JP2007033296A - 荷重センサ及びその使用方法並びに製造方法 - Google Patents

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雅也 川辺
Morikazu Yamada
盛一 山田
Akihiro Iwasaki
明裕 岩崎
Osatsugu Mukaibou
長嗣 向坊
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Abstract

【課題】磁気余効効果が小さくてインダクタンスの一定性が高く、精度良く信頼性高い荷重測定が可能な磁性材料を用いた荷重センサを提供すること。
【解決手段】この荷重センサは、受圧面で受けた応力(矢印の荷重負荷方向)に応じて歪みが発生するように主面にあって受圧面とは別方向で隣接する一端側寄り箇所に形成された孔部を有する磁性材料から成る矩形板状のセンサ本体部1と、センサ本体部1の孔部内壁及び孔部に隣接する端面に対して巻線2を巻回して成る検出部とを備え、受圧面及び検出部により形成される非対称性の閉磁路磁気回路部で応力に応じて発生した歪みをインダクタンスの変化として検出する構成であり、センサ本体部1には検出部の組み付け前に受圧面への荷重負荷測定方向に100kgf/cm以上の圧縮応力を負荷処理したものを用い、使用初期設定状態でセンサ本体部1に対して負荷処理よりも小さい圧縮応力を負荷保持する。
【選択図】図1

Description

本発明は、主として磁性材料の磁気弾性効果を利用し、外部より加えられた荷重により磁気特性が変化して変化量に応じたインダクタンスの変化を電気信号として検出して出力する荷重センサ及びその製造方法に関する。
この種の荷重センサとしては、荷重に応じて電気信号を出力する幾つかのタイプのものが提案されており、代表的なものとして、簡略すればセンサが磁性体で構成されて荷重により磁性体の磁気特性の変化として透磁率の変化が発生し、これを電気的なインダクタンスの変化として検出する構成のもの、具体的に言えば、本体部の表面全体に磁性材料から成るメッキ膜を密着させて本体部の外側面に荷重が加えられることで生じる歪みに伴ってメッキ膜の磁気特性が変化するようにし、更にメッキ膜との間で閉磁路を形成するようにメッキ膜に磁性体ヨークを接続すると共に、磁性体ヨークの周囲に導線を巻回してメッキ膜の磁気特性の変化を電気的なインダクタンスに変換するようにした上、歪み測定回路部で本体部の歪みに応じたインダクタンスの変化を検出することで本体部の歪みを測定するようにした構成のもの(特許文献1参照)等が挙げられる。
特開2003−302293号公報(要約、図1)
上述した特許文献1に代表される荷重センサ(センサが磁性体で構成されて荷重により磁性体の磁気特性の変化として透磁率の変化が発生し、これを電気的なインダクタンスの変化として検出する構成のもの)の荷重検出方式に基づいて荷重計測を行う場合、一定の応力を負荷したときにインダクタンスが一定となることがセンサの基本機能としての前提となるが、磁性材料を用いると特に磁気余効効果によりインダクタンス等の磁気特性が時間の経過と共に変化することがあり(磁気特性が容易に経時変化することはセンサの基本機能として回避される必要がある)、こうした場合には前提が崩れて同一の荷重に対して出力値が変動してしまい、精度良く荷重測定を行うことができないという問題がある。
本発明は、このようは問題点を解決すべくなされたもので、その技術的課題は、磁気余効効果が小さくてインダクタンスの一定性が高く、精度良く信頼性高い荷重測定が可能な磁性材料を用いた荷重センサ及びその使用方法並びに製造方法を提供することにある。
本発明によれば、受圧面で受けた応力に応じて歪みが発生するように該受圧面とは異なる位置に穿孔された孔部を有する磁性材料から成るセンサ本体部と、センサ本体部における孔部内壁及び該孔部に隣接する面に対して巻線を巻回して成る検出部とを備え、更に、受圧面及び検出部により形成される非対称性の閉磁路磁気回路部で応力に応じて発生した歪みをインダクタンスの変化として検出する荷重センサにおいて、センサ本体部には、検出部の組み付け前に受圧面への荷重負荷測定方向に100kgf/cm以上の圧縮応力を負荷処理したものを用いて成る荷重センサが得られる。この荷重センサにおいて、負荷処理に要する圧縮応力は、測定対象荷重における使用最大荷重の10%以上に相当するものであることが好ましい。
