において、約500℃でアニール
し、レーザ素子を完成させる。
ザ素子では、実施例3で示すレーザ素子と同様に、p型
電極の密着強度のレーザ素子ごとのばらつきが抑制さ
れ、良品のとれる歩留まりが向上した。また、p型電極
形成後に行うアニール処理温度もTiをp型電極に含ま
ない場合と比較して100℃ほど低くなり、これにより
製造プロセスの温度制御精度の向上や製造プロセスの簡
便化に寄与した。
型電極として用いた場合に比べて、p型電極部の電圧降
下及びレーザ素子全体の動作電圧が減少する。また、N
iのかわりにPdを用いることによって、実施例3に示
すレーザ素子よりもp型電極部の動作電圧及びレーザ素
子全体の動作電圧を低減することができた。
を素子断面を模式的に示した図13〜図14を参照しな
がら説明する。本実施例は、実施例1で説明した電極構
造を実際のレーザ素子構造に適用したまた別の例であ
る。このレーザ素子は、以下の方法により作製される。
1}面の面方位を有するn型GaN基板1100上にn
型GaNバッファ層1101、n型AlGaNクラッド
層1102、n型GaN光ガイド層1103、InGa
N多重量子井戸活性層1104、p型GaN光ガイド層
1105、p型AlGaN層1106、p型GaNコン
タクト層1107をMOCVD法により順次エピタキシ
ャル成長させ、GaN系半導体積層構造を製作する。
の上面に絶縁膜1108によるストライプパターンを形
成する。
ンタクト層1107上にAu/Ni/Tiからなるp型
電極1109、及びn型GaN基板1100裏面にAl
/Tiからなるn型電極1110を形成する。尚、各電
極金属の積層膜厚はp型電極1009では、Auが20
0nm、Niが15nm、Tiが5nm、n型電極10
10ではAlが150nm、Ti30nmである。最後
に、レーザ素子構造全体をN2雰囲気下において、約4
00℃でアニールし、レーザ素子を完成させる。
成長させる基板として、n型GaN基板を使用した。こ
のことによって、実施例3、実施例4に説明したサファ
イア基板を用いたレーザ素子に比べ、欠陥密度の低減な
どのエピタキシャル層の結晶性が向上し、ひいては、本
実施例のレーザ素子の特性が向上する。このようなGa
N基板を用いた場合でも、本願発明の電極構造を用いる
ことによって、サファイア基板上のレーザ素子と同様な
効果を示し、従来のAu/Ti電極をp型電極に使用し
たレーザ素子に比べて、p型電極の密着強度の向上、ま
た、p型電極部での電圧降下及び素子全体の動作電圧の
低減が図れた。
を素子断面を模式的に示した図13〜図14を参照しな
がら説明する。本実施例は、実施例1で説明した電極構
造を実際のレーザ素子構造に適用したまた別の例であ
る。このレーザ素子は、以下の方法により作製される。
1}面の面方位を有するn型GaN基板1100上にn
型GaNバッファ層1101、n型AlGaNクラッド
層1102、n型GaN光ガイド層1103、InGa
N多重量子井戸活性層1104、p型GaN光ガイド層
1105、p型AlGaN層1106、P型GaNコン
タクト層1107をMOCVD法により順次エピタキシ
ャル成長させ、GaN系半導体積層構造を製作する。
の上面に絶縁膜1108によるストライプパターンを形
成する。
ンタクト層1107上にAu/Pd/Tiからなるp型
電極1109及びn型GaN基板1100裏面にAl/
Tiからなるn型電極1010を形成する。尚、各電極
金属の積層膜厚はp型電極1011では、Auが200
nm、Pdが50nm、Tiが5nm、n型電極ではA
lが150nm、Ti30nmである。最後に、レーザ
素子構造全体をN2雰囲気下において、約400℃でア
ニールし、レーザ素子を完成させる。
成長させる基板として、n型GaN基板を使用した。ま
た、本実施例では、Au/Pd電極をp型電極として用
いた場合に比べて、p型電極部の電圧降下及びレーザ素
子全体の動作電圧が減少する。また、NiのかわりにP
dを用いることによって、実施例5に示すレーザ素子よ
りもp型電極部の動作電圧及びレーザ素子全体の動作電
圧を低減することができた。
て{0001}面の面方位を有するがN基板を用いた
が、基板はこれに限られるものではなく、{0001}
面の他に{0−100}面、{11−20}面、{1−
101}面、{01−12}面で実施例5、6と同等の
特性を有するレーザ素子を作製できる。また、本発明は
活性層としてInGaN多重量子井戸構造を用いたが、
