JPH10116715A - 磁気素子とその製造方法並びにその製造装置 - Google Patents

磁気素子とその製造方法並びにその製造装置

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JPH10116715A
JPH10116715A JP27207196A JP27207196A JPH10116715A JP H10116715 A JPH10116715 A JP H10116715A JP 27207196 A JP27207196 A JP 27207196A JP 27207196 A JP27207196 A JP 27207196A JP H10116715 A JPH10116715 A JP H10116715A
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magnetic element
magnetic
thin film
mask material
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JP27207196A
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Shinji Furukawa
伸治 古川
Nobuyoshi Yano
暢芳 矢野
B Humphrey Freud
ビー.ハンフリー フロイド
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Unitika Ltd
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    • H01F41/00Apparatus or processes specially adapted for manufacturing or assembling magnets, inductances or transformers; Apparatus or processes specially adapted for manufacturing materials characterised by their magnetic properties
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    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01FMAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 小型であっても良好な磁気特性を示す磁気素
子及びその磁気素子を容易に製造することができる製造
方法並びにその製造装置を提供する。 【解決手段】 基板上に形成された軟磁性薄膜からなる
磁気素子1であって、磁気素子1の中央部3の膜厚に比
べて膜厚の薄い部分2を有し、磁気ヒステリシスにおい
て急激な磁化反転を示す磁気特性を有してなることを特
徴とする磁気素子1。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、外部の磁界の変化
に対して磁化が急激に変化することを利用する磁気素子
とその製造方法並びにその製造装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】磁性体の磁化挙動を利用した装置は従来
より広く用いられているが、近年、特に、磁界強度があ
る臨界値を超えると急激に磁化反転して不連続な応答を
する磁性体が注目されている。このような磁性体の近傍
にピックアップコイルを設置すると、磁性体の不連続な
磁化反転に誘導されてコイルに急峻なパルス電圧が発生
し、この信号により地磁気などの磁界測定、回転数測
定、流量測定など種々の磁気素子として広く応用でき
る。また、近年、商品の盗難を防止したり、物流を迅速
に処理するための電子物品監視装置や識別装置が普及し
ているが、この識別マーカーとして、発信回路、LC共
振回路、磁歪振動材料、高透磁率材料と並んで、上記の
ような不連続な磁化反転をする磁性体が用いられてい
る。例えば、特公平3−27958号公報には、Fe基
の非晶質金属細線からなるマーカー及びシステムが記載
されている。
【0003】上記の金属細線材料では、長手方向の磁化
が極めて安定なため容易には磁化反転せず、外部磁界が
ある大きさに達した瞬間に非常に急激に180°磁化反
転する。このような特性は、大バルクハウゼン反転とも
呼ばれており、上記の盗難防止システムではこの大バル
クハウゼン反転を利用している。問い合わせ信号として
監視区域で発信した交番磁界が臨界値に達すると、金属
細線は不連続的に磁化反転し、検知コイルに急峻なパル
ス電圧が発生する。この電圧の波形を周波数解析し、高
次の高調波の強度やその割合によりマーカーを識別した
り、警報の発生が必要であるかどうかを判断する。この
システムは、他の方式と比較してマーカーが安価であ
り、識別性能が高いという利点がある。
【0004】不連続な磁化応答をする磁性体としては、
上記の非晶質金属細線の他にも多くの材料が見出されて
いる。例えば、特開平1−150881号公報や特開平
6−94841号公報には、細長い非晶質金属薄帯を磁
界中で熱処理した材料が開示されている。また、特開平
4−218905号公報には、樹脂フィルムなど可撓性
のある高分子基材に形成された強い一軸磁気異方性を有
する薄膜が不連続な磁化反転を示し、金属細線と同様の
優れた角型ヒステリシス特性を持つことが開示されてい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記の特開平4−21
8905号公報に開示されている薄膜は、磁化容易方向
に沿って、例えば、幅1mm、長さ50mm、厚さ0.
