JPH10121115A - 金属粉末の製造方法およびその装置 - Google Patents

金属粉末の製造方法およびその装置

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JPH10121115A
JPH10121115A JP6468897A JP6468897A JPH10121115A JP H10121115 A JPH10121115 A JP H10121115A JP 6468897 A JP6468897 A JP 6468897A JP 6468897 A JP6468897 A JP 6468897A JP H10121115 A JPH10121115 A JP H10121115A
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cooling
raw material
chamber
opening
molten metal
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JP6468897A
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English (en)
Inventor
Hideo Koshimoto
秀生 越本
Isao Endo
功 遠藤
Yasushi Yamamoto
裕史 山本
Isamu Otsuka
勇 大塚
Yoshimasa Okuno
良誠 奥野
Masanori Yoshino
正規 吉野
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Kubota Corp
Original Assignee
Kubota Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 るつぼ内の溶融金属を、その下方の冷却用筒
体内の冷却液中に供給し急冷凝固させて金属粉末を製造
する際、大気雰囲気からの不純物の混入や汚染によって
高品質の粉末を得難い。 【解決手段】 原料容器6を収容する溶解室1と冷却用
筒体22を収容する冷却室5とを設けると共に、これら
両室を連通する開口にゲートバルブ36を設けて、溶解
室1内での原料金属の真空溶解と、冷却室5内の不活性
ガス雰囲気への置換とを互いに独立に並行して行う。こ
れにより、溶融金属は、冷却液中で急冷凝固するまで大
気に触れることがなく、しかも、より短時間で溶解室と
冷却室との大気雰囲気からの置換を行うことができるの
で、品質に優れた金属粉末を効率良く製造することがで
きる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶融金属を冷却液
中に供給し急冷凝固させて金属粉末を製造する方法およ
びその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】溶融金属を冷却液中に供給し急冷凝固さ
せて得られる粉末は、結晶粒が微細であり、さらに非晶
質の金属粉末として得ることも可能である。また、合金
元素も過飽和に含有させることができるため、上記のよ
うな急冷凝固粉末によって形成された押出材や焼結材
は、溶製材では具備することのない優れた特性を備え、
機械部品や磁性材料部品等の素材として注目されてい
る。
【0003】このような急冷凝固粉末の製造装置の一例
が、実開平6-39929 号公報に記載されている。その装置
は、図5(a)に示すように、略円筒状の冷却用筒体61を備
え、この筒体61の内周面に、冷却液供給孔62から冷却液
が接線方向に噴出供給される。これによって、冷却用筒
体61内、すなわち、冷却領域には、内周面に沿って旋回
しながら流下する冷却液層63が形成され、この冷却液層
63に、その上方に配置されたるつぼ64内の溶融金属65
が、溶湯ノズル孔66を通して溶融金属流67として供給さ
れる。これが冷却液層63で分断され急冷凝固されて金属
粉末が得られるようになっている。
【0004】なお上記公報には、同図(b) に示すような
溶融金属供給容器71がさらに開示されている。この供給
容器71は、るつぼ72の下側に、さらにガスジェットノズ
ル73を設けて構成されている。このガスジェットノズル
73からアルゴンガスや窒素ガス等の通常のガスアトマイ
ズ法で使用される不活性ガスが、図中二点鎖線で示すよ
うに、逆円錐状のガスジェット74として噴射される。
【0005】この溶融金属供給容器71を、前記冷却用筒
体61の上方に設けて金属粉末の製造を行う場合、まず、
るつぼ72底部の溶湯ノズル孔76に図示しない栓を取り付
けた状態で、るつぼ72内に溶融金属77が注入される。そ
の後、上蓋75がるつぼ72に気密にセットされ、上蓋75の
ガス供給口78よりるつぼ72内にアルゴンガス等の圧縮ガ
スが供給されると共に、溶湯ノズル孔76を塞ぐ栓が取り
外される。これにより、溶湯ノズル孔76を通して溶融金
属流79が下方に噴出する。同時に、前記のガスジェット
74が形成され、その交点部に溶融金属流79が流下して溶
滴に分断される。この溶滴は、前記同様に冷却用筒体61
内に形成されている冷却液層63にガスジェット74と共に
運ばれて注入され、ここでさらに分断され急冷凝固され
る。
【0006】この製造方法によれば、溶融金属流79がガ
スジェット74と、旋回する冷却液層63とで二段階に分断
されることになり、これによって、より微細化された急
冷凝固金属粉末を製造し得るようになっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た従来の製造方法においては、品質に優れた金属粉末を
