JPH10120902A - ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物 - Google Patents

ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物

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JPH10120902A
JPH10120902A JP19413097A JP19413097A JPH10120902A JP H10120902 A JPH10120902 A JP H10120902A JP 19413097 A JP19413097 A JP 19413097A JP 19413097 A JP19413097 A JP 19413097A JP H10120902 A JPH10120902 A JP H10120902A
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JP
Japan
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polyphenylene sulfide
sulfide resin
group
resin composition
aromatic group
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JP19413097A
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English (en)
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Atsushi Ishio
敦 石王
Sadayuki Kobayashi
定之 小林
Kazuhiko Kobayashi
和彦 小林
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】バリの発生が抑制され、かつ結晶化速度の速い
PPS樹脂組成物であって、特に小型精密部品などの用
途に有用なPPS樹脂組成物を提供することを課題とす
る。 【解決手段】本発明は、(A)ポリフェニレンスルフィ
ド樹脂と(B)芳香族基含有アミドオリゴマーを含有す
るポリフェニレンスルフィド樹脂組成物を提供するもの
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はバリ特性および結晶
化特性に優れたポリフェニレンスルフィド樹脂組成物に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリフェニレンスルフィド樹脂(以下P
PS樹脂と略す。)は優れた耐熱性、難燃性、剛性およ
び電気絶縁性などエンジニアリングプラスチックとして
は好適な性質を有していることから、射出成形用を中心
として各種電気部品、機械部品および自動車部品などの
用途に使用されている。
【0003】しかしながら、PPS樹脂は成形時のバリ
発生が比較的多く、とりわけ低バリが要求される小型精
密部品などの用途においては使用が制限されている。
【0004】このような現状から、PPS樹脂のバリ低
減を目的としてこれまでにもいくつかの検討がなされて
いる。例えば、高度に架橋したPPS樹脂を特性改良剤
として配合する方法(特開昭64−9266号公報)、
PPS樹脂にシラン化合物を添加する方法(特開昭63
−251430号公報)、ベースポリマに特定の直鎖状
PPS樹脂と架橋PPS樹脂を組合わせて使用し、更に
シランカップリング剤を使用する方法(特開平3−19
7562号公報)などがある。
【0005】しかし、かかる従来の技術だけではPBT
やナイロンなど他のエンプラに比べるといまだバリが多
く、年々各種電気電子部品の小型精密複雑形状化が進む
中、よりバリの低減されたPPS樹脂の開発が求められ
ている。
【0006】また特に複雑形状物品や長尺形状物品の射
出成形においては、成形品突き出し時に成形品が変形す
るなどの成形不良が生じやすく、これを防ぐために結晶
化速度の向上が、バリの低減とともに求められている。
【0007】成形品の結晶化は、その中心近傍において
は樹脂温度が緩やかに低下するため比較的高い温度領域
で樹脂の結晶化が進行する。一方成形品の表面近傍にお
いては樹脂温度は急速に低下し、比較的低い温度領域で
樹脂の結晶化が進行する。従って成形品の肉厚によらず
に優れた射出成形性を発現させるには、いずれの温度領
域においても結晶化速度を向上させる必要がある。
【0008】PPS樹脂の結晶化促進を目的としてこれ
までにもいくつかの検討がなされており、例えば特開昭
62−283155号公報には、PPS樹脂にポリ(フ
ェニレンサルファイドケトン)やポリエーテエルエーテ
ルケトンを添加することにより比較的高い温度領域でP
PS樹脂の結晶化が促進され、これはかかる添加物の結
晶核形成効果によることが開示されている。本発明者ら
はこの方法を追試してみたが、この方法は高い温度領域
でのPPS樹脂の結晶化促進には有効ではあるが十分と
は言えず、また低い温度領域でのPPS樹脂の結晶化促
進にはほとんど効果は認められない。また例えば特開昭
62−230848号公報には、PPS樹脂にモノマー
性のカルボン酸エステルを添加することにより、比較的
低い温度領域でPPS樹脂の結晶化が促進されることが
開示されている。しかしかかる添加剤は比較的高い温度
領域でのPPS樹脂の結晶化促進にはほとんど効果は認
められず、またかかる添加剤はPPS樹脂の高いプロセ
ス温度では分解あるいは揮散が起こりやすく組成物のガ
ス発生量の増加を招く問題点があり、更にバリの増加を
招く問題点もある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】かかる現状を鑑み、本
発明者らはバリが低減され、かつ高低いずれの温度領域
においても結晶化速度の速いPPS樹脂組成物を得るべ
く鋭意検討を行った結果、芳香族基を有し、かつその相
対粘度(1%硫酸溶液、25℃)が1.01〜2.00
である芳香族基含有アミドオリゴマーをPPS樹脂に特
定量添加することにより、上記問題点を一気に解決でき
ることを見出し本発明に到達した。
【0010】PPS樹脂に芳香族基を有するポリアミド
を配合することは特開平2−123159号公報に開示
されている。しかし特開平2−123159号公報には
特定の芳香族基含有アミドオリゴマーを特定量添加する
ことにより、バリが著しく低減され、また特に比較的低
い温度領域でPPS樹脂の結晶化促進されることについ
ては何等開示されていない。また特開平6−57138
号公報にはPPS樹脂に特定のポリアミドを添加するこ
とにより成形加工性にすぐれたPPS樹脂組成物が得ら
れること開示されているが、特定の芳香族基含有アミド
オリゴマーの添加により、特異的にバリが低減すること
については何等開示されておらず、また高低いずれの温
度領域においても結晶化速度が向上することについても
開示されていない。さらに特開平7−228778号公
報にはPPS樹脂にアミドオリゴマーを添加することに
より、エポキシ樹脂との密着性が向上することが開示さ
れている。しかし特開平7−228778号公報には、
芳香族基を有する特定のアミドオリゴマーを特定量添加
することにより、バリが著しく低減され、またPPS樹
脂の結晶化が促進されることについては何等開示されて
いない。
【0011】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、 (1)(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂99.9〜
80重量%と(B)芳香族基含有アミドオリゴマー0.
1〜20重量%を含有するポリフェニレンスルフィド樹
脂組成物であり、(B)芳香族基含有アミドオリゴマー
は、下記構造式(I)、(II)、(III )で示される2
価残基から選ばれる1種または2種以上の残基と下記構
造式(IV)、(V)、(VI)で示される2価残基から選
ばれる1種または2種以上の残基を含むものであって、
各残基がアミド結合を介して連結された重縮合物であ
り、かつ相対粘度(1%硫酸溶液、25℃)が1.01
〜2.00である芳香族基含有アミドオリゴマーである
ことを特徴とするポリフェニレンスルフィド樹脂組成
物、
【化2】−CO−R1 −CO− ・・・ (I) −NH−R2 −NH− ・・・ (II) −NH−R3 −CO− ・・・ (III ) −CO−Ar1 −CO− ・・・ (IV) −NH−Ar2 −NH− ・・・ (V) −NH−Ar3 −CO− ・・・ (VI) (ここでR1 、R2 、R3 は炭素数2〜20の2価の非
芳香族有機基を示し、これらは同じであっても、異なっ
ていても良い。またAr1 、Ar2 、Ar3 は炭素数6
〜20の2価の芳香族基を含む有機基を示し、これらは
同じであっても、異なっていても良い。) (2)芳香族基含有アミドオリゴマーが、3種以上の残
基を含む多元共重合オリゴマーである上記(1)記載の
ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物、 (3)(B)芳香族基含有アミドオリゴマーが、上記構
造式(I)、(II)、(IV)で示される2価残基がアミ
ド結合を介して連結された重縮合物であり、かつ(I)
と(IV)のモル比が(I)/(IV)=(80〜5)/
(20〜95)である(B)芳香族基含有アミドオリゴ
マーである上記(1)または(2)記載のポリフェニレ
ンスルフィド樹脂組成物、 (4)(B)芳香族基含有アミドオリゴマーが、上記構
造式(I)、(II)、(IV)で示される2価残基がアミ
ド結合を介して連結された重縮合物であり、かつ(I)
と(IV)のモル比が(I)/(IV)=(60〜15)/
(40〜85)である(B)芳香族基含有アミドオリゴ
マーである上記(1)〜(3)のいずれか記載のポリフ
ェニレンスルフィド樹脂組成物、 (5)(B)芳香族基含有アミドオリゴマーが、上記構
造式(II)、(III )、(IV)で示される2価残基がア
ミド結合を介して連結された重縮合物であり、かつ(II
I )と(IV)のモル比が(III )/(IV)=(75〜1
0)/(25〜90)である(B)芳香族基含有アミド
オリゴマーである上記(1)または(2)記載のポリフ
ェニレンスルフィド樹脂組成物、 (6)(B)芳香族基含有アミドオリゴマーが、上記構
造式(II)及び少なくとも2種以上の(IV)で示される
2価残基がアミド結合を介して連結された重縮合物であ
る(B)芳香族基含有アミドオリゴマーである上記
(1)または(2)記載のポリフェニレンスルフィド樹
脂組成物、 (7)(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂と(B)芳
香族基含有アミドオリゴマーの含有量比が(A)ポリフ
ェニレンスルフィド樹脂99.9〜93重量%、(B)
芳香族基含有アミドオリゴマー0.1〜7重量%である
上記(1)〜(6)のいずれか記載のポリフェニレンス
ルフィド樹脂組成物、 (8)(B)芳香族基含有アミドオリゴマーの相対粘度
(1%硫酸溶液、25℃)が1.01以上1.70未満
である上記(1)〜(7)のいずれか記載のポリフェニ
レンスルフィド樹脂組成物、 (9)(B)芳香族基含有アミドオリゴマーの相対粘度
(1%硫酸溶液、25℃)が1.01以上1.50未満
である上記(1)〜(8)のいずれか記載のポリフェニ
レンスルフィド樹脂組成物、 (10)(B)芳香族基含有アミドオリゴマーが、その
融点が270〜340℃の範囲にある芳香族基含有アミ
ドオリゴマーである上記(1)〜(9)のいずれか記載
のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物、 (11)(B)芳香族基含有アミドオリゴマーの末端の
少なくとも一部が、炭素数1〜20のモノカルボン酸お
