JP3687880B2 - インキの定着性、耐水性を向上させたインキ受容層用コーティング組成物及びその製造法 - Google Patents

インキの定着性、耐水性を向上させたインキ受容層用コーティング組成物及びその製造法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、インキの定着性、耐水性を向上させたインキ受容層用コーティング組成物及びその製造法に関する。さらに詳しくは、本発明はプラスチックフィルム、合成紙、編織物、不織布、紙、金属等の基材に塗工することにより、インクジェット印刷において印刷適性の良いかつインキの定着性・耐水性の良いインキ受容層用コーティング組成物及びその製造法を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方式は高速記録が可能であること、印刷基材に非接触であるため衝撃音が少ないこと、印刷基材には普通紙を初め種々のものが使用可能であること、カラー記録が可能であることなどの利点から近年大いに活用されている。印字記録された画像はコントラストが高く滲みのない鮮明画像であることが要求され、このため印刷基材として紙以外のプラスチックフィルムや合成紙を用いる場合は基材表面にインキ受容層を塗工する方法がとられている。インキ受容層はインキを素早く吸収し、吸収したインキを定着させ印刷面に耐水性を持たせることが要求される。
【0003】
この要求を満たすためインキの定着剤としてカチオン性化合物を配合したインキ受容層が提案されており、例えば特開平7−61113においてはポリビニルアセタール樹脂とカチオン性化合物を必須成分とする記録媒体が、また特開平7−68926にはポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、酢酸ビニルホモポリマー及び/又は酢酸ビニルコポリマーの混合物に4級ンモニウム化合物を含有させたインク受容層が提案されている。
【0004】
しかしながら上記方法では印刷基材との密着性不足や皮膜の耐水性不足に起因する滲み等の問題がまだ解決されておらず又インキの乾燥性においても十分満足のできるものは得られていないのが現状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は上記の問題点を解決し、透明性が良好でかつインキ吸収性の良い、インキ定着性・耐水性の良いインクジェット記録用インキ受容層用コーティング組成物を得ることにある。
【0006】
【問題を解決するための手段】
本発明者らは上記問題を解決するべく鋭意検討した結果、本発明をするに至った。
すなわち本発明は、(A)水性ウレタン樹脂と(B)ケン化度が75〜100%、重合度が500〜5000のポリビニルアルコールが混合された水溶液もしくは水分散液中において(C)親水性のラジカル重合性ビニルモノマー100〜60重量%と他の共重合可能なビニルモノマー0〜40重量%をグラフト重合して得られるグラフトウレタン樹脂(1)と(D)側鎖にカチオン性第4級アンモニウム塩基を有するラジカル重合性ビニルモノマー10〜100重量%と他の共重合可能なビニルモノマー90〜0重量%との共重合体に(E)ケン化度が75〜100%、重合度が500〜5000のポリビニルアルコールを混合することにより得られる変性カチオン性ポリマー(2)とからなる、インキ吸収性が良く鮮明で滲みのない画像が得られかつインキ定着性、耐水性の優れたインキ受容層用コーティング組成物及びその製造法を開示するものである。
【0007】
以下本発明について詳細に説明する。
本発明において使用される水性ウレタン樹脂とはポリヒドロキル化合物、ジイソシアネート及びジイソシアネートと反応する水素原子を少なくとも2個含有する低分子量の鎖伸長剤とから合成されるポリウレタン樹脂を水に溶解あるいは分散させて得られるもので公知の方法により合成される。水に溶解あるいは分散させるための親水性基としてカルボキシル基等のアニオン性基を分子中に有しているものを指す。
【0008】
