JPH10118778A - レーザマーキング装置 - Google Patents

レーザマーキング装置

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JPH10118778A
JPH10118778A JP8273820A JP27382096A JPH10118778A JP H10118778 A JPH10118778 A JP H10118778A JP 8273820 A JP8273820 A JP 8273820A JP 27382096 A JP27382096 A JP 27382096A JP H10118778 A JPH10118778 A JP H10118778A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 大幅に小型軽量化されたレーザマーキング装
置を提供する。 【解決手段】 レーザビームを走査するガルバノミラー
3,4を備える走査部2を、レーザ発振器1を収納する
発振器ケース10と別体とした走査部ケース20の内部に収
納し、発振器ケース10を短縮し、軽量化を図る。また、
走査部ケース20の内部にビームエキスパンダ5を配し、
このビームエキスパンダ5の一側に、一方のガルバノミ
ラー4の駆動モータ40を並べて配し、走査部ケース20を
コンパクト化する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、YAGレーザ等の
固体レーザを利用してマーキングを行なうレーザマーキ
ング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】各種の物品の表面にレーザビームを照射
し、文字、図形等のパターンをマーキングするレーザマ
ーキング装置は、消えることのないパターンを形成し得
ることから、近年におけるPL法(製造物責任法)の施
行に伴って注目を浴びる存在となっており、特に、YA
G(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)レーザ
に代表される固体レーザを利用したレーザマーキング装
置は、高いレーザ出力が得られると共に、小スポットへ
の集光が容易であり、金属、樹脂、セラミックス等、対
象物品の素材を選ばず、非接触下にて微細なパターンを
形成し得る装置として、各種の産業分野において広く用
いられるようになっている。
【0003】YAGレーザを発生するレーザ発振器は、
YAGの棒状結晶体であるレーザロッド及びこれの励起
用のランプを内蔵し、YAGレーザの発生源となるレー
ザチャンバと、該レーザチャンバが放出する誘導放出光
の光路に沿って所定の距離を隔てて対向配置された出力
ミラー及び全反射ミラーと、これらの間に配されたアパ
ーチャ、Qスイッチ等の構成部品とを備え、レーザチャ
ンバが放出する誘導放出光を、出力ミラーと全反射ミラ
ーとの間での多重反射により増幅し、Qスイッチの動作
により短周期にて通断しつつアパーチャによりモード選
別して、出力ミラーを経て送り出す構成となっている。
【0004】レーザマーキングは、以上の如きレーザ発
振器から出力ミラーを経て送り出されるレーザビーム
を、走査部の動作により走査しつつ対象物品の表面に照
射して行われる。前記走査部は、駆動モータのモータ軸
に取り付けられ、該モータ軸の回動に伴ってその鏡面の
角度を変えるガルバノミラーを一対用い、これらを、夫
々のモータ軸が直交するように配し、前記レーザビーム
を両ガルバノミラーに順次反射させて対象物品に照射す
る構成となっている。
【0005】図8は、走査部の動作説明図である。図中
3,4は、ガルバノミラーであり、これらは、各別の駆
動モータ30,40のモータ軸31,41の先端に取り付けら
れ、駆動モータ30,40への通電に伴うモータ軸31,41の
回動に応じて、これらの軸回りに、図中に矢符により示
す如く所定の角度範囲にて回動する構成となっている。
【0006】図中の一点鎖線はレーザ発振器から出力さ
れるレーザビームの光路を示しており、一方のガルバノ
ミラー3は、そのモータ軸31を前記光路に直交させ、そ
の鏡面が前記光路に対して略45°の角度をなして対向す
るように配してある。他方のガルバノミラー4は、その
モータ軸41をガルバノミラー3のモータ軸31と直交させ
ると共に、その鏡面がガルバノミラー3の鏡面と互いに
直交して対向するように配してある。而して、前記光路
に沿って進行するレーザビームは、まず、一方のガルバ
ノミラー3により略直角に反射されて他方のガルバノミ
ラー4に向かい、このガルバノミラー4により再度略直
角に反射されて、これの下方に配した図示しない対象物
