JPH10117728A - カルシウム吸収促進剤 - Google Patents

カルシウム吸収促進剤

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JPH10117728A JP8301332A JP30133296A JPH10117728A JP H10117728 A JPH10117728 A JP H10117728A JP 8301332 A JP8301332 A JP 8301332A JP 30133296 A JP30133296 A JP 30133296A JP H10117728 A JPH10117728 A JP H10117728A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 新規なカルシウム吸収促進剤及びこのような
効果を有する飲食品の提供。 【解決手段】 κ−カゼイングリコマクロペプチド(G
MP)又はその酵素分解物を有効成分とするカルシウム
吸収促進剤。GMP又はその酵素分解物を含有するカル
シウム吸収促進作用を有する飲食品。腸管内からのカル
シウムの吸収を促進し、骨強化に有効である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規なカルシウム
吸収促進剤及びカルシウム吸収促進作用を有する飲食品
に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、高齢化に伴い骨粗鬆症、骨折、腰
痛などの各種骨疾患患者が増加している。これらの疾患
は、カルシウムの摂取不足、カルシウム吸収能力の低
下、閉経後のホルモンのアンバランスなどが原因となり
体内での骨形成と骨吸収のバランスが保たれないことに
起因している。高齢化に伴う骨粗鬆症や骨折などの各種
骨疾患を予防するためには、骨量をできるだけ増加させ
て最大骨量(個人の一生の中で到達する骨量の最大値)
を高めて骨強化を図ることが有効であるとされている。
このような現状の中で、炭酸カルシウム、リン酸カルシ
ウム、乳酸カルシウム等のカルシウム塩や乳清カルシウ
ム、牛骨粉、卵殻等の天然カルシウム剤を飲食品に添加
して骨強化を図る試みもなされている。しかしながら、
カルシウムは体内において腸管内で吸収されるが、前述
のカルシウム塩やカルシウム剤の腸管内の吸収率は50%
以下であり、半分以上が吸収されずに体外に排出されて
しまうという報告もある(上西ら、第50回、日本栄養・
食糧学会大会要旨集、P226(1996))。
【0003】従って、骨強化を目的としてカルシウムを
摂取する場合、カルシウムの摂取量を増加させることの
みならず、腸管内でのカルシウム吸収率を高めることが
必要となる。腸管内でカルシウムの吸収性を高めること
ができる素材としては、カゼインホスホペプチド(以
下、CPPと略す)が知られている。CPPは、カゼイ
ンにトリプシンを作用させ、加水分解した分解物中に得
られるホスホペプチドで、親水性の高いアミノ酸やホス
ホセリンを多く含んでいるため、カルシウムと結合して
可溶性複合体を形成する。このため、水溶液中でカルシ
ウムが沈殿するのを抑制し、カルシウムを可溶化し、カ
ルシウムの吸収率を高めると考えられている。実際CP
Pが腸管内においてもカルシウムを可溶化し、吸収性を
高める作用があるという報告もされている(内藤、日本
栄養食糧学会誌, 39, 433 (1986))。このようなCPP
のカルシウム吸収促進作用を利用して、CPPを飲食品
に配合させることも行われているが、CPPは、カゼイ
ンの酵素分解物であるため、原料であるカゼインを酵素
反応させる必要があり、また酵素分解の際に副生するペ
プチドが苦味を呈するため、飲食品へ混合する場合には
この苦味ペプチドを十分に分離する必要があるなど幾つ
かの問題点を有している。ポリグルタミン酸も腸管内で