上述のウレタン樹脂製造に用いられるポリヒドロキシル化合物としては、フタル酸、アジピン酸、二量化リノレイン酸、マレイン酸等の有機酸と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレグリコール等のグリコール、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、グリセリン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトールなどから脱水縮合反応によって得られるポリエステルポリオール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシブチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリオキシプロピレントリオール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレントリオール、ソルビトール、ペンタエリスリトール、シュクローズ、スターチ、リン酸などの無機酸を開始剤としたポリオキシプロピレンポリオール、ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンポリオール等のポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、ヒマシ油の誘導体、トール油誘導体、その他水酸基化合物等である。
【0009】
ジイソシアネートとしては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシネート、3,3′−ジメチル−4,4′−ビフェニレンジイソシアネート、3,3′−ジメトキシ−4,4′−ビフェニレンジイソシアネート、3,3′−ジクロロ−4,4′−ビフェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1,5−テトラヒドロナフタレンジイソシアネート等である。
【0010】
鎖伸長剤としては、エチレングリコール、1,4ブタンジオール、トリメチロールプロパン、トリイソプロパノールアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)アニリン、ヒドロキノン−ビス(β−ヒドロキシエチル)エーテル、レゾルシノール−ビス(β−ヒドロキシエチル)エーテル等のポリオール、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、ジフェニルジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、ピペラジン、イソホロンジアミン、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン等のポリアミン、ヒドラジン類、及び水が挙げられる。
【0011】
本発明において使用されるポリビニルアルコールとは、一般にポリ酢酸ビニルを酸ケン化法またはアルカリケン化法によりケン化することにより得られるもので、ケン化度が75〜100%のものが適している。ここで言うポリ酢酸ビニルは5%以下の他の共重合可能なモノマーとの共重合物であっても良い。
また重合度は500〜5000のものが好ましく、重合度、ケン化度の異なったものを混合して用いてもよい。
【0012】
本発明において使用される親水性のラジカル重合性ビニルモノマーとしては、親水基として下記化学式で表わされるものを有するモノマーが使用される。
【0013】
【化2】
Figure 0003687880
【0014】
具体的に本発明において使用される親水性のラジカル重合性ビニルモノマーとしては、アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル等のヒドロキシアクリル酸エステル、エチレングリコールアクリレート、エチレグリコールメタクリリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレート等のグリコールエステル、アクリルアミド、メタクリルアミド、メチロールアクリルアミド、メトキシメチロールアクリルアミド等のアクリルアミド系化合物、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル等のグリシジルアクリレート系化合物、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール、ビニルピロリドン等の含窒素ビニル系化合物、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸等の不飽和酸及びその塩、アクリル酸アミノアルキル、メタクリル酸アミノアルキルエステル等が例示できる。