又、本発明によれば、上記荷重センサにおいて、センサ本体部は、受圧面を対向する側面に持たせると共に、孔部を対向する主面にあって該受圧面とは別方向で隣接する対向する端面における一方側寄り箇所に形成して成る矩形板状である荷重センサが得られる。
更に、本発明によれば、上記何れかの荷重センサにおいて、使用前初期設定状態でセンサ本体部に対して負荷処理よりも小さい所定の圧縮応力を負荷して保持するための負荷手段を備えた荷重センサが得られる。
加えて、本発明によれば、上記何れかの荷重センサの使用方法であって、使用前初期設定状態でセンサ本体部に対して負荷処理よりも小さい所定の圧縮応力を負荷して保持する荷重センサの使用方法が得られる。
一方、本発明によれば、受圧面で受けた応力に応じて歪みが発生するように該受圧面とは異なる位置に穿孔された孔部を有する磁性材料から成るセンサ本体部と、センサ本体部における孔部内壁及び該孔部に隣接する面に対して巻線を巻回して成る検出部とを備え、更に、受圧面及び検出部により形成される非対称性の閉磁路磁気回路部で応力に応じて発生した歪みをインダクタンスの変化として検出する荷重センサの使用方法において、使用前初期設定状態でセンサ本体部に対して受圧面への荷重負荷測定方向に100kgf/cm以上の圧縮応力を負荷して保持する荷重センサの使用方法が得られる。この荷重センサの使用方法において、負荷処理に要する圧縮応力は、測定対象荷重における使用最大荷重の10%以上に相当するものであることが好ましい。
他方、本発明によれば、磁性材料を還元雰囲気中で焼鈍熱処理する材料熱処理工程と、焼鈍熱処理された磁性材料に対して低温加熱処理条件下で一方向若しくは複数方向から少なくとも1回以上の100kgf/cm以上の圧縮応力を荷重負荷測定方向に負荷処理させて荷重が加えられることで歪みに応じて磁気特性が変化する特性を持たせる材料負荷処理工程と、負荷処理を経た磁性材料を応力を受ける受圧面を含むように所定の形状のセンサ本体部として一体化形成する本体部形成工程と、受圧面で受けた応力に応じて歪みが発生するようにセンサ本体部における該受圧面とは異なる位置に穿孔加工して孔部を形成する穿孔工程と、磁気特性の変化を電気的なインダクタンスに変換するためにセンサ本体部における孔部内壁及び該孔部に隣接する面に対して巻線を所定数巻回して検出部を成すと共に、受圧面及び該検出部により非対称性の閉磁路磁気構造を形成し、該閉磁路磁気回路部において該受圧面に加えられた歪みの変化量に応じたインダクタンスの変化を電気信号として検出する荷重センサを作製する巻線巻回工程とを有する荷重センサの製造方法が得られる。この荷重センサの製造方法において、材料負荷処理工程での負荷処理に要する圧縮応力は、測定対象荷重における使用最大荷重の10%以上に相当するものであることが好ましい。
本発明の荷重センサの場合、磁性材料から成るセンサ本体部には、検出部の組み付け前に受圧面への荷重負荷測定方向に測定対象荷重における使用最大荷重の10%以上に相当する100kgf/cm以上の圧縮応力を負荷処理(或いは本発明の荷重センサの製造方法においても、初期的な材料熱処理工程で焼鈍熱処理された磁性材料に対して材料負荷処理工程において低温加熱処理条件下で一方向又は複数方向から少なくとも1回以上の100kgf/cm以上の圧縮応力を荷重負荷測定方向に負荷処理させる)し、使用前初期設定状態では負荷手段によりセンサ本体部に対して負荷処理よりも小さい所定の圧縮応力を負荷して保持するようにし、本発明の荷重センサの使用方法では、係る圧縮応力を負荷処理したものを使用前初期設定状態でセンサ本体部に対して負荷処理よりも小さい所定の圧縮応力を負荷して保持するか、或いは使用前初期設定状態でセンサ本体部に対して受圧面への荷重負荷測定方向に100kgf/cm以上の圧縮応力を負荷して保持するようにしているため、荷重負荷測定時に磁気余効効果を小さくできてインダクタンスの一定性が高くなり、逆磁歪効果を利用した荷重センサの同一の荷重値に対する出力値の変動を大きく改善(荷重センサの特性変動を改善)することが可能となり、結果として精度良く信頼性高い荷重測定を行うことができるようになる。