得難いという問題を有している。例えば上記公報記載の
方法では、るつぼ72に注入される溶融金属77は、これが
冷却液層63に注入されて急冷凝固するまでの間に大気雰
囲気に曝される機会が多く、このため、酸化や汚染がお
こり易く、これによって、品質の低下が生じてしまう。
【0008】これを防止するため、例えば特開平5-1485
15号公報には、前記したガスジェット74の外側に、さら
に円筒状の不活性ガス膜が形成されるように、二重に不
活性ガスを噴射する構成としたガスジェットノズルが開
示されている。これによって、ガスジェットによって分
断された溶滴は、不活性ガス膜で包囲された状態で冷却
液層に注入される。しかしながらこのような構成では、
不活性ガス膜内を完全な不活性ガス雰囲気とすることは
困難であり、したがって、この場合でも、大気に触れる
ことによって生じる品質劣化は充分には抑制し難い。
【0009】一方、前記冷却用筒体61内には、一般に水
が冷却液として供給されている。しかしながら、例えば
急冷凝固により非晶質化することによって、保磁力など
の磁気特性に優れた磁性材料粉末等を製造しようとする
場合は、水の使用に起因して特性の劣化が生じる場合が
ある。つまり、一般に使用されている水の中には、酸素
の他、油脂やその他の浮遊物が多く含まれ、これらは、
溶融金属の凝固過程において結晶の核となり、非晶質金
属粉末の生成を阻害する。また、油脂等の不純物は、高
温物体に接すると分解して酸素や水素を放出し、このガ
スが粉末の特性を劣化させる。
【0010】さらに、原料金属の種類によっては、水の
使用によって金属粉末の表面に生じる水酸化物に起因し
て、例えば成形性などの特性が低下するために、良質の
金属粉末を得難いという問題も生じている。本発明は、
上記した従来の問題点に鑑みなされたもので、より品質
に優れた急冷凝固金属粉末を得ることが可能であると共
に、さらに、製造効率を向上し得る金属粉末の製造方法
およびその装置を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明の請求項1の金属粉末の製造方法は、原料
容器内の溶融金属をその下方の冷却領域に供給された冷
却液中に注入して金属粉末を製造する方法であって、原
料容器からの溶融金属の流下経路上に開口を有する隔壁
と、この隔壁上で上記原料容器を収容する溶解室と、開
口から上記冷却領域に至る隔壁下側空間を囲って冷却室
を形成する筒体と、開口を開閉する開閉弁手段とを設
け、開閉弁手段で開口を閉じた状態で、溶解室内での原
料容器内の原料金属の真空溶解と、冷却室内を不活性ガ
ス雰囲気とするガス置換とを互いに並行に行い、その
後、開閉弁手段を作動して開口を開状態とし、原料容器
内の溶融金属を流下させ冷却室内の冷却液中に注入して
金属粉末を製造することを特徴としている。
【0012】上記方法によれば、原料金属は溶解室内で
真空溶解され、その後、不活性ガス雰囲気となっている
冷却室内に供給されて冷却液中に注入される。したがっ
て、原料容器内の原料金属は、これが溶融して冷却液中
に注入され急冷凝固するまで大気に触れることがないの
で、酸化や汚染が抑制され、品質に優れた金属粉末を得
ることができる。
【0013】しかも上記では、原料金属を真空溶解する
に当たっての設定真空度が高い場合でも、この真空度に
より短時間で到達させることができる。つまり、溶解室
が冷却室に開口を通して連通した状態のままでは、冷却
室側に例えば前回の製造サイクルで使用した水等の冷却
液が付着残存している場合に、所定の真空度に達するま
での真空排気に長時間を要するものとなる。しかしなが
ら、上記では、開閉弁手段によって溶解室を冷却室から
隔絶した状態で真空排気するので、冷却室側の残留水な
どの影響が及ばず、また、真空排気容積も小さくなるの
で、設定真空度に速やかに到達させることが可能にな
り、したがって、より短時間で原料金属の真空溶解を行
うことができる。
【0014】そして、この間に、冷却室側での不活性ガ
ス雰囲気への置換が並行して行われるので、溶解室内で
の真空溶解が完了してこの溶解室内の雰囲気も不活性ガ
ス雰囲気とした後には、すぐに開閉弁手段を開弁して溶
融金属を流下させる操作を開始することができる。この
ように、隔壁に形成されている開口を開閉する開閉弁手
段を設けて溶解室と冷却室側との雰囲気を互いに独立に
制御し得ることで、より短時間で両室の大気雰囲気から
の置換を行うことができるので、全体的なサイクルタイ
ムが短くなり、これによって、品質に優れた金属粉末を
効率良く製造することができる。
【0015】なお上記方法は、請求項2の製造装置、す
なわち、原料容器内の溶融金属をその下方の冷却領域に
供給された冷却液中に注入して金属粉末を製造するため
の装置であって、原料容器からの溶融金属の流下経路上
に開口を有する隔壁と、この隔壁上で上記原料容器を収
容する溶解室と、開口から上記冷却領域に至る隔壁下側
空間を囲う筒体と、開口を開閉する開閉弁手段と、溶解
室を真空排気するための排気手段と、溶解室および筒体
内に個別に不活性ガスを供給するガス供給手段とを設け
た金属粉末の製造装置を用いて好適に実施することがで
きる。
【0016】本発明の請求項3の金属粉末の製造方法
は、原料容器内の溶融金属をその下方の冷却液中に供給
して金属粉末を製造する方法であって、冷却液として純
水を用いることを特徴としている。このように、冷却液
として不純物を殆ど含まない純水を用いることで、例え
ば非晶質の金属粉末をより確実に得ることが可能とな
り、これによって、磁気特性の良好な磁性材料粉末な