【0015】
以上の親水性ラジカル重合性モノマーは単独で用いてもよいし、数種組み合わせて用いてもよい。更にこれらの親水性モノマーに他の共重合可能なビニルモノマーを併用することもできる。
【0016】
共重合可能な他のビニルモノマーとしては酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル、塩化ビニル、臭化ビニル等のハロゲン化ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等の不飽和カルボン酸エステル、ジメチルビニルメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のビニルシラン、エチレン、プロピレン、スチレン、ブタジエン等のオレフィンやジオレフィン化合物等が挙げられる。
【0017】
本発明におけるグラフトウレタン樹脂は上記水性ウレタン樹脂とポリビニルアルコールに親水性のラジカル重合性ビニルモノマー100〜60重量%と他の共重合可能なビニルモノマー0〜40重量%をグラフト重合して得られる。親水性ビニルモノマーが60重量%以下になるとインキの吸収性が悪くなり好ましくない。
【0018】
グラフトウレタン樹脂を得るための重合方法としては、従来公知の方法を用いることができる。例えば上記水性ウレタン樹脂とポリビニルアルコールの水分散液中に重合開始剤と必要に応じて少量の乳化分散剤を添加し、70〜80℃に保ちながらラジカル重合性ビニルモノマーを攪拌しながら徐々に添加し、その後2〜5時間熟成して重合を完結し本発明のグラフトウレタン樹脂を得る方法が挙げられる。ラジカル重合性ビニルモノマーは水性ウレタン樹脂およびポリビニルアルコールにグラフト重合しているため、この成分はインキの吸収性に優れるとともにウレタン樹脂の特徴である密着性、耐水性、強靱性等の性質も合わせ持っている。
【0019】
重合開始剤としては一般的なラジカル重合開始剤、例えば過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素等の水溶性過酸化物、又は過酸化ベンゾイルやt−ブチルハイドロパーオキサイド等の油溶性過酸化物、あるいはアゾジイソブチロニトリル等のアゾ化合物が使用できる。
【0020】
水性ウレタン樹脂とポリビニルアルコールとラジカル重合性ビニルモノマーの割合は、固形分比にして水性ウレタン樹脂100重量部に対してポリビニルアルコールが10〜500重量部、好ましくは20〜300重量部であり、ラジカル重合性ビニルモノマーが10〜500重量部、好ましくは20〜300重量部である。
【0021】
ポリビニルアルコールが10重量部以下では画像の鮮明性、インキ吸収性が不良となるし、500重量部以上では耐水性が不良となる。またラジカル重合性ビニルモノマーが10重量部以下ではインキ吸収性が不良となるし500重量部以上になると耐水性や耐ブロッキング性不良となる。
【0022】
本発明において使用される側鎖にカチオン性第4級アンモニウム塩基を有するラジカル重合性ビニルモノマーとしては、アクリル酸アミノアルキルエステルやメタクリル酸アミノアルキルエステルの4級化物、例えばメタクリル酸ジメチルアミノエチルの塩化メチルやジメチル硫酸による4級化物、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドの塩化メチル、ジメチル硫酸、塩化ベンジル、モノクロロ酢酸などによる4級化物、アクリルアミド−3−メチルブチルジメチルアミンの4級化物、ビニルベンジルアンモニウム塩、ジアリルアンモニウム塩等の4級アンモニウム塩基を有するモノマーが例示できる。
【0023】
側鎖にカチオン性第4級アンモニウム塩を有するラジカル重合性ビニルモノマーに共重合可能な他のビニルモノマーとしては前述のものが使用できる。
【0024】
上記側鎖にカチオン性第4級アンモニウム塩を有するラジカル重合性ビニルモノマー10〜100重量%と共重合可能な他のビニルモノマー90〜0%との共重合体(以下カチオン性共重合体とする)において側鎖にカチオン性第4級アンモニウム塩を有するラジカル重合性ビニルモノマーが10重量%以下になるとインキの定着性及びインキ吸収性が不良となる。
【0025】