よび/または炭素数1〜20のモノアミンで末端封鎖さ
れている(B)芳香族基含有アミドオリゴマーである上
記(1)〜(10)のいずれか記載のポリフェニレンス
ルフィド樹脂組成物、 (12)更に(C)繊維状および/または非繊維状充填
材を、(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂と(B)芳
香族基含有アミドオリゴマーの合計100重量部に対し
て、10〜400重量部配合してなる上記(1)〜(1
1)のいずれか記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組
成物、 (13)更に(D)エポキシ基、アミノ基、イソシアネ
ート基、水酸基、メルカプト基、ウレイド基の中から選
ばれた少なくとも1種の官能基を有するアルコキシシラ
ン化合物を、(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂と
(B)芳香族基含有アミドオリゴマーとの合計100重
量部に対して、0.1〜5重量部添加してなる上記
(1)〜(12)のいずれか記載のポリフェニレンスル
フィド樹脂組成物、 (14)(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂に(D)
エポキシ基、アミノ基、イソシアネート基、水酸基、メ
ルカプト基、ウレイド基の中から選ばれた少なくとも1
種の官能基を有するアルコキシシラン化合物を配合し、
溶融混練した後、これに(B)芳香族基含有アミドオリ
ゴマーを配合し、溶融混練してなる上記(13)記載の
ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物、 (15)更に(E−1)炭素数12〜40の脂肪族カル
ボン酸と多価アルコールからなるエステル化合物、(E
−2)炭素数12〜40の脂肪族モノカルボン酸とジア
ミンからなるアミド化合物、(E−3)炭素数12〜4
0の脂肪族モノカルボン酸と炭素数2〜20の脂肪族多
塩基酸と脂肪族ジアミンからなるアミド化合物、から選
ばれる少なくとも1種の添加剤(E)を、(A)ポリフ
ェニレンスルフィド樹脂と(B)芳香族基含有アミドオ
リゴマー合計量100重量部に対し、0.05〜1.5
重量部添加してなる上記(1)〜(14)のいずれか記
載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物、 (16)添加剤(E)が、(E−3)炭素数12〜40
の脂肪族モノカルボン酸と炭素数2〜20の脂肪族多塩
基酸と脂肪族ジアミンからなるアミド化合物である上記
(15)記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
【0012】(17)更に(F)リチウム、ナトリウ
ム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、
鉄、コバルト、ニッケル、銅、銀、亜鉛、アルミニウ
ム、錫から選ばれる少なくとも1種の金属の炭酸塩、ハ
ロゲン化物、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、亜リン酸塩、
次亜リン酸塩およびこれらの複塩から選ばれる少なくと
も1種の金属塩を、(A)ポリフェニレンスルフィド樹
脂と(B)芳香族基含有アミドオリゴマー合計量100
重量部に対し、0.01〜5重量部添加してなる上記
(1)〜(16)のいずれか記載のポリフェニレンスル
フィド樹脂組成物、 (18)(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂が、(A
1)1−クロロナフタレンを溶媒とするゲル浸透クロマ
トグラフ法で求められた数平均分子量が7000〜15
000、全灰分量が0.3重量%以下のポリフェニレン
スルフィド樹脂5〜90重量%と(A2)同様にして求
められた数平均分子量が3000〜6000の実質的に
架橋構造を有さないポリフェニレンスルフィド樹脂95
〜10重量%からなるポリフェニレンスルフィド樹脂混
合物である上記(1)〜(17)のいずれか記載のポリ
フェニレンスルフィド樹脂組成物、 (19)(A1)ポリフェニレンスルフィド樹脂が、
(A1−1)1−クロロナフタレンを溶媒とするゲル浸
透クロマトグラフ法で求められた数平均分子量が700
0〜15000、全灰分量が0.3重量%以下の実質的
に架橋構造を有さないポリフェニレンスルフィド樹脂で
ある上記(18)記載のポリフェニレンスルフィド樹脂
組成物、 (20)(A1)ポリフェニレンスルフィド樹脂が、
(A1−2)1−クロロナフタレンを溶媒とするゲル浸
透クロマトグラフ法で求められた数平均分子量が700
0〜15000、全灰分量が0.3重量%以下で、更に
ASTM D1238−86(315.5℃、5000
g荷重)に定められた15分滞留時のメルトフローレー
ト値が5分滞留時のメルトフローレート値の50〜95
%である架橋構造を有するポリフェニレンスルフィド樹
脂である上記(18)記載のポリフェニレンスルフィド
樹脂組成物、 (21)ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物が、示差
走査熱量計(走査速度20℃/分)にて測定される昇温
結晶化ピーク温度が123℃以下である上記(1)〜
(20)のいずれか記載のポリフェニレンスルフィド樹
脂組成物、 (22)ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物が、示差
走査熱量計(走査速度20℃/分)にて測定される降温
結晶化ピーク温度が230℃以上である上記(1)〜
(21)のいずれか記載のポリフェニレンスルフィド樹
脂組成物、 (23)(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂に(D)
エポキシ基、アミノ基、イソシアネート基、水酸基、メ
ルカプト基、ウレイド基の中から選ばれた少なくとも1
種の官能基を有するアルコキシシラン化合物を配合し、
溶融混練した後、これに(B)芳香族基含有アミドオリ
ゴマーを配合し、溶融混練することにより上記(13)
記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物を製造する
ことを特徴とするポリフェニレンスルフィド樹脂組成物
の製造方法を提供するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明で使用するポリフェニレン
スルフィド樹脂とは、下記構造式で示される繰り返し単
位を
【化3】 含むものであり、上記繰り返し単位を70モル%以上、
特に90モル%以上を含む重合体であることが耐熱性の
点から好ましい。またPPS樹脂はその繰り返し単位の
30モル%未満を、下記の構造式を有する繰り返し単位
等で構成することが可能である。
【0014】
【化4】 本発明で用いられるPPS樹脂の溶融粘度は、溶融混練
が可能であれば特に制限はないが、通常5〜2,000
Pa・s(320℃、剪断速度1,000sec-1)の
ものが使用され、10〜200Pa・sの範囲がより好
ましい。
【0015】かかるPPS樹脂は通常公知の方法即ち特
公昭45−3368号公報に記載される比較的分子量の
小さな重合体を得る方法或は特公昭52−12240号
公報や特開昭61−7332号公報に記載される比較的
分子量の大きな重合体を得る方法などによって製造でき
る。本発明において上記の様に得られたPPS樹脂を空
気中加熱による架橋/高分子量化、窒素などの不活性ガ
ス雰囲気下あるいは減圧下での熱処理、有機溶媒、熱
水、酸水溶液などによる洗浄、酸無水物、アミン、イソ
シアネート、官能基含有ジスルフィド化合物などの官能
基含有化合物による活性化など種々の処理を施した上で
使用することももちろん可能である。
【0016】PPS樹脂の加熱による架橋/高分子量化
する場合の具体的方法としては、空気、酸素などの酸化
性ガス雰囲気下あるいは前記酸化性ガスと窒素、アルゴ
ンなどの不活性ガスとの混合ガス雰囲気下で、加熱容器
中で所定の温度において希望する溶融粘度が得られるま
で加熱を行う方法が例示できる。加熱処理温度は通常、
170〜280℃が選択され、好ましくは200〜27
0℃であり、時間は通常0.5〜100時間が選択さ
れ、好ましくは2〜50時間であるが、この両者をコン
トロールすることにより目標とする粘度レベルを得るこ
とができる。加熱処理の装置は通常の熱風乾燥機でもま
た回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置であってもよい
が、効率よくしかもより均一に処理する場合は回転式あ
るいは撹拌翼付の加熱装置を用いるのがより好ましい。
【0017】PPS樹脂を窒素などの不活性ガス雰囲気
下あるいは減圧下で熱処理する場合の具体的方法として
は、窒素などの不活性ガス雰囲気下あるいは減圧下で、
加熱処理温度150〜280℃、好ましくは200〜2
70℃、加熱時間は0.5〜100時間、好ましくは2
〜50時間加熱処理する方法が例示できる。加熱処理の
装置はシール性の高い、不活性ガスで置換可能な熱風乾
燥機、真空乾燥機でもまた回転式あるいは撹拌翼付の加
熱装置であってもよいが、効率よくしかもより均一に処
理する場合は回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置を用い
るのがより好ましい。
【0018】PPS樹脂を有機溶媒で洗浄する場合の具
体的方法としては以下の方法が例示できる。すなわち、
洗浄に用いる有機溶媒としては、PPS樹脂を分解する
作用などを有しないものであれば特に制限はないが、例
えばN−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジ
メチルアセトアミドなどの含窒素極性溶媒、ジメチルス
ルホキシド、ジメチルスルホンなどのスルホキシド・ス
ルホン系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチ
ルケトン、アセトフェノンなどのケトン系溶媒、ジメチ
ルエーテル、ジプロピルエーテル、テトラヒドロフラン
などのエーテル系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン、
トリクロロエチレン、2塩化エチレン、ジクロルエタ
ン、テトラクロルエタン、クロルベンゼンなどのハロゲ
ン系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、ブ
タノール、ペンタノール、エチレングリコール、プロピ
レングリコール、フェノール、クレゾール、ポリエチレ
ングリコールなどのアルコール・フェノール系溶媒、ベ
ンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶
媒などがあげられる。これらの有機溶媒のなかでN−メ
チルピロリドン、アセトン、ジメチルホルムアミド、ク
ロロホルムなどの使用が好ましい。また、これらの有機
溶媒は、1種類または2種類以上の混合で使用される。
有機溶媒による洗浄の方法としては、有機溶媒中にPP
S樹脂を浸漬せしめるなどの方法があり、必要により適
宜撹拌または加熱することも可能である。有機溶媒でP
PS樹脂を洗浄する際の洗浄温度については特に制限は
なく、常温〜300℃程度の任意の温度が選択できる。
洗浄温度が高くなるほど洗浄効率が高くなる傾向がある
が、通常は常温〜150℃の洗浄温度で十分効果が得ら
れる。
【0019】また有機溶媒洗浄を施されたPPS樹脂は
残留している有機溶媒を除去するため、水または温水で
数回洗浄することが好ましい。
【0020】PPS樹脂を熱水で処理する場合の具体的
方法としては以下の方法が例示できる。すなわち熱水洗
浄によるPPS樹脂の好ましい化学的変性の効果を発現
するため、使用する水は蒸留水あるいは脱イオン水であ
ることが好ましい。熱水処理の操作は、通常、所定量の
水に所定量のPPS樹脂を投入し、常圧で或いは圧力容