5μmのような細長い形状にすると非晶質金属細線に似
た急峻で不連続な磁化応答が得られるが、これらの薄膜
の磁気特性には反磁界がきわめて強く影響し、より長さ
の短い、幅の広い、厚さの厚い形状では特性が顕著に劣
化するという問題があった。センサーや盗難防止マーカ
ーでは近年小型化が強く望まれているが、前記したよう
な材料では細長い形状でないと急峻な不連続な磁化応答
が得られず、このような要求に答えることができないも
のであった。本発明は、小型であっても良好な磁気特性
を示す磁気素子及びその磁気素子を容易に製造すること
ができる製造方法並びにその製造装置を提供することを
目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、このような課
題を解決するものであって、第1の発明の要旨は、基板
上に形成された軟磁性薄膜からなる磁気素子であって、
磁気素子の中央部の膜厚に比べて膜厚の薄い部分を有
し、磁気ヒステリシスにおいて急激な磁化反転を示す磁
気特性を有してなることを特徴とする磁気素子である。
また、第2の発明の要旨は、磁気素子を構成する軟磁性
薄膜が膜厚勾配を有してなる前記磁気素子である。さら
に、第3の発明の要旨は、基板に付着する粒子の流入を
制限するために設けられる任意の形状のマスク材を、基
板と接触させないように間隔を開けて設置し、その間隔
により膜厚の勾配をコントロールして薄膜を形成させる
ことを特徴とする前記磁気素子の製造方法である。ま
た、第4の発明の要旨は、基板を円筒状のキャンに巻き
付けた状態で薄膜を形成させて巻き取るロール・トゥ・
ロール装置により磁気素子を製造する方法において、基
板に付着する粒子の流入を制限するために設けられる任
意の形状のマスク材として、任意の形状の開口部を有す
るマスク材を用い、このマスク材を、基板に接触させな
いようにスペーサーを介してキャンに重ね巻きし、重ね
巻きされた、基板とスペーサーとマスク材とを巻き取り
ながら基板に薄膜を形成させることを特徴とする前記磁
気素子の製造方法である。
【0007】そして、第5の発明の要旨は、基板を円筒
状のキャンに巻き付けた状態で薄膜を形成させて巻き取
るロール・トゥ・ロール装置により磁気素子を製造する
方法において、基板に付着する粒子の流入を制限するた
めに設けられる任意の形状のマスク材を、キャンの下部
に基板と接触させないように間隔を開けて設置し、基板
を巻き取りながら薄膜を形成させることを特徴とする前
記磁気素子の製造方法である。また、第6の発明の要旨
は、基板を円筒状のキャンに巻き付けた状態で薄膜を形
成させて巻き取るロール・トゥ・ロール装置において、
基板と、基板に付着する粒子の流入を制限するためのマ
スク材を基板に接触させないようにするためのスペーサ
ーと、任意の形状の開口部を有するマスク材とを、キャ
ンに順に重ね巻きするための手段と、重ね巻きされた、
基板とスペーサーとマスク材とを巻き取るための手段と
を備えてなることを特徴とする前記磁気素子の製造装置
である。さらに、第7の発明の要旨は、基板を円筒状の
キャンに巻き付けた状態で薄膜を形成させて巻き取るロ
ール・トゥ・ロール装置において、基板に付着する粒子
の流入を制限するために設けられる任意の形状のマスク
材を、キャンの下部に基板と接触させないように間隔を
開けて設置してなることを特徴とする前記磁気素子の製
造装置である。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しつつ、本発明
を具体的に説明する。まず、第1及び第2の発明である
磁気素子について説明する。本発明の磁気素子は、基板
上に形成された軟磁性薄膜からなることが必要である。
また、磁気素子の中央部の膜厚に比べて膜厚が薄い部分
が存在していることが必要であり、この部分の軟磁性薄
膜が膜厚勾配を有していることが望ましい。図1は、本
発明の磁気素子の一例を示す概略図である。なお、図1
において、(a)は磁気素子の平面図であり、(b)は
磁気素子のA−A’での断面図を示している。図1にお
いて、磁気素子1は円形であり、位置Cから試料端Eに
かけての部分2では、中央部3の膜厚に比べて膜厚が薄
く、端部に近づくにつれて膜厚が次第に薄くなるように
構成されている。
【0009】図2は、本発明の磁気素子の別の例を示す
概略図である。なお、図2においても、(a)は磁気素
子の平面図であり、(b)は磁気素子のA−A’での断
面図を示している。図2において、磁気素子1は長方形
であり、位置Cから試料端Eにかけての部分2では、中
央部3の膜厚に比べて膜厚が薄く、長辺の端部に近づく
につれて膜厚が次第に薄くなるように構成されている。
図3は、本発明のさらに別の例を示す概略図である。な
お、図3においても、(a)は磁気素子の平面図であ
り、(b)は磁気素子のA−A’での断面図を示してい
る。図3において、磁気素子1は長方形であり、位置C
から位置Dにかけての部分2では中央部3の膜厚に比べ
て膜厚が薄く、位置Dから試料端Eの間は中央部と同じ
膜厚になるように構成されている。
【0010】このように、中央部の膜厚に比べて薄い部
分を作ることにより、磁気素子の磁化方向が臨界磁界で
