JPH06130443A - 光−光変換装置 - Google Patents

光−光変換装置

Info

Publication number
JPH06130443A
JPH06130443A JP28467592A JP28467592A JPH06130443A JP H06130443 A JPH06130443 A JP H06130443A JP 28467592 A JP28467592 A JP 28467592A JP 28467592 A JP28467592 A JP 28467592A JP H06130443 A JPH06130443 A JP H06130443A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
light
group
layer
input
irradiation
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP28467592A
Other languages
English (en)
Inventor
Akiteru Fujii
章照 藤井
Mitsuru Yoneyama
満 米山
Tetsuo Murayama
徹郎 村山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Kasei Corp
Original Assignee
Mitsubishi Kasei Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Kasei Corp filed Critical Mitsubishi Kasei Corp
Priority to JP28467592A priority Critical patent/JPH06130443A/ja
Priority to EP93117075A priority patent/EP0594170B1/en
Priority to DE69316519T priority patent/DE69316519T2/de
Priority to US08/139,752 priority patent/US5475213A/en
Publication of JPH06130443A publication Critical patent/JPH06130443A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Non-Silver Salt Photosensitive Materials And Non-Silver Salt Photography (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 光電変換層と一定の波長の光により変化した
導電性を光遮断後も持続させる機能を有するメモリー層
とからなる入力光情報処理部と、これに積層または電気
的に接続された表示部を有することを特徴とする光−光
変換装置。 【効果】 制御光照射により受光感度がアナログ的に変
化する機能を有し、この状態が長時間安定に記憶、保持
され、加熱による可逆的な記憶の消去が可能であるとい
う特徴を有し、また、入力、出力共に光によって行うこ
とができ、出力に非線形性があり、更に、主に有機材料
を用い、製造が容易で、大面積化、微小化がともに可能
であることから、従来のニューラルネットワーク、ニュ
ーロコンピューター用の素子と比べて実用性が高く、演
算処理、画像情報処理、通信処理、ニューロコンピュー
ター、センサー等各種用途に応用することが期待でき
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光信号に対する応答感
度を制御光により変化させることが可能で、さらに変化
した応答感度を内部に記憶させておくことができ、非線
形的な光学出力をする、パターン認識等の視覚情報処
理、ニューロコンピューターに適した新規な光−光変換
装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】光学情報の入力に対して、光学的な出力
の可能である光−光変換装置は、画像記録、光コンピュ
ーター、光書き込み投影装置等への適用が期待できる。
なかでも光コンピューターについては、その並列性、す
なわち多くの情報を同時に伝送したり処理したりする能
力、そして配線、クロストーク等における優位性、アナ
ログ性、画像の直接処理能力等の利点を有することから
から注目を集めている。
【0003】一方、近年、ニューラルネットワークによ
る情報処理によって、従来困難であった連想記憶や学習
等の、本来、脳、神経系特有のものと考えられてきた情
報処理が可能になると考えられるようになってきてお
り、ニューラルネットワークをハードウエアとして実現
しようとする試みも多数なされるようになってきてい
る。 ニューラルネットワークのハードウエア化に関し
ては、光−光変換機能を持った構成単位からなる光ニュ
ーラルネットワーク、光ニューロコンピューターが有望
視されている。
【0004】その際、ニューラルネットワークの構成単
位であるニューロ素子に要求される基本機能としては、
以下の3つが挙げられる。 (1)情報の入力部を有すること。また、一つの素子に
対して多数の入力部が設けられることが望ましい。 (2)情報の記憶部を有すること。特に、ニューロ素子
においては、入力情報に応じて、その1つ1つの入力情
報に対して重みづけする、生体の神経細胞のシナプスに
相当する部分が必要となる。更に、この重みづけがアナ
ログ的に変更可能で、変更後はその値を長時間記憶、保
持する特性を有することがより望ましい。 (3)情報の出力部を有すること。荷重された入力情報
が足し合わされ、それがある一定のしきい値を越えたと
ころで出力される、非線形的な出力特性を有することが
望まれる。
【0005】これらの入出力変換特性を備えたニューロ
素子のモデルの一例としては、図4に挙げるマッカロー
とピッツのモデルがある。このモデルにおいては、i番
目の入力信号ui が記憶部で重み係数wi と積算され、
この重みづけされた信号はすべて加算されて、出力部に
おいて非線形的な関数g(x)(例えばデルタ関数)に
従って出力vががなされる。
【0006】v = g (Σwi ・ui ) …<1> その際、重み係数wi がアナログ的に可変であり、入力
信号に対する荷重の度合いが変化、保持されることが学
習、記憶、認識等の情報処理を実現するために不可欠で
あると考えられている。さらに、入力、出力、重み係数
の制御をすべて光で行うことができれば、上述のよう
に、光による情報処理の優位性から、光ニューラルネッ
トワーク、光コンピューターの構成単位であるニューロ
素子としてより好適である。
【0007】上述のマッカローとピッツのニューロ素子
にモデルに従ったニューロ素子の開発においてまず必要
なのは、上記の生体のシナプス相当部の実現で、その一
例としては特開平4−5636号に見られるように、空
