JPH09180936A - 磁気素子 - Google Patents

磁気素子

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JPH09180936A
JPH09180936A JP7340291A JP34029195A JPH09180936A JP H09180936 A JPH09180936 A JP H09180936A JP 7340291 A JP7340291 A JP 7340291A JP 34029195 A JP34029195 A JP 34029195A JP H09180936 A JPH09180936 A JP H09180936A
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JP
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magnetic
magnetization
magnetic element
operating
control unit
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JP7340291A
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English (en)
Inventor
Shinji Furukawa
伸治 古川
Nobuyoshi Yano
暢芳 矢野
Toshiyuki Hirano
俊幸 平野
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Unitika Ltd
Original Assignee
Unitika Ltd
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Publication date
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    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01VGEOPHYSICS; GRAVITATIONAL MEASUREMENTS; DETECTING MASSES OR OBJECTS; TAGS
    • G01V15/00Tags attached to, or associated with, an object, in order to enable detection of the object
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01RMEASURING ELECTRIC VARIABLES; MEASURING MAGNETIC VARIABLES
    • G01R33/00Arrangements or instruments for measuring magnetic variables
    • G01R33/02Measuring direction or magnitude of magnetic fields or magnetic flux
    • G01R33/04Measuring direction or magnitude of magnetic fields or magnetic flux using the flux-gate principle

Abstract

(57)【要約】 【課題】 小型で優れた磁気特性を有する磁気素子を提
供する。 【解決手段】 外部の磁界変化に対して磁化が急激に変
化する動作部1と、この動作部1より大きな保磁力を有
する少なくとも1対の制御部2とからなる磁気素子であ
って、動作部1の長さをLとした場合、制御部2が、動
作部1の端部から0.3L以内に制御部2の磁極が発生
し得るように配置されてなり、かつ動作部1の中央から
0.2L以内に制御部2が存在しないように配置されて
なることを特徴とする磁気素子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、外部の磁界の変化
に対して磁化が急激に変化することを利用する磁気素子
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より磁性体の磁化挙動を利用した装