カルシウムの吸収率を高める作用(K. Yamamoto,et a
l., Biosci.Biotech. Biochem., 58, 1662-1665 (199
4))が知られているが、これは合成品であり食品添加物
として認可されていないので通常飲食品に添加すること
はできない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述の状況
に鑑み、カルシウムの吸収性を促進する物質について鋭
意研究した結果、チーズ製造時に副生するホエー蛋白質
含有溶液を原料として得られるκ−カゼイングリコマク
ロペプチドあるいはその酵素分解物が腸管内でカルシウ
ムの吸収を促進する効果のあることを確認し、本発明を
完成するに至った。従って、本発明は、新規なカルシウ
ム吸収促進剤あるいはこのような作用を有する飲食品を
提供することを課題とする。さらに具体的には、本発明
は、κ−カゼイングリコマクロペプチド及び/又はκ−
カゼイングリコマクロペプチドの酵素分解物を有効成分
とするカルシウム吸収促進剤、及びそれらの化合物を配
合したカルシウム吸収促進作用を有する飲食品を提供す
ることを課題とする。
【0005】
【発明を解決するための手段】本発明のカルシウム吸収
促進剤の有効成分として用いるκ−カゼイングリコマク
ロペプチドは、チーズ製造の副産物であるホエー中に遊
離してくることは従来から知られている。また、κ−カ
ゼイングリコマクロペプチドは従来、肥満防止用食品素
材として利用されたり、大腸菌の腸管細胞への付着阻止
やインフルエンザウィルスの感染を防止する効果や抗歯
石効果のあることも確認されている。しかしながら、κ
−カゼイングリコマクロペプチドが腸管内でカルシウム
の吸収を促進させる効果に関しては未だ知られておら
ず、本発明は、κ−カゼイングリコマクロペプチドのこ
のような新規な用途を見出したものである。また、κ−
カゼイングリコマクロペプチドを酵素分解したところ同
様の効果があることを見出し、同様の用途に供すること
を見出したものである。すなわち、本発明は、κ−カゼ
イングリコマクロペプチド又はその酵素分解物を有効成
分とするカルシウム吸収促進剤に関する。また本発明
は、κ−カゼイングリコマクロペプチド又はその酵素分
解物を含有せしめたカルシウム吸収促進作用を有する飲
食品に関する。本発明においては、κ−カゼイングリコ
マクロペプチドとその酵素分解物とはそれぞれ単独で用
いてもあるいは両者を併用してもよい。本発明では、特
にκ−カゼイングリコマクロペプチド及び/又はκ−カ
ゼイングリコマクロペプチドの酵素分解物をカルシウム
比(これらの化合物/飲食品中のカルシウム(重量/重
量))が 0.1以上となるように飲食品中に配合するとカ
ルシウム吸収をさらに促進することができる。
【0006】κ−カゼイングリコマクロペプチド(以
下、GMPと略す)は糖ペプチドの一種で、牛乳蛋白質
の80〜85%を占めるカゼインのうちで唯一の糖蛋白質で
あるκ−カゼインの糖鎖を含むC末端ペプチドであり、
κ−カゼインの106-169 残基に相当し、分子量は約7000
である。また、GMPはグルタミン酸残基を多くもつ
他、糖鎖中にシアル酸残基を持つなどカルボキシル基に
富んでいる。このため、GMPとカルシウムが共存する
と、分子中のGMPに隣接するカルボキシル基同士でカ
ルシウムをキレート結合し、カルシウムが不溶性の塩を
形成して沈殿するのを防止し、カルシウムを可溶化させ
る。従って、GMPを経口摂取すると、前記したGMP
のカルシウム可溶化作用が腸管内で起こり、腸管内にお
けるカルシウムの吸収が促進される。一般に、ガストリ
ン、セクレチン、コレシストキニンなど消化管に受容体
を持つ生理活性ペプチドの場合、経口摂取すると受容体
に到達する前に消化酵素により分解されるため機能を失
うことが問題となるが、GMPのカルシウム可溶化力は