品に照射される。
【0007】この照射に際し、ガルバノミラー3,4を
前述の如く回動せしめた場合、前記レーザビームは、対
象物品の照射面内において互いに直交する2方向に走査
される。ガルバノミラー3の回動によるレーザビームの
走査は、図におけるX方向に生じ、ガルバノミラー4の
回動によるレーザビームの走査は、図におけるY方向に
生じることとなり、これらの走査を、各別の駆動モータ
30,40の通電制御により適宜に組み合わせて実施するこ
とにより、照射面上に所望のパターンを形成することが
できる。
【0008】更に、レーザマーキングにおいては、金属
面等、高硬度の照射面上での微細なパターンの形成を可
能とするため、照射面上でのビームスポットの径を小さ
く絞り、エネルギ密度を高めることが重要である。レー
ザビームは、ガルバノミラー4により反射された後、集
光レンズ(Fθレンズ)により集光して照射面に照射さ
れるが、小スポットへの集光を効果的に行わせるため、
図8中にその一部を示す如く、ガルバノミラー3にビー
ムエキスパンダ5を前置し、レーザ発振器から出力され
るレーザビームのビーム径を拡げるようにしている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】さて、以上の如き走査
部の構成部品は、一般的に、レーザ発振器の構成部品と
共通の支持ケースの内部に配置される。ところが、ガル
バノミラー3,4の駆動モータ30,40は、図示の如く嵩
の大きい部材であり、また、ガルバノミラー3に前置さ
れるビームエキスパンダ5は、光軸の方向に長寸の部材
であることから、前記支持ケースが大型となり、特に、
光路に沿う方向に長くなることが避けられないという問
題があった。
【0010】一方、出力ミラー、全反射ミラー、Qスイ
ッチ、アパーチャ等、レーザ発振器の構成部品は、レー
ザチャンバが放出する誘導放出光の光路上での正確な位
置決めを必要とする部品であり、支持ケースが前述の如
く長大化することにより、前記各構成部品の位置決め精
度を保つための剛性強化が必要となり、このことが、レ
ーザマーキング装置全体の重量増を招き、マーキング対
象となる物品の生産設備中への適用が制約されるという
不都合があった。
【0011】レーザ発振器においては、特開昭63-43884
号公報、実開平2-113354号公報等に開示されている如
く、出力ミラーと全反射ミラーとの間に光学部材(一般
的には反射鏡)を配し、両ミラー間の誘導放出光の光路
を適宜に折り曲げて、支持ケースを短縮する等、小型軽
量化を図る工夫がなされているが、前述した如き走査部
を並設してレーザマーキング装置として構成した場合、
小型軽量化の効果が十分に得られなくなるという問題が
ある。
【0012】更に、レーザマーキング装置を対象物品の
既存の生産設備に組み込む際には、その組み込み位置に
制約を受けることが多く、走査部からのレーザビームの
出射方向が限定される場合がある。従来のレーザマーキ
ング装置においては、このような場合、走査部の構成部
品であるガルバノミラー3,4の組み替えにより対応し
ており、適用設備に応じた設計変更を強いられる不都合
があった。
【0013】一方、レーザマーキング装置においては、
レーザ発振器の動作不良に伴うマーキング不良の発生を
防ぐべく、レーザ発振器の動作状態を常時監視する必要
があり、従来においては、レーザ発振器の内部において
誘導放出光の一部を分岐し、この分岐光を光検出器によ
り検出して、前記動作状態の良否を調べるようにしてい
る。このため、低反射率の分岐ミラーを誘導放出光の光
路上に配し、該分岐ミラーによる反射光を光検出器に与
えるようにしており、本来の動作に関連しない前記分岐
ミラーの配設位置の確保が必要となる。
【0014】また、走査部の動作不良に伴うマーキング
不良の発生を防ぐべく、半導体レーザ等の低出力のレー
ザ光をマーキング用の本来のレーザビームの光路に沿っ
て発するレーザ素子を配し、該レーザ素子からの発光を
照射面上において走査することにより、走査部の動作状
態の良否を調べるようにしている。ところが従来におい
て、前記レーザ素子は、レーザ発振器の内部における誘
導放出光の光路の末端に位置する反射ミラーの裏側、又
は光路の折り曲げ用に配した折り曲げミラーの裏側に配
設されており、該レーザ素子から発せられるレーザ光が
照射面に到達するまでの間に、レーザ発振器及び走査部
を構成する多数の構成部品を通過し、この間の損失が大
きいため、照射面上での光強度が不足し、走査状態の確
認が良好に行えなくなるという問題があった。
【0015】本発明は斯かる事情に鑑みてなされたもの
であり、従来に比して大幅に小型軽量化されたレーザマ
ーキング装置を提供することを目的とし、また走査部か
