JPH10120976A - インキの定着性、耐水性を向上させたインキ受容層 - Google Patents

インキの定着性、耐水性を向上させたインキ受容層

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JPH10120976A
JPH10120976A JP8272775A JP27277596A JPH10120976A JP H10120976 A JPH10120976 A JP H10120976A JP 8272775 A JP8272775 A JP 8272775A JP 27277596 A JP27277596 A JP 27277596A JP H10120976 A JPH10120976 A JP H10120976A
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JP
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ink
weight
vinyl monomer
parts
layer
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JP8272775A
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English (en)
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Masaru Nakatani
賢 中谷
Toshiaki Inaba
稲場敏昭
Hideichirou Riku
秀一郎 陸
Mitsuo Miyasaka
宮坂三夫
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TAKAMATSU YUSHI KK
Original Assignee
TAKAMATSU YUSHI KK
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 インクジェット印刷におけるインキの定着
性、耐水性が良く、かつ透明性、記録画像鮮明性に優れ
た塗工層を提供すること。 【解決手段】 主にインキの吸収性を有する下塗り層と
して、(A)平均分子量4000〜30000の水性ポ
リエステル樹脂と(B)ケン化度が75〜100%、重
合度が500〜5000のポリビニルアルコールの混合
された水溶液もしくは水分散液中において(C)親水性
のラジカル重合性ビニルモノマー100〜60重量%と
他の共重合可能なビニルモノマー0〜40重量%をグラ
フト重合して得られるコーティング層を有し、主にイン
キ定着性を有する上塗り層として(D)側鎖にカチオン
性第4級アンモニウム塩基を有するラジカル重合性ビニ
ルモノマー10〜100重量%と他の共重合可能なビニ
ルモノマー90〜0重量%との共重合体と(E)ケン化
度が75〜100%、重合度が500〜5000のポリ
ビニルアルコールの混合物からなるコーティング層の2
層からなることを特徴とするインキ受容層。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、インキの定着性、耐水
性を向上させたインキ受容層に関する。さらに詳しく
は、本発明はプラスチックフィルム、合成紙、不織布、
紙、金属等の基材にインキ受容層を塗工することによ
り、インクジェット印刷において印刷適性の良いかつイ
ンキの定着性・耐水性の良いインキ受容層を提供するも
のである。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録方式は高速記録が可
能であること、印刷基材に非接触であるため衝撃音が少
ないこと、印刷基材には普通紙を初め種々のものが使用
可能であること、カラー記録が可能であることなどの利
点から近年大いに活用されている。印字記録された画像
はコントラストが高く滲みのない鮮明画像であることが
要求され、このため印刷基材として紙以外のプラスチッ
クフィルムや合成紙を用いる場合は基材表面にインキ受
容層を塗工する方法がとられている。インキ受容層はイ
ンキを素早く吸収し、吸収したインキを定着させ印刷面
に耐水性を持たせることが要求される。
【0003】この要求を満たすための1つの方策が2コ
ートによる方法であり、例えば特開平2−243380
においては第1のインキ受容層はポリビニルピロリドン
を30重量%以上含有させ、第2のインキ受容層はポリ
エチレンオキサイドを40重量%以上含有させる方法が