GMP分子中に数多く存在するカルボキシル基に依存す
るため消化酵素によって機能を喪失することはない。ま
た、GMPの酵素分解物についても同様に消化酵素によ
る影響は受けない。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明においてGMPは公知の方
法で分離したものを使用することができる。例えば、レ
ンネットカゼインカードを調製する際に得られる排液
(ホエー)を原料として用い該排液のpHを酸性領域に
調整し、生成する沈殿を除去し、次いで得られる上澄み
を脱塩処理する(特開昭63−284199号公報)ことによ
り、またチーズホエー、ホエー蛋白質濃縮物、除蛋白質
チーズホエー等を、まずpH4未満に調整した後、分画
分子量10000 〜50000 の膜を用い、限外濾過処理をして
透過液を得、好ましくは再度、該透過液をpH4以上に
調整した後、分画分子量50000 以下の膜を用いて脱塩し
濃縮する(特開平2−276542号公報)ことにより、また
ホエー蛋白質含有溶液を原料として加熱、凍結及び解凍
の操作を行う(特開平3−294299号公報)ことにより、
またGMPを含有する乳質原料物質を脱塩し、電気伝導
度4mS/cm 以下のものを得て、これのpHを4未満に調
整し、分画分子量 10000〜50000 の膜を用いて濃縮する
(特開平6−1800号公報)ことによりGMPを分離する
ことができる。上記方法により分離されるGMPは、い
ずれも80%以上の高純度のものとなる。しかも無味無臭
であり、溶解性が良好で、耐熱性も具えている。
【0008】本発明では、このようにして得られたGM
Pを糖衣錠やタブレットもしくはカプセルなど経口カル
シウム吸収促進剤として用いることができる。またこれ
らを各種飲食品例えば、清涼飲料水、果汁飲料、発酵飲
料等の飲料、ゼリー、アイスクリーム、クッキー、キャ
ンディー等の菓子、パン、その他の飲食品にも配合して
これらの飲食品にカルシウム吸収促進作用を付与するこ
とができる。また、GMPをカルシウムを含有する食
品、例えば、牛乳、ヨーグルト、チーズ等の乳製品に配
合するか、カルシウムを含有しない食品の場合には、G
MPと共にカルシウムを配合することで、カルシウムの
吸収促進効果を一層促進することができる。いずれの場
合も配合比率はGMP/カルシウム(重量/重量)で
0.1以上とすることが好ましい。GMP/カルシウム
(重量/重量)の比率が 0.1以下では全カルシウムに対
するGMP分子中のカルボキシル基の量が不足するため
に、GMPがカルシウムを完全に可溶化できない可能性
があるため好ましくない。GMP/カルシウム(重量/
重量)の比率を0.1 以上にすることでGMPによるカル
シウムの可溶化率が良好になる (試験例1及び試験例
2)。本発明において、GMPのカルシウムの可溶化率
はGMPによるリン酸カルシウム形成阻止効果を調べる
ことにより確認することができる。さらに、GMP/カ
ルシウム(重量/重量)の比率を0.1 以上にすることに
よりカルシウムの吸収が、統計的にも有意に促進される
(試験例3)。
【0009】また、GMPの酵素分解物は、前記公報に
記載された方法により分離されたGMPを酵素により加
水分解したものである。ここで使用可能な酵素は、蛋白
質分解酵素としてペプシン、トリプシン、キモトリプシ
ン、パパイン等、糖鎖を分解する酵素としてグルコシダ
ーゼ、ガラクトシダーゼ、シアリダーゼ等を挙げること
ができる。また、酵素処理方法や、酵素/基質について
は特に限定はない。例えば、GMPにペプシンあるいは
シアリダーゼを加え、これらの酵素の作用温度で10分〜
2時間反応させてGMPを酵素分解し、分子量7000〜20
0 程度の低分子ペプチドとしたものが用いられる。この
GMPの酵素分解物に関してもGMP同様に経口カルシ
ウム吸収促進剤として、あるいはカルシウムを含有する