瞬間的に反転し、急峻な磁気パルスを周囲に放射する。
なお、本発明の磁気素子においては、磁気素子の中央部
の膜厚に比べて膜厚が薄い部分においても、軟磁性薄膜
が存在していることが望まれる。例えば、図3の磁気素
子のように、膜厚をコントロールした薄い部分が端部で
はなく少し中央寄りの場合に、この薄い部分の膜厚が0
となると薄膜が途中で分断されてしまうため、本発明の
目的を達成することができない。ただし、図1又は図2
の磁気素子のように、膜厚をコントロールした薄い部分
が端部であり、膜厚が端部に向かって次第に薄くなって
最端部の膜厚が0となった磁気素子では、急峻な磁気パ
ルスが得られ、本発明の目的を十分達成することができ
る。
【0011】本発明の磁気素子の膜厚としては、例え
ば、図1又は図2に示すような、端部で膜厚をコントロ
ールした磁気素子の場合には、おおよそ長さ1〜20m
m、より好ましくは2〜10mmの範囲で次第に膜厚が
減少し、磁気素子の最端部で薄膜の厚さがほぼ0になる
ことが好ましい。そして、その膜厚の勾配がなだらかで
あることが望ましい。また、図3に示すような、少し中
央寄りの位置で膜厚をコントロールした磁気素子の場合
には、おおよそ長さ0.1〜5mm、より好ましくは
0.5〜2mmの範囲で膜厚が変化し、最も膜厚が薄い
部分で、その膜厚が中央部の膜厚の10分の1から2分
の1程度になることが好ましい。
【0012】本発明の磁気素子の構成は、薄膜自体が有
する磁気特性と、必要とする磁気素子の特性とを考慮し
て設計することが望ましい。例えば、軟磁性薄膜は一軸
磁気異方性を有するものと等方性のものがあるが、例え
ば、等方性の薄膜を用いて磁気素子を作製する場合に
は、図1に示すような円形状を採用する方が矩形よりも
良好な素子特性が得られやすい。一方、一軸磁気異方性
薄膜を用いて磁気素子を作製する場合には、図2や図3
に示すような矩形でも良好な素子特性が得られやすい。
この場合、A−A’方向を薄膜の磁化容易方向にして、
膜厚をコントロールした薄い部分が磁化容易方向と交差
して磁気素子の全幅に達するようにすればよい。この場
合、磁化容易方向と磁気素子の長さ方向が、20゜以
下、さらには10°以下の角度をなしていることが好ま
しく、これらが平行であることが最も好ましい。磁気素
子の中央部の膜厚より薄くなるように膜厚をコントロー
ルする位置は、図2のように磁気素子の端部であっても
図3のようにそれよりも少し中央寄りであってもよい。
図3のように端部よりも中央寄りで膜厚をコントロール
すると、比較的再現性の良い素子特性が得られる傾向が
認められるが、図2のように端部で膜厚をコントロール
する方がより急峻な磁気パルスが得られる場合があり、
位置は適宜決定すればよい。
【0013】次に、本発明の磁気素子におけるメカニズ
ムについて説明する。磁壁移動により磁化反転する磁性
体において、試料端部に発生した逆磁区の磁壁が、ある
臨界磁界に達した瞬間に非常に高速で移動してジャンプ
すると、周囲には急峻な磁気パルスが放射される。一
方、磁性体では試料形状が短小広幅になるほど反磁界が
強く作用して磁化しにくくなるが、同時に逆磁区の不連
続な挙動も抑制される。そのため、最初に述べたよう
に、磁気素子を小型の形状にすることが甚だ困難であっ
た。このような反磁界の影響を回避するためには、逆磁
区の磁壁を何らかの力で拘束しておき、一定の磁界に達
した瞬間にその拘束を解き放して磁壁をジャンプさせる
ことが有効であると考えられる。この磁壁の拘束力はピ
ン止め力と呼ばれており、本発明では、膜厚を部分的に
制御することによりこのピン止め力とほぼ同等の作用を
させるものである。薄膜の保磁力には強い膜厚依存性が
あり、膜厚を薄くすると保磁力が増大する。端部の膜厚
を薄くするとその部分の保磁力は他に比べて大きなもの
となるため、この部分に存在する逆磁区の磁壁移動は制
限され、外部磁界の増加に伴ってゆっくりと移動する。
外部磁界が次第に大きくなり逆磁区の先端が膜厚コント
ロールされた部分を越えて中央部に達した瞬間、中央部
は十分に膜厚が厚く保磁力が小さいため、磁壁は高速に
移動し磁化反転を終了させる。この時に急峻な磁気パル
スが放射される。
【0014】このメカニズムは、図1〜3のいずれの形
態の磁気素子でも実現される。一方、図1や図2のよう
に磁気素子の端部で膜厚をコントロールした磁気素子で
は、磁気素子の構成によってはさらに異なるメカニズム
による磁気パルスを期待することができる。例えば、磁
気素子の端部に近づくにつれて膜厚が次第に減少する形
状の磁気素子では、磁気素子からの漏れ磁界が端部に働
き、局所的な反磁界の分布も膜厚が変化していない形状
のそれとは全く異なるものになる。これらの作用によ
り、磁気素子の最端部の磁区構造は極めて安定なものと
なり、変化しにくくなるため、外部磁界が印加される
と、磁気素子のより中央部に近いところから新たに逆磁
区が核発生する。このとき、核発生磁界が膜の保磁力よ
りも大きい場合、逆磁区が核発生した瞬間に磁壁が高速
移動し、磁気パルスを放射する。
【0015】本発明の磁気素子に用いられる軟磁性薄膜
の具体的な合金組成としては、例えば、NiFe、Fe
AlSi、FeAl、FeSiなどの結晶質材料、Fe