ど、特性に優れた金属粉末を得ることができる。
【0017】請求項4の金属粉末の製造方法は、原料容
器内の溶融金属をその下方の冷却液中に供給して金属粉
末を製造する方法であって、冷却液としてフッ素系不活
性液を用いることを特徴としている。このように冷却液
としてフッ素系不活性液を用いれば、水酸化物のない金
属粉末が得られることになり、これによって、各種の特
性が向上し、例えば成形性の良好な金属粉末を得ること
ができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
〔実施形態1〕以下、図面に基づいて本発明の一実施形
態について説明する。本実施形態に係る金属粉末製造装
置は、図1に示すように、上部側に溶解室1を備えてい
る。この溶解室1は、水平板状の固定板(以下、隔壁と
いう)2上に、略箱形の上部チャンバ3を設けて形成さ
れている。一方、隔壁2の下側には、下端が開口した略
円筒状の下部チャンバ(筒体)4が上記隔壁2からの垂
下状に設けられ、この下部チャンバ4の内部空間が、後
述する冷却室5として形成されている。なお、上記隔壁
2は、図示しない架台によって、所定の高さ位置に固定
されている。
【0019】溶解室1内には、そのほぼ中央位置に原料
容器6が配設され、この原料容器6を囲うように、原料
容器6内に充填された原料金属を加熱溶融するための加
熱コイル7が設けられている。上記原料容器6には、図
3に示すように、その底壁中央部に溶湯ノズル8が装着
されている。この溶湯ノズル8には、その中心に、上下
に貫通する細孔形状の溶湯ノズル孔8aが形成されてい
る。また、この溶湯ノズル8は、その下端部側が原料容
器6の底壁から下方に突出する形状で形成されており、
この下方への突出部位を囲うように、ガスジェットノズ
ル9が隔壁2に取付けられている。なお、このガスジェ
ットノズル9における外周側の隔壁2との嵌合面には、
図示してはいないが、Oリングなどの真空シール部材が
介装されている。
【0020】上記ガスジェットノズル9には、その中央
部に上下に貫通する開口10が形成され、この開口10にお
ける上半分の小径穴に、溶湯ノズル8の上記した下方突
出部が嵌挿されている。なお、上記開口10の下半分は下
広がりの円錐状に形成されている。このガスジェットノ
ズル9内には、溶湯ノズル8を囲う形状でガス室(図示
せず)が形成されており、このガス室に圧縮ガスを供給
することによって、図中矢印で示すようなガスジェット
Gjが噴射されるように構成されている。このガスジェッ
トGjは、ガス室から逆円錐状に吹き出されて、溶湯ノズ
ル8の下端部よりやや下側の位置で交差した後、円錐状
に拡がるように設定されている。
【0021】なお、後述するように、原料容器6内での
原料金属の加熱溶融の過程では、溶湯ノズル孔8aを塞ぐ
棒状のストッパ部材6aが、原料容器6内に上方から挿入
される。そして、原料容器6内の原料金属が全て溶融し
所定の温度に達した時点で、上記のストッパ部材6aは上
方に移動され、これによって、溶湯ノズル孔8aが閉止状
態から開状態に切換わり、溶融金属が溶湯ノズル孔8aを
通して下方に流下するようになっている。
【0022】このようなストッパ部材6aの操作は、溶解
室1の外側から行われる。すなわち、このストッパ部材
6aは、図1に示すように、その上端側が溶解室1の天板
部分を貫通する長さ寸法で設けられている。このストッ
パ部材6aの貫通部や、図示しない溶解室の開閉扉などに
は、Oリング等のシール部材がそれぞれ設けられてお
り、これによって、溶解室1内は、前記ガスジェットノ
ズル9における開口10の箇所を除いて、気密性を有する
構成となっている。
【0023】一方、前記冷却室5を囲う下部チャンバ4
の下側には、後述する冷却用筒体22を支持する水平板状
の基台11が配設されている。この基台11は、例えばテー
ブルリフタ等の昇降装置12に取付けられて、上下に移動
可能になっている。この基台11上に、4本の支柱13…
と、これら支柱13…の上部に支持された支持枠14とから
成る架台15が取付けられている。支持枠14は、支柱13…
の上端間に固定された下部固定枠14aと、その上方の上
部固定枠14bと、これら上下の固定枠14a,14b の間に配
設された可動枠14cとを備えている。
【0024】上下の固定枠14a,14b の間には4本のネジ
軸16…が上下に架設され、これらネジ軸16…にそれぞれ
螺合するスクリューナット20…を介して、前記可動枠14
cが水平に支持されている。各ネジ軸16…は、前記基台
11上に取付けられた高さ調整ハンドル17の操作により、
ギヤボックス18・スプロケット16a…・チェーン19を介
して互いに同一方向に回転し、これによって、可動枠14
cの高さ位置が調整される。この可動枠14cに、一対の
L形取付部材21・21を介して、冷却用筒体22が取付けら
れている。
【0025】この冷却用筒体22は略円筒状に形成され、
図2に示すように、筒体軸心を鉛直方向に対して所定の
角度傾斜させて、前記L形取付部材21により可動枠14c
に固定されている。この筒体22の上端部には、図3に示
すように、中心開口23aを有する環状蓋23が取付けられ
ている。また、冷却用筒体22の内周面には、冷却液噴出
孔22a…が周方向等間隔に複数個形成されている。これ
ら噴出孔22a…は、筒体22の内周面に沿って接線方向か
ら冷却液を噴出供給できるように開口されている。
【0026】上記の冷却液噴出孔22a…に加圧した冷却
液を供給して噴出させると、冷却用筒体22内、すなわ
ち、冷却領域には、内周面に沿って旋回しながら流下す
