JP2017214368A - イネ科植物のケイ酸吸収促進剤及びその施用方法 - Google Patents

イネ科植物のケイ酸吸収促進剤及びその施用方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、植物体によるケイ酸の吸収を促進し、植物の生育及び品質を向上させるために有効な資材の組み合わせを提供することを目的とする。【解決手段】本発明は、1種以上の糖と1種以上の有機酸とを含む、イネ科植物によるケイ酸の吸収を促進するケイ酸吸収促進剤に関する。本発明はまた、1種以上の糖と1種以上の有機酸とを、イネ科植物が生育する湛水した土壌に供給される流水に添加することで植物に施用する施用工程を含む、イネ科植物によるケイ酸の吸収を促進する方法に関する。【選択図】なし

Description

本発明は、イネ科作物の生育向上、特にケイ酸吸収を増加させる効果を有する資材、およびその使用方法に関する。
ケイ素(Si)は地球の表面、地殻に最も豊富に存在する元素であり、土壌の粘土鉱物やガラス質を構成する主成分であるケイ酸として存在している。
また、イネ・麦などのイネ科作物はケイ酸を多量に必要とすることが知られている。イネのわらの灰分には約80%、麦のわらの灰分には約70%のケイ酸が含まれている。そのためにイネ科作物は、他の植物以上に根からケイ酸を積極的に吸収している。
ケイ酸は地殻表面に多量に存在していながら、溶解度が非常に低いために、粘土鉱物などからのケイ酸の可溶化、供給速度は非常に緩慢である。また、水田への灌漑水からの供給もあるが、河川の護岸工事が進み、岸辺がコンクリートなどで固められた結果、上流から溶出してくるケイ酸の量は大幅に減少してきている。一方で集約農業では狭い間隔に作物を密植するために、単位面積当たりに作物が必要とするケイ酸の需要量は大きくなる。結果として需要と供給のバランスが崩れ、ケイ酸不足となっている。ケイ酸は根から吸収された後、水と共に植物体内に行き渡る。水は植物の表面から蒸散するが、ケイ酸は表皮細胞に集積しケイ化が起こり、葉・茎・穂の硬さの補強に使用される。しかしながら、必要とするケイ酸量の供給が行われないと、表皮細胞のケイ化が行われず、茎が軟弱になり、倒れやすくなり、更にイモチ病などの病気に感染しやすくなり、生育不良や収量の減少、品質の低下につながる。
その対策として、わらを土壌に戻すことや、ケイ酸カリ等の肥料やケイ酸を含む土壌改良剤などを多量に投入することが行われている。施用した資材からは、不溶性のケイ酸分の一部が土壌中でゆっくり可給態ケイ酸に変化して供給源となる。これらの投入資材の多くは、固体の重量物であり、10aあたり100kg程度、あるいはそれ以上を散布する重労働な作業が伴う。
イネ科作物が最もケイ酸を必要とする時期は、体内に幼穂が形成され、穂が出て充実し始める頃である。しかしながら、施用物が固形物である場合には、ケイ酸が溶解し始めるまでに非常に時間がかかり、しかもその全てが溶解するわけではないため、環境中に残存する量も多く、作物が必要とする適切な時期に必要な量を与えることは困難である。また、作物は天候によっても生育が左右されるため、早い時期の投入では、作物の生育・変化の状況が判らない中での施用となり適切な施用は困難である。結果として、過剰量の資材を必要な時期よりもかなり前に投入することになる。
ケイ酸資材を液状物として施用する技術として、特許文献1には、ケイ酸カリウムのクエン酸水溶液を主成分として含むケイ酸カリウム液体肥料が記載されている。
特許文献2では、ケイ酸カリウム、ケイ酸ナトリウム等のケイ酸化合物を含む肥料のなかに木酢液を含有させて、ケイ酸化合物の肥効性を向上させる技術が開示されている。特許文献2ではケイ酸化合物を含む液状物を製造する方法として、ケイ酸カリ溶液又はケイ酸ナトリウム溶液中に木酢液を苛性カリ又は水酸化ナトリウムで電離平衡が成立するように中和してから少しずつ撹拌しながら混合し、透明度のある液体状にする方法が記載されている。
特許文献3には、水溶性ケイ酸化合物及びアミノ酸、更に必要に応じて有機酸を含有し、それらの化合物の結晶混合物を水に溶解して使用され、水に溶解した際に弱酸性のpHを呈することを特徴とする植物用農業資材が開示されている。
しかしながら、特許文献1、2、3に記載されているケイ酸質資材の効果は必ずしも満足できるものではない。
土壌の種類によっては、ケイ酸の供給の著しく低い土壌が知られている。代表的なものとして、非アロフェン質黒ぼく土壌がある。この種の土壌は、ケイ酸の固定力が著しく高く、イネへのケイ酸供給を低下させる。この様な土壌においては、イネの成熟期の茎葉のケイ酸含有率が7〜8%と低い。更にケイ酸質資材を施用しても、溶出するケイ酸量は少なく、イネのケイ酸の利用率は低く、施用効果が著しく低いことが知られている(非特許文献1、2)。この様な土壌の種類に起因する問題に対して研究者などから問題提起はなされているものの、これを改良する有効な従来技術は知られていない。非特許文献2の表3のデータにおいても、非アロフェン質黒ぼく土の鳴子圃場においては3,551kg/haの新ケイ酸資材の施用が必要との結論であり、全く非現実的な施用量である。
また、従来から広く使用されているケイ酸質資材の利用率は20〜30%と低いことが知られており、より利用効率を高めることができれば、生産者の負担軽減につながる。なお、ケイ酸質資材から土壌溶液中に溶出されたケイ酸は、土壌粒子に吸着され、その一部は再溶出される(非特許文献3)。すなわち、ケイ酸質資材からのケイ酸は土壌溶液を介して土壌の粘土鉱物との間で乖離平衡状態となることが知られている(非特許文献4)。
一方で植物に施用される組成物に有機酸や糖を配合することが知られている(例えば特許文献4、5)。しかし、有機酸又は糖が、ケイ酸の吸収にどのような影響を与えるかについては従来検討されていない。
特開昭62−56389号公報 特開2001−199779号公報 特開2006−298724号公報 特開2012−31163号公報 特表2011−530467号公報
「黒ぼく水田土壌のケイ酸供給力評価法」国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構ウェブサイト、http://www.naro.affrc.go.jp/org/tarc/seika/jyouhou/H15/seisan/h15seisan017.html 小林紀子ら「宮城県の代表的な水田土壌のケイ素供給能と水稲に対する新ケイ酸資材の施用効果」東北大学大学院農学研究科附属複合生態フィールド教育研究センター、複合生態フィールド教育研究センター報告(22),39−43,2006−12 真壁周平ら「土壌のケイ酸供給・吸着能と水稲のケイ酸吸収の関係」第223回日本作物学会講演会要旨集P404 加藤直人「安定同位体30Siを用いた土壌中でのケイ酸の動態研究」RADIOISOTOPES Vol.47,(1998)No.5,P457−458
