JPH10115943A - 有機光導電体素子 - Google Patents

有機光導電体素子

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JPH10115943A
JPH10115943A JP8268471A JP26847196A JPH10115943A JP H10115943 A JPH10115943 A JP H10115943A JP 8268471 A JP8268471 A JP 8268471A JP 26847196 A JP26847196 A JP 26847196A JP H10115943 A JPH10115943 A JP H10115943A
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JP
Japan
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group
layer
hole
organic photoconductor
resin
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JP8268471A
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English (en)
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Masahito Ueda
将人 上田
Takenori Osada
剛規 長田
Fumi Yamaguchi
扶美 山口
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Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Chemical Co Ltd
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Publication date
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy
    • Y02E10/549Organic PV cells

Abstract

(57)【要約】 【課題】高感度と高速応答特性のポリシラン化合物系有
機光導電体素子を提供 【解決手段】一方が透明または半透明である一対の電極
間に、正孔輸送層を含む有機光導電体素子であって、該
正孔輸送層が、主鎖骨格が下記一般式(1) 【化1】 〔式中、R1 、R2 は、置換されていてもよいアルキル
基他基を、Ar1 は置換されていてもよいアリーレン基
を、Ar2 は置換されていてもよいアリール基を。ま
た、Ar1 −Ar2 間、Ar1 −R2 間、R2 −Ar2
間に環を形成していてもよい。〕で示される繰り返し構
造単位と、下記一般式(2) 【化2】 〔式中、R3 、R4 は、置換されていてもよいアルキル
基他を表す。〕で表される繰り返し構造単位とからな
り、(1)と(2)の総単位数に対する(1)及び
(2)の単位数の比をz及び1−zの時、0.2≦z≦
1、重量平均分子量5000以上、かつ正孔ドリフト移
動度が10-3〜10-1cm2 /Vsecであるポリシラ
ン化合物を含むことを特徴とする有機光導電体素子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、受光素子、太陽電
池、空間光変調器等に用いられる有機光導電体素子、さ
らに詳しくは特定の繰り返し構造単位よりなるポリシラ
ン化合物を含む有機光導電体素子に関するものである。
ここで光導電体とは、単独あるいは他の材料と組み合わ
せ、それに光を照射することによって電気的応答を示す
ものをいう。
【0002】
【従来の技術】従来、受光素子、太陽電池、空間光変調
器等に用いられる正孔輸送性材料または電子輸送性材料
としては、その正孔ドリフト移動度または電子ドリフト
移動度の大きさおよび耐久性の面から非晶質セレン、非
晶質ケイ素等の無機材料が主として用いられてきた。し
かしながら、非晶質セレン等は有害物質を含有している
場合が多く、その廃棄や公害対策が問題となっている。
また、無機材料は、真空蒸着法、プラズマCVD法等に
より薄膜を形成する必要があり、生産性が劣ることから
生産コスト増加の原因となっている。
【0003】一方、正孔のみを輸送するものが殆どであ
る有機材料は、無公害の利点を有しており、塗工により
薄膜形成が可能で、大面積化、大量生産が容易である。
そのため、生産コストが大幅に低減でき、また、用途に
応じて様々な形状に加工することができるという長所を
有している。しかしながら、従来の有機正孔輸送性材料
は、その正孔ドリフト移動度が低いという問題があり、
高い正孔ドリフト移動度を有した有機の正孔輸送性材料
の出現が強く望まれ、有機の正孔輸送性材料の正孔ドリ
フト移動度を向上させる研究が種々行われてきた。
【0004】有機正孔輸送性材料としては、炭素系光導
電性高分子材料および低分子正孔輸送性物質をバインダ
ー樹脂に分散させた材料が公知である。例えば、炭素系
光導電性高分子材料としてはポリビニルカルバゾールが
知られている。しかしながら、ポリビニルカルバゾール
は、その正孔ドリフト移動度が、室温(約25℃)にお
いて約10-7cm2 /Vsecと著しく低いという欠点
がある。
【0005】一方、低分子正孔輸送性物質をバインダー
樹脂に分散させた材料としては、アリールアミン誘導体
やヒドラゾン誘導体等をポリカーボネイト等のバインダ
ー樹脂に分散したものが知られている。例えば、ビフェ
ニルジアミン化合物とポリカーボネイトの混合物につい
て、ビフェニルジアミン化合物の濃度が約50重量%の
場合、室温(約25℃)において、正孔ドリフト移動度
は約10-5cm2 /Vsecであるが、ビフェニルジア
ミン化合物の濃度が約80重量%では約10-4cm2
Vsecに、ビフェニルジアミン化合物単独では約10
-3cm2 /Vsecまで増大することが開示されている
〔ジャーナル・オブ・フィジカル・ケミストリー(Jo
ural of Physical Chemistr
y)第88巻(1984)4707頁〕。
【0006】しかしながら、低分子正孔輸送性物質を樹
脂に分散した材料の欠点として、低分子正孔輸送性物質
の濃度が高くなると、分子の結晶化が起こり易く成形性
が著しく悪くなることが挙げられる。
【0007】近年、ケイ素を主骨格とするポリシラン化
合物が注目されてきた。ポリシラン化合物は、溶媒可溶
性で成膜性に優れているだけでなく、主鎖のケイ素−ケ
イ素結合を通して非局在化した電子が移動することによ