らのレーザビームの出射方向の変更にも柔軟に対応で
き、更にレーザ発振器の動作状態の判定に利用する光検
出器、及び走査部の動作状態の判定に利用するレーザ素
子の合理的な配置により、動作状態の良否を高精度に判
定し得るレーザマーキング装置を提供することを目的と
する。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明に係るレーザマー
キング装置は、一対のガルバノミラーを各別のモータ軸
を直交させて配し、レーザ発振器から出力されるレーザ
ビームを両ガルバノミラーの鏡面に順次反射させ、前記
モータ軸の回動に伴う両ガルバノミラーの回動により、
互いに直交する2方向に走査しつつ対象物品に照射する
走査部を備えるレーザマーキング装置において、前記走
査部は、前記レーザビームのビーム径を拡げるビームエ
キスパンダと、該ビームエキスパンダからの出射ビーム
を反射して前記ガルバノミラーの鏡面に導く光学部材と
を含み、前記ガルバノミラーの一方は、その駆動モータ
のモータ軸を前記レーザビームの光軸と略平行として、
前記ビームエキスパンダの一側に並設してあることを特
徴とする。
【0017】この発明においては、レーザ発振器からの
レーザビームを集光するビームエキスパンダからの出射
ビームを光学部材により反射してガルバノミラーに導く
ことにより、一方のガルバノミラーの駆動モータをビー
ムエキスパンダの一側に並べて配し、ビームエキスパン
ダを含めた走査部の大型化を防ぐ。
【0018】また、前記一対のガルバノミラー及び夫々
の駆動モータ、前記ビームエキスパンダ、並びに前記光
学部材を収納する走査部ケースを、前記レーザ発振器を
収納する発振器ケースと別体に備えることを特徴とす
る。
【0019】この発明においては、走査部の収納ケース
(走査部ケース)を、レーザ発振器の収納ケース(発振
器ケース)と別体として、内部に取り付けられる部品に
高い位置決め精度が要求される発振器ケースの長大化を
防ぎ、装置全体としての小型軽量化を図る。
【0020】また、前記走査部ケースは、前記発振器ケ
ースの一側に、前記レーザビームの光軸を中心とする回
動自在に取り付けてあることを特徴とする。
【0021】この発明においては、走査部の構成部材を
収納する走査部ケースを、レーザ発振器からのレーザビ
ームの光軸を中心として回動させることにより、走査部
からのレーザビームの出射方向を前記光軸と直交する面
内において適宜に変更して、適用設備の相違に応じた出
射方向の変更に、構成部品の組み替えを強いることなく
対応する。
【0022】また、前記光学部材は、前記レーザビーム
の一部を透過し得る反射率を有する反射鏡であり、該反
射鏡の裏側に、透過光を検出する光検出器を備えること
を特徴とする。
【0023】この発明においては、レーザビームをガル
バノミラーに導く光学部材として用いた反射鏡の裏側
に、反射前の光路に臨ませて光検出器を配し、該光検出
器により反射鏡を透過するレーザビームを検出し、この
検出結果を前記レーザビームの発生源となるレーザ発振
器の動作状態の良否判定に利用する。
【0024】更に、前記光学部材は、前記レーザビーム
の一部を透過し得る反射率を有する反射鏡であり、該反
射鏡の裏側に、反射後の光路に沿って半導体レーザを発
するレーザ素子を備えることを特徴とする。
【0025】この発明においては、レーザビームをガル
バノミラーに導く光学部材として用いた反射鏡の裏側
に、反射後の光路に臨ませてレーザ素子を配し、該レー
ザ素子から発せられ前記反射ミラーを透過する半導体レ
ーザを、ガルバノミラーにより走査しつつ対象物品に照
射して走査部の動作状態の良否判定を行う。このとき、
前記レーザ素子の発光は、照射面への照射前に、反射鏡
の透過に伴う損失、及び一対のガルバノミラーでの反射
に伴う損失を受けるのみであり、低出力の半導体レーザ
により照射面上に十分な光強度が得られ、確実な判定が
可能となる。
【0026】
【発明の実施の形態】以下本発明をその実施の形態を示
す図面に基づいて詳述する。図1は、本発明に係るレー
ザマーキング装置の全体構成を示す正面図、図2は、そ
の平面図である。本発明に係るレーザマーキング装置
は、マーキング用の固体レーザの発生源となるレーザ発
振器1と、該レーザ発振器1から出力されるレーザビー
ムを走査する走査部2とを備えてなる。
【0027】レーザ発振器1は、矩形箱形をなす発振器
ケース10の内部に、レーザ発振のための構成部品とし
て、レーザチャンバ11、出力ミラー12、全反射ミラー1
3、Qスイッチ14及びアパーチャ15を取り付け、また、
光路折り曲げのための折り曲げミラー16,16を配して構
成されている。
【0028】レーザロッド及び励起ランプを内蔵するレ