やCoの合金にB、C、N、Oなどを含んだ結晶粒が極
めて微細な材料、CoFeSiB、CoZrNb、Fe
Cなどの非晶質材料などがあげられる。これらの薄膜の
成膜手段としては、蒸着、メッキなど広く知られている
一般的な手段を用いることも可能であるが、本発明にお
いては、特にスパッタリング法を用いることが好まし
い。
【0016】本発明の磁気素子においては、その構成に
よっては一軸磁気異方性を有することが望ましい場合が
ある。一軸磁気異方性を付与する方法としては、磁気素
子に応力を印加する方法、一方向磁界中で熱処理する方
法、応力を印加しながら熱処理する方法などが利用でき
るが、特に、特開平4−218905号公報に記載され
ている、薄膜を構成するための粒子を基板に対して斜め
に入射させて成膜するスパッタリング方法を用いると、
成膜されたままの状態で強い一軸磁気異方性が容易に誘
導されて磁気特性の良好な軟磁性薄膜を得ることができ
る。さらに、特開平7−220971号公報には一軸磁
気異方性を付与する別の方法が開示されている。この公
報によると、熱収縮率が異方的な樹脂基板に、適切な条
件下で磁歪薄膜を形成させることにより、基板の熱収縮
の異方性に対応して一軸磁気異方性が誘導されるととも
に、同時に軟磁性をも得ることができる。本発明の磁気
素子は基板上に形成された軟磁性薄膜から構成されるも
のであるが、基板としては、ガラス、金属、樹脂など一
般的なものを用いることができ、特に限定されるもので
はないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PE
T)フィルムなどを用いると、可撓性があり大量生産に
向くことから好ましい。
【0017】本発明の磁気素子は、磁気ヒステリシスに
おいて急激な磁化反転を示す磁気特性を有するものであ
り、その不連続な磁化応答特性が形状により影響を受け
にくいという特徴がある。前記したように、これまでの
材料は反磁界の影響を顕著に受けて幅広短小になれば急
激に特性が劣化していた。しかし、本発明の磁気素子に
おいては、形状ファクターの影響は小さく、1インチ以
下でも作動し、反磁界係数の大きな形状でも不連続で急
激な磁化反転を得ることができる。このことは、今後ま
すます要求が強くなるであろうセンサーやマーカーの小
型化に対応するために極めて有効な手段を提供できるこ
とを意味している。
【0018】次に、本発明の磁気素子の製造方法につい
て説明する。本発明の磁気素子を製造するためには、ま
ず、部分的に厚みの違う薄膜を作製する。この方法とし
ては、膜厚コントロールの必要な箇所のみを剥きだして
他をカバーで覆った薄膜をプラズマや酸などでエッチン
グする方法も有効ではあるが、成膜中に一部をマスク材
で覆ってその部分の粒子の付着を制限して膜厚を薄くす
る方法が生産性等の点で有利である。そこで、本発明の
磁気素子の製造方法の特徴は、基板に付着する粒子の流
入を制限するために設けられる任意の形状のマスク材
を、基板と接触させないように間隔を開けて設置し、そ
の間隔により膜厚の勾配をコントロールして薄膜を形成
させることにある。
【0019】基板の上に、基板に付着する粒子の流入を
制限するためのマスク材を密着して設置して、薄膜のパ
ターニングを行うことは一般的に広く実施されている
が、この方法ではマスク材の下には全く膜が堆積せず、
開口部分ではすべて同じ膜厚で堆積するために、本発明
の磁気素子に必要な、部分的に膜厚の異なる薄膜を得る
ことはできない。一方、磁気素子の寸法や特性に応じた
所望の形状のマスク材を、基板と接触させないように基
板との間隔を開けて設置して薄膜を形成させると、粒子
はマスク材の陰にも回り込んで付着するために、形成さ
れる薄膜は膜厚が次第に減少し勾配を有したものとな
る。そして、中央部の膜厚に比べて膜厚の薄い部分が存
在するように、得られた薄膜付き基板を磁気素子の形状
に切断することによって、不連続で急激な磁化反転を示
す本発明の磁気素子を得ることができる。本発明におけ
る膜厚勾配のコントロールは、主に基板とマスク材との
間隔によって行われるが、どれだけの粒子が回り込んで
堆積するかは、個々の装置形状や特性、例えば動作圧力
によって決定する平均自由工程やプラズマ濃度などによ
り大きく影響されるため、その間隔を規定することはで
きないが、概ね0.1〜5mm程度の間隔が好ましい。
【0020】ガラスなどの平板状の基板を順次成膜工程
に送り込んで薄膜を形成させる場合では、基板との間隔
を開けるためのスペーサーを間に入れるなどして平板状
のマスク材を積み重ねることができるため、本発明の製
造方法を実施することは比較的容易である。一方、可撓
性に富む樹脂フィルムをロール状に巻回して成膜工程に
供給し、巻き取りながら成膜する、いわゆるロール・ト
ゥ・ロール装置を用いた場合では、円筒状のキャンに巻
いた状態で成膜されるため、マスク材の設置が容易では
ない。そのため、本発明では、このようなロール・トゥ
・ロール装置による製造において、本発明の磁気素子を
効率良く製造するための方法及び装置を提供するもので
あって、以下にその製造方法及び製造装置について詳細
に説明する。ロール・トゥ・ロール装置により連続した