カチオン性共重合体を得る為の具体的方法としては従来公知の方法を用いることが出来る。例えば重合開始剤と必要に応じて少量の乳化分散剤を溶解した水を70〜80℃に保ちながら、ラジカル重合性ビニルモノマーを攪拌しながら徐々に滴下し、その後2〜5時間熟成して重合を完結しカチオン性共重合体を得ることができる。
【0026】
重合開始剤としては過酸化ベンゾイル、t−ブチルハイドロパーオキサイドや過酸化水素等の過酸化物やアゾジイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−(アミジノプロパン)二塩酸塩等のアゾ化合物が使用できる。過硫酸カリウムや過硫酸アンモニウム等のアニオン基が生成する開始剤はカチオン性モノマーとのコンプレックスを起こすため好ましくない。
【0027】
本発明のカチオン性共重合体は成膜性が優れ、0℃以上の温度において乾燥することにより透明な皮膜を形成する。そしてインキ中のアニオン性の染料との間にイオンコンプレックスを生じインキを定着する性能において優れている。
【0028】
本発明において用いられる変性カチオンポリマーは上記カチオン性共重合体にポリビニルアルコールを混合することにより得られる。ポリビニルアルコールは前述のケン化度75〜100%、重合度500〜5000のものが使用できる。カチオン性共重合体はポリビニルアルコールが混合されることにより本発明のアニオン性グラフトウレタン樹脂と容易にイオンコンプレックスを生じず安定に存在することができる。
【0029】
カチオン性共重合体とポリビニルアルコールの混合比は固形分比でカチオン性共重合体100重量部に対してポリビニルアルコール5〜200重量部である。ポリビニルアルコールが5重量部以下だとグラフトウレタン樹脂との混合が不可能になるし、ポリビニルアルコールが200重量部以上だとインキの定着性や基材への密着性が不良となる。
【0030】
本発明のインキ受容層用コーティング組成物は上記のグラフトウレタン樹脂と変性カチオンポリマーを混合して得られる。混合の方法は特に限定されないが、変性カチオンポリマー水分散液にグラフトウレタン樹脂水分散液を徐々に滴下していく方法により最も安定なコーティング液を作ることができる。この方法により作製されたコーティング液中においてアニオン性のグラフトウレタン樹脂とカチオンポリマーはイオンコンプレックスを作って凝集することはなく安定に存在することができる。この理由としてはアニオン性のウレタン樹脂粒子がグラフトポリマーにより保護されており、かつカチオン性共重合体もポリビニルアルコールに包まれている為両樹脂は吸着、凝集することなく独立して同じ液中に微粒子で共存しているものと思われる。そして乾燥、成膜後もインキ吸収性成分の中にインキ定着性のカチオン成分が微細な海島構造となって存在すると考えられ、個別にできた膜の耐水性より格段に基材への密着性と皮膜の耐水性が向上されることで理解できる。
【0031】
グラフトウレタン樹脂と変性カチオンポリマーの混合比は固形分重量比にて50:50〜95:5である。変性カチオンポリマーの割合が50重量%以上になると染料タイプのインキによる印刷において印字性不良となるばかりかインキの耐水性・定着性も不良となるし、乾燥後ポリエステルフィルム等の基材がカールする原因になる。変性カチオンポリマーの割合が5重量%以下ではインキの定着性が不十分で耐水性不良となる。
【0032】
以上のようにして得られる本発明のインキ受容層用コーティング組成物には必要に応じてエポキシ樹脂、アミノ樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂等の樹脂成分、イソシアネート系化合物、エポキシ系化合物、カルボジイミド、シランカップリング剤等の架橋剤、シリカ、アルミナ、タルク、カオリンクレー、炭酸カルシウム、雲母等の無機フィラーやポリアクリル酸メチル、ポリスチレン系、ポリアクリロニトリル系の多孔質微粒子有機フィラー、チタン系やクロム系の無機顔料や有機顔料、造膜助剤、増粘剤、レベリング剤、ブロッキング防止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、抗酸化剤等従来公知の添加剤を添加することができる。
【0033】
本発明のインキ受容層用コーティング組成物は次に述べる基材に塗工し乾燥される。
