JPH10114588A - 肥料及びその使用方法 - Google Patents

肥料及びその使用方法

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JPH10114588A
JPH10114588A JP8267164A JP26716496A JPH10114588A JP H10114588 A JPH10114588 A JP H10114588A JP 8267164 A JP8267164 A JP 8267164A JP 26716496 A JP26716496 A JP 26716496A JP H10114588 A JPH10114588 A JP H10114588A
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Japan
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fertilizer
silicic acid
silica
water
silica gel
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JP8267164A
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Takanobu Noda
隆信 野田
Hirobumi Honda
博文 本田
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Fuji Silysia Chemical Ltd
Original Assignee
Fuji Silysia Chemical Ltd
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C05FERTILISERS; MANUFACTURE THEREOF
    • C05DINORGANIC FERTILISERS NOT COVERED BY SUBCLASSES C05B, C05C; FERTILISERS PRODUCING CARBON DIOXIDE
    • C05D9/00Other inorganic fertilisers

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  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Inorganic Chemistry (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Cultivation Of Plants (AREA)
  • Fertilizers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ケイ酸供給力や植物のケイ酸吸収利用効率の
高い肥料及びその使用方法の提供。 【解決手段】 水稲の試験圃場にシリカゲルを50g/
2となるように施用したところ、従来のケイ酸肥料に
比べて、水稲茎葉中のケイ酸含有率は極めて高くなっ
た。これにより、茎はケイ化されて強固になるため、稲
穂がたわわに実ったとしても、茎が折れたりすることが
ない。また、収量が増加した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、肥料特にイネ、ム
ギ等のイネ科植物に適する肥料及びイネ科植物の成長促
進方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、イネを生育するための肥料として
は、例えば、石灰肥料、マグネシア肥料、ケイ酸肥料、
石灰窒素、リン酸肥料、カリ塩、過リン酸石灰、複合肥
料(N、P25)、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニ
ウム、尿素、尿酸アンモニウムなどが使用されている。
【0003】また、イネやムギはケイ素を多量に吸収す
ることが知られている。イネのわらの灰分には約80