って正孔が伝導する半導体としての特性を持つことか
ら、有機電子材料として期待されるようになった〔フィ
ジカル・レビュー・ビー(Physical Revi
ew B)第35巻(1987)2818頁〕。
【0008】特に、フェニルメチルポリシランは、正孔
ドリフト移動度が高分子単独材料としては最も高く、室
温(約25℃)において約10-4cm2 /Vsecに達
することが知られている。しかしながら、フェニルメチ
ルポリシランを含めて、従来から知られているアルキル
基やアリール基を側鎖に持ったポリシラン化合物の正孔
ドリフト移動度は、約10-4cm2 /Vsec以下に留
まっており、現状では、ポリシラン化合物単独で、室温
で10-3cm2 /Vsec以上の正孔ドリフト移動度を
持つものは報告されていない。
【0009】従来から知られているポリシラン化合物を
イメージセンサの有機光導電体層用の正孔輸送性材料と
して用いること(特開平2−155270号公報)が提
案されているが、それらのポリシラン化合物を用いた有
機光導電体素子では未だ十分な感度と応答速度が得られ
ていない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
した従来の有機光導電体素子の問題を解決し、容易に作
成でき、好感度で応答特性に優れた有機光導電体素子を
提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる事
情に鑑み、ポリシラン化合物を正孔輸送性材料として用
いた有機光導電体素子の感度、応答特性を一層向上させ
るために鋭意検討した結果、側鎖にアリールアミノアリ
ーレン基を導入して正孔ドリフト移動度を向上させたポ
リシラン化合物を正孔輸送性材料に用いることにより、
感度および応答特性に優れた有機光導電体素子が得られ
ることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0012】本発明は、少なくとも一方が透明または半
透明である一対の電極間に、少なくとも正孔輸送層を含
む有機光導電体素子であって、正孔輸送層が、主鎖骨格
が下記一般式(1)
【0013】
【化3】
【0014】〔式中、R1 およびR2 は、それぞれ独立
に、置換されていてもよい、アルキル基、シクロアルキ
ル基、アリール基またはアラルキル基を表し、Ar1
置換されていてもよいアリーレン基を表し、Ar2 は置
換されていてもよいアリール基を表す。また、Ar1
Ar2 の間、Ar1 とR2 の間、あるいはR2 とAr 2
の間に環を形成していてもよい。〕で示される繰り返し
構造単位と、下記一般式(2)
【0015】
【化4】
【0016】〔式中、R3 およびR4 は、それぞれ独立
に、置換されていてもよい、アルキル基、シクロアルキ
ル基、アリール基またはアラルキル基を表す。〕で表さ
れる繰り返し構造単位とからなり、繰り返し構造単位
(1)と(2)の総単位数に対する繰り返し構造単位
(1)および(2)の単位数の比をそれぞれzおよび1
−zとしたとき、0.2≦z≦1であり、重量平均分子
量が5000以上であり、かつ正孔ドリフト移動度が1
-3〜10-1cm2 /Vsecであるポリシラン化合物
を含むことを特徴とする有機光導電体素子に関するもの
である。以下、本発明の有機光導電体素子について詳細
に説明する。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の有機光導電体素子は、正
孔輸送性材料として特定の繰り返し構造単位を有するポ
リシラン化合物を含むことを特徴とする。
【0018】本発明の有機光導電体素子の正孔輸送性材
料として用いられるポリシラン化合物における側鎖とし
てのアリールアミノアリーレン基の、置換されていても
よいアリーレン基Ar1 としては、6〜24個の炭素原
子を有するアリーレン基が好ましく、例えば、置換され
ていてもよいフェニレン基、ナフチレン基、アンスリレ
ン基等が例示され、置換されていてもよいフェニレン基
が好ましい。また、置換されていてもよいアリール基A
2 としては、6〜24個の炭素原子を有するアリール
基が好ましく、例えば、置換されていてもよいフェニル
基、ナフチル基、アンスリル基等が例示され、置換され
ていてもよいフェニル基が好ましい。
【0019】側鎖としてのアリールアミノアリーレン基
中のR2 としては、置換されていてもよい、10個以下
の炭素原子を有する直鎖状、分岐状のアルキル基または
シクロアルキル基、6〜24個の炭素原子を有するアリ
ール基または7〜26個の炭素原子を有するアラルキル
基が好ましく、置換されていてもよい6〜24個の炭素
原子を有するアリール基がさらに好ましく、置換されて
いてもよいフェニル基が特に好ましい。
【0020】ここで、アルキル基としては、例えば、メ
チル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、
n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル
基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基
等を、シクロアルキル基としては、例えば、シクロヘキ
シル基等を、アリール基としては、例えば、フェニル
基、ナフチル基、アンスリル基等を、アラルキル基とし
ては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、p−メチル
ベンジル基等をあげることができる。
【0021】ここで、置換されていてもよいアリーレン
基Ar1 、置換されていてもよいアリール基Ar2 なら
びに置換されてもよい、アルキル基、シクロアルキル
基、アリール基またはアラルキル基であるR2 の置換基
としては、6個以下の炭素原子を有する直鎖状、分枝状
のアルキル基またはシクロアルキル基が好ましく、メチ
ル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n
−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、
ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等が例示さ
れ、メチル基、エチル基が特に好ましい。
【0022】本発明の有機光導電体素子の正孔輸送性材
料として用いられるポリシラン化合物におけるアリール
アミノアリーレン基以外の側鎖R1 、R3 およびR4
しては、それぞれ独立に、置換されていてもよい10個
以下の炭素原子を有する直鎖状、分岐状のアルキル基ま