間光変調によって光の透過率を制御することを利用する
方法がある。この方法によれば、光の透過率の大小で上
記式<1>における重み係数wi に相当する重みづけを
行うことができる。しかし、光の透過率の制御に当って
は外部装置による制御が必要であり、制御した透過率の
値は外部演算装置等によらねば記憶することはできず、
また、空間光変調器で実現できる学習前後でのコントラ
ストには限界がある。
【0008】また、特開平4−90015号に見られる
ように、フォトダイオードからなる受光素子に対して外
部から制御電圧を加えて受光感度、すなわち光信号に対
する電気応答の度合いを変調することによって重みづけ
を実現する試みも行われているが、この素子においても
記憶機能を有していないため外部演算装置の併用が不可
欠である。
【0009】この素子に記憶機能を付与したものとして
は、電子技術誌、1992年、1月号、25頁〜27頁
に示された記憶機能内蔵型の素子が挙げられる。この素
子においては金属−ガリウムひ素接合により形成された
接合部に制御光を照射することによって形成される空間
電荷の影響により信号光に対する検出感度が増大、保持
されると考えられており、この検出感度の変化を利用し
て重みづけを行っている。しかし、検出感度の増加はせ
いぜい数倍程度であり、増大した検出感度は約20分程
度でなくなるため、記憶機能として十分であるとは言い
がたい。
【0010】さらに、シナプス相当部の素子化に加え
て、光ネットワーク化のためにはその構成ユニットであ
る素子が光入出力変換特性を有する、光−光変換型の素
子であることが必要である。光−光変換素子の例とし
て、電気光学効果を有する材料を利用した空間光変調素
子があり、液晶ライトバルブ、硅酸化ビスマス等の光導
電性ポッケルス効果を利用したもの、マイクロチャンネ
ルチャンネルプレートと電気光学結晶を組み合わせたも
の等が挙げられる。
【0011】このうち、図5は液晶ライトバルブについ
て示したもので、13、14はガラス板、15、16は
透明電極、17は光導電層、18は遮光層、19は誘電
体ミラー、20、21は液晶配向層、22はネマチック
液晶層、23は電源、WLは書き込み光、RLは読み出
し光である。このような液晶ライトバルブに電圧を印加
し、書き込み光を光導電層に照射することによって光導
電層のインピーダンスが低下し、それによって液晶層に
加わる電圧が増大することよる電気光学効果により、液
晶層の透過率が変化するので読みだし光によって出力を
読み取ることができる。
【0012】メモリー性を有する光−光変換素子とし
て、例えば液晶の履歴、双安定機能によるメモリーを利
用するものが知られている。しかし、ニューロ素子とし
ては、入力信号のある時のみ、出力信号があることが必
要であり、さらに出力に際しては、入力がある大きさを
越えた時にのみ出力がなされる、非線形応答性が要求さ
れる。出力信号を出す表示部に、例えばメモリー性を有
する液晶を用いたのでは、入力信号の有無にかかわら
ず、いったん情報をメモリーした後は出力信号を出し続
けていることになり、入力信号に対する非線形応答性も
ないので、ニューロ素子としては使用できない。
【0013】さらに、このような光−光変換型の素子を
ニューロ素子として利用するには素子自体にアナログメ
モリー機能を持たせることが必要である。すなわち、シ
ナプスの結合重みが連続的な値で容易に制御できること
が必要であり、既存の素子では困難である。そこで、シ
ナプスの結合重みを連続的に制御可能なアナログメモリ
ー機能を有する光−光変換素子の開発が期待されてい
る。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】従来のニューロ素子に
おいては、入力情報に対する重み係数の制御を外部機器
からの操作によって行ったり、重み係数の記憶を外部演
算装置で行う等、外部装置に依存し、素子自体に記憶機
能を有していないものがほとんどであった。また、記憶
機能を有しているものにしても、記憶の保持時間が極め
て短いことや記憶時と非記憶時の差が小さい等の欠点が
あり、実用には不適であった。さらに、光ネットワーク
化のためには光−光変換機能が必要だが、従来の光−光
変換素子あるいは装置はシナプス結合相当部に必要なア
ナログメモリー性を持っておらず、ニューロ素子として
は不十分であった。
【0015】本発明は上記のような問題点を解決するた
めになされたものであり、有機材料を用いて、従来作製
が困難であった良好なアナログメモリー機能を有し、ニ
ューロ素子に必要な機能を備えた光−光変換装置を得る
ことを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、光電変
換層と一定の波長の光により変化した導電性を光遮断後
も持続させる機能を有するメモリー層とからなる入力光
情報処理部と、これに積層又は電気的に接続された表示
部を有する光−光変換装置に存する。以下、本発明を詳
細に説明する。
【0017】まず、電極について説明する。電極は、支
持体上に導電性薄膜層として形成される。支持体として
は、石英やガラスの板、金属板や金属箔、プラスチック
フィルムやシート等が用いられるが、ガラス板、透明な
プラスチック(ポリエステル、ポリメタクリレート、ポ
リカーボネート)の板等が好ましい。電極として用いる
ことのできる金属板等は支持体を兼ねることができる。
【0018】電極形成材料は、通常、アルミニウム、
金、銀、白金、カドミウム、ニッケル、インジウム、パ
ラジウム、テルル等の金属、インジウム及び/又はスズ
等の金属の酸化物、ヨウ化銅、カーボンブラック、ポリ
(3ーメチルチオフェン)やポリピロール等の導電性樹
脂が用いられる。導電性薄膜層は、電極形成材料が金属
や金属酸化物の場合は、通常は、スパッタリング法、真
空蒸着法等により形成されるが、電極形成材料の種類に
よっては他の方法により形成されてもよい。例えば、銀
等の金属微粒子、ヨウ化銅、カーボンブラック、導電性
の金属酸化物微粒子、導電性樹脂粉末等の場合には、適
当なバインダー樹脂溶液に電極形成材料を分散させた
後、支持体上に塗布する方法により形成する。更に、導
電性樹脂の場合は、電解重合により、直接支持体上に形
成することもできる。導電性薄膜層は、異なる物質で積
層することも可能である。
【0019】導電性薄膜層の厚さは、特に制約はない
が、均一な導電性発現のためには少なくとも50Å以上
とするのが好ましい。一方、光透過性が必要な場合は、
透過率を満足する膜厚以上にならないようにする必要が
ある。膜厚が厚くなる塗布法による場合でも、膜厚は通
常100μm以下である。本発明においては、電極の少
なくとも一方が光透過性電極であることが必要である。
光透過性は、必ずしも全波長領域にわたる必要はない
が、少なくともメモリー層、光電変換層が吸収する光の
波長領域での光透過性が要求される。光の透過率は、高
いほど照射光の効率上好ましい。透過率としては少なく
とも10%以上、実用上は30%以上、好ましくは60
%以上が必要である。
【0020】次に、電極間に形成される光電変換層及び