基板を円筒状のキャンに巻き付けた状態で薄膜を形成さ
せて、本発明の磁気素子を製造するための第1の方法
は、基板に付着する粒子の流入を制限するために設けら
れる任意の形状のマスクとして、任意の形状の開口部を
有するマスク材を用い、このマスク材を、基板と接触さ
せないようにスペーサーを介してキャンに重ね巻きし、
重ね巻きされた、基板とスペーサーとマスク材とを巻き
取りながら基板に薄膜を形成させるというものである。
【0021】本発明に用いられるマスク材としては、例
えば、ステンレスなどの金属箔、ガラスクロス、樹脂フ
ィルムなどを用いることができる。これらのマスク材は
基板との間隔を開けるためにスペーサーを介してキャン
に巻き付けられるため、キャンによってマスク材が十分
冷却されない場合がある。そのために、スパッタリング
や蒸着などで成膜中にマスク材が加熱される恐れがある
ときには、マスク材としてガラスや金属あるいはポリイ
ミドなど耐熱性のある材料を用いることが好ましい。ま
た、本発明に用いられるスペーサーとしては、例えば、
複数本の金属線を平行に走行させたビーム状のものなど
を用いることができる。スペーサーとして、銅線などの
金属線を用いると、その線径により基板との間隔をコン
トロールでき、耐熱性にも優れているから好ましい。こ
のときの線径の好ましい範囲としては、前記したように
装置によって左右されるため一概には決まらないが、概
ね0.5〜5mm程度が好ましい。
【0022】図4は、この方法により本発明の磁気素子
を製造するための製造装置(ロール・トゥ・ロール装
置)の一例を示す概略図であり、図5は、この製造装置
における、基板とマスク材及びその間のスペーサーの位
置関係を示す成膜部分の一部拡大図である。なお、ここ
では、図1に示すような円形の磁気素子を想定してマス
ク材の開口部13の形状を円形としているが、円形に限
られるものではなく、所望の形状の開口部をマスク材1
0に設ければよい。また、薄膜が堆積する範囲は、マス
ク開口形状よりも粒子が回り込んで付着する分大きくな
ることを考慮して、マスクに設けられる開口部の形状
は、磁気素子の形状よりも幾分小さくすればよい。例え
ば、25mm径の磁気素子が必要であれば、円形の開口
部を15〜22mm程度にすればよい。
【0023】また、図5は、説明のためにマスク材に開
口部が1つだけ設けられた例が示されているが、磁気素
子を大量に生産するためには、複数の開口部を並べて同
時に一括して作製することが好ましい。この際、マスク
材に設ける開口部の間隔には十分注意を払わなければな
らない。すなわち、前記したように、マスクと基板は離
れているために開口部よりかなり外側にまで薄膜が堆積
する。開口部と開口部の間隔が狭すぎると、各素子は重
なり合ってしまう。したがって、この間隔はできるだけ
大きくすることが好ましく、一般的には、10mm以
上、できれば15mm以上離すことが望ましい。例え
ば、1m幅のフィルム基板に25mm径の磁気素子を作
製する場合には、マスク材1m当たり、縦横各方向に2
0〜30個程度の開口部を設けることができ、マスク材
1平方メートル当たり400〜900個程度の磁気素子
を同時に作製することができる。
【0024】図4及び図5に示されているように、基板
4の上にスペーサー9としての金属線材が置かれ、その
上には円形の開口部13が設けられたマスク材10が置
かれ、基板4、スペーサー9、マスク材10はキャン1
1の上に積み重ねて巻き付けられている。薄膜になる粒
子14は、円形の開口部13に入射して基板4上に堆積
するが、スペーサー9によって基板4とマスク材10は
間隔が開いているため、粒子14は円形開口部13近傍
のマスク材の下にまで回り込んで堆積する。そのため、
基板4には円形開口部13の径よりも広い範囲で薄膜が
堆積し、得られた薄膜の外周部近傍は端に近づくほど膜
厚が薄いものとなる。
【0025】そして、この方法による製造装置は、基板
とスペーサーとマスク材とをキャンに重ね巻きするため
の手段及び重ね巻きされた、基板とスペーサーとマスク
材とを巻き取るための手段を備えている。基板とスペー
サー及びマスク材のそれぞれの材料をキャンに重ね巻き
し、これらを巻き取る手段としては、予め重ねて巻き回
したものを用意して成膜装置に供給し、重ねたままキャ
ンに巻き付け、成膜されたものを巻き取るという方法も
利用できるほか、図4に示されるように、それぞれの材
料を別個に装置内に供給し、キャン11上で重ねて成膜
し、それぞれを別個に巻き取ってもよい。図4におい
て、基板4、スペーサー9、マスク材10はそれぞれ送
りロール8、ガイドロール7によりキャン11に供給さ
れて重ねられる。キャン11は矢印の方向に回転しなが
ら成膜手段12により膜が堆積した各材料を送り出し、
ガイドロール6を経由してそれぞれ巻き取りロール5に
より巻き取られる。このように、マスク材をフィルムや
箔など連続した形で供給し、基板と同じく送り出しなが
ら成膜する上記の方法は、マスク材の開口部の形状によ
り磁気素子の形状を自由に変えることができ、例えば、
円形の磁気素子を製造する場合に適した方法である。ま
た、マスク材と基板との間隔を一定にできるため、膜厚