とられている。また特開昭62−146674において
は上層がカチオン変性ポリビニルアルコールを含有する
層であり、下層が塩基性ポリマーと酸性ポリマーとのポ
リマーコンプレックスからなるインキ受容層が提案され
ている。
【0004】しかしながら上記方法では印刷基材との密
着性不足や皮膜の耐水性不足に起因する滲み等の問題が
まだ解決されていないのが現状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は上記の
問題点を解決し、透明性が良好でかつインキ吸収性の良
い、インキ定着性・耐水性の良いインクジェット記録用
インキ受容層を得ることにある。
【0006】
【問題を解決するための手段】本発明者らは上記問題を
解決するべく鋭意検討した結果、水性ポリエステル樹脂
およびポリビニルアルコールの混合液中においてラジカ
ル重合性ビニルモノマーをグラフト重合して得られるコ
ーティング層とカチオン性第4級アンモニウム塩基を有
するラジカル重合性ビニルモノマーと他の共重合可能な
ビニルモノマーとの共重合体とポリビニルアルコールと
の混合物からなるコーティング層の2層からなるインキ
受容層とすることにより、インキ吸収性が良く鮮明で滲
みのない画像が得られかつインキ定着性、耐水性の優れ
た受容層が得られることを見出した。
【0007】即ち本発明者らは主にインキの吸収性を有
する下塗り層として、(A)平均分子量4000〜30
000の水性ポリエステル樹脂と(B)ケン化度が75
〜100%、重合度が500〜5000のポリビニルア
ルコールの混合された水溶液もしくは水分散液中におい
て(C)親水性のラジカル重合性ビニルモノマー100
〜60重量%と他の共重合可能なビニルモノマー0〜4
0重量%をグラフト重合して得られるコーティング層を
有し、主にインキ定着性を有する上塗り層として(D)
側鎖にカチオン性第4級アンモニウム塩基を有するラジ
カル重合性ビニルモノマー10〜100重量%と他の共
重合可能なビニルモノマー90〜0重量%との共重合体
と(E)ケン化度が75〜100%、重合度が500〜
5000のポリビニルアルコールの混合物からなるコー
ティング層の2層からなるインキ受容層を開示するもの
である。
【0008】以下本発明について詳細に説明する。本発
明において使用される水性ポリエステルとしては平均分
子量が4000〜30000のポリエステル樹脂が使用
される。本発明の水性ポリエステルは公知の製造技術に
よりジカルボン酸とジオールとをエステル化(エステル
交換)、重縮合させることによって製造されるが、その
製造方法についてはなんら限定されるものではない。
【0009】ジカルボン酸成分としては、テレフタル
酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタリンジカルボン酸
のような芳香族ジカルボン酸またはそのエステルを主体
とすることが好ましい。これは、芳香族ジカルボン酸の
芳香核が、疎水性のプラスチックと親和性が大きいため
に密着性が向上する利点があるからである。特にテレフ
タル酸を用いた水性ポリエステルはポリエチレンテレフ
タレート系ポリエステルの成型物に対して密着性が大き
く、好ましい水性ポリエステルである。
【0010】本発明に使用される水性ポリエステルを構
成するジカルボン酸成分としては、上記のような芳香族
ジカルボン酸、またはそのエステルを使用することが好
ましいが、これら以外にアジピン酸、コハク酸、セバチ
ン酸、ドデカン二酸のような脂肪族ジカルボン酸、ヒド
ロキシ安息香酸のようなヒドロキシカルボン酸またはこ
れらのエステルを、ジカルボン酸成分としてもしくはそ
の一部として使用することもできる。エステルを使用す
る場合には、メチルエステル、エチルエステル等の低級
アルキルエステルが使用される。これらのエステルはモ
ノエステルでもジエステルでも差支えない。
【0011】一方、ジオール成分としては、エチレング
リコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオ
ール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコ
ール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノール類
が使用される。
【0012】本発明の水性ポリエステル樹脂は、水溶性
あるいは水分散性を付与するために分子中に親水基とし
てスルホン酸塩基あるいはカルボン酸塩基を含有するよ
うに重合される。スルホン酸塩を含有させるための具体
例としては5−ナトリウムスルホイソフタル酸等のジカ