飲食品又はカルシウムを含有しない飲食品にはカルシウ
ムを共に配合し、GMPの酵素分解物/カルシウム(重
量/重量)の比率を0.1 以上とすることで、腸管内での
カルシウム吸収を促進させることができる。また、GM
PとGMPの酵素分解物の両者を同時に配合することも
できる。なお、GMP及びGMPの酵素分解物は乳由来
の物質であるため、経口的に摂取する場合には人体に及
ぼす悪影響は何らみられず、その摂取量については特に
制限はないが、腸管内でのカルシウム吸収促進効果を発
揮するには、11mg/kg/日以上が適当であり、望ましく
は18〜25mg/kg/日である。
【0010】
【実施例】以下に実施例及び試験例を示し、本発明をさ
らに詳細に説明する。
【実施例1】 GMPの調製 ホエー蛋白質濃縮物(サンラクトN−2、太陽化学製)
1kgを50℃の水50L に溶解し、濃塩酸により、pH3.5 に
調整した。これを、分画分子量20,000の限外濾過膜(G
R61PP、DDS製)用い、50℃、圧力0.4 MPa、
平均透過液流束52.4L/m2・h にて限外濾過を行った。透
過液量が40L に達した時点で濃縮液に50℃の水40L を加
え、連続して限外濾過を行った。以上の様にして連続運
転を行い、透過液を160L得た。得られた透過液に25%苛
性ソーダを加え、pH7.0 とし、再度同じ条件、同じ限外
濾過膜で濃縮液が5Lになるまで限外濾過を行い、脱塩濃
縮した。続いて50℃の水を加え、濃縮液量を常に10L に
保ちながら、これまでと同じ条件、同じ限外濾過膜でダ
イアフィルトレーションを行い、さらに脱塩した。この
ダイアフィルトレーションにより透過液量が80L に達し
た時点で、濃縮液に水を加えるのをやめ、濃縮液量が2L
になるまで限外濾過にて濃縮し、この濃縮液を乾燥し、
GMP54g を得た。このものをウレア−SDS電気泳動
法により分析した結果、純度は82%であった。(ウレア
−SDS電気泳動法では、まずサンプルを電気泳動し、
これをクマシーブルー染色し、得られた染色ゲルをデン
シトメータ(GELMANACD−12)にかけ、そのピ
ーク面積からサンプル中のGMP純度を決定した。)
【0011】
【実施例2】 GMPの酵素分解物の調製 (1)GMPのペプシン分解物の調製 実施例1で得られたGMPを用い、0.1 %GMP溶液 1
00μl を調製した。これを0.1N HClでpH2に調整し、ブ
タ由来ペプシン(シグマ製)1mgを加えた(酵素/基質
比=1/100 )。この溶液を37℃で30分間インキュベー
トした後、100℃、5分間加熱して酵素反応を停止させ
た。反応液をマイクロフィルター(ポアサイズ0.45μm
)に通して、沈殿物を除去し、この透過液を凍結乾燥
してGMPのペプシン分解物を得た。
【0012】(2)GMPのシアリダーゼ分解物の調製 実施例1で得られたGMP 100mgを0.1M酢酸緩衝液(pH
5.0) 100mlに溶解し、シアリダーゼ(シグマ製) 5mg を
加えた(酵素/基質比=1/20)。この溶液を30℃で30分
間インキュベートした後、100 ℃、5分間加熱して酵素
反応を停止させた。反応液をマイクロフィルター(ポア
サイズ 0.45μm)に通して、沈殿物を除き、この透析内
液を透析膜(スペクトラポア、分画分子量3500、スペク
トラム製)を用いて4℃以下で3日間透析し脱塩した。
透析内液を凍結乾燥してGMPのシアリダーゼ分解物を
得た。
【0013】
【試験例1】 リン酸カルシウム形成阻止効果 本試験においては、GMP及びGMPの酵素分解物によ
るリン酸カルシウム形成阻止効果を確認し、これをカル
シウム可溶化率の指標とした。5mM 塩化カルシウム溶液
100ml に表1に示す濃度で実施例1及び2で得られた試
料を溶解し、この溶液と20mMリン酸緩衝液(pH7.0)を等
量混合した。また、比較のため5mM 塩化カルシウム溶液