本発明は、イネ科植物によるケイ酸の吸収を促進し、イネ科植物の生育及び品質を向上させるために有効な資材の組み合わせを提供することを目的とする。
更に本発明は、前記成分をイネ科植物に施用する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく、様々な種類の資材とその施用量、施用方法に関して検討を行った。その結果、1種以上の糖と1種以上の有機酸とを含む組成物、或いは、1種以上の糖及び1種以上の有機酸の少なくとも一方と、コロイドケイ酸とを含む組成物をイネ科植物に施用し栽培したときに、植物によるケイ酸の吸収が促進され、作物収量の増加、品質の向上など、イネ科植物の生育が改善されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は具体的には下記の発明を含有する。
(1)1種以上の糖と1種以上の有機酸とを含む、イネ科植物によるケイ酸の吸収を促進するケイ酸吸収促進剤。
(2)コロイドケイ酸を更に含む、(1)に記載のケイ酸吸収促進剤。
(3)1種以上の糖及び1種以上の有機酸の少なくとも一方と、コロイドケイ酸とを含む、イネ科植物によるケイ酸の吸収を促進するケイ酸吸収促進剤。
(4)液状物である、(1)〜(3)のいずれかに記載のケイ酸吸収促進剤。
(5)糖がオリゴ糖である、(1)〜(4)のいずれかに記載のケイ酸吸収促進剤。
(6)オリゴ糖が、シュクロース、マルトース、ラクトース、ガラクトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、キシロオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ラフィノース、トレハロース、マルトトリオース、マルトテトラオース、セロビオース、セロトリオース及びセロテトラオースからなる群から選択される1種以上を含む、(5)に記載のケイ酸吸収促進剤。
(7)有機酸が、1〜10個の炭素原子を有し且つ1〜3個のカルボキシル基を有する、(1)〜(6)のいずれかに記載のケイ酸吸収促進剤。
(8)有機酸が、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、カプロン酸、乳酸、ピルビン酸、α−ケトグルタル酸、クエン酸、イソクエン酸、リンゴ酸、コハク酸、フマル酸、オキサロ酢酸、オキサロコハク酸及びcis-アコニット酸からなる群から選択される1種以上を含む、(7)に記載のケイ酸吸収促進剤。
(9)1種以上の糖と1種以上の有機酸とを、イネ科植物が生育する湛水した土壌に供給される流水に添加することで植物に施用する施用工程を含む、イネ科植物によるケイ酸の吸収を促進する方法。
(10)前記施用工程において、前記流水に更にコロイドケイ酸を添加する、(9)に記載の方法。
(11)1種以上の糖及び1種以上の有機酸の少なくとも一方と、コロイドケイ酸とを、イネ科植物が生育する湛水した土壌に供給される流水に添加することで植物に施用する施用工程を含む、イネ科植物によるケイ酸の吸収を促進する方法。
(12)(1)〜(8)のいずれかに記載のケイ酸吸収促進剤を、イネ科植物が生育する湛水した土壌に供給される流水に添加することで植物に施用する施用工程を含む、イネ科植物によるケイ酸の吸収を促進する方法。
(13)施用工程が、幼穂形成期から出穂後2週間までの間に少なくとも1回行われる、(9)〜(12)のいずれかに記載の方法。
(14)(1)〜(8)のいずれかに記載のケイ酸吸収促進剤を、ケイ酸質資材と併用してイネ科植物に施用することを含む、イネ科植物によるケイ酸の吸収を促進する方法。
(15)1種以上の糖及び1種以上の有機酸の少なくとも一方と、コロイドケイ酸とを含む、液状物。
本発明のケイ酸含有液状物又はケイ酸吸収促進剤を植物に施用することにより、植物体内でのケイ酸含量が増大し、植物の生育が改善される。
以下、本発明について詳細に説明する。
<対象植物>
本発明が対象とする植物はケイ酸の吸収を必要とする植物であれば特に限定されないが、好ましくはイネ科植物である。イネ科植物としてはイネ科に属する植物あれば特に制限はないが、例えばイネ、オオムギ、コムギ、ライムギ、トウモロコシなどが挙げられる。
<本発明のケイ酸吸収促進剤>
本発明は第一に、1種以上の糖と1種以上の有機酸とを含む、或いは、1種以上の糖及び1種以上の有機酸の少なくとも一方とコロイドケイ酸とを含む、イネ科植物によるケイ酸の吸収を促進するケイ酸吸収促進剤に関する。
本発明のケイ酸吸収促進剤をイネ科植物に施用した場合には、驚くべきことに、イネ科植物によるケイ酸の吸収を促進することができ、資材として施用されるケイ酸の量を上回る量のケイ酸をイネ科植物に吸収させることができる。この場合に、施用されたケイ酸以外に吸収されるケイ酸は、土壌の鉱物や、土壌に施用したケイ酸を含む資材等から供給されたものと考えられる。その機構は明らかではないが、たとえば次のような機構が推定される。1種以上の糖及び1種以上の有機酸の少なくとも一方、好ましくは両方、が土壌の鉱物等に直接的に作用して、或いは、1種以上の糖及び1種以上の有機酸の少なくとも一方、好ましくは両方、が土壌微生物を活性化し活性化された土壌微生物を介して土壌の鉱物等に間接的に作用して、土壌の鉱物等のケイ酸を可給態ケイ酸に変換しイネ科植物による吸収を促進している可能性がある。また、本発明のケイ酸吸収促進剤の施用によりイネ科植物の根の活性が向上して根の吸収能が向上する、イネ科植物の根からの糖・有機酸・アミノ酸・脂質・タンパク質などの有機物の分泌が促進され土壌の鉱物等からのケイ酸の可溶化が促進される、など複数の要因が働き、イネ科植物によるケイ酸の吸収が促進される可能性がある。
本発明において「ケイ酸」は、Si及びO、或いはSi、O及びHの元素で表される化合物であって、Si=O又はSi−OHの官能基を有する化合物を指す。ケイ酸中のSi=O又はSi−OHにおける酸素原子は負の電荷を有するOに活性化されていてもよい。ケイ酸の具体例としては、二酸化ケイ素(シリカともいう)(SiO)、メタケイ酸(HSiO)、オルトケイ酸(HSiO)、ジケイ酸(HSi)、ピロケイ酸(HSi)等や、これらの塩が挙げられる。そして、本発明において、イネ科植物によるケイ酸の吸収とは、イネ科植物の根からケイ酸を吸収して体内に取り込むことであり、ケイ酸の吸収は、植物体内に残存するケイ酸の量を、二酸化ケイ素として測定することにより計測することができる。ただし、葉面散布して、葉・茎などの表面の外側に付着したものは植物体内に残存するケイ酸には含まない。採取した植物全体で分析、または、根、茎、葉、穂などに各部位に分画してから分析してもよい。ケイ酸の吸収は、植物の生育ステージによって必要とされる量は異なると考えられる。特に、イネ科植物における穂の形成時期のケイ酸は、穀物の品質に大きな影響を与えるために重要である。生育ステージに分けて部位別にケイ酸の吸収量を測定することで、非常に有効なデータが得られる。後述する実施例では、本発明のケイ酸吸収促進剤の施用時のイネにおけるケイ酸吸収量を部位別に評価している。