メモリー層について説明する。光電変換層は、光を吸収
して正負の電荷分離により電荷キャリアーを発生させる
光導電性材料からなり、必要により、バインダー樹脂、
長鎖アルキル脂肪酸等の絶縁性材料、芳香族アミン、ヒ
ドラゾン化合物等のキャリアー輸送材料その他の添加物
と共に形成される。
【0021】光導電性材料としては電子写真や太陽電池
等に用いられている光導電性材料が用いられる。無機系
の光導電性材料としては無定形セレンやセレン−テル
ル、セレン−ヒ素等のセレン合金、無定形シリコン、硫
化カドミウム、酸化亜鉛等が挙げられる。有機系の光導
電性材料としては、各種の色素や顔料が挙げられる。こ
のような例としては公知の文献で光電変換色素、電荷キ
ャリアー生成材料等として知られている化合物が挙げら
れる。
【0022】文献例としては「電子写真技術の基礎と応
用」437頁−448頁(電子写真学会編、コロナ社、
1988年)、色材協会誌 47巻 594頁−604
頁(丸山勝次、1974年)、「LB膜とエレクトロニ
クス」193頁−204頁(シーエムシー、1986
年)、「有機電子材料」94頁−101頁(応用物理学
会編、オーム社、1990年)等がある。
【0023】このような化合物の例としては、ポルフィ
リン系、シアニン系、メロシアニン系、ピリリウム系、
チアピリリウム系、トリアリールメタン系、スクアリリ
ウム系、アズレニウム系等の色素、ペリレン系、多環キ
ノン系、ピロロピロール系等の縮合環系色素、フタロシ
アニン系色素、アゾ系色素等が挙げられる。フタロシア
ニン系色素としては、無金属フタロシアニンと共に銅、
バナジウム、インジウム、チタン、アルミニウム、ス
ズ、マグネシウム等の金属配位フタロシアニンの各種結
晶型色素を用いてもよい。アゾ系色素としては、主にジ
スアゾ系、ビスアゾ系、トリスアゾ系色素が顔料粒子の
形で用いられる。
【0024】メモリー層は、分子内に1個以上の窒素原
子を有する正孔輸送性の低分子化合物や、光の照射によ
り変化した導電性を光遮断後も持続させるメモリー性付
与機能を有する化合物等をバインダーポリマー中に分散
して構成される。まず、正孔輸送性の低分子化合物につ
いて説明する。正孔輸送性の低分子化合物は、メモリー
層の電荷キャリアーである正孔の輸送担体として作用す
る。正孔輸送現象は分子間の電子移動あるいは酸化還元
反応と見なすことができ、効果的な正孔輸送のために
は、イオン化ポテンシャルが小さい電子供与性化合物が
適している。
【0025】本発明においては、上記の主旨から、正孔
輸送性の低分子化合物として、好ましくは分子内に1個
以上の窒素原子を有する化合物を用いる。特に、窒素原
子がπ電子共役系に結合し、分子間の配向配列性が良好
な化合物が好適である。また、窒素原子の形態として
は、ジエチルアミノ基のようなジアルキルアミノ基、ジ
フェニルアミノ基のようなジアリールアミン基等により
芳香族炭化水素や芳香族複素環に直接結合したアミノ
基、同様に、芳香族炭化水素や芳香族複素環に結合した
ヒドラゾ基、ヒドラゾノ基が挙げられ、その他には複素
環を構成する窒素原子が挙げられる。そして、複素環の
例としては、カルバゾール、インドール、ピラゾール、
ピラゾリン、オキサゾール等が挙げられる。
【0026】上記のような正孔輸送性の低分子化合物
は、高分子化合物に比べて製造が容易であり、また、精
製による不純物の除去も容易なため、不純物に由来する
トラップ形成等によるメモリー特性の低下が少ない。更
に、低分子化合物は、一般的にバインダーポリマーとの
相溶性に優れているため、メモリー層中の含有量を増や
すことにより正孔の移動度を高めることも容易である。
【0027】本発明においては、正孔輸送性の低分子化
合物として、ヒドラゾン化合物、特に、下記の化学式
[化1]で表されるヒドラゾン化合物が好適に用いられ
る。
【0028】
【化1】
【0029】上記の化学式[化1]中、Aは少なくとも
一個の芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を含む1価又
は2価の有機基を表し、そして、これらの環は置換基を
有していてもよい。具体的には次の(a)〜(d)に記
載の有機基が挙げられる。 (a)ベンゼン、ナフタリン、アントラセン、ピレン、
ペリレン、フェナントレン、フルオランテン、アセナフ
テン、アセナフチレン、アズレン、フルオレン、インデ
ン、テトラリン、ナフタセン等から誘導される1価又は
2価の有機基。当該有機基は、少なくとも1個の芳香族
炭化水素環を含む例である。
【0030】(b)ピロール、チオフェン、フラン、イ
ンドール、カルバゾール、ピラゾール、ピリジン、アク
リジン、フェナジン、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン
等から誘導される1価又は2価の有機基。当該有機基
は、少なくとも1個の芳香族複素環を含む例である。 (c)上記の各有機基が直接結合した化合物から誘導さ
れる1価又は2価の有機基。
【0031】上記の化合物としては、ビフェニル、ター
フェニル、フェニルアントラセン、ビチオフェン、ター
チオフェン、ビフラン、チエニルベンゼン、チエニルナ
フタリン、ピロリルチイオフェン、N−フェニルカルバ
ゾール等が挙げられる。 (d)上記の各有機基が結合基を介して結合した化合物
から誘導される1価又は2価の有機基。
【0032】上記の結合基としては、下記の化学式[化
2]で表されるような置換基を有していてもよいアルキ
レン基又は下記の化学式[化3]で表されるような2価
の有機基が挙げられる。また、斯かるアルキレン基及び
2価の有機基を組合わせた結合基が挙げられる。
【0033】
【化2】
【0034】
【化3】
【0035】(d)に該当する化合物の具体例として
は、結合基により前記の芳香環や複素環が縮合環を形成
した、例えば、キサンテン、チオキサンテン、インドリ
ン、フェノチアジン、下記の化学式[化4]で表される
化合物等が挙げられる。
【0036】
【化4】
【0037】また、上記の他に、(d)に該当する化合
物の具体例としては、ジフェニルメタン、スチルベン、
トラン、1,4−ジフェニルフタジエン、ジフェニルエ
ーテル、ジフェニルスルフィド、N−メチルジフェニル
アミン、トリフェニルアミン、アゾベンゼン等が挙げら
れる。更にまた、これらの化合物のベンゼン環の代わり
に、他の芳香環や複素環を結合基を用いて組合わせた化
合物等が挙げられる。
【0038】前記の(a)〜(d)における芳香族炭化
水素環及び/又は芳香族複素環が有していてもよい置換
基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル
基、ブチル基、ヘキシル基等の低級アルキル基、メトキ
シ基、エトキシ基、ブトキシ基等の低級アルコキシ基、
アリル基、ベンジル基、ナフチルメチル基、フェネチル
基等のアラルキル基、フェノキシ基、トリオキシ基等の
アリールオキシ基、ベンジルオキシ基、フェネチルオキ
シ基等のアリールアルコキシ基、フェニル基、ナフチル
基等のアリール基、スチリル基、ナフチルビニル基等の