たはシクロアルキル基、6〜24個の炭素原子を有する
アリール基、7〜26個の炭素原子を有するアラルキル
基が好ましい。
【0023】具体例としては、アルキル基として、例え
ば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピ
ル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブ
チル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシ
ル基等を、シクロアルキル基としては、例えば、シクロ
ヘキシル基等を、アリール基としては、例えば、フェニ
ル基、ナフチル基、アンスリル基等を、アラルキル基と
しては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、p−メチ
ルベンジル基等があげられる。
【0024】置換されていてもよいアルキル基、シクロ
アルキル基、アリール基およびアラルキル基の置換基と
しては、6個以下の炭素原子を有する直鎖状、分岐状の
アルキル基またはシクロアルキル基で、例えば、メチル
基、エチル基、n−プロピル基、イソブロピル基、n−
ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペ
ンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等があげられ
る。
【0025】本発明の有機光導電体素子の正孔輸送性材
料として用いられるポリシラン化合物の繰り返し構造単
位(1)と(2)の総単位数に対する繰り返し構造単位
(1)および(2)の単位数の比をそれぞれzおよび1
−zとしたとき、zは0.2≦z≦1であり、好ましく
は、0.5≦z≦1の範囲、特に好ましくは、z=1の
ものである。zが0.2未満の場合は、側鎖のアリール
アミノアリーレン基の効果が小さくなり、正孔ドリフト
移動度の向上がみられないことから好ましくない。
【0026】本発明の有機光導電体素子の正孔輸送性材
料として用いられるポリシラン化合物の重量平均分子量
は、5000以上、好ましくは10000以上、さらに
好ましくは100000以上である。重量平均分子量が
5000未満の場合は、高分子の特徴である成形性が著
しく低下する。
【0027】本発明の有機光導電体素子の正孔輸送性材
料として用いられるポリシラン化合物の正孔ドリフト移
動度は、10-3〜10-1cm2 /Vsecである。正孔
ドリフト移動度が10-3未満であると、本発明が目標と
する高いレベルの応答特性を達成することができない。
【0028】本発明の有機光導電体素子の正孔輸送性材
料として用いられるポリシラン化合物の合成法には特に
制限はないが、Kipping法として公知である方
法、例えば、ジャーナル・オブ・オルガノメタリック・
ケミストリー(Journalof Organome
tallic Chemistry)第C27巻(19
80)198頁、または、ジャーナル・オブ・ポリマー
・サイエンス、ポリマー・ケミストリー・エディション
(Journal of Polymer Scien
ce:Polymer Chemistry Edit
ion)第22巻(1984)159頁に記載されてい
る方法が例示される。
【0029】すなわち、酸素および水分を除去した高純
度の不活性化雰囲気下、例えば、高純度アルゴンガス雰
囲気下で、下記一般式(3)で表されるジハロシランモ
ノマー、あるいは下記一般式(3)および(4)で表さ
れるジハロシランモノマーの混合物を不活性溶媒中でア
ルカリ金属に接触させて縮重合反応させることにより得
られる。
【0030】
【化5】
【0031】〔式中、Xはハロゲン原子を表し、R1
2 、Ar1 およびAr2 は前記と同じ意味を表す。〕
【0032】
【化6】
【0033】〔式中、Xはハロゲン原子を表し、R3
よびR4 は前記と同じ意味を表す。〕
【0034】ここで、ジハロシランモノマーのハロゲン
元素としては最も一般的な塩素の他に臭素やヨウ素原子
を用いることができる。また、アルカリ金属としてはナ
トリウム、カリウムおよびこれらを含む合金が用いら
れ、これらアルカリ金属は溶融状態、または微粒子に分
散した状態で反応に供される。
【0035】また、不活性溶媒は、ジハロシランモノマ
ーを溶解可能で、ナトリウム金属と前記ジハロシランモ
ノマーに対して不活性な溶媒であればよく、例えば、ト
ルエン、キシレン、ベンゼン等の芳香族炭化水素類、ド
デカン、ヘプタン、ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪
族炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラ
ン、ジエチレングリコールジメチルエーテルテトラヒド
ロピラン等のエーテル系溶媒が使用可能である。
【0036】縮合反応は室温から溶媒の沸点の間の温
度、好ましくは60℃から100℃または溶媒の沸点の
低い方の温度で行なうことが可能であり、反応時間には
特に制限はなく、例えば15分から24時間の範囲が工
業的好ましい。
【0037】Kipping法に供することのできる種
々の置換基を有するジハロシランモノマーは公知の合成
法に基づいて合成できる。すなわち、いわゆる直接法に
よって工業的に生産されるアルキルトリクロロシランや
テトラクロロシランと有機化合物のグリニャール試剤や
リチウム塩を用いたメタセシス反応やヒドロシランとオ
レフィンやアセチレン化合物のヒドロシリル化反応によ
り得ることができる。
【0038】本発明は、積層型または単層型の有機光導
電性素子、または積層型または単層型の有機光導電体か
らなる層と液晶層とを組み合わせた空間光変調器等に適
用することができる。例えば、第1図に示すように、下
部電極1上に電荷発生層2を形成し、この電荷発生層上
に、前記ポリシラン化合物を含む正孔輸送層3を設け、
さらにその上に上部電極を設けることができる。あるい
は逆に、第2図に示すように、下部電極1上に、前記ポ
リシラン化合物を含む正孔輸送層3を設け、この正孔輸
送層上に電荷発生層2を設け、さらにその上に上部電極
を設けることもできる。さらに、第3図に示すように、
下部電極1上に、前記ポリシラン化合物を含む正孔輸送
性材料3′中に電荷発生物質2′を分散させたものを光
導電体層4として単層に設け、さらにその上に上部電極
を設けることもできる。また、第4図に示すように、下
部電極1上に第1図または第2図に示すのと同様な電荷
発生層と正孔輸送層からなる積層型有機光導電体層、あ
るいは第3図に示す単層型有機光導電体層を形成し、そ
の上に液晶層および配向膜を設け、さらにその上に上部