更に、本発明のケイ酸吸収促進剤をイネ科植物に施用した時、その一部は作物の根から直接植物体へ取り込まれて代謝されることにより植物体が活性化される効果、根の呼吸活性が増加する効果、根から根酸などの有機物の分泌を促進する効果、植物根圏の酸化還元電位の変化やpHの変化などが期待される。本発明のケイ酸吸収促進剤の成分の一部は、土壌微生物に吸収利用されて、土壌微生物の活性化、土壌微生物によるケイ酸の可溶化促進が期待される。土壌微生物の活性化は、土壌有機物の代謝や土壌金属類の可溶化、土壌のpHにも影響を与える可能性もある。
これらの現象の科学的な理論については、まだ充分に明らかにされていない部分も多々あるので、現在までに理解されている範囲内で想定されている仮説などを含めて考えられることを説明する。
土壌の粘土鉱物中のケイ酸は鉄(Fe)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)などの金属類と複雑に結合した高分子化合物の状態で存在している。自然界ではその一部が非常にゆっくりと分解・解離して植物が利用できる低分子または単分子の可給態ケイ酸に変化する。この変化には、植物の根から分泌される糖、有機酸、アミノ酸、脂質、タンパク質などや土壌微生物が関与している。また、土壌を湛水することで、土壌中の酸素が減少し、還元状態となること、pHが変化すること、土壌中の鉄やその他の金属類の溶解度の変化などもケイ酸の可給態化の反応に影響していると考えられている。
本発明において見出されたケイ酸吸収促進剤の施用効果は、各成分の施用量が少量であることから、土壌のpHや還元状態を直接的に変化させるとは考えにくい。むしろ、ケイ酸吸収促進剤に含まれる成分がイネ科植物の根から吸収され、植物体の活性化に伴い、植物根の呼吸活性の増加、植物根からの根酸などの有機物の分泌促進、植物根圏の酸化還元電位やpHの変化、土壌微生物に利用されることによる土壌微生物の活性化、土壌微生物の作用による土壌中の金属類の溶解度の変化や土壌有機物の代謝など間接的な様々な要因が関連して、土壌中の可給態ケイ酸量の増加に繋がっていると考えられる。これらの結果として、イネ科植物の根から吸収されるケイ酸量が増加し、植物体を丈夫にし、耐病性を向上させ、作物収量、品質の向上につながると考えられる。
本発明のケイ酸吸収促進剤が1種以上の糖と1種以上の有機酸とを含む態様では、これらの成分が協同して上記の作用を発揮するため、イネ科植物によるケイ酸の吸収を効率的に促進することができる。この態様に係るケイ酸吸収促進剤はケイ酸成分を含むことは必須ではないが、ケイ酸成分としてコロイドケイ酸を更に含む場合は、土壌等の環境に由来するケイ酸の植物による吸収が促進されることに加えて、ケイ酸吸収促進剤が含むコロイドケイ酸が植物に吸収されるため好ましい。後述する通りコロイドケイ酸はイネ科植物にとって特に利用され易い。
本発明のケイ酸吸収促進剤が1種以上の糖及び1種以上の有機酸の少なくとも一方とコロイドケイ酸とを含む態様では、1種以上の糖及び1種以上の有機酸の少なくとも一方が上記の通りイネ科植物によるケイ酸の吸収を効率的に促進することに加えて、ケイ酸吸収促進剤が含むコロイドケイ酸が植物に供給され吸収され、施用したコロイドケイ酸が効率的に植物に利用されるため好ましい。この態様に係る本発明のケイ酸吸収促進剤は、より好ましくは、1種以上の糖と1種以上の有機酸とコロイドケイ酸とを含む。
本発明における糖は、単糖、オリゴ糖及び多糖から選択される1種以上を含むことができ、複数種の糖の混合物であってもよい。オリゴ糖は、単糖が2個〜6個グルコシド結合した少糖類、或いは複数の少糖類の混合物であり、単糖及び/又は多糖との混合物であってもよい。オリゴ糖のうち二糖としては、シュクロース(ショ糖)、マルトース(麦芽等)、ラクトース(乳糖)、セロビオース、トレハロースが挙げられる。オリゴ糖のうち三糖としては、ラフィノース(ビートオリゴ糖)、マルトトリオース、セロトリオース、ラクトスクロース(乳果オリゴ糖)等が挙げられる。オリゴ糖のうち四糖としては、マルトテトラオース、セロテトラオース等が挙げられる。混合物のオリゴ糖としては、ガラクトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、大豆オリゴ糖等が挙げられる。単糖としてはグルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース等が挙げられる。多糖としてはでんぷん、セルロース、キチン、アガロース、ペクチン、キシログルカン、グリコーゲン、デキストリン、イヌリン等が挙げられる。糖としては特にオリゴ糖が好ましい。オリゴ糖は単糖よりも植物への施用後に土壌又は植物体から流亡し難いため好ましい。また、オリゴ糖は多糖よりも水への溶解性が高く液状物中で析出しにくいため好ましい。オリゴ糖のなかでも二糖及び/又は三糖を含むものがケイ酸の吸収を促進する効果が特に高く好ましい。
本発明における有機酸とは、20℃の水に溶解したときにpH7未満の酸性を呈する有機化合物である。酸性基を有する化合物であっても、水に溶解した時に塩基性を示す塩基性アミノ酸等の化合物は有機酸の範囲ではない。なお、本明細書に記載するpH値は、特に明示のない限り、20℃において測定した場合のpH値を指す。
本発明に用いる有機酸としては、1〜10個の炭素原子を有し且つ1〜3個のカルボキシル基を有する有機酸が好ましい。具体的な例としては、ギ酸(HCOOH)、酢酸(CH−COOH)、プロピオン酸(CHCH−COOH)、酪酸(CHCHCH−COOH)、イソ酪酸((CHCH−COOH)、吉草酸(CHCHCHCH−COOH)、カプロン酸(CHCHCHCHCH−COOH)、乳酸(CH−CH(OH)−COOH)、ピルビン酸(CHCO−COOH)、オキサロ酢酸(HOOC−COCH−COOH)、α−ケトグルタル酸(HOOC−COCHCH−COOH)、オキサロコハク酸(HOOC−CO−CH(COOH)−COOH)、コハク酸(HOOC−CHCH−COOH)、フマル酸(HOOC−CH=CH−COOH)、リンゴ酸(HOOC−CHCH(OH)−COOH)、クエン酸(C(OH)(CHCOOH)−COOH)、イソクエン酸(HOOC−CH(COOH)−CH(OH)−COOH)、cis−アコニット酸(HOOC−CHC(COOH)=CH−COOH)等が挙げられ、これらの群から選択される1種以上の有機酸を使用することができる。有機酸としては2種以上の有機酸の混合物を使用することもできる。