置は広く用いられている。電磁誘導型磁気ヘッドなどの
ように外部磁界の変化に対して連続的な磁化応答をする
ものの他に、磁界強度がある一定値以上になると急激に
磁化し不連続的な応答をする磁性体が近年盛んに用いら
れている。このような磁性体の近傍にピックアップコイ
ルを設置すると、磁性体の不連続的な磁化反転の際にコ
イルに急峻なパルス電圧を発生させることができる。こ
れらの磁性体をセンサとして用いると装置の構成を簡単
なものにできるため、地磁気などの磁界測定、回転数測
定、流量測定などに用いられている。
【0003】また、近年、商品の盗難を防止したり、物
流を迅速に処理するための電子物品監視装置や識別装置
が普及しているが、この識別マーカとして、発信回路、
LC共振回路、磁歪振動材料、高透磁率材料と並んでこ
れらの不連続的な磁化をする磁性体が用いられている。
例えば、特公平3−27958号公報には、Fe基の非
晶質金属細線からなるマーカを使用するシステムが記載
されている。上記の金属細線では長手方向の磁化が非常
に安定なために、磁界がある大きさに達した瞬間に非常
に急激に180°磁化反転する。問い合わせ信号として
監視区域で発信した交番磁界が臨界値に達すると、非晶
質金属細線は不連続的に磁化反転し、検知コイルに急峻
なパルス電圧が発生する。この電圧の波形を周波数解析
し、高次の高調波の強度やその割合によりマーカを識別
したり、警報の発生が必要であるかどうかを判断する。
このシステムは、他の方式と比較してマーカが安価であ
り、識別性能が高いという利点がある。
【0004】不連続的な磁化応答をする磁性体として
は、前述の非晶質金属細線の他にも多くの材料が見出さ
れている。例えば、プラスチックフィルムなどの可撓性
のある基材に形成された非晶質金属薄膜においても、一
軸磁気異方性の強い薄膜で不連続磁化反転を示し、非晶
質金属細線と同様の優れた角型ヒステリシス特性を持つ
ことが特開平4−218905号公報に開示されてい
る。また、角型特性は示さないが、FeNiやCoFe
Vなどの線材を引き抜き加工し熱処理した材料が不連続
的な磁化のジャンプを示すことが特開平6−04477
1号公報に記載されている。
【0005】また、特開平1−150881号公報に
は、細長い非晶質金属薄帯を磁界中熱処理した材料が開
示されており、このように処理された薄帯には不動化し
た180°磁壁が形成され、逆磁区の生成、成長が制御
される。印加する磁界強度を大きくすると、臨界値で不
連続的に磁化反転し、その量は概ね全体の1/2に達す
る。さらに、特開平6−94841号公報には、この薄
帯をさらに改良した材料に関する記載がある。熱処理温
度を若干高くすると、薄帯の表面は結晶化し保磁力の高
い状態となる。このような薄帯は結晶相を持たないもの
とは全く異なる挙動を示す。薄帯の磁化は表面結晶相の
磁化状態により可逆的にコントロールされ、結晶相が帯
磁した場合に不連続な磁化反転を示し、消磁によりこの
現象は消失する。このことにより、盗難防止用マーカと
しての応答動作の活性化と失活化を非破壊で行うことが
でき、反復利用する際に利点となる。また、高保磁力層
として、蒸着などにより硬磁性薄膜を表面に形成しても
同様の効果が得られることが示されている。また、前述
の引き抜き加工した線材でも類似の現象が報告されてい
る。すなわち、特開平6−84630号公報には、熱処
理で相変態する硬磁性材料を軟磁性材料と合わせて細線
化したクラッド細線の不連続な磁化応答について記載さ
れている。このようなクラッド細線では、外周の硬磁性
層を着磁することにより内芯の軟磁性層の不連続な磁化
反転が誘導される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、表面が
結晶化した非晶質金属薄帯やクラッド細線は、軟磁性層
と硬磁性層のそれぞれの量や磁気特性などにより大きな
影響を受け、不連続磁化反転はその構成の極めて狭い範
囲でしか得られず、磁気特性として不安定なものであっ
た。
【0007】また、機器が高度化するにしたがい、セン
サは小型化の一途を辿っている。また、識別マーカは、
当初は比較的大型のものが用いられていたが、貼付する
対象を増やしたり、目立たなくする必要から近年はでき
るだけ小型化することが望まれている。しかし、磁性材
料では磁気特性と形状の間に密接な関係があり、これは
