JPH10121333A - ファイバーの製造方法 - Google Patents

ファイバーの製造方法

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JPH10121333A
JPH10121333A JP9170540A JP17054097A JPH10121333A JP H10121333 A JPH10121333 A JP H10121333A JP 9170540 A JP9170540 A JP 9170540A JP 17054097 A JP17054097 A JP 17054097A JP H10121333 A JPH10121333 A JP H10121333A
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Japan
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fiber
metal
fibers
sol solution
solution
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JP9170540A
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Kenji Kitaoka
賢治 北岡
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Minolta Co Ltd
Original Assignee
Minolta Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 製造工程において沈殿物等の不純物を生じ
ず、純度の高く、均質かつ緻密な金属酸化物ファイバー
の製造方法、これを用いた高集積な光変調素子の提供。 【解決手段】 金属あるいは金属化合物の水和物を含む
原料を、沸点が70℃以上のアルコール系溶媒に分散さ
せ、ゾル溶液を調製する第1工程と、このゾル溶液を、
100℃以下にて加熱し、原料を重合せしめ錯体化させ
た後に、曳糸性を示すまで濃縮する第2工程と、このゾ
ル溶液を、ファイバー前駆体に引き延ばしてゲル化させ
る第3工程と、これを加熱してファイバーを製造する第
4工程とを含む製造方法。光変調素子は、このファイバ
ー(2)を複数本、V溝(5)を表面に有する基板
(4)上に略並列に配列し、各ファイバーに個別に電界
を印加して電気光学特性を変化させることができるよう
にファイバー(2)に接して電極(1、3)を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術の分野】本発明は金属酸化物等のフ
ァイバーの製造方法、および光変調素子に関する。詳し
くはゾル−ゲル法を用いて製造されるファイバーの製造
方法およびこのようにして得られたファイバーを用いた
光変調素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、金属酸化物の有する様々な特
性を利用して、機能性素子として応用する研究が行われ
ている。例えば(Pb,La)(Zr,Ti)O3(以
下、PLZTと記す。)は、ペロブスカイト型の結晶構
造を有し、二次の電気光学効果(Kerr効果)が大き
いことが知られている。
【0003】このような金属酸化物をファイバー状に形
成することができれば、これらの特性を利用した製品へ
の応用範囲が広がり、新しいデバイス開発が可能とな
る。例えばPLZTファイバーをアレイ状に配置するこ
とにより、複数のビームを並列に処理可能な光変調素子
が実現できる。
【0004】金属酸化物ファイバーの製造方法として
は、所望の組成元素の酸化物や炭素塩を配合混合して、
空気中で高温反応させて得られた粉体原料を焼結させて
製造する固相反応を利用した製造方法が知られている。
しかし、固相反応は、直径がミクロンオーダーのファイ
バー形状に成形することが極めて難しいことと、組成元
素の酸化物や炭酸塩から金属イオンが粒界を越えて移動
する反応であるため、各組成元素が分子レベルまで均質
に混ざり合うことはなく、焼結してもバルク中に不純物
相や不均質な部分が発生しやすい。また高温での反応を
利用するために、工業化学的にはエネルギー消費が大き
く、コストが高くなる。
【0005】さらに、液体状態であるゾル状態から加水
分解あるいは重合されてゲル状態を経て合成された金属
酸化物ファイバーを得る「ゾル−ゲル法」も知られてい
る。ゾル−ゲル法によって合成された金属酸化物は、分
子レベルまで均質化されており、固相反応により合成さ
れたバルク体と比較して緻密で不純物相の少ない状態を
呈する。また、液体状態での反応であるので、固相反応
を利用する場合に比較してエネルギー消費が少なく、コ
スト的にも有利である。
【0006】ゾル−ゲル法としては、米国特許第492
1328号や、グラウビットらの論文("SOL-GEL PROCE
SSING OF PZT LONG FIBER", Walter GLAUBITT, Dieter
SPORN and Rainer JAHN, Intelligent Materials and S
ystem (1995) pp. 47-54)が知られている。
【0007】米国特許第4921328号は、無機多結
晶強誘電体ファイバーとファイバーインライン電気光学
変調器等に関する特許であり、その中で溶媒として2−
メトキシエタノールを用い、金属原料として酢酸鉛水和
物、酢酸ランタン水和物、ジルコニウムプロポキシド、
チタンプロポキシドを用い、触媒として硝酸を用いたゾ
ル−ゲル法によるPLZTファイバーの作製方法という
技術を開示している。
【0008】米国特許第4921328号に開示される
この作製方法では、原料である酢酸鉛水和物と酢酸ラン
タン水和物を165℃で15分間加熱している。この操
作は水和物の結晶水を除去するためのものである。しか
し、結晶水が除去されると不純物となる沈殿物が発生す
ることが報告されている(論文:J. Kang, T. Yoko,H.
Kozuka and S. Sakka, "Preparation of Pb-Based Comp
lex Perovskite Coating Film by Sol-Gel Method", p
p. 249-260, Proceedings of SPIE, Vol. 1758, Sol-Ge
l Optics II, San Diego, California, 1992参照。)。
沈殿物を生じさせないためには、結晶水除去は行わない
ほうが良い。
【0009】このような結晶水除去を行わない技術とし
て、前記グラウビットらの論文に開示される方法があ
る。この論文に示される方法は、従来、2−メトキシエ
タノールを溶媒に使用し、水和物の原料から結晶水を除
去して錯体化させていた製法を改良するものであり、溶
媒にプロピオン酸を使用してカルボキシル化させること
によって結晶水除去を不要としている。但し、プロピオ
ン酸を使用することによって不要な官能基を生じやす
い。当該官能基にはカルボキシル基等が結合し、ファイ
バー製造の加熱工程においてガス化しやすく、当該論文
の最終生成物のSEM写真から理解されるようにポーラ
スな構造をとりやすい。
【0010】一方、ファイバーを利用した光変調子の例
としては、例えば、特開昭60−170828号公報が
知られている。当該公報には、フォトリソグラフィー技
術を応用して製造されたPLZT光シャッターアレイ素
子が開示されている。この光シャッターアレイ素子は、
平板状のPLZT上に化学エッチングにより電極配設用
の溝を形成し、次いで溝が形成された側の面に金属材料
を蒸着した後、所定の電極パターンとなるように再度化
学エッチングを行うことで製造されるものである。
【0011】また、特公平7−31315号公報には、
電極用金属薄膜を蒸着したPLZT平板をダイヤモンド
カッターで精密加工し、一定ピッチで一定深さを有する
溝を形成して製造された光シャッターアレイ素子が提案
されている。
【0012】しかしながら、特開昭60ー170828
号公報記載の光シャッターアレイ素子は、極めて複雑で
高精度な製作工程を必要とするという問題を有してい
た。また化学エッチングによる溝加工を行っているの
で、この溝の深さを深くできず、光路長を長くとれない
ため、シャッター素子を駆動する上で高い電圧が必要で
あるという問題を有していた。
【0013】また特公平7−31315号公報記載の光
シャッターアレイ素子は、PLZTの加工にダイヤモン
ドカッターを用いているため、各アレイ間のピッチを小
さくすることができず、素子のコンパクト化、高集積化
が困難であるという問題を有していた。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記に鑑
み、製造工程において沈殿物等の不純物を生じず、純度
の高いファイバーを製造する、簡便なファイバー製造方
法を提供することを目的とする。
【0015】本発明はまた、均質かつ緻密なファイバー
を製造することのできる簡便なファイバー製造方法を提
供することを目的とする。
【0016】本発明はさらに、コンパクトかつ高集積な
光変調素子を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明のファイバー製造方法は、(1)金属あるい
は金属化合物の水和物を少なくとも一つ含む原料を、沸
点が70℃以上のアルコール系溶媒に分散させ、ゾル溶
液を調製する第1工程と、前記第1工程において得られ
たゾル溶液を、100℃以下にて加熱し、原料を重合せ
しめ錯体化させた後に、曳糸性を示すまで濃縮する第2
工程と、記第2工程において得られたゾル溶液を、ファ
イバー前駆体に引き延ばしてゲル化させる第3工程と、
ゲル化した前記ファイバー前駆体を加熱してファイバー
を製造する第4工程とを含むことを特徴とする。
【0018】本発明はまた、(2)前記第1工程におい
てアルコール系溶媒と金属錯体を形成する一座配位子も
しくは多座配位子を併用することを特徴とする上記
(1)に記載の製造方法を示すものである。
【0019】本発明はさらに、(3)金属錯体を形成す
る一座配位子もしくは多座配位子がアミン系のものであ
る上記(2)に記載の製造方法を示すものである。
【0020】本発明はまた、(4)前記第2工程におい
て、酸触媒および塩基触媒のいずれも使用しないこと、
を特徴とする上記(1)に記載の製造方法を示すもので
ある。
【0021】本発明はまた、(5)前記原料は、金属成
分として、Pb、LaおよびBiのうち少なくとも一つ
の元素と、Zr、Ti、Ni、Nb、FeおよびWのう
ち少なくとも一つの元素とを含む組成であることを特徴
とする上記(1)に記載の製造方法を示すものである。
【0022】本発明はさらに、(6)前記原料は、金属
成分として、PbおよびLaのうち少なくとも一つの元
素と、ZrおよびTiのうち少なくとも1つの元素とを
含む組成であることを特徴とする上記(5)に記載の製
造方法を示すものである。
【0023】本発明はさらに、(7)前記原料は、金属
成分として、Pbと、ZrおよびTiのうち少なくとも
一つの元素とを含む組成であることを特徴とする上記
(5)に記載の製造方法を示すものである。
【0024】本発明はさらに、(8)前記金属化合物の