本発明に用いるコロイドケイ酸は、好ましくは水等の極性溶媒中で二酸化ケイ素が溶媒和して形成される。コロイドケイ酸の形態であることで、ケイ酸が単分子または低分子の状態で安定して存在できる。ケイ酸吸収促進剤中でケイ酸の分子が重合して不溶性のガラス質が析出するとケイ酸が植物や微生物に吸収され難くなるが、ケイ酸としてコロイドケイ酸を用いることでこの問題を回避することができる。
コロイドケイ酸の、水中に分散させたときの平均粒子径は100nmφ以下であることが好ましく、50nmφ以下であることが好ましく、20nmφ以下であることがより好ましい。また、コロイドケイ酸の、水中に分散させたときの平均粒子径は1nmφ以上であることが好ましく、5nmφ以上であることがより好ましく、10nmφ以上であることがより好ましく、10nmφ〜20nmφの範囲であることが特に好ましい。コロイドケイ酸の平均粒子径としては、コロイドケイ酸の粒子のBET(Brunauer Emmett Teller)法による比表面積の測定結果と、コロイドケイ酸の粒子の密度とから、真球状の粒子と仮定して算出した粒子径を採用することができる。BET法は、窒素(N)ガスなどの気体分子を粒子に吸着させ、ガスの吸着量と圧力変化から比表面積を求める方法である。
コロイドケイ酸が、水中で水和した二酸化ケイ素のコロイド懸濁液である場合、該懸濁液の水相は通常は酸性を示し、そのpHは、20℃において例えば1〜6、より具体的には2〜4の範囲である。本発明のケイ酸吸収促進剤には、酸性のコロイドケイ酸を用いることが好ましい。特許文献1、2等に記載されているケイ酸カリウム又はケイ酸ナトリウムや、鉄、合金鉄等の金属を生産するときに副産物として生じる鉱さいを原料として製造されるケイカルは、アルカリ性のケイ酸である。アルカリ性のケイ酸は、特許文献2に記載されているように中和が必要であるなど、そのままでは肥料としての利用が難しいという問題がある。また、アルカリ性のケイ酸は一般的に溶解性の低い塩であり、液状物の形態とする場合に加熱するなどの操作が必要であり取扱いが難しい場合がある。一方、酸性のコロイドケイ酸であれば肥料としての利用が容易であり、植物の施用前にpH調整や加熱などの作業も特に必要がない。また、イネ科植物は一般に中性から酸性の土壌環境を好み、この観点からも、酸性のコロイドケイ酸を施用することが望ましい。なお、本発明において「酸性のコロイドケイ酸」とは、20℃の水中に分散させたときに7.0未満の酸性領域のpHを呈するコロイドケイ酸を指す。
本発明のケイ酸吸収促進剤における各成分の量は特に限定されない。例えば、本発明のケイ酸吸収促進剤が1種以上の糖と1種以上の有機酸とを含む場合には、1種以上の糖の合計量100重量部に対して1種以上の有機酸の合計量が、好ましくは5重量部以上1,000重量部以下、より好ましくは15重量部以上200重量部以下である。また、本発明のケイ酸吸収促進剤が、1種以上の糖及び1種以上の有機酸の少なくとも一方と、コロイドケイ酸とを含む場合には、1種以上の糖(糖を含まない場合には1種以上の有機酸)の合計量100重量部に対して、コロイドケイ酸(SiO換算重量)が好ましくは100重量部以上10,000重量部以下、より好ましくは200重量部以上5,000重量部以下である。糖、有機酸、及び/又は、コロイドケイ酸がこの量比である場合には、イネ科植物によるケイ酸の吸収が顕著に促進されるため好ましい。
本発明のケイ酸吸収促進剤は所定の成分を含んでいる限りその形態は特に限定されないが、好ましくは液状物である。本発明において液状物とは、液体媒体中に、所定の成分が溶解又は懸濁した状態の組成物である。ここで液体媒体とは好ましくは水であり、エタノール等の水溶性有機溶媒と水との混合液体媒体であってもよい。本発明において液状物は、各成分が、それぞれ独立に、液体媒体中に完全に溶解して存在している、或いは、充分に液体媒体と馴染み、液体媒体中で乳化状態もしくはコロイド状態で懸濁して存在しており、長期間置いても沈殿を形成せず液体状態を維持できる組成物であることが好ましい。液状物としては、低温条件下に長期間置いた場合に、コロイド状の物などが一部沈殿することがあっても加温して再溶解又は再懸濁できるものであれば好適である。
本発明のケイ酸吸収促進剤を液状物の形態とすることにより種々の有利な効果を奏する。ケイ酸塩を含む従来の固体状のケイ酸含有資材は、重量が重く、広い圃場全体に均一に散布することが困難であった。特に、真夏の最も気温の高い季節がちょうどイネ科作物の出穂期頃にあたり、最もケイ酸の供給が必要とされる時期となるため、重量物資材の散布作業は作業者にとって負担が大きい。これに対して、本発明のケイ酸吸収促進剤を液状物の形態とすることにより、少量の液状物を湛水した圃場全体に均一になるように流し込むことで施用することが可能であり、作業が大幅に省力化できる。少量の液状物の流し込み作業は、液状物を入れた小さな容器を水口に置き容器の口を開くだけで済み簡便である。また、液状物中に溶解又は懸濁したケイ酸吸収促進成分又はコロイドケイ酸は植物が速やかに利用可能であるため、植物がケイ酸を必要なときに液状物の形態のケイ酸吸収促進剤を適切な量施用すればよく、無駄が少ないため環境への負荷も大幅に削減できる。
本発明の液状物の形態のケイ酸吸収促進剤は、液体媒体中に糖、有機酸及び/又はコロイドケイ酸を溶解又は懸濁させるために、必要に応じて界面活性剤等の添加剤を含んでいてよい。各成分を溶解または懸濁した状態で含む液状物を植物に施用することにより、各成分を固体の形態で植物に施用する場合と比較して、根からの植物への吸収が速やかに行われるため効率的である。
本発明の液状物の形態のケイ酸吸収促進剤の全量に対する各成分の濃度は、液体媒体の量を変更することにより変動し得るため特に限定されないが、例えば、液状物の形態のケイ酸吸収促進剤が1種以上の糖を含む場合、1種以上の糖は、合計で、液状物の全量当たり好ましくは1重量%以上50重量%以下、より好ましくは2重量%以上20重量%以下であることができる。液状物の形態のケイ酸吸収促進剤が1種以上の有機酸を含む場合、1種以上の有機酸は、合計で、液状物の全量当たり好ましくは0.1重量%以上40重量%以下、より好ましくは0.4重量%以上20重量%以下であることができる。液状物の形態のケイ酸吸収促進剤がコロイドケイ酸を含む場合、コロイドケイ酸は、液状物の全量当たりSiO換算で10〜40重量%含有することが好ましい。同じ量のコロイドケイ酸を投入する場合には、コロイドケイ酸濃度が希薄な場合には多量に液状物を施用する必要があり、できるだけ高濃度の液にして施用するほうが効率が良いため、液状物中にコロイドケイ酸はSiO換算で10重量%以上含まれることが好ましい。一方、液状物中のコロイドケイ酸がSiO換算で40重量%以下の濃度で含まれる場合には、液状物中でケイ酸が重合して析出物が析出する可能性が低いため好ましい。各成分がこの濃度範囲である場合に、本発明の液状物を植物に施用したときに植物にケイ酸を供給するとともにケイ酸の吸収を促進させる効果が奏される。