をコントロールするうえで極めて有効な方法である。
【0026】一方、ロール・トゥ・ロール装置により、
例えば、図2や図3に示したような矩形の磁気素子を製
造する場合には、さらに簡単な製造方法及び製造装置を
用いることができる。以下、この第2の製造方法及び製
造装置について説明する。すなわち、ロール・トゥ・ロ
ール装置により基板を円筒状のキャンに巻き付けた状態
で薄膜を形成させて、本発明の磁気素子を製造するため
の第2の方法は、基板に付着する粒子の流入を制限する
ために設けられる任意の形状のマスク材を、キャンの下
部に基板と接触させないように間隔を開けて設置し、基
板を巻き取りながら薄膜を形成させるというものであ
る。
【0027】図6はこの方法の原理を簡単に説明するた
めの概略図である。例えばスパッタリングカソードなど
の成膜手段12を用いて基板4に薄膜を堆積させる際
に、マスク材10をキャンの下部、好ましくはキャンの
直下に基板4と接触させないように間隔を開けて設置す
ると、マスク材10のない部分では粒子14は基板4に
直接到達して薄膜(膜厚の厚い部分15)を形成する
が、マスク材10の直上にあたる部分では粒子14はマ
スク材10に阻まれるため薄膜は形成されない。しか
し、マスク材10端部の近傍では、粒子14がマスク材
10を回り込んで基板4にまで到達し、膜厚が次第に減
少する薄膜(膜厚の薄い部分2)が形成される。本発明
の第2の製造方法はこの効果を利用するものである。
【0028】図7はこの方法により本発明の磁気素子を
製造するための製造装置(ロール・トゥ・ロール装置)
の一例を示す概略図である。基板4はガイドロール7を
経由してキャン11に巻き付けられている状態で、成膜
手段12により薄膜が堆積される。この方法による製造
装置においては、キャン11の直下に複数(図では4
個)の直線状のマスク材10が基板4と接触させないよ
うに設置されており、マスク材10の陰にあたる部分に
は図6にも示されるような膜厚の薄い部分2が形成され
る。成膜後の基板はガイドロール6を経由して巻き取り
ロールに送られ、巻き取りロールで巻き取られた基板4
には、膜厚の厚い部分15と膜厚の薄い部分2が縞状に
連続した薄膜が形成されており、この基板4から本発明
の磁気素子が切り出される。
【0029】図8は、図7の製造装置により作製された
薄膜付き基板から本発明の磁気素子を切り出す工程の一
例を示す概略図である。基板4には膜厚の厚い部分15
と膜厚の薄い部分2が縞状に連続した薄膜が形成されて
いるが、この薄膜から、例えば16の形状に磁気素子を
切り出した場合、(a)のように最端部に膜厚の薄い部
分2を有する磁気素子1が得られ、これは前記した図2
の磁気素子に他ならない。一方、17の形状に磁気素子
を切り出すと、(b)のように中央寄りに膜厚をコント
ロールした薄い部分を有する磁気素子1が得られ、前記
した図3の磁気素子が実現できる。
【0030】この図からも明らかなように、マスク材1
0の幅は膜厚をコントロールする部分2の形状を決定す
るものであり、その幅としては、0.1〜30mmが好
ましく、さらに好ましくは、0.5〜10mmである。
マスク材10の幅が0.1未満の場合には、その幅が狭
すぎ、膜厚勾配をつけにくくなるため、好ましくない。
一方、マスク材10の幅が30mmを超える場合には、
磁気素子全体が非常に大きくなってしまうため、磁気素
子の小型化という本発明の目的を達成することが難しく
なる。また、マスク材10と基板4との間隔はこれまで
何度も述べたように、個々の成膜装置の特性により変化
するため一概には決まらないが、0.1〜5mm程度が
好ましい場合が多い。マスク材10の形状としては、角
材状あるいは丸棒状の他、三角、楕円などの任意の断面
形状のマスク材を用いることができ、磁気素子の膜厚勾
配や膜厚がコントロールされる部分の形状などを考慮し
て適宜選択すればよい。一方、図7では直線状のマスク
材を用いた例を示しているが、キャンは曲率を有するた
め、キャンの中心点から離れるに従ってマスク材とキャ
ンは次第に離れ、このために膜厚の制御性が悪くなる場
合がある。そのときには、キャンの中心位置近傍でのみ
成膜されるようにさらに邪魔板を設置することが効果的
である。また、マスク材をキャンと同じように曲線で構
成することは、マスク材と基板の間隔を常に一定にで
き、極めて有効な手段として用いることができる。
【0031】
【実施例】次に、本発明を実施例及び比較例によって具
体的に説明する。 実施例1 厚さ75μmのフッ素樹脂含侵ガラスクロスシート(淀
川化成社製)から30mmの間隔で直径15mmの円を
くり抜いて開口部を形成し、マスク材とした。成膜には
ロール・トゥ・ロール装置を用いた。水冷したキャンに
基板として厚さ100μmのPET(ポリエチレンテレ
フタレート)フィルムを巻き付け、その上に線径0.9
mmの銅線をスペーサーとして積み重ね、この上にさら
に前記のマスク材を積み重ねた。このように、基板の上
に約0.9mmの間隔を開けてマスク材が設置された。
次に、特開平4−218905号公報に開示されている
ターゲットの下部に磁石を配置し、その磁束をヨークに
より導いてターゲット上に高密度のプラズマを発生でき