水和物あるいは前記原料中に含まれるその他の金属化合
物が、金属のアルコキシド、酢酸塩、およびアセチルア
セトナートからなる群から選ばれてなる少なくとも1つ
の化合物である上記(1)に記載の製造方法に係る。
【0025】本発明はまた、(9)アルコール系溶媒
が、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノー
ル、n−ブタノール、イソブタノール、2−メトキシエ
タノール,2−エトキシエタノールおよびこれらの混合
物からなる群から選ばれてなるものである上記(1)に
記載の製造方法を示すものである。。
【0026】本発明はまた、(10)前記第1工程にお
いて、水和物の結晶水、溶媒中の水分、および大気中の
水分のうち少なくとも1つからゾル溶液に水が導入され
ていることを特徴とする上記(1)に記載の製造方法を
示すものである。
【0027】上記目的を達成する本発明の光変調素子
は、(11)電気光学特性を有する複数のファイバー、
複数のファイバーを略並列に保持する保持部材、および
複数のファイバーに電界を印加して電気光学特性を変化
させる電圧印加手段を有することを特徴とする。
【0028】本発明はまた、(12)前記保持部材が、
複数のファイバーを略並列に載置するための複数の溝が
形成された基板であることを特徴とする上記(11)に
記載の光変調素子を示すものである。
【0029】本発明はさらに、(13)前記電圧印加手
段が、保持部材としての基板表面に設けられた複数のフ
ァイバー全てに共通に接触する共通電極、各ファイバー
の共通電極との接触部以外の表面部位にそれぞれ設けら
れた個別電極、および共通電極と個別電極間に電圧を印
可する駆動電圧電源を含むものである上記(11)に記
載の光変調素子を示すものである。
【0030】本発明はさらに、(14)共通電極が電気
伝導性を有する接着剤により構成されていることを特徴
とする上記(13)に記載の光変調素子を示すものであ
る。
【0031】本発明はまた、(15)略並列に配列され
たファイバー間の間隙には、ファイバー原料よりも屈折
率が低い遮光性の充填剤が充填されていることを特徴と
する上記(11)に記載の光変調素子を示すものであ
る。
【0032】本発明はさらに、(16)ファイバーの一
方の端部がそれぞれ同じ方向に延長されており、前記端
部は束ねられていることを特徴とする上記(11)に記
載の光変調素子を示すものである。
【0033】本発明はさらに、(17)前記ファイバー
は、Pb、LaおよびBiのうち少なくとも一つの元素
と、Zr、Ti、Ni、Nb、FeおよびWのうち少な
くとも一つの元素とを含む組成であることを特徴とする
上記(11)記載の光変調素子を示すものである。
【0034】本発明はさらに、(18)前記ファイバー
が、金属成分としてPb、LaおよびBiのうち少なく
とも一つの元素と、Zr、Ti、Ni、Nb、Feおよ
びWのうち少なくとも一つの元素とを含み、かつこれら
の金属あるいはその金属化合物の少なくとも一つが水和
物として含有されてなる原料を、沸点が70℃以上のア
ルコール系溶媒に分散させ、ゾル溶液を調製する第1工
程と、前記第1工程において得られたゾル溶液を、10
0℃以下にて加熱し、原料を重合せしめ錯体化させた後
に、曳糸性を示すまで濃縮する第2工程と、前記第2工
程において得られたゾル溶液を、ファイバー前駆体に引
き延ばしてゲル化させる第3工程と、ゲル化した前記フ
ァイバー前駆体を加熱してファイバーを製造する第4工
程とを経て得られたファイバーであることを特徴とする
上記(11)記載の光変調素子を示すものである。
【0035】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施の形態に基づ
き詳細に説明する。
【0036】本発明は、金属あるいは金属化合物の水和
物を少なくとも一つ含む原料を、沸点が70℃以上のア
ルコール系溶媒に分散させ、ゾル溶液を調製する第1工
程と、前記第1工程において得られたゾル溶液を、10
0℃以下にて加熱し、原料を重合せしめ錯体化させた後
に、曳糸性(spinnable)を示すまで濃縮する第2工程
と、前記第2工程において得られたゾル溶液を、ファイ
バー前駆体に引き延ばしてゲル化させる第3工程と、ゲ
ル化した前記ファイバー前駆体を加熱してファイバーを
製造する第4工程とを含むことを特徴とするファイバー
製造方法に係る。
【0037】本発明に係るファイバー製造方法は、ゾル
−ゲル法に基づくファイバーの製造方法であって、金属
あるいは金属化合物を溶媒に混合し、均質なゾル溶液を
調製する第1工程と、前記第1工程において得られたゾ
ル溶液を、溶媒の沸点近傍の温度にて曳糸性を示すまで
加熱濃縮する第2工程と、前記第2工程において得られ
たゾル溶液をファイバー状(ファイバー前駆体)に成形
した後、ゲル化させる第3工程と、前記第3工程により
得られたゲル化した前記ファイバー前駆体を加熱処理し
て結晶化させる第4工程とを有するが、特に、原料とし
て使用される金属あるいは金属化合物の少なくとも一つ
として水和物を用いた場合に、優れた品質のファイバー
を簡単な操作によって製造可能とするために適用すべき
条件を規定したものである。
【0038】上記第1工程は、金属あるいは金属化合物
を溶媒に混合し、均質なゾル溶液を調製する工程であ
る。ここで、出発原料としての金属化合物は、有機ある
いは無機化合物のいずれでもよく、例示するならば、ア
ルコキシド、酢酸塩およびアセチルアセトナートの少な
くとも1つを含む化合物が好ましい。アルコキシド、酢
酸塩、およびアセチルアセトナートは、加水分解により
メタロキサンボンド(M−O−M:Mは金属)を生じる
性質を有している。この化合物間の結合は、ゾル溶液に
曳糸性を発現させるのに好適な構造である。
【0039】さらに、出発原料として、上記したような
アルコキシド、酢酸塩またはアセチルアセトナートを含
まなくとも、所定の条件したで加水分解や重合によっ
て、これらの化合物が合成可能な化合物であればよい。
例えば、金属単体、塩化物、硝酸塩等は、そのままで
は、メタロキサンボンドを形成することができないが、
所定の条件下で化学反応させることにより、アルコキシ
ド、酢酸塩、アセチルアセトナートを合成することがで
きる。
【0040】また、出発原料としての金属あるいは金属
化合物は、金属成分として、Pb、LaおよびBiのう
ち少なくとも1つの元素と、Zr、Ti、Ni、Nb、
FeおよびWのうち少なくとも1つの元素とを含む組成
であることが望ましい。これらの組成から構成される金
属あるいは金属化合物であれば、最終的に結晶化された
金属酸化物ファイバーが形成された場合、結晶が電気光
学特性を有するので、光シャッター素子等の機能性素子
を作製することができる故である。特に、出発原料とし
ての金属あるいは金属化合物は、金属成分として、Pb
およびLaのうち少なくとも1つの元素と、Zrおよび
Tiのうち少なくとも1つの元素とを含む組成、さらに
は、Pbと、ZrおよびTiのうち少なくとも1つの元
素をを含む組成であることが望ましい。
【0041】しかして、本発明の製造方法においては、
このような出発原料としての金属あるいは金属化合物の
少なくとも1つとして、金属あるいは金属化合物の水和
物を使用するものである。
【0042】ここで本明細書において、「水和物」と
は、水が、他の化合物あるいは原子とさらに化合して生
じた分子化合物をいい、さらに金属化合物の水和物と
は、前記したような金属化合物で結晶水を含むものであ
ると定義される。
【0043】本発明において、このような水和物が好ま
しく使用されるのは、金属化合物の水和物として代表的
な酢酸塩水和物、塩化物水和物、硝酸塩水和物等は、一
般に均質なゾルを得やすく、アルコール系溶媒に溶解し
やすく、アルコキシド等に比べて安価であるというよう
な利点を有することによる。また一般に工業的原料とし
て入手される各種金属化合物は、実際には水和物の形態
を有するものが多いことにもよる。
【0044】このような金属あるいは金属化合物の水和
物としては、具体的には例えば、酢酸鉛3水和物、酢酸
ランタン1.5水和物等の含水酢酸塩、塩化ランタン7
水和物、塩化ニッケル6水和物等の含水塩化物、硝酸ラ
ンタン6水和物、硝酸ニッケル6水和物、硝酸ビスマス
5水和物等の含水硝酸塩、アセチルアセトナートニッケ
ル2水和物、アセチルアセトナート鉛2水和物等の含水
アセチルアセトン錯塩などが挙げられる。しかしなが
ら、本発明において使用可能な金属化合物の水和物とし
ては、これらに例示される化合物に何ら限定されるもの
ではない。
【0045】一方、溶媒としては、アルコール系溶媒が
好ましいのは、金属若しくは金属酸化物またはこれらの
水和物を均質に溶解させる能力に優れるからである。特
に金属若しくは金属酸化物を、アルコキシド、酢酸塩、
あるいはアセチルアセトナートとしてゾルに導入する場
合に、これらを均質に溶解させる能力に優れている。
【0046】また、アルコール系溶媒は、金属若しくは
金属酸化物またはこれらの水和物に対して安定であり、
これらに不要な官能基を導入しないことからも好ましい
ものである。
【0047】さらに、本発明において用いられるアルコ
ール系溶媒は、沸点が70℃以上であることが好まし
い。これは、上記したような金属化合物またはその水和
物の中にはアルコール系溶媒に溶解するために、加熱を
必要とするものが多く、例えば、酢酸鉛3水和物を溶解
するためには溶媒中で65〜70℃程度以上に加熱する
必要があり、ランタンイソプロポキシドについても溶解
するために70℃程度以上、またタングステンエトキシ
ドについても同様に70℃程度以上に加熱する必要があ
る。このような溶解に要する加熱によって、溶媒が蒸発
することを防止するために、溶媒の沸点が70℃以上で
ある必要がある。
【0048】このような沸点が70℃以上のアルコール
系溶媒としては、例えば、エタノール、n−プロパノー
ル、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノー
ル、2−メトキシエタノール,2−エトキシエタノール
等が挙げられる。これらはそれぞれ単独であるいは2種
以上の混合物として用いることができる。
【0049】これらアルコール系溶媒は、使用される金
属化合物等に対する溶解力、安全性等を考慮して適宜選
択されることができるが、本発明において用いられるア
ルコール系溶媒としては、特に2−メトキシエタノー
ル、あるいは、2−メトキシエタノールとエタノールと
の混合物が好ましい。2−メトキシエタノールは金属化
合物等に対する溶解力や安定性の面で優れており、これ
を溶媒として用いることで第1工程におけるゾル溶液の
調製が容易となるものである。しかしながら、一方で、
2−メトキシエタノールは、エタノール等に比べると毒
性が強い。ゾル溶液の後述するような濃縮操作時には溶
媒のかなりの分量が揮発するために、毒性のある溶媒の
使用はなるべく減らすことが好ましく、このような安全
性の観点からすると、2−メトキシエタノールとエタノ
ールとの混合物が望ましいものである。
【0050】また、本発明の第1工程において調製され
るゾル溶液には、水を混合しても良い。前述したメタロ
キサンボンドを合成するためには、水分が必要とされる
ためである。
【0051】この水は、ゾル溶液の調製の際に上記溶媒