アリールビニル基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ
基等のジアルキルアミノ基が挙げられる。そして、これ
らの置換基中のアルキル成分には、エーテル基、エステ
ル基、シアノ基、スルフィド基等が含有されていてもよ
い。
【0039】前記の化学式[化1]中、R1、R2
3、R4及びR5は、水素原子又は置換基を有していて
もよいアルキル基、アラルキル基、芳香族炭化水素基、
複素環基を表す。R1〜R5の具体例としては、メチル
基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基等の
低級アルキル基、ベンジル基、フェネチル基等のアラル
キル基、フェニル基、ナフチル基、アセナフチル基、ア
ントリル基、ピレニル基等のAにおけるのと同様の芳香
族炭化水素基、チエニル基、ビチエニル基、カルバゾル
基、インドリル基、フリル基、インドリン基等のAにお
けるのと同様の複素環基が挙げられる。
【0040】そして、上記のR1〜R5の各有機基が有し
ていてもよい置換基としては、メチル基、エチル基、プ
ロピル基、ブチル基、ヘキシル基等の低級アルキル基、
メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等の低級アルコキ
シ基、フェノキシ基、トリオキシ基等のアリールオキシ
基、ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基等のアリー
ルアルコキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール
基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、フェニルメ
チルアミノ基、ジフェニルアミノ基等の置換アミノ基等
が挙げられる。
【0041】但し、R1 はAと一体となって環を形成し
てもよい。このような例としては、下記の化学式[化
5]で表される有機基等が挙げられる。
【0042】
【化5】
【0043】前記の化学式[化1]中、R6及びR7は、
置換基を有していてもよいアルキル基、アラルキル基、
アリル基、芳香族炭化水素基又は複素環基を表す。具体
的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチン基等
の低級アルキル基、ベンジル基、フェネチル基、ナフチ
ルメチル基等のアラルキル基、アリル基、フェニル基、
ナフチル基等の芳香族炭化水素基、ピリジル基、チエニ
ル基、フリル基、ピロリル基等の複素環基を表す。これ
らが有していてもよい置換基としては、前記R 1、R2
3、R4及びR5におけるのと同様の置換基が挙げられ
る。
【0044】但し、R6及びR7は一体となって環を形成
してもよく、このような例としては、下記の化学式[化
6]で表される有機基等が挙げられる。
【0045】
【化6】
【0046】前記の化学式[化1]中、lは0又は1、
mは0,1又は2、nは1又は2の整数である。尚、n
はAが1価の基の場合には1を、2価の基の場合は2を
表す。前記の化学式[化1]で表されるヒドラゾン化合
物の中では、特に、Aがカルバゾール環であるヒドラゾ
ン化合物が好ましい。下記の化学式[化7]は、斯かる
ヒドラゾン化合物の幾つかを例示したものである。
【0047】
【化7】
【0048】次に、メモリー性付与機能を有する化合物
について説明する。メモリー性は数多くの化合物により
達成することができる。代表的な化合物としては、例え
ば、クロロ酢酸、オルソベンゾイル安息香酸等のプロト
ン酸、芳香族ジアゾニウム塩、ロイコクリスタルバイオ
レット、ロイコマラカイトグリーン等のトリアリールメ
タン類、ヨウ化メチレン、ヘキサクロロエタン等のハロ
ゲン化炭化水素、1,3,5−トリブロモベンゼン、
9,10−ジクロロアントラセン、9,10−ジブロモ
アントラセン等の芳香族ハロゲン化合物、ベンズアミ
ド、ニトロフェノール、ニトロアニリン、ヘキサクロロ
アセトン、ブロモアセトフェノン等のハロゲン化ケトン
化合物、塩化アセチル、臭化アセチル、クロロベンゾイ
ルクロリド等のハロゲン化アシル化合物、無水フタル酸
等の酸無水物、チオミヒェラーズケトン等のチオケトン
が挙げられる。
【0049】特に、塩素原子及び/又は臭素原子が2つ
以上置換した芳香族ハロゲン化合物又は下記の化学式
[化8]で表されるチオケトンが好ましい。
【0050】
【化8】
【0051】上記の化学式[化8]中、Ar1、Ar
2は、置換基を有してもよい芳香族炭化水素基又は芳香
族複素環基を表し、具体的には、前記の化学式[化1]
中のAにおけるのと同様の芳香族炭化水素基又は芳香族
複素環基が挙げられる。下記の化学式[化9]は、好ま
しいチオケトン類を例示したものである。
【0052】
【化9】
【0053】次に、バインダーポリマーについて説明す
る。バインダーポリマーとしては、前記の各化合物との
相溶性が良好であり、更に、電荷キャリアーの層内移動
に対して悪影響を及ぼさないポリマーが好ましい。例え
ば、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸エ
ステル、メタクリル酸エステル、ブタジエン等のビニル
化合物の重合体及び共重合体、ポリビニルアセタール、
ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリ
フェニレンオキシド、ポリウレタン、セルロースエステ
ル、セルロースエーテル、アルキド樹脂、フェノキシ樹
脂、ケイ素樹脂、エポキシ樹脂が挙げられる。これらの
中では、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、メ
タクリル樹脂、アクリル樹脂及びフェノキシ樹脂が好ま
しく、特に、ポリカーボネート樹脂及びメタクリル樹脂
が好ましい。
【0054】バインダーポリマーの使用量は通常、正孔
輸送性低分子化合物に対し、0.1〜30重量倍、好ま
しくは0.3〜10重量倍の範囲である。本発明の光情
報処理素子におけるメモリー層は前述の正孔輸送性の低
分子化合物、メモリー性付与機能を有する化合物をバイ
ンダー中に分散して構成されるが、更に、必要に応じて
可塑剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、電子
吸引性化合物等の添加物を含有させることができる。
【0055】次に本発明の光情報処理素子の製造方法に
ついて説明する。本発明の光情報処理素子は、まず上記
のメモリー層の各成分及び必要に応じて使用される各種
の添加物成分を溶剤に溶解して塗布液を調製し、当該塗
布液を電極上に塗布した後乾燥してメモリー層を形成す
る。メモリー層の膜厚は、光情報処理素子の動作に必要
な電界強度、電源電圧の範囲により決定されるが通常は
100μm以下、好ましくは30μm以下とされる。そ
して、膜厚の下限は、塗布膜の均一性の確保及びピンホ
ールの防止の観点から、0.01μm、好ましくは0.