電極を設けて空間光変調器とすることもできる。
【0039】上記電荷発生物質としては、例えば、セレ
ン、セレン−テルル、アモルファスシリコン、ピリリウ
ム塩、アゾ系顔料、ジスアゾ系顔料、アンサンスロン系
顔料、フタロシアニン系顔料、インジゴ系顔料、スレン
系顔料、トルイジン系顔料、ピラゾリン系顔料、ペリレ
ン系顔料、キナクリドン系顔料等をあげることができ、
所望の波長域に感度を有するよう、一種または二種以上
混合して用いることができる。
【0040】積層型有機光導電体層の電荷発生層を形成
する方法としては、真空蒸着法等により該電荷発生物質
を層状に蒸着する方法、バインダー樹脂に該電荷発生物
質を分散させた形で塗布により層状に成膜する方法があ
げられる。電荷発生層を塗布により成膜するための塗布
液は、電荷発生物質、バインダー樹脂と溶媒を混合し、
従来公知の方法、例えば、ロールミル、ボールミル、ア
トライタ、ペイントシェイカーあるいは超音波分散器を
用いて分散させ調整することができる。電荷発生層は、
該塗布液を従来公知の塗布方法、例えばディッピング
法、スプレーコート法、ワイヤーバー法、ドクターブレ
ード法、ロールコーティング法、スピンコーティング法
等により塗布形成される。また、電荷発生層形成後に、
減圧下あるいは不活性雰囲気下、30〜300℃、好ま
しくは60〜200℃の温度で加熱乾燥することが望ま
しい。
【0041】電荷発生物質を分散させるバインダー樹脂
としては、種々の樹脂が使用でき、例えば、ポリカーボ
ネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、
スチレン系重合体、アクリル系重合体、スチレン−アク
リル系共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ
プロピレン樹脂、オレフィン系重合体、ポリ塩化ビニル
樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル
樹脂、アルキッド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン
樹脂、エポキシ樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコ
ーン樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポ
リエーテル樹脂、フェノール樹脂や、エポキシアクリレ
ート樹脂等の光硬化型樹脂等各種の重合体が例示でき
る。これらのバインダー樹脂は、一種または二種以上混
合して用いることもできる。
【0042】また、電荷発生層を形成する塗布液を調整
するのに使用する溶剤としては、バインダー樹脂を溶解
すればよく、種々の有機溶剤が使用できる。例えば、メ
タノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール
等のアルコール類、n−ヘキサン、オクタン、シクロヘ
キサン等の脂肪族系炭化水素、ベンゼン、トルエン、キ
シレン等の芳香族炭化水素、ジクロロメタン、ジクロロ
エタン、四塩化炭素、クロロベンゼン等のハロゲン化炭
化水素、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラ
ヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、
ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル
類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン等
のケトン類、酢酸エチル、酢酸メチル等のエステル類、
ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の溶剤
があげられ、これらを一種または二種以上混合して用い
られる。第1図または第2図の積層型感光体では、電荷
発生層の厚みとしては、0.01〜0.5μmの範囲に
あるのが好ましい。
【0043】積層型有機光導電体層の正孔輸送層を形成
する方法としては、ポリシラン化合物を溶媒に溶解し、
塗布により層状に成膜する方法があげられる。その方法
としては、従来公知の塗布方法、例えばディッピング
法、スプレーコート法、ワイヤーバー法、ドクターブレ
ード法、ロールコーティング法、スピンコーティング法
等により塗布形成される。また、正孔輸送層形成後に、
減圧下あるいは不活性雰囲気下、30〜300℃、好ま
しくは60〜200℃の温度で加熱乾燥することが望ま
しい。このときの正孔輸送層の厚みとしては、0.05
〜50μmの範囲にあるのが好ましく、特に好ましくは
0.1〜10μmの範囲である。
【0044】正孔輸送層を形成する塗布液を調整するの
に使用する溶剤としては、ポリシラン化合物を溶解すれ
ばよく、種々の有機溶剤が使用できる。例えば、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒、ジエチルエ
ーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、クロ
ロホルム等のハロゲン系溶媒が挙げられる。
【0045】単層型有機光導電体層を形成する方法とし
ては、ポリシラン化合物に該電荷発生物質を分散させた
形で塗布により層状に成膜する方法があげられる。
【0046】単層型有機光導電体層を塗布により成膜す
るための塗布液は、ポリシラン化合物、電荷発生物質と
溶媒を混合し、従来公知の方法、例えば、ロールミル、
ボールミル、アトライタ、ペイントシェイカーあるいは
超音波分散器を用いて分散させ調整する。あるいは、電
荷発生物質と溶媒を混合し、従来公知の方法、例えば、
ロールミル、ボールミル、アトライタ、ペイントシェイ
カーあるいは超音波分散器を用いて電荷発生物質を分散
させた溶液を調整し、この溶液にポリシラン化合物を溶
解することにより塗布液を調整することができる。この
とき、電荷発生物質は塗布液中にポリシラン化合物10
0重量部に対して1〜15重量部の範囲の量で存在する
のが好ましく、特に好ましくは5〜10重量部の範囲で
ある。
【0047】単層型有機光導電体層は、該塗布液を従来
公知の塗布方法、例えばディッピング法、スプレーコー
ト法、ワイヤーバー法、ドクターブレード法、ロールコ
ーティング法、スピンコーティング法等により塗布形成
される。また、単層型有機光導電体層形成後に、減圧下
あるいは不活性雰囲気下、30〜300℃、好ましくは
60〜200℃の温度で加熱乾燥することが望ましい。
このときの単層型有機光導電体層の厚みとしては、0.