器内で加熱、撹拌することにより行われる。PPS樹脂
と水との割合は、水の多いほうが好ましいが、通常、水
1リットルに対し、PPS樹脂200g以下の浴比が選
択される。
【0021】PPS樹脂を酸処理する場合の具体的方法
としては以下の方法が例示できる。すなわち、酸または
酸の水溶液にPPS樹脂を浸漬せしめるなどの方法があ
り、必要により適宜撹拌または加熱することも可能であ
る。用いられる酸はPPSを分解する作用を有しないも
のであれば特に制限はなく、ギ酸、酢酸、プロピオン
酸、酪酸などの脂肪族飽和モノカルボン酸、クロロ酢
酸、ジクロロ酢酸などのハロ置換脂肪族飽和カルボン
酸、アクリル酸、クロトン酸などの脂肪族不飽和モノカ
ルボン酸、安息香酸、サリチル酸などの芳香族カルボン
酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フタル酸、フマル
酸などのジカルボン酸、硫酸、リン酸、塩酸、炭酸、珪
酸などの無機酸性化合物などがあげられる。中でも酢
酸、塩酸がより好ましく用いられる。酸処理を施された
PPS樹脂は残留している酸または塩などを除去するた
め、水または温水で数回洗浄することが好ましい。また
洗浄に用いる水は、酸処理によるPPS樹脂の好ましい
化学的変性の効果を損なわない意味で蒸留水、脱イオン
水であることが好ましい。
【0022】また本発明の(A)PPS樹脂として、
(A1)1−クロロナフタレンを溶媒とするゲル浸透ク
ロマトグラフ法で求められた数平均分子量が7000〜
15000、全灰分量が0.3重量%以下のPPS樹脂
5〜90重量%と(A2)同様にして求められた数平均
分子量が3000〜6000の実質的に架橋構造を有さ
ないPPS樹脂95〜10重量%からなるPPS樹脂混
合物を用いることは、より優れた低バリ性および薄肉流
動性を得る意味で好ましく、特にPPS樹脂(A1)と
して、(A1−1)1−クロロナフタレンを溶媒とする
ゲル浸透クロマトグラフ法で求められた数平均分子量が
7000〜15000、全灰分量が0.3重量%以下の
実質的に架橋構造を有さないPPS樹脂、あるいは(A
1−2)1−クロロナフタレンを溶媒とするゲル浸透ク
ロマトグラフ法で求められた数平均分子量が7000〜
15000、全灰分量が0.3重量%以下で、更にAS
TMD1238−86(315.5℃、5000g荷
重)に定められた15分滞留時のメルトフローレート値
が5分滞留時のメルトフローレート値の50〜95%で
ある架橋構造を有するPPS樹脂を用いることは特に好
ましい。なお、全灰分量は150℃で1時間乾燥した樹
脂5gをるつぼに入れ、540℃、6時間燃焼させた残
渣重量を測定し、乾燥後の樹脂(5g)に対する残渣重
量の割合を算出したものである。なお、上記ゲル浸透ク
ロマトグラフ法による分子量分布の測定法としては、例
えば溶媒として1−クロロナフタレンを用い、検出器と
して紫外可視吸光度検出器、溶媒蒸発−光散乱検出器、
水素炎イオン化検出器、示差屈折率検出器などを用いる
方法が挙げられる。
【0023】本発明における必須成分である(B)芳香
族基含有アミドオリゴマーは、下記構造式(I)、(I
I)、(III )で示される2価残基から選ばれる1種ま
たは2種以上の残基と下記構造式(IV)、(V)、(V
I)で示される2価残基から選ばれる1種または2種以
上の残基を含み、各残基がアミド結合を介して連結され
た重縮合物であり、かつ相対粘度(1%硫酸溶液、25
℃)が1.01〜2.00である芳香族基含有アミドオ
リゴマーである。
【0024】
【化5】−CO−R1 −CO− ・・・ (I) −NH−R2 −NH− ・・・ (II) −NH−R3 −CO− ・・・ (III ) −CO−Ar1 −CO− ・・・ (IV) −NH−Ar2 −NH− ・・・ (V) −NH−Ar3 −CO− ・・・ (VI) (ここでR1 、R2 、R3 は炭素数2〜20の2価の非
芳香族有機基を示し、これらは同じであっても、異なっ
ていても良い。またAr1 、Ar2 、Ar3 は炭素数6
〜20の2価の芳香族基を含む有機基を示し、これらは
同じであっても、異なっていても良い。) かかる芳香族基含有アミドオリゴマーは、通常アミノカ
ルボン酸、ラクタム、もしくはジアミンとジカルボン酸
から誘導されるものである。
【0025】上記構造式(I)は炭素数4〜22の非芳
香族ジカルボン酸に由来するものであり、かかる炭素数
4〜22の非芳香族ジカルボン酸の具体例としては、こ
はく酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、アゼラ
イン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、マレ
イン酸、フマル酸、シクロヘキサンジカルボン酸などが
挙げられ、これらは単独で用いても、2種以上を併用し
ても良い。中でもアジピン酸、セバシン酸、ドデカン二
酸が特に好適に用いられる。
【0026】上記構造式(II)は炭素数2〜20の非芳
香族ジアミンに由来するものであり、かかる炭素数2〜
20の非芳香族ジアミンの具体例としては、エチレンジ
アミン、プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミ
ン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミ
ン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミ
ン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウ
ンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、ト
リデカメチレンジアミン、テトラデカメチレンジアミ
ン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、
2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、5−
メチルノナメチレンジアミン、1,3−ビス(アミノメ
チル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)
シクロヘキサン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,
5,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(4
−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノプロ
ピル)ピペラジン、ビス(アミノエチル)ピペラジン、
ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3−
メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタンなどから選
ばれる脂肪族、脂環族ジアミンが挙げられ、これらは単
独で用いても、2種以上を併用しても良い。中でもエチ
レンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレ
ンジアミン、ドデカメチレンジアミンが特に好適に用い
られる。
【0027】上記構造式(III )は炭素数3〜21の非
芳香族アミノカルボン酸またはラクタムに由来するもの
であり、かかる炭素数3〜21の非芳香族アミノカルボ
ン酸またはラクタムの具体例としては、6−アミノヘキ
サン酸、7−アミノヘプタン酸、8−アミノオクタン
酸、9−アミノノナン酸、10−アミノデカン酸、11
−アミノウンデカン酸等のアミノカルボン酸、カプロラ
クタム、エナントラクタム、カプリルラクタム等のラク
タムが挙げられ、これらは単独で用いても、2種以上を
併用しても良い。中でも6−アミノヘキサン酸、カプロ
ラクタムが特に好適に用いられる。
【0028】上記構造式(IV)は炭素数8〜22の芳香
族基を含むジカルボン酸に由来するものであり、かかる
炭素数8〜22の芳香族基を含むジカルボン酸の具体例
としては、イソフタル酸、テレフタル酸、オルトフタル
酸、2−クロロテレフタル酸、2−メチルテレフタル
酸、5−メチルイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイ
ソフタル酸、4,4´−ビフェニルジカルボン酸、3,
4´−ビフェニルジカルボン酸、2,2´−ビフェニル
ジカルボン酸、1,3−ナフタレンジカルボン酸、1,
4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカ
ルボン酸、1,6−ナフタレンジカルボン酸、1,7−
ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボ
ン酸、2,5−ピリジンジカルボン酸、2,4−ピリジ
ンジカルボン酸などが挙げられ、これらは単独で用いて
も、2種以上を併用しても良い。中でもイソフタル酸、
テレフタル酸、オルトフタル酸が特に好適に用いられ
る。
【0029】上記構造式(V)は炭素数6〜20の芳香
族基を含むジアミンに由来するものであり、かかる炭素
数6〜20の芳香族基を含むジアミンの具体例として
は、パラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミ
ン、オルトフェニレンジアミン、メタキシリレンジアミ
ン、パラキシリレンジアミン、2,3−ジアミノトルエ
ン、2,4−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトル
エン、3,4−ジアミノトルエン、1,5−ジアミノナ
フタレン、1,8−ジアミノナフタレン、2,3−ジア
ミノナフタレンなどが挙げられ、これらは単独で用いて
も、2種以上を併用しても良い。中でもパラフェニレン
ジアミン、メタフェニレンジアミン、メタキシリレンジ
アミン、パラキシリレンジアミンが特に好適に用いられ
る。
【0030】上記構造式(VI)は炭素数7〜21の芳香
族基を含むアミノカルボン酸に由来するものであり、か
かる炭素数7〜21の芳香族基を含むアミノカルボン酸
の具体例としては、パラアミノ安息香酸、メタアミノ安
息香酸、オルトアミノ安息香酸などが挙げられ、これら
は単独で用いても、2種以上を併用しても良い。
【0031】本発明で用いる芳香族基含有アミドオリゴ
マーは、上記構造式(I)、(II)、(III )で示され
る2価残基から選ばれる1種または2種以上の残基と下
記構造式(IV)、(V)、(VI)で示される2価残基か
ら選ばれる1種または2種以上の残基を含むものである
が、さらに3種以上の残基を含む多元共重合オリゴマー
であることが好ましい。
【0032】本発明で用いられる芳香族基含有アミドオ
リゴマー中の上記(I)〜(VI)の構成比率については
特に制限は無いが、通常芳香族成分の増加に従って融点
が高くなり、本発明で用いられる芳香族基含有アミドオ
リゴマーはその融点が270℃以上が好ましく、特に融
点が270〜340℃、更に270〜320℃である芳
香族基含有アミドオリゴマーが好ましい。
【0033】本発明で用いられる芳香族基含有アミドオ
リゴマーの好ましい態様の一つとしては、上記構造式
(I)、(II)、(IV)で示される2価残基がアミド結
合を介して連結された重縮合物が挙げられ、更に具体的
な例としてはヘキサメチレンジアミン残基/テレフタル
酸残基/アジピン酸残基、あるいはドデカメチレンジア
ミン残基/テレフタル酸残基/ヘキサメチレンジアミン
残基/アジピン酸残基からなる芳香族基含有共重合アミ
ドオリゴマーが挙げられる。またその好ましい構成比率
としては(I)と(IV)のモル比が(I)/(IV)=
(80〜5)/(20〜95)の範囲、更に好ましくは
(I)/(IV)=(60〜15)/(40〜85)の範
囲が挙げられる。またその際(II)のモル比については
特に制限はないが、通常は(I)と(IV)の合計モル量
に対し、0.5〜1.5倍の範囲であり、実質的に1.