に水を添加しても良いが、金属ないし金属化合物の水和
物中の結晶水、溶媒のアルコール中の水分、および大気
中の水分のうちの少なくとも1つから導入しても良い。
水和物の結晶水、溶媒中の水分、あるいは大気中の水分
等から水を導入すれば、特別に水分を導入する必要もな
く工程を簡単とすることができる。
【0052】ゾル溶液を調製する際に混合される水と、
原料物質である金属若しくは金属化合物の水和物等の混
合比率は、金属イオンのモル数に対して0.5〜4倍の
モル数の水という範囲が望ましい。すなわち、全く水が
混合されないと、加水分解と重合が全く行われず、金属
イオン間の結合が無いために、後述するような第2工程
において曳糸性を示すゾルとすることが困難であり、一
方、水が多すぎると加水分解と重合反応が進行し過ぎ、
3次元ネットワーク構造が発達してしまう結果、ゾルが
ゲル化してしまい、流動性が失われて曳糸性を示さなく
なってしまう虞れがあるためである。
【0053】なお、第1工程において、アルコール系溶
媒と金属錯体を形成する一座配位子もしくは多座配位子
(一般に「キレート化剤」と呼ばれる。)を併用するこ
とも可能である。
【0054】アルコール系溶媒は、金属原料に不要な官
能基等を生じさせない点で有効であるが、得られるゾル
溶液中に沈殿物を生じさせないためには、金属原料の少
なくとも一部として使用される金属または金属化合物の
水和物中の結晶水を除去させない温度で、第1工程にお
ける操作を行う必要があり、すなわち、後述するように
100℃より高温での操作はできない。このため、使用
される金属又は金属化合物としてアルコール系溶媒に溶
解しにくいものが含まれている場合、例えばランタン系
では、アルコール系溶媒に対して溶解度が相当低いもの
となるため、収率を上げにくいものとなる。このような
金属ないし金属化合物等に対しては金属錯体を形成する
一座配位子もしくは多座配位子を併用して見掛け上の溶
解度を上げることが望ましい。
【0055】金属錯体を形成する一座配位子もしくは多
座配位子としては、具体的にはアミン系のものが望まし
く、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミ
ン、ジエチレントリアミン、エチレンジアミンテトラ酢
酸等があるが、もちろんこれらに限定されるわけではな
い。
【0056】一座配位子もしくは多座配位子としてアミ
ン系のものが好ましいのは、アミン系化合物は金属と配
位結合し得る能力を持ったドナー原子Nが存在し、アル
コール系溶媒に対して溶解度が低い金属原料に対しても
金属イオンに配位することにより金属原料の極性を変え
ることができ、アルコール系溶媒への溶解度を高くする
ため、金属原料の溶解性を向上させ、均一なゾルの調製
が容易となるとの理由によるものである。
【0057】本発明の製造方法の第1工程でのゾル溶液
の調製に当たり、製造しようとするファイバーがPLZ
TおよびPZTである場合には、第1工程においての溶
液の滴下混合に好ましい順序があり、金属化合物の水和
物ないしはその原料が溶解した溶液と、無水の金属原料
が含まれた溶液との混合を行う際には、水を含んだ溶液
を無水の金属原料が含まれた溶液に徐々に滴下混合する
ことが、均質なゾル溶液を調製する上で好ましい。
【0058】このようにして第1工程においてゾル溶液
が調製されたら、次いで第2工程において、このゾル溶
液を加熱して金属原料を重合せしめ錯体化させるが、こ
の際の加熱温度は100℃以下の温度とする必要があ
る。これは、前記したカンらの文献(J. Kang, T. Yok
o, H. Kozuka and S. Sakka, "Preparation of Pb-Base
dComplex Perovskite Coating Film by Sol-Gel Metho
d", pp. 249-260, Proceedings of SPIE, Vol. 1758, S
ol-Gel Optics II, San Diego, California, 1992)に
報告されるように、より高温にて操作することで、例え
ば、鉛系の水和物から結晶水が除去されると、不純物た
る沈殿物が生じてしまうためである。
【0059】そこで、本発明においては、第2工程にお
ける金属原料の錯体化を図る段階、すなわち、曳糸性を
示すまで濃縮する前段階までは、結晶水が除去されない
ように100℃以下の温度での加熱を行う。
【0060】さらに使用するアルコール系溶媒の沸点が
100℃以下の場合、当該沸点以下の温度領域で加熱す
ることが好ましい。これは、溶媒の沸点より高温で操作
すると溶媒が蒸発するため、これを防ぐためである。
【0061】なお、話は前後するが、前記第1工程にお
いて金属原料のアルコール系溶媒への溶解操作に加熱を
必要とする場合においても、同様の理由から100℃以
下の温度とする必要がある。
【0062】第2工程においては、上記のように金属原
料を錯体化させた後に、加熱濃縮にて溶媒成分を揮発さ
せて粘性を高めると共に原料の縮重合を進めて、緻密な
高粘性ゾルを構成して、曳糸性を示させることができ
る。あるいは、加熱せず、例えば減圧濃縮により、曳糸
性を発現させることも可能である。
【0063】また本発明の好ましい実施形態において
は、水の混合による部分加水分解と、触媒を添加するこ
となく加熱することにより溶媒成分を揮発させ粘性を高
めることにより、高粘性ゾルとなし曳糸性を発現させ
る。
【0064】酸触媒ないし塩基触媒といった触媒を添加
した場合、加水分解及び重合反応が経時的に進行するた
め、後続する第3工程でファイバー前駆体を形成する際
にファイバー形状に成型している間でさえも、経時的に
反応が進行し、高粘性ゾルの粘性が刻々と変化する。こ
れに対して、触媒を添加しない場合、ゾル溶液の粘性を
加熱によてのみ制御しているため、金属酸化物の構造を
変化させることなく、粘性のみを高めることができる。
本発明の場合、ゾル溶液はファイバー状に賦形されるも
のであり、ファイバーである賦形体は、表面積が十分大
きなものであるため、溶媒成分を十分揮発させることが
でき、触媒を添加して加水分解及び重合を進行させなく
とも、溶媒成分の揮発によって高粘性ゾルをゲル化させ
ることが十分に可能である。また酸触媒ないし塩基触媒
を含んでいないために、製造設備中の金属部がこれらに
よって腐食劣化してしまうという問題もない。
【0065】当該加熱においては、ゾル溶液内におい
て、加水分解と縮合重合が同時的に生じる。例えば、
【0066】
【化1】Pb(CH3COO)2+Ti(OPri4+H
2O→(CH3COO)Pb−O−Ti(OPri3+C
3COOH+PriOH La(OPri3+Zr(OPrn4+H2O→(OP
i2La−O−Zr(OPrn3+PriOH+Prn
OH という反応が生じる。
【0067】本発明の製造方法における第3工程では、
第2工程において得られた曳糸性を示す高粘度ゾル溶液
を、ファイバー状に成型してファイバー前駆体とし、ゲ
ル化させる。
【0068】具体的な手法としては、高粘性ゾルから引
き上げながらファイバー形状に成型する方法、及び高粘
性ゾルを小さな開口から吐出させて押し出し成型するな
いしは紡糸する方法等がある。
【0069】この工程が必要な理由は、目的とするミク
ロンオーダー径のファイバーについて径を安定的に形成
するためである。
【0070】また第4工程では、このゲルファイバー前
駆体を加熱処理して結晶化させ最終生成物たるファイバ
ーを製造する。
【0071】本発明の好ましい実施形態においては、前
述の第3工程および第4工程を連続して行うファイバー
形成装置により、高粘性ゾル溶液からファイバーを製造
する。
【0072】図1はこのような連続式の製造方法に供さ
れる製造装置の一例である。このファイバー形成装置A
は、概略、高粘性ゾルを収容する容器31、高粘性ゾル
溶液から引き上げられゲル化したファイバー前駆体を加
熱するためのヒータ装置32、完成したファイバーを捲
き取るための捲取機33から構成されている。ファイバ
ー形成装置Aにおいては、はじめに容器31内に収容さ
れた高粘性ゾルの界面部位を先の尖ったピンなどで一旦
刺した後引き上げて、高粘性ゾルを界面部よりファイバ
ー状に連続的に引き出し、ヒータ装置32を介して捲取
機33に捲き取らせる。捲取機33は、図示しないモー
ターにより一定速度で回転駆動されており、順次ファイ
バーが捲き取られていく。
【0073】上記構成において、高粘性ゾルから引き上
げられた直後のファイバーはゾル状態であるが、引き上
げられるに従って、次第に溶媒成分が揮発し、ゲル化し
たゲルファイバー(ファイバー前駆体)となる。このゲ
ルファイバーをさらにヒータ装置32で金属酸化物の結
晶相が析出する温度(PLZTの場合、600℃以上)
で加熱することにより結晶化させ、所望のファイバー、
例えば所望の電気光学特性を有するPLZTファイバー
を製造することができる。なお、この実施形態に係るフ
ァイバー形成装置Aでは、高粘性ゾルの粘性、及び捲取
機33の捲取速度を変化させることにより、ファイバー
の径を変化させることができる。所望の径のファイバー
を製造するためには、これらの因子を適宜調整すればよ
い。
【0074】また、図2は、前述したファイバー形成装
置Aとは異なるファイバー形成装置Bの構成図である。
ファイバー形成装置Bは、底面に開口41aを有する高
粘性ゾル溶液の容器41、高粘性ゾルを加圧するための
シリンダ44、シリンダ44により加圧され開口から押
し出されてゲル化したゲルファイバーを加熱するための
ヒータ装置42、完成したファイバーを捲き取るための
捲取機43から概略構成されている。ファイバー形成装
置Bにおいては、シリンダ44によって容器41内に収
納された高粘性ゾル溶液を押圧することで、高粘性ゾル
溶液は開口41aから容器外部へとファイバー状に押し
出され、ヒータ装置42を介して捲取機43に捲き取ら
せる。捲取機43は、図示しないモーターにより一定速
度で回転駆動されており、順次ファイバーが捲き取られ
ていく。
【0075】上記構成において、開口41aより容器4
1外部へ押し出された直後のファイバーはゾル状態であ
るが、落下していくに従って、次第に溶媒成分が揮発
し、ゲル化したゲルファイバー(ファイバー前駆体)と
なる。このゲルファイバーをさらにヒータ装置63で、
金属酸化物の結晶相が析出する温度で加熱することによ
り結晶化させ、所望のファイバー、例えば所望の電気光
学特性を有するPLZTファイバーを製造することがで
きる。なお、この実施形態に係るファイバー形成装置B
では、高粘性ゾルの粘性、捲取機43の捲取速度、開口
41aの大きさを変化させることにより、ファイバーの
径を変化させることができる。所望の径のファイバーを
製造するためには、これらの因子を適宜調整すればよ
い。
【0076】なお、ファイバー形成装置Bにおいては、
高粘性ゾルのかわりに、金属酸化物粉末、例えばPLZ
Tパウダーを少量のアルコールなどの溶媒と混合した混
練物を押し出し成型してもよい。このように混練物から
押し出し成型しても、ヒータで加熱することにより結晶
化することができ、同様のファイバーを製造することが
できる。
【0077】なお、上記ファイバー形成装置A及びBに
よれば、各製造条件を適宜制御することにより、5〜3
00μmの直径を有するファイバーを製造することが可
能である。