本発明の最良の形態に係る荷重センサは、受圧面で受けた応力に応じて歪みが発生するように受圧面とは異なる位置に穿孔された孔部を有する磁性材料から成るセンサ本体部と、センサ本体部における孔部内壁及び孔部に隣接する面に対して巻線を巻回して成る検出部とを備え、更に、受圧面及び検出部により形成される非対称性の閉磁路磁気回路部で応力に応じて発生した歪みをインダクタンスの変化として検出する構成のものにおいて、センサ本体部には、検出部の組み付け前に受圧面への荷重負荷測定方向に100kgf/cm以上の圧縮応力を負荷処理したものを用いて成るものである。但し、この荷重センサでは、負荷処理に要する圧縮応力は、測定対象荷重における使用最大荷重の10%以上に相当するものであることが好ましい。これらの荷重センサでは、使用初期設定状態でセンサ本体部に対して負荷処理よりも小さい所定の圧縮応力を負荷して保持するための負荷手段を備えることも好ましい。
又、本発明の荷重センサの使用方法では、これらの荷重センサについて、使用初期設定状態でセンサ本体部に対して負荷処理よりも小さい所定の圧縮応力を負荷して保持することが好ましい。更に、本発明の荷重センサの使用方法では、上述した同様な構造の荷重センサについて、使用初期設定状態でセンサ本体部に対して受圧面への荷重負荷測定方向に100kgf/cm以上の圧縮応力を負荷して保持するものである。但し、この荷重センサの使用方向においても、負荷処理に要する圧縮応力は、測定対象荷重における使用最大荷重の10%以上に相当するものであることが好ましい。
このような荷重センサの製造方法としては、磁性材料を還元雰囲気中で焼鈍熱処理する材料熱処理工程と、焼鈍熱処理された磁性材料に対して低温加熱処理条件下で一方向若しくは複数方向から少なくとも1回以上の100kgf/cm以上の圧縮応力を荷重負荷測定方向に負荷処理させて荷重が加えられることで歪みに応じて磁気特性が変化する特性を持たせる材料負荷処理工程と、負荷処理を経た磁性材料を応力を受ける受圧面を含むように所定の形状のセンサ本体部として一体化形成する本体部形成工程と、受圧面で受けた応力に応じて歪みが発生するようにセンサ本体部における受圧面とは異なる位置に穿孔加工して孔部を形成する穿孔工程と、磁気特性の変化を電気的なインダクタンスに変換するためにセンサ本体部における孔部内壁及び孔部に隣接する面に対して巻線を所定数巻回して検出部を成すと共に、受圧面及び検出部により非対称性の閉磁路磁気構造を形成し、閉磁路磁気回路部において受圧面に加えられた歪みの変化量に応じたインダクタンスの変化を電気信号として検出する荷重センサを作製する巻線巻回工程とを実行すれば良い。但し、この荷重センサの製造方法においても、材料負荷処理工程での負荷処理に要する圧縮応力は、測定対象荷重における使用最大荷重の10%以上に相当するものであれば良い。
何れの場合も、係る荷重センサにおいては、磁気余効効果を小さくできてインダクタンスの一定性が高くなり、逆磁歪効果を利用した荷重センサの同一の荷重値に対する出力値の変動を大きく改善(荷重センサの特性変動を改善)することができる。
以下、本発明の荷重センサについて、その製造方法を含めて具体的な実施例を挙げ、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施例1に係る荷重センサの基本構成を示した外観斜視図である。