100mlと20mMリン酸緩衝液(pH7.0)を等量混合したもの
をコントロールとして用いた。溶液の最終濃度はカルシ
ウム2.5mM (100μg/ml)、リン酸10mMとなった。これら
の溶液を37℃で2時間放置後、104Gで10分間遠心分離
し、上清と沈殿を分離し、上清中のカルシウム濃度をI
CP発光分析装置(ST-3000、Leeman Labs 製)で分析
し、以下に示す式でカルシウム可溶化率を算出した。カ
ルシウム可溶化率 (%) =(上清中のカルシウム濃度
(μg/ml))/100×100結果を表1に示した。GMP及びそ
の酵素分解物は、いずれもカルシウムとの比率が 0.1以
上の場合、溶液中の全カルシウムを可溶化することがで
きた。
【0014】
【表1】
【0015】
【試験例2】 in vitro 消化におけるリン酸カルシウ
ム形成阻止効果 本試験においては、in vitro消化におけるGMPによる
リン酸カルシウム形成阻止効果を確認し、これをカルシ
ウム可溶化率の指標とした。水50mlに目的量の実施例1
で得られたGMPとリン酸カルシウム200mg を溶解し、
この溶液にNaCl20 %を含む0.96N HCl 5ml を加え、さ
らにNaOHでpHを 1.7とし、胃の中の状態を模擬的に作り
出した。この溶液にブタ由来ペプシン(2345 U/mg 、シ
グマ製)8mg/ml を1ml加え、37℃で目的時間反応させ
た。その後、NaOHで溶液のpHを8に調整し、十二指腸の
状態とした。ブタ由来のパンクレアチン(36 U/mg 、和
光純薬製) 660mg/mlを1ml加え、37℃で目的時間反応さ
せた。反応終了後、反応溶液をそのまま104Gで20分間遠
心分離し、上清と沈殿を分離し、上清中のカルシウム濃
度をICP発光分析装置(ST−3000、Leeman Labs 製)
で分析し、試験例1と同様にしてカルシウム可溶化率
(%)を算出した。また、比較のためGMPを加えない
試料を調製し、これをコントロールとして同様に試験を
行いカルシウム可溶化率を算出した。結果を表2に示
す。これによるとペプシンおよびパンクレアチンによる
消化時間にかかわらず、GMP/カルシウム(重量/重
量)比が 0.1以上の場合、GMPはカルシウムを全量可
溶化することができた。
【0016】
【表2】
【0017】
【試験例3】 in vivoにおけるGMPのカルシウム吸収
促進作用 カルシウム吸収性試験は、体重約 300gの 8週齢雄Spra
gue-Dawley系のラットを1群6匹とし、表3に示すGM
Pを配合した飼料及び水を自由摂取させ、12時間毎の明
暗サイクルで飼育した。飼育開始から10日後に各ラット
を代謝ゲージに入れ、72時間の飼料摂取量と糞排泄量を
求め、糞中に排泄されたカルシウム量をICP発光分析
装置(ST−3000、Leeman Labs 製)で定量した。見かけ
のカルシウム吸収率は、以下の式で求め、コントロール
群に対する各群のカルシウム吸収性をTurkey-Kramer 法
により多重比較した。 見かけのカルシウム吸収率(%)=[(摂取した飼料中
のカルシウム量)−(糞中に排泄されたカルシウム
量)]/[(摂取した飼料中のカルシウム量)]×100 図1に結果を示す。GMP/カルシウム比が 0.1以上の
場合、in vivo でもGMPによるカルシウム吸収促進効
果が認められた。
【0018】
【表3】
【0019】
【実施例3】実施例1により得られたGMPを配合した
飲用牛乳を製造した。生乳100ml あたり20mgのGMP粉
末を添加し、120kg/cm2 でホモゲナイズした後、 120℃
で4秒間殺菌した。その後常法に従って冷却、充填を行
った。得られた飲用牛乳は、GMPを含んでいても風味
は通常の飲用牛乳と全く同様であった。また、飲用牛乳
中のカルシウム含量は、130mg/100ml なのでGMP/カ
ルシウム比は0.15であった。