るようにしたDCマグネトロンスパッタリング装置によ
り、これら積層体の上に、膜厚0.5μmのCo51Fe
26Si1013(数字は原子%を表す)組成の非晶質薄膜
を形成させ、基板、スペーサー及びマスク材を連続的に
巻き取った。そして、磁気素子の形状に切り出すことに
より本発明の磁気素子を作製した。得られた磁気素子の
形状は直径約25mmの円形で、円の中心から7.5〜
12.5mmの距離にある部分では膜厚が連続的に減少
し、膜厚勾配を有していた。
【0032】この磁気素子の磁気特性を交流B−Hトレ
ーサー(AC,BH−100K、理研電子社製)により
60Hzで測定した。なお、この磁気素子は一軸磁気異
方性を示したため、磁化容易軸方向で試料中央にピック
アップコイルをセットして測定を行った。その結果を図
9に示す。図9から明らかなように、本発明の磁気素子
は良好な角型ヒステリシスを有しており、−1Oe及び
+0.6Oeで磁化が急激に変化し、不連続な磁化のジ
ャンプを示した。
【0033】比較例1 実施例1と同様の装置及び条件で、PET(ポリエチレ
ンテレフタレート)フィルム上にCo51Fe26Si10
13(数字は原子%を表す)組成の非晶質薄膜を作製し
た。ただし、基板とマスク材との間にスペーサー用の銅
線は挿入せず、基板とマスク材は密着させた。その結
果、得られた薄膜は、マスク材の開口径と同じく直径1
5mmの円形であり、この薄膜の膜厚はほぼ一様であっ
た。そして、この円形の薄膜を切り出すことにより磁気
素子を作製した。この磁気素子の磁気特性を実施例1と
同様の方法で測定した。その結果を図10に示す。図1
0より明らかなように、膜厚が一様な薄膜からなる磁気
素子では、強い反磁界の影響でヒステリシスは大きく傾
き、角形ヒステリシスは得られなかった。また、磁化の
変化は連続的で、不連続なジャンプも示さなかった。
【0034】実施例2 実施例1と同じロール・トゥ・ロール装置に、基板とし
て厚さ100μmのPET(ポリエチレンテレフタレー
ト)フィルムをセットし、キャンの直下にマスク材とし
て線径4mmのステンレス棒2本を20mmの間隔を開
けて基板との最短間隔が0.1mmになるように設置し
た。次に、基板を連続的に巻き取りながら、実施例1と
同じDCマグネトロンスパッタリング装置により、基板
上に膜厚0.5μmのCo51Fe26Si1013(数字は
原子%を表す)組成の非晶質薄膜を形成させた。基板に
は、基板の走行方向に約20mmの間隔で膜厚の薄い部
分が縞状に2本観察され、その膜厚の変化は連続的であ
った。この基板から膜厚の薄い部分が両端部になるよう
に長さ約28mm、幅10mmの矩形の試料を切り出す
ことにより、本発明の磁気素子を作製した。
【0035】この磁気素子の磁気特性を実施例1の方法
で測定した。なお、この磁気素子は長手方向に一軸磁気
異方性を示したため、測定は磁化容易軸方向で行った。
その結果を図11に示す。図11から明らかなように、
本発明の磁気素子は良好な角形ヒステリシスを有してお
り、−1Oe及び+1.1Oeで急激に磁化が変化し、
不連続な磁化のジャンプを示した。
【0036】比較例2 実施例2と同様の装置及び条件で、PETフィルム上に
Co51Fe26Si1013(数字は原子%を表す)組成の
非晶質薄膜を作製した。ただし、キャンの下にはマスク
材を設置しなかった。その結果、得られた薄膜はフィル
ム全体に一様に堆積し、特に意図的には膜厚勾配が付与
されなかった。このフィルムから実施例2と同様に長さ
28mm、幅10mmの矩形の試料を試料長手方向がフ
ィルムの幅方向になるように切り出した。この試料の磁
気特性を実施例2と同様の方法で測定した。その結果を
図12に示す。図12から明らかなように、膜厚が一様
な薄膜からなる磁気素子は、強い反磁界の影響でヒステ
リシスは大きく傾き、角形ヒステリシスは得られなかっ
た。また磁化の変化は連続的で、不連続なジャンプも示
さなかった。
【0037】実施例3 実施例2で得られたフィルムから、膜の薄い部分が両端
部から5mmの位置になるように、長さ約38mm、幅
10mmの矩形の磁気素子を切り出した。この磁気素子
の磁気特性を実施例1と同様の方法で測定した。なお、
この磁気素子は長手方向に一軸磁気異方性を示したた
め、測定は磁化容易軸方向で行った。その結果を図13
に示す。図13から明らかなように、本発明の磁気素子
は良好な角形ヒステリシスを有しており、±0.4Oe
で急激に磁化が変化し、不連続な磁化のジャンプを示し
た。
【0038】
【発明の効果】本発明の磁気素子は、不連続な磁化応答
特性が形状により影響を受けにくいため、小型でも良好
な磁気特性を示すものである。また、本発明の製造方法
及び製造装置によれば、不連続な磁化応答特性を有する
小型の磁気素子を容易に製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気素子の一例を示す概略図である。
【図2】本発明の磁気素子の別の例を示す概略図であ
る。
【図3】本発明の磁気素子のさらに別の例を示す概略図
である。
【図4】本発明の磁気素子を製造するための製造装置の
一例を示す概略図である。