この荷重センサは、対向する側面に持たされた受圧面で受けた応力(矢印の荷重負荷方向)に応じて歪みが発生するように受圧面とは異なる位置の対向する主面にあって受圧面とは別方向で隣接する対向する端面における一方側寄り箇所に形成された孔部を有する磁性材料から成る矩形板状のセンサ本体部(センサ基体部)1と、センサ本体部1における孔部内壁及び孔部に隣接する端面に対して巻線2を巻回して成る検出部とを備え、これらの受圧面及び検出部により形成される非対称性の閉磁路磁気回路部で応力に応じて発生した歪みをインダクタンスの変化として検出する構成であり、センサ本体部1には検出部の組み付け前に受圧面への荷重負荷測定方向に100kgf/cm以上の圧縮応力を負荷処理したものを用い、使用初期設定状態でセンサ本体部1に対して負荷処理よりも小さい所定の圧縮応力を負荷して保持するようになっている。
具体的に言えば、センサ本体部1の磁性材料はFe−Si2.9重量(wt)%とし、材料熱処理工程において、水素中における還元雰囲気中で焼鈍熱処理を焼鈍温度1100℃の条件下で行った後、材料負荷処理工程において、焼鈍熱処理された磁性材料に対して予め210℃の低温加熱処理条件下で一方向(又は複数方向でも良い)から600kgf/cmの圧縮応力を荷重負荷測定方向に2時間負荷処理させ、荷重が加えられることで歪みに応じて磁気特性が変化する特性を持たせた。
更に、本体部形成工程で負荷処理を経たFe−Si2.9重量(wt)%の磁性材料を図1に示される受圧面を含むように矩形板状のセンサ本体部1として一体化形成し、穿孔工程において、受圧面で受けた応力に応じて歪みが発生するようにセンサ本体部1における主面に穿孔加工して孔部を形成した後、巻線巻回工程において、磁気特性の変化を電気的なインダクタンスに変換するためにセンサ本体部1における孔部内壁及び孔部に隣接する端面に対して口径φがφ=0.14mmの銅線による巻線2を150回巻回して検出部を成し、受圧面及び検出部による非対称性の閉磁路磁気構造を形成することにより、閉磁路磁気回路部において受圧面に加えられた歪みの変化量に応じたインダクタンスの変化を電気信号として検出する荷重センサを作製した。
そこで、この荷重センサのセンサ本体部1に対し、使用初期設定状態で室温において10kgf/cm以上の圧縮応力を負荷保持させられるように、負荷手段としてそれ相当のおもり等(図示せず)を用いて組み立てを行うようにして実施例1に係る荷重センサを作製した後、実施例1に係る荷重センサについて、電気信号AC1V,周波数20kHzを印加してインダクタンスを測定した。
図2は、実施例1に係る荷重センサにおける測定荷重400kgf/cmを印加したときの時間(sec)に対するインダクタンスL(t)(μH)の特性を測定した結果を示したものである。
図2の測定結果からは、実施例1に係る荷重センサの場合、出力インダクタンス値は時間が経過しても一定の値を保持しており、磁気余効効果による応力負荷時の出力インダクタンスの時間変動が解消され、出力値の変動を大きく改善(荷重センサの特性変動を改善)できることが判る。
比較例1
比較例1では、実施例1の荷重センサにおける製造工程にあって、材料負荷処理工程を実行せず(210℃の低温加熱処理条件下で600kgf/cmの圧縮応力を荷重負荷測定方向に負荷処理せず)に荷重センサを作製し、それ以外は同様に使用状態で室温において10kgf/cm以上の圧縮応力を負荷保持させられるように、負荷手段としてそれ相当のおもり等(図示せず)を用いて組み立てを行って比較例1に係る荷重センサを作製した後、同様に比較例1に係る荷重センサについて、電気信号AC1V,周波数20kHzを印加してインダクタンスを測定した。
図3は、比較例1に係る荷重センサにおける測定荷重400kgf/cmを印加したときの時間(sec)に対するインダクタンスL(t)(μH)の特性を測定した結果を示したものである。
図3の測定結果からは、比較例1に係る荷重センサの場合、出力インダクタンス値は時間経過に伴って低下しており、磁気余効効果による応力負荷時の出力インダクタンスの時間変動が解消されていないことが判る。
実施例2では、上述した実施例1及び比較例1を含め、様々な磁性材料を用いた場合について、本発明の荷重センサとして適用可能な条件範囲を検討した。