容易なことではない。例えば、前述した盗難防止システ
ムで使用されているFe基非晶質金属細線は、概ね0.
13μm径で長さが約90mmであるが、この金属細線
では、長さをこれより短くすると急峻な磁化反転が起こ
りにくくなる。一般に、磁性体が磁化すると両端部に磁
極が発生するが、この磁極から印加磁界と逆方向の磁束
が放射され、磁性体自らに影響する。これは通常、反磁
界と呼ばれ、磁性体が印加磁界方向に磁化するのに対し
て抵抗として作用する。反磁界は金属細線の断面積が大
きいほど増大するため、その影響を逃れるためにはより
細いものを用いることが考えられる。しかし、線径が細
くなると全体の体積が減少して十分な量の磁束変化が得
られず、検知コイルに誘導する電圧が減少するため、金
属細線をあまり細くすることもできない。
【0008】非晶質金属薄膜でも同様のことが言え、マ
ーカやセンサを小型化するためには長さを短くする必要
があるが、その分、磁化の変化量を確保するために幅や
膜厚を大きくしなければならなくなる。すると、反磁界
が大きくなり、ヒステリシスが傾いて磁化が急激には変
化しなくなり特性が劣化する。このように、センサやマ
ーカなどの磁気素子の小型化と特性は相反したものであ
った。本発明は、小型で優れた磁気特性を有する磁気素
子を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、このよう
な課題を解決するために鋭意検討の結果、外部の磁界変
化に対して磁化が急激に変化する動作部と、特定の位置
にある少なくとも1対の制御部とから構成される磁気素
子は、小型で優れた磁気特性を有するという事実を見出
し、本発明に到達した。すなわち、本発明は、外部の磁
界変化に対して磁化が急激に変化する動作部と、この動
作部より大きな保磁力を有する少なくとも1対の制御部
とからなる磁気素子であって、動作部の長さをLとした
場合、制御部が、動作部の端部から0.3L以内の範囲
に制御部の磁極が発生し得るように配置されてなり、か
つ動作部の中央から0.2L以内の範囲に制御部が存在
しないように配置されてなることを特徴とする磁気素子
を要旨とするものである。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の磁気素子は、動作部と少なくとも1対の制御部
とから構成されていることが必要である。本発明にいう
動作部とは、外部の磁界変化に対して急峻な不連続磁化
を起こす部分のことであり、この部分の磁化挙動は制御
部の磁化状態でコントロールされるものである。また、
制御部は、動作部より大きな保磁力を有することが必要
であり、動作部の長さをLとした場合、制御部各要素は
動作部の端部から0.3L以内に磁極が発生するように
配置されることが必要である。さらに、制御部は、動作
部の中央から0.2L以内には存在していないことが必
要である。このように、制御部は動作部の端部近傍にほ
ぼ対称に配置されることが好ましい。本発明の磁気素子
において、制御部は直流磁界により着磁され、動作部に
静磁界をバイアス印加する。両端部の制御部が同方向に
磁化され、同一方向のバイアス磁界が動作部の端部近傍
に作用すると、交番磁界が印加された際に動作部は不連
続に磁化反転して急峻な磁化ジャンプを示す。制御部が
動作部両端でそれぞれ逆方向に磁化された場合は、動作
部の磁化挙動は制御部が配置されない状態、あるいは制
御部が消磁された状態と似た挙動を示す。
【0011】本発明における動作部としては、保磁力の
小さな細線、薄帯、薄膜などを用いることができ、非晶
質金属は動作部として極めて好ましい材料である。動作
部としての好ましい合金組成としては、例えば、Fe
B、FeP、FeC、FeSiB、FeZrなどがあげ
られ、これらのFeの一部又は全部をCoやNiで置換
した組成も好適なものとしてあげられる。また、本発明
における制御部としては、切片状、薄膜状、塗料状の形
態の硬磁性体を用いることができ、保磁力の大きなこれ
らの磁性体は直流磁界により帯磁し、動作部の有効箇所
に適当な強度のバイアス磁界を印加し、動作部の不連続
磁化反転を誘導する。切片状、薄膜状、塗料状の制御部
は、それぞれ、貼付したり、蒸着したり、塗布したりす
ることにより、動作部に対して望ましい箇所に配置する
ことができる。また、制御部は少なくとも1対配置され
ることがことが必要であるが、2〜3対配置されること
