JPH10120730A - 固体高分子電解質及びその製造方法 - Google Patents

固体高分子電解質及びその製造方法

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JPH10120730A
JPH10120730A JP8276295A JP27629596A JPH10120730A JP H10120730 A JPH10120730 A JP H10120730A JP 8276295 A JP8276295 A JP 8276295A JP 27629596 A JP27629596 A JP 27629596A JP H10120730 A JPH10120730 A JP H10120730A
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JP
Japan
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monomer
solid polymer
ion
alkali metal
ionic conductivity
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JP8276295A
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Takeshi Shimofusachi
剛 下房地
Noriko Furusaki
典子 古崎
Yasuaki Miki
康彰 三木
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Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 各種電気化学デバイス用に有用な高イオン伝
導の固体高分子電解質を提供する。 【解決手段】 ジベンゾクラウンエーテル構造を形成す
る骨格を側鎖に有する架橋された有機高分子中にアルカ
リ金属塩が含有された複合体からなるイオン導電性固体
高分子電解質

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電池及び他の電気
化学デバイス材料として好適な固体電解質に関するもの
である。本発明を用いることにより、内容物の漏液が無
く、安全で薄型化積層化が可能な固体電解質を提供でき
る。
【0002】
【従来の技術】従来、一次電池、二次電池、コンデンサ
ー、エレクトロクロミック表示素子などの電気化学デバ
イスの電解質としてはプロピレンカーボネイト、ジメチ
ルカーボネイト等の有機電解液が用いられてきた。しか
し、液漏れによる信頼性の低下や、加工性、生産性等に
問題があり、これらの問題を伴わない固体電解質に関す
る研究開発が活発に行われている。
【0003】従来より研究開発が行われている固体電解
質は、無機系材料、複合系材料、有機系材料の3つに大
別できる。AgI,Li2 Ti3 7 ,β−アルミナ、
リンタングステン酸、RbAg45 等の無機系材料
は、焼成によって製膜するため大面積化が困難であり、
任意の形状に成膜することが難しく、原料が高価である
ことから実用上問題が多い。
【0004】これら無機系材料の難点をなくすべく樹脂
と複合化する方法が提案されている(特開昭63−78
405号公報、特開平4−173856号公報等)が、
樹脂と無機材料の界面が剥離する等により、製品の安定
性に不安がある。これらの難点を改良する材料として有
機系材料が研究されている。ポリエチレンオキサイド
(PEO)とアルカリ金属塩が錯体を形成し、高いイオ
ン伝導性を示すことが報告されて以来(Fast Io
n Transport in Solids,13
1,1979 M.B.Armand)、PEO、ポリ
プロピレンオキサイド(PPO)、ポリエチレンイミン
(PEI)、ポリフォスファゼン(PPP)、ポリビニ
ルアルコール(PVA)などの高分子とアルカリ金属塩
との錯体による固体電解質の研究が活発に行われてき
た。この様な有機系固体電解質は、軽量で、柔軟、薄膜
成形可能であり、無機系材料にない長所を持つが、イオ
ン導電性の点で実用上不足している。特に0℃以下の低
温になると急激にイオン伝導度σが下がってしまい実用
上問題である。
【0005】この原因は、イオン伝導機構そのものが、
高分子によって溶媒和されたアルカリ金属イオンに対し
て、電界を印加した際、イオンが会合と解離をくり返し
ながら配位子交換によって輸送されるという原理に基づ
くところに帰因する。この際、イオンの輸送速度は、高