る冷却液層24が形成される。なお、この内周面には、冷
却液層24の層厚を調整するための層厚調整用リング25・
25がボルトによって着脱、交換自在に取付けられてい
る。これら二段のリング25・25によって冷却液の流下速
度が抑えられ、図中二点鎖線で示すように、上下にわた
って略一定内径の冷却液層24がより少ない流量で形成さ
れる。
【0027】冷却用筒体22の冷却液排出端である下端開
口には、フランジ継手部26を介して排出管27が接続され
ている。この排出管27は、図2に示すように、支持枠14
内から下方へと基台11近くまで延び、この箇所で横方向
に屈曲されている。また、この排出管27には、フランジ
継手部26の下側の位置に、可撓性を有して伸縮自在なフ
レキシブル配管部27aが介装される一方、上記屈曲部位
よりもやや下流側に、内部流路を開閉する開閉弁28が介
設されている。この弁28は、後述する真空引き、不活性
ガス置換中は閉状態に保たれる。
【0028】基台11上には、図1に示すように、前記4
本の支柱13…のほぼ中間の高さ位置に、上記排出管27お
よび支柱13…と、高さ調整ハンドル17に連結されたネジ
軸16とが貫通する略円板状の底板29がさらに水平に配設
されている。底板29には、上記各部材27・13・16の貫通
箇所に、Oリングなどのシール部材を内部に備えるフラ
ンジ30A・30B・30Cが取付けられている。これによ
り、各貫通部位での気密性が保持され、しかも、各支柱
13…およびネジ軸16に対しては、底板29に対して上下方
向の相対的なスライド動作が自由に生じ得るように、上
記の気密性のフランジ30B・30Cが構成されている。
【0029】上記底板29は、その下面に垂下状の被支持
部29a・29aが取付けられ、これらを、基台11に立設さ
れた支持ブロック31・31上に載置した状態として支持さ
れて、上記した高さ位置に水平に保持されている。そし
て、基台11を下側から上昇させ、底板29が、図のように
下部チャンバ4の下端開口を塞ぐ位置に位置した状態
で、この底板29の外周縁に沿って設けられているクラン
プ部材32…を操作し、底板29を下部チャンバ4の下端に
緊締することによって、下部チャンバ4内に気密化され
た冷却室5が形成される。
【0030】なお、底板29における上面外周側には、上
端に転動ローラをそれぞれ有する複数のカムフォロアー
33…が案内部材として設けられており、下部チャンバ4
に対して基台11を下側から上昇させる際、上記カムフォ
ロアー33…の各転動ローラが下部チャンバ4の内面にそ
れぞれ沿うように基台11の水平方向の位置を合わせて上
昇させることで、下部チャンバ4と底板29とが互いに同
心状に位置決めされて、相互に当接するようになってい
る。
【0031】一方、前記冷却用筒体22が取付けられる支
持枠14には、上部固定枠14bの上面側方箇所に、上方に
延びる位置決めピン34が取付けられている。そして、前
記隔壁2の下面に、上記位置決めピン34が下側から嵌入
するガイド穴を備えたガイド部材35が取付けられてい
る。このガイド穴に位置決めピン34が嵌入した状態とし
て基台11を所定の高さ位置まで上昇させることによっ
て、冷却用筒体22における前記環状蓋23の中心開口23a
と原料容器6の溶湯ノズル8との所定の位置関係が確保
されるようになっている。
【0032】さらに上記装置においては、隔壁2の下面
に、この面に沿って往復動自在なゲートバルブ(開閉弁
手段)36が取付けられている。このゲートバルブ36を図
中実線で示す退避位置から、図中二点鎖線で示す位置へ
前進させることにより、溶解室1と冷却室5とを相互に
連通する前記開口10が、ゲートバルブ36で開閉される構
成となっている。
【0033】そして、溶解室1と冷却室5とを形成する
上部チャンバ3と下部チャンバ4とに、各々開閉弁37A
・37Bの介設された真空排気配管38A・38Bを介して、
真空ポンプ(排気手段)39A・39Bがそれぞれ接続さ
れ、また、上部チャンバ3と下部チャンバ4とには、ガ
ス供給手段を構成するガス供給配管40A・40Bがさらに
接続されている。これら配管40A・40Bに各々介設され
ている開閉弁41A・41Bを開弁することにより、所定圧
力の不活性ガスが、溶解室1と冷却室5とに互いに独立
に供給される。なお、これら各室1・5への不活性ガス
の供給圧力も互いに独立に設定し得るように、上記各ガ
ス供給配管40A・40Bに、図示しない圧力調整器がそれ
ぞれ介設されている。
【0034】一方、前記底板29の上面には、さらに冷却
液供給用のマニホルド42・42が取付けられており、これ
らに下面から冷却液を供給することによって、図2にお
いて破線で示す高圧ホースより成る分岐配管43…を通し
て、前記冷却用筒体22の各冷却液噴出孔22a…に冷却液
が各々供給される。次に、上記装置での金属粉末の製造
手順について説明する。
【0035】まず、冷却室5側での準備作業について説
明すると、基台11上の支持枠14全体を下部チャンバ4よ
りも下側に下降させた状態で、冷却用筒体22が所定の傾
斜角度に調整されて支持枠14に取付けられる。このとき
の傾斜角度は、取付穴の位置を適宜替えて作製した前記
L形取付部材21を適当に選択することで、例えば0°か
ら45°程度の範囲で変更することが可能である。さら
に、基台11を上昇させたときに、冷却用筒体22の上端が
隔壁2に当接することなく、かつ、近接して位置するよ
うに、この冷却用筒体22の高さ位置を、高さ調整ハンド
ル17の操作により可動枠14cを上下動させて調整する。
【0036】その後、基台11を上昇させ、底板29が下部