がより好ましい。
【0012】本発明において、制御部の配置としては、
前述したように、動作部のそれぞれの端部から動作部の
長さの0.3L、すなわち30%以内の範囲に、制御部
の磁極が発生しなければならず、さらに動作部の中央か
ら動作部の長さの0.2Lすなわち、20%以内の範囲
には制御部が存在していないことが必要である。すなわ
ち、バイアス磁界は動作部の端部近傍に有効に印加され
ることが望まれる。図1〜6に、本発明の磁気素子にお
ける、動作部に対する制御部の配置の例を示すが、制御
部の配置はこれらに限定されるものではなく、さまざま
なケースが考えられる。図1〜4は、動作部のそれぞれ
の端部近傍に制御部が1つずつ(1対)位置している場
合の磁気素子の例であり、図1は各制御部が動作部の端
部より内側に位置している場合、図2は各制御部の外側
の端部と動作部の端部が一致している場合、図3は各制
御部が動作部の端部よりはみ出している場合、図4は、
各制御部が動作部と重ならずに外部に存在する場合をそ
れぞれ示している。本発明においては、制御部の発生す
る2つの磁極のうち、動作部の中央に近い磁極と動作部
との間の相対的な配置が重要である。すなわち、図1〜
4のいずれの場合でも、左右の制御部の中央よりの磁極
と動作部先端との距離(図中のk1 及びk2 )が動作部
の長さLの0.3L、すなわち30%以下であり、かつ
動作部中央から制御部までの距離(図中のS1 及び
2 )が動作部の長さLの0.2L、すなわち20%よ
り長くなっている。このような磁気素子であれば、動作
部の長さLが短いものであっても急峻な不連続磁化反転
を得ることができる。
【0013】図5〜6は、動作部のそれぞれの端部近傍
に2対の制御部が位置している場合の磁気素子の例であ
り、図5は動作部の上部及び下部にそれぞれ1対の制御
部が位置している場合を、図6は動作部の上部のみに2
対の制御部を並べて配置した場合を示している。これら
の場合においても、k1 及びk2 が0.3L以下であ
り、かつS1 及びS2 が0.2Lより長くなっている。
このような磁気素子であれば、動作部の長さLが短いも
のであっても急峻な不連続磁化反転を得ることができ、
さらに、1対だけの制御部を配置したものよりも、動作
部端部近傍に有効に磁界をバイアス印加することができ
る。なお、図1〜6に示されたような本発明の磁気素子
において、各制御部を同一方向に着磁するには、直流磁
界を発生している空間に磁気素子を通過させればよい。
【0014】次に、動作部と制御部とからなる本発明の
磁気素子における磁化過程について説明する。外部磁界
が印加された場合、磁極となる動作部の端部付近では正
負両方向の磁区が180°磁壁を介して並んでバランス
をとることで磁束の外部放射を抑さえようとする。その
範囲は、形状が短小となり反磁界が大きいほど内部(中
央部)にまで及ぶ広い範囲となる。つまり、特定方向の
磁区が優勢になりにくく、磁化状態が瞬間的に一斉に反
転する不連続な挙動は生じにくくなる。ここで、制御部
により磁界がバイアス印加されると、端部ではそのバイ
アス磁界の方向の磁区が成長し優勢となる。その結果、
バイアス磁界と逆方向に外部磁界が印加された際には、
動作部の中央部に及ぼされる端部の影響は軽減され、極
めて強い一軸磁気異方性などによって本来一方向に磁化
しやすい性質を有するものは、中央部でこれらの材料特
有の磁化反転を示すようになる。したがって、動作部の
中央部にはバイアス磁界の影響が及ばないようにするこ
とが望まれる。
【0015】そのため、本発明においては、前述のよう
な動作部と制御部の位置関係が重要になる。制御部の磁
極が、長さLの動作部のそれぞれの端部から0.3L以
内に存在しない場合には、制御部を同一方向に着磁して
も動作部の不連続磁化反転を誘導しなくなり、また、制
御部が動作部の中央から0.2L以内に存在した場合に
は、中央部にまで大きなバイアス磁界が印加されて制御
部がない時以上にヒステリシスは傾き、磁化反転を困難
にする。
【0016】本発明において、例えば、制御部として磁
気インクを用いた場合、軟磁性体全体に塗布すると塗布
前よりも磁化しにくくなり、特性は大幅に劣化するのに
対して、端部にのみインクを塗布した場合は極めて再現
良く不連続磁化反転が得られる。この例のように、本発
明における条件では、従来に比べてはるかに広い範囲で
不連続磁化反転が誘導され、急峻な磁化反転を得ること