【0078】また、以上説明したようなファイバー形成
装置を使用せずに、第3工程にてゲルファイバーを完全
に成型した後に、第4工程で熱処理してもよい。この場
合、ゲルファイバーを乾燥雰囲気中密閉して放置した
後、熱処理してもよい。あるいは熱処理の際に酸素雰囲
気中や水蒸気雰囲気中で加熱することにより、加熱時間
を短縮したり、熱処理時間を短縮することもできる。
【0079】本発明のファイバー製造方法によれば、P
LZTのみではなく、PZT、PbTiO3、LiNb
3、LiTaO3、BiTiO3、(Pb,Bi)(Z
r,Ti)O3、(Pb,Sr)(Zr,Ti)O3
(Pb,La)(Hf,Ti)O3、Pb(W,Zr,
Ti)O3等や、PLZTを基本成分とする金属酸化
物、例えばPLZTの鉛の一部をビスマスで置換したP
BLZT、鉛の一部をリチウムで置換したPLLZT、
ジルコニウムの一部をマグネシウムとニオブで置換した
(Pb,La)(Mg,Nb,Zr,Ti)O3、ある
いはPLZT(Fe)などといったペロブスカイト型構
造の金属酸化物、(Pb,Ba,La)Nb26、(P
b,K)Nb26、(Sr,Ba)Nb26等のタング
ステンブロンズ型構造の金属酸化物などの各種の金属酸
化物ファイバーを製造することが可能である。
【0080】次に、上述したようなファイバーのうち、
電気光学的効果を有するファイバーを利用する本発明に
係る光変調素子について説明する。
【0081】本発明に係る光変調素子は、上述した製造
方法で得られたファイバーにのみ限定的に利用できると
いうものではなく、これ以外の製造方法で得られたファ
イバーにも適用できる。
【0082】しかし、上述したように、不純物やファイ
バーの均質性の観点から、従来は商用に耐える性能のフ
ァイバーを低コストで得ることが困難であった。 以下
に説明する構成を有する光変調素子は、上述した本発明
に係る製造方法により得られたファイバーを用いて構成
することが最適なものである。
【0083】本発明の光変調素子は、電気光学特性を有
する複数のファイバー、複数のファイバーを略並列に保
持する保持部材、および複数のファイバーに電界を印加
して電気光学特性を変化させる電圧印加手段を有するこ
とを特徴とする。
【0084】本発明のこのような構成を有する光変調素
子は、具体的には、例えば、Kerr効果を利用する光
シャッター、表示素子、光変調器、光ゲート、可変濃度
フィルターなど、光散乱効果を用いた画像メモリー・表
示素子など、一次電気光学効果を用いた光変調器や分光
フィルターなどの種々のデバイスへの応用が可能であ
る。
【0085】本発明の光変調素子において用いられるフ
ァイバーとしては、電気光学特性を有する材質からなる
ものであれば特に限定されるものではなく、例えば上述
したようなPLZT、PZT、PBLZT、PLLZ
T、(Pb,La)(Mg,Nb,Zr,Ti)O3
PbTiO3、LiNbO3、LiTaO3、BiTi
3、(Pb,Bi)(Zr,Ti)O3、(Pb,S
r)(Zr,Ti)O3、(Pb,La)(Hf,T
i)O3、Pb(W,Zr,Ti)O3、(Pb,Ba,
La)Nb26、(Pb,K)Nb26、(Sr,B
a)Nb26等の各種のものを使用可能である。
【0086】本発明の光変調素子において使用されるこ
のような金属酸化物ファイバーは、前述したようにその
製法としては特に限定されるものではないが、金属元素
を含有する高粘性ゾル溶液から紡糸する、または高粘性
ゾル溶液を押し出し成形する、あるいはゾル−ゲル法に
より調製された粉末を用いた混練物を押し出し成形して
製造されたものであることが好ましく、特に上述したよ
うな本発明に係るファイバー製造方法により得られたも
のであることが好ましい。従来の光シャッターアレイ素
子等の光変調素子において使用されている金属酸化物の
バルク材料の多くは、所望の組成元素の酸化物や炭素塩
を配合混合して、空気中で高温反応させて得られた粉体
原料を焼結させて(以下、固相反応という。)製造され
たものである。固相反応は、組成元素の酸化物や炭素塩
から金属イオンが粒界を越えて移動する反応であるた
め、各組成元素が分子レベルまで均質に混ざり合うこと
はなく、焼結してもバルク中に不純物相や不均質な部分
が発生しやすい。これに対して、ゾル状態から加水分解
あるいは重合されてゲル状態を経て合成された金属酸化
物ファイバーは、分子レベルまで均質化されており、固
相反応により合成されたバルク体と比較して緻密で不純
物相が少ない状態である。従って、電圧印加のオンオフ
に対するKerr効果の経時変化が少なく、長期に亘っ
て安定した動作を行うことができる。
【0087】また本発明においては電気光学特性を有す
る上述したような金属酸化物をファイバー状として使用
するが、ファイバーは十分に大きな径を有しているの
で、フォトリソグラフィーを用いて製造された素子と比
較して低い電圧で駆動させることができる。
【0088】本発明において用いられるこのようなファ
イバーの断面形状としても、特に限定されるものではな
く、後述するような基板上に形成されるアレイ溝の断面
形状等に応じて、円形、楕円、四角等、さらには円より
円弧(劣弧)とその弦で囲まれる弓形部分を1つ除去し
たような形状、円より一直径線を中心として略対称位置
にある2つ弓形部分を除去したような形状等種々の断面
形状とすることができる。断面円形のファイバーは最も
作製が容易であり、例えば、上記したような高粘性ゾル
からのファイバーの引き上げないし押し出し操作、ある
いは鋳込み成形等によって容易に形成することが可能で
ある。また断面楕円のファイバーは上記したような高粘
性ゾルからのファイバーの引き上げないし押し出し操
作、あるいは鋳込み成形等によって一旦円形断面とした
後硬化前にローラ等で成形することによって、あるいゲ
ルファイバー乾燥時の蒸発する溶媒量の制御等によって
形成可能であり、また断面四角のファイバーも同様に高
粘性ゾルからのファイバーの引き上げないし押し出し操
作、あるいは鋳込み成形等によって一旦円形断面とした
後硬化前にローラ等で成形することによって形成可能で
ある。さらに、円より弓形部分を1つないし2つ除去し
たような断面形状のものは、断面円形のファイバーを作
製後、そのファイバーを一接線方向ないしは略平行する
二接線方向から研磨する等の操作によって形成可能であ
る。円形以外の断面形状、すなわち、楕円、四角、円よ
り弓形部分を1つないし2つ除去したような形状という
ように、その外周線にほぼ直線的な部位が存在する、つ
まりファイバーの外周面の少なくとも一部がファイバー
の軸線に沿って略平面的な面を有するものであると、電
極との接触が容易となり、得られる光変調素子において
電位勾配を均等化させる上で望ましい。特に、楕円、四
角、円より弓形部分を2つ除去したような形状といった
断面形状のものは、相対峙する2つの略平面的な面を有
するため、電位勾配をより均等なものとすることができ
るため望ましい。
【0089】また、本発明の光変調素子において、前記
保持部材としては、複数のファイバーを略並列に保持で
きるものであれば特に限定されるものではないが、例え
ば、複数のファイバーを載置するための基板によって構
成することが可能である。さらに、このような基板上に
載置されたファイバーを上方側から固定するための押さ
え板を有することもできる。また、素子におけるファイ
バーの高密度化を図るため、複数の基板を用いて、ファ
イバー列を2段ないし多段に配したり、あるいはマトリ
ックス状に2次元に配することも可能である。なお、フ
ァイバー列を2段ないし多段に配する場合には、各ファ
イバー列のファイバー同士が上下方向において重なった
位置に存在しないように、千鳥状に配したり、あるいは
相互に位相差をもって配することが望まれる。
【0090】あるいはまた、略並列に配した状態にある
複数のファイバーの各ファイバー間の間隙に存在しファ
イバー同士を接着する接着剤層のみによって、保持部材
を構成することも可能である。
【0091】さらに、保持部材が基板により構成される
場合、望ましくはこの基板は、相互に所定間隔離間され
て略並列に形成された複数のアレイ溝をその表面部に有
することが、複数のファイバーを略並列に容易に保持す
ることができる上から望ましい。
【0092】上記基板を構成する材質としては、シリコ
ン、ガラス、結晶化ガラス、セラミックス、金属、プラ
スチックス等各種のものを用いることができる。シリコ
ン基板は、エッチング法により上記したような溝構造を
容易に作製できるという利点がある。ガラス基板はガラ
スモールド成型により溝構造を容易に作製でき、特に軟
化点が低い、好ましくは軟化点が700℃程度以下のガ
ラスは溝構造の作製が容易であるという利点がある。ま
た結晶化ガラス基板もガラスモールド成型により溝構造
を容易に作製でき、さらに結晶化により基板の硬度を高
くしたり熱膨張係数を制御できるという利点を有する。
セラミックス基板は、硬い材料を選択できるという利点
があり、具体的には例えばアルミナ、ジルコニア等を用
いることができる。また金属基板は、機械加工によって
容易に所望形状となすことができるという利点があり、
具体的には例えばアルミニウム等を用いることができ
る。
【0093】さらにこのような基板上に形成されるアレ
イ溝の断面形状としても、特に限定されるものではな
く、種々の断面形状とすることができるが、ファイバー
の位置決めのしやすい三角、半円、四角、台形等の断面
形状とすることが望ましい。三角、半円といった断面形
状は、シリコンの異方性エッチング、ガラスモールド成
形、プラスチックの射出成形などにより、四角の断面形
状は、シリコンの異方性エッチング、ガラスモールド成
形、プラスチックの射出成形、研削加工などにより、ま
た台形の断面形状は、ガラスモールド成形、プラスチッ
クの射出成形などによりそれぞれ形成可能である。
【0094】また本発明に係る光変調素子において、電
圧印加手段は、例えば、保持部材としての基板表面に配
設された複数のファイバー全てに共通に接触する共通電
極(以下第2電極とも称する。)、各ファイバーの共通
電極との接触部以外の表面部位にそれぞれ設けられた個
別電極(以下第1電極とも称する。)、および共通電極
と個別電極間に電圧を印可する駆動電圧電源とから構成
され得る。
【0095】共通電および個別電極は、素子を透過型の
もととするかあるいは反射型のものとするかによっても
異なってくるが、例えばAlなどの反射型金属材料、A
u、Cr等の透光性金属材料、ITO(酸化インジウム
−酸化錫)、NESA(酸化錫−酸化アンチモン)等の
透明電極材料、銀ペースト等の金属ペースト、樹脂に金
属を分散させてなる導電性樹脂、Ag−Pd等の金属成
分を含有するガラスフリットなどを単独であるいは複数
組み合わせて用いることで形成し得る。Al、Au等の
金属材料,ITO、NESA等の透明電極材料による電
極形成は、例えば、フォトリソグラフィー技術と蒸着、
スパッタリング等の真空製膜技術の組み合わせ、フォト
リソグラフィー技術とゾル−ゲル法との組合せ、ゾル−
ゲル溶液のスクリーン印刷および熱処理、あるいはリフ
トオフ法等によって行うことができる。また、金属ペー
スト、導電性樹脂による電極形成はスクリーン印刷技術
を用いることによって、さらにガラスフリットによる電
極形成はスクリーン印刷とその後の加熱処理によって、
それぞれ行うことが可能である。
【0096】また、例えば、ITO等の透明電極材料と
