JPH10125309A - 非水二次電池 - Google Patents

非水二次電池

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JPH10125309A
JPH10125309A JP8295754A JP29575496A JPH10125309A JP H10125309 A JPH10125309 A JP H10125309A JP 8295754 A JP8295754 A JP 8295754A JP 29575496 A JP29575496 A JP 29575496A JP H10125309 A JPH10125309 A JP H10125309A
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JP
Japan
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compound
alkali metal
secondary battery
discharge
aqueous secondary
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JP8295754A
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English (en)
Inventor
Akira Kawakami
章 川上
Shuichi Wada
秀一 和田
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Maxell Holdings Ltd
Original Assignee
Hitachi Maxell Ltd
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Publication date
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
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  • Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高容量で、かつサイクル特性の優れた非水二
次電池を提供する。 【解決手段】 正極、負極および非水電解質を有する非
水二次電池において、上記負極を、少なくとも充放電時
にアルカリ金属の出入りを伴う化合物と上記アルカリ金
属を含み実質的に充放電に関与しない化合物との2種の
化合物を含む構成とし、上記充放電時にアルカリ金属の
出入りを伴う化合物は少なくともアルカリ金属と周期表
12族、13族または14族(ただし、炭素を除く)に
属する元素とを含み、上記アルカリ金属を含み実質的に
充放電に関与しない化合物は少なくとも上記充放電時に
アルカリ金属の出入りを伴う化合物が含むアルカリ金属
と同一のアルカリ金属と周期表15族、16族または1
7族に属する元素とを含む構成とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非水二次電池に関
し、さらに詳しくは、高容量で、かつサイクル特性の優
れた非水二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】リチウム二次電池に代表される非水二次
電池は、高容量で、かつ高電圧、高エネルギー密度であ
ることから、その発展に対して大きな期待が寄せられて
いる。
【0003】この非水二次電池では、有機溶媒にリチウ
ム塩を溶解させた有機溶媒系の電解液が用いられ、負極
活物質としてリチウムまたはリチウム合金が用いられて
きたが、これらの負極活物質による場合、高容量化を期
待できるが、充電時のリチウムのデンドライト成長によ
り内部短絡を起こしやすく、そのため、電池特性が低下
し、また、安全性に欠けるという問題があった。
【0004】そこで、リチウムやリチウム合金に代え
て、リチウムイオンをドープ・脱ドープ可能な活性炭や
黒鉛などの炭素材料を負極活物質として用いることが検
討されている(特公平4−24831号公報、特公平5
−17669号公報など)。
【0005】上記黒鉛は、炭素原子6個に対して1個の
リチウムイオンを捕らえることができ、これを単位体積
当たりの容量で示すと830mAh/mlに相当する。
【0006】しかし、この黒鉛は、充放電によるリチウ
ムイオンの出入りにより、完全充電(372mAh/g
相当のリチウムを含む状態)時には、完全放電(リチウ
ムを含まない状態)時に対して層間距離が約10%拡大
し、充電、放電を繰り返すと、この伸び縮みにより結晶