具体的には、幾つかの組成が異なる磁性材料(wt%)の試料に対し、実施例1で説明した材料負荷処理工程を圧縮応力を変化させた場合を含めて実行の有無に分け、使用前の圧縮応力(kgf/cm),10時間の間のインダクタンス変化率(%),本発明への適用性の可否を調べたところ、表1に示すような結果となった。但し、ここでの試料番号1の試料は実施例1の場合に相当し、試料番号22の試料は比較例1の場合に相当するものとなっており、その他の試料番号2〜21については何れの試料についても、実施例1の場合と同様な材料熱処理工程を実行すると共に、使用前の圧縮応力の印加については210℃の低温加熱処理条件下で圧縮応力を2時間負荷処理するものとし、検出部については同様に巻線2として口径φがφ=0.14mmの銅線を150回巻線した構成とし、インダクタンス値の測定時についても同様に電気信号AC1V,周波数20kHzを印加した条件下で行うものとし、更に10時間の間のインダクタンス変化率における許容範囲を0.10%以内としている。
Figure 2007033296
表1からは、磁性材料の組成に拘らず、使用前の圧縮応力の範囲が100kgf/cm以上という条件を満たす試料番号1〜20の試料が磁気余効効果により劣化を示す10時間の間のインダクタンス変化率が認められず、本発明への適用性が可であることが判る(即ち、実施例2としては試料番号2〜20の試料が該当する)。又、インダクタンス変化率がない試料番号2〜20の試料の場合、何れも図2で説明した試料番号1の実施例1の場合と同様に出力インダクタンス値は時間が経過しても一定の値を保持することが判った。これに対し、使用前の圧縮応力の範囲が50kgf/cmの試料番号21の試料の場合、磁気余効効果により劣化を示す10時間の間のインダクタンス変化率が認められ、図3で説明した試料番号22の比較例1の場合と同様に出力インダクタンス値は時間経過に伴って低下することが判った。
尚、上述した実施例1,実施例2に係る荷重センサにおいて、材料負荷処理工程で開示した低温加熱処理条件下の温度値(210℃)、圧縮応力kgf/cmの数値(100,200,400,600,800)並びに負荷処理時間(2時間)はあくまでも一例であって、これらの値に限定されるものではなく、低温加熱処理条件下の温度値は150℃以上、圧縮応力は測定対象荷重における使用最大荷重の10%以上に相当する100kgf/cm以上、負荷処理時間は1時間以上の範囲にあれば良いものである。又、上述した実施例1,実施例2に係る荷重センサの場合のように予め圧縮応力を負荷処理する材料負荷処理工程を実行しない代わり、本発明の荷重センサの使用方法として、単に図1に示した構成のセンサ本体部1に対して使用初期設定状態で測定対象荷重における使用最大荷重の10%以上に相当する100kgf/cm以上(望ましくは110kgf/cm以上)の圧縮応力を負荷するようにしても良い。
因みに、圧縮応力を測定対象荷重における使用最大荷重の10%以上に相当する100kgf/cm以上を負荷させた場合にインダクタンス変化率が改善される理由は、負荷する応力が降伏応力以内であっても、金属部材内部にミクロな歪みが導入されること、更に導入される歪みについて、二回目に応力を負荷した場合には負荷した応力値が一回目よりも小さければ新たに歪みを発生する確率が小さくなる性質を持つことによると考えられ、結局、一回目の負荷応力よりも小さな応力が負荷されている間は歪みが殆ど変わらず、結果として応力値に対する磁気特性の経時変化等も生じず、これによって負荷処理を行うことが磁気特性の経時変化を抑制するためと類推される。従って、材料負荷処理工程で圧縮応力を負荷処理する場合の圧縮応力についての大きさは、荷重センサにおける使用最大負荷応力値に依存性を持つと共に、磁性材料の組成により適宜設定されるべき条件であるということができる。
本発明の実施例1に係る荷重センサの基本構成を示した外観斜視図である。 実施例1に係る荷重センサにおける測定荷重400kgf/cmを印加したときの時間に対するインダクタンスの特性を測定した結果を示したものである。 比較例1に係る荷重センサにおける測定荷重400kgf/cmを印加したときの時間に対するインダクタンスの特性を測定した結果を示したものである。