05〜50μmの範囲にあるのが好ましく、特に好まし
くは0.1〜10μmの範囲である。
【0048】単層型有機光導電体層を形成する塗布液を
調整するのに使用する溶剤としては、ポリシラン化合物
を溶解すればよく、種々の有機溶剤が使用できる。例え
ば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒、
ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系
溶媒、クロロホルム等のハロゲン系溶媒があげられ、こ
れらを一種または二種以上混合して用いられる。
【0049】積層型有機光導電体層あるい単層型有機光
導電体層と液晶層からなる空間光変調器を構成する場合
の液晶としては、液晶性を示せばよく特に制限されない
が、例えば、強誘電性液晶、ネマティック液晶、スメク
ティック液晶、コレステリック液晶があげられる。液晶
層の膜厚としては、好ましくは1〜50μm、より好ま
しくは2〜20μmである。配向膜としては、ポリイミ
ド、ポリアミド、ポリビニルアルコール等の有機高分子
膜、または、酸化シリコン、窒化シリコン、TiSi等
の無機膜が用いられる。また、これらの膜にはラビング
法や斜方蒸着法等により一軸性配向処理を施すことが望
ましい。スペーサーとしては、ファイバー状、球状のシ
リカガラス等があげられる。本発明に関わるポリシラン
化合物は、単独でも積層型有機光導電体層の正孔輸送
層、あるいは単層型有機光導電体層の正孔輸送性材料と
して用いることができるが、光学特性や正孔輸送性をそ
こなわない範囲で低分子正孔輸送性物質を混合して用い
ることもできる。低分子正孔輸送性物質としては特に制
限はないが、例えば、アリールアミン誘導体、スチルベ
ン誘導体、ヒドラゾン誘導体があげられる。
【0050】本発明に関わるポリシラン化合物が高分子
量の場合は、単独でも積層型有機光導電体層の正孔輸送
層あるいは単層型有機光導電体層を形成することができ
るが、光学特性正孔輸送性をそこなわない範囲で、膜強
度を高めるために他のバインダー樹脂を混合して用いて
もよい。このときに用いられるバインダー樹脂として
は、特に制限はないが、疎水性でかつフィルム形成能を
有する高分子重合体が望ましい。このような重合体とし
て例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹
脂、ポリスルホン樹脂、スチレン系重合体、アクリル系
重合体、スチレン−アクリル系共重合体、エチレン−酢
酸ビニル共重合体、ポリプロピレン樹脂、オレフィン系
重合体、ポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル
共重合体、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリア
ミド樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ジアリル
フタレート樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、ポリビ
ニルブチラール樹脂、ポリエーテル樹脂、フェノール樹
脂や、エポキシアクリレート樹脂等の光硬化型樹脂等各
種の重合体が例示できる。これらのバインダー樹脂は、
一種または二種以上混合して用いることもできる。
【0051】上述した電荷発生層と正孔輸送層からなる
積層型有機光導電体層および単層型有機光導電体層には
感度の向上や安定性の向上を目的として、色素増感剤あ
るいは化学増感剤を含有させることができる。
【0052】色素増感剤としては、例えば、マラカイト
グリーン、クリスタルバイオレット、メチルバイオレッ
ト、ナイトブルー、ビクトリアブルー、ローダミンB、
カプリブルー、メチレンブルー、フクシン、ローズベン
ガル、ホリメチン色素、チオキサンチン系顔料等があげ
られる。
【0053】化学増感剤としては、例えば、無水酢酸、
無水コハク酸、無水マレイン酸、ジブロム無水コハク
酸、無水フタル酸、テトラクロル無水フタル酸、テトラ
ブロム無水フタル酸、3−ニトロ無水フタル酸、4−ニ
トロ無水フタル酸、無水ピロメリット酸、無水メリット
酸、無水テトラカルボン酸等の無水酸類、p−ベンゾキ
ノン、2,5−ジクロルベンゾキノン、ベンゾフェノン
テトラカルボン酸,2,6−ジクロルベンゾキノン、ク
ロルアニル、ジクロルジシアノーp−ベンゾキノン、ア
ントラキノン、2−メチルアントラキノン、ジニトロア
ントラキノン、フェナントレン−キノン、アセナフテン
キノン、ピラントレンキノン、クリセン−キノン、チオ
−ナフテン−キノン等のキノン類、トリフタロイル−ベ
ンゼン、4−ニトロベンズアルデヒド、、2,6−ジク
ロルベンズアルデヒドアントラセン−9−アルデヒド、
ピリジン−2,6−ジアルデヒド、ビンフェニル−4−
アルデヒド等のアルデヒド類、4−クロル−3−ニトロ
ベンゼン−フォスフォニックアシッド等の有機フォスフ
ォニックアシッド類、4−ニトロフェノール等のニトロ
フェノール類、塩化アルミニウム、塩化亜鉛、塩化第二
鉄、四塩化スズ、五塩化アンチモン、塩化マグネシウ
ム、臭化マグネシウム、臭化カルシウム、塩化第一マン
ガン、塩化第一コバルト、塩化第二コバルト等のハロゲ
ン化金属、三弗化ホウ素、三塩化ホウ素等のハロゲン化
ホウ素化合物、アセトフェノン、ベンゾベノン、2−ア
セチル−ナフタリン、ベンジル、ベンゾイン、5−ベン