基材としては、プラスチックフィルムなどの成型物、合成紙などの印刷用紙が使用できる。プラスチックフィルムとしてはポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩ビ、ポリカーボネート、ナイロン、ポリスチレン、セロファン、トリアセテート等が、また合成紙としてはポリプロピレン系、ポリエチレン系、ポリスチレン系、ポリエステル系のものが挙げられる。さらに紙あるいは織物や編物等の布や不織布、金属、木材、セラミック、陶器などの成型品等に塗工することも可能である。
【0034】
本発明のインキ受容層用コーティング組成物は、通常水もしくは水を主体とする溶液もしくは分散液として使用され、その濃度は10〜50重量%が好適である。通常のロールコーター、グラビアコーター、バーコーター、ナイフコーター等により被印刷物の片面もしくは両面に塗工、乾燥される。塗布量としては通常乾燥後の膜厚で2〜50μ、より好ましくは5〜30μの範囲で使用される。布や不織布等の場合は浸漬処理によって加工することもできる。
【0035】
本インキ受容層にインクジェット印刷する場合の印刷インキとしては、水性および油性の染料インキ、顔料インキが使用可能である。実際にインクジェット印刷において、ノズルから噴射したインキドロップは本インキ受容層に着弾し、吸収される。インキ成分中の酸性染料あるいは顔料は受容層中のカチオン性共重合体により定着される。その結果以上のようにして得られるインキ受容層は基材への密着性が良好で透明性、光沢が良く、インキの吸収性、乾燥性に優れ、そしてインクジェット記録方式により印字記録された画像は鮮明で滲みがなく、インキの定着性、耐水性が良好であり、また印字後の保存安定性が良好である。
【0036】
また本コーティング組成物は基本的に架橋剤等を添加せず1液にて使用でき、塗工後乾燥するだけで上記性能が発現される為皮膜作製工程費が大幅に節約され、本用途のインキ受容層用コーティング組成物として有用である。
【0037】
以下実施例により本発明をさらに詳しく説明する。
グラフトウレタン樹脂の製造
[製造例a、b、及びc〜f(比較)]
冷却管付き反応容器に下記表1の組成にて水性ウレタン樹脂、ポリビニルアルコール水溶液、水を仕込み、20分間窒素ガスを吹き込んで十分脱酸素を行った。次に開始剤を添加して70〜80℃に昇温し1時間をかけてラジカル重合性ビニルモノマーを滴下し、さらに同温度にて3時間熟成しグラフトウレタン樹脂を得た。
【0038】
cはポリビニルアルコールを含まないグラフトウレタン樹脂の例である。dは水性ウレタン100重量部に対するポリビニルアルコールの割合が500重量部以上のグラフトウレタン樹脂の例である。
eはビニルモノマー中の親水性ビニルモノマーの割合が60重量%以下のグラフトウレタン樹脂の例である。
【0039】
fは水性ウレタン100重量部に対するビニルモノマーの割合が500重量部以上のグラフトウレタン樹脂の例である。
【0040】
【表1】
Figure 0003687880
【0041】
[製造例g(比較)]
製造例cにて得られたグラフトウレタン樹脂水分散液100重量部に対して10%ゴーセノールGH−17を25重量部配合した。(重合終了後ポリビニルアルコールを混合した場合の例)
【0042】
変性カチオンポリマーの製造
[製造例イ、ロ及びハ、ニ、ホ(比較)]
冷却管付き反応容器に、下記表2の組成にて水及び乳化剤を仕込み20分間窒素ガスを吹き込んで十分脱酸素を行った。次に開始剤を添加して70〜80℃に昇温し2時間をかけてラジカル重合性ビニルモノマーを滴下しさらに同温度にて3時間熟成したのち冷却した。冷却後ポリビニルアルコール水溶液を混合し変性カチオンポリマー得た。
【0043】
ハはビニルモノマー中のカチオン性第4級アンモニウム塩を有するビニルモノマーの割合が10重量%以下の例である。
ニはカチオン性共重合体100重量部に対するポリビニルアルコールの割合が5重量部以下の例である。
ホはカチオン性共重合体100重量部に対するポリビニルアルコールの割合が200重量部以上の例である。
【0044】
【表2】
Figure 0003687880
【0045】
インキ受容層用コーティング剤の製造
グラフトウレタン樹脂及び変性カチオンポリマーは水にて固形分を12重量%に調整し、表3の組み合わせ及び混合割合にてグラフトウレタン樹脂と変性カチオンポリマーを混合してインキ受容層用コーティング剤を得た。混合方法は混合容器に変性カチオンポリマーを仕込み攪拌しながら30分をかけてグラフトウレタン樹脂を徐々に混合し、全量投入後更に1時間攪拌を続けてコーティング剤を得る方法をとった。但し比較例7は混合中に凝集を起こし安定なコーティング液は作製できなかった。比較例10はグラフトウレタン樹脂単独の例である。