0倍が好ましい。
【0034】本発明で用いられる(B)芳香族基含有ア
ミドオリゴマーのもう一つの好ましい態様としては、上
記構造式(II)、(III )、(IV)で示される2価残基
がアミド結合を介して連結された重縮合物が挙げられ、
更に具体的な例としてはヘキサメチレンジアミン残基/
テレフタル酸残基/カプロラクタム残基、あるいはヘキ
サメチレンジアミン残基/イソフタル酸残基/カプロラ
クタム残基からなる芳香族基含有共重合アミドオリゴマ
ーが挙げられる。またその好ましい構成比率としては、
(III )と(IV)のモル比が(III )/(IV)=(75
〜10)/(25〜90)の範囲が挙げられ、特に(II
I )/(IV)=(75〜35)/(25〜65)の範囲
が挙げられる。またその際(II)のモル比については特
に制限はないが、(IV)と実質的に等モルであることが
好ましい。
【0035】本発明で用いられる(B)芳香族基含有ア
ミドオリゴマーのもう一つの好ましい態様としては、上
記構造式(II)及び少なくとも2種以上の(IV)で示さ
れる2価残基がアミド結合を介して連結された重縮合物
が挙げられ、更に具体的な例としてはヘキサメチレンジ
アミン残基/テレフタル酸残基/イソフタル酸残基から
なる芳香族基含有共重合アミドオリゴマーが挙げられ
る。
【0036】また本発明で用いられる(B)芳香族基含
有アミドオリゴマーは、その末端の一部あるいは実質的
に全てが、炭素数1〜20のモノカルボン酸および/ま
たは炭素数1〜20のモノアミンで末端封鎖された芳香
族基含有アミドオリゴマーであってもよい。かかる炭素
数1〜20のモノカルボン酸の具体例としては、酢酸、
プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル
酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステア
リン酸、オレイン酸、シクロヘキサンカルボン酸、安息
香酸、トルイル酸、フェニル酢酸などが挙げられ、これ
らは単独で用いても、2種以上を併用しても良い。
【0037】一方炭素数1〜20のモノアミンの具体例
としては、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルア
ミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、
ウンデシルアミン、ドデシルアミン、オクタデシルアミ
ン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、β−フェ
ネチルアミンなどがあげられ、これらは単独で用いて
も、2種以上を併用しても良い。
【0038】本発明における必須成分である(B)芳香
族基含有アミドオリゴマーの合成方法には特に制限はな
いが、例えば上記アミノカルボン酸、ラクタム、ジアミ
ン、ジカルボン酸あるいはジアミンとジカルボン酸の塩
などの所望のモノマー及び必要に応じ上記モノカルボン
酸、モノアミンを固体、液体あるいは水溶液などの状態
で加圧重合釜に仕込み、溶媒を用いずに、あるいは水な
どを溶媒とする溶液として、攪拌下昇温する方法、ある
いはカルボン酸原料として上記ジカルボン酸またはモノ
カルボン酸のハロゲン化物、あるいは低級アルコールと
のエステル化合物を用い、有機溶媒中あるいは無溶媒
下、攪拌しながら昇温する方法などが挙げられる。
【0039】本発明における必須成分である(B)芳香
族基含有アミドオリゴマーは、相対粘度(1%硫酸溶
液、25℃)が1.01〜2.00であるオリゴマーで
あることが必要である。より好ましい相対粘度の範囲と
しては1.01〜1.70、さらに1.01〜1.5
0、さらには1.10〜1.50の範囲が挙げられる。
エンジニアリングプラスチック等として用いられるいわ
ゆる芳香族基含有ポリアミドは相対粘度が通常2.10
以上の重合体であるが、相対粘度が2.00を越える芳
香族基含有アミド重合体を用いても、本発明の目的であ
るバリ低減効果、結晶化促進効果を同時に得ることは困
難である。
【0040】かかる(B)芳香族基含有アミドオリゴマ
ーの配合量は、(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂/
(B)芳香族基含有アミドオリゴマー=99.9〜80
/0.1〜20重量%の範囲が選択され、さらに(A)
ポリフェニレンスルフィド樹脂/(B)芳香族基含有ア
ミドオリゴマー=99.9〜93/0.1〜7重量%の
範囲がより好ましく選択される。(B)芳香族基含有ア
ミドオリゴマーの配合量が0.1重量%未満では十分な
バリ低減効果が発現せず、一方20重量%を越えると強
度低下などの問題が顕在化する。
【0041】本発明においては、強度及び寸法安定性等
を向上させるため、必要に応じて(C)繊維状および/
または非繊維状充填材が用いられる。かかる(D)繊維
状および/または非繊維状充填材の具体例としては、ガ
ラス繊維、ガラスミルドファイバー、炭素繊維、チタン
酸カリウィスカ、酸化亜鉛ウィスカ、硼酸アルミウィス
カ、アラミド繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、セラ
ミック繊維、アスベスト繊維、石コウ繊維、金属繊維な
どの繊維状充填剤、ワラステナイト、ゼオライト、セリ
サイト、カオリン、マイカ、クレー、パイロフィライ
ト、ベントナイト、アスベスト、タルク、アルミナシリ
ケートなどの珪酸塩、アルミナ、酸化珪素、酸化マグネ
シウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化鉄などの
金属化合物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロ
マイトなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムな
どの硫酸塩、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、
水酸化アルミニウムなどの水酸化物、ガラスビーズ、セ
ラミックビーズ、窒化ホウ素、炭化珪素およびシリカな
どの非繊維状充填剤が挙げられ、これらは中空であって
もよく、さらにはこれら充填剤を2種類以上併用するこ
とも可能である。また、これら(C)繊維状および/ま
たは非繊維状充填材をイソシアネート系化合物、有機シ
ラン系化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系
化合物、エポキシ化合物などのカップリング剤で予備処
理して使用することは、より優れた機械的強度を得る意
味において好ましい。
【0042】かかる(C)繊維状および/または非繊維
状充填材を用いる場合の配合量は(A)PPS樹脂と
(B)芳香族基含有アミドオリゴマーの合計量100重
量部に対し10〜400重量の範囲が選択され、さらに
溶融流動性と機械的強度のバランスのより優れた樹脂組
成物を得る意味においては、(A)PPS樹脂と(B)
芳香族基含有アミドオリゴマーの合計量100重量部に
対して、25〜250重量の範囲が選択される。
【0043】本発明において、強度向上およびより優れ
たバリ低減効果を得るために、(D)アルコキシシラン
化合物を必要に応じて配合することが可能であり、かか
るアルコキシシラン化合物としては、例えばエポキシ
基、アミノ基、イソシアネート基、水酸基、メルカプト
基、ウレイド基の中から選ばれた少なくとも1種の官能
基を有するアルコキシシラン化合物が必要に応じて用い
られる。かかるアルコキシシラン化合物の具体例として
は、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ
−グリシドキシプロピルトリエトキシシシラン、β−
(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキ
シシランなどのエポキシ基含有アルコキシシラン化合
物、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−
メルカプトプロピルトリエトキシシランなどのメルカプ
ト基含有アルコキシシラン化合物、γ−ウレイドプロピ
ルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメト
キシシシラン、γ−(2−ウレイドエチル)アミノプロ
ピルトリメトキシシランなどのウレイド基含有アルコキ
シシラン化合物、γ−イソシアナトプロピルトリエトキ
シシラン、γ−イソシアナトプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−イソシアナトプロピルメチルジメトキシシラ
ン、γ−イソシアナトプロピルメチルジエトキシシラ
ン、γ−イソシアナトプロピルエチルジメトキシシラ
ン、γ−イソシアナトプロピルエチルジエトキシシラ
ン、γ−イソシアナトプロピルトリクロロシランなどの
イソシアナト基含有アルコキシシラン化合物、γ−(2
−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラ
ン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメト
キシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシランな
どのアミノ基含有アルコキシシラン化合物、γ−ヒドロ
キシプロピルトリメトキシシラン、γ−ヒドロキシプロ
ピルトリエトキシシランなどの水酸基含有アルコキシシ
ラン化合物などなどが挙げられ、中でもγ−グリシドキ
シプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロ
ピルトリエトキシシシラン、β−(3,4−エポキシシ
クロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキ
シ基含有アルコキシシラン化合物、γ−ウレイドプロピ
ルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメト
キシシシラン、γ−(2−ウレイドエチル)アミノプロ
ピルトリメトキシシランなどのウレイド基含有アルコキ
シシラン化合物、γ−(2−アミノエチル)アミノプロ
ピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチ
ル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプ
ロピルトリメトキシシランなどのアミノ基含有アルコキ
シシラン化合物、γ−イソシアナトプロピルトリエトキ
シシラン、γ−イソシアナトプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−イソシアナトプロピルメチルジメトキシシラ
ン、γ−イソシアナトプロピルメチルジエトキシシラ
ン、γ−イソシアナトプロピルエチルジメトキシシラ
ン、γ−イソシアナトプロピルエチルジエトキシシラ
ン、γ−イソシアナトプロピルトリクロロシランなどの
イソシアナト基含有アルコキシシラン化合物、が特に好
ましい。
【0044】かかる(D)アルコキシシラン化合物は、