例えば活性層としてGaN系半導体にAsやPなどが含
まれる構造を用いてもよい。また、レーザ素子ではp型
GaNコンタクト層の電流注入部は電極ストライプ構造
を使用しているが、リッジ構造やその他の構造を用いて
も構わない。また、レーザ素子に限るものではなく、発
光素子(LED)にも本発明は適用できる。
ば、p型GaNコンタクト層に対する電極構造の高抵抗
化要因を抑制して低抵抗で良好なオーミック特性を有す
る電極構造を実現することができるとともに、コンタク
ト層と電極構造との間の密着強度も改善され、半導体デ
バイスの生産歩留まりを大幅に向上させることができ
る。また、本発明の副次的な効果として、電極構造のオ
ーミック化に必要なアニール温度を従来に比べて低くす
ることができるので、半導体デバイスの製造プロセスに
おける簡便化や制御の容易化に大きく貢献することがで
きる。
導体コンタクト層上に複数の金属層が堆積された直後の
状態を示す模式的な断面図である。
ール処理後の状態を示す模式的な断面図である。
ルとしてのアロイ温度とコンタクト抵抗の関係を示すグ
ラフである。
の好ましい厚さ範囲を示すグラフである。
化アロイ温度とコンタクト抵抗との関係を示すグラフで
ある。
d層の好ましい厚さ範囲を示すグラフである。
後の状態を示す模式的な断面図である。
u/Ni電極構造におけるオーミック化アロイ温度とコ
ンタクト抵抗との関係を示すグラフである。
けるオーミック化アロイ温度とコンタクト抵抗との関係
を実施例1との対比において示すグラフである。
造を有したレーザ素子の作製工程を示す図である。
造を有したレーザ素子の作製工程を示す図である。
造を有したレーザ素子の作製工程を示す図である。
有したレーザ素子の作製工程を示す図である。
有したレーザ素子の作製工程を示す図である。
Claims (7)
- 【請求項1】 p型のIII族窒化物半導体層上の電極
構造であって、前記半導体層上に順次積層された第1、
第2および第3の電極層を含み、 前記第1電極層はTi、Hf、Zr、V、Nb、Ta、
Cr、W、およびScからなる第1金属グループから選
択された少なくとも1種類を含み、 前記第2電極層はNi、Pd、およびCoからなる第2
金属グループから選択された少なくとも1種類を含み、 前記第3電極層はAuを含むことを特徴とする電極構
造。 - 【請求項2】 前記第1電極層の厚さが1〜500nm
の範囲内にあることを特徴とする請求項1に記載の電極
構造。 - 【請求項3】 前記第2電極層の厚さが5nm以上であ
ることを特徴とする請求項1または2に記載の電極構
造。 - 【請求項4】 前記第3電極層の厚さが50nm以上で
あることを特徴とする請求項1から3のいずれかの項に
記載の電極構造。 - 【請求項5】 前記第1電極層は前記第1金属グループ
に含まれる金属の窒化物を含むとともに前記第2金属グ
ループに含まれる金属とGaとの化合物をも含むことを
特徴とする請求項1から4のいずれかの項に記載の電極
構造。 - 【請求項6】 p型のIII族窒化物半導体層上の電極
構造の形成方法であって、 Ti、Hf、Zr、V、Nb、Ta、Cr、W、および
Scからなる第1金属グループから選択された少なくと
も1種類を含む第1電極層を前記半導体層上に堆積し、 Ni、Pd、およびCoからなる第2金属グループから
選択された少なくとも1種類を含む第2の電極層を前記
第1電極層上に堆積し、 Auを含む第3の電極層を前記第2電極層上に堆積する
工程を含むことを特徴とする電極構造の形成方法。 - 【請求項7】 前記第1から第3の電極層が堆積された
後にN2雰囲気中、Ar雰囲気中、または真空中で30
0〜700℃の範囲内の温度のもとで前記電極構造を熱
処理する工程をさらに含むことを特徴とする請求項6に
記載の電極構造の形成方法。
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JP2000125121A JP2001015852A (ja) | 1999-04-26 | 2000-04-26 | p型のIII族窒化物半導体層上の電極構造とその形成方法 |
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JP11777599 | 1999-04-26 | ||
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