Al等の反射型金属材料との組合せというように、異な
る電極材料を積層して電極を形成することも可能であ
り、このように異種材料を積層すれば、屈折率、反射率
等の光学特性を調整することができる。
【0097】さらにまた、個別電極は、異方性導電シー
トを用いることによっても形成可能である。異方性導電
シートとは導通方向に異方性のある金属分散樹脂テープ
であって、一般に液晶材料の個別電極のリード線として
使用されているものであり、基板等にこのような異方性
導電シートを張り付け、各ファイバーの長手方向を、当
該シートの導通方向に合わせて配列すれば、ファイバー
の長手方向には導通し、横方向、すなわち、各ファイバ
ー間相互は導通しないために、各ファイバーに個別に電
圧印加素子を設けず共通する電圧印加素子を配するのみ
で良くなることから、容易に個別電極を形成することが
できる。
【0098】さらに本発明の光変調素子を用いて、例え
ば光シャッターなどのデバイスを構成する場合、光変調
素子に対して偏向光を与えなければならないが、この偏
向光の形成方法としては、例えば、偏光板を利用する方
法や、金属積層導波路を利用する方法などがある。偏光
板を利用する場合、素子の光の入射側と出射側とに偏光
板をクロスニコルなるように、すなわち偏光板の偏光の
透過方向を90度回転して配置するように、張り付け
る、あるいは単に配置すればよい。また、金属積層導波
路を利用する場合、金属膜を形成した導波路、例えばシ
リカ導波路上にAl膜を形成した導波路、からファイバ
ーへ光を入射する構成としたり、あるいはファイバー上
に金属膜を被覆する構成とすれば良い。導波路上に金属
膜を形成することにより、偏光を形成できるので偏光板
の代わりとすることができる。
【0099】また、本発明の光変調素子においては、電
気光学特性を有する複数のファイバーが略並列に配列さ
れる必要があるが、このように略並列に配列することを
容易とするには、例えば、前記したように基板に溝や穴
を設けておいて、この溝や穴にファイバーをファイバー
を溝付きの差し込む方法や、基板にガイド線を描画して
おきこれに沿って配列する方法、あるいは径の大きなド
ラムに一定ピッチで巻き付けファイバー間を接着剤で固
めてテープ状にして、所定寸法に裁断し、この裁断物の
上下面を研磨してファイバーを上下面において露出させ
電極を付けるといた手法が考えられる。なお、後者の手
法にあっては、裁断物はドラムの径に比して極めて小さ
いサイズのものとなるので、曲率は実質的に無視できる
ものとなる。
【0100】さらに本発明の光変調素子を作製するにお
いて、その組立前に、偏光顕微鏡を用い、ファイバー断
面の透過光の画像処理により歪み、異物等の欠陥を検査
することによって、インライン操作にて高品質の素子を
作製することが可能となる。
【0101】以下、本発明の光変調素子を具体的な実施
形態に基づき説明する。
【0102】図3は、本発明の光変調素子の第1の実施
形態である光シャッターアレイ素子D1の構成を示す斜
視図である。
【0103】この光シャッターアレイ素子D1は、概
略、第1電極1、PLZTファイバー2、第2電極3、
基板4とから構成されている。
【0104】基板4は、アルミナを材料とする平板形状
で、片側の平面上に複数の互いに平行なV溝5が形成さ
れており、V溝5には、Ag−Pdを含有するガラスフ
リットが導電性を有する接着剤として塗布されており、
これによって第2電極3を形成すると共に、PLZTフ
ァイバー2を固着している。ここでガラスフリットと
は、熱処理により溶解し冷却させることにより接着剤と
して使用可能なガラス粉末である。また各PLZTファ
イバー2の上部には、個別に第1電極1としてAl電極
が蒸着により形成されている。さらに、各PLZTファ
イバー2の間の間隙には黒色のポリエチレン樹脂が充填
剤6として充填されている。この充填剤6はPLZTフ
ァイバー2同士の遮光のために使用されている。
【0105】この実施形態の光シャッターアレイ素子D
1を製造するには、例えば、まず、前述したような本発
明に係るファイバーの製造方法により、PLZTファイ
バー2を製造する。
【0106】PLZTファイバーの製造においては、は
じめに、Pb,La,ZrおよびTi元素を所望の比率
で含有するゾル溶液を調整する。ゾル溶液の調製に用い
られる溶媒としては、前記したように沸点が70℃以上
のアルコール系溶媒が好ましい。そして、このゾル溶液
を加熱または減圧濃縮して溶媒の一部を揮発させるか、
あるいは酸触媒を添加して、金属原料を重合せしめ錯体
化させ、曳糸性を発揮するまで粘性を高め高粘性ゾルと
する。なお、前記したように、この際の加熱温度は10
0℃以下の温度とすることが望ましく、また触媒は添加
しない方が好ましい。さらに、高粘性ゾルから、例えば
図1に示すファイバー形成装置Aあるいは図2に示すフ
ァイバー形成装置Bを用いて、前記に説明したようにし
て、直径5〜300μm程度といった目的とするミクロ
ンオーダー径のファイバーを製造する。
【0107】一方で、表面に複数の互いに平行なV溝5
を有するアルミナ製基板4を用意する。V溝5は、アル
ミナ平板をダイヤモンドカッター等の切削工具で、切削
加工してもよいが、V溝5に対応するV突起を有する型
を用いて、アルミナ基板を製造する差異に一体成型して
も良い。また、基板4の材料としては、アルミナ以外の
所定の剛性を有する例えば前記したような材料であれば
よいが、光シャッターアレイ素子として使用する場合
は、ファイバー間の光漏れを防止するために、不透明な
材料である方が望ましい。
【0108】次にV溝5上に第2電極3としてAg−P
dにガラスフリットを混ぜて得られる電気導電性を有す
る接着剤を塗布し、上記のごとく製造されたPLZTフ
ァイバー2を各溝5に載置して加熱した後、冷却してP
LZTファイバー2を各溝5に接着する。この状態を図
4(a)に模式する。このようにPLZTファイバー2
は、ガラスフリットを混ぜたAg−Pd電極(第2電極
3)にて接着されるので、確実に電圧が印加可能な状態
にて、簡単に固定することができる。この電気伝導性を
有する接着剤としては、導電性樹脂材料を用いても良
い。
【0109】また、基板4がV溝5を有していることに
より、PLZTファイバー2の位置決めを簡単に行うこ
とができる。従来の機械加工や化学エッチングによって
製造されるPLZTを用いた光シャッターアレイ素子で
は、光を透過させる部分のPLZTの高精度な加工が必
要であったが、本実施形態の構成によればPLZTファ
イバー2の径とV溝5の位置精度をそれほど高くしなく
ても、比較的簡単に高精度の位置決めを行うことができ
る。
【0110】次にPLZTファイバー2の端面をダイヤ
モンドカッター等で切りそろえて端面を光学研磨し、紫
外線硬化樹脂13をファイバーの上面を除く全体に薄く
塗布した後、紫外線を照射することによりPLZTファ
イバー2を完全に基板上に固定する。この状態を図4
(b)の模式する。
【0111】最後に、紫外線硬化樹脂13を塗布しなか
った上面のみが露出するように、これ以外の部分をフォ
トリソグラフィーによりマスキングした後、スパッタリ
ングにより各PLZTファイバー2の上部に、Alを付
着させ第1電極であるAl電極を形成する。また、紫外
線硬化樹脂13が硬化して収縮してできた各PLZTフ
ァイバー2同士の間の間隙にポリエチレン樹脂を材料と
する充填剤6を注入し、各PLZTファイバー間を遮光
する。この状態を図4(c)に模式する。この第1電極
1の材料としては、Al以外でも良いがPLZTとの密
着性が高く導電性が高いものであることが必要である。
また、充填剤6の材料としてはポリエチレン樹脂以外の
材料でもよいが、硬化後に大きく収縮してPLZTファ
イバー2に応力を与える材料は不適である。さらに、充
填剤6の材料は、光漏れを防ぐためにPLZTよりも屈
折率が低く、透明な材料であることが望ましい。なお、
この充填剤6の充填の工程およびスパッタリングによる
第1電極1の形成の工程の準は、いずれが先であっても
良い。
【0112】次に、図5は、図3に示す光シャッターア
レイ素子D1を使用した光シャッターの構成を示す模式
図である。
【0113】図5において、光シャッターアレイ素子D
1のPLZTファイバー2の両端側にそれぞれ偏光子7
と、検光子8を配置し、電源9により第一電極1と第2
電極3との間に所定の駆動電圧が印可されている。な
お、各PLZTファイバー2は同様の構成を有する図示
しない駆動回路をそれぞれ個別に備えている。このよう
に、PLZTファイバー2に対して、それぞれ独立に駆
動電圧を印加することができるため、各ファイバーに入
射した光をそれぞれ独立に変調することができる。ま
た、変調される光は、光シャッターアレイ素子D1の偏
光子7側から素子に入射し、検光子8側から検出する。
この偏光子7及び検光子8は、特定の偏光方向の光のみ
を透過可能な周知の構成を有するものである。
【0114】以上の構成を有する光シャッターアレイ素
子D1の変調原理を簡単に説明する。PLZTはKer
r効果により印加される駆動電圧に応じて複屈折を生じ
る性質を有している。この性質により、各PLZTファ
イバー2に対する駆動電圧を適宜制御すれば、入射光の
偏光状態を様々に変化させることができる。偏光状態が
変化すると検光子8の透過率も変化するため、検光子8
からの射出光は各ファイバーごとに強度変調された変調
光となる。
【0115】図6は、第2の実施形態である光シャッタ
ーアレイ素子D2の構成を示す斜視図である。第2の実
施形態である光シャッターアレイ素子D2の概略構成
は、前述の光シャッターアレイ素子D1と同一であるた
め、以下、異なる部分のみを説明する。第2の実施形態
の光シャッターアレイ素子D2は、偏光子7側にPLZ
Tファイバー2が延長されており、その端部2aが束ね
られている。さらに端部2a近傍には偏光子7を介して
光源10が配置されている。以上のように構成される光
シャッターアレイ素子D2において、光源10から射出
された光は、偏光子7を透過した後、端部2aからPL
ZTファイバー2に入射し、第1の実施形態のものと同
様に変調されて射出される。このような構成とすること
により、光源10の利用効率を向上することができ、コ
ンパクトで簡単な構造の光変調ユニットを構成すること
ができる。すなわち、上記のごとくファイバーの一方の
端をがそれぞれ同じ方向に延長し、その端部を束ねて複
数のファイバー群の入光部を1つにまとめることで、通
常1つのもので構成される光変調素子の光より発せられ
る光を効率よく用いることが可能となり、さらに、電極
が配置された実質的な光シャッターアレイ素子領域より
ファイバーを延長することで、光源等の配置位置を比較
的任意のものとすることができるといった設計の自由度
がもたらされるものである。
【0116】図7は、第3の実施形態である光シャッタ
ーアレイ素子D3の構成を示す断面図である。第3の実
施形態である光シャッターアレイ素子D3の概略構成
は、前述の図3に示す光シャッターアレイ素子D1とほ
ぼ同様のものであり、基板4片側の平面上に形成された
複数の互いに平行な溝5の断面形状がV状のものではな
く半円状のものとされている点においてのみ相違する。
【0117】このように基板4に形成された溝5の断面
形状が半円状のものであると、円形断面を有するファイ