ができる。なお、本発明の磁気素子の制御部を着磁した
ときのヒステリシスは、本質的に非対称となり、交番磁
界を印加すると1サイクルに対して1度不連続磁化反転
を示す。本発明の磁気素子のヒステリシスは原点から正
又は負にシフトし、飽和磁化の8割から9割に達する磁
化反転を示すものである。
【0017】
【実施例】以下、本発明を実施例及び比較例によって具
体的に説明する。 実施例1 動作部として金属細線を、制御部として金属薄帯からな
る切片を、それぞれ用いて図7に示す磁気マーカを作製
した。なお、磁気特性は、交流B−Hトレーサー(A
C,BH−100K、理研電子社製)により60Hzで
測定した。まず、動作部としての金属細線としては、回
転液中紡糸装置により作製された直径125μmのCo
39Fe39Si7 15(数字は原子%を示す。)非晶質金
属細線を110μmまで冷間でダイス線引きした後、約
400℃で熱処理したものを、25mmに切り出して使
用した。図8には、この短い非晶質金属細線の磁気履歴
曲線を示す。この金属細線は強い反磁界のために磁化が
困難となり、角型性が顕著に劣化し連続的な磁化変化し
か示していない。
【0018】このようにパルス発生素子としての特性が
顕著に劣化した短い非晶質金属細線に、金属薄帯からな
る切片を制御部として組み合わせた。金属薄帯切片は、
半硬質磁性薄帯アーノクロム(III)(幅1.5m
m、厚さ約50μm、アーノルド社製)を長さ3mmに
切り出して使用した。この切片は長さ方向が磁化容易方
向であり、着磁すると長さ方向の両端に磁極が発生す
る。また、保磁力は約80Oeと動作部である細線と比
べると大きい。この半硬質磁性切片2枚を非晶質金属細
線の両端部近傍にそれぞれ配置した。このとき、図7に
示すように、切片が非晶質金属細線の先端部と1mm重
なり非晶質金属細線の長手方向に平行になるように2枚
の切片を配置した。
【0019】図9は、このようにして作製された磁気素
子で、制御部が消磁状態の時の磁気特性である。測定は
非晶質金属細線の中央部で行われ、半硬質磁性切片の磁
化を含まないように10mm幅のピックアップコイルを
用いた。制御部が磁化しておらず動作部に磁界をバイア
ス印加しないときは、低磁界での素子の磁気特性は制御
部がない図8の場合とほとんど変わらず、パルス発生素
子としての特性は優れていない。一方、ケミカルコンデ
ンサー式着磁装置SCB−10(理研電子社製)により
6kOeの直流磁場を印加し、非晶質金属細線の長手方
向に着磁すると、図10に示すように、磁気素子の磁気
履歴曲線は原点に対して非対称となり、1サイクルで1
度、2.7Oeで不連続な磁化反転をし、急峻な磁化の
ジャンプを示した。このジャンプで磁化する量は非晶質
金属細線の飽和磁化の64%に達する大きなものであっ
た。
【0020】なお、この特性は、次第に減少する交流磁
界を印加して消磁すると再び消失し、着磁と消磁により
可逆的に制御することができる。一方、着磁した半硬質
切片をはずし、磁化方向が切片同士で互いに逆になるよ
うにして再び非晶質金属細線の両端に配置した場合の特
性を図11に示す。制御部を着磁しても、その磁化方向
が同一でない場合は、磁化の不連続的なジャンプは発生
せず、効果がないことが分かる。このように、半硬質磁
性を有する制御部を軟磁性の動作部両端に配置し、同一
方向に着磁することにより、動作部は反磁界の影響が強
い小型の形状でも良好なパルス発生特性を示すことが明
らかになった。
【0021】比較例1 実施例1と同じ非晶質金属細線と半硬質切片を用いて、
図12に示す配置の磁気素子を作製した。制御部は実施
例1の場合よりも中央よりに配置され、各々の制御部の
中央に近い側の磁極と動作部先端との距離k1 とk2
ともに10mm(動作部全長の40%)、磁極と動作部
中央との距離S1 とS2 はともに2.5mm(動作部全
長の10%)とした。このようにして作製した磁気素子
を実施例1と同様に着磁したときの磁気素子の磁気特性
を図13に示す。動作部は低磁界では極めて磁化され難
くなり、特性は顕著に劣化した。
【0022】そこで、制御部の半硬質切片の長さを変
え、動作部の非晶質金属細線の先端からの距離を種々調
整しながら磁気特性を測定したところ、磁極と動作部先
端との距離k1 とk2 は7.5mm(動作部全長の30
%)を超えると磁化のジャンプが生じないことが判明し
た。また、動作部中央から5mm(動作部全長の20