ーザチャンバ11は、前記発振器ケース10の底板上に固定
され、図中に一点鎖線にて示す如く放出される誘導放出
光の光路が、発振器ケース10の長手方向と略平行をなす
ように位置決めされている。発振器ケース10の底板上に
は、前記誘導放出光の光路に沿って一側に所定長離隔し
て出力ミラー12が取り付けてあり、該出力ミラー12とレ
ーザチャンバ11との間にアパーチャ15が取り付けてあ
る。
【0029】出力ミラー12は、一部の光の透過が可能な
反射率を有する反射鏡であり、レーザチャンバ11からの
誘導放出光の光路に、その鏡面の中心を正対せしめて位
置決めされている。またアパーチャ15は、レーザチャン
バ11に内蔵されたレーザロッドの口径に対応する小径の
開口を有する遮蔽板であり、その開口の中心を前記誘導
放出光の光路に合わせて位置決めされている。
【0030】レーザチャンバ11の他側に対向する発振器
ケース10の端壁の内面には、前記折り曲げミラー16,16
を保持するミラーホルダ17が、底板に対してその長手方
向を傾斜させた状態に取り付けてある。該ミラーホルダ
17の内部には、長手方向に延設され、両端近傍において
略直角をなして屈曲せしめられてレーザチャンバ11との
対向側に開口する導光孔が形成されており、該導光孔の
下位置の開口を前記誘導放出光の光路に正対せしめて位
置決めされている。
【0031】折り曲げミラー16,16は、前記導光孔の2
か所の屈曲部に、夫々の方向に対し45°の角度をなして
対向する鏡面を有して配設されている。この配置によ
り、一方の折り曲げミラー16は、前記光路に45°の傾斜
角度を有して対向し、該折り曲げミラー16の斜め上方に
他方の折り曲げミラー16が、夫々の鏡面を直交させて対
向した状態となる。
【0032】而して、レーザチャンバ11から放出され、
ミラーホルダ17に向けて進行する誘導放出光は、まず、
下位置にある折り曲げミラー16により略直角をなして折
り曲げられ、ミラーホルダ17の内部を前記導光孔の長手
方向に進行し、上位置にある折り曲げミラー16により再
度直角に折り曲げられて、逆向きに折り返す態様に進行
することになる。この折り返し光路上には、ミラーホル
ダ17から所定長離隔して全反射ミラー13が配してあり、
該全反射ミラー13とミラーホルダ17との間にQスイッチ
14が配してある。
【0033】全反射ミラー13は、実質的な全反射が可能
な鏡面を有しており、該鏡面の中心を前記折り返し光路
に正対させ、発振器ケース10の底板に立設された側壁の
内面に取り付けてある。このように配置された全反射ミ
ラー13は、前述の如く配された一対の折り曲げミラー1
6,16を介して前記出力ミラー12と対向することにな
り、レーザチャンバ11から放出される誘導放出光は、出
力ミラー12と全反射ミラー13との間での多重反射により
共振により増幅され、出力ミラー12を経て出力される。
【0034】このときアパーチャ15は、正規の光路から
外れた不要なモードの発振を抑え、出力ミラー3を経て
送出されるレーザビームのモードを適正化するモード選
別作用をなす。またQスイッチ14は、出力ミラー3と全
反射ミラー4との間にて共振する誘導放出光を短周期に
て通断し、共振器としてのメリット数(Q値)を高め、
励起原子の反転分布を発生させて、高出力のレーザパル
スを取り出す作用をなすものであり、前記全反射ミラー
13と同様に、前記折り返し光路上に正しく位置するよう
に前記側壁の内面に取り付けられている。
【0035】本発明に係るレーザマーキング装置の特徴
は、以上の如きレーザ発振器1の動作により出力される
レーザビームを走査する走査部2の構成にある。該走査
部2は、発振器ケース10と別体に構成され、出力ミラー
12と対向する側の端壁の外面に取り付けられた走査部ケ
ース20の内部に、走査手段としての一対のガルバノミラ
ー3,4、ガルバノミラー3への到達前のレーザビーム
のビーム径を一旦拡げるビームエキスパンダ5、光路折
り曲げ用の折り曲げミラー6,6、及びガルバノミラー
4により反射されたレーザビームのビーム径を絞り、照
射面上に集光する集光レンズ(Fθレンズ)7を備えて
構成されている。
【0036】図3は、走査部2を拡大して示す正面図、
図4は、同じく平面図、図5は、図3のV−V線による
断面図である。図3に示す如く、走査部ケース20の取り
付け面となる発振器ケース10の端壁には、前記レーザビ
ームの光軸を中心とする円形断面の取り付け孔 10aが貫
通形成されており、前記端壁の外側及び内側には、取り
付け孔 10aを全周に亘って縁取る固定フランジ 10b,10c
が周設されている。
【0037】一方走査部ケース20は、その一側の端壁を