ゾイル−アセナフテン、9−アセチル−アントラセン、
9−ベンゾイル−アントラセン、アセナフテンキノン−
ジクロライド、アニシル、2,2−ピリジル、フリル等
のケトン類、テトラジアノエチレン、テトラシアノキノ
ジメタン、o−ジニトロベンゼン、m−ジニトロベンゼ
ン、1,3,5−トリニトロベンゼン、p−ニトロベン
ゾニトリル、ビクリルクロライド、キノンクロルイミ
ド、クロラニル、ブロマニル、9−フルオレニリデンマ
ロノジニトリル、ポリニトロー9ーフルオレニリデンマ
ロノジニトリル、ピクリン酸、o−ニトロ安息香酸、p
−ニトロ安息香酸、3,5−ジニトロ安息香酸、ペンタ
フルオロ安息香酸、5−ニトロサリチル酸、3,5−ジ
ニトロサリチル酸、フタル酸、メリット酸等をあげるこ
とができる。色素増感剤あるいは化学増感剤の添加割合
は、電荷発生物質100重量部に対して0.01〜20
0重量部が好ましく、さらには0.1〜100重量部が
好ましい。
【0054】また、上述した電荷発生層と正孔輸送層か
らなる積層型有機光導電体層および単層型有機光導電体
層中には保存性、耐久性、耐環境依存性を向上させる目
的で酸化防止剤や光安定剤等の劣化防止剤を含有させる
ことができる。そのような目的に用いられる化合物とし
ては例えば、クロマノール誘導体およびそのエーテル化
化合物もしくはエステル化化合物、ポリアリールアルカ
ン化合物、ハイドロキノン誘導体およびそのモノおよび
ジエーテル化化合物、ベンゾフェノン誘導体、ベンゾト
リアゾール誘導体、チオエーテル化合物、ホスホン酸エ
ステル、亜燐酸エステル、フェニレンジアミン誘導体、
フェノール化合物、ヒンダードフェノール化合物、直鎖
アミン化合物、環状アミン化合物などが有効である。
【0055】有機光導電体素子の下部電極または上部電
極の少なくとも一方は透明または半透明でなければなら
ない。どちらも不透明な場合、素子に光を照射しても、
電気的応答を示さず、好ましくない。
【0056】下部電極の材料としては、導電性を有する
種々の材料が使用でき、例えば、アルミニウム、銅、
錫、白金、金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、
カドミウム、チタン、ニッケル、インジウム、ステンレ
ス鋼、真鍮等の金属単体または、ガラス、プラスチック
材料の上に形成された上記金属薄膜が用いられる。ある
いは、ポリアニリン、ポリアセチレン等の導電性高分子
の薄膜を用ることもできる。また、下部電極を透明また
は半透明な電極とする場合は、導電性の金属酸化物膜、
上記金属の半透明薄膜等が用いられる。具体的にはイン
ジウム・スズ・オキサイド(ITO)、酸化スズ等から
なる導電性ガラスを用いて作成された膜(NESAな
ど)、アルミニウム、銅、錫、白金、金、銀、バナジウ
ム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケ
ル、インジウム、ステンレス鋼、真鍮等の金属が用いら
れる。薄膜の作製方法としては真空蒸着法、スパッタリ
ング法、メッキ法等が例示される。
【0057】上部電極の材料としては、導電性を有する
種々の材料が使用でき、例えば、アルミニウム、銅、
錫、白金、金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、
カドミウム、チタン、ニッケル、インジウム、等を薄膜
上に成膜して用いられる。あるいは、ポリアニリン、ポ
リアセチレン等の導電性高分子の薄膜を用ることもでき
る。また、上部電極を透明または半透明な電極とする場
合は、導電性の金属酸化物膜、上記金属の半透明薄膜等
が用いられる。具体的にはインジウム・スズ・オキサイ
ド(ITO)、酸化スズ、アルミニウム、銅、錫、白
金、金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミ
ウム、チタン、ニッケル、インジウム等が用いられる。
薄膜の作製方法としては真空蒸着法、スパッタリング
法、メッキ法等が例示される。
【0058】
【実施例】以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこ
れらの実施例に限定されるものではない。以下の実施例
において、ポリマーの分子量は、ゲルパーミエーション
クロマトグラフ(Waters社、Maxima−82
0、カラム Ultrastyragel Linea
r:移動相テトラヒドロフラン)を用いて、ポリスチレ
ン換算の数平均分子量および重量平均分子量を測定し
た。構造解析は、 1H、13C−NMR(Bruker社
モデルAC200P)により行なった。正孔ドリフト移
動度は、スタンダードタイムオブフライト法のような既
知の方法で測定した(Joseph Mort及びD.
Pai編、Photoconductivity an
d Related Phenomena(New Y
ork,1976)27〜69頁)。電流−電圧特性
は、ヒューレットパッカード社製pAメーター/DCボ
ルテージソース、モデルHP4140Bを用いて測定し
た。
【0059】合成例1 [エチル(N,N’−ジフェニルアミノフェニル)ジク
ロロシランの合成]以下において特に記載しない場合
は、反応はシュレンク法として知られている方法に基づ
いて、乾燥アルゴン雰囲気下で行なうものとする。20
0℃で乾燥し熱いうちに組み上げ、真空下で冷却し乾燥
アルゴンを満たした100ml2つ口フラスコに、4.