1μm以上とするのがよい。
【0056】メモリー層上に光電変換層を形成する方法
としては、塗布法、真空蒸着法、CVD法の他に、ラン
グミュアー・ブロジェット(LB)法(LB膜とエレク
トロニクス、1頁〜15頁、33頁〜46頁、シーエム
シー、1986年を参照)等によって単分子層を積層す
る方法等が挙げられる。光導電性材料の形状も上記製法
により様々である。セレンやシリコンの様に、無定形の
薄層の場合のほか、微粒子からなる薄層や、バインダー
樹脂中に粒子が分散した形、溶解した形等があり、さら
にLB法により単分子層が数層積層したLB膜の形状も
ある。LB膜の場合には光導電性色素単独の他、アラキ
ン酸等の絶縁性の長鎖脂肪酸あるいは異なる色素との混
合膜や、混合比の異なる単分子膜を積層することもでき
る。
【0057】光導電性材料が微粒子としてバインダー樹
脂中に分散した形の光電変換層ではバインダー樹脂とし
ては、微粒子の分散性の良好な水酸基を有するバインダ
ー樹脂であるブチラール樹脂、フェノキシ樹脂、フェノ
ール樹脂等のほか、ポリエステル、ポリカーボネート、
メタクリル系樹脂等が用いられる。蒸着等によって光電
変換層を形成する場合には必要に応じて、より変換効率
を高めるために溶媒蒸気にさらして結晶型を変える操作
等も行われる。
【0058】また、光電変換層には塗布性、分散安定
性、保存安定性の向上のための添加剤を加えることがで
きる。さらに、キャリアー輸送能のある光導電性材料を
加えることもできる。光電変換層の厚さは、製法によっ
ても異なるが、数十Åから数μmであり、一般には1μ
m以下の厚さが望ましい。メモリー層、光電変換層の積
層に際しては必ずしも上記の順序である必要はなく、光
電変換層上にメモリー層を上記の方法で形成してもよ
い。また、メモリー層、光電変換層を別々の電極上に形
成した後に圧着等により一体化させる製造法も採用する
ことができる。電極の積層は、スパッタリングや蒸着法
等のほか、圧着法によってもよい。
【0059】本発明の光情報処理素子は電極間に電圧を
印加して使用される。その際に、光を照射しない暗状態
では絶縁性で、暗電流は非常に小さい値であるが、光電
変換層の吸収波長領域の光(入力光)を照射中には、導
電性が増大し明電流が観測される。そして、メモリー層
の吸収波長領域の光(制御光)を一定時間照射したのち
に観測すると、暗電流値はほとんど変化しないが、入力
光を照射すると、制御光を一定時間照射する前に観測さ
れた明電流値と比べて増大あるいは減少する。すなわち
制御光照射によって入力光に対する素子の応答感度が変
化し、この変化した受光感度は電圧が印加された状態に
おいて安定に保持されることから、この素子は受光感度
の変化という形態で情報を記憶していることになる。素
子の受光感度は光照射量、照射回数、印加電圧等によっ
てアナログ的に制御が可能である。
【0060】本発明の光−光変換装置におけるメモリー
層は前述の正孔輸送性の低分子化合物、メモリー性付与
機能を有する化合物をバインダー中に分散して構成され
るが、更に、必要に応じて可塑剤、界面活性剤、紫外線
吸収剤、酸化防止剤、電子吸引性化合物等の添加物を含
有させることができる。入力光情報処理部に積層又は電
気的に接続する表示部としては、液晶表示部、発光ダイ
オード(LED)、電界発光(EL)素子、ポッケルス
効果素子等が挙げられる。
【0061】液晶表示部としては、少なくとも一方が光
透過性を有する電極間に設けられ、光透過型又は光反射
型のものが挙げられる。電極は一様なものでもパターン
化されたものでもよい。液晶材料としては特に制限はな
く、ネマチック液晶、カイラルネマチック液晶、コレス
テリック液晶、及びそれらの材料を高分子中に分散した
ものや高分子の主鎖や側鎖に液晶ユニットを有する高分
子液晶や等が例として挙げられる。
【0062】発光ダイオードとしては、GaAs/Ga
AlAsのようなエネルギーギャップの異なる接合部が
ただ一つのシングルヘテロ接合ダイオード、GaAlA
sを用いて、発光活性層を混晶比の大きなp層とn層で
挟んだダブルヘテロ接合ダイオード等が挙げられる。発
色範囲も赤外領域から可視領域の広範囲が可能であり、
GaN、SiC、ZnS等の材料を用いることにより青
色表示素子も可能となっている。
【0063】電界発光素子としては、薄膜状のZnS系
蛍光体発光層をY23等の誘電体絶縁層でサンドウィッ
チ状にはさんだ2重絶縁薄膜素子、蛍光体の微粉末を誘
電体中に分散させた粉末分散型素子、さらに、キノリノ
ール錯体のような有機物系の蛍光体層と、電荷注入層を
積層させた有機系素子が挙げられる。次に、本発明の光
−光変換装置の製造方法について説明する。本発明の光
−光変換装置は、まず上記のメモリー層の各成分及び必
要に応じて使用される各種の添加物成分を溶剤に溶解し
て塗布液を調製し、当該塗布液を電極上に塗布した後乾
燥してメモリー層を形成する。
【0064】メモリー層の膜厚は、光−光変換装置の動
作に必要な電界強度、電源電圧の範囲により決定される
が通常は100μm以下、好ましくは30μm以下とさ
れる。そして、膜厚の下限は、塗布膜の均一性の確保及
びピンホールの防止の観点から、0.01μm、好まし
くは0.1μm以上とするのがよい。次いで光電変換層
に関しては、上記の光電変換層の各成分を溶剤に溶解あ
るいは分散して塗布液を調製し、メモリー層上に塗布し
た後乾燥して形成する方法、当該成分を真空蒸着法によ
りメモリー層上に光電変換層を形成する方法、当該成分
をラングミュアー・ブロジェット(LB)法(LB膜と
エレクトロニクス、1頁〜15頁、33頁〜46頁、シ
ーエムシー、1986年を参照)等によってメモリー層
上に形成する方法等によって積層して入力情報処理部を
構築する。
【0065】メモリー層、光電変換層の積層に際しては
必ずしも上記の順序である必要はなく、光電変換層上に
メモリー層を上記の方法で形成してもよい。また、メモ
リー層、光電変換層を別々の電極上に形成した後に圧着
等により一体化させる製造法も採用することができる。
電極の積層は、スパッタリングや蒸着法等のほか、圧着
法によってもよい。
【0066】表示部は入力光情報処理部と積層化しても
よいし、積層化せずに電気的に直列に接続させてもよ