符号の説明
1 センサ本体
2 巻線

Claims (9)

  1. 受圧面で受けた応力に応じて歪みが発生するように該受圧面とは異なる位置に穿孔された孔部を有する磁性材料から成るセンサ本体部と、前記センサ本体部における前記孔部内壁及び該孔部に隣接する面に対して巻線を巻回して成る検出部とを備え、更に、前記受圧面及び前記検出部により形成される非対称性の閉磁路磁気回路部で応力に応じて発生した歪みをインダクタンスの変化として検出する荷重センサにおいて、前記センサ本体部には、前記検出部の組み付け前に前記受圧面への荷重負荷測定方向に100kgf/cm以上の圧縮応力を負荷処理したものを用いて成ることを特徴とする荷重センサ。
  2. 請求項1記載の荷重センサにおいて、前記負荷処理に要する前記圧縮応力は、測定対象荷重における使用最大荷重の10%以上に相当するものであることを特徴とする荷重センサ。
  3. 請求項1又は2記載の荷重センサにおいて、前記センサ本体部は、前記受圧面を対向する側面に持たせると共に、前記孔部を対向する主面にあって該受圧面とは別方向で隣接する対向する端面における一方側寄り箇所に形成して成る矩形板状であることを特徴とする荷重センサ。
  4. 請求項1〜3の何れか一つに記載の荷重センサにおいて、使用前初期設定状態で前記センサ本体部に対して前記負荷処理よりも小さい所定の圧縮応力を負荷して保持するための負荷手段を備えたことを特徴とする荷重センサ。
  5. 請求項1〜3の何れか一つに記載の荷重センサの使用方法であって、使用前初期設定状態で前記センサ本体部に対して前記負荷処理よりも小さい所定の圧縮応力を負荷して保持することを特徴とする荷重センサの使用方法。
  6. 受圧面で受けた応力に応じて歪みが発生するように該受圧面とは異なる位置に穿孔された孔部を有する磁性材料から成るセンサ本体部と、前記センサ本体部における前記孔部内壁及び該孔部に隣接する面に対して巻線を巻回して成る検出部とを備え、更に、前記受圧面及び前記検出部により形成される非対称性の閉磁路磁気回路部で応力に応じて発生した歪みをインダクタンスの変化として検出する荷重センサの使用方法において、使用前初期設定状態で前記センサ本体部に対して前記受圧面への荷重負荷測定方向に100kgf/cm以上の圧縮応力を負荷して保持することを特徴とする荷重センサの使用方法。
  7. 請求項6記載の荷重センサの使用方法において、前記負荷処理に要する前記圧縮応力は、測定対象荷重における使用最大荷重の10%以上に相当するものであることを特徴とする荷重センサの使用方法。
  8. 磁性材料を還元雰囲気中で焼鈍熱処理する材料熱処理工程と、前記焼鈍熱処理された前記磁性材料に対して低温加熱処理条件下で一方向若しくは複数方向から少なくとも1回以上の100kgf/cm以上の圧縮応力を荷重負荷測定方向に負荷処理させて荷重が加えられることで歪みに応じて磁気特性が変化する特性を持たせる材料負荷処理工程と、前記負荷処理を経た前記磁性材料を応力を受ける受圧面を含むように所定の形状のセンサ本体部として一体化形成する本体部形成工程と、前記受圧面で受けた応力に応じて歪みが発生するように前記センサ本体部における該受圧面とは異なる位置に穿孔加工して孔部を形成する穿孔工程と、前記磁気特性の変化を電気的なインダクタンスに変換するために前記センサ本体部における前記孔部内壁及び該孔部に隣接する面に対して巻線を所定数巻回して検出部を成すと共に、前記受圧面及び該検出部により非対称性の閉磁路磁気構造を形成し、該閉磁路磁気回路部において該受圧面に加えられた歪みの変化量に応じたインダクタンスの変化を電気信号として検出する荷重センサを作製する巻線巻回工程とを有することを特徴とする荷重センサの製造方法。
  9. 請求項8記載の荷重センサの製造方法において、前記材料負荷処理工程にあっての前記負荷処理に要する前記圧縮応力は、測定対象荷重における使用最大荷重の10%以上に相当するものであることを特徴とする荷重センサの製造方法。
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