バー2を基板4上に配置する上での位置決めが容易とな
るものである。
【0118】図8は、第4の実施形態である光シャッタ
ーアレイ素子D4の構成を示す断面図である。第4の実
施形態である光シャッターアレイ素子D4の概略構成
は、前述の図3に示す光シャッターアレイ素子D1とほ
ぼ同様のものであり、V溝5に形成される第2電極3
が、導電性のガラスフリットに代えて金属蒸着膜によっ
て形成されている点においてのみ相違する。この実施形
態の光シャッターアレイ素子においては、ファイバー2
と第2電極3との導通がファイバー2とV溝5との当接
部のみにてなされている。
【0119】図9は、第5の実施形態である光シャッタ
ーアレイ素子D5の構成を示す断面図である。第5の実
施形態である光シャッターアレイ素子D5の概略構成
は、前述の図3に示す光シャッターアレイ素子D1とほ
ぼ同様のものであるが、基板4片側の平面上に形成され
た複数の互いに平行な溝5の断面形状がV状のものでは
なく四角状のものとされ、さらにファイバー2の断面形
状も同様に四角状のものとなされている点において相違
する。
【0120】このように基板4に形成された溝5の断面
形状が四角状のものであると、ファイバー2を基板4上
に配置する上での位置決めが容易となり、さらにファイ
バー2の断面も四角状とされているので、ファイバー2
の下面に接する第2電極3とファイバーの上面に接する
第1電極1は、平板状となり形成が容易でかつ、得られ
る光シャッターアレイ素子において電位勾配を均等化さ
せることができる。
【0121】図10は、第6の実施形態である光シャッ
ターアレイ素子D6の構成を示す断面図である。第6の
実施形態である光シャッターアレイ素子D6の概略構成
は、前述の図9に示す光シャッターアレイ素子D5とほ
ぼ同様のものであり、ファイバー2の断面形状が楕円状
のものとされている点のみにおいておいて相違する。
【0122】このようにファイバー2の断面形状が楕円
状のものである場合も1は、ファイバー2の下面に接す
る第2電極3とファイバーの上面に接する第1電極1
は、ほぼ平板状となり容易でかつ、得られる光シャッタ
ーアレイ素子において電位勾配を均等化させることがで
きる。
【0123】図11は、第7の実施形態である光シャッ
ターアレイ素子D7の構成を示す斜視図である。この光
シャッターアレイ素子D7は、前述の図3に示す光シャ
ッターアレイ素子D1と同様のV溝5を有する基板4、
PLZTファイバー2、Al電極からなる第1電極1、
Au−Pd電極からなる第2電極3を有しているが、P
LZTファイバー2の上方にはさらに、前記基板4をち
ょうど反転配置したような構成を有する下面側にV溝1
2を有するファイバー押さえ板11が配されており、こ
の押さえ板の各V溝12には各PLZTファイバー2の
上部側が納められている。そして前記基板4と押さえ板
11とはその両側面部において、紫外線硬化樹脂13に
よって接着されている。このような構成とすれば、PL
ZTファイバーの配された基板4の中央部には接着剤を
使用することなく、PLZTファイバーの配されていな
い側面部のみに接着剤を使用してPLZTファイバーを
固定することができるために、製造が容易となる、接着
剤によるPLZTファイバーへの悪影響がなくなる等の
利点が生じる。
【0124】図12は、第8の実施形態である光シャッ
ターアレイ素子D8の構成を示す斜視図であり、この光
シャッターアレイ素子は、前述の図9に示す第5の実施
形態である光シャッターアレイ素子D5と同様に、断面
四角状の溝5を有する基板4、断面四角状のPLZTフ
ァイバー2、Al電極からなる第1電極1、Au−Pd
電極からなる第2電極3を有しているが、PLZTファ
イバー2の上方にはさらに平板状のファイバー押さえ板
14が配されており、前記基板4と押さえ板14とはそ
の両側面部において、紫外線硬化樹脂13によって接着
されている。この第8の実施態様である光シャッターア
レイ素子D8においても、前記第7の実施形態である光
シャッターアレイ素子D7について述べたと同様に、製
造が容易となる、接着剤によるPLZTファイバーへの
悪影響がなくなる等の利点が生じる。
【0125】図13は、第9の実施形態である光シャッ
ターアレイ素子D9の構成を示す斜視図であり、この光
シャッターアレイ素子D9は前述の図3に示す光シャッ
ターアレイ素子D1と同様のV溝5を有する基板4、P
LZTファイバー2、Au−Pd電極からなる第2電極
3を有しているが、PLZTファイバー2の上部には、
各ファイバー2毎に形成された複数のAl電極からなる
第1電極1に代えて、1枚の異方性導電シート15が載
置されており、この異方性導電シート15の上部にはさ
らに、異方性導電シート15に導通可能とされた電圧印
加素子16を内部に有するファイバー押さえ板14が配
置され、PLZTファイバー2を固定している。異方性
導電シート15は、ファイバー2の長手方向には導通
し、横方向、すなわち、各ファイバー間相互は導通しな
いために、各ファイバー2に個別に電圧印加素子を設け
ず共通する電圧印加素子を配するのみで各ファイバー毎
に電圧印加することが可能となることから、容易に個別
電極を形成することができる。
【0126】図14は、第10の実施形態である光シャ
ッターアレイ素子D10の構成を示す斜視図であり、こ
の光シャッターアレイ素子D10においては、素子の中
央部に配された共通電極である第2電極3の上下にPL
ZTファイバー2の列を2段に配している。各PLZT
ファイバー2はそれぞれ、下方側の第1基板4Aあるい
は上方側の第2基板4Bに形成された溝5内に納められ
て固定されているが、各ファイバー2は上下方向で重な
り合うことがないように、千鳥状に配されている。また
各溝5の底面には各ファイバー2に対する個別電極であ
る第1電極1が形成されており、この各第1電極1はさ
らに、各基板4Aおよび4B内部に収容された電圧印加
素子16とそれぞれ導通されている。このように、PL
ZTファイバー群を多段に配することで、素子のより小
型化が可能となる。
【0127】図15は、第11の実施形態である光シャ
ッターアレイ素子D11の構成を示す斜視図であり、こ
の素子D11においては、平板状の基板4の上に第2電
極3が全面的に形成され、その上部に、複数のPLZT
ファイバー2が相互に定間隔されて接着剤で固定されて
なるテープ状のファイバーユニット17が載置されてい
る。そして、各ファイバー2の上面には個別に第1電極
1が形成され、それぞれ電圧印加素子16と導通されて
いる。
【0128】この光シャッターアレイ素子D11に用い
られるファイバーユニット17は、例えば図17に示す
ようにして作製することができる。すなわち、まず、
図17(a)に示すように、十分に大口径ドラム18に
一定ピッチでPLZTファイバー2を巻き付け、ファイ
バー間を接着剤で固めた後、所定寸法に裁断して、図1
7(b)に示すような、PLZTファイバー2が相互に
離間された状態で接着剤層19によって固定された裁断
物20を得、さらにこの裁断物20の上下面を一部研磨
して図17(c)に示すような各ファイバーが上下面に
おいて露出してなるファイバーユニット17を得るもの
である。
【0129】このようにして、PLZTファイバー2が
相互に所定間隔離間されてユニット化されたファイバー
ユニット17を用いれば、基板4にファイバー配列のた
めの溝構造等を設けなくとも、容易に所望の素子構成を
得ることができるため、素子製造上で非常に有利であ
る。
【0130】図16は、第12の実施形態である光シャ
ッターアレイ素子D12の構成を示す斜視図である。こ
の素子D12は、上記の第11の実施態様である素子D
11と同様のファイバーユニット17を用いて構成され
たものであり、素子の中央部に配された共通電極である
第2電極3の上下にファイバーユニット17を2段に配
している。なお、各ファイバーユニット17中の各ファ
イバー2は、素子中において上下方向に重なり合うこと
のないように千鳥上に配されている。そして、ファイバ
ーユニット17の第2電極3に接する面と反対側の面に
おいて、各ファイバー2の露出部には個別に第1電極1
が形成され、それぞれ電圧印加素子16と導通されてい
る。なお、図16においては、上部側に配されたファイ
バーユニット17の上面側に形成された第1電極1およ
び電圧印加素子16のみが図示されているが、下部側に
配されたファイバーユニット17の下面側にも同様の第
1電極1および電圧印加素子16が存在する。
【0131】以上説明したように、これらの実施形態の
光シャッターアレイ素子では、電気光学特性を有する金
属酸化物をファイバー化し、この金属酸化物ファイバー
を光シャッターアレイ素子に適用した点を特徴としてい
る。従来、知られている金属酸化物を用いた光シャッタ
ーアレイ素子では、いずれも金属加工や化学エッチング
によりPLZT等の金属酸化物が加工されていたため、
素子の小型化が困難であったり、高精度加工を必要とす
るため高価であるという問題を抱えていた。これに対し
てこれら実施形態の光シャッターアレイ素子は、ファイ
バーの径およびファイバーを並べるピッチを変化させる
ことにより、所望の精度のPLZTアレイを簡単にまた
非常にコンパクトかつ高集積化して製造することが可能
である。
【0132】なお上述した実施形態の光シャッターアレ
イ素子においては、PLZTファイバーをファイバーと
して用いたものを例示したが、前記したように電気光学
特性を有する材質からなるものであれば特に限定される
ものではなくこれらのPLZT以外の材質からなるファ
イバーを用いても、同様の素子構造を形成できる。
【0133】
【実施例】以下本発明を実施例に基づきより具体的に説
明するが、以下に示す実施例は本発明の理解を容易とす
ることのみを目的として挙げられたものであり、本発明
は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
【0134】予備実験1 PLZTファイバーを作製するために、表1〜8に示す
溶液組成について溶液調製実験を行った。溶液調製を行
った結果を併せて同表の結果の欄に示す。
【0135】まず表1および表2についての実験方法を
示す。沸点が約124℃の2−メトキシエタノール(ナ
カライテスク(株)製)にランタンイソプロポキシド
(La(OPri3、高純度化学製)を混合し、70℃
で加熱しながら撹拌して溶解した。この溶液を徐冷後、
酢酸鉛3水和物(Pb(OAc)2・3H20、ナカライ
テスク(株)製)を加え、結晶水の蒸発が起こらないよ
うに、70℃で加熱しながら撹拌して溶解することによ
り溶液Aを調製した。一方、沸点が78℃のエタノール
(EtOH、ナカライテスク(株)製)とジルコニウム
プロポキシド(75.6%Zr(OPr)4+PrO
H、日本曹達(株)製)とチタンイソプロポキシド(T
i(OPri4、和光純薬工業(株)製)を室温(25
±1℃)で混合し、撹拌により均一化を行い溶液Bを調
製した。これらの溶液AとBについて、溶液Aに溶液B
を滴下する場合(表1)と、溶液Bに溶液Aを滴下する
場合(表1)について、沈澱のない均一な溶液が調製で
きるかどうかを調べた。なお、溶液Aの温度は約70℃
に保ちながら滴下混合を行った。表1に示すように、溶
液Aに溶液Bを滴下混合した場合、結晶水を除去した場
合よりも少ないが、わずかながら沈澱が生じることがあ