チャンバ4の下端に当接する位置で停止させる。この上
昇操作は、前述したように、底板29外周側のカムフォロ
アー33…の各転動ローラが、下部チャンバ4の内周面に
沿って転動する位置に位置していること、さらに、下部
チャンバ4の覗き窓(図示せず)を通して、支持枠14上
端の位置決めピン34が、隔壁2下面のガイド部材35に嵌
入した状態が得られたことを順次確認しながら行う。
【0037】次いで、底板29外周のクランプ部材32…を
操作してこの底板29を下部チャンバ4の下端面に緊締
し、冷却室5を密閉状とする。なおこのとき、ゲートバ
ルブ36は、その前進位置に位置させて前記開口10を閉塞
する閉弁位置に位置させており、また、冷却室5に通ず
る各種配管に介装されている開閉弁は、全て閉弁状態と
されている。
【0038】一方、溶解室1側では、原料容器6が内部
にセットされ、この原料容器6内に、前記ストッパ部材
6aを上方から挿入して溶湯ノズル孔8aを塞ぎ、この状態
で、原料金属を原料容器6内に充填した後、この溶解室
1の開閉扉を閉じて密閉状とする。その後、真空排気配
管38A・38Bの各開閉弁37A・37Bをそれぞれ開弁し、
溶解室1内および冷却室5内の大気を、真空ポンプ39A
・39Bによってそれぞれ排気する。この真空排気によ
り、溶解室1側で所定の真空度、例えば5×10-5Torrに
達すると、この真空排気状態を継続したまま、加熱コイ
ル7への通電を開始し、原料容器6内の原料金属の加熱
を開始する。
【0039】一方、冷却室5側では、例えば5×10-2To
rrに設定されている設定真空度に到達した段階で、開閉
弁37Bを閉弁して真空排気を中断すると共に、この冷却
室5に接続されているガス供給配管40Bの開閉弁41Bを
開弁する。これにより、アルゴンガス、或いは窒素ガス
などの不活性ガスを冷却室5内に供給し、この室内の雰
囲気ガスを大気から不活性ガスに置換する。このときの
不活性ガスの供給圧力は、ほぼ1気圧(大気圧)に設定
されている。
【0040】このような真空排気とその後の不活性ガス
の導入によるガス置換操作を、溶解室1側での原料金属
の加熱溶融操作の継続中に複数回繰返すことによって、
冷却室5内では、各回での真空排気の到達度がそれほど
高くなくとも、大気の残留濃度は大幅に低下し、内部は
より完全な不活性ガス雰囲気となる。なお、上記のよう
に冷却室5内を真空排気すると、この冷却室5を囲う下
部チャンバ4および底板27に内外圧力差によって歪が生
じる。このとき、冷却用筒体22の取付けられた架台15が
底板29によって支持された構成であると、この底板29の
歪に応じて冷却用筒体22の位置が変動し、例えば冷却用
筒体22をその上端部が隔壁2の下面にできるだけ近接す
るように取付けている場合には、上記した底板29の歪に
よって冷却用筒体22が隔壁2に当接し、これによって相
対的な位置関係にずれが生じるおそれがある。
【0041】そこで上記装置では、架台15における支柱
13やネジ軸16が底板29を貫通し、これら貫通部位で相対
的なスライド可能な構成となっている。したがって、底
板29に上記のような歪が生じても、その下側の基台11に
よって支持されている架台15、ひいては、冷却用筒体22
の位置変化は生じず、これによって、冷却室5の真空排
気を行っても、冷却用筒体22は初期調整位置で確実に保
持される。
【0042】前記のように、溶解室1内での原料金属の
真空溶解と、冷却室5側での真空ガス置換とを並行して
行い、その後、原料容器6内の原料金属が所定の温度に
達すると、溶解室1に接続されている真空排気配管38A
の開閉弁37Aを閉弁し、さらに、この溶解室1内にも不
活性ガスが導入されるように、ガス供給配管40Aの開閉
弁41Aを開弁する。溶解室1内が設定圧力に到達したこ
とが確認されると、加熱を続行して原料金属を溶融さ
せ、溶湯が所定温度に達するまで加熱する。その後、冷
却用筒体22への冷却液の供給を開始すると共に、排出管
27の開閉弁28を開弁し、冷却用筒体22内に前記した冷却
液層24を形成する。
【0043】同時に、ゲートバルブ36を前記前進位置か
ら後退させて開口10を開状態とし、また、ガスジェット
ノズル9の前記ガス室への不活性ガスの供給を開始し
て、前述したガスジェットGjを噴出させる。その後、原
料容器6内に挿入していたストッパ部材6aを引き上げ、
溶湯ノズル孔8aを開状態とする。このとき、溶解室1内
は冷却室5よりもわずかに高い圧力に保持されているの
で、原料容器6内の溶融金属はその圧力差に応じた速度
で、溶湯ノズル孔8aを通して冷却室5内に細流状の溶融
金属流となって流下する。
【0044】この溶融金属流は、図3に示すように、ガ
スジェットノズル9から噴射されている逆円錐形状のガ
スジェットGjの交点に向けて流下し、ここで、ガスジェ
ットGjの吹き付けによって溶滴に分断され、さらに分断
された溶滴は、ガスジェットGjに乗って、冷却用筒体22
内の冷却液層24に向けて飛散される。そして、この旋回
しながら流下する冷却液層24内に注入されることにより
急冷凝固されて金属粉末が製造される。
【0045】この場合、ガスジェットGjの交点位置から
冷却液層24までの距離を適宜設定することにより、粉末
粒子の形状を球形から偏平形まで、所望の形状に変化さ
せることができる。すなわち、冷却液層24までの距離を
短くすると、ガスジェットGjによって分断された溶滴
は、その表面に凝固殻を形成する前に冷却液層24中に注
入され、衝突圧や遠心力により偏平形粉末が得られる。
一方、前記距離を十分とると、溶滴の表面に凝固殻が形
成されるため、冷却液層24に注入されても、ほぼ球形を
保つことができる。