【図5】図4の製造装置における、基板とマスク及びそ
の間のスペーサーの位置関係を示す成膜部分の一部拡大
図である。
【図6】本発明の第2の製造方法の原理を簡単に説明す
るための概略図である。
【図7】本発明の磁気素子を製造するための製造装置の
別の例を示す概略図である。
【図8】図7の製造装置によって作製された薄膜付き基
板から本発明の磁気素子を切り出す工程の一例を示す概
略図である。
【図9】実施例1において作製された磁気素子のヒステ
リシスループを示す図である。
【図10】比較例1において作製された磁気素子のヒステ
リシスループを示す図である。
【図11】実施例2において作製された磁気素子のヒステ
リシスループを示す図である。
【図12】比較例2において作製された磁気素子のヒステ
リシスループを示す図である。
【図13】実施例3において作製された磁気素子のヒステ
リシスループを示す図である。
【符号の説明】
1 磁気素子 2 膜厚の薄い部分 3 磁気素子の中央部 4 基板 5 巻き取りロール 6,7 ガイドロール 8 送りロール 9 スペーサー 10 マスク材 11 キャン 12 成膜手段 13 マスク材の開口部 14 粒子 15 膜厚の厚い部分 16 磁気素子(a)の切り出し形状 17 磁気素子(b)の切り出し形状

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に形成された軟磁性薄膜からなる
    磁気素子であって、磁気素子の中央部の膜厚に比べて膜
    厚の薄い部分を有し、磁気ヒシテリシスにおいて急激な
    磁化反転を示す磁気特性を有してなることを特徴とする
    磁気素子。
  2. 【請求項2】 磁気素子を構成する軟磁性薄膜が膜厚勾
    配を有してなる請求項1記載の磁気素子。
  3. 【請求項3】 基板に付着する粒子の流入を制限するた
    めに設けられる任意の形状のマスク材を、基板と接触さ
    せないように間隔を開けて設置し、その間隔により膜厚
    の勾配をコントロールして薄膜を形成させることを特徴
    とする請求項1記載の磁気素子の製造方法。
  4. 【請求項4】 基板を円筒状のキャンに巻き付けた状態
    で薄膜を形成させて巻き取るロール・トゥ・ロール装置
    により磁気素子を製造する方法において、基板に付着す
    る粒子の流入を制限するために設けられる任意の形状の
    マスク材として、任意の形状の開口部を有するマスク材
    を用い、このマスク材を、基板に接触させないようにス
    ペーサーを介してキャンに重ね巻きし、重ね巻きされ
    た、基板とスペーサーとマスク材とを巻き取りながら基
    板に薄膜を形成させることを特徴とする請求項1記載の
    磁気素子の製造方法。
  5. 【請求項5】 基板を円筒状のキャンに巻き付けた状態
    で薄膜を形成させて巻き取るロール・トゥ・ロール装置
    により磁気素子を製造する方法において、基板に付着す
    る粒子の流入を制限するために設けられる任意の形状の
    マスク材を、キャンの下部に基板と接触させないように
    間隔を開けて設置し、基板を巻き取りながら薄膜を形成
    させることを特徴とする請求項1記載の磁気素子の製造
    方法。
  6. 【請求項6】 基板を円筒状のキャンに巻き付けた状態
    で薄膜を形成させて巻き取るロール・トゥ・ロール装置
    において、基板と、基板に付着する粒子の流入を制限す
    るためのマスク材を基板に接触させないようにするため
    のスペーサーと、任意の形状の開口部を有するマスク材
    とを、キャンに順に重ね巻きするための手段と、重ね巻
    きされた、基板とスペーサーとマスク材とを巻き取るた
    めの手段とを備えてなることを特徴とする請求項1記載
    の磁気素子の製造装置。
  7. 【請求項7】 基板を円筒状のキャンに巻き付けた状態
    で薄膜を形成させて巻き取るロール・トゥ・ロール装置
    において、基板に付着する粒子の流入を制限するために
    設けられる任意の形状のマスク材を、キャンの下部に基
    板と接触させないように間隔を開けて設置してなること
    を特徴とする請求項1記載の磁気素子の製造装置。
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Cited By (3)

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006349624A (ja) * 2005-06-20 2006-12-28 Nec Tokin Corp 荷重センサ及びその製造方法
JP2007033296A (ja) * 2005-07-28 2007-02-08 Nec Tokin Corp 荷重センサ及びその使用方法並びに製造方法
WO2019065244A1 (ja) * 2017-09-29 2019-04-04 昭和電工株式会社 磁気センサの製造方法及び磁気センサ集合体

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