貫通する円形断面の導光孔21を備えており、該導光孔21
の外側には、円筒形をなす連結筒22が、同軸的にフラン
ジ結合されている。該連結筒22は、発振器ケース10に形
成された取り付け孔 10aの内径と略等しい外径を有して
おり、走査部ケース20は、連結筒22を取り付け孔 10aに
嵌め込み、発振器ケース10の内側に突出する連結筒22の
端面に、中抜き円板状をなす止め板23をボルト止めする
一方、該止め板23に保持させた周方向に複数本(2本の
み図示)の止めねじ24,24…を、前記取り付け孔 10aの
内側を縁取る固定フランジ 10cに締め付けて、前記連結
筒22のフランジ部と前記止め板23との間に、固定フラン
ジ 10b,10cを挾持することにより取り付けられている。
【0038】このように取り付けられた走査部ケース20
は、止めねじ24,24…を緩めることにより、取り付け孔
10aに嵌合する連結筒22を枢軸として回動させることが
でき、適宜の回動位置にて、再度前記止めねじ24,24を
締め付けることにより固定することができる。この回動
は、レーザ発振器1から出力されるレーザビームの光軸
と同軸的に形成された取り付け孔 10aを中心として生じ
るから、走査部ケース20の回動位置を適宜に定めた場合
においても、前記レーザビームは、常に導光孔21の中心
を通って走査部ケース20に導入されることとなる。
【0039】ビームエキスパンダ5は、円筒形をなす保
持筒の内部に複数のレンズを並設してなる公知の光学部
材であり、前記導光孔21の開口端にその一端を臨ませ、
該導光孔21と同軸をなすように位置決め固定されてい
る。この配置により、レーザ発振器1から出力されるレ
ーザビームは、ビームエキスパンダ5の内部を軸心に沿
って進行し、内蔵レンズによりビーム径を拡げられて他
端部から送出される。
【0040】ビームエキスパンダ5の他端部に対向する
走査部ケース20の他側の端壁の内面には、前記折り曲げ
ミラー6,6を保持するミラーホルダ60が取り付けてあ
る。ミラーホルダ60及びこれの内部の折り曲げミラー
6,6の配設態様は、レーザ発振器1におけるミラーホ
ルダ17及びこれの内部の折り曲げミラー16,16の配設態
様と同じであり、該ミラーホルダ60は、これに形成され
た導光孔の一方の開口部を、前記ビームエキスパンダ5
の軸心に正対させて位置決めされ、長手方向を走査部ケ
ース20の幅方向に向けて、底板と略平行をなして取り付
けてある。
【0041】この取り付けにより、ミラーホルダ60内部
の一方の折り曲げミラー6は、図4に示す如く、ビーム
エキスパンダ5から送出されるレーザビームの光路に45
°の傾斜角度を有して対向し、他方の折り曲げミラー6
は、前記折り曲げミラー6の側方に適長離れた位置に、
夫々の鏡面を直交させて対向した状態となる。
【0042】而して、走査部ケース20に導入され、ビー
ムエキスパンダ5によりビーム径を拡げられたレーザビ
ームは、まず、その光路に対向する一方の折り曲げミラ
ー6により略直角をなして反射されて横方向に折り曲げ
られ、前記導光孔の長手方向に進行し、他方の折り曲げ
ミラー6により再度直角に反射されて、ビームエキスパ
ンダ5の配設位置から幅方向に離隔した位置を逆向きに
折り返す態様に送り出される。
【0043】本発明に係るレーザマーキング装置におい
ては、以上の如く折り返された後のレーザビームに対し
てガルバノミラー3,4による走査が行われる。ガルバ
ノミラー3,4は、図8に示すものと同様、各別の駆動
モータ30,40のモータ軸31,41の先端に取り付けられ、
駆動モータ30,40への通電に伴うモータ軸31,41の回動
に応じて、これらの軸回りに所定の角度範囲にて回動す
る構成となっている。
【0044】一方のガルバノミラー3は、駆動モータ30
の軸心を走査部ケース20の底板に対して略垂直に保ち、
下向きに突出するモータ軸31の先端に、前記折り返し後
のレーザビームの光路にその鏡面を対向させて取り付け
られている。また他方のガルバノミラー4の駆動モータ
40は、走査部ケース20の幅方向にビームエキスパンダ5
から離れた位置に、その軸心を走査部ケース20の底板と
略平行として取り付けてあり、ガルバノミラー4は、ミ
ラーホルダ60の側にモータ軸41に先端に、その鏡面が、
前記ガルバノミラー3の鏡面と互いに直交して対向する
と共に、走査部ケース20の底板に対向するように取り付
けてある。
【0045】ガルバノミラー4の下位置には、走査部ケ
ース20の底板を貫通する大径の装着孔80が形成されてお
り、該装着孔80に集光レンズ8が、走査部ケース20の外
側を臨む態様に、ホルダと共に装着されている。なお図
4においては、ガルバノミラー3の配置を明示するた
め、該ガルバノミラー3の駆動モータ30を二点鎖線(想