本発明の液状物の形態のケイ酸吸収促進剤のpHは特に限定されないが、イネ科作物は一般的にやや酸性の土壌環境を好むことから、酸性領域のpHであることが好ましく、具体的には20℃で測定した場合のpHが1.5以上6.5以下であることができ、より好ましくは、2.0以上4.5以下である。
本発明のケイ酸吸収促進剤の製造方法は特に限定されず各成分を混合することにより製造することができ、各成分の混合の順序は特に限定されない。
<本発明の液状物>
本発明は第二に、1種以上の糖及び1種以上の有機酸の少なくとも一方と、コロイドケイ酸とを含む、液状物に関する。本発明の液状物は、好ましくは、1種以上の糖と、1種以上の有機酸と、コロイドケイ酸とを含む。
本発明で液状物とは、液体媒体中に、所定の各成分が溶解又は懸濁した状態の組成物である。ここで液体媒体とは好ましくは水であり、エタノール等の水溶性有機溶媒と水との混合液体媒体であってもよい。本発明の液状物は、各成分が、それぞれ独立に、液体媒体中に完全に溶解している、或いは、充分に液体媒体と馴染み、乳化状態もしくはコロイド状態で懸濁して存在しており、長期間置いても沈殿を形成せず液体状態を維持できる組成物であることが好ましい。本発明の液状物としては、低温条件下に長期間置いた場合に、コロイド状の物などが一部沈殿することがあっても加温して再溶解又は再懸濁できるものであれば好適である。
本発明ではケイ酸含有資材を液状物の形態とすることにより種々の有利な効果を奏する。コロイドケイ酸を溶解または懸濁した状態で含む液状物をイネ科植物に施用することにより、固体のケイ酸を植物に施用する場合と比較して、根からの植物への吸収が速やかに行われるため効率的である。本発明のコロイドケイ酸を含有する液状物は、少量の液体を湛水した圃場全体に均一になるように流し込むことで施用することが可能であり、作業が大幅に省力化できる。少量の液状物の流し込み作業は、液状物を入れた小さな容器を水口に置き容器の口を開くだけで済み簡便である。また、液状物中に溶解又は懸濁したコロイドケイ酸は植物が速やかに利用可能であるため、植物がケイ酸を必要なときに本発明の液状物を適切な量施用すればよく、無駄が少ないため環境への負荷も大幅に削減できる。
本発明の液状物は、液体媒体中にコロイドケイ酸を溶解又は懸濁させるために必要に応じて界面活性剤等の添加剤を含んでいてよい。
本発明の液状物に含まれ得る1種以上の糖、1種以上の有機酸及びコロイドケイ酸並びに液体媒体、界面活性剤などの他の成分はそれぞれケイ酸吸収促進剤における各成分と同様の範囲から選択することができる。また、本発明の液状物中での各成分の量比は、ケイ酸吸収促進剤における各成分の量比と同様の範囲から選択することができる。また、本発明の液状物中での各成分の濃度は、液状物の形態のケイ酸吸収促進剤における各成分の濃度と同様の範囲から選択することができる。本発明の液状物のpH値は、液状物の形態のケイ酸吸収促進剤のpH値と同様の範囲から選択することができる。
本発明の液状物中では、コロイドケイ酸の形態のケイ酸が単分子または低分子の状態で安定して存在できる。
本発明の液状物を植物に施用した場合には、施用された液状物に含まれるケイ酸を植物に供給することができるだけでなく、驚くべきことに、施用された液状物に含まれるケイ酸の量を上回る量のケイ酸を植物に吸収させることができる。この場合に吸収されるケイ酸は土壌の鉱物等から供給されたものと考えられる。その推定機構についてはケイ酸吸収促進剤に関して上記した通りである。
本発明の液状物の製造方法は特に限定されず、例えば、各成分を任意の順序で混合することにより製造することができる。
<本発明のケイ酸吸収促進方法>
本発明は第三に、1種以上の糖と1種以上の有機酸とを、或いは、1種以上の糖及び1種以上の有機酸の少なくとも一方と、コロイドケイ酸とを、イネ科植物が生育する湛水した土壌に供給される流水に添加することで植物に施用する施用工程を含む、イネ科植物によるケイ酸の吸収を促進する方法に関する。この方法を以下の説明では「本発明のケイ酸吸収促進方法」と称する場合がある。
前記施工工程では、1種以上の糖と1種以上の有機酸とを、或いは、1種以上の糖及び1種以上の有機酸の少なくとも一方と、コロイドケイ酸とを、それぞれ別々に用意して前記流水に添加してもよいが、より好ましくは、上記の本発明のケイ酸吸収促進剤として前記流水に添加する。各成分を、それぞれ別々に用意して前記流水に添加する場合の、各成分の好適な態様や、各成分の量比は、本発明のケイ酸吸収促進剤に関して説明した範囲の中から適宜選択できる。
前記施用工程では、1種以上の糖と1種以上の有機酸とを、或いは、1種以上の糖及び1種以上の有機酸の少なくとも一方と、コロイドケイ酸とを、イネ科植物が生育する湛水した土壌に供給される流水の流れに乗せて水口側から供給することにより、各成分が水に希釈されながら拡散して広がるため、湛水圃場全体に均一に行き渡らせることが容易である。この効果は、各成分を、液状物の形態で添加した場合に特に効果的である。なお、湛水する前の土壌に液状物を流し込むと、土壌に浸み込んでしまい圃場全体に均一に施用することができないので好ましくない。従来の多くのケイ酸質資材は固形物でかつ重量物であるため、広い圃場全体に均一に散布することは難しく、散布作業自体も大変な重労働であったが、本発明の施用方法では従来の問題点を克服することができる。
土壌に水を湛水するためには、土壌を含む圃場を、水田の様に水が溜められる様にプール状にしておくことが好ましい。また、水は傾斜に従って上から下に流れる性質があるため、湛水する土壌は、できるだけ水平であることが好ましい。