%、ムギのわらの灰分には約70%のSiO2が含まれ
ている。これらのイネ科植物においてケイ素が不足する
と、表皮細胞のケイ化が行われず、茎が弱くなって倒れ
易くなり、更にイモチ病などの病気にかかり易くなる。
【0004】肥料成分としてケイ酸が認められたのは1
955年で、そのころから製鉄工業や非鉄金属工業の副
産スラグがケイカル肥料の名で利用され始めた。これら
のスラグにはCaO、MgO等も含まれる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ケイカル肥料の多く
は、塩基性のケイ酸カルシウムやケイ酸マグネシウムか
ら成るため、酸性土壌中和の役割を果たす。かかるケイ
カル肥料では、ケイ酸が生成するためには、塩基性ケイ
酸塩の分解を必要とするため、その作用は遅い。また、
分解した後にpHの変化、カルシウム残渣の影響が少な
からずある。
【0006】このように、現状ではイネやムギにケイ酸
を供給しようとする場合、ケイカル肥料を用いることに
なるが、この場合には、CaOやMgOやその他の不純
物も一緒に散布されることになるため、土壌のpHが変
動したり、不純物による予期せぬ問題が発生したりする
おそれがある。
【0007】本発明は上記課題に鑑みなされたものであ
り、ケイ酸供給力や植物のケイ酸吸収利用効率の高い肥
料及びこの肥料の使用方法を提供することを目的とす
る。
【0008】
【課題を解決するための手段、発明の実施の形態及び発
明の効果】上記課題を解決するため、本発明の肥料特に
イネ科植物に適する肥料は、シリカゲル又はシリカゾル
を主成分とすることを特徴とする。尚、肥料とは、植物
の生育に必要な成分を供給するため土壌に加える物質の
ことをいう。
【0009】本発明は、従来、主に吸着剤として用いら
れていたシリカゲルにつき、ケイ酸肥料としての可能性
を探求したところ、従来のケイ酸肥料(例えばケイカ
ル)に比して際立って優れた効果が得られたものであ
る。具体的には、ケイ酸(SiO2)の供給能力や植物
のケイ酸吸収利用効率(散布した肥料が実際にイネ科植
物に取り込まれる割合)が従来品に比べて極めて高いと
いう効果が得られた。これにより、植物の茎がケイ化さ
れて強固になり例えばイネの場合には稲穂がたわわに実
ったとしても茎が折れたり倒れたりするのを防止でき、
また風雨等による倒伏も防止できる。
【0010】また農作物の収量がアップする。これはお
そらくケイ酸を多量に吸収した植物は光合成の効率が良
くなり、また病気等に強くなるためと考えられる。加え
て、本発明の肥料を施用した処理区においては、病原菌
や害虫等による被害が抑制される、特にイモチ病の発生
が抑制されるという効果が得られる。このイモチ病予防
効果は、どのような作用によるものか定かではないが、
茎等がケイ化することによりイモチ病を誘因する菌糸が
植物体内に侵入しにくくなることが考えられる。
【0011】ところで、シリカゲルとはケイ酸のゲルで
あり、SiO2・nH2Oで表される。一般的に湿式製造
法によるシリカゲルは、非多孔性非晶質なシリカコロイ
ド粒子が互いにシロキサン結合によって結合した三次元
網目構造より成っているものであり、単位重量を構成す
るシリカコロイド粒子個々の表面積の総和が比表面積、
これらシリカコロイド粒子の三次元網目により取り囲ま
れた空間が細孔容積である。
【0012】例えば、シリカゲルがケイ酸ナトリウム水
溶液と硫酸より調製される場合、ケイ酸ナトリウムの加
水分解によりモノケイ酸Si(OH)4 が生成し、更
に、モノケイ酸の脱水縮合によりコロイド次元のポリケ
イ酸粒子が形成され、液状物質いわゆるシリカゾルとな
る。この際、コロイド粒子の大きさは、SiO2 濃度、
塩濃度及びpH等により影響を受ける。シリカゾル中の
個々のコロイド粒子は、その後、凝集して三次元網目構
造を形成し、ついに、シリカゾルは流動性を失い、ゼラ
チン状の固まりとなる。この状態のものをシリカヒドロ
ゲルと呼ぶ。包含するケイ酸ナトリウムと硫酸より生成
する硫酸ナトリウムを水洗処理等により除去すれば初期
シリカヒドロゾルに依存する量の水と二酸化ケイ素及び
他の微量成分より成るシリカヒドロゲルが得られる。こ