像線)により示してあり、同様に図5においては、ビー
ムエキスパンダ5及びガルバノミラー3,4と折り曲げ
ミラー6,6との位置関係を明示するため、折り曲げミ
ラー6,6を二点鎖線(想像線)により示してある。
【0046】而して、ビームエキスパンダ5から送出さ
れ、一対の折り曲げミラー6,6により折り返されたレ
ーザビームは、まず、ガルバノミラー3により略直角に
反射されてガルバノミラー4に向かい、このガルバノミ
ラー4により再度略直角に反射され、これの下方に配し
た集光レンズ8を経て走査部ケース20の外に送り出さ
れ、図示しない対象物品に照射される。
【0047】この照射に際し、ガルバノミラー3,4が
前述の如く回動せしめられた場合、集光レンズ8を経て
送り出されるレーザビームは、対象物品の照射面内にお
いて夫々のモータ軸31,41と直交する方向に走査される
こととなり、この走査を各別の駆動モータ30,40の通電
制御により適宜に組み合わせて実施することにより、照
射面上に所望のパターンを形成することが可能となる。
【0048】以上の動作を行う本発明に係るレーザマー
キング装置において、走査部ケース20内での前述した配
置により、ガルバノミラー3の駆動モータ30は、前記ビ
ームエキスパンダ5の一側にこれと略直交するように立
設された状態となり、ガルバノミラー4の駆動モータ40
は、ビームエキスパンダ5の一側にこれと略平行をなし
て並設された状態となる。即ち、ガルバノミラー3及び
ガルバノミラー4は、夫々の駆動モータ30,40を含め
て、前記ビームエキスパンダ5の一側に効率的に配置す
ることができ、これらを支持する走査部ケース20は、図
示の如くコンパクトに構成される。
【0049】また、発振器ケース10の内部においてレー
ザ発振器1を構成する前述した構成部品、即ち、レーザ
チャンバ11、出力ミラー12、全反射ミラー13、Qスイッ
チ14及びアパーチャ15等は、レーザチャンバ11が放出す
る誘導放出光の光路に対して正しく位置決めすることが
必要であり、これらを支持する発振器ケース10には高い
剛性が要求される。本発明においては、走査部ケース20
が発振器ケース10と別体に構成されているため、発振器
ケース10の長さを短くすることができ、更に、走査部ケ
ース20内にビームエキスパンダ5が配設してあることか
ら、発振器ケース10の更なる短縮が可能である。従っ
て、レーザ発振器1の構成部品の高い位置決め精度を維
持したまま発振器ケース10の小型軽量化を図ることがで
きる。
【0050】また走査部ケース20は、前述した如く、レ
ーザ発振器1からのレーザビームの光軸を中心として回
動可能であり、適宜の回動位置にて固定し得る。走査部
2からのレーザビームの出射方向は、図3乃至図5に示
す状態においては下向きとしてあるが、走査部ケース20
を回動させることにより、この回動面内において、上向
き、横向き、斜め上向き、及び斜め下向き等、適宜の方
向に設定できる。このことは、対象物品の生産設備内に
おいて取り付け位置が限定される場合であっても、取り
付け位置に応じた出射方向の変更が可能であり、ガルバ
ノミラー3,4の配置替え等の設計変更を強いることな
く対応できることを意味しており、適用範囲の拡大に有
用である。
【0051】また本発明においては、走査部2を構成す
る一対のガルバノミラー3,4の前述した配置により、
走査部ケース20自体がコンパクトに構成でき、特に、長
さ寸法が短くなることから、該走査部ケース20を発振器
ケース10の一側に回動自在に支持する構成が無理なく実
現できる。
【0052】更に本発明においては、ビームエキスパン
ダ5が走査部ケース20の内部に取り付けてある。ビーム
エキスパンダ5によるビーム径の拡大は、例えば、金属
等の硬質材の表面に微細なパターンをマーキングする用
途において、集光レンズ8による集光を容易とし、照射
面上でのスポット径を小さくしてエネルギ密度を高める
ために必要なものであり、用途によってはビームエキス
パンダ5が不要となる場合がある。本発明においては、
ビームの絞りが必要な用途と不要な用途との間での使い
分けが、共通のレーザ発振器1に対する走査部2の組み
替えによって実現され、使い勝手が向上する。
【0053】図4に明示されているように、ビームエキ
スパンダ5に対向する折り曲げミラー6の裏側には光検
出器9aが、また他方の折り曲げミラー6の裏側にはレー
ザ素子9bが夫々配設されている。光検出器9aは、折り曲
げミラー6,6を保持するミラーホルダ7の背面に、ビ
ームエキスパンダ5を経て折り曲げミラー6に達するレ
ーザビームの光路に略正対するように取り付けてある。
【0054】この取り付けにより光検出器9aには、ビー