分子のミクロブラウン運動に依存するため、温度の影響
を強く受けてしまう。よってマトリックスポリマーの分
子運動性に依存する限り、低温でのイオン導電率向上は
原理的に難しい。
【0006】一方で、これら固体高分子電解質の難点を
回避するため、マトリックス高分子に、電解液を含浸
し、見かけ上固体のゲル系固体電解質に関する研究も多
々報告されている。(特開平7−331019号公報、
特開平5−117522号公報等)この場合、イオン伝
導に関わるのは、実質有機電解液であり、高分子は形状
を固体状に保持するためのマトリックスに過ぎないた
め、イオン導電率は、電解液並に高く、かつ、低温での
低下も完全固体高分子電解質系に比べ、少ない等の利点
がある。唯、見かけ上固体であるが、低分子の有機電解
液を含むため、漏液、また、発熱した際の電解液のガス
化、引火等、安全性の面で液系と同様不安が残る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来型の固
体高分子電解質の難点であるイオン導電率の低さ、及び
低温特性の悪さを改良する全く新規なイオン導電機構に
基づく固体高分子電解質を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、アルカリ金属
イオンと相互作用し、包接する能力を持つクラウンエー
テル環を、膜厚方向にトンネル形状に積み重ね、これを
イオンチャンネルとする全く新規なイオン導電機構を実
現するために、ジベンゾクラウンエーテル骨格を側鎖に
持つ2官能性モノマーを用い、架橋構造固定化した有機
高分子中にアルカリ金属塩が含有された複合体であるこ
とを特徴とするイオン導電性固体高分子電解質である。
【0009】すなわち本発明の要旨はジベンゾクラウン
エーテル構造を形成する骨格を側鎖に有するモノマーが
架橋された有機高分子中にアルカリ金属塩が含有された
複合体を含有してなることを特徴とするイオン導電性固
体高分子電解質又はアルカリ金属塩存在下でモノマーを
膜状に形成させた後、重合架橋を行うことを特徴とする
そのイオン導電性固体高分子電解質の製造方法に在る。
【0010】
【発明の実施の形態】以下本発明を詳細に説明する。本
発明の基本的コンセプトは、イオンチャンネルをあらか
じめ膜の中に構造的に形成、固定化しておき、この中に
イオンを通す点にある。イオンチャンネルを形成する方
法として、自己組織可能のあるベンゼン環を2つ有する
ジベンゾクラウンエーテルを用いる。ジベンゾクラウン
エーテルは、ベンゼン環相互作用により積層し、アルカ
リ金属イオンが移動するためのチャンネルを形成する。
【0011】この構造を固定化するために、重合性官能
基を2つのベンゼン環から伸びる鎖の末端にとりつけ、
自己組織配列化の後、重合架橋構造固定化する。重合時
にこの積層配列構造が乱されないために、重合性官能基
とジベンゾクラウンエーテルの間に短鎖のアルキル鎖
や、アルカリ金属イオンと親和性を有する短鎖のポリエ
チレンオキサイド(PEO)鎖等のフレキシブルな側鎖
を導入した方が好ましい。
【0012】クラウンエーテル環は、エチレンオキサイ
ドユニットで4個から8個のものが用いられるが、アル
カリ金属イオンとの相互作用が強すぎるとイオンの運動
性が妨げられるためイオン導電率が下がる。イオン導電
性という意味では、比較的ルースな結合の方が好まし
い。例えばLiイオンではエチレンオキサイドユニット
で6個以上が好ましい。
【0013】末端の重合性官能基は、エネルギー線照射
により重合可能なものなら特に限定されないが例えば、
アクリル基、メタクリル基、アリル基、ビニル基等が挙
げられる。かかる有機高分子としては、下記の一般式で
示されるモノマーを重合架橋したものが好ましい。
【0014】
【化2】
【0015】式中、Rは任意の2価の有機基を示す。X
は、エネルギー線照射により重合可能な1価の有機基を
示す。−R−Xとしては、−A−B−Xで表わされる基
が好適に用いられる。
【0016】
【化3】
【0017】本イオン導電性固体高分子電解質の製膜方
法としては、ジベンゾクラウンエーテル環の組織構造化
と、その構造固定化という観点から、まずモノマーとア
ルカリ金属塩を溶媒に溶かし、自己組織化させる。この
とき、磁場を膜面方向に印加すると、ベンゼン環平面の
向きが膜平面の向きとそろい、チャンネルの方向が膜厚
方向に向かさせるため、膜厚方向のイオン導電率が高め
られる。こうしてモノマー状態で十分構造をつくらせて
からエネルギー線を照射、重合架橋を行い、構造固定
化、製膜を行う。
【0018】磁場を印加する方法としては、連続的に一
定の磁場を印加する方法またはパルス的に強力な磁場を