が崩壊して特性が劣化する。そのため、黒鉛で500サ
イクル以上の寿命を得るには、通常250mAh/g
(600mAh/ml)以下の範囲内で使用しなければ
ならないという制約があった。
【0007】そして、この黒鉛よりも高容量のものとし
ては低結晶炭素がある。この低結晶炭素は黒鉛に比べて
炭素−炭素間の結合距離が約20%大きいので、リチウ
ムの挿入量を多くすることができ、しかも充放電中に格
子間隔の伸び縮みがほとんどないので、サイクル寿命も
長くなるものと期待されている。
【0008】しかし、この低結晶炭素は理論上最大12
00mAh/g(すなわち、C2 Liの状態)までの高
容量が期待できるものの、現実に開発されているものは
約800mAh/gのものまでである。
【0009】また、高容量化が期待できるという観点か
ら、リチウム合金(金属間化合物も含む)を負極活物質
として用いることが今なお多く検討されている。その代
表的なものはLi−Al合金であり、このLi−Al合
金では、金属結合したAl−Al骨格をマトリックスと
してLi−Al合金の形成とLi−Al合金からのLi
の離脱を行わせることによって充放電が行われるが、そ
の充放電によって結晶格子間隔が伸び縮みするため、充
放電を繰り返すと、Li−Al合金が微粉末化して負極
の膨潤や電解液の不必要な吸収を引き起し、特性が劣化
するという問題がある。また、このLi−Al合金以外
にも、Li−Pb合金、Li−Sb合金などが提案され
ているが、これらもLi−Al合金と同様の劣化傾向を
示す。
【0010】また、合金よりもイオン性が高いMg2
n、Mg2 SiやSi、Sn、GeなどとLiとの化合
物でも同様の劣化が生じ、高容量で、かつ長寿命の負極
材料は得られていない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】上記のリチウムの合金
や化合物のうち、Li−Al合金やLi−Pb合金など
は1Ah/ccの容量が得られ、SnやSiはSnLi
4 、SiLi4 までLiと反応できるので、数Ah/c
cの容量が得られるが、反応するLiの量が多くなるほ
ど、充放電時の格子の伸び縮みによりサイクル特性が劣
化し、また、そのようなサイクル特性の劣化が少ない負
極材料は容量が小さいため、高容量で、かつサイクル特
性の優れた非水二次電池は得られなかった。
【0012】本発明は、上記のような従来技術における
問題点を解決し、高容量で、かつサイクル特性の優れた
非水二次電池を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、負極を構成す
るにあたり、安定なマトリクスを形成し、そのマトリク
スに高容量の活物質を担持させることによって、高容量
で、かつサイクル特性が優れた非水二次電池を提供し、
上記目的を達成したものである。
【0014】すなわち、本発明は、正極、負極および非
水電解質を有する非水二次電池において、上記負極を、
少なくとも充放電時にアルカリ金属の出入りを伴う化合
物と上記アルカリ金属を含み実質的に充放電に関与しな
い化合物との2種の化合物を含む構成とし、上記充放電
時にアルカリ金属の出入りを伴う化合物は少なくともア
ルカリ金属と周期表12族、13族または14族(ただ
し、炭素を除く)に属する元素を含み、上記アルカリ金
属を含み実質的に充放電に関与しない化合物は少なくと
も上記充放電時にアルカリ金属の出入りを伴う化合物が
含むアルカリ金属と同一のアルカリ金属と周期表15
族、16族または17族に属する元素を含む構成とした
ものである。なお、本発明において、周期表の族の表示
は、日本化学会編、第4版実験化学講座、「元素の周期
表(1989年)」に基づいている。
【0015】上記の構成からなる本発明では、上記充放
電に関与しない化合物がマトリクスとなり、そのマトリ
クスに上記充放電時にアルカリ金属の出入りを伴う化合
物が担持され、活物質として作用する。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、アルカリ金属に関してリチ
ウムを例に挙げて本発明をより詳細に説明する。
【0017】まず、マトリクスとなる化合物について説
明すると、理想的なマトリクスとなるには、充放電時に
格子間隔の伸び縮みができるだけ少ないものであること
が必要であり、優れたサイクル特性が得られるようにす
るには、できるだけ大きな表面積を持つことが必要であ
る。また、マトリクスとなる化合物は、リチウムイオン
と反応して変質せず、かつ電解液に溶解しないなどの化
学的安定性も要求される。さらに、電気伝導性が大き
く、リチウムイオンの伝導性が大きなものが、電池内で
の電子やイオンの局在化を妨げることができるので好ま