%)以内に制御部の磁極が発生する場合も、磁気特性が
顕著に劣化することが分かった。また、動作部の非晶質
金属細線の長さを変えて検討しても、同様の現象が見ら
れた。
【0023】実施例2 動作部として金属薄膜を、制御部として磁気インクをそ
れぞれ用いて磁気素子を作製した。これらの試料の磁気
特性は実施例1と同様にして評価した。金属薄膜として
は、永久磁石で磁界を印加しながらスパッタリングし
て、膜厚0.5μmのCo51Fe26Si1013(数字は
原子%を表す。)の合金組成を有する非晶質薄膜を厚さ
125μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フ
ィルムの上に作製したものを用いた。成膜前に、図14
に示すような、短辺15mm、長辺25mmの長方形の
枠を水溶性インク(大阪印刷インク社製)により印刷
し、成膜後にインクを水洗除去することで幅5mm、長
さ25mm、厚さ0.5μmにパターニングした。この
薄膜付きのPETフィルムの磁気特性を図15に示す。
形状が短小であるために反磁界が強く、磁気履歴曲線が
傾いており、急峻な磁化変化は示していない。
【0024】この薄膜の上に、直接磁気インク(戸田工
業社製)を塗布し、制御部を形成した。磁気インクは、
筆により図16のように塗布した。この磁気インクを塗
布した磁気素子を実施例1と同様の方法で着磁した。着
磁後の磁気素子の磁気特性を図17に示す。図15と異
なり、図17では磁化のジャンプが明瞭に認められた。
【0025】比較例2 実施例2と同様の非晶質薄膜と磁気インクを用いて、図
18の配置の磁気素子を作製した。制御部は実施例2の
場合よりも中央よりに配置され、各々の制御部の中央に
近い側の磁極と動作部先端との距離k1 とk2 はともに
10mm(動作部全長の40%)、磁極と動作部中央と
の距離S1 とS2 はともに2.5mm(動作部全長の1
0%)とした。このようにして作製した磁気素子を実施
例1と同様に着磁したときの磁気特性を図19に示す。
動作部は低磁界では極めて磁化され難くなり、特性は顕
著に劣化した。
【0026】そこで、制御部の磁気インクの塗布する長
さを変え、動作部の薄膜先端からの距離を種々調整しな
がら磁気特性を測定したところ、磁極と動作部先端との
距離k1 とk2 は概ね7.5mm(動作部全長の30
%)を超えると磁化のジャンプが生じないことが判明し
た。また、動作部中央から約5mm(動作部全長の20
%)以内に制御部の磁極が発生する場合も、磁気特性が
顕著に劣化することが分かった。また、動作部の薄膜の
長さや幅を変えて検討しても、同様の現象が見られた。
【0027】実施例3 実施例2と同じ非晶質薄膜を動作部とし、制御部として
Fe膜を用いて磁気素子を作製した。実施例2と同様に
水洗により幅5mm、長さ25mm、厚さ0.5μmに
パターニングしたCo51Fe26Si1013(数字は原子
%を表す。)の組成を有する非晶質薄膜の上に、再び水
溶性インク(大阪印刷インク社製)を印刷し、0.1μ
mのFe膜をスパッタし、インクを水洗除去することで
図16と同様の配置の磁気素子を作製した。このとき成
膜されたFe膜の保磁力は約20Oeで、残留磁束密度
(Br )と飽和磁束密度(Bs )の比である各型比(B
r/Bs )はほぼ1であった。この積層膜を実施例1と
同様の方法で着磁し磁気特性を測定したところ、図20
のように磁化のジャンプが認められ、パルス発生素子と
して優れた特性を示した。
【0028】実施例4 動作部としてフィルム上に堆積した金属薄膜を、制御部
としてフィルムに印刷されたインク上に堆積した金属薄
膜をそれぞれ用いて磁気素子を作製した。これらの試料
の磁気特性は実施例1と同様にして評価した。まず、厚
さ125μmのポリエチレンテレフタレート(PET)
フィルムにスクリーン印刷機(ミノグループ社製)を用
いて図21のパターンを印刷した。インクには、水溶性
顔料インク(大阪印刷インク社製)を用いた。得られた
フィルムを150℃にて真空中加熱して乾燥した後、実
施例2と同様の装置を用いて金属薄膜を成膜した。ター
ゲットには純Feを用い、スパッタリングガスとしてエ
チレンを15%含むArガスを用いて、厚さが約0.5
μmの非晶質FeC薄膜を作製した。PETフィルムに
直接堆積したFeC薄膜の保磁力は約0.3Oeである
のに対して、顔料インクの上に堆積した薄膜は約10O