った。これはエタノールの量が表のモル比で2以下の場
合は、ジルコニウムプロポキシドとチタンイソプロポキ
シドの急激な加水分解重合反応により沈澱が生じたもの
と思われる。エタノールの量が表のモル比で2より多い
場合は沈澱は生じることはなかった。一方、溶液Bに溶
液Aを滴下した場合には、表2に示すようにエタノール
を加えなくとも沈澱が生じることはなかった。
【0136】
【表1】
【0137】
【表2】
【0138】次に表3〜8についての実験は、溶媒と予
め溶媒に添加する添加剤に関して種類を変えた以外は、
前記表2に関して行った方法と同様にして、溶液調製を
おこなったものである。その結果、それぞれの表に示す
ように、すべての組成において透明なゾル溶液が得られ
た。
【0139】なお表中において示される略号はそれぞれ
次の通りの化合物を意味する。MEA:モノエタノール
アミン(ナカライテスク(株)製)、DEA:ジエタノ
ールアミン(ナカライテスク(株)製)、EDTA:エ
チレンジアミンテトラ酢酸(ナカライテスク(株)
製)。
【0140】
【表3】
【0141】
【表4】
【0142】
【表5】
【0143】
【表6】
【0144】
【表7】
【0145】
【表8】
【0146】以上の溶液組成実験において、透明なゾル
となった組成群について、ロータリーエバポレーターに
より濃縮を行ったところ、曳糸性のある高粘性ゾルを調
製することができた。
【0147】なお、ランタンと鉛原料の溶解時の温度及
び溶液混合時の温度を、結晶水が除去されない温度(1
00℃以下)である90℃として操作を行ったが、この
場合も、上記の組成において沈澱の発生する状況に差は
認められなかった。
【0148】予備実験2PZTファイバーを作製するた
めに、表9、10に示す溶液組成について溶液調製実験
を行った。溶液調製を行った結果を併せて同表の結果の
欄に示す。
【0149】実験は次のようにして行われた。まず、2
メトキシエタノールに酢酸鉛3水和物を加え、結晶水の
蒸発が起こらないように70℃で加熱しながら撹拌して
溶解することにより溶液Dを調製した。次にエタノール
とジルコニウムプロポキシドとチタンイソプロポキシド
を室温(25±1℃)で混合し、撹拌により均一化を行
い溶液Eを調製した。これらの溶液DとEについて、溶
液Dに溶液Eを滴下する場合(表9)と、溶液Eに溶液
Dを滴下する場合(表10)について、沈澱のない均一
な溶液が調製できるかどうかを調べた。なお、溶液Dの
温度は約70℃に保ちながら滴下混合を行った。表9に
示すように、溶液Dに溶液Eを滴下混合した場合、上記
予備実験1におけるPLZTゾル溶液の場合と同様に、
エタノールの量がモル比で2以下の場合は、ジルコニウ
ムプロポキシドとチタンイソプロポキシドの急激な加水
分解重合反応によると思われる、わずかながらの沈澱が
生じることがあった。エタノールの量が表のモル比で2
より多い場合は沈澱は生じることはなかった。一方、溶
液Eに溶液Dを滴下した場合には、表10に示すように
エタノールを加えなくとも沈澱が生じることはなかっ
た。
【0150】
【表9】
【0151】
【表10】
【0152】以上の溶液組成実験において、透明なゾル
となった組成群について、ロータリーエバポレーターに
より濃縮を行ったところ、曳糸性のある高粘性ゾルを調
製することができた。
【0153】なお、ランタンと鉛原料の溶解時の温度及
び溶液混合時の温度を、結晶水が除去されない温度(1
00℃以下)である90℃として操作を行ったが、この
場合も、上記の組成において沈澱の発生する状況に差は
認められなかった。
【0154】実施例1 実施例1は、PLZTファイバーの製造に本発明方法を
適用した例であり、前記予備実験1中の代表例として表
2のNo.10の組成を用いて、ファイバー製造を行っ
たものである。
【0155】(第1工程)はじめに、モル比で2−メト
キシエタノール:酢酸鉛3水和物:ランタンイソプロポ
キシド:ジルコニウムプロポキシド:チタンイソプロポ
キシド:エタノール:水=6:1.001:0.09:
0.635:0.342:20:2を含むゾル溶液を以
下の手順で調製した。
【0156】まず、2−メトキシエタノールに、ランタ
ンイソプロポキシドを加えて90℃に加熱し溶解させ
た。放冷後、この溶液に酢酸鉛3水和物を加え、70℃
で加熱溶解させて、溶液Aを得た。溶液Aとは別に、モ
ル比で全量の半分の量のエタノールに、チタンイソプロ
ポキシド及びジルコニウムプロポキシドを順に加えて混
合して溶液Bを得た。溶液Bに溶液Aを入れて混合し、
この混合溶液を78℃で2時間還流後、放置して室温
(25±1℃)まで温度を低下させた。さらに、残りの
エタノールと水の混合溶媒を滴下し、撹拌することで均
一なゾル溶液を調製し、溶液Cとした。
【0157】(第2工程)溶液Cを2時間放置した後、
2−メトキシエタノールの沸点近傍の温度で曳糸性を示
すまで加熱濃縮し、溶液Cを高粘性ゾルとした。
【0158】(第3工程)先の尖ったピンを上記第2工
程で得られた高粘性ゾルに挿入し引き上げた後、前述し
た図1に示すような構成を有するファイバー形成装置A
で、引き上げ速度80cm/秒で引き上げたところ、ゲ
ルファイバーを製造できた。
【0159】(第4工程)ゲルファイバーは、ファイバ
ー形成装置Aにおけるヒータ装置32としての電気炉で
大気中700℃で15分間熱処理された。この結果、ゲ
ルファイバーは、クラックを生じることなく、均質で緻
密な結晶構造を有するものとして、結晶化された。X線
回折測定を行ったところ、結晶相はペロブスカイト相で
あり、PLZTファイバーであることが確認された。ま
た、このときのファイバー径は、直径30μmであっ
た。
【0160】実施例2 実施例1における第3工程で、引き上げ速度を120c
m/秒とする以外は、実施例1と同様の条件でファイバ
ー製造を行った。その結果、第4工程の熱処理後に、直
径5μmのファイバーを得ることができ、X線回折測定
の結果、ペロブスカイト相を有するPLZTファイバー
であることが確認された。
【0161】実施例3 実施例1における第3工程で、引き上げ速度を50cm
/秒とする以外は、実施例1と同様の条件でファイバー
製造を行った。その結果、第4工程の熱処理後に、直径
300μmのPLZTファイバーを得ることができ、X
線回折測定の結果、ペロブスカイト相を有するPLZT
ファイバーであることが確認された。
【0162】実施例4 実施例4はPZTファイバーの製造に本発明方法を適用
した例であり、前記予備実験2中の代表例として表10
のNo.26の組成を用いて、ファイバー製造を行った
ものである。
【0163】(第1工程)はじめに、モル比で2−メト
キシエタノール:酢酸鉛3水和物:チタンイソプロポキ
シド:ジルコニウムプロポキシド:エタノール:水=
6:1.001:0.5:0.5:20:2を含むゾル
溶液を以下の手順で調製した。
【0164】まず、2−メトキシエタノールに、酢酸鉛
3水和物を加え、70℃で加熱溶解させて、溶液Dを得
た。溶液Dとは別に、モル比で全量の半分の量のエタノ
ールに、チタンイソプロポキシド及びジルコニウムプロ
ポキシドを順に加えて混合して溶液Eを得た。溶液Eに
溶液Dを入れて混合し、この混合溶液を78℃で2時間
還流後、放置して室温(25±1℃)まで温度を低下さ
せた。さらに、残りのエタノールと水の混合溶媒を滴下
し、撹拌することで均一なゾル溶液を調製し、溶液Fと
した。
【0165】(第2工程)溶液Fを2時間放置した後、
2−メトキシエタノールの沸点近傍の温度で曳糸性を示
すまで加熱濃縮し、溶液Fを高粘性ゾルとした。
【0166】(第3工程)先の尖ったピンを上記第2工
程で得られた高粘性ゾルに挿入し引き上げた後、前述し
た図1に示すような構成を有するファイバー形成装置A
で、引き上げ速度80cm/秒で引き上げたところ、ゲ
ルファイバーを製造できた。
【0167】(第4工程)ゲルファイバーは、ファイバ
ー形成装置Aにおけるヒータ装置32としての電気炉で
大気中700℃で15分間熱処理された。この結果、ゲ
ルファイバーは、クラックを生じることなく、均質で緻
密な結晶構造を有するものとして、結晶化された。X線
回折測定を行ったところ、結晶相はペロブスカイト相で
あり、PZTファイバーであることが確認された。ま
た、このときのファイバー径は、直径30μmであっ
た。
【0168】実施例5 実施例5はPb(Ni1/3Nb2/3)O3ファイバーの製
造に本発明方法を適用した例である。
【0169】(第1工程)はじめに、モル比で2−メト
キシエタノール:酢酸鉛3水和物:ニッケルアセチルア
セトナート2水和物((CH3COCHCOCH32
i・2H2O、和光純薬工業(株)):ニオブエトキシ
ド(Nb(OEt)5、高純度化学製):エタノール:
水=24:3.003:1:2:60:6を含むゾル溶
液を以下の手順で調製した。
【0170】まず、モル比で全量の半分の量の2−メト
キシエタノールに酢酸鉛3水和物を加え、70℃に加熱
し溶解させ、さらに同じ温度でニッケルアセチルアセト
ナート2水和物を溶解させ、溶液Gを得た。次に残りの
2−メトキシエタノールとモル比で全量の半分の量のエ
タノールにニオブエトキシドを加えて混合し、溶液Hを
得た。溶液Hに溶液Gを入れて混合し、この混合溶液を
78℃で2時間還流後、放置して室温(25±1℃)ま
で温度を低下させた。さらに、残りのエタノールと水の
混合溶媒を滴下し、撹拌することで均一なゾル溶液を調
製し、溶液Iとした。
【0171】(第2工程)溶液Iを2時間放置した後、
2−メトキシエタノールの沸点近傍の温度で曳糸性を示
すまで加熱濃縮し、溶液Iを高粘性ゾルとした。
【0172】(第3工程)先の尖ったピンを上記第2工
程で得られた高粘性ゾルに挿入し引き上げた後、前述し
た図1に示すような構成を有するファイバー形成装置A
で、引き上げ速度80cm/秒で引き上げたところ、ゲ
ルファイバーを製造できた。
【0173】(第4工程)ゲルファイバーは、ファイバ
ー形成装置Aにおけるヒータ装置32としての電気炉で
大気中700℃で15分間熱処理された。この結果、ゲ
ルファイバーは、クラックを生じることなく、均質で緻
密な結晶構造を有するものとして、結晶化された。X線
回折測定を行ったところ、結晶相はペロブスカイト相で
あり、Pb(Ni1/3Nb2/3)O3ファイバーであるこ
とが確認された。また、このときのファイバー径は、直
径30μmであった。
【0174】実施例6 実施例1において製造された、モル比でPb:La:Z
r:Ti=1001:90:635:342の組成を有
する、直径30μmのPLZTファイバーを用いて、光
シャッターアレイ素子を製造した。
【0175】製造した光シャッターアレイ素子の構造
は、前述した図3に示す素子D1とした。
【0176】基板としては、ダイヤモンドカッターによ
る切削加工によって、表面に40μmピッチで互いに平
行な約1000本のV溝を有する長さ1mm×幅40m
m×厚さ0.5mmのアルミナ製基板を用いた。
【0177】ここでファイバーでない形態では、長さは
せいぜい100μm程度である。これは強度上の問題ゆ
えである。ファイバーの形態では、この実施例における
ように1mm、あるいはさらに2〜5mm程度まで可能
である。このようにファイバーの長手方向に長さを大き
くとれるので、電極1と3の長さも長く構成できる。こ
れにより、シャッターリングに必要な電位を低くするこ