しい。
【0018】本発明において、このマトリクスとなる化
合物は、アルカリ金属を含み実質的に充放電に関与しな
いであって、少なくともアルカリ金属と周期表15族、
16族または17族に属する元素とを含む化合物で構成
する。上記アルカリ金属としてはLi、Na、Kなどが
挙げられ、上記周期表15族、16族または17族に属
する元素としてはN、P、As、Sb、Bi、O、S、
Se、Te、F、Cl、Br、Iなどが挙げられる。
【0019】このマトリクスとして使用できる化合物を
リチウム化合物の中で考察すると、上記の条件を満たす
ものとしてリチウムの窒化物、酸化物、硫化物、セレン
化物などが挙げられるが、特にリチウムの窒化物である
Li3 N(窒化リチウム)がリチウムに対して安定で、
イオン伝導性も10-4S/cmと大きく、しかも電子伝
導性があり、マトリクスとして最適である。
【0020】このLi3 N以外にも、LiCl、LiB
r、LiIなどのハロゲン化物もリチウムに対して安定
で、分解電圧も高く、イオン伝導性も実用上問題がない
が、これらは一般に有機溶媒に対して溶解性があるた
め、安定性に問題があり、ポリマー電解質などを用いた
固体電解質系の電池でのみ使用できる。
【0021】一方、このマトリクス上に担持させる化合
物は活物質として作用するものであり、この活物質とな
る化合物は、高容量密度が期待できるものであることが
好ましく、本発明において、この活物質となる化合物は
充放電時にアルカリ金属の出入りを伴う化合物であっ
て、少なくともアルカリ金属と周期表12族、13族ま
たは14族(ただし、炭素を除く)に属する元素を含む
化合物で構成する。上記アルカリ金属としてはLi、N
a、Kなどが挙げられ、上記周期表12族、13族また
は14族に属する元素としてはZn、Cd、B、Al、
Ga、In、Si、Ge、Sn、Pbなどが挙げられ
る。
【0022】この活物質となる化合物としては、高容量
密度が期待できるリチウム合金やリチウムを含む金属間
化合物が好ましく、金属リチウムが2Ah/mlである
のに対して、LiとSi、Ge、Snなどとの合金や、
LiとMg2 Sn、Mg2 Siなどとの金属間化合物
は、金属リチウムの場合よりもパッキングが密になり最
大4Ah/mlの容量密度が可能であり、本発明におい
て、特に好適に用いられる。
【0023】つぎに、上記のマトリクス(すなわち、ア
ルカリ金属を含み実質的に充放電に関与しない化合物で
あって、少なくともアルカリ金属と周期表15族、16
族または17族に属する元素とを含む化合物)に活物質
となる化合物(充放電時にアルカリ金属の出入りを伴う
化合物であって、少なくともアルカリ金属と周期表12
族、13族または14族に属する元素とを含む化合物)
を担持させる方法について述べる。
【0024】例えば、Li3 4 (窒化リチウム)をマ
トリクスとする場合、Si3 4 にリチウムイオンと電
子を下記の反応式に従って反応させることにより、マト
リクスとなるLi3 Nが合成されるとともにマトリクス
となるLi3 Nに活物質となるSi(Li)4 を担持さ
せた負極が作製される。
【0025】Si3 4 +(9+4x)Li+(9+4
x)e−→ 3Li3 N+4Si(Li)x
【0026】このようにして作製される負極は、微細な
構造を有するLi3 Nのマトリクスに、同様に微細な構
造を有するSi(Li)x が活物質として担持されたも
のになっている。
【0027】この負極をLiCoO2 などを活物質とす
る正極を対極として充放電させると、マトリクスのLi
3 Nは安定で何らの変化も受けず、活物質のSi(L
i)xは最初から非常に小さな粒子状態でマトリクスに
担持されているので、充放電サイクルを繰り返しても、
従来のリチウム合金負極使用時のように負極が板状から
崩壊して粉末状に変化し、電池特性が急激に劣化してし
まうようなことがなく、優れたサイクル特性を維持する
ことができる。
【0028】このような優れたサイクル特性を得るに
は、負極作製にあたっての原料物質の物理的形状が影響
を及ぼすので、Si3 4 粉末の粒子形状に充分な管理
が必要であり、1μm以下の微細なSi3 4 粒子を用
いて負極を作製することが好ましい。
【0029】上記のようなSi3 4 を用いてのLi3
Nの合成および負極の作製は、電池外のみならず、Si
3 4 を用いて電池組立をした後の第1回目の充電によ
る電気化学的反応を利用することによって行うことがで
きる。すなわち、マトリクスとなる化合物(すなわち、
アルカリ金属を含み実質的に充放電に関与しない化合物
であって、少なくともアルカリ金属と周期表15族、1
6族または17族に属する元素とを含む化合物)と、活