ルボン酸成分をジカルボン酸成分の一部として用いる方
法が挙げられる。その使用量はジカルボン酸成分中に2
〜15モル%が好ましい。カルボン酸塩を含有させるた
めの具体例としては、ポリエステル樹脂の製造時に縮合
酸成分として3官能以上の多価カルボン酸を使用した
り、ポリエステル樹脂に重合性の不飽和カルボン酸をグ
ラフトする方法などによりカルボン酸含有のポリエステ
ルを作製し、アルカリ金属、各種アミン類、アンモニウ
ム系化合物等とともに水溶性塩を形成する物質との塩類
とする方法が挙げられる。ポリエステル樹脂中のカルボ
ン酸塩の量は、生成したポリエステル樹脂の酸価が15
〜250KOHmg/gの間が好ましい。
【0013】本発明の水性ポリエステルは、既に述べた
とおり分子量が4000〜30000であるが、この際
分子量が4000以下では耐水性、耐ブロッキング性、
密着性等の樹脂物性が低下するし、30000以上では
水への均一な溶解もしくは分散が難しく、時間の経過と
ともにゲル化する傾向がある。ことに分子量が5000
〜25000のものが好ましい。
【0014】本発明の水性ポリエステルは水溶液あるい
は水分散液にされるがその手段は、スルホン酸塩含有ポ
リエステル樹脂の場合は、攪拌下に好ましくは50〜9
0℃の温水に溶解若しくは分散させる。この場合樹脂の
溶解もしくは分散を容易にするために水溶性有機溶剤を
併用してもよい。水溶性有機溶剤としては、低級アルコ
ール類、多価アルコール類及びそのアルキルエーテルま
たはアルキルエステル類などが挙げられ、具体的には、
メタノール、エタノール、ノルマルプロパノール、イソ
プロパノール等の低級アルコール類、エチレングリコー
ル、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジ
プロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコー
ル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレン
グリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール
モノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチル
エーテル、プロピレングリコールアセテート、ジエチレ
ングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコ
ールモノメチルエーテル等が使用できる。又、カルボン
酸塩含有ポリエステル樹脂の場合は、アンモニア水、水
酸化ナトリウム、水酸化カリウム、各種アミン類等のア
ルカリ性化合物を添加した好ましくは50〜90℃の温
水に、攪拌下に溶解もしくは分散させる。この場合も上
記水溶性有機溶剤を併用しても良い。
【0015】本発明において使用されるポリビニルアル
コールは、一般にポリ酢酸ビニルを酸ケン化法またはア
ルカリケン化法によりケン化することにより得られるも
ので、ケン化度が75〜100%のものが適している。
また重合度は500〜5000のものが好ましく、重合
度、ケン化度の異なったものを混合して用いてもよい。
【0016】本発明において使用される親水性のラジカ
ル重合性ビニルモノマーとしては、親水基として下記化
学式で表わされるものを有するモノマーが使用される。
【化2】
【0017】具体的に本発明において使用される親水性
のラジカル重合性ビニルモノマーとしては、アクリル酸
ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、ア
クリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシ
プロピル等のヒドロキシアクリル酸エステル、エチレン
グリコールアクリレート、エチレグリコールメタクリリ
レート、ポリエチレングリコールアクリレート、ポリエ
チレングリコールメタクリレート等のグリコールエステ
ル、アクリルアミド、メククリルアミド、メチロールア
クリルアミド、メトキシメチロールアクリルアミド等の
アクリルアミド系化合物、アクリル酸グリシジル、メタ
クリル酸グリシジル等のグリシジルアクリレート系化合
物、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール、ビニルピロ
リドン等の含窒素ビニル系化合物、アクリル酸、メタク
リル酸、無水マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸等の
不飽和酸及びその塩、アクリル酸アミノアルキル、メタ