7gの(4−N,N−ジフェニルアミノ)ブロモベンゼ
ンを装荷し、真空下で溶融乾燥した。これに直前にナト
リウム上で蒸留した乾燥テトラヒドロフラン20mlを
ガスタイトシリンジを用いて加え(4−N,N−ジフェ
ニルアミノ)ブロモベンゼンを溶解した後、−78℃で
n−ブチルリチウム(Aldrich社1.6N ヘキ
サン溶液)9.4mlを滴下し1時間反応させて(4−
N,N−ジフェニルアミノ)フェニルリチウムを生成さ
せた。
【0060】同様に乾燥した100ml2つ口フラスコ
に直前に水素化カルシウム上で蒸留したエチルトリクロ
ロシラン(信越化学製 LS−120)3.4gと乾燥
テトラヒドロフラン15mlを装荷し、−78℃に冷却
した後、前記の(4−N,N−ジフェニルアミノ)フェ
ニルリチウムをカニューラを用いて滴下した。滴下後、
一晩反応を行なった後、過剰のエチルトリクロロシラン
と溶媒を留去し、Kugelrohrを用いて蒸留し
2.8gのエチル(N,N−ジフェニルアミノフェニ
ル)ジクロロシランを得た。収率は45%であった。
【0061】 構造解析データ(NMR) 1 H−NMR 0.97〜1.06ppm(3H) CH3 CH2 −Si 1.12〜1.25ppm(2H) CH3 CH2 −Si 6.90〜7.40ppm(12本:14H)(C6 5 2 N(C6 4 ) −Si (ジオキサン3.57ppm基準) 13C−NMR 6.4ppm CH3 CH2 −Si 13.3ppm CH3 CH2 −Si 121〜151ppm(8本)(C6 5 2 N(C6 4 )−Si (重クロロホルム77.1ppm基準)
【0062】合成例2 [ポリシラン化合物の合成と評価]200℃で乾燥した
50mlの3つ口フラスコにラバーセプタム、アルゴン
シールを装荷し、真空引きと乾燥アルゴン充填を繰り返
しながら冷却した。このフラスコに乾燥窒素雰囲気で金
属ナトリウム0.7gを装荷し、ナトリウム上で乾燥し
直前に蒸留したトルエン16mlを加えた。このフラス
コを乾燥アルゴン流通下、超音波分散機(Branso
n社製450型)にセットし、100℃〜105℃に加
熱しながら超音波を照射してナトリウムを平均粒径で5
0μmに分散させた。分散後フラスコを静置し上澄みの
過剰のトルエン12mlをシリンジで除いた。
【0063】同様に乾燥した50ml3つ口フラスコに
磁気撹拌子、熱電対、ラバーセプタムを装着し、合成例
1と同様にして合成したエチル(N,N−ジフェニルア
ミノフェニル)ジクロロシラン4.9gと乾燥トルエン
4mlを加え溶液とした。このフラスコを80℃に昇温
した後、前記のナトリウム分散液をテフロン製カニュー
ラを用い約10分間かけて滴下した。滴下によってフラ
スコ内の温度は一時的に120℃まで上昇した。滴下開
始後4時間反応を行なった。
【0064】反応終了後、アルゴン流通下で20mlの
トルエンと3mlのイソプロピルアルコールをフラスコ
に加え過剰の金属ナトリウムを失活させ、さらに蒸留水
約10mlを加えて紫色の沈殿を溶解した。沈殿物を遠
心分離操作で分離、トルエンで2回洗浄し可溶物をトル
エン溶液として回収した。トルエン溶液を水洗し、無水
硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を留去しガラス状
の物質を得た。このガラス状物質をテトラヒドロフラン
溶液とし、イソプロピルアルコールで再沈、精製を繰り
返し、ポリマー0.24g(収率6%)を得た。
【0065】 構造解析データ(NMR) 1H−NMR −0.6〜0.6ppm(5H) CH3 CH2 −Si 6.6〜7.2ppm(14H) (C6 5 2 N(C6 4 )−Si
【0066】 元素分析(重量%) Si C H N 実測値 8.2 80.0 6.4 4.7 予想値 9.3 80.0 5.6 4.6
【0067】分子量 重量平均分子量= 1.1×106 数平均分子量 = 7.3×103
【0068】実施例1 [正孔ドリフト移動度の評価]合成例2で合成したポリ
シラン化合物0.1gを脱水トルエン1.9gに溶解し
5重量%のトルエン溶液にした。このトルエン溶液を
0.2μmのメンブランフィルターで濾過し塗布液とし
た。透明導電膜(ITO)を堆積したガラス基板上に、
真空蒸着法により金属セレンを膜厚0.2μmに蒸着し
て電荷発生層を形成し、その上に前記塗布液を使用し
て、スピンコーティング法により膜厚5.8μmに塗布
してポリシラン正孔輸送層を形成した。さらに、ポリシ
ラン正孔輸送性材料の上に真空蒸着法により金電極を蒸
着し、タイムオブフライト法による正孔ドリフト移動度
測定用の試料とした。
【0069】この試料に透明電極側から、窒素レーザー
励起式色素レーザー(レーザーフォトニクス社製、窒素
レーザー励起色素レーザー、モデルLN1000/LN
102)を用いて、フラッシュ光(波長:481nm、
フラッシュ時問:1nsec)を当て、通常のタイムオ
ブフライト法により正孔ドリフト移動度を測定した。光
電流の測定には、ヒューレットパッカード社製ディジタ
イジングオシロスコーブ、モデル54710A/547
13Aを用いた。その結果、室温(25℃)、印加電圧
290V(電界強度:0.5MV/cm)において、正
孔ドリフト移動度3×10-3cm2 /Vsecが得られ
た。
【0070】[有機光導電体素子の作成および評価]上
記正孔ドリフト移動度測定用の試料を作製したのと同様
にして、ITO付きガラス基板の上に金属セレンを0.