【0046】こうして、冷却液層24中に形成された金属
粉末は、冷却液と共に旋回しながら層厚調整用リング25
を越えて流下し、冷却用筒体22の下端開口から排出管27
へと冷却液と共に排出され、この排出管27の下流端に設
けられている図示しない回収用網かご内で冷却液から分
離され回収される。なお、本実施形態では、冷却用筒体
22に供給する冷却液として、次の仕様を満たす純水を用
いている。すなわち、比抵抗:16MΩ以上(at 25℃),微
粒子:50個/ml以下(粒径0.2μm以上),生菌:5個/
ml以下,TOC(Total Organic Carbon):1mg/l以下であ
る。
【0047】原料容器6内の溶融金属が全て流下して粉
末製造の1サイクルが完了すると、再度、原料容器6に
ストッパ部材6aを挿入して原料金属を充填する手順から
繰り返され、次の製造サイクルが開始されることにな
る。なお、このときに原料容器6や溶湯ノズル8に劣化
が生じている場合には適宜交換され、また、この交換に
応じて、冷却室5側で例えば冷却用筒体22の位置調整な
どが必要な場合には、前記クランプ部材32を解除して基
台11を下降し、これにより、支持枠14を下部チャンバ4
の下側に位置させて上記の調整を行う。その後、前記同
様に、基台11を上昇させて、冷却用筒体22を冷却室5内
に位置させ密閉する操作が行われることになる。
【0048】以上の説明のように、本実施形態において
は、原料金属は溶解室1内で真空溶解されるので、不純
物の発生および混入がなくなり、また、各種の元素を原
料金属として溶解でき、また、成分も安定した溶解を行
うことができる。しかも、本実施形態では、溶解室1と
冷却室5との両室の真空排気を行うが、このとき、開口
10をゲートバルブ36で閉塞して互いに独立に行うので、
溶解室1側の真空排気は、その容積が小さく、また、冷
却用筒体22側での残留水などの影響も受けず、このた
め、設定真空度をより高くしてもその真空度がより短時
間で得られることになる。この結果、サイクルタイムを
より短くすることが可能になって生産性が向上すると共
に、より高真空で加熱溶解を行えるので、金属粉末の品
質も向上する。
【0049】一方、冷却室5の真空排気に当たっては、
冷却用筒体22や排出管27の内面に前回の製造サイクルで
使用した冷却液が付着残留していると、特に冷却液とし
て水を使用する場合にはこれが真空排気に伴って蒸発
し、所定の真空度に達するまでに長時間を要するものと
なるが、この場合には、溶解室1側よりも設定真空度を
低くし、この設定真空度に到達後に不活性ガスを導入す
る真空ガス置換を複数回繰返すことで、残留する大気濃
度が大幅に低下した不活性ガス雰囲気とすることができ
る。
【0050】このように、溶解室1と冷却室5とを互い
に独立に真空排気し、また、不活性ガス供給を行う構成
とすることにより、いずれの室も、より短時間で大気雰
囲気から、より完全な不活性ガス雰囲気にすることがで
きるので、全体的な製造のサイクルタイムが短くなり、
これによって、品質に優れた金属粉末を効率良く製造す
ることができる。
【0051】さらに、上記実施形態では、冷却用筒体22
に供給する冷却液として純水を使用するので、これによ
っても、より品質の優れた金属粉末を得ることができ
る。つまり、通常の水には酸素の他、油脂やその他の浮
遊物が多く含まれ、これらは、溶融金属の凝固過程にお
いて結晶の核となって、非晶質金属粉末の生成を阻害す
る。また、油脂等の不純物は、高温物体に接すると分解
して酸素や水素を放出し、このガスが粉末の特性を劣化
させる。
【0052】そこで、冷却液として不純物を殆ど含まな
い純水を用いることで、非晶質の金属粉末をより確実に
得ることが可能となり、これによって、例えば保磁力等
の磁気特性が向上した磁性材料粉末を得ることができ
る。なお、上記実施形態では、冷却用筒体22として、内
部に旋回して流下する冷却液層24が形成される円筒状の
ものを、その筒体軸心が斜め方向となるように配置した
例を図示したが、この場合に、冷却液の噴出速度が十分
で筒体内周面に遠心力の作用で冷却液層22が形成されれ
ば、筒体軸心をほぼ鉛直方向にして配置することや、さ
らに、内周面が冷却液の移動方向に沿って漸次縮径する
回転対称面で形成された例えば漏斗形状など、その他の
形状や形式の冷却用筒体を用いて構成することが可能で
ある。
【0053】〔実施形態2〕次に、本発明の他の実施形
態について図4を参照して説明する。なお、前記の実施
形態1で示した部材と同一の機能を有する部材には、同
一の符号を付記して説明を省略する。本実施形態に係る
金属粉末製造装置は、図4(a)に示すように、隔壁2と冷
却用筒体22との間に、この冷却用筒体22の外径と略同一
寸法の筒状体から成る中間チャンバ50を、隔壁2からの
垂下状に設けて構成されている。
【0054】この中間チャンバ50には、その下端を覆う
底壁50aの中央に、前記と同様のガスジェットノズル9
が装着されている。また、底壁50a上への載置状態で、
タンデッシュ51が中間チャンバ50内に収納されている。
このタンデッシュ51には、前記原料容器6の溶湯ノズル
8と同軸上の下部中央部に、下部溶湯ノズル52が装着さ
れ、このノズル52の下端側を、ガスジェットノズル9の
中央開口9aに上方から嵌挿させた組立状態となってい
る。
【0055】一方、冷却用筒体22は前記実施形態1とほ
ぼ同様の構成を有しており、この冷却用筒体22を下側か
ら押し上げることで、この筒体22の上端に取付けられて
いる前記環状蓋23が、中間チャンバ50の底壁50a下面に
シールリング53を介して気密に密着するように構成され