より優れた機械的強度と低バリ性を得るために用いら
れ、用いる場合の添加量は(A)PPS樹脂と(B)芳
香族基含有アミドオリゴマーの合計量100重量部に対
して、0.1〜5重量部の範囲が選択され、0.2〜3
重量部の範囲がより好ましく選択される。
【0045】本発明において、より優れたバリ低減効果
と共に、金型からの優れた離型性を得る目的で、(E−
1)炭素数12〜40の脂肪族カルボン酸と多価アルコ
ールからなるエステル化合物、(E−2)炭素数12〜
40の脂肪族モノカルボン酸とジアミンからなるアミド
化合物、(E−3)炭素数12〜40の脂肪族モノカル
ボン酸と炭素数2〜20の脂肪族多塩基酸と脂肪族ジア
ミンからなるアミド化合物、から選ばれる少なくとも1
種の添加剤(E)を加えることは有効であり、中でも
(E−3)炭素数12〜40の脂肪族モノカルボン酸と
炭素数2〜20の脂肪族多塩基酸と脂肪族ジアミンから
なるアミド化合物が、より優れたバリ低減効果が得られ
る点で特に有効である。
【0046】(E−1)炭素数12〜40の脂肪族カル
ボン酸と多価アルコールからなるエステル化合物におけ
る炭素数12〜40の脂肪族カルボン酸の具体例として
は、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、ラウリ
ル酸、モンタン酸などが挙げられ、また多価アルコール
としてはエチレングリコール、1,2−プロパンジオー
ル、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオー
ル、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−
ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパ
ン、ペンタエリスリトール、ポリペンタエリスリトール
などが挙げられる。
【0047】(E−2)炭素数12〜40の脂肪族モノ
カルボン酸とジアミンからなるアミド化合物における炭
素数12〜40の脂肪族モノカルボン酸の具体例として
は(E−1)と同様のものが例示でき、ジアミンの具体
例としてはエチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパ
ン、1,4−ジアミノプロパン、ヘキサメチレンジアミ
ン、メタキシリレンジアミン、トリレンジアミン、パラ
キシリレンジアミン、フェニレンジアミン、イソホロン
ジアミンなどが挙げられる。
【0048】(E−3)炭素数12〜40の脂肪族モノ
カルボン酸と炭素数2〜20の脂肪族多塩基酸と脂肪族
ジアミンからなるアミド化合物における炭素数12〜4
0の脂肪族モノカルボン酸の具体例としては(E−1)
と同様のものが例示でき、脂肪族ジアミンの具体例とし
てはエチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、
1,4−ジアミノプロパン、ヘキサメチレンジアミンな
どが例示できる。また多塩基酸とは2塩基酸以上のカル
ボン酸であり、具体例としては、マロン酸、コハク酸、
アジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、
フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサ
ンジカルボン酸、シクロヘキシルコハク酸などが例示で
きる。かかるアミド化合物は、原料である脂肪族モノカ
ルボン酸および脂肪族多塩基酸を脂肪族ジアミンととも
に、180〜300℃、好ましくは200〜270℃で
加熱反応させる方法などによって合成することができ
る。
【0049】かかる(E−1)炭素数12〜40の脂肪
族カルボン酸と多価アルコールからなるエステル化合
物、(E−2)炭素数12〜40の脂肪族モノカルボン
酸とジアミンからなるアミド化合物、(E−3)炭素数
12〜40の脂肪族モノカルボン酸と炭素数2〜20の
脂肪族多塩基酸と脂肪族ジアミンからなるアミド化合
物、から選ばれる少なくとも1種の添加剤の添加量は、
(A)PPS樹脂と(B)芳香族基含有アミドオリゴマ
ーの合計量100重量部に対し、0.05〜1.5重量
部、特に0.1〜1.0重量部が、バリ低減効果、機械
的強度の点から好ましく選択される。またこれら(E−
1)、(E−2)、(E−3)を2種以上併用する場合
はその合計量が上記範囲であることが好ましい。
【0050】本発明において、更に(F)リチウム、ナ
トリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バリ
ウム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、銀、亜鉛、アルミ
ニウム、錫から選ばれる少なくとも1種の金属の、炭酸
塩、硫酸塩、硝酸塩、ハロゲン化物、リン酸塩、亜リン
酸塩、次亜リン酸塩およびこれらの複塩から選ばれる少
なくとも1種の金属塩を添加することは、より優れたバ
リ低減効果を得る意味で好ましい。中でも炭酸ナトリウ
ム、炭酸リチウム、炭酸カリウム、炭酸亜鉛、炭酸炭酸
マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、などの
炭酸塩、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、亜リ
ン酸カルシウム、亜リン酸マグネシウム、次亜リン酸カ
ルシウム、次亜リン酸マグネシウムなどのリン酸、亜リ
ン酸、次亜リン酸の塩が好適に用いられる。
【0051】かかる金属塩は(A)ポリフェニレンスル
フィド樹脂と(B)芳香族基含有アミドオリゴマー合計
量100重量部に対し、0.01〜5重量部添加される
ことが、バリ低減効果、強度、流動性の点から好まし
い。
【0052】本発明のPPS樹脂組成物には本発明の効
果を損なわない範囲において、ポリアルキレンオキサイ
ドオリゴマ系化合物、チオエーテル系化合物、エステル
系化合物、有機リン化合物などの可塑剤、タルク、カオ
リン、有機リン化合物、ポリエーテルエーテルケトンな
どの結晶核剤、次亜リン酸塩などの着色防止剤、ヒンダ
ードフェノール、ヒドロキノン、チオエーテル、ホスフ
ァイト類およびこれらの置換体およびその組合せなどの
酸化防止剤および/または熱安定剤、ポリエチレン、ポ
リプロピレン等のポリオレフィン、またはモンタン酸ワ
ックス類、またはステアリン酸リチウム、ステアリン酸
アルミニウム等の金属石鹸などの滑剤および/または離
型剤、紫外線防止剤(例えば種々のレゾルシノール、サ
リシレート、ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノンな
ど)、着色剤(例えばニトロシンなどの染料および例え
ば硫化カドミウム、フタロシアニン、カーボンブラック
などの顔料など)、難燃剤(例えばデカブロモジフェニ
ルエーテル、臭素化ポリカーボネートのようなハロゲン
系、メラミンあるいはシアヌル酸系、リン系など)、難
燃助剤(例えば酸化アンチモンなど)、帯電防止剤(例
えばドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリアル
キレングリコールなど)など発泡剤などの通常の添加剤
を添加することができる。また、本発明のPPS樹脂組
成物は本発明の効果を損なわない範囲で、ポリエステ
ル、ポリスルホン、四フッ化ポリエチレン、ポリエーテ
ルイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリイミ
ド、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリエ
ーテルケトン、ポリチオエーテルケトン、ポリエーテル
エーテルケトン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリ
エチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ABS樹
脂、ポリアミドエラストマ、ポリエステルエラストマ、
ポリアルキレンオキサイド、あるいは酸無水物基、カル
ボキシル基、エポキシ基等を含有するオレフィン系共重
合体等の樹脂を含んでも良い。
【0053】本発明のPPS樹脂組成物の調製方法は特
に制限はないが、原料の混合物を単軸あるいは2軸の押
出機、バンバリーミキサー、ニーダーおよびミキシング
ロールなど通常公知の溶融混合機に供給して280〜3
80℃の温度で混練する方法などを代表例として挙げる
ことができる。原料の混合順序にも特に制限はなく、全
ての原材料を配合後上記の方法により溶融混練する方
法、一部の原材料を配合後上記の方法により溶融混練し
更に残りの原材料を配合し溶融混練する方法、あるいは
一部の原材料を配合後単軸あるいは2軸の押出機により
溶融混練中にサイドフィーダーを用いて残りの原材料を
混合する方法など、いずれの方法を用いてもよい。ま
た、少量添加剤成分については、他の成分を上記の方法
などで混練しペレット化した後、成形前に添加して成形
に供することももちろん可能である。
【0054】但し(D)エポキシ基、アミノ基、イソシ
アネート基、水酸基、メルカプト基、ウレイド基の中か
ら選ばれた少なくとも1種の官能基を有するアルコキシ
シラン化合物を用いる場合、(A)PPS樹脂と(D)
エポキシ基、アミノ基、イソシアネート基、水酸基、メ
ルカプト基、ウレイド基の中から選ばれた少なくとも1
種の官能基を有するアルコキシシラン化合物を配合し、
溶融混練した後、これに(B)芳香族基含有アミドオリ
ゴマーを配合し、溶融混練することは、より優れたバリ
低減効果を得る意味で好ましい。その際(A)PPS樹
脂と(D)エポキシ基、アミノ基、イソシアネート基、
水酸基、メルカプト基、ウレイド基の中から選ばれた少
なくとも1種の官能基を有するアルコキシシラン化合物
及び(B)芳香族基含有アミドオリゴマー以外の配合物
については、(A)PPS樹脂と(D)エポキシ基、ア
ミノ基、イソシアネート基、水酸基、メルカプト基、ウ
レイド基の中から選ばれた少なくとも1種の官能基を有
するアルコキシシラン化合物とともに配合し、溶融混練
しても良く、また(B)芳香族基含有アミドオリゴマー
とともに配合し、溶融混練しても良い。
【0055】またかかる溶融混練方法としては、例えば
単軸あるいは2軸の押出機により2回溶融混練しても良
く、また例えば単軸あるいは2軸の押出機により、主ホ
ッパーより(A)PPS樹脂と(D)エポキシ基、アミ
ノ基、イソシアネート基、水酸基、メルカプト基、ウレ
イド基の中から選ばれた少なくとも1種の官能基を有す
るアルコキシシラン化合物の配合物を投入して溶融混練
を行い、(B)芳香族基含有アミドオリゴマーをサイド
フィーダーなどにより、溶融混練の途中から供給し、溶
融混練しても良い。
【0056】本発明により得られるPPS樹脂組成物
は、PPS樹脂組成物の本来有する熱安定性、電気特性
などを大きく損なうことなく、より優れた低バリ性、結
晶化特性が付与されたPPS樹脂組成物である。かかる
PPS樹脂組成物は多くの場合、示差走査熱量計(走査
速度20℃/分)にて測定される昇温結晶化ピーク温度
を123℃以下とすることができる。また、降温結晶化