本発明のケイ酸吸収促進方法における前記施用工程は、イネ科植物が最もケイ酸を必要とする時期に合わせて行うことが好ましい。その時期は、イネ科植物の植物体内に幼穂が形成し始める時期(幼穂形成期)から、実際に出穂してから2週間までの期間である。前記施用工程は、この期間内に少なくとも1回行えばよく、2回以上行ってもよい。2回以上の施用工程を行う場合は、出穂前に1回以上と出穂後に1回以上施用工程を行うことや、出穂前に2回以上施用工程を行うことができる。従来のケイ酸質資材は、固形物であるために溶解するまでに時間がかかることから、必要な時期よりもずっと前に施用する必要があった。しかし、イネ科植物の生育は植え付けた後の環境(温度・湿度・日照量・雨量など)の変動によっても異なってくるし、幼穂形成期から出穂期にかけて急に高温や低温などの環境変化にさらされる場合もある。本発明では、イネ科植物の状態および環境変化を直前まで把握し、より正確な気象情報が得られるようになってから、必要とされる時に与えることができるため、もしもイネ科植物の生育状態が非常に良好に保たれ、ケイ酸を与える必要がなければ直前に中止することも可能である。また、気象条件の急激な変化により植物にストレスがかかる場合には直前に施用する等の対応も可能である。
また、現場圃場への施用を考えた場合に、作業者が間違えて施用量を多く入れたり、少なく入れたりの事故が発生することも考慮しておく必要がある。また土壌への流し込み施肥において水の流れが不均一となり水が滞留するよどんだ場所ができる場合がある。その結果、部分的に施用量が不均一になる場合も考慮しておく必要がある。これらの事を考慮して、本発明の方法で施用する資材は、現場で多少不均一となった場合にも安定した効果が発揮できる資材が望ましい。そのためには、標準施用量に対して濃度が1/2〜2倍の範囲において、濃度依存ではなく、ほぼ同様の効果が得られる資材が望ましく、このような資材としては、本発明のケイ酸吸収促進剤が好適である。
本発明のケイ酸吸収促進方法において、各成分の施用量は特に限定されない。1種以上の糖を施用する場合にはその施用量は合計で、圃場面積10aあたり好ましくは0.01kg〜10kg、より好ましくは0.1kg〜5kgとすることができる。1種以上の有機酸を施用する場合にはその施用量は合計で、圃場面積10aあたり好ましくは0.01kg〜10kg、より好ましくは、0.1kg〜5kgとすることができる。コロイドケイ酸を施用する場合にはその施用量はSiO換算で、圃場面積10aあたり好ましくは0.2kg〜20kg、より好ましくは、0.4kg〜10kgとすることができる。施用工程は上記の通り1回であってもよいし2回以上であってもよいが、上記の各成分の施用量の範囲は、全ての施用工程により施用される合計の施用量の範囲を指す。
<本発明の第2のケイ酸吸収促進方法>
本発明は更に、本発明のケイ酸吸収促進剤を、ケイ酸質資材と併用してイネ科植物に施用することを含む、イネ科植物によるケイ酸の吸収を促進する方法に関する。この方法を以下の説明では「本発明の第2のケイ酸吸収促進方法」と称する場合がある。
本発明の第2のケイ酸吸収促進方法では、ケイ酸質資材は、本発明のケイ酸吸収促進剤と一体化された状態でイネ科植物に施用してもよいが、別の資材としてイネ科植物に施用することが好ましい。ケイ酸質資材は、従来公知のケイ酸質資材であることが特に好ましい。ケイ酸質資材としては例えば鉱さいケイ酸質肥料、熔成リン肥料、軽量気泡コンクリート粉末肥料、熔成ケイ酸リン肥料、ケイ酸加里肥料、シリカゲル肥料、加工鉱さいリン酸肥料、シリカヒドロゲル肥料が例示できる。本発明の第2のケイ酸吸収促進方法によれば、ケイ酸質資材の利用効率を高めることができる。
本発明の第2のケイ酸吸収促進方法において、ケイ酸質資材と、本発明のケイ酸吸収促進剤とは、同じ施用方法でイネ科植物に施用してもよいし、別々の施用方法でイネ科植物に施用してもよい。また、ケイ酸質資材と本発明のケイ酸吸収促進剤とは異なる時期にイネ科植物に施用してもよい。
本発明の第2のケイ酸吸収促進方法における、本発明のケイ酸吸収促進剤のイネ科植物への施用方法は、好ましくは、上記の本発明のケイ酸吸収促進方法と同様の方法であり、詳細は既述の通りである。
本発明の第2のケイ酸吸収促進方法における、ケイ酸質資材のイネ科植物への施用方法は、使用するケイ酸質資材に応じて適した施用方法を採用することができる。
本発明のケイ酸吸収促進剤は、既述の通り、液状物の形態であることが好ましい。一方、ケイ酸質資材は固形物であることが通常である。水田などの湛水した土壌に苗を定植し生育させるイネ科植物の栽培において、本発明の第2のケイ酸吸収促進方法を適用する場合、湛水前の土壌に固形物の形態のケイ酸質資材を散布し、土壌を耕して混和し、土壌を湛水させ、土壌に供給される流水に液状物の形態の本発明のケイ酸吸収促進剤を添加することにより、ケイ酸質資材と本発明のケイ酸吸収促進剤とをイネ科植物に施用することが好ましい。
以下に実施例を示すことにより本発明を詳細に説明するが、本発明はこの実施例に限定される物ではない。
<実施例1.製造例>
<4種配合品(糖+有機酸2種+ケイ酸)の製造例>
A. トレハロース10kg、クエン酸8kg、酢酸3kg、コロイドケイ酸(SiO 40重量%)150kg、水29kgをそれぞれ計量し、200リットルタンクに入れ攪拌機で充分攪拌した。攪拌後、異物が混入しないようメッシュなどを使用し所定の容器に移し、計量によりそれぞれ一定の量に統一した。
B. マルトトリオース6kg、クエン酸4kg、酢酸1kg、コロイドケイ酸(SiO 40重量%)100kg、水89kgをそれぞれ計量し、200リットルタンクに入れ攪拌機で充分攪拌した。攪拌後、異物が混入しないようメッシュなどを使用し所定の容器に移し、計量によりそれぞれ一定の量に統一した。
<3種配合品(糖+有機酸2種)の製造例>
C. トレハロース10kg、クエン酸8kg、酢酸3kg、水179kgをそれぞれ計量し、200リットルタンクに、入れ攪拌機で充分攪拌した。攪拌後、異物が混入しないようメッシュなどを使用し所定の容器に移し、計量によりそれぞれ一定の量に統一した。D. マルトトリオース6kg、クエン酸4kg、酢酸1kg、水189kgをそれぞれ計量し、200リットルタンクに入れ攪拌機で充分攪拌した。攪拌後、異物が混入しないようメッシュなどを使用し所定の容器に移し、計量によりそれぞれ一定の量に統一した。
<比較製造例>
E. トレハロース10kg、水190kgをそれぞれ計量し、200リットルタンクに入れ攪拌機で充分攪拌した。攪拌後、異物が混入しないようメッシュなどを使用し所定の容器に移し、計量によりそれぞれ一定の量に統一した。
F. マルトトリオース6kg、水194kgをそれぞれ計量し、200リットルタンクに入れ攪拌機で充分攪拌した。攪拌後、異物が混入しないようメッシュなどを使用し所定の容器に移し、計量によりそれぞれ一定の量に統一した。
G. クエン酸8kg、水192kgをそれぞれ計量し、200リットルタンクに入れ攪拌機で充分攪拌した。攪拌後、異物が混入しないようメッシュなどを使用し所定の容器に移し、計量によりそれぞれ一定の量に統一した。