【0020】
【実施例4】実施例2で得られたGMPのペプシン分解
物を配合したヨーグルトを製造した。脱脂乳を固形率が
12%となるように水に溶解し、100ml あたり実施例2で
得られたGMP粉末600mg を添加し、L. acidophilus
S. thermophilusを接種した。乳酸酸度が 1.0%、pH
が 4.3になった時点で5℃に冷却した。この様にして得
られたスターターカルチャーを殺菌した脂肪分 3.5%の
生乳に5%接種した。スターターを接種後、発酵、フレー
バリング、冷却を常法どおり行った。得られたヨーグル
トはGMPを含有していても、風味、物性、食感には全
く影響を及ぼさなかった。ヨーグルトのカルシウム含量
は130mg/100gであり、GMP/カルシウム比は0.23であ
った。
【0021】
【実施例5】実施例2で得られたGMPのシアリダーゼ
分解物を配合したプロセスチーズを調製した。原料チー
ズとして、ゴーダチーズとチェダーチーズを1:1の割
合で混合し、これに溶融塩としてクエン酸ナトリウムを
原料チーズに対して2%、水を10%、実施例2で得られ
たGMPのシアリダーゼ分解物を 0.1%配合し、乳化温
度85℃で常法に従って乳化した。乳化後、チーズをカル
トンに充填し、2昼夜5℃で冷却した。得られたプロセ
スチーズのカルシウム含量は、630mg/100gでGMP/カ
ルシウム比は、0.16であった。また、得られたプロセス
チーズは、GMPを含有していても風味、物性、食感は
通常のチーズと同様であった。
【0022】
【発明の効果】本発明のGMP及び/又はGMPの酵素
分解物を有効成分とするカルシウム吸収促進剤及びこれ
らの化合物を含有する飲食品は、腸管内におけるカルシ
ウムの吸収を促進し、骨強化に有効である。さらにGM
P及び/又はGMPの酵素分解物をカルシウムと共に摂
取することにより、腸管内でのカルシウム吸収率を高
め、骨強化が可能となるため、高齢者に多い骨粗鬆症の
予防及び治療や成長期の学童にも有効である。また、G
MPは、牛乳由来の物質であるため、副作用の心配が無
い。また、溶解性も良好で、無味無臭であるため、どの
ような飲食品にも適用できる。さらに、GMPはチーズ
製造時の副産物であるチーズホエーから得られるため安
価に入手することができるので比較的安価に提供するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】試験例3のGMPのカルシウム吸収促進効果を
示す。*はp<0.05で有意であることを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI A61K 38/00 ADF A23C 19/082 ADT A61K 37/16 ABJ // A23C 9/13 37/18 ADD 9/152 ADF 19/082 ADT

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】κ−カゼイングリコマクロペプチド及び/
    又はκ−カゼイングリコマクロペプチドの酵素分解物を
    有効成分とするカルシウム吸収促進剤。
  2. 【請求項2】κ−カゼイングリコマクロペプチド及び/
    又はκ−カゼイングリコマクロペプチドの酵素分解物を
    含有せしめたことを特徴とするカルシウム吸収促進作用
    を有する飲食品。
  3. 【請求項3】κ−カゼイングリコマクロペプチド及び/
    又はκ−カゼイングリコマクロペプチドの酵素分解物を
    カルシウム比(前記化合物/飲食品中のカルシウム(重
    量/重量))が 0.1以上となるように配合することを特
    徴とする請求項2記載のカルシウム吸収促進作用を有す
    る飲食品。
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