い。入力光情報処理部と表示部を積層化する場合には、
必要に応じて間に電極をはさむことがある。例えば、液
晶表示部を積層化する際に、必要に応じて液晶配向層、
偏光層を設けた光透過性電極基板をを入力情報処理部の
膜面あるいは電極面等と対向させながらガラス繊維スペ
ーサーを介して重ね合わせ、こうしてできた間隙に液晶
を注入して形成する方法、必要に応じて液晶配向層、偏
光層を設けた光透過性電極上に塗布により液晶層を形成
した後に入力情報処理部の膜面あるいは電極面等と圧着
する方法等が挙げられる。なお、液晶層と入力情報処理
部との間には必要に応じて電極層、遮光層、配向層、偏
光層、誘電体ミラー層が設けられることがある。
【0067】本発明の光−光変換装置は、入力情報処理
部と表示部に直列電圧を印加して使用される。制御光照
射時に入力情報処理部にかかる電界強度の大小によって
受光感度の変化の度合いを制御することができる。この
際、入力情報処理部にかかる電界強度が大きいほど素子
の受光感度の変化の割合は大きくなる。入力光情報処理
部にかかる電界強度としては絶縁破壊を起こさないこと
が必要で、一般的には107 V/cm以下とされ、通常
は106 V/cm以下、好ましくは5×105V/cm
以下とされる。
【0068】本発明の光−光変換装置の構成例を図1に
示す。1,2はガラス板、3,4は光透過性電極、5は
メモリー層、6は光電変換層、7は誘電体ミラー、8,
9は液晶配向層、10はネマチック液晶層、11は偏光
層、12は電源である。ILは入力光、CLは制御光、
RLは読み出し光を表す。次に、図1に示すような、本
発明の光−光変換装置の動作方法について説明する。
【0069】電極間に、液晶層側が正極となるように電
圧を印加すると、光を照射しない暗状態では絶縁性で暗
電流は非常に小さいが、光電変換層の吸収波長領域の光
(入力光)を照射中には、導電性が増大し明電流が観測
される。そして、メモリー層の吸収波長領域の光(制御
光)を一定時間照射したのちに観測すると、暗電流値は
ほとんど変化しないが、入力光を照射すると、制御光を
一定時間照射する前に観測された明電流値と比べて増大
あるいは減少する。すなわち制御光照射によって、入力
光に対する入力光情報処理部の応答感度が変化し、この
変化した受光感度は電圧が印加された状態において一日
以上安定に保持されることから、当該装置は受光感度の
変化という形態で情報を記憶していることになる。素子
の受光感度は光照射量、照射回数、印加電圧等によって
アナログ的に制御が可能である。
【0070】上述のように入力光情報処理部の入力光に
対する受光感度が変化することによって表示部にかかる
電圧の制御ができる。例えば、制御光によって入力光に
対する受光感度が増大、すなわち入力光情報処理部の、
光照射時のインピーダンスが低下する場合には、それに
伴って、入力光照射時の表示部にかかる電圧が制御光照
射前の場合と比べて増大することになる。制御光の総照
射量がある値に達し、入力光照射時の表示部にかかる電
圧が表示部の駆動電圧を超えると、例えば液晶表示部の
場合、液晶の電気光学効果によって透過率が変わること
から、読み出し光による反射あるいは透過によって光学
的な出力を得ることが可能となり、LED、EL等の表
示部の場合には発光が観測される。
【0071】入力光は光電変換層に吸収されて、メモリ
ー層にできるだけ影響を及ぼさないことが必要であり、
制御光は入力層とメモリー層の界面近傍に吸収されるこ
とが必要である。その場合には制御光によって変化、保
持された受光感度は入力光に影響を与えられない。その
場合には、入力光と制御光は同一波長であっても異なる
波長であってもよく、光の強度も同一でも異なっていて
もよい。光は単色光であっても一定の波長幅を持った光
であってもよい。光の入射方向もメモリー層側からでも
光電変換層側からでもよい。また、入力光と制御光を区
別しない使用法も可能で、メモリー層と光電変換層との
接合界面近傍にまで到達する光を用いれば、光照射毎に
明電流値が変化する。
【0072】一方、表示部に関して、液晶等の電気光学
効果による透過率の変化を利用する場合には、表示部側
より読み出し光を照射することによって、入力光情報処
理部との接合面に誘電体ミラーを設けてそれによる反射
光を読み取るか、あるいは入力情報処理部側から照射し
てその透過光を読み取る等の操作によって読み出しを行
うことが可能である。また、表示部が液晶層の場合、入
力情報処理部側から照射する場合には入力光が読みだし
光を兼ねることもできる。その場合には入力光の一部は
光電変換層に吸収されて光電変換を起こさせ、吸収され
ずに透過した入力光は液晶層に到達し、液晶層の透過性
をモニターすることができる。
【0073】本発明の素子は制御光照射によって変化し
た受光感度を安定に保持するが、元の状態への復帰は加
熱により可能であり、メモリー層のガラス転移温度以上
に加熱することによって速やかに元の状態に可逆的に復
帰することから、繰り返し記憶、消去が可能であること
がわかる。上記の現象のメカニズムは現時点では十分明
らかではないが、可逆的な現象であることから、有機物
成分等の化学的分解によるものではないことは明らかで
ある。しかしながら、一応は、次のように仮説すること
ができる。すなわち、メモリー層中の正孔輸送性の低分
子化合物、メモリー性を付与する機能を有する化合物あ
るいはバインダーポリマー等が制御光照射により単独あ
るいは分子間でプロトトロピー、異性化、配向変化等の
状態変化を引き起こし、例えば、光電変換層界面近傍で
の分極を変化させることにより光電変換層からの正孔注
入のエネルギー障壁を低下させ、光電変換層に入力光を
照射する際にできる正孔の流入を容易にさせる等の変化
を生じさせ、入力光照射時の明電流が増加する。そし
て、このように変化した状態が安定に持続することによ
り、記憶(メモリー)機能が発現される。
【0074】
【実施例】
実施例1 <光−光変換装置の作製>9−エチルカルバゾール−3
−カルバルデヒドジフェニルヒドラゾン1.0g、4,
4’−ビス(ジメチルアミノ)チオベンゾフェノン1
2.5mg、ポリカーボネート1.25gをジオキサン
14gに溶解して塗布液を調整した。