のシリカヒドロゲルを脱水、乾燥したものがシリカキセ
ロゲルである。
【0013】本発明の肥料の主成分として用いることの
できるシリカゲルは、シリカヒドロゲルからシリカキセ
ロゲルに至るすべての状態のシリカゲルを含む。代表的
なシリカゲルの例としては、例えば、比表面積が100
〜800m2/g、粒径が5mm以下、pH4〜8(5
%スラリー)のものが挙げられる。尚、シリカゲルの形
状は、粉末状、破砕状、球状等のいずれでもよい。ま
た、シリカゾル(シリカヒドロゾル)も、本発明の肥料
の主成分として用いることができる。
【0014】本発明の肥料を例えば水田に用いる場合に
は、シリカゲル又はシリカゾルの水に対するケイ酸溶出
速度は速ければ速いほど好ましい。一般に、イネがケイ
酸を吸収する速度はかなり速く、特に出穂の時期には多
くのケイ酸を吸うようになる。このため、時間当たりに
溶出するケイ酸濃度が高ければ高いほど、つまりケイ酸
供給力が高ければ高いほど、イネのケイ酸吸収効率がよ
く、成長が顕著に促進される。具体的には、シリカゲル
又はシリカゾルは、水(イオン交換水や蒸留水等のよう
にケイ酸を含有していない水)に投入してから24時間
以内のケイ酸濃度が5ppm以上、特に15ppm以上
となる性質を有することが好ましい。前者の条件を満た
すシリカゲルとしては、シリカヒドロゲル、シリカキセ
ロゲル、シリカヒドロゲルからシリカキセロゲルに至る
状態のシリカゲル、例えばフジシリカゲルA形、B形
(富士シリシア化学(株)製)があり、後者の条件を満
たすシリカゲルとしては、含水シリカゲル(シリカヒド
ロゲルが脱水される過程において、もはや、細孔容積の
減少が生じなくなった状態、すなわち強固なコロイド粒
子三次元網目構造が形成され、なおかつ、含水している
状態からシリカキセロゲルに至る手前の含水状態のシリ
カゲル)がある。
【0015】また、水に対するケイ酸溶出速度は、シリ
カゲルの粒子径に大きく関連していると考えられ、溶出
速度を速くするためには、粒子径が100μm以下であ
ることが好ましい。本発明の肥料の施用量は10a当た
りのシリカゲルの重量が1〜100kgの範囲であるこ
とが好ましい。施用量が下限値未満では本発明の効果が
十分に得られないおそれがある。尚、施用量が上限値を
超えたとしても過剰供給分は土壌に残存して来期に再び
肥料としての作用を果たすため、特に問題はないが、散
布に要する労力が大きくなる。
【0016】本発明の肥料を例えば水田に施用した場合
と、施用しなかった場合とを比較すると、その収量は前
者が後者に比べて増加する傾向にあり、病気(例えばイ
モチ病)の発生率は低下する傾向にある。また、この肥
料は、窒素、リン酸又はカリと併用することが、より収
量が上がるので好ましい。特に窒素と併用した場合には
稲穂が豊富に実るため、本発明の肥料によって植物の茎
を強くすることが好ましい。
【0017】本発明の肥料の使用方法としては、例え
ば、本発明の肥料をイネ科植物を栽培する土壌に散布
する方法、本発明の肥料を微粉末の状態で水に浮遊さ
せる方法、本発明の肥料をイネ科植物の苗床へ敷設
し、その後この苗床ごと栽培土壌に植える方法、本発
明の肥料を水田用の水の1又は数カ所に局所的に配置す
る方法(例えば水田の取水口付近に投下する方法)等が
挙げられる。
【0018】前記の方法では、ムラにならないよう均
一に撒くことが好ましいが、前記、、の方法で
は、均一に撒く作業を行う必要がないためハンドリング
がよいという利点がある。特にでは、本発明の肥料を
微粉末として例えば水田用の水に浮遊させれば、微粉末
は自然拡散又は風等によって自ら広範囲に分散していく
ため、ハンドリングが一層優れている。尚、分散してか
ら数時間〜数日後にはシリカゲルは自ら吸水して沈降
し、ケイ酸を水中に溶出することによってイネ科植物に
吸収されその生長を促進させる。また、では、本発明
の肥料はケイ酸溶出速度が高いため、局所的に配置した
としても、水中に容易にケイ酸が溶出し水田全体に速や
かに拡散してイネ科植物に吸収される。
【0019】例えば、イネ科植物がイネの場合には、イ
ネが水中に溶解しているケイ酸を吸収してケイ酸濃度が