【0046】
【表3】
Figure 0003687880
【0047】
コーティング剤の塗工例及び性能評価
1.ポリエステルフィルムへの塗工例
膜厚100μの二軸延伸ポリエステルフィルムに乾燥後の塗布厚さが10μになるように上記コーティング剤(実施例1〜4、及び比較例1〜10)を塗布し100℃で5分間乾燥した。得られた加工フィルムについて、下記の試験を行った。
1)ポリエステルフィルムへの密着性
碁盤目テープ法(JIS K 5400 8.5.2)に準じ、加工面の上からセロハンテープを貼り付け、180゜方向に速やかに引き剥がした後の樹脂残存率を測った。
【0048】
〇:残存率100%
△:残存率99〜80%
×:残存率79%以下
2)耐ブロッキング性
加工面と未加工面を重ね合わせて1kg/cm2荷重を掛け、40℃、RH90%の条件下に24時間放置後、剥離時の状況から耐ブロッキング性を評価した。
【0049】
〇:全く抵抗がなく剥離する
△:やや抵抗がある
×:かなり抵抗がある
3)透明性
塗工面の曇りを目視にて判定した。
【0050】
〇:完全に透明
△:僅かに曇りのあるもの
×:完全に不透明なもの
4)画像の鮮明性
キャノン社製のカラーインクジェットプリンターBJC−400Jを用いて加工面に印字を行い、画像滲み、色調、濃度を目視により判断した。
【0051】
〇:滲みがなく鮮明 ×:滲みがある
5)インキの浸透性・乾燥性
印字後の画像に40g/cm2の荷重にて5秒間濾紙を押し付けインキが濾紙に転写しなくなるまでの時間を測定した。
〇:30秒以内で浸透し、べとつかない
×:30秒以内に浸透しないで、べとつく
6)インキの定着性
印字し1日放置後の画像にピペットにて水滴を1滴落とし、10秒後に40g/cm2の荷重をかけてティッシュペーパーにてふき取りインキ及び皮膜の残存具合を判定した。
【0052】
〇:インキがほとんど落ちない
△:インキはとれるが皮膜は残る
×:皮膜ごと取れる
7)カールの有無
加工フィルムをオーバーヘッドプロジェクターにて映写し、熱によりフィルムがカールしないか調べた。
【0053】
○:カールしない
×:カールする
【0054】
結果は表4の通りである。すなわち実施例1〜4はインキの定着性を含むすべての項目において良好な性能を示した。それに対して比較例1〜10は性能不十分であった。
【0055】
【表4】
Figure 0003687880
【0056】
2.合成紙への塗工例
2−1 ポリプロピレン系合成紙の例
実施例1のコーティグ剤にファインシールX−37(徳山曹達社製微粒シリカ、2次粒子径3.7μ)を固形分重量比にて0.2%添加し良く混合した後、乾燥後の塗布厚さが10μになるようユポFPG−130(王子油化合成紙社製)に塗布し80℃で3分間乾燥した。光沢が良好で高級感のある塗工フィルムが得られた。ヒューレット・パッカード社製カラーインクジェットプリンターDJ850Cにて印刷したところ、良好な印刷性、インキ定着性が得られた。
2−2 ポリエステル系合成紙の例
2−1と同様のコーティング剤を2−1と同様にしてポリエステル系合成紙に塗布した。光沢の良いカールの少ない塗工フィルムが得られた。2−1と同様にして性能評価を行ったところ2−1と同様良好な性能が得られた。
【0057】
3.紙への塗工例
3−1 高級紙(塗工紙)の例
実施例2のコーティング剤にカルライトKT(白石工業社製炭酸カルシウム、2次粒子径2.0μ)を固形分重量比にて0.5%添加し良く混合した後、乾燥後の塗布厚さが15μになるよう高級紙に塗布し80℃で3分間乾燥した。ピクティ300(NEC社製カラーインジェットプリンター)のフォトプリントモードにて印刷したところ、にじみやはじきのない鮮明で高品質な印刷が得られた。
【0058】
3−2 その他の紙の例
情報記録用紙、板紙、ダンボール、普通紙に3−1と同様のコーティング剤を3−1と同様にして塗布した。普通紙は浸漬方法でも行った。3−1と同様に印刷したところ良好な印刷結果が得られた。
【0059】
4.不織布の例
ポリエチレン系不織布及びポリエステル系不織布に実施例3のコーティング剤を乾燥後の付着量が12g/m2になるよう塗布し80℃で3分間乾燥した。ピクティ300のフォトプリントモードにて印刷を行ったところ良好な印刷結果が得られた。
【0060】