ムエキスパンダ5から送出されるレーザビームの一部
が、折り曲げミラー6を透過して到達することになり、
該光検出器9aは、透過光の光強度に応じた出力を発す
る。この出力は、前記レーザビームの光強度、即ち、レ
ーザ発振器1から出力されるレーザビームの光強度に対
応する。従って、前記光検出器9aの検出結果は、前記レ
ーザビームの発生源となるレーザ発振器1の動作状態の
良否判定に利用することができる。
【0055】折り曲げミラー6は、レーザビームを走査
するためのガルバノミラー3,4の前述した配置を実現
するために必要な光学部材であり、この折り曲げミラー
6の透過光を検出する前記光検出器9aの配置により、分
岐のための専用の光学部品を用いることなくレーザ発振
器1の動作状態の判定が行える。
【0056】またレーザ素子9bは、ミラーホルダ7の固
定面となる操作部ケース20の端壁の内面に、他方の折り
曲げミラー6の裏側を臨むように取り付けてあり、該折
り曲げミラー6からガルバノミラー3に向かうレーザビ
ームの光路に沿って半導体レーザを発するようになして
ある。
【0057】以上の如く配されたレーザ素子9bが発する
半導体レーザは、折り曲げミラー6を透過してこれの表
側に出射され、これ以降は、マーキング用のレーザビー
ムと同様に、ガルバノミラー3及びガルバノミラー4の
動作により走査され、集光レンズ8を経て対象物に照射
される。半導体レーザのエネルギは低く、照射面上には
光スポットが形成されるのみであり、ガルバノミラー
3,4を動作させつつ前記光スポットの動きを観察する
ことにより、ガルバノミラー3,4の動作状態、即ち、
走査部2の動作状態の良否を判定することができる。
【0058】レーザ素子9bが発する半導体レーザは、ガ
ルバノミラー3,4により走査される前に、折り曲げミ
ラー6の透過損失を受けるのみであり、低出力の半導体
レーザにより照射面上に鮮明な光スポットが生じるか
ら、この光スポットの観察により、走査部2の動作状態
の判定が確実に行える。
【0059】このように本発明においては、レーザ発振
器1の動作状態の判定に用いる光検出器9a、及び走査部
2の動作状態の判定に用いるレーザ素子9bが、走査部ケ
ース20の内部に光路の折り曲げのために配された折り曲
げミラー6,6を利用して合理的に配置でき、前記動作
状態の良否を精度良く判定することができる。
【0060】図6は、走査部2の他の実施の形態を示す
正面図、図7は、同じく平面図である。この実施の形態
において、発振器ケース10と別体に構成された走査部ケ
ース20の内部にビームエキスパンダ5が、発振器ケース
10に連通する導光孔21に面して取り付けてあり、該ビー
ムエキスパンダ5から送出されるレーザビームの光路上
に、該光路に対し斜め上向きの鏡面を有する単一の折り
曲げミラー6が配してある。
【0061】ガルバノミラー3は、前記ビームエキスパ
ンダ5の上方に、これと重なる態様に並設された駆動モ
ータ30のモータ軸31の先端に、前記折り曲げミラー6に
より反射されたレーザビームの光路にその鏡面を対向さ
せて取り付けてある。また他方のガルバノミラー4の駆
動モータ40は、走査部ケース20の底板に対し略垂直をな
して固定され、該駆動モータ40から上向きに突出するモ
ータ軸41の先端に、前記ガルバノミラー3と対向すると
共に、走査部ケース20の先端壁に対向する鏡面を有して
ガルバノミラー4が取り付けてある。前記先端壁には、
ガルバノミラー4との対向部位に装着孔80が貫通形成さ
れており、該装着孔80には、内側への突出端をガルバノ
ミラー4に臨ませて集光レンズ8が取り付けてある。
【0062】而して、レーザ発振器1から出力されるレ
ーザビームは、ビームエキスパンダ5を通過した後、前
記折り曲げミラー6により直角をなして反射され、上向
きに進行してガルバノミラー3に達し、このガルバノミ
ラー3により直角をなして反射されて他方のガルバノミ
ラー4に向かい、このガルバノミラー4により再度略直
角に反射され、前記集光レンズ8を経て、走査部ケース
20の先端壁から外部に送出される。
【0063】この実施例においても、ガルバノミラー3
の駆動モータ30が、ビームエキスパンダ5の一側(上
側)に並設されていることから、ガルバノミラー3及び
ガルバノミラー4が、ビームエキスパンダ5の長さを大
きく超えない範囲に配設でき、走査部ケース20をコンパ
クトに構成することができる。
【0064】なお、この実施の形態においても、走査部
ケース20は、レーザビームの光軸を中心とする回動自在
に発振器ケース10に取り付けてあるが、この取り付け構
造は図3〜図5に示す実施の形態と同様であり、対応す
る部分に同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0065】