クリル酸アミノアルキルエステル等が例示できる。
【0018】以上の親水性ラジカル重合性モノマーは単
独で用いてもよいし、数種組み合わせて用いてもよい。
更にこれらの親水性モノマーに他の共重合可能なビニル
モノマーを併用することもできる。
【0019】共重合可能な他のビニルモノマーとしては
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル、
塩化ビニル、臭化ビニル等のハロゲン化ビニル、アクリ
ル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メ
タクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸
ブチル等の不飽和カルボン酸エステル、ジメチルビニル
メトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメト
キシシラン等のビニルシラン、エチレン、プロピレン、
スチレン、ブタジエン等のオレフィンやジオレフィン化
合物等が挙げられる。
【0020】本発明において主にインキの吸収層として
下塗り用に用いられるコーティング組成物は、上記水性
ポリエステルとポリビニルアルコールに親水性のラジカ
ル重合性ビニルモノマー100〜60重量%と他の共重
合可能なビニルモノマー0〜40重量%をグラフト重合
して得られる。親水性ビニルモノマーが60重量%以下
になると水性インキの吸収性が悪くなる。
【0021】本発明において主にインキの吸収層として
下塗り用に用いられるコーティング層用組成物を得るた
めの重合方法としては、従来公知の方法を用いることが
できる。例えば上記水性ポリエステル樹脂とポリビニル
アルコールの水分散液中に重合開始剤と必要に応じて少
量の乳化分散剤を添加し、70〜80℃に保ちながらラ
ジカル重合性ビニルモノマーを攪拌しながら徐々に添加
し、その後2〜5時間熟成して重合を完結し本発明の下
塗り用コーティング組成物を得る方法が挙げられる。ラ
ジカル重合性ビニルモノマーは水性ポリエステルおよび
ポリビニルアルコールにグラフト重合しているため、こ
の下塗り用コーティング組成物は水性インキの吸収性に
優れるとともにポリエステル樹脂の特徴である密着性、
耐水性、強靱性等の性質も合わせ持っている。
【0022】重合開始剤としては一般的なラジカル重合
開始剤、例えば過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、
過酸化水素等の水溶性過酸化物、又は過酸化ベンゾイル
やt−ブチルハイドロパーオキサイド等の油溶性過酸化
物、あるいはアゾジイソブチロニトリル等のアゾ化合物
が使用できる。
【0023】水性ポリエステルとポリビニルアルコール
とラジカル重合性ビニルモノマーの割合は、固形分比に
して水性ポリエステル100重量部に対してポリビニル
アルコールが10〜500重量部 、好ましくは20〜
300重量部であり、ラジカル重合性ビニルモノマーが
10〜500重量部、好ましくは20〜300重量部で
ある。ポリビニルアルコールが10重量部以下では画像
の鮮明性、インキ吸収性が不良となるし、500重量部
以上ではポリエステルフィルム等プラスチックフィルム
への密着性が不良となる。またラジカル重合性ビニルモ
ノマーが10重量部以下ではインキ吸収性が不良となる
し500重量部以上になると耐水性が不良となるばかり
かプラスチックフィルム等の基材への密着性も不良とな
る。
【0024】本発明において使用される側鎖にカチオン
性第4級アンモニウム塩基を有するラジカル重合性ビニ
ルモノマーとしては、アクリル酸アミノアルキルエステ
ルやメタクリル酸アミノアルキルエステルの4級化物、
例えばメタクリル酸ジメチルアミノエチルの塩化メチル
やジメチル硫酸による4級化物、ジメチルアミノプロピ
ル(メタ)アクリルアミドの塩化メチル、ジメチル硫
酸、塩化ベンジル、モノクロロ酢酸などによる4級化
物、アクリルアミド−3−メチルブチルジメチルアミン
の4級化物、ビニルベンジルアンモニウム塩、ジアリル
アンモニウム塩等の4級アンモニウム塩基を有するモノ
マーが例示できる。
【0025】カチオン性ビニルモノマーに共重合可能な
他のビニルモノマーとしては前述のものが使用できる。
【0026】本発明において主にインキの定着層として
上塗り用に用いられるコーティング組成物は上記カチオ
ン性モノマー10〜100重量%と共重合可能な他のビ
ニルモノマー90〜0重量%との共重合体(以下カチオ
ン性共重合体とする)にポリビニルアルコールを混合し
て得られる。カチオン性モノマーが10重量部以下にな