物質となる化合物(すなわち、充放電時にアルカリ金属
の出入りを伴う化合物であって、少なくともアルカリ金
属と周期表12族、13族または14族に属する元素と
を含む化合物)は、マトリクスとなる化合物に活物質と
なる化合物が担持された負極の形態で電池組立後の第1
回目の充電により電気化学的に生成する。
【0030】上記Si3 4 は、マトリクスとして特に
好適なLi3 Nの合成とこれに担持されたSi(Li)
x の作製に用いることができるので、負極を作製するた
めの原料物質として特に好適であるが、このSi3 4
以外にも、Sn3 4 、Ge3 4 なども同様に有用で
あり、またSiOx y のようなオキシナイトライド化
合物も負極作製のための原料物質として有用である。
【0031】本発明において、正極活物質としては、特
に限定されることなく各種のものを使用することができ
るが、特にリチウムニッケル酸化物、リチウムマンガン
酸化物、リチウムコバルト酸化物(これらは、通常、そ
れぞれLiNiO2 、LiMn2 4 、LiCoO2
どで表すが、これらのLiとNiの比、LiとMnの
比、LiとCoの比は化学量論組成からずれている場合
が多い)などのリチウム含有遷移金属酸化物が好適に用
いられる。
【0032】そして、正極は、上記正極活物質に、必要
に応じて、たとえば、りん(鱗)状黒鉛、アセチレンブ
ラック、カーボンブラックなどの導電助剤と、たとえば
ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、エチ
レンプロピレンジエンターポリマーなどのバインダーを
加えて調製した正極合剤を加圧成形するか、あるいはさ
らに溶剤を加えてペースト状にし、それを金属箔(たと
えばアルミニウム箔、チタン箔、白金箔など)などから
なる集電体上に塗布、乾燥する工程を経て作製される。
ただし、正極の作製方法は上記例示のものに限定される
ことはない。
【0033】負極は、たとえば、Li3 4 などの負極
作製のための原料となる物質と、りん(鱗)状黒鉛、ア
セチレンブラック、カーボンブラックなどの導電助剤
と、結着剤との混合物を含んだ負極前駆体としての電極
体を作製し、それを電池に組み込み、電池組立後の第1
回目の充電時の電気化学的反応によって作製される。た
だし、このような電池内での電気化学的反応を経る方法
によることなく、あらかじめ電池外で負極としての状態
に仕上げておいてもよい。そして、この負極の形として
は、コイン形電池、ボタン形電池の場合は上記組成の負
極合剤を加圧成形する工程を経て作製したペレット状の
ものを用い、円筒形電池や角形電池の場合は上記組成の
負極合剤に溶剤などを加えてペースト状に調製し、その
ペーストを銅箔やニッケル箔などに塗布し、乾燥する工
程を経て作製されるシート状のものを用いることが多
い。ただし、負極の作製方法やその形態などは上記例示
に限定されるものではない。
【0034】非水電解質としては、有機溶媒を使用した
液状電解質、ポリマー電解質などの固体電解質のいずれ
も使用することができる。上記の液状電解質、すなわ
ち、電解液としては、たとえば1,2−ジメトキシエタ
ン、1,2−ジエトキシエタン、プロピレンカーボネー
ト、エチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、テト
ラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、ジエチレンカ
ーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカー
ボネートなどの単独または2種以上の混合溶媒に、たと
えばLiCF3 SO3 、LiC4 9 SO3 、LiCl
4 、LiPF6、LiBF4 などの溶質を単独でまた
は2種以上を溶解させて調製した有機溶媒系の電解液が
用いられる。
【0035】
【実施例】つぎに、実施例を挙げて本発明をより具体的
に説明する。ただし、本発明はそれらの実施例のみに限
定されるものではない。
【0036】実施例1 平均粒径5μmのSi3 4 80重量部と導電助剤とし
てのりん状黒鉛5重量部およびアセチレンブラック5重
量部と、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン10重量
部と、溶剤としてのN−メチル−2−メチルピロリドン
80重量部とを混合してペーストを調製し、そのペース
トを集電体としての厚さ20μmの銅箔上にアプリケー
タを用いて塗布し、乾燥した後、カレンダロールでプレ
スして、厚さ0.6mmで直径16mmの負極の前駆体
となる電極体を作製した。
【0037】一方、正極は次のようにして作製した。す
なわち、正極活物質としてはリチウムニッケル酸化物