とができ、安価な駆動源を用いることができる。
【0178】このアルミナ基板のV溝上に共通電極とし
てのAg−Pdにガラスフリットを混ぜて得られる電気
導電性を有する接着剤を塗布し、実施例1において得ら
れたPLZTファイバーを各V溝に載置し、加熱した
後、冷却してPLZTファイバーを各V溝に固定した。
【0179】次にPLZTファイバーの端面をダイヤモ
ンドカッターで切りそろえて端面を光学研磨し、紫外線
硬化樹脂をファイバーの上面を除く全体に薄く塗布した
後、紫外線を照射することによりPLZTファイバーを
完全に基板上に固定した。
【0180】最後に、紫外線硬化樹脂を塗布しなかった
上面のみが露出するように、これ以外の部分をフォトリ
ソグラフィーによりマスキングした後、スパッタリング
により各PLZTファイバーの上部に、約500〜50
00オングストロームの厚さでAlを付着させ、個別電
極であるAl電極を形成した。また、紫外線硬化樹脂が
硬化して収縮してできた各PLZTファイバー同士の間
の間隙に、ポリエチレン樹脂を材料とする充填剤を注入
し、各PLZTファイバー間を遮光した。
【0181】このようにして作製された光シャッターア
レイ素子を、図4に示すような配置にて、各ファイバー
ごとに4.2Vを印加し、レーザー光を入射させた。こ
の結果、駆動電圧を印加したファイバーから射出したレ
ーザー光と、印加しなかったファイバーから射出したフ
ァイバーとは十分にコントラスト差があることが確認で
きた。なお、この素子を感光体上に画像を書き込むプリ
ンタヘッドとして使用した場合、600dpiの解像度
に相当するものである。
【0182】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のファイバ
ー製造方法によれば、従来の固相反応や真空製膜では作
製できなかった金属酸化物ファイバーを、簡便な製造工
程をもって製造することができ、かつその製造工程にお
いて沈殿物等の不純物を生じず、純度の高い、均質かつ
緻密なファイバーを提供することができる。
【0183】また、本発明によれば、低電圧で駆動しコ
ンパクトで高集積化が可能であるにもかかわらず、製造
が容易な光変調素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のファイバー製造方法の一実施形態に
おいて用いられるファイバー形成装置Aの構成を示す模
式図、
【図2】 本発明のファイバー製造方法の別の実施形態
において用いられるファイバー形成装置Bの構成を示す
模式図、
【図3】 本発明の光変調素子の第1の実施形態の光シ
ャッターアレイ素子D1の構造を模式的に示す斜視図、
【図4】 図3に示す光シャッターアレイ素子D1の製
造工程を示す模式図、
【図5】 図3に示す光シャッターアレイ素子D1の使
用状態を模式的に示す斜視図、
【図6】 本発明の光変調素子の第2の実施形態の光シ
ャッターアレイ素子D2の構造を模式的に示す斜視図、
【図7】 本発明の光変調素子の第3の実施形態の光シ
ャッターアレイ素子D3の構造を模式的に示す断面図、
【図8】 本発明の光変調素子の第4の実施形態の光シ
ャッターアレイ素子D4の構造を模式的に示す断面図、
【図9】 本発明の光変調素子の第5の実施形態の光シ
ャッターアレイ素子D5の構造を模式的に示す断面図、
【図10】 本発明の光変調素子の第6の実施形態の光
シャッターアレイ素子D6の構造を模式的に示す断面
図、
【図11】 本発明の光変調素子の第7の実施形態の光
シャッターアレイ素子D7の構造を模式的に示す断面
図、
【図12】 本発明の光変調素子の第8の実施形態の光
シャッターアレイ素子D8の構造を模式的に示す斜視
図、
【図13】 本発明の光変調素子の第9の実施形態の光
シャッターアレイ素子D9の構造を模式的に示す斜視
図、
【図14】 本発明の光変調素子の第10の実施形態の
光シャッターアレイ素子D10の構造を模式的に示す斜
視図、
【図15】 本発明の光変調素子の第11の実施形態の
光シャッターアレイ素子D11の構造を模式的に示す斜
視図、
【図16】 本発明の光変調素子の第12の実施形態の
光シャッターアレイ素子D12の構造を模式的に示す斜
視図、
【図17】 図15に示す光シャッターアレイ素子D1
1において用いられるファイバーユニットの製造工程を
示す模式図。
【符号の簡単な説明】
1 第1電極、 2 PLZTファイバー、 3 第2電極、 4、4A、4B 基板、 5 基板の溝、 6 充填剤、 7 偏光子、 8 検光子、 9 電源、 10 光源、 11 ファイバー押さえ板、 12 ファイバー押さえ板の溝、 13 紫外線硬化樹脂、 14 ファイバー押さえ板、 15 異方性導電シート、 16 電圧印加素子、 17 ファイバーユニット、 18 大口径ドラム、 19 接着剤層、 20 裁断物、 31 高粘性ゾル収容容器、 32 ヒータ装置、 33 捲取機、 41 高粘性ゾル収容容器、 41a 開口、 42 ヒータ装置、 43 捲取機、 44 加圧シリンダ。

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属あるいは金属化合物の水和物を少な
    くとも一つ含む原料を、沸点が70℃以上のアルコール
    系溶媒に分散させ、ゾル溶液を調製する第1工程と、 前記第1工程において得られたゾル溶液を、100℃以
    下にて加熱し、原料を重合せしめ錯体化させた後に、曳
    糸性を示すまで濃縮する第2工程と、 前記第2工程において得られたゾル溶液を、ファイバー
    前駆体に引き延ばしてゲル化させる第3工程と、 ゲル化した前記ファイバー前駆体を加熱してファイバー
    を製造する第4工程とを含むことを特徴とするファイバ
    ーの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記第1工程においてアルコール系溶媒
    と金属錯体を形成する一座配位子もしくは多座配位子を
    併用することを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 金属錯体を形成する一座配位子もしくは
    多座配位子がアミン系のものである請求項2に記載の製
    造方法。
  4. 【請求項4】 前記第2工程において、酸触媒および塩
    基触媒のいずれも使用しないこと、を特徴とする請求項
    1に記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記原料は、金属成分として、Pb、L
    aおよびBiのうち少なくとも一つの元素と、Zr、T
    i、Ni、Nb、FeおよびWのうち少なくとも一つの
    元素とを含む組成であることを特徴とする請求項1に記
    載の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記原料は、金属成分として、Pbおよ
    びLaのうち少なくとも一つの元素と、ZrおよびTi
    のうち少なくとも1つの元素とを含む組成であることを
    特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記原料は、金属成分として、Pbと、
    ZrおよびTiのうち少なくとも一つの元素とを含む組
    成であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記金属化合物の水和物あるいは前記原
    料中に含まれるその他の金属化合物が、金属のアルコキ
    シド、酢酸塩、およびアセチルアセトナートからなる群
    から選ばれてなる少なくとも1つの化合物である請求項
    1に記載の製造方法。
  9. 【請求項9】 アルコール系溶媒が、エタノール、n−
    プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イ
    ソブタノール、2−メトキシエタノール,2−エトキシ
    エタノールおよびこれらの混合物からなる群から選ばれ
    てなるものである請求項1に記載の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記第1工程において、水和物の結晶
    水、溶媒中の水分、および大気中の水分のうち少なくと
    も1つからゾル溶液に水が導入されていることを特徴と
    する請求項1に記載の製造方法。
  11. 【請求項11】 電気光学特性を有する複数のファイバ
    ー、複数のファイバーを略並列に保持する保持部材、お
    よび複数のファイバーに電界を印加して電気光学特性を
    変化させる電圧印加手段を有することを特徴とする光変
    調素子。
  12. 【請求項12】 前記保持部材が、複数のファイバーを
    略並列に載置するための複数の溝が形成された基板であ
    ることを特徴とする請求項11記載の光変調素子。
  13. 【請求項13】 前記電圧印加手段が、保持部材として
    の基板表面に設けられた複数のファイバー全てに共通に
    接触する共通電極、各ファイバーの共通電極との接触部
    以外の表面部位にそれぞれ設けられた個別電極、および
    共通電極と個別電極間に電圧を印可する駆動電圧電源を
    含むものである請求項11記載の光変調素子。
  14. 【請求項14】 共通電極が電気伝導性を有する接着剤
    により構成されていることを特徴とする請求項13記載
    の光変調素子。
  15. 【請求項15】 略並列に配列されたファイバー間の間
    隙には、ファイバー原料よりも屈折率が低い遮光性の充
    填剤が充填されていることを特徴とする請求項11記載
    の光変調素子。
  16. 【請求項16】 ファイバーの一方の端部がそれぞれ同
    じ方向に延長されており、前記端部は束ねられているこ
    とを特徴とする請求項11記載の光変調素子。
  17. 【請求項17】 前記ファイバーは、Pb、LおよびB
    iのうち少なくとも一つの元素と、Zr、Ti、Ni、
    Nb、FeおよびWのうち少なくとも一つの元素とを含
    む組成であることを特徴とする請求項11記載の光変調
    素子。
  18. 【請求項18】 前記ファイバーが、 金属成分としてPb、LaおよびBiのうち少なくとも
    一つの元素と、Zr、Ti、Ni、Nb、FeおよびW
    のうち少なくとも一つの元素とを含み、かつこれらの金
    属あるいはその金属化合物の少なくとも一つが水和物と
    して含有されてなる原料を、沸点が70℃以上のアルコ
    ール系溶媒に分散させ、ゾル溶液を調製する第1工程
    と、 前記第1工程において得られたゾル溶液を、100℃以
    下にて加熱し、原料を重合せしめ錯体化させた後に、曳
    糸性を示すまで濃縮する第2工程と、 前記第2工程において得られたゾル溶液を、ファイバー
    前駆体に引き延ばしてゲル化させる第3工程と、 ゲル化した前記ファイバー前駆体を加熱してファイバー
    を製造する第4工程とを経て得られたファイバーである
    ことを特徴とする請求項11記載の光変調素子。
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