2μmの厚みで蒸着した電荷発生層を形成した。この上
に、合成例2で合成したポリシラン化合物のトルエン溶
液を用い、スピンコーティング法により膜厚2.7μm
に塗布してポリシラン正孔輸送層を形成した。さらに、
この上に真空蒸着法により金電極を蒸着し、有機光導電
体素子とした。
【0071】この有機光導電体素子に、光を照射せずに
ITO側を正バイアスにして1×104 V/cmの電界
を印加したところ、2×10-12 A/cm2 の暗電流密
度が観測された。電界を印加したまま、フィルターによ
り390nm以下の波長の光をカットした、光強度10
mW/cm2 のキセノンランプ光をITO側から照射し
たところ、電流密度は2×10-8A/cm2 に増加し
た。光電流密度/暗電流密度比は1×104 、光感度は
10-11 Scm/Wであった。また、電界を印加したま
ま、光チョッパーにより800Hzのパルス光にしたキ
セノンランプ光を、ITO側から照射し光応答特性を評
価したところ、光電流は入射光に遅れることなく追従
し、早い応答特性を示した。
【0072】比較例1 合成例2で合成したポリシラン化合物の代わりに、ポリ
ビニルカルバゾール(PVK:東京化成製)を用いて、
実施例1と同様にして、ホール移動度を測定したとこ
ろ、7×10-7cm2 /Vsec(電界強度:0.5M
V/cm)であった。このPVKを用いて、実施例1と
同様にして、膜厚1.7μmのPVK正孔輸送層を有し
た有機光導電素子を作製し、1×104 V/cmの電界
で暗電流密度、光電流密度を測定したところ、それぞれ
1×10-12 A/cm2 、7×10 -10 A/cm2 が得
られた。光電流密度/暗電流密度比は7×102 、光感
度は10-12 Scm/Wであった。また、実施例2と同
様にして光応答特性を評価したところ、500Hzのパ
ルス光でも光電流に遅れが見られ、応答特性は悪かっ
た。
【0073】
【発明の効果】本発明の高い正孔ドリフト移動度を有す
るポリシラン化合物を用いた有機光導電体素子は、光の
照射によって発生したキャリアを効率よく輸送すること
ができ、応答特性に優れた受光素子、太陽電池、空間光
変調器等に用いられる有機光導電体素子として好ましく
使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】下部電極上に電荷発生層・正孔輸送層の順に積
層した積層型有機光導電体素子の一部断面略図
【図2】下部電極上に正孔輸送層・電荷発生層の順に積
層した積層型有機光導電体素子の一部断面略図
【図3】下部電極上に正孔輸送材料中に電荷発生物を分
散した層を有する単層型有機光導電体素子の一部断面略
【図4】下部電極上に有機光導電体層と液晶層とを組み
合わせた空間光変調器の一部断面略図
【符号の説明】
1………下部電極 2………電荷発生層 2’……電荷発生物質 3………正孔輸送層 3’……正孔輸送材料 4………上部電極 5………積層型有機光導電体層 6………単層型有機光導電体層 7………液晶層 8………スペーサー 9………配向膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI H01L 31/08

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも一方が透明または半透明である
    一対の電極間に、少なくとも正孔輸送層を含む有機光導
    電体素子であって、該正孔輸送層が、主鎖骨格が下記一
    般式(1) 【化1】 〔式中、R1 およびR2 は、それぞれ独立に、置換され
    ていてもよい、アルキル基、シクロアルキル基、アリー
    ル基またはアラルキル基を表し、Ar1 は置換されてい
    てもよいアリーレン基を表し、Ar2 は置換されていて
    もよいアリール基を表す。また、Ar1 とAr2 の間、
    Ar1 とR2 の間、あるいはR2 とAr 2 の間に環を形
    成していてもよい。〕で示される繰り返し構造単位と、
    下記一般式(2) 【化2】 〔式中、R3 およびR4 は、それぞれ独立に、置換され
    ていてもよい、アルキル基、シクロアルキル基、アリー
    ル基またはアラルキル基を表す。〕で表される繰り返し
    構造単位とからなり、繰り返し構造単位(1)と(2)
    の総単位数に対する繰り返し構造単位(1)および
    (2)の単位数の比をそれぞれzおよび1−zとしたと
    き、0.2≦z≦1であり、重量平均分子量が5000
    以上であり、かつ正孔ドリフト移動度が10-3〜10-1
    cm2 /Vsecであるポリシラン化合物を含むことを
    特徴とする有機光導電体素子。
  2. 【請求項2】一般式(1)において、Ar1 が置換され
    ていてもよいフェニレン基、R2 が置換されていてもよ
    いフェニル基、Ar2 が置換されていてもよいフェニル
    基である請求項1記載のポリシラン化合物を含む有機光
    導電体素子。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH1135687A (ja) * 1997-07-17 1999-02-09 Sumitomo Chem Co Ltd ポリシラン共重合体、その製造方法、それを用いた有機エレクトロルミネッセンス素子及び電子写真感光体
JP2005005582A (ja) * 2003-06-13 2005-01-06 Minolta Co Ltd 有機半導体電界効果トランジスタ

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