ている。前記実施形態1では、隔壁2に形成されている
開口10から冷却用筒体22内の冷却領域に至る隔壁下側空
間を、冷却室5として囲う筒体として、冷却用筒体22の
全体を外側から囲う下部チャンバ4を隔壁2からの垂下
状に設けて構成したが、本実施形態では、上記の下部チ
ャンバ4に替えて、冷却用筒体22の上面と隔壁2との間
の空間のみを囲う中間チャンバ50を設け、この中間チャ
ンバ50と冷却用筒体22との両者が、上記した開口10から
冷却領域に至る隔壁下側空間を囲う筒体として機能する
ように構成されている。したがって、この構成における
冷却室5は、冷却用筒体22と略同一外径寸法の中間チャ
ンバ50の内部空間と、これに下部溶湯ノズル52の中心ノ
ズル孔を通して連通する冷却用筒体22の内部空間とから
成り、その容積は極力小さなものとなっている。
【0056】なお、隔壁2の下側には、開口10を開閉す
るゲートバルブ36が前記同様に設けられ、このゲートバ
ルブ36における側方に延びるスライド軸部36aは、シー
ルリング54によって中間チャンバ50を気密に貫通してス
ライドするようになっている。一方、上記中間チャンバ
50の側壁面に、真空ポンプ39Bに接続された真空排気配
管38Bと、ガス供給配管40Bとが接続されている。
【0057】上記装置での金属粉末の製造手順も、前記
実施形態1とほぼ同様に行われる。すなわち、ゲートバ
ルブ36によって開口10を閉弁状態とし、溶解室1側で原
料容器6内の金属原料を真空溶解している間、冷却室5
側では、冷却用筒体22内に通ずる前記の排出管27に介設
されている開閉弁28や各種配管に介装されている開閉弁
を全て閉弁状態とし、真空排気配管38Bの開閉弁37B
と、ガス供給配管40Bの開閉弁41Bとを適宜開閉操作し
て、この冷却室5内を、前記同様に、真空ガス置換によ
って不活性ガス雰囲気とする。
【0058】その後、溶解室1内にも不活性ガスを導入
し、原料容器6内の原料金属を溶融させて溶湯が所定温
度に達すると、排出管27の開閉弁28を開弁した状態で冷
却用筒体22への冷却液の供給を開始し、この冷却用筒体
22内に、前記した冷却液層24を形成する。
【0059】同時に、ゲートバルブ36を後退させて開口
10を開状態とし、また、ガスジェットノズル9への不活
性ガスの供給を開始して、図4(b) に示すようにガスジ
ェットGjを噴出させる。次いで、原料容器6内に挿入し
ていた前記のストッパ部材6aを引き上げて、原料容器6
から溶融金属を流下させる。この溶融金属は、一旦、タ
ンデッシュ51内に受け止められ、そして、下部溶湯ノズ
ル52を通してその下方へと細流状の溶融金属流となって
流下し、ガスジェットノズル9からのガスジェットGjの
吹き付けによって溶滴に分断される。さらに、ガスジェ
ットGjに乗って冷却用筒体22内の冷却液層24に注入さ
れ、金属粉末が製造される。
【0060】以上の説明のように、本実施形態において
も、溶解室1と冷却室5とをゲートバルブ36で互いに閉
塞し、溶解室1で原料金属を真空溶解する間に冷却室5
内を不活性ガス雰囲気に置換し、その後、溶融金属を冷
却液中に注入して金属粉末を製造するので、高品質の金
属粉末を得ることができる。特に、冷却室5側は、その
内部容積が極力小さなものとされているので、不活性ガ
ス雰囲気への置換をさらに短時間で行うことができ、こ
の結果、全体的なサイクルタイムをさらに短くすること
が可能になって生産性が向上する。
【0061】なお、上記の各実施形態は本発明を限定す
るものではなく、本発明の範囲内で種々の変更が可能で
ある。例えば実施形態2では、ガスジェットGjによって
分断された溶滴が冷却用筒体22内に確実に捕集されるよ
うに、ガスジェットノズル9を冷却用筒体22の上面にほ
ぼ接するように位置させると共に、原料容器6から流下
する溶融金属をガスジェットノズル9の直上で一旦受け
るタンデッシュ51を中間チャンバ50内に設けて構成した
が、例えば原料容器6の溶湯ノズル8と下部溶湯ノズル
52とを通しての溶融金属の各流下量にそれほど大きな相
違が生じない構成であれば、タンデッシュ51はこれを格
別設ける必要はなく、下部溶湯ノズル52自体に、そのノ
ズル孔の上部側を適度に径大にして小容量の溶融金属の
溜め部を設ける等の構成とすることができる。この場合
に、中間チャンバ50で囲う空間領域の高さ寸法をより小
さくすることができ、したがって、冷却室5の容積がさ
らに小さな構成となる。
【0062】また、上記各実施形態では、冷却室5側
も、真空排気を行って大気雰囲気から不活性ガス雰囲気
に置換する例を示したが、特に実施形態2のように冷却
室5の内部容積が小さな構成では、真空排気を行うこと
なく、溶解室1側での真空溶解中に冷却室5に不活性ガ
スの供給を継続するだけの操作で、この冷却室5内を不
活性ガス雰囲気とすることも可能である。
【0063】また、上記の各実施形態では、原料容器6
の下側にガスジェットノズル9をさらに設けて構成した
装置を示したが、このようなガスジェットノズル9を設
けることなく、原料容器6から流下する溶融金属流を冷
却用筒体22内の冷却液層24に直接的に供給する装置に
も、本発明を適用することができる。一方、上記各実施
形態では、冷却液として純水を用いた例を挙げたが、製
造する粉末の種類や要求される特性に応じて、工業用水
など通常の水や、また、加熱した金属の急冷処理に用い
られる油などを使用することも可能である。さらに、製
造する粉末が、生成する水酸化物によって特性劣化を生
じるものである場合には、フッ素系不活性液、例えば3
M社製PF-5060 などのパーフルオロカーボンを冷却液と