印加する方法が適宜用いられる。磁場強度としては、特
に限定されるものではないが、通常2kOe以上が好適
に使用される。溶媒としては、ジメチルフォルムアミド
(DMF)、ジメチルスルフォン(DMSO)等の通常
の有機溶媒の他、N,N−ジメチルアクリルアミドやポ
リエチレンオキサイドのマクロマー等のモノマーも用い
られる。また、プロピレンカーボネイトやジメチルカー
ボネイト等の有機電解液を用いると溶剤を含んだままの
ゲル状態でも使用できる。
【0019】また、本発明の有機高分子は差しつかえな
い範囲で共重合可能なモノマー成分を共重合させること
も可能である。共重合成分としては、アルカリ金属イオ
ンと親和性を有するモノマーであれば良く、物理的強度
付与、柔軟性付与等の種々の目的に応じ適宜選ばれる。
具体的には、両末端に(メタ)アクリル基を有するポリ
エチレンオキサイド、ポリエチレンオキサイドマクロマ
ー、N,N−ジメチルホルムアミド、(メタ)アクリル
酸などが挙げられる。
【0020】本発明で用いられるアルカリ金属塩は、特
に限定はされないが、例えば、Liイオン、Naイオ
ン、Kイオン等の陽イオンと、Iイオン、CF3 SO4
イオン、BF4 イオン、ClO4 イオン、AlCl4
オン、PF6 イオン、AsF6イオン等の陰イオンとの
組合せからなるアルカリ金属塩などが用いられる。これ
ら金属塩の使用量としては、目的とする固体電解質のイ
オン伝導度などによって適宜決定されるものであるが、
クラウンエーテル環とモル比で1/1程度が好ましい。
【0021】
【実施例】以下、実施例を示し本発明をより具体的に説
明する。なお、本発明がこれに限定されるものではな
い。
【0022】実施例1)モノマー合成 (ステップ1)Aldlich社製 ジベンゾ18−ク
ラウン−6 36gを(100mmol)、クロロホル
ム700ml、酢酸600mlに溶解し、72℃で加熱
還流しながらHNO3 (60%)38ml(500mm
ol)を滴下(2時間)し、さらに1時間還流継続す
る。これを室温まで放冷する。析出した結晶をろ過し、
100mlのクロロホルムで洗浄精製する。これによ
り、ジニトロジベンゾ18−クラウン−6(B18NO
2 )を得た。(収率38mol%)
【0023】(ステップ2)9.5gのB18NO2
600mlのセルソルブに分散させ、0.1gのPd/
C(パラジウムカーボン)を添加する。これに、ヒドラ
ジン1水和物5.1mlを滴下(30分、室温)し、1
時間135℃で加熱還流する。室温まで放冷した後ろ過
してPd/Cを除き、ろ液を60℃でエバポレーターで
濃縮(30mmHg)、これに500mlのエタノール
を加え、30分加熱還流する(90℃)ことで懸濁洗浄
し、室温まで放冷、ろ過、さらにエタノールで洗浄した
後真空乾燥を行った。これによりジアミノジベンゾ18
−クラウン−6(B18NH2 )を得た。(収率88m
ol%)
【0024】(ステップ3)5.6gのB18−NH2
を170mlのDMFに溶かし、トリエチルアミン5.
7mlを滴下、さらに塩化アクリロイル5.5gを25
mlDMFに溶かしたものを滴下する。これを室温で5
時間反応させ、10リットルの水を添加し、析出物を吸
引ろ過、エタノールで洗浄した後、真空乾燥を行った。
これによりジアクリルアミドジベンゾ18−クラウン−
6(B18−AAm)を得た。(収率47mol%)
【0025】重合架橋製膜 B18−AAmモノマーを20wt%、α:アミノアル
キルフェノン系光重合開始剤(日本チバガイギー社製
「イルガキュア369」)を4wt%となるようにDM
Fに溶かし、LiClO4 をクラウンエーテル環とLi
イオンのモル比が1/1になるように添加した。この溶
液を2枚の石英ガラス板にシリコンスペーサー(厚み1
mm)を介してはさみ、この板を水平方向に設置、ゆっ
くり回転させながら横方向から磁場を印加(8.5kO
e)した。この状態で高圧水銀ランプのUV光を照射
し、重合架橋製膜した。ゲル状の膜を60℃で真空乾燥
し、固体高分子電解質膜(B18−AAm100M)を
得た。
【0026】イオン伝導度評価 B18−AAm 100M膜の上下面に金を蒸着し、こ
れに銀ペーストで端子をつけて、複素インピーダンス測
定を行った。25℃で2.1×10-3[S/cm]、0
℃で8.3×10-4[S/cm]と高いイオン伝導度を
示した。
【0027】実施例2−4)実施例1で合成したモノマ
ー(B18−AAm)と、
【0028】
【化4】
【0029】で表わされる日本油脂社製 ポリエチレン
オキサイドマクロマーPME−400を80/20,5
0/50,20/80重量比で混合したものをモノマー