5.その他フィルムの例
軟質塩ビフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスチレンフィルムに実施例3のコーティング剤を乾燥後の塗膜厚さが8μになるよう塗布し80℃で2分間乾燥した。軟質塩ビは可塑剤のブリード防止としてペスレジンA−124S(高松油脂製変性ポリエステル樹脂)を1μ塗布した上に実施例3のコーティング剤を塗布した。ピクティ300のフォトプリントモードにて印刷したところ良好な印刷結果が得られた。インキの定着性も良好であった。
【0061】
6.繊維製品の例
生地として綿100%織物、綿100%編物、ポリエステル/綿混(65/35)織物、ポリエステル100%織物、ナイロン100%織物、毛100%織物を使用した。ポリエステル織物についてはSR−1000(高松油脂社製ポリエステル用親水加工剤)にて、またナイロン織物についてはラノゲンKRN−6(高松油脂社製ナイロン用親水加工剤)にて親水加工したものを使用した。
【0062】
各基布に実施例1のコーティング剤を乾燥後の塗布量が15g/m2となるようナイフコートし100℃で5分間乾燥して処理布を得た。次に各生地に対しそれぞれインクジェット印刷を行った後、それぞれの染料、生地に対する一般的な染着工程を施し染色加工品を得た。得られた染色加工品は滲みがなく、色調、濃度が優れ耐洗濯性も良好であった。
【0063】
7.バックプリント用のアンカーコート剤兼用受容層の例
100μの透明ポリエステルフィルムに実施例1のコーティング剤を乾燥後の膜厚が3μになるよう塗布し120℃で1分間乾燥した。その上にバックプリント用コート剤(アクリル系樹脂に多孔質微粒子を配合した物)を乾燥後の膜厚で15μになるよう塗布し120℃で3分間乾燥しバックプリント用フィルムを作製した。これとは別に同じポリエステルフィルムにバックコート用コート剤のみを15μ塗布したフィルムを作製して性能比較を行った。本発明のコート剤をアンカーコートしたフィルムはアンカーコート無しのフィルムに比べて密着性、耐水性、印字性、光透過性において優れていた。
【0064】
【効果】
以上説明したように、本発明のコーティング組成物は疎水性被印刷物に対しても密着性が良好であり、かつインクジェット印刷による印刷性が良好であるとともに基材の透明性を損なわずインキの定着性、耐水性も良好である。
【0065】
従って本発明のコーティング組成物を被印刷基材に施すことによりインクジェット印刷にて鮮明で滲みがなくインキ定着性、耐水性の良い印刷ができ、そのためインクジェット記録シートを製造するための極めて好適な組成物である。

Claims (3)

  1. (A)水性ウレタン樹脂と(B)ケン化度が75〜100%、重合度が500〜5000のポリビニルアルコールが混合された水溶液もしくは水分散液中において(C)親水性のラジカル重合性ビニルモノマー100〜60重量%と他の共重合可能なビニルモノマー0〜40重量%をグラフト重合して得られるグラフトウレタン樹脂(1)と(D)側鎖にカチオン性第4級アンモニウム塩基を有するラジカル重合性ビニルモノマー10〜100重量%と他の共重合可能なビニルモノマー90〜0重量%との共重合体に(E)ケン化度が75〜100%、重合度が500〜5000のポリビニルアルコールを混合することにより得られる変性カチオン性ポリマー(2)とからなるインキ受容層用コーティング組成物。
  2. 親水性のラジカル重合性ビニルモノマーの親水性基として下記(a)〜(f)の化学式で表されるものを使用する請求項1記載のインキ受容層用コーティング組成物。
    Figure 0003687880
  3. 請求項1に記載の(A)水性ウレタン樹脂、(B)ポリビニルアルコール、(C)ラジカル重合性ビニルモノマーの固形分重量比が、(A)100重量部に対して(B)10〜500重量部(C)10〜500重量部であり、(D)側鎖にカチオン性第4級アンモニウム塩基を有するラジカル重合性ビニルモノマーと他の共重合可能なビニルモノマーとの共重合体と(E)ポリビニルアルコールの固形分重量比が(D)100重量部に対して(E)5〜200重量部であり、(1)グラフトウレタン樹脂と(2)変性カチオンポリマーが固形分重量比にて50:50〜95:5である請求項1、2記載のインキ受容層用コーティング組成物。
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