(通常、LiNiO2 で表される)を用い、このリチウ
ムニッケル酸化物とりん状黒鉛とポリフッ化ビニリデン
とを下記の割合で含む正極形成用の活物質含有ペースト
を調製した。
【0038】 リチウムニッケル酸化物 91重量部 りん状黒鉛 6重量部 ポリフッ化ビニリデン 3重量部
【0039】上記の正極形成用の活物質含有ペーストの
調製は、ポリフッ化ビニリデンをN−メチル−2−メチ
ルピロリドンにあらかじめ溶解し、それにリチウムニッ
ケル酸化物とりん状黒鉛を加えて混合し、さらにN−メ
チルピロリドンを加えて混合することにより行った。
【0040】得られた正極形成用の活物質含有ペースト
を集電体としての厚さ20μmのアルミニウム箔上にア
プリケーターを用いて塗布し、乾燥した後、カレンダロ
ールでプレスして、厚さ0.6mmで直径16mmの正
極を作製した。
【0041】そして、非水電解質としては、エチレンカ
ーボネートと1,2−ジメトキシエタンとの体積比1:
1の混合溶媒にLiPF6 を1モル/リットル溶解させ
て調製した液状電解質、すなわち、有機溶媒系の電解液
を用い、図1に示す構造で、外径20mm、高さ1.6
mmのボタン形電池を組み立て、その組立後の電池を2
0℃、電流密度0.2mA/cm2 で定電流充電を行
い、電圧がLi+ /Liに対して0.1Vになった時点
で定電位充電に切り替えさらに20時間の充電を行っ
て、負極前駆体としての電極体を電池組立後の第1回目
の充電による電気化学的反応を利用して負極に変換させ
ることにより、非水二次電池を作製した。
【0042】図1において、1は上記の正極であり、2
は上記の負極である。3は微孔性ポリプロピレンフィル
ムからなるセパレータで、4はポリプロピレン不織布か
らなる電解液吸収体である。5はステンレス鋼製の正極
缶であり、6はアルミニウム箔からなる正極集電体であ
る。7はステンレス鋼製で表面にニッケルメッキを施し
た負極缶で、8は銅からなる負極集電体である。そし
て、9はポリプロピレン製の環状ガスケットであって、
この電池にはエチレンカーボネートと1,2−ジメトキ
シエタンとの体積比1:1の混合溶媒にLiPFを1モ
ル/リットル溶解させた電解液が注入されている。
【0043】実施例2 Si3 4 に代えてGe3 4 を用いた以外は、実施例
1と同様にして非水二次電池を作製した。
【0044】実施例3 Si3 4 に代えてSiOx y を用いた以外は、実施
例1と同様にして非水二次電池を作製した。
【0045】実施例4 Si3 4 に代えてSn3 4 を用いた以外は、実施例
1と同様にして非水二次電池を作製した。
【0046】比較例1 負極活物質としての2800℃で処理した人造黒鉛90
重量部と、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン10重
量部と、溶剤としてのN−メチル−2−ピロリドンとを
混合してペーストを調製し、このペーストを厚さ20μ
mの銅箔上にアプリケータで塗布し、乾燥した後、カレ
ンダロールでプレスして、厚さ0.6mmで直径16m
mの負極を作製し、この負極を用いた以外は、実施例1
と同様にして非水二次電池を作製した。すなわち、この
比較例1の電池の負極は、上記実施例1〜4の電池の負
極のような電池組立後の第1回目の充電による電気化学
的反応を利用する必要がないので、この比較例1の電池
では実施例1〜4の電池のような第1回目の充電を行っ
ていない。
【0047】比較例2 フェノール樹脂を窒素雰囲気中で熱処理し、粉砕後、平
均粒径20μmとしたH/C比が0.22のポリアセン
粉末を負極活物質として用いた以外は、比較例1と同様
にして負極および非水二次電池を作製した。
【0048】比較例3 厚さ0.6mmで直径16mmの鉛板を負極として用い
た以外は、比較例1と同様にして非水二次電池を作製し
た。
【0049】比較例4 厚さ0.6mmで直径16mmのAl−Li合金(Li
含量87.5原子%)板を負極として用いた以外は、比
較例1と同様にして非水二次電池を作製した。
【0050】比較例5 厚さ0.6mmで直径16mmのスズ箔を負極として用
いた以外は、比較例1と同様にして非水二次電池を作製
した。
【0051】上記のようにして作製した実施例1〜4お
よび比較例1〜5の電池のうち、実施例1〜4の電池は
既に第1回目の充電を行っているので、比較例1〜5の
電池についてのみ実施例1〜4の電池と同様に20℃、
電流密度0.2mA/cm2で定電流充電を行い、電圧
がLi+ /Liに対して0.01Vになった時点で定電
位充電に切り替えさらに20時間の充電を行った。
【0052】つぎに、この第1回目の充電後の実施例1
〜4および比較例1〜5の電池を20℃、電流密度0.