として用いた以外は実施例1と同様の方法で製膜、イオ
ン伝導度を評価した。イオン伝導度は以下の通りであっ
た。
【0030】
【表1】
【0031】実施例5−7)磁場強度を0,3.1,
5.9kOeと変えた以外は実施例1と同様にして製
膜、イオン伝導度を評価した。イオン伝導度は以下の通
りであった。
【0032】
【表2】
【0033】実施例8)モノマー合成 実施例1のステップ1,2と同様にしてB18NH2
得た。次に、アジピン酸25gを500mlのテトラヒ
ドロフランに溶かし、ピリジン27gを加え、50℃で
塩化チオニル10.2gを滴下する(3時間)。これに
2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)25
gを加え、室温で5時間反応させる。この溶液にピリジ
ン54g、塩化チオニル20.4gを加え、30℃で5
時間反応させる。反応液を室温のままエバポレーターで
濃縮し、B18NH2 15.5g、トリエチルアミン1
5.8mlをDMF465mlに溶かした溶液に滴下す
る。室温で5時間反応させた後、水を10リットル添加
し、反応物を析出させ、吸引ろ過し、エタノールで洗
浄、真空乾燥した。これにより下記に示す、スペーサ長
の長いモノマー(B18−SP)が得られた。(収率3
9mol%)
【0034】
【化5】
【0035】このモノマーをB18−AAmの代わりに
使用したこと以外は実施例1と同様の方法で製膜、イオ
ン伝導度を測定した。 25℃で6.2×10-3[S/cm] 0℃で1.1×10-3[S/cm] と高いイオン伝導度を示した。
【0036】実施例9−11)実施例8で合成したモノ
マー(B18−SP)をB18−AAmの代わりに用い
たこと以外は、実施例2−4と同様の方法で製膜、イオ
ン伝導度を評価した。イオン伝導度は以下の通りであっ
た。
【0037】
【表3】
【0038】実施例12−14)実施例8で合成したモ
ノマー(B18−SP)をB18−AAmの代わりに用
いたこと以外は、実施例5−7と同様にして製膜、イオ
ン伝導度を評価した。イオン伝導度は以下の通りであっ
た。
【0039】
【表4】
【0040】比較例1)モノマーとしてPME−400
を用いたこと以外は実施例1と同様の方法で製膜、イオ
ン伝導度を評価した。25℃で7.2×10-5[S/c
m]、0℃で4.1×10-6[S/cm]であった。
【0041】比較例2−4)モノマーとしてPME−4
00を用いたこと以外は実施例5−7と同様の方法で製
膜、イオン伝導度を評価した。イオン伝導度は以下の通
りであった。
【0042】
【表5】
【0043】
【発明の効果】本発明により、従来の固体電解質の欠点
であった低イオン導電率、低温特性の悪さを改善する、
イオンチャンネル構造形成による異方性イオン導電とい
う全く新規なイオン導電機構に基づく実用的な固体高分
子電解質を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08F 18/02 C08F 18/02 20/30 20/30 26/02 26/02 H01B 1/12 H01B 1/12 Z H01G 9/028 H01M 6/18 E H01M 6/18 10/40 B 10/40 H01G 9/02 331G

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ジベンゾクラウンエーテル構造を形成す
    る骨格を側鎖に有するモノマーが架橋された有機高分子
    中にアルカリ金属塩が含有された複合体を含有してなる
    ことを特徴とするイオン導電性固体高分子電解質
  2. 【請求項2】 有機高分子が下記の一般式で示されるジ
    ベンゾクラウンエーテル構造を形成する骨格を側鎖に有
    するモノマーを重合架橋してなることを特徴とする請求
    項1に記載のイオン導電性固体高分子電解質 【化1】
  3. 【請求項3】 アルカリ金属塩存在下でモノマーを膜状
    に形成させた後、重合架橋を行うことを特徴とする請求
    項1または2に記載のイオン導電性固体高分子電解質の
    製造方法
  4. 【請求項4】 エネルギー線を照射することにより重合
    架橋することを特徴とする請求項3に記載のイオン導電
    性固体高分子電解質の製造方法
  5. 【請求項5】 膜面方向に磁場を印加した状態で重合架
    橋を行うことを特徴とする請求項3または4に記載のイ
    オン導電性固体高分子電解質の製造方法
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