【0075】ガラス基板上に形成したITO電極層の上
に上記の塗布液を乾燥後の膜厚が3μmになるように塗
布して乾燥し、メモリー層を形成した。次いで、チタニ
ルフタロシアニン2重量部、ポリビニルブチラール1重
量部をn−プロピルアルコール及びメタノールを重量比
60:40で混合した溶剤に固形分比率が3.4%にな
るように混合して分散液を調整した。この分散液を上記
のメモリー層上に、乾燥後の膜厚が約0.1mmになる
ように塗布して乾燥し、光電変換層を形成した。光電変
換層表面にアルミニウムを真空蒸着して対向電極を形成
した。この上に誘電体ミラー層を積層し、さらに配向処
理を施したポリイミド膜で被覆した。
【0076】一方、別にITO基板を用意し、その表面
を配向処理を施したポリイミド膜で被覆し、このITO
基板を上で作製したセルの処理面と対向させながら10
μmのガラス繊維スペーサーを介して重ね合わせた。こ
うしてできた間隙にシッフ塩基化合物の液晶を注入し、
周囲をエポキシ樹脂で固めて液晶層をシールドした。更
に、配向処理を行ったITO基板の外側に偏光板を重ね
て本発明の光−光変換装置を作製した。 <光−光変換装置の機能の評価>上記の光−光変換装置
の、液晶側のITO電極側が正極になるように直流バイ
アス30Vを印加した。この素子に対して、液晶側と反
対側から出力77μW/cm2 で波長700nmの単色
光を入力光として1分間照射する操作と、出力77μW
/cm2 で波長445nmの単色光を制御光として26
秒間(2.0mJ/cm2 )照射する操作とを、2分間
の間隔をおいて交互に繰り返した。図2の実線で示すよ
うに、入力光を1分間照射した時の明電流値は制御光の
総照射量が増えるに従って増大した。
【0077】一方、入力光を30秒間照射後の液晶層の
可視光反射率をモニターしたところ、制御光の総照射量
が2mJ/cm2 以下の時点では液晶の駆動は観測され
なかったが、総照射量が4mJ/cm2 を越えた時点で
駆動し始め、総照射量が8mJ/cm2 以上で反射率が
飽和に達した。 実施例2 <光−光変換装置の作製>9−エチルカルバゾール−3
−カルバルデヒドジフェニルヒドラゾン1.0g、4,
4’−ビス(ジメチルアミノ)チオベンゾフェノン1
2.5mg、ポリカーボネート1.25gをジオキサン
14gに溶解して塗布液を調整した。
【0078】ガラス基板上に形成したITO電極層の上
に上記の塗布液を乾燥後の膜厚が3μmになるように塗
布して乾燥し、メモリー層を形成した。次いで、チタニ
ルフタロシアニン2重量部、ポリビニルブチラール1重
量部をn−プロピルアルコール及びメタノールを重量比
60:40で混合した溶剤に固形分比率が3.4%にな
るように混合して分散液を調整した。この分散液を上記
のメモリー層上に、乾燥後の膜厚が約0.1μmになる
ように塗布して乾燥し、光電変換層を形成した。この上
にアルミニウムを真空蒸着して上部電極とし、入力情報
処理部を形成した。
【0079】一方、別にねじれネマチック液晶セルを用
意し、上記入力情報処理部と電気的に直列に接続するこ
とによって光−光変換装置を作製した。上記のの光−光
変換装置の、液晶側が正極になるように直流バイアス3
0Vを印加した。この装置に対して、液晶側と反対側か
ら出力77μW/cm2 で波長445nmの単色光を2
6秒間(光照射量2.0mJ/cm2 )照射し、液晶の
反射率をモニターする操作を行った。この操作を、各操
作間に1分間の間をおいて12回繰り返した。素子の明
電流値と液晶層の反射率をモニターした結果を図3に示
す。光照射を繰り返す度に明電流が増加した。一方、液
晶の反射率は、総光照射量が4mJ/cm2 以下の時は
一定で液晶の駆動は見られなかったが、総光照射量が6
mJ/cm2 以上になると徐々に増大し、18mJ/c
2 以上になると飽和するのが観測された。
【0080】
【発明の効果】本発明の光−光変換装置は制御光照射に
より受光感度がアナログ的に変化する機能を有し、この
状態が長時間安定に記憶、保持され、加熱による可逆的
な記憶の消去が可能であるという特徴を有する。また、
入力、出力共に光によって行うことができ、出力に非線
形性があり、更に、主に有機材料を用い、製造が容易
で、大面積化、微小化がともに可能であることから、従
来のニューラルネットワーク、ニューロコンピューター
用の素子と比べて実用性が高く、演算処理、画像情報処
理、通信処理、ニューロコンピューター、センサー等各
種用途に応用することが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光−光変換装置の構成例を示した図。
【図2】実施例1の、光−光変換装置の動作特性を示し
た図。
【図3】実施例2の、光−光変換装置の動作特性を示し
た図。
【図4】マッカロー・ピッツによるニューロンモデルを
表した図。
【図5】液晶ライトバルブの構成を示した図。
【符号の説明】 1、2、13、14:ガラス板 3、4 :光透過性電極 5 :メモリー層 6 :光電変換層 7、19 :誘電体ミラー 8、9、20、21:液晶配向層 10 :液晶層 11 :偏光 12、23 :電源 15、16 :透明電極 17 :光導電層 18 :遮光層 22 :ネマチック液晶層 IL :入力光 CL :制御光 RL :読み出し光 WL :書き込み光 u1 〜un :入力信号 w1 〜wn :シナプスの結合荷重 v :出力信号 g(x) :出力関数

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光電変換層と一定の波長の光により変化
    した導電性を光遮断後も持続させる機能を有するメモリ
    ー層とからなる入力光情報処理部と、これに積層または
    電気的に接続された表示部を有することを特徴とする光
    −光変換装置。
JP28467592A 1992-10-22 1992-10-22 光−光変換装置 Pending JPH06130443A (ja)

Priority Applications (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28467592A JPH06130443A (ja) 1992-10-22 1992-10-22 光−光変換装置