2mA/cm2 で1.0Vまで放電を行い、この第1回
目の放電での放電容量を測定した。
【0053】そして、第2回目以後の充放電は、充電は
0.2mA/cm2 で0.01Vまで、放電は0.2m
A/cm2 で1.0Vまでというサイクルを繰り返し、
放電容量が第1回目の放電容量の1/2になるまでのサ
イクル数を調べた。その結果を第1回目の放電容量と共
に表1に示す。
【0054】
【表1】
【0055】表1に示す結果から明らかなように、実施
例1〜4の電池は、高容量で、かつサイクル特性が優れ
ていた。すなわち、実施例1〜4の電池は、放電容量が
500mAh/g以上であって高容量であり、かつ放電
容量が第1回目の放電容量の1/2以下になるまでのサ
イクル数が500回以上であって、サイクル特性が優れ
ていた。
【0056】これに対して、人造黒鉛を負極活物質とし
て用いた比較例1の電池は放電容量が370mAh/g
にしかならず、ポリアセンを負極活物質として用いた比
較例2の電池は放電容量が大きかったものの、放電容量
が1/2に低下するまでのサイクル数が450回であっ
て、実施例1〜4の電池よりサイクル特性が劣ってい
た。
【0057】また、鉛板を負極に用いた比較例3の電池
は放電容量が小さく、かつサイクル特性が悪く、Al−
Li合金板を負極に用いた比較例4の電池やスズ箔を負
極に用いた比較例5の電池は特にサイクル特性が悪かっ
た。
【0058】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
高容量で、かつサイクル特性の優れた非水二次電池を提
供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る非水二次電池の一例を模式的に示
す断面図である。
【符号の説明】
1 正極 2 負極 3 セパレータ 4 電解液吸収体

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 正極、負極および非水電解質を有する非
    水二次電池において、上記負極が、少なくとも充放電時
    にアルカリ金属の出入りを伴う化合物と上記アルカリ金
    属を含み実質的に充放電に関与しない化合物との2種の
    化合物を含むことを特徴とする非水二次電池。上記充放
    電時にアルカリ金属の出入りを伴う化合物は、少なくと
    もアルカリ金属と周期表12族、13族または14族
    (ただし、炭素を除く)に属する元素とを含み、上記ア
    ルカリ金属を含み実質的に充放電に関与しない化合物
    は、少なくとも上記充放電時にアルカリ金属の出入りを
    伴う化合物が含むアルカリ金属と同一のアルカリ金属と
    周期表15族、16族または17族に属する元素を含む
    ものである。
  2. 【請求項2】 上記充放電時にアルカリ金属の出入りを
    伴う化合物およびアルカリ金属を含み実質的に充放電に
    関与しない化合物の2種の化合物が、電池組立後の第1
    回目の充電により電気化学的に生成されたことを特徴と
    する請求項1記載の非水二次電池。
  3. 【請求項3】 上記充放電時にアルカリ金属の出入りを
    伴う化合物が、ケイ素を含むことを特徴とする請求項1
    記載の非水二次電池。
  4. 【請求項4】 上記アルカリ金属を含み実質的に充放電
    に関与しない化合物が、窒素を含むことを特徴とする請
    求項1記載の非水二次電池。
  5. 【請求項5】 上記アルカリ金属を含み実質的に充放電
    に関与しない化合物が、窒素と酸素を含む化合物である
    か、窒化物、酸化物のいずれかであるか、またはその混
    合物であることを特徴とする請求項1記載の非水二次電
    池。
  6. 【請求項6】 上記負極が、電池組立直後にオキシナイ
    トライド化合物を含んでいることを特徴とする請求項5
    記載の非水二次電池。
  7. 【請求項7】 上記オキシナイトライドが、シリコンオ
    キシナイトライドであることを特徴とする請求項6記載
    の非水二次電池。
  8. 【請求項8】 上記アルカリ金属を含み実質的に充放電
    に関与しない化合物が、硫化物またはセレン化物である
    ことを特徴とする請求項1記載の非水二次電池。
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