eと極めて大きく硬磁性を示した。顔料インクは、図2
1のように塗布されているため、結果として、軟磁性薄
膜の端部に硬磁性薄膜が隣接して配置された磁気素子と
同じ構成をとっている。PETフィルムからこのパター
ンに沿って1枚の試料を切り出し、実施例1と同様の方
法で着磁し磁気特性を測定したところ、図22のように
磁化のジャンプが認められ、パルス発生素子として優れ
た特性を示した。
【0029】
【発明の効果】本発明の磁気素子は、小型で良好な磁気
特性を有している。また、本発明の磁気素子は、構造が
簡単であるため製造が容易であり、特性の再現性にも優
れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】 動作部のそれぞれの端部近傍に制御部を1つ
ずつ(1対)配置した場合の本発明の磁気素子の一例を
示す概略図である。
【図2】 動作部のそれぞれの端部近傍に制御部を1つ
ずつ(1対)配置した場合の本発明の磁気素子の他の例
を示す概略図である。
【図3】 動作部のそれぞれの端部近傍に制御部を1つ
ずつ(1対)配置した場合の本発明の磁気素子の他の例
を示す概略図である。
【図4】 動作部のそれぞれの端部近傍に制御部を1つ
ずつ(1対)配置した場合の本発明の磁気素子の他の例
を示す概略図である。
【図5】 動作部のそれぞれの端部近傍に2対の制御部
を配置した場合の本発明の磁気素子の一例を示す概略図
である。
【図6】 動作部のそれぞれの端部近傍に2対の制御部
を配置した場合の本発明の磁気素子の他の例を示す概略
図である。
【図7】 実施例1で作製した本発明の磁気素子の概略
図である。
【図8】 実施例1の動作部として用いた非晶質金属細
線(長さ25mm)の磁気履歴曲線である。
【図9】 実施例1で作製した磁気素子における消磁状
態のときの磁気特性を示す磁気履歴曲線である。
【図10】 実施例1で作製した磁気素子の制御部を非晶
質金属細線の長手方向に着磁したときの磁気素子の磁気
特性を示す磁気履歴曲線である。
【図11】 実施例1において、2枚の半硬質切片(制御
部)の磁化方向が互いに逆になるように動作部両端に配
置したときの磁気素子の磁気特性を示す磁気履歴曲線で
ある。
【図12】 比較例1で作製した磁気素子の概略図であ
る。
【図13】 比較例1で作製した磁気素子の制御部を非晶
質金属細線の長手方向に着磁したときの磁気素子の磁気
特性を示す磁気履歴曲線である。
【図14】 実施例2における水溶性インクの印刷パター
ンを示す図である。
【図15】 実施例2で作製した薄膜付きのPETフィル
ムの磁気特性を示す磁気履歴曲線である。
【図16】 実施例2で作製した本発明に磁気素子を示す
概略図である。
【図17】 実施例2で作製した磁気素子の制御部を薄膜
の長手方向に着磁したしたときの磁気素子の磁気特性を
示す概略図である。
【図18】 比較例2で作製した磁気素子を示す概略図で
ある。
【図19】 比較例2で作製した磁気素子の制御部を薄膜
の長手方向に着磁したときの磁気素子の磁気特性を示す
磁気履歴曲線である。
【図20】 実施例3で作製した磁気素子の制御部を薄膜
(動作部)の長手方向に着磁したときの磁気素子の磁気
特性を示す磁気履歴曲線である。
【図21】 実施例4における水溶性インクの印刷パター
ンを示す図である。
【図22】 実施例4で作製した磁気素子の制御部の薄膜
(動作部)の長手方向に着磁したときの磁気素子の磁気
特性を示す磁気履歴曲線である。
【符号の説明】
1 動作部 2 制御部

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外部の磁界変化に対して磁化が急激に変
    化する動作部と、この動作部より大きな保磁力を有する
    少なくとも1対の制御部とからなる磁気素子であって、
    動作部の長さをLとした場合、制御部が、動作部の端部
    から0.3L以内に制御部の磁極が発生し得るように配
    置されてなり、かつ動作部の中央から0.2L以内に制
    御部が存在しないように配置されてなることを特徴とす
    る磁気素子。
JP7340291A 1995-12-27 1995-12-27 磁気素子 Pending JPH09180936A (ja)

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