下がると、その分本発明の肥料からケイ酸が迅速に溶出
し、イネには十分にケイ酸が供給される。また、本発明
の肥料はケイ酸溶出速度が高いため、例えば、イネの成
長速度に合わせて必要な時期に散布することで、ケイ酸
を植物体内に直ちに吸収させることができ、速効性があ
る。
【0020】
【実施例】以下に、本発明の好適な実施例について説明
する。尚、以下の試験例1、2はいずれも道立中央農業
試験場で行った。本発明のイネ科植物用肥料としての水
田用肥料として、SiO299.5重量%以上のフジシ
リカゲルA形、B形(いずれも富士シリシア化学(株)
製)を用いた。これらの物性値を下記表1に示す。
【0021】
【表1】
【0022】また、従来のケイ酸肥料として、市販され
ている2種類のケイカル肥料(便宜上、市販A、Bと称
する)を比較対照とした。 [試験例1] 木枠試験 従来のケイ酸肥料である市販A、Bと、本発明の肥料で
あるフジシリカゲルA形、B形について、ケイ酸供給力
を調べるために、下記表2のような木枠試験を行った。
【0023】
【表2】
【0024】実施例1、2では供試サンプルとしてフジ
シリカゲルA形、B形を施用し、比較例1、2では市販
A、Bを施用した。各供試サンプルにつき、有効態とし
てのSiO2量が50g/m2となるように施用量を定め
(下記表3参照)、耕起時に全層施用した。尚、対照区
では供試サンプルを何も用いなかった。
【0025】
【表3】
【0026】対照区、実施例1、2、比較例1、2につ
き、水稲のケイ酸吸収を経時的に追跡した。その結果を
表4に示す。この表4から明らかなように、実施例1、
2とも、比較例1、2に比べてケイ酸の吸収利用効率が
極めて高く(9〜13%増)、水稲茎葉中のケイ酸含有
率は高くなる傾向にあった。
【0027】
【表4】
【0028】また、対照区、実施例1、2、比較例1、
2につき、収量を調査した。その結果を表5に示す。こ
の表5から明らかなように、対照区に比べてケイ酸肥料
を与えた実施例1、2及び比較例1、2では収量が増加
する傾向にあり、また、比較例1、2に比べて実施例
1、2では収量が更に増加する傾向にあった。
【0029】
【表5】
【0030】次に、収穫跡地の土壌中の可給態ケイ酸含
量を調査したところ、表6の結果が得られた。この表6
から明らかなように、比較例1、2ではケイ酸濃度が対
照区とほとんど変わらず、効率的にケイ酸が供給されて
いるとはいえない。これに対して、実施例1、2では対
照区と比べてケイ酸濃度が1.27〜1.43倍に増加
しており、これはケイ酸供給力が極めて高いことを示し
ている。
【0031】
【表6】
【0032】以上の木枠試験から、実施例1、2は、比
較例1、2と比べて、ケイ酸の供給力が極めて高く、水
稲茎葉中のケイ酸含有率も極めて高くなった。これによ
り、茎はケイ化されて強固になるため、稲穂がたわわに
実ったとしても茎が折れたり倒れたりすることがなく、
風雨によっても倒伏しないという効果が得られる。
【0033】また、実施例1、2は、対照区と比べて収
量が7〜10%増加し、また比較例1、2と比べても2
〜5%増加した。即ち、水稲の成長が顕著に促進され
た。更に、従来のケイ酸肥料では、例えばケイカル肥料
には本来不要であるカルシウムが含有されている等、不
要物や不純物が含まれていたが、実施例1、2における
フジシリカゲルA形、B形はいずれも純度が99.5重
量%以上であるため、不要物・不純物によって施用量が
増加することがなく容易に散布が行え、また、不要物・
不純物による作物への影響を心配するおそれもない。 [試験例2] 圃場試験 本発明のイネ科植物用肥料であるフジシリカゲルA形に
ついて、ケイ酸供給源としての効果を調べるために、下
記表7のような圃場試験を行った。
【0034】
【表7】
【0035】試験処理内容については、下記表8にまと
めた。即ち、実施例n(nは3〜8)には比較例nが対
応するようにし、両者はシリカゲルの施用の有無を除
き、同じ条件とした。また、実施例3〜5及び比較例3
〜5では土壌としてグライ土(前年に200kg/10
a施用したもの)を使用し、実施例6〜8及び比較例6