して用いることもできる。このようなフッ素系不活性液
を冷却液として用いることで、水酸化物のない金属粉末
が得られることになり、これにより、例えば成形性など
の各種の特性が向上した金属粉末を得ることができる。
【0064】なお、本発明は、アルミニウム又はその合
金等の低融点金属の他、チタニウム、ニッケル、鉄等の
高融点金属、さらに、(Fe,Co,Ni)-Si-B系や(Fe,Co,Ni)
−Zr系等の磁性合金などの金属粉末の製造に適用するこ
とが可能である。
【0065】
【発明の効果】以上のように、本発明の請求項1・2記
載の金属粉末の製造方法および装置によれば、隔壁を上
下に挟んで溶解室と冷却室とを隣接させると共に、これ
ら両室を相互に連通する開口に開閉弁手段を設けて、溶
解室内での原料金属の真空溶解中に、冷却室側の不活性
ガス雰囲気への置換を並行して行うように構成されてい
るので、原料容器内の原料金属は、これが溶融して冷却
用筒体内の冷却液中で急冷凝固するまで大気に触れるこ
とがなく、これにより、酸化や汚染が抑制され、品質に
優れた金属粉末を得ることができる。
【0066】しかも、溶解室と冷却室との各雰囲気を独
立に制御し得ることで、溶解室は設定真空度がより高い
場合でも、その真空度に速やかに到達させることが可能
になる。この結果、より短時間で両室の大気雰囲気から
の置換を行うことができるので、全体的なサイクルタイ
ムが短くなり、これによって、品質に優れた金属粉末を
効率良く製造することができる。
【0067】請求項3記載の金属粉末の製造方法におい
ては、冷却液として純水を用いるので、溶融金属の凝固
過程における結晶化の核となる不純物が殆どなく、した
がって、非晶質の金属粉末をより確実に得ることが可能
となり、これによって、磁気特性の良好な磁性材料粉末
など、品質に優れた金属粉末を得ることができる。請求
項4記載の金属粉末の製造方法においては、冷却液とし
てフッ素系不活性液を用いるので、水酸化物のない金属
粉末が得らえることになり、これによって例えば成形性
など各種の特性が向上した良好な金属粉末を得ることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る金属粉末製造装置を
示す一部切欠正面図である。
【図2】上記装置の一部切欠側面図である。
【図3】上記装置における原料容器と冷却用筒体とを示
す拡大断面図である。
【図4】本発明の他の実施形態に係る金属粉末製造装置
を示すものであって、同図(a)は要部断面図、同図(b)
は同図(a) におけるX−X線矢視断面図である。
【図5】従来の金属粉末製造装置の要部構成を示すもの
であって、同図(a) はるつぼと冷却用筒体とを示す断面
図、同図(b) は同図(a) におけるるつぼに替えて用いら
れる溶融金属供給容器の断面図である。
【符号の説明】
1 溶解室 2 隔壁 4 下部チャンバ(筒体) 5 冷却室 6 原料容器 10 開口 22 冷却用筒体 36 ゲートバルブ(開閉弁手段) 39A・39B 真空ポンプ(排気手段) 40A・40B ガス供給配管(ガス供給手段)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大塚 勇 兵庫県尼崎市浜1丁目1番1号 株式会社 クボタ技術開発研究所内 (72)発明者 奥野 良誠 兵庫県尼崎市浜1丁目1番1号 株式会社 クボタ技術開発研究所内 (72)発明者 吉野 正規 兵庫県尼崎市浜1丁目1番1号 株式会社 クボタ技術開発研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原料容器内の溶融金属をその下方の冷却
    領域に供給された冷却液中に注入して金属粉末を製造す
    る方法であって、 原料容器からの溶融金属の流下経路上に開口を有する隔
    壁と、この隔壁上で上記原料容器を収容する溶解室と、
    開口から上記冷却領域に至る隔壁下側空間を囲って冷却
    室を形成する筒体と、開口を開閉する開閉弁手段とを設
    け、 開閉弁手段で開口を閉じた状態で、溶解室内での原料容
    器内の原料金属の真空溶解と、冷却室内を不活性ガス雰
    囲気とするガス置換とを互いに並行に行い、 その後、開閉弁手段を作動して開口を開状態とし、原料
    容器内の溶融金属を流下させ冷却室内の冷却液中に注入
    して金属粉末を製造することを特徴とする金属粉末の製
    造方法。
  2. 【請求項2】 原料容器内の溶融金属をその下方の冷却
    領域に供給された冷却液中に注入して金属粉末を製造す
    るための装置であって、 原料容器からの溶融金属の流下経路上に開口を有する隔
    壁と、この隔壁上で上記原料容器を収容する溶解室と、
    開口から上記冷却領域に至る隔壁下側空間を囲う筒体
    と、開口を開閉する開閉弁手段と、溶解室を真空排気す
    るための排気手段と、溶解室および筒体内に個別に不活
    性ガスを供給するガス供給手段とが設けられていること
    を特徴とする金属粉末の製造装置。
  3. 【請求項3】 原料容器内の溶融金属をその下方の冷却
    液中に供給して金属粉末を製造する方法であって、冷却
    液として純水を用いることを特徴とする金属粉末の製造
    方法。
  4. 【請求項4】 原料容器内の溶融金属をその下方の冷却
    液中に供給して金属粉末を製造する方法であって、冷却
    液としてフッ素系不活性液を用いることを特徴とする金
    属粉末の製造方法。
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