ピーク温度も多くの場合230℃以上とすることがで
き、特に優れた成形加工性を得ることができる。昇温結
晶化ピーク温度が低いことは比較的低い温度領域での樹
脂の固化速度が速いことを意味し、また降温結晶化ピー
ク温度が高いことは比較的高い温度領域での樹脂の固化
速度が速いことを意味している。この両温度領域での固
化速度が速いことにより、厚肉、薄肉いずれの成形片に
おいても、成形サイクル時間を短縮した際、或いは金型
温度を低めに設定した際などに、成形片の変形や膨れな
どの成形不良の発生が顕著に抑制される。
【0057】かくして得られたPPS樹脂組成物は、射
出成形のみならず、押出成形、圧縮成形、吹込成形、射
出圧縮成形など各種公知の成形法への適用も可能である
が、特に射出成形には好適な樹脂組成物である。
【0058】本発明のPPS樹脂組成物の成形体は、コ
ネクター、コイルをはじめとする電気電子部品用途に特
に適している他、センサー、LEDランプ、ソケット、
抵抗器、リレーケース、小型スイッチ、コイルボビン、
コンデンサー、バリコンケース、光ピックアップ、発振
子、各種端子板、変成器、プラグ、プリント基板、チュ
ーナー、スピーカー、マイクロフォン、ヘッドフォン、
小型モーター、磁気ヘッドベース、パワーモジュール、
半導体、液晶、FDDキャリッジ、FDDシャーシ、モ
ーターブラッシュホルダー、パラボラアンテナ、コンピ
ューター関連部品等に代表されるその他の電子部品;発
電機、電動機、変圧器、変流器、電圧調整器、整流器、
インバーター、継電器、電力用接点、開閉器、遮断機、
ナイフスイッチ、他極ロッド、電気部品キャビネットな
どの電気機器部品用途、VTR部品、テレビ部品、アイ
ロン、ヘアードライヤー、炊飯器部品、電子レンジ部
品、音響部品、オーディオ・レーザーディスク・コンパ
クトディスク等の音声機器部品、照明部品、冷蔵庫部
品、エアコン部品、タイプライター部品、ワードプロセ
ッサー部品等に代表される家庭、事務電気製品部品;オ
フィスコンピューター関連部品、電話器関連部品、ファ
クシミリ関連部品、複写機関連部品、洗浄用治具、モー
ター部品、ライター、タイプライターなどに代表される
機械関連部品:顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計等に代表
される光学機器、精密機械関連部品;オルタネータータ
ーミナル、オルタネーターコネクター,ICレギュレー
ター、ライトディヤー用ポテンシオメーターベース、排
気ガスバルブ等の各種バルブ、燃料関係・排気系・吸気
系各種パイプ、エアーインテークノズルスノーケル、イ
ンテークマニホールド、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジ
ョイント、キャブレターメインボディー、キャブレター
スペーサー、排気ガスセンサー、冷却水センサー、油温
センサー、ブレーキパットウェアーセンサー、スロット
ルポジションセンサー、クランクシャフトポジションセ
ンサー、エアーフローメーター、ブレーキパッド摩耗セ
ンサー、エアコン用サーモスタットベース、暖房温風フ
ローコントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラ
ッシュホルダー、ウォーターポンプインペラー、タービ
ンベイン、ワイパーモーター関係部品、デュストリビュ
ーター、スタータースイッチ、スターターリレー、トラ
ンスミッション用ワイヤーハーネス、ウィンドウォッシ
ャーノズル、エアコンパネルスイッチ基板、燃料関係電
磁気弁用コイル、ヒューズ用コネクター、ホーンターミ
ナル、電装部品絶縁板、ステップモーターローター、ラ
ンプソケット、ランプリフレクター、ランプハウジン
グ、ブレーキピストン、ソレノイドボビン、エンジンオ
イルフィルター、点火装置ケース等の自動車・車両関連
部品等々、各種用途に適用できる。
【0059】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説
明する。
【0060】実験方法 (1)PPSまたはPPS樹脂組成物の結晶化特性の測
定:下記に示した方法で得られたペレットを用い、ホッ
トプレス機にて、340℃、4分間加圧後、水中に急冷
し厚み約20μmの非晶のシートを得た。このシートか
ら約10mgを切り出し測定サンプルとした。測定には
パーキンエルマー社製DSC−7を用い、2点校正(イ
ンジウム、鉛)、ベースライン補正を行った後、40℃
から20℃/分の速度で昇温し、340℃で1分間保持
した後、20℃/分の速度で降温し、昇温および降温の
際に認められる結晶化ピーク温度を測定した。昇温結晶
化ピーク温度は低い程結晶化が速く進むことを意味し、
一方降温結晶化ピーク温度は高い程結晶化が速く進むこ
とを示している。
【0061】(2)バリ長さの測定:日精樹脂工業社製
PS20E2ASE成形機を用い、一列に50個のピン
穴(ピン穴間隔1.27mm)を2列有し、うちのりが
68mm×5mm×高さ7mm、そとのりが70mm×
7mm×高さ9.3mmの箱型形状を有し、長手方向の
両端部にリブが設けられた形状を有するコネクター成形
品を成形した。図1aはかかるコネクター成形品の平面
図であり、図1bは側面図である。コネクターは1列に
つき50個のピン穴を有している。矢印2はゲート位置
を示す。成形は金型温度135℃、樹脂温度320℃で
行い、先ず樹脂が先端まで充填する最低射出圧力を求
め、その圧力+3kgf/cm2 (ゲージ圧)の射出圧
力で成形を行った。得られた成形片のピン穴部分(箱型
の開孔部を上方とし、ゲート側を左においた際に上側に
位置する列のピン穴であって、ゲート側から3、9、1
8、28、38、48番目)に生じたバリ長さを万能投
影機を用いて、図1b上側より測定し、その平均値を求
めた。
【0062】(3)ゲル浸透クロマトグラフ測定:WA
TERS社製(GPC−244)の装置を用い、カラ
ム:ShodexK−806M(昭和電工社製)、溶
媒:1−クロロナフタレン、検出器:水素炎イオン化検
出器を用い、6種類の単分散ポリスチレンを校正に用
い、高分子論文集44巻(1987年)2月号139〜
141ページ記載の方法に準じて数平均分子量を測定し
た。
【0063】(4)アミド化合物(ポリマー、オリゴマ
ー)の相対粘度測定:JIS K6810に準じ、サン
プル1gを秤量し、これを98%濃硫酸100mlに溶
解し、25℃の相対粘度を測定した。
【0064】(5)アミド化合物(ポリマー、オリゴマ
ー)の融点測定:測定にはパーキンエルマー社製DSC
−7を用いた。まずサンプル量8〜10mg、昇温速度
20℃/分で昇温して得られる融解曲線の最大値を示す
温度(T)を求めた。次に再度サンプルを調整し、20
℃/分の速度でT+20℃まで昇温し、その温度で5分
間保持した後、20℃/分の降温速度で30℃まで冷却
した。30℃で5分間保持した後、再度20℃/分の速
度で昇温し、その際得られた融解曲線の最大値を融点
(Tm)とした。
【0065】参考例1(PPS樹脂の重合) (1)A−1 攪拌機付きオートクレーブに硫化ナトリウム9水塩6.
005kg(25モル)、酢酸ナトリウム0.205k
g(2.5モル)およびN−メチル−2−ピロリドン
(以下NMPと略す)5kgを仕込み、窒素を通じなが
ら徐々に205℃まで昇温し、水3.6リットルを留出
した。次に反応容器を180℃に冷却後、1,4−ジク
ロロベンゼン3.719kg(25.3モル)ならびに
NMP3.7kgを加えて、窒素下に密閉し、270℃
まで昇温後、270℃で2.5時間反応した。冷却後、
反応生成物を温水で5回洗浄し、次に100℃に加熱さ
れたNMP10kg中に投入して、約1時間攪拌し続け
たのち、濾過し、さらに熱湯で数回洗浄した。これを9
0℃に加熱されたpH4の酢酸水溶液25リットル中に
投入し、約1時間攪拌し続けたのち、濾過し、濾液のp
Hが7になるまで約90℃のイオン交換水で洗浄後、8
0℃で24時間減圧乾燥してPPS、2.43kgを得
た。このPPSは直鎖状であり、数平均分子量は920
0、全灰分量は0.07重量%であった。
【0066】(2)A−2 攪拌機付きオートクレーブに硫化ナトリウム・9水塩
6.005kg(25モル)、酢酸ナトリウム0.18
4kg(2.25モル)およびN−メチル−2−ピロリ
ドン(以下NMPと略す)5kgを仕込み、窒素を通じ
ながら徐々に205℃まで昇温し、水3.6リットルを
留出した。次に反応容器を180℃に冷却後、1,4−
ジクロロベンゼン3.756kg(25.55モル)な
らびにNMP3.7kgを加えて、窒素下に密閉し、2
72℃まで昇温後、272℃で1時間反応した。その
後、反応液を冷却コンデンサーの付いた250℃に加熱
保温された攪拌そうにフラッシュさせ、PPSと塩類の
混合粉末を得た。これを70℃のイオン交換水15リッ
トルでスラリー化し、遠心分離器で濾過した。得られた
ケーク、イオン交換水15リットルおよび氷酢酸13m
lを攪拌機付きのオートクレーブに仕込み、窒素ガス下
に密閉し、190℃に加熱昇温し、190℃に到達後7
0℃まで冷却した。得られたスラリーを遠心分離器で濾
過し、これを80℃のイオン交換水で洗浄し、真空乾燥
してPPS2.56kgを得た。このPPSは直鎖状で
あり、数平均分子量は5100であった。
【0067】(2)A−3 攪拌機付きオートクレーブに硫化ナトリウム・9水塩
6.005kg(25モル)、酢酸ナトリウム0.65
6kg(8モル)およびN−メチル−2−ピロリドン
(以下NMPと略す)5kgを仕込み、窒素を通じなが
ら徐々に205℃まで昇温し、水3.6リットルを留出
した。次に反応容器を180℃に冷却後、1,4−ジク
ロロベンゼン3.734kg(25.4モル)ならびに
NMP3.7kgを加えて、窒素下に密閉し、272℃
まで昇温後、272℃で1時間反応した。その後、反応
液を冷却コンデンサーの付いた250℃に加熱保温され
た攪拌そうにフラッシュさせ、PPSと塩類の混合粉末
を得た。これを70℃のイオン交換水15リットルでス
ラリー化し、遠心分離器で濾過した。得られたケーク、
イオン交換水15リットルおよび氷酢酸13mlを攪拌
機付きのオートクレーブに仕込み、窒素ガス下に密閉
し、190℃に加熱昇温し、190℃に到達後70℃ま
で冷却した。得られたスラリーを遠心分離器で濾過し、
これを80℃のイオン交換水で洗浄し、真空乾燥してP
PS2.57kgを得た。この様にして得られたPPS
を220℃、空気中で、メルトフローレイトが120g
/10分になるまで加熱処理を行った。このPPSは酸
素雰囲気下で熱処理された架橋構造を有するPPSであ
り、数平均分子量は9300、全灰分量は0.19重量
%、また15分滞留時のメルトフローレート値が5分滞
留時のメルトフローレート値の81%であった。
【0068】参考例2(芳香族基含有アミドオリゴマー
及びポリマーの合成) (1)B−1 ヘキサメチレンアンモニウムアジペート(ヘキサメチレ
ンジアミンとアジピン酸の等モル塩)7.61kg(2
9.0モル)、テレフタル酸3.66kg(22.0モ
ル)、ヘキサメチレンジアミンの64.5重量%水溶液
3.97kg、酢酸31g、イオン交換水6.38kg
を0.10m3 のバッチ式加圧重合釜に仕込み、窒素置
換を十分行った後、140℃に昇温し、攪拌下圧力4.