H. クエン酸4kg、水196kgをそれぞれ計量し、200リットルタンクに入れ攪拌機で充分攪拌した。攪拌後、異物が混入しないようメッシュなどを使用し所定の容器に移し、計量によりそれぞれ一定の量に統一した。
I. 酢酸3kg、水197kgをそれぞれ計量し、200リットルタンクに入れ攪拌機で充分攪拌した。攪拌後、異物が混入しないようメッシュなどを使用し所定の容器に移し、計量によりそれぞれ一定の量に統一した。
J. 酢酸1kg、水199kgをそれぞれ計量し、200リットルタンクに入れ攪拌機で充分攪拌した。攪拌後、異物が混入しないようメッシュなどを使用し所定の容器に移し、計量によりそれぞれ一定の量に統一した。
K. コロイドケイ酸(SiO 40重量%)150kg、水50kgをそれぞれ計量し、200リットルタンクに入れ攪拌機で充分攪拌した。攪拌後、異物が混入しないようメッシュなどを使用し所定の容器に移し、計量によりそれぞれ一定の量に統一した。
L. コロイドケイ酸(SiO 40重量%)100kg、水100kgをそれぞれ計量し、200リットルタンクに入れ攪拌機で充分攪拌した。攪拌後、異物が混入しないようメッシュなどを使用し所定の容器に移し、計量によりそれぞれ一定の量に統一した。
上記の製造例及び比較製造例に用いたコロイドケイ酸は、水中に分散した水和した二酸化ケイ素の懸濁液である。SiO濃度が40重量%に調整された懸濁液(「原液」と称する場合がある)をコロイドケイ酸として用いた。上記の製造例及び比較製造例で得られた液状組成物は、添加した水に加えてコロイドケイ酸の原液に由来する水も含む。原液のpH、並びに、上記の製造例及び比較製造例で得られた液状組成物のpHはいずれも酸性の範囲であった。コロイドケイ酸の原液及び液状組成物中での平均粒子径は10〜20nmφであった。
Figure 2017214368
<実施例2.本発明Bの評価試験(1)>
<10kg x 2回施用(2013年試験)(高温処理区、対照区)>
実施例1に記載の4種配合品(糖+有機酸2種+ケイ酸)の製造例Bの本発明品(以下「本発明B」と称する場合がある)を評価試験に供試した。
供試品種は、水稲品種「コシヒカリ」、供試圃場は山形大学付属やまがたフィールド科学センター高坂農場6番水田とした。6株枠(45cm x 60cm x 10cm)を用い、6株枠内に5株を手植した(22.2株/m)。移植日は5月13日、出穂日8月8日。施肥量は基肥として尿素リン加安系化成肥料(N:P:KO=17:17:17)を用い、通常量(2.0N−kg/10a)を枠内に全層施肥した。追肥として尿素入りNK化成肥料(N:P:KO=20:0:20)を用い1.5N−Kg/10aとなるように表層施肥した。本発明Bは、2.0SiO−kg/10aとなるように枠内に流し込み、全体が均一になるよう攪拌した。本発明Bは、出穂前後の8月2日と8月12日の2回施用し、各回に前記量で施用した。夜間高温処理は、高温ハウスと園芸用ヒーターを用いて夜間(18:30〜6:30)の12時間、30℃設定で加温した。昼間は高温ハウスを撤去した。高温処理期間は、8月11日〜8月19日に行った。
比較のために、本発明Bを施用しない以外は同様の処理をした無施用区を設けた。
さらに、無施用区及び本発明B施用区のそれぞれについて、夜間高温処理を行わない以外は同様の処理をした対照区を設けた。
各項目の分析方法は以下の通りとした。
・生育調査
移植日から約2週間間隔で草丈、茎数、葉齢の測定を行い、1週間間隔で葉色(葉緑素計SPAD502、藤原製作所)の測定を行った。
・収量調査
収穫したサンプルは自然乾燥させ、籾摺りをした。その後、1.9mm目の篩で選別した玄米を精玄米とし、収量構成要素(穂数・千粒重・籾数・精玄米粒数歩合・登熟歩合)を測定した。収量は1処理区4株を地際から刈り取り、収量とした。収量は、精玄米の水分15%換算した重量を収量とした。
・植物体分析
高温処理前、高温処理後、成熟期の3時期にサンプリングを行い、乾物重・成分吸収量(N、P、KO、SiO)を茎・葉・穂の部位別に分析し、その合計を求めた。これらの量を圃場面積当たりの重量として算出した。
Nは乾物重の測定に用いた試料を粗粉砕機(Retach社製SM100)で粗粉砕したのち微粉砕機(CMT社製TI−100)で微粉砕し、分析試料とした。分析試料の一部を用いて、窒素含有率を測定、窒素吸収量を算出した。窒素含有率はNCコーダー(住化分析センター社製SUMIGRAPH NC−220F)を用いて測定した。
、KOは硫酸‐過酸化水素分解で分解・ろ過した溶液を葉茎は100倍希釈、穂は25倍希釈し、メンブランフィルター(ニトロセルロースフィルター、HAWP02500、孔径0.45μm、直径25mm MILLIPORE社製)でろ過し、ICP発光分光分析装置(iCAP 6000,Thermo Fisher SCIENTIFIC)で測定した。
SiOは、P、KOの測定に用いた上記試料と同様の試料を用い、重量法で測定した。
・NSC(Non−Structural Carbohydrate)分析
出穂10日前施肥48時間後の茎部サンプルを粗粉砕機(Retach社製SM100)で粗粉砕したのち微粉砕機(CMT社製TI−100)で微粉砕し、分析試料とした。試料約0.5gに蒸留水30mlを加えてホットプレート上で加熱してデンプンを糊化、放冷後、リン酸緩衝液(KHPO;12.08g/L,NaHPO・12HO;3.98g/L,NaN;0.025g/L)20mlにα‐アミラーゼ1.5mgとアミログルコシターゼ0.5mgを添加した懸濁液を加え、40℃・24時間浸透培養を行い、非構造性炭水化物(NSC)の抽出を行った。
重量法では、NSC抽出後、全ての残渣をろ紙上にろ別し、この残渣乾物重を測定し、それと試料乾物の差より可溶性物質含有率を算出した。
草丈、茎数、葉色、収量、収量構成要素は処理区間での差はなかったが、植物体成分分析においては差が認められた。植物体成分分析の結果を表2に示す。
Figure 2017214368
本発明Bの2回の施用によるケイ酸投入量が4.0SiO−kg/10aであるのに対して、ケイ酸吸収の増加量は、高温処理区において高温処理後の採取・分析で52.25−47.19=5.06(SiO−kg/10a)、対照区では54.19−43.67=10.52(SiO−kg/10a)と、施用したケイ酸の量よりも高かった。また、それ以外の植物体の成分含量も高温処理後の採取・分析でP、KO、N、NSCが増加した。以上の結果から、本発明Bの施用がケイ酸吸収を向上させ、生育向上に役立つことが示された。
<実施例3.本発明Bの評価試験(2)>
<5kg x 2回施用(2013年試験)>
実施例1に記載の4種配合品(糖+有機酸2種+ケイ酸)の製造例Bの本発明品(以下「本発明B」と称する場合がある)を評価試験に供試した。