るとインキの定着性及びインキ吸収性が不良となる。
【0027】カチオン性共重合体を得る為の具体的方法
としては従来公知の方法を用いることが出来る。例えば
重合開始剤と必要に応じて少量の乳化分散剤を溶解した
水を70〜80℃に保ちながら、ラジカル重合性ビニル
モノマーを攪拌しながら徐々に滴下し、その後2〜5時
間熟成して重合を完結しカチオン性共重合体を得ること
ができる。
【0028】重合開始剤としては過酸化ベンゾイル、t
−ブチルハイドロパーオキサイドや過酸化水素等の過酸
化物やアゾジイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス
−(アミジノプロパン)二塩酸塩等のアゾ化合物が使用
できる。過硫酸カリウムや過硫酸アンモニウム等のアニ
オン基が生成する開始剤はカチオン性モノマーとのコン
プレックスを起こすため好ましくない。
【0029】本発明において主にインキの定着層として
上塗り用に用いられるコーティング組成物は上記カチオ
ン性共重合体にポリビニルアルコールを混合することに
より得られる。ポリビニルアルコールは前述のケン化度
75〜100%、重合度500〜5000のものが使用
できる。主にインキの定着層として上塗り用に用いられ
るコーティング組成物は分子中にカチオン性の4級アン
モニウム塩基をもっているため水性インキ中のアニオン
性の染料との間にイオンコンプレックスを生じインキが
定着されると考えられる。カチオン性共重合体とポリビ
ニルアルコールの混合比は固形分比でカチオン性共重合
体100重量部に対してポリビニルアルコール5〜20
0重量部である。ポリビニルアルコールが5重量部以下
だとインキの吸収性、インキの定着性が不良となるし2
00重量部以上だとインキの定着性や耐ブロッキング性
が不良となり好ましくない。
【0030】以上のようにして得られる本発明のインキ
受容層用コーティング組成物には必要に応じてエポキシ
樹脂、アミノ樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂等
の樹脂成分、イソシアネート系化合物、エポキシ系化合
物、カルボジイミド、シランカップリング剤等の架橋
剤、シリカ、タルク、カオリンクレー、炭酸カルシウ
ム、雲母等の無機フィラーやポリアクリル酸メチル、ポ
リアクリロニトリル系の有機フィラー、チタン系やクロ
ム系の無機顔料や有機顔料、造膜助剤、増粘剤、レベリ
ング剤、ブロッキング防止剤、帯電防止剤、紫外線吸収
剤、抗酸化剤等従来公知の添加剤を添加することができ
る。
【0031】本発明のインキ受容層用コーティング組成
物は次に述べる基材に塗工し乾燥される。まず主にイン
キ吸収層としての下塗り剤を塗工乾燥後、主にインキ定
着層としての上塗り剤を塗工乾燥される。基材として
は、プラスチックフィルム、合成紙、各種印刷用紙が使
用できる。プラスチックフィルムとしてはポリエステ
ル、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩ビ、ポリカーボ
ネート、ナイロン、ポリスチレン、セロファン、トリア
セテート等が、また合成紙としてはポリプロピレン系、
ポリエチレン系、ポリスチレン系、ポリエステル系のも
のが挙げられるが、特に本発明のコーティング組成物は
ポリエステルフィルムに対する接着性が優れていること
が特徴である。なお、本発明のコーティング組成物を上
記以外の通常の印刷用紙あるいは金属、木材、プラスチ
ック成型品等に塗工することはなんら差し支えない。
【0032】本発明のインキ受容層用コーティング組成
物は、通常水もしくは水を主体とする溶液もしくは分散
液として使用され、その濃度は10〜50重量%が好適
である。通常のロールコーター、グラビアコーター、バ
ーコーター、ナイフコーター等により被印刷物の片面も
しくは両面に塗工、乾燥される。塗布量としては通常下
塗り剤は3〜30μ、上塗り剤は1〜5μの範囲で使用
される。
【0033】本発明のインキ受容層は以上のように主に
インキの吸収性の下塗り層とインキの定着性の上塗り層
の2層より構成される。それぞれの層の働きについては
既に述べたとおりであるがさらに補足すれば、ノズルか
ら噴射したインキドロップは本インキ受容層に着弾し、
上塗り層、下塗り層へと吸収される。インキ成分中の酸
性染料はインキ定着性の上塗り層に定着されるとともに
その他の水、水溶性溶剤等の成分はインキ吸収性の下塗
り層まで素早く吸収されていく。その結果以上のように
して得られるインキ受容層は透明性が良好で、水性イン
キ特にインクジェット記録方式により印字記録された画