【発明の効果】以上詳述した如く本発明に係るレーザマ
ーキング装置においては、レーザビームのビーム径を拡
大するためのビームエキスパンダを走査部に含め、光学
部材による光路の折り曲げにより、一方のガルバノミラ
ーの駆動モータをビームエキスパンダの一側に並べて配
したから、ビームエキスパンダの長さ範囲を利用した効
率的な配置が実現され、走査部をコンパクトに構成で
き、小型化及び軽量化が実現される。
【0066】また、走査用のガルバノミラーをビームエ
キスパンダを含めて収納する走査部ケースを、構成部品
の位置決めのために高い剛性が要求される発振器ケース
と別体としたから、発振器ケースの短縮による軽量化が
図れる。
【0067】また、走査部ケースをレーザビームの光軸
を中心とする回動自在に発振器ケースに取り付けたか
ら、走査部ケース内のガルバノミラーにより走査された
レーザビームの出射方向を、レーザ発振器から出力され
るレーザビームの光軸と直交する面内において適宜に変
更でき、適用設備の相違に応じた出射方向の変更に構成
部品の組み替えを強いることなく対応することができ、
適用範囲の拡大に有用である。
【0068】更に、走査部ケース内に配した折り曲げ用
の反射鏡を利用し、レーザ発振器の動作判定に用いる光
検出器と、走査部の動作判定に用いるレーザ素子とを配
したから、夫々の判定が高精度に行なえるようになる
等、本発明は優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るレーザマーキング装置の全体構成
を示す正面図である。
【図2】本発明に係るレーザマーキング装置の全体構成
を示す平面図である。
【図3】走査部の内部構成を拡大して示す正面図であ
る。
【図4】走査部の内部構成を拡大して示す平面図であ
る。
【図5】図3のV−V線による側断面図である。
【図6】走査部の他の実施の形態を示す正面図である。
【図7】図6に示す走査部の平面図である。
【図8】走査部の動作説明図である。
【符号の説明】
1 レーザ発振器 2 走査部 3 ガルバノミラー 4 ガルバノミラー 5 ビームエキスパンダ 6 折り曲げミラー 7 ミラーホルダ 8 集光レンズ 10 発振器ケース 11 レーザチャンバ 12 出力ミラー 13 全反射ミラー 14 Qスイッチ 15 アパーチャ 20 走査部ケース 22 連結筒 30 駆動モータ 31 モータ軸 40 駆動モータ 41 モータ軸

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一対のガルバノミラーを各別のモータ軸
    を直交させて配し、レーザ発振器から出力されるレーザ
    ビームを両ガルバノミラーの鏡面に順次反射させ、前記
    モータ軸の回動に伴う両ガルバノミラーの回動により、
    互いに直交する2方向に走査しつつ対象物品に照射する
    走査部を備えるレーザマーキング装置において、前記走
    査部は、前記レーザビームのビーム径を拡げるビームエ
    キスパンダと、該ビームエキスパンダからの出射ビーム
    を反射して前記ガルバノミラーの鏡面に導く光学部材と
    を含み、前記ガルバノミラーの一方は、その駆動モータ
    のモータ軸を前記レーザビームの光軸と略平行として、
    前記ビームエキスパンダの一側に並設してあることを特
    徴とするレーザマーキング装置。
  2. 【請求項2】 前記一対のガルバノミラー及び夫々の駆
    動モータ、前記ビームエキスパンダ、並びに前記光学部
    材を収納する走査部ケースを、前記レーザ発振器を収納
    する発振器ケースと別体に備える請求項1記載のレーザ
    マーキング装置。
  3. 【請求項3】 前記走査部ケースは、前記発振器ケース
    の一側に、前記レーザビームの光軸を中心とする回動自
    在に取り付けてある請求項2記載のレーザマーキング装
    置。
  4. 【請求項4】 前記光学部材は、前記レーザビームの一
    部を透過し得る反射率を有する反射鏡であり、該反射鏡
    の裏側に、透過光を検出する光検出器を備える請求項1
    乃至請求項3のいずれかに記載のレーザマーキング装
    置。
  5. 【請求項5】 前記光学部材は、前記レーザビームの一
    部を透過し得る反射率を有する反射鏡であり、該反射鏡
    の裏側に、反射後の光路に沿って半導体レーザを発する
    レーザ素子を備える請求項1乃至請求項3のいずれかに
    記載のレーザマーキング装置。
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