EP93117075A EP0594170B1 (en) 1992-10-22 1993-10-21 An optical information processing element and a light-to-light converting device
DE69316519T DE69316519T2 (de) 1992-10-22 1993-10-21 Vorrichtung zur Verarbeitung optischer Informationen und Licht-zu-Licht Konverter
US08/139,752 US5475213A (en) 1992-10-22 1993-10-22 Optical information processing element and a light-to-light converting device

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28467592A JPH06130443A (ja) 1992-10-22 1992-10-22 光−光変換装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH06130443A true JPH06130443A (ja) 1994-05-13

Family

ID=17681527

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP28467592A Pending JPH06130443A (ja) 1992-10-22 1992-10-22 光−光変換装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH06130443A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5943154A (en) * 1996-09-17 1999-08-24 Kabushiki Kaisha Toshiba Optically-controlled light control element
JP2009526254A (ja) * 2006-02-07 2009-07-16 イーティーエイチ チューリッヒ, イーティーエイチ トランスファー 調節可能な光学活性素子

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5943154A (en) * 1996-09-17 1999-08-24 Kabushiki Kaisha Toshiba Optically-controlled light control element
JP2009526254A (ja) * 2006-02-07 2009-07-16 イーティーエイチ チューリッヒ, イーティーエイチ トランスファー 調節可能な光学活性素子

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5514504A (en) Information recording medium, and information recording a reproducing method
US5629920A (en) Photoelectric sensor, information recording system, and information recording method
JP2004184460A (ja) 光スイッチング素子、並びに、それを用いたデバイス、光書き込み型表示媒体、及び表示装置
US6233027B1 (en) Liquid crystal device and process for production thereof
JPH0794807A (ja) アモルファス有機薄膜素子、アモルファス有機ポリマー組成物及びアモルファス無機組成物
US5475213A (en) Optical information processing element and a light-to-light converting device
US4052205A (en) Photoconductive imaging member with substituted anthracene plasticizer
JPH0599737A (ja) 光量センサー
US7046311B2 (en) Photo-writing type recording medium and manufacturing method therefor
Melnyk et al. Organic photoreceptors: an overview
JPH06130443A (ja) 光−光変換装置
JP3794185B2 (ja) 光導電スイッチング素子を用いるデバイス、デバイスを組み込んだ装置、記録装置および記録方法
JPH06130440A (ja) 光情報処理素子
JPH06130441A (ja) 光情報処理方法
US4092161A (en) Inorganic photoconductors with phenyl substituted image transport materials
JP2005017726A (ja) 光スイッチング素子、並びに、それを用いたデバイス、光書き込み型表示媒体、及び表示装置
JPH1135687A (ja) ポリシラン共重合体、その製造方法、それを用いた有機エレクトロルミネッセンス素子及び電子写真感光体
JPH06131485A (ja) ニューロ学習方法
JPH06130442A (ja) 光情報処理素子におけるメモリーの消去方法
JPH09232526A (ja) 光情報処理素子
JPH08180689A (ja) 光−光変換装置におけるメモリーの消去方法
JPH07105160A (ja) 光情報処理素子
JPH07105161A (ja) 光情報処理素子におけるメモリーの消去方法
JPH07105162A (ja) 光情報処理方法
JP2007279370A (ja) 光書き込み型表示媒体