〜8では土壌として泥炭土を使用した。窒素肥料の施用
量は0、4、8(kg/10a)の3段階とし、りん酸
・カリはすべての処理区において8(kg/10a)と
した。尚、シリカゲルは試験例1と同様、耕起時に全層
施用した。
【0036】
【表8】
【0037】実施例3〜8及び比較例3〜8につき、ケ
イ酸供給と水稲の吸収を経時的に追跡した。その結果を
表9に示す。尚、表9における土壌溶液の欄は、水田の
水をろ過した後、その水に含まれるSi濃度を測定した
値である。この表9から明らかなように、実施例3〜8
のいずれも比較例3〜8に比べて、水田の水のケイ酸濃
度が高く、ケイ酸の吸収利用効率が高く、水稲茎葉中の
ケイ酸含有率は高くなる傾向にあった。
【0038】
【表9】
【0039】また、実施例3〜8及び比較例3〜8につ
き、収量を調査した。その結果を表10に示す。この表
10から明らかなように、各実施例の収量は対応する比
較例に対して概ね増加する傾向にあった。
【0040】
【表10】
【0041】以上の圃場試験から、水田用肥料であるフ
ジシリカゲルA形は、水稲に対するケイ酸供給能力が優
れ、その利用効率も優れていた。また、フジシリカゲル
A形を施用した処理区では、収量が増加する傾向にあ
り、水稲の成長が促進されたのみならず、イモチ病発生
率も未処理区と比べて減少する傾向にあった。 [試験例3] ケイ酸溶出試験 シリカゲルに対するケイ酸溶出速度を調査すべく、ケイ
酸溶出試験を行った。
【0042】供試サンプルとして、シリカゲルパウダ
A、シリカゲルパウダB、シリカヒドロゲル(製法につ
いては[課題を解決するための手段、発明の実施の形態
及び発明の効果]の欄を参照)、シリカキセロゲル(上
記フジシリカゲルA形と同じ)、ケイカル肥料(市販
品)を用いた。各サンプルの物性を表11に示す。尚、
シリカゲルパウダAは含水シリカゲルであるシリカゲル
パウダBの微粉末である。
【0043】含水シリカゲルの調製法は公知の方法(例
えば特開昭62−207712号記載の方法)を用い
た。即ち、ケイ酸ナトリウム水溶液[SiO2 20wt
%]と12N硫酸とを混合機中に一定量投入し、過剰酸
濃度1.0Nの均一なシリカゾルを調製し、次いで、該
シリカゾルを室温で2時間放置して十分な重合を行わせ
ゲル化し、均一透明な塊状シリカヒドロゲルを得、更に
このシリカヒドロゲルを水洗することにより、可溶性塩
の除去及び熟成を行った。その後、このシリカヒドロゲ
ルを所望の含水量になるように熱風乾燥し、次いで所望
の粒子径となるように粉砕することにより得た。
【0044】
【表11】
【0045】ケイ酸の定量は次のようにして行った。即
ち、それぞれの供試サンプル(シリカ換算で10.0
g)をpH6.5の蒸留水1Lに入れ、よく攪拌後静置
し、所定の時間毎にサンプリングし、シリカの定量分析
を行った。溶出シリカの定量にはイオン状シリカを定量
することで結果とした。本方法はイオン状シリカは7モ
リブデン酸6アンモニウムと反応して生成するヘテロポ
リ化合物(黄色)の吸光度をUbet-50型分光光度計(日
本分光(株)製)で測定してケイ酸を定量した。
【0046】このようにして行ったケイ酸溶出試験の結
果を図1のグラフに示す。この図1から明らかなよう
に、ケイ酸溶出速度は、シリカゲルパウダA>シリカゲ
ルパウダB>シリカキセロゲル、シリカヒドロゲル>ケ
イカル肥料の順であった。水に投入してから3時間後及
び24時間後のケイ酸濃度を表12にまとめた。
【0047】
【表12】
【0048】ところで、上記試験例1における表6の結
果から、ケイ酸溶出速度と水稲のケイ酸吸収効率には相
関がある。即ち、ケイ酸溶出速度が速いほどつまり単位
時間当たりに水に溶出するケイ酸の量が多いほど、水稲
のケイ酸吸収効率は高い。また、上記試験例1におい
て、市販A、B即ちケイカル肥料のケイ酸溶出速度では
水稲のケイ酸吸収効率及び収量が十分高くなかったこ
と、及び、フジシリカゲルA型即ちシリカキセロゲルの
ケイ酸溶出速度では水稲のケイ酸吸収効率及び収量とも
十分高くなったこと、から、溶出速度は、少なくともシ
リカキセロゲルのケイ酸溶出速度があれば十分な効果が