像は鮮明で滲みがなく、インキの定着性、耐水性が良好
であり、また印字後の保存安定性が良好であるため、本
用途のインキ受容層として有用である。
【0034】以下実施例により本発明をさらに詳しく説
明する。 水性ポリエステルの製造 [製造例1]テレフタル酸ジメチル0.5モル、イソフ
タル酸ジメチル0.45モル、5−ナトリウムイソフタ
ル酸ジメチル0.05モル、エチレングリコール0.5
モル、ネオペンチルグリコール0.5モルを酢酸亜鉛と
三酸化アンチモンを触媒として反応容器中で170〜2
20℃で3時間エステル交換を行った後、260℃まで
昇温しつつ反応系内を徐々に減圧して、1時間に5mm
Hgとし、更に減圧下(0.2mmHg)で所定粘度が
得られるまで重縮合を行ない分子量16,000のポリ
エステル樹脂Aを得た。 [製造例2]テレフタル酸ジメチル115重量部、イソ
フタル酸ジメチル75重量部、エチレングリコール71
重量部、ネオペンチルグリコール110重量部を触媒の
酢酸亜鉛、三酸化アンチモンとともに、製造例1と同様
の反応器に仕込み140〜220℃で3時間をかけてエ
ステル交換反応を行った。次いで、240〜270℃で
減圧下(10〜0.2mmHg)で30分かけて重縮合
反応を行った。次に常圧下170〜190℃で無水トリ
メリット酸15重量部を入れ、30分間付加反応を行
い、分子量5700、酸価42KOHmg/gのポリエ
ステル樹脂Bを得た。 [製造例3]製造例1と同じ組成で反応を進め、樹脂の
粘度が上がる前に反応系から取り出して分子量2500
のポリエステル樹脂Cを得た。
【0035】上記のポリエステル樹脂A、Cはそれぞれ
160重量部を水240重量部に65〜85℃で攪拌し
つつ均一に溶解し、固形分濃度40重量%の水溶液を得
た。また上記ポリエステル樹脂Bについては樹脂160
重量部をその酸価と当量のアンモニア水を含む水200
重量部とブチルセロソルブ40重量部の混合水溶液に6
5〜85℃で攪拌しつつ均一に溶解し、固形分濃度40
重量%の水溶液を得た。
【0036】下塗り用コーティング剤の製造 [製造例a、b及びc〜g(比較)]冷却管付き反応容
器に、下記表1の組成にてポリエステル樹脂水溶液、ポ
リビニルアルコール水溶液、水を仕込み、20分間窒素
ガスを吹き込んで十分脱酸素を行った。次に開始剤を添
加して70〜80℃に昇温し1時間をかけてラジカル重
合性ビニルモノマーを滴下し、さらに同温度にて3時間
熟成し、コーティング液を得た。
【表1】
【0037】[製造例h(比較)]製造例dにて得られ
たコーティング剤100重量部に対して10%ゴーセノ
ールGH−17を25重量部混合した。
【0038】上塗りコーティング剤の製造 冷却管付き反応容器に、下記表2の組成にて水及び乳化
剤を仕込み20分間窒素ガスを吹き込んで十分脱酸素を
行った。次に開始剤を添加して70〜80℃に昇温し2
時間をかけてラジカル重合性ビニルモノマーを滴下しさ
らに同温度にて3時間熟成したのち冷却した。冷却後ポ
リビニルアルコール水溶液を混合し上塗りコーティング
液を得た。
【表2】
【0039】得られたコーティング液は次のようにして
加工を行った。まず膜厚100μの二軸延伸ポリエステ
ルフィルムに下塗り用のコーティング剤を乾燥後の塗布
厚さが10μになるように塗布し100℃で5分間乾燥
した。次に上塗り用コーティング剤を乾燥後の塗布厚さ
が2μになるよう塗布し100℃で5分間乾燥した。こ
のようにして得られた表3に記載の加工フィルムについ
て、下記の試験を行った。
【表3】
【0040】1)PETフィルムへの密着性 碁盤目テープ法(JIS K 5400 8.5.2)
に準じ、加工面の上からセロハンテープを貼り付け、1
80゜方向に速やかに引き剥がした後の樹脂残存率を測
った。 〇:残存率100% △:残存率99〜80% ×:残存率79%以下 2)耐ブロッキング性 加工面と未加工面を重ね合わせて1kg/cm2の荷重
を掛け、40℃、RH90%の条件下に24時間放置
後、剥離時の状況から耐ブロッキング性を評価した。 〇:全く抵抗がなく剥離する △:やや抵抗がある ×:かなり抵抗がある 3)透明性 塗工面の曇りを目視にて判定した。 〇:完全に透明 △:僅かに曇りのあるもの ×:完全に不透明なもの 4)画像の鮮明性 キャノン社製のカラーインクジェットプリンターBJC
−210を用いて加工面に印字を行い、画像滲み、色
調、濃度を目視により判断した。 〇:滲みがなく鮮明 ×:滲みがある 5)インキの浸透性 印字後の画像に一定条件で濾紙を押し付けインキが濾紙
に転写しなくなるまでの時間を測定した。 〇:30秒以内で浸透する ×:30秒以内に浸透し