0kg/cm2 で濃度80重量%まで前濃縮した。引き
続いて攪拌下3.5時間かけて230℃に昇温、重合圧
力を15kg/cm2 −Gとした。さらに30分間28
5℃〜290℃で維持し反応を完結させた。吐出はイオ
ン交換水を定量ポンプにより、3リットル/時間の速度
で供給し、水蒸気圧を12kg/cm2 −Gに保ちなが
ら、1時間かけて行った。この縮合物の相対粘度は1.
45、融点280℃であった。
【0069】(2)B−2 ヘキサメチレンアンモニウムアジペート7.61kg
(29.0モル)、テレフタル酸3.66kg(22.
0モル)、ヘキサメチレンジアミンの64.5重量%水
溶液3.97kg、酢酸31g、イオン交換水6.38
kgを0.10m3 のバッチ式加圧重合釜に仕込み、窒
素置換を十分行った後、140℃に昇温し、攪拌下圧力
4.0kg/cm2 で濃度80重量%まで前濃縮した。
引き続いて攪拌下3.5時間かけて230℃に昇温、重
合圧力を15kg/cm2 −Gとした。さらに30分間
245℃〜250℃で維持し反応を完結させた。吐出は
イオン交換水を定量ポンプにより、3リットル/時間の
速度で供給し、水蒸気圧を25kg/cm2 −Gに保ち
ながら、1時間かけて行った。この縮合物の相対粘度は
1.25、融点278℃であった。
【0070】(3)B−3 ヘキサメチレンアンモニウムアジペート8.58kg
(32.7モル)、テレフタル酸3.09kg(18.
6モル)、ヘキサメチレンジアミンの64.5重量%水
溶液3.36kg、酢酸31g、イオン交換水6.38
kgを0.10m3 のバッチ式加圧重合釜に仕込み、窒
素置換を十分行った後、140℃に昇温し、攪拌下圧力
4.0kg/cm2 で濃度80重量%まで前濃縮した。
引き続いて攪拌下3.5時間かけて230℃に昇温、重
合圧力を15kg/cm2 −Gとした。さらに30分間
245℃〜250℃で維持し反応を完結させた。吐出は
イオン交換水を定量ポンプにより、3リットル/時間の
速度で供給し、水蒸気圧を21kg/cm2 −Gに保ち
ながら、1時間かけて行った。この縮合物の相対粘度は
1.28、融点274℃であった。
【0071】(4)B−4 ヘキサメチレンアンモニウムアジペート40g(0.1
52モル)、ヘキサメチレンジアミンとテレフタル酸の
等モル塩60g(0.213モル)、安息香酸6.7
g、ヘキサメチレンジアミン3.2g及びイオン交換水
100gをオートクレーブに仕込み、窒素置換を十分行
った後、200〜210℃まで3時間かけて徐々に昇温
した。その後系内の圧力を17.5kg/cm2 −Gに
保持しながら270℃まで昇温した。続いて温度を保持
したまま2時間かけて徐々に放圧し反応を完結させた。
放圧完了後冷却を行い内容物を取り出し、これを粉砕し
てサンプルとした。得られた縮合物の相対粘度は1.3
1、融点315℃であった。
【0072】(5)B−5 ε−カプロラクタム30g(0.263モル)、ヘキサ
メチレンジアミンとテレフタル酸の等モル塩70g
(0.248モル)、安息香酸8.1g、ヘキサメチレ
ンジアミン3.9gをオートクレーブに仕込み、B−4
と同様の方法で縮合反応を行った。得られた縮合物の相
対粘度は1.65、融点300℃であった。
【0073】(6)B−6 ヘキサメチレンジアミンとテレフタル酸の等モル塩65
g(0.230モル)、ヘキサメチレンジアミンとイソ
フタル酸の等モル塩35g(0.124モル)、安息香
酸5.2g、ヘキサメチレンジアミン2.5gをオート
クレーブに仕込み、B−4と同様の方法で縮合反応を行
った。得られた縮合物の相対粘度は1.40、融点30
0℃であった。
【0074】(7)B−7 1,12−ジアミノドデカンとテレフタル酸との等モル
塩65g(0.178モル)、ヘキサメチレンアンモニ
ウムアジペート35g(0.133モル)、安息香酸
4.8g、ヘキサメチレンジアミン2.3gをオートク
レーブに仕込み、B−4と同様の方法で縮合反応を行っ
た。得られた縮合物の相対粘度は1.40、融点290
℃であった。
【0075】(8)B−8 ヘキサメチレンアンモニウムアジペート80g(0.3
05モル)、ヘキサメチレンジアミンとテレフタル酸の
等モル塩20g(0.071モル)、安息香酸6.7
g、ヘキサメチレンジアミン3.2g及びイオン交換水
100gをオートクレーブに仕込み、B−4と同様の方
法で縮合反応を行った。得られた縮合物の相対粘度は
1.45、融点265℃であった。
【0076】(9)B−9 上記B−1を100℃で24時間真空乾燥した後、30
mmΦのベント式2軸押出機で滞留時間95秒、真空度
−700mmHg、最高樹脂温度300℃で溶融高重合
度化し、相対粘度2.50のポリマーを得た。
【0077】(10)B−10 低分子量ナイロン66、相対粘度1.45。
【0078】(11)B−11 ステアリン酸28.4g(0.1モル)、エチレンジア
ミン75.0g(1.25モル)、アジピン酸146.
0g(1モル)およびイオン交換水30gをオートクレ
ー部に仕込み、窒素置換を十分に行なった後、180℃
まで序々に昇温した。180℃到達後序々に放圧を行な
い管内圧を大気圧に戻した。その後序々に昇温しながら
窒素気流下1時間反応を続けた。得られた縮合物の相対
粘度は1.15であった。
【0079】参考例3(その他の配合物) (1)充填材 C−1:平均繊維径13μmのEガラス繊維。
【0080】C−2:炭酸カルシウム (2)アルコキシシラン化合物 D−1:β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチ
ルトリメトキシシラン D−2:γ−アミノプロピルトリメトキシシラン D−3:γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン D−4:γ−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン (3)エステル化合物及びアミド化合物 E−1:エチレングリコールのジモンタネート E−2:エチレンジアミンのジステアリルアミド E−3:コンデンサー付き検水管、攪拌機の付いた反応
容器にステアリン酸2モルとセバシン酸1モルを仕込
み、加熱溶融後、エチレンジアミン2モルを滴下し、窒
素気流中160℃より脱水反応を開始し、250〜26
0℃にてアミン価が5以下になるまで約7時間反応して
得られるアミド化合物。
【0081】(5)金属塩 F−1:次亜リン酸カルシウム F−2:炭酸カルシウム、平均粒径2.1μm
【0082】実施例1〜8 (A)PPS樹脂、(B)芳香族基含有アミドオリゴマ
ーおよびその他の添加剤を表1に示す割合でドライブレ
ンドし、タンブラーにて2分間予備混合したのち、シリ
ンダー温度300〜320℃に設定した2軸押出機で溶
融混練し、ストランドカッターによりペレット化し、1
20℃で1晩乾燥した。かかるペレットを用い結晶化特
性、バリ長さを測定した。結果を表1に示す。
【0083】
【表1】
【0084】実施例9〜17 (A)PPS樹脂およびその他の添加剤を表1、2に示
す割合でドライブレンドし、タンブラーにて2分間予備
混合したのち、シリンダー温度300〜320℃に設定
した2軸押出機で溶融混練し、ストランドカッターによ
りペレット化し、120℃で1晩乾燥した。かかるペレ
ットに(B)芳香族基含有アミドオリゴマーを表1、2
に示す割合で添加しタンブラーにて2分間予備混合した
のち、シリンダー温度300〜320℃に設定した2軸
押出機で溶融混練し、ストランドカッターによりペレッ
ト化し、120℃で1晩乾燥した。かかるペレットを用
い結晶化特性、バリ長さを測定した。結果を表1、2に
示す。
【0085】
【表2】
【0086】比較例1〜4、7、9〜11 (B)芳香族基含有アミドオリゴマーを添加しないこと
以外は実施例1、2、3、4、8、10〜12と同様に
して、ドライブレンドし、タンブラーにて2分間予備混
合したのち、シリンダー温度300〜320℃に設定し
た2軸押出機で溶融混練し、ストランドカッターにより
ペレット化し、120℃で1晩乾燥した。かかるペレッ
トを用い結晶化特性、バリ長さを測定した。結果を表
2、3に示す。
【0087】
【表3】
【0088】比較例5、6 (B)芳香族基含有アミドオリゴマーの代わりに相対粘
度1.5、1.15の芳香族基を含まないアミドオリゴ
マーを添加したこと以外は実施例4と同様にして、ドラ
イブレンドし、タンブラーにて2分間予備混合したの
ち、シリンダー温度300〜320℃に設定した2軸押
出機で溶融混練し、ストランドカッターによりペレット
化し、120℃で1晩乾燥した。かかるペレットを用い
結晶化特性、バリ長さを測定した。結果を表3に示す。
【0089】比較例8 (B)芳香族基含有アミドオリゴマーの代わりに相対粘
度2.5の芳香族基含有アミドポリマーを添加したこと
以外は実施例7と同様にして、2段にて溶融混練/ペレ
ット化/乾燥を行った。かかるペレットを用い結晶化特
性、バリ長さを測定した。結果を表3に示す。
【0090】
【発明の効果】本発明のPPS樹脂組成物は、バリの発
生が抑制され、かつ結晶化速度の速いPPS樹脂組成物
であり、特に小型精密部品などの用途に有用なPPS樹
脂組成物である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1aは実施例で成形したコネクター成形品の
平面図であり、図1bはその側面図である。
【符号の説明】
1:ピン穴 2:ゲート位置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI //(C08L 81/02 77:00)

Claims (23)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂9
    9.9〜80重量%と(B)芳香族基含有アミドオリゴ
    マー0.1〜20重量%を含有するポリフェニレンスル
    フィド樹脂組成物であり、(B)芳香族基含有アミドオ
    リゴマーは、下記構造式(I)、(II)、(III )で示
    される2価残基から選ばれる1種または2種以上の残基
    と下記構造式(IV)、(V)、(VI)で示される2価残
    基から選ばれる1種または2種以上の残基を含むもので
    あって、各残基がアミド結合を介して連結された重縮合
    物であり、かつ相対粘度(1%硫酸溶液、25℃)が
    1.01〜2.00である芳香族基含有アミドオリゴマ
    ーであることを特徴とするポリフェニレンスルフィド樹
    脂組成物。 【化1】−CO−R1 −CO− ・・・ (I) −NH−R2 −NH− ・・・ (II) −NH−R3 −CO− ・・・ (III ) −CO−Ar1 −CO− ・・・ (IV) −NH−Ar2 −NH− ・・・ (V) −NH−Ar3 −CO− ・・・ (VI) (ここでR1 、R2 、R3 は炭素数2〜20の2価の非
    芳香族有機基を示し、これらは同じであっても、異なっ
    ていても良い。またAr1 、Ar2 、Ar3 は炭素数6
    〜20の2価の芳香族基を含む有機基を示し、これらは