得られるといえる。このため、シリカゲルは、蒸留水に
投入してからケイ酸濃度が3時間後に2ppm以上、2
4時間後に5ppm以上となることが好ましいといえ
る。
【0049】上述したようにケイ酸溶出速度は高いほど
有利であるため、水田用肥料としての適性は、ハンドリ
ング性を考慮しなければ、シリカゲルパウダA>シリカ
ゲルパウダB>シリカキセロゲル、シリカヒドロゲルの
順である。尚、本発明は上記各実施例に限定されること
なく、本発明の技術的範囲に属する限り、種々の態様で
実施できることはいうまでもない。
【0050】例えば、上記試験例2の圃場試験において
は、シリカゲル(フジシリカゲルA形)は水田にほぼ均
一に散布したが、イネの苗床へシリカゲルを敷設し、そ
の後この苗床ごと栽培土壌に植えてもよく、この場合に
も同様の効果が得られる。あるいは、同シリカゲルを微
粉末の状態で水田用の水に浮遊させてもよく、この場
合、シリカゲルは自ら拡散して広範囲に分散しその後自
ら吸水して沈降しつつケイ酸を水中に溶出することによ
って、ケイ酸がイネ科植物に吸収されその生長を促進さ
せる。
【0051】あるいは、同シリカゲルを水田用の水の1
又は数カ所に局所的に配置してもよく、この場合、シリ
カゲルは自らケイ酸を水中に溶出させてそのケイ酸が水
田全体に拡散することによって、ケイ酸がイネ科植物に
吸収されその生長を促進させる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ケイ酸溶出試験の結果を表すグラフである。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリカゲル又はシリカゾルを主成分とす
    ることを特徴とする肥料。
  2. 【請求項2】 イネ科植物に用いることを特徴とする請
    求項1記載の肥料。
  3. 【請求項3】 前記シリカゲル又はシリカゾルは、水に
    投入してから24時間以内にケイ酸濃度が5ppm以上
    となることを特徴とする請求項1又は2記載の肥料。
  4. 【請求項4】 前記シリカゲル又はシリカゾルは、水に
    投入してから24時間以内にケイ酸濃度が15ppm以
    上となることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記
    載の肥料。
  5. 【請求項5】 病原菌及び害虫の予防に用いることを特
    徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の肥料。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載の肥料を
    イネ科植物を栽培する土壌に散布することによってイネ
    科植物の成長を促進させることを特徴とする肥料の使用
    方法。
  7. 【請求項7】 請求項1〜5のいずれかに記載の肥料を
    微粉末の状態で水に浮遊させることにより、自ら拡散し
    て広範囲に分散しその後自ら吸水して沈降しつつケイ酸
    を水中に溶出することによってイネ科植物の生長を促進
    させることを特徴とする肥料の使用方法。
  8. 【請求項8】 請求項1〜5のいずれかに記載の肥料を
    イネ科植物の苗床へ敷設し、その後この苗床ごと栽培土
    壌に植えることを特徴とする肥料の使用方法。
  9. 【請求項9】 請求項1〜5のいずれかに記載の肥料を
    水田用の水の1又は数カ所に局所的に配置することによ
    り、自らケイ酸を水中に溶出させて水田全体に拡散させ
    ることによってイネ科植物の生長を促進させることを特
    徴とする肥料の使用方法。
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WO2007083445A1 (ja) * 2006-01-17 2007-07-26 Osamu Yamada 植物の生育促進及び品質改良方法、並びに同方法に使用する生育促進剤及び品質改良剤
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