ない 6)インキの定着性 印字後の画像にピペットにて水滴を1滴落とし、10秒
後ティッシュペーパーにてふき取りインキ及び皮膜の残
存具合を判定した。 〇:インキがほとんど落ちない △:インキはとれるが皮膜は残る ×:皮膜ごと取れる
【0041】結果は表4の通りである。すなわち実施例
1、2、3はインキの定着性を含むすべての項目におい
て良好な性能を示した。それに対して比較例1〜7は性
能不十分であった。
【0042】
【表4】
【0043】
【効果】以上説明したように、本発明のインキ受容層は
疎水性被印刷物に対しても密着性が良好であり、かつ水
性インキによる印刷性が良好であるとともに水性インキ
の定着性、耐水性も良好である。
【0044】従って本発明のインキ受容層を被印刷基材
に施すことにより水性インキで鮮明で滲みがなくインキ
定着性、耐水性の良い印刷ができ、そのためインクジェ
ット記録シートを製造するためのインキ受容層として極
めて好適な積層物である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C09D 157:00) (C09D 133/02 129:04)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主にインキの吸収性を有する下塗り層と
    して、(A)平均分子量4000〜30000の水性ポ
    リエステル樹脂と(B)ケン化度が75〜100%、重
    合度が500〜5000のポリビニルアルコールが混合
    された水溶液もしくは水分散液中において(C)親水性
    のラジカル重合性ビニルモノマー100〜60重量%と
    他の共重合可能なビニルモノマー0〜40重量%をグラ
    フト重合して得られるコーティング層を有し、主にイン
    キ定着性を有する上塗り層として(D)側鎖にカチオン
    性第4級アンモニウム塩基を有するラジカル重合性ビニ
    ルモノマー10〜100重量%と他の共重合可能なビニ
    ルモノマー90〜0重量%との共重合体と(E)ケン化
    度が75〜100%、重合度が500〜5000のポリ
    ビニルアルコールの混合物からなるコーティング層の2
    層からなることを特徴とするインキ受容層。
  2. 【請求項2】 親水性のラジカル重合性ビニルモノマー
    の親水性基として下記(a)〜(f)の化学式で表され
    るものを使用する請求項1記載のインキ受容層。 【化1】
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の(A)水性ポリエステ
    ル樹脂、(B)ポリビニルアルコール、(C)ラジカル
    重合性ビニルモノマーの固形分比が、(A)100重量
    部に対して(B)10〜500重量部(C)10〜50
    0重量部であり、(D)側鎖にカチオン性第4級アンモ
    ニウム塩基を有するラジカル重合性ビニルモノマーと共
    重合可能な他のビニルモノマーとの共重合体と(E)ポ
    リビニルアルコールの固形分比が(D)100重量部に
    対して(E)5〜200重量部である請求項1もしくは
    2記載のインキ受容層。
  4. 【請求項4】 主にインキ吸収層として請求項1の
    (A)(B)(C)からなる組成物を3〜30μ下塗り
    し、主にインキ定着層として請求項1の(D)、(E)
    からなる組成物を1〜5μ上塗りして得られる請求項1
    ないし3記載のインキ受容層。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2000078552A1 (fr) * 1999-06-22 2000-12-28 Rhodia Chimie Support d'enregistrement par jet d'encre
US6528146B2 (en) 1999-02-16 2003-03-04 Canon Kabushiki Kaisha Recording medium and image formation employing the same

Cited By (3)

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FR2795366A1 (fr) * 1999-06-22 2000-12-29 Rhodia Chimie Sa Support d'enregistrement par jet d'encre

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