    同じであっても、異なっていても良い。)
  2. 【請求項2】芳香族基含有アミドオリゴマーが、3種以
    上の残基を含む多元共重合オリゴマーである請求項1記
    載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
  3. 【請求項3】(B)芳香族基含有アミドオリゴマーが、
    上記構造式(I)、(II)、(IV)で示される2価残基
    がアミド結合を介して連結された重縮合物であり、かつ
    (I)と(IV)のモル比が(I)/(IV)=(80〜
    5)/(20〜95)である(B)芳香族基含有アミド
    オリゴマーである請求項1または2記載のポリフェニレ
    ンスルフィド樹脂組成物。
  4. 【請求項4】(B)芳香族基含有アミドオリゴマーが、
    上記構造式(I)、(II)、(IV)で示される2価残基
    がアミド結合を介して連結された重縮合物であり、かつ
    (I)と(IV)のモル比が(I)/(IV)=(60〜1
    5)/(40〜85)である(B)芳香族基含有アミド
    オリゴマーである請求項1〜3のいずれか記載のポリフ
    ェニレンスルフィド樹脂組成物。
  5. 【請求項5】(B)芳香族基含有アミドオリゴマーが、
    上記構造式(II)、(III )、(IV)で示される2価残
    基がアミド結合を介して連結された重縮合物であり、か
    つ(III )と(IV)のモル比が(III )/(IV)=(7
    5〜10)/(25〜90)である(B)芳香族基含有
    アミドオリゴマーである請求項1または2記載のポリフ
    ェニレンスルフィド樹脂組成物。
  6. 【請求項6】(B)芳香族基含有アミドオリゴマーが、
    上記構造式(II)及び少なくとも2種以上の(IV)で示
    される2価残基がアミド結合を介して連結された重縮合
    物である(B)芳香族基含有アミドオリゴマーである請
    求項1または2記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組
    成物。
  7. 【請求項7】(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂と
    (B)芳香族基含有アミドオリゴマーの含有量比が
    (A)ポリフェニレンスルフィド樹脂99.9〜93重
    量%、(B)芳香族基含有アミドオリゴマー0.1〜7
    重量%である請求項1〜6のいずれか記載のポリフェニ
    レンスルフィド樹脂組成物。
  8. 【請求項8】(B)芳香族基含有アミドオリゴマーの相
    対粘度(1%硫酸溶液、25℃)が1.01以上1.7
    0未満である請求項1〜7のいずれか記載のポリフェニ
    レンスルフィド樹脂組成物。
  9. 【請求項9】(B)芳香族基含有アミドオリゴマーの相
    対粘度(1%硫酸溶液、25℃)が1.01以上1.5
    0未満である請求項1〜8のいずれか記載のポリフェニ
    レンスルフィド樹脂組成物。
  10. 【請求項10】(B)芳香族基含有アミドオリゴマー
    が、その融点が270〜340℃の範囲にある芳香族基
    含有アミドオリゴマーである請求項1〜9のいずれか記
    載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
  11. 【請求項11】(B)芳香族基含有アミドオリゴマーの
    末端の少なくとも一部が、炭素数1〜20のモノカルボ
    ン酸および/または炭素数1〜20のモノアミンで末端
    封鎖されている(B)芳香族基含有アミドオリゴマーで
    ある請求項1〜10のいずれか記載のポリフェニレンス
    ルフィド樹脂組成物。
  12. 【請求項12】更に(C)繊維状および/または非繊維
    状充填材を、(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂と
    (B)芳香族基含有アミドオリゴマーの合計100重量
    部に対して、10〜400重量部配合してなる請求項1
    〜11のいずれか記載のポリフェニレンスルフィド樹脂
    組成物。
  13. 【請求項13】更に(D)エポキシ基、アミノ基、イソ
    シアネート基、水酸基、メルカプト基、ウレイド基の中
    から選ばれた少なくとも1種の官能基を有するアルコキ
    シシラン化合物を、(A)ポリフェニレンスルフィド樹
    脂と(B)芳香族基含有アミドオリゴマーとの合計10
    0重量部に対して、0.1〜5重量部添加してなる請求
    項1〜12のいずれか記載のポリフェニレンスルフィド
    樹脂組成物。
  14. 【請求項14】(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂に
    (D)エポキシ基、アミノ基、イソシアネート基、水酸
    基、メルカプト基、ウレイド基の中から選ばれた少なく
    とも1種の官能基を有するアルコキシシラン化合物を配
    合し、溶融混練した後、これに(B)芳香族基含有アミ
    ドオリゴマーを配合し、溶融混練してなる請求項13記
    載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
  15. 【請求項15】更に(E−1)炭素数12〜40の脂肪
    族カルボン酸と多価アルコールからなるエステル化合
    物、(E−2)炭素数12〜40の脂肪族モノカルボン
    酸とジアミンからなるアミド化合物、(E−3)炭素数
    12〜40の脂肪族モノカルボン酸と炭素数2〜20の
    脂肪族多塩基酸と脂肪族ジアミンからなるアミド化合
    物、から選ばれる少なくとも1種の添加剤(E)を、
    (A)ポリフェニレンスルフィド樹脂と(B)芳香族基
    含有アミドオリゴマー合計量100重量部に対し、0.
    05〜1.5重量部添加してなる請求項1〜14のいず
    れか記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
  16. 【請求項16】添加剤(E)が、(E−3)炭素数12
    〜40の脂肪族モノカルボン酸と炭素数2〜20の脂肪
    族多塩基酸と脂肪族ジアミンからなるアミド化合物であ
    る請求項15記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成
    物。
  17. 【請求項17】更に(F)リチウム、ナトリウム、カリ
    ウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、鉄、コバ
    ルト、ニッケル、銅、銀、亜鉛、アルミニウム、錫から
    選ばれる少なくとも1種の金属の炭酸塩、ハロゲン化
    物、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、亜リン酸塩、次亜リン
    酸塩およびこれらの複塩から選ばれる少なくとも1種の
    金属塩を、(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂と
    (B)芳香族基含有アミドオリゴマー合計量100重量
    部に対し、0.01〜5重量部添加してなる請求項1〜
    16のいずれか記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組
    成物。
  18. 【請求項18】(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂
    が、(A1)1−クロロナフタレンを溶媒とするゲル浸
    透クロマトグラフ法で求められた数平均分子量が700
    0〜15000、全灰分量が0.3重量%以下のポリフ
    ェニレンスルフィド樹脂5〜90重量%と(A2)同様
    にして求められた数平均分子量が3000〜6000の
    実質的に架橋構造を有さないポリフェニレンスルフィド
    樹脂95〜10重量%からなるポリフェニレンスルフィ
    ド樹脂混合物である請求項1〜17のいずれか記載のポ
    リフェニレンスルフィド樹脂組成物。
  19. 【請求項19】(A1)ポリフェニレンスルフィド樹脂
    が、(A1−1)1−クロロナフタレンを溶媒とするゲ
    ル浸透クロマトグラフ法で求められた数平均分子量が7
    000〜15000、全灰分量が0.3重量%以下の実
    質的に架橋構造を有さないポリフェニレンスルフィド樹
    脂である請求項18記載のポリフェニレンスルフィド樹
    脂組成物。
  20. 【請求項20】(A1)ポリフェニレンスルフィド樹脂
    が、(A1−2)1−クロロナフタレンを溶媒とするゲ
    ル浸透クロマトグラフ法で求められた数平均分子量が7
    000〜15000、全灰分量が0.3重量%以下で、
    更にASTM D1238−86(315.5℃、50
    00g荷重)に定められた15分滞留時のメルトフロー
    レート値が5分滞留時のメルトフローレート値の50〜
    95%である架橋構造を有するポリフェニレンスルフィ
    ド樹脂である請求項18記載のポリフェニレンスルフィ
    ド樹脂組成物。
  21. 【請求項21】ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物
    が、示差走査熱量計(走査速度20℃/分)にて測定さ
    れる昇温結晶化ピーク温度が123℃以下である請求項
    1〜20のいずれか記載のポリフェニレンスルフィド樹
    脂組成物。
  22. 【請求項22】ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物
    が、示差走査熱量計(走査速度20℃/分)にて測定さ
    れる降温結晶化ピーク温度が230℃以上である請求項
    1〜21のいずれか記載のポリフェニレンスルフィド樹
    脂組成物。
  23. 【請求項23】(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂に
    (D)エポキシ基、アミノ基、イソシアネート基、水酸
    基、メルカプト基、ウレイド基の中から選ばれた少なく
    とも1種の官能基を有するアルコキシシラン化合物を配
    合し、溶融混練した後、これに(B)芳香族基含有アミ
    ドオリゴマーを配合し、溶融混練することにより請求項
    13記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物を製造
    することを特徴とするポリフェニレンスルフィド樹脂組
    成物の製造方法。
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