新潟県東蒲原郡阿賀町三階原のH氏圃場にて、水稲品種「コシヒカリBL」を用いて実施した。播種日:4月20日、移植日:5月10日、植栽密度18.2株/m。基肥は、ニューソイル元気を60kg/10a(N:P:KO=0:8.4:3.0)と、さおとめ有機35kg/10a(N:P:KO=3.5:4.9:3.5)を施用した。本発明Bを7月17日と8月8日の2回、1.0SiO−kg/10aずつ施用した。穂肥は、穂肥32号を7月21日に10kg/10a(N:P:KO=1.4:0.4:1.4)と、同じ穂肥を7月29日に7kg/10a(N:P:KO=0.98:0.28:0.98)施用した。
比較のために、本発明Bを施用しない以外は同様の処理をした無処理区を設けた。
ケイ酸吸収量の測定は実施例2に記載の手順で行った。
生育、品質に大きな差は認められなかったが、達観で、ごま葉枯病の発生程度は軽かった。収量および収量構成要素の結果を表3に示した。坪刈調査収量とケイ酸吸収量を表4に示した。
Figure 2017214368
Figure 2017214368
本発明Bの2回の施用による合計のケイ酸施用量は2.0SiO−kg/10aであったのに対して、ケイ酸吸収の増加量は2.58−2.28=0.3(g/株)であり、植栽密度18.2株/mから算出して5.5SiO−kg/10aと、ケイ酸の施用量を上回るケイ酸吸収が本発明B施用区で観察された。収量構成要素から算出した収量および坪刈調査により得られた収量共に増加傾向が確認された。以上の結果から、本発明Bの施用により、施用量以上にケイ酸吸収が向上し、生育・収量の向上につながったことが示された。
<実施例4.本発明Bの評価試験(3)>
<5kg x 1回施用(2014年試験)>
実施例1に記載の4種配合品(糖+有機酸2種+ケイ酸)の製造例Bの本発明品(以下「本発明B」と称する場合がある)を評価試験に供試した。
山形市みのりが丘の山形県農業試験場のセンターNo40連作水田圃場において、水稲品種「つや姫」を用いて実施した。育苗は慣行・プール育苗で稚苗を作った。移植日:5月20日、裁植密度:22.2株/m、1区50m(5x10m)の区画で試験を行った。基肥は5月7日に有機入り化成肥料(10−10−10)を0.30kg/a施用した。追肥は、7月14日に有機入り化成肥料(15−3−8)を0.15kg/a施用した。本発明B区は、出穂期(8月9日)に施用量を1.0SiO−kg/10aとなるように枠内に流し込み施肥した。対照区として、ケイカル(可溶性ケイ酸30%含有)を5月12日に36SiO−kg/10aとなるように枠内に散布した(実散布重量120kg/10a)以外は本発明B区と同様の処理をした試験区を設けた。また、比較のために、ケイ酸質資材を何も施用しない以外は本発明B区と同様の処理をした無処理区を設けた。
ケイ酸吸収量の測定は実施例2に記載の手順で行った。
ケイ酸吸収量の経時変化を表5に示した。
Figure 2017214368
本発明B施用区は、収量、品質には差が見られなかったが、ケイ酸吸収量は、ケイカル資材を投入した対照区以上に増加していた。本発明B施用区での珪酸投入量が1.0SiO−kg/10aであったのに対して、ケイ酸吸収の無処理区からの増加量は、穂揃期(8月12日)では95.7−85.6=10.1(SiO−kg/10a)、成熟期(9月24日)では165.8−151.4=14.4(SiO−kg/10a)であり投入量以上に高くなった。ケイカルを施用した対照区では、可溶性ケイ酸が36SiO−kg/10a施用されたにもかかわらず、実際のケイ酸吸収の増加量は成熟期(9/24)において159.6−151.4=8.2(SiO−kg/10a)であり、利用効率は23%と低かった。
<実施例5.本発明B、Dおよび比較例Lの評価試験>
<2014年試験>
実施例1に記載の製造例Bの本発明品(以下「本発明B」と称する場合がある)、製造例Dの本発明品(以下「本発明D」と称する場合がある)および比較製造例Lの比較品(以下「比較例L」と称する場合がある)を評価試験に供試した。
供試品種は水稲品種「はえぬき」を使用、供試圃場は山形大学附属やまがたフィールド科学センター高坂農場6番水田とした。1株枠(15cm x 30cm x 15cm)を用い、枠内に22.2株/mとなるよう手植えを行った。移植日は5月12日、出穂日は8月3日であった。基肥として尿素リン加安系化成肥料(N:P:KO=17:17:17)を用い、5.0N−kg/10aを全層施肥した。追肥として尿素入りNK化成肥料(N:P:KO=20:0:20)を用い2.0N−kg/10aとなるように表層施肥した。資材施用区については出穂13日前(7月21日)および1日前(8月2日)に、各資材(本発明B、本発明D又は比較例L)による処理を行った。施用量は、本発明Bと比較例Lでは、各回のケイ酸量を1.0SiO−kg/10aとなる様にして2回施用した。本発明Dは、本発明Bに含まれる糖・有機酸類の施用量と同じ量となるように調整して2回施用した。夜間高温処理は、高温ハウスと園芸用ヒーターを用いて、8月6日〜8月10日の4日間(18:00〜6:30)の12時間、32℃設定で加温した。昼間は高温ハウスを撤去した。
比較のために、資材(本発明B、本発明D又は比較例L)を施用しない以外は同様の処理をした無施用区を設けた。
さらに、無施用区及び各資材施用区のそれぞれについて、夜間高温処理を行わない以外は同様の処理をした対照区を設けた。
各試験項目の測定手順は実施例2に記載の通りである。
植物体成分の分析を高温前・高温後・成熟期の3回採取し実施した。分析結果を表6(表6−1及び表6−2)に示した。
Figure 2017214368
Figure 2017214368
成熟期のデータを比較する。本発明B施用区のケイ酸施用量は、2回合計で2.0SiO−kg/10aであるが、無施用区からのケイ酸吸収の増加量は、高温処理区で60.8−57.8=3.0(SiO−kg/10a)、対照区で60.3−52.9=7.4(SiO−kg/10a)と施用量以上に高かった。本発明D施用区は、ケイ酸を施用していないにもかかわらず、無施用区からのケイ酸吸収の増加量は、高温処理区において63.3−57.8=5.5(SiO−kg/10a)、対照区において58.6−52.9=5.7(SiO−kg/10a)と増加した。比較例L施用区では、ケイ酸施用量が2回合計で2.0SiO−kg/10aであったにもかかわらず、無施用区からのケイ酸吸収の増加量は、高温処理区で57.2−57.8=−0.6(SiO−kg/10a)、対照区で53.9−52.9=1.0(SiO−kg/10a)と施用量よりも少ない結果となった。比較例L施用区のケイ酸利用率は、高温処理区で−30%、対照区で+50%と低かった。一方、本発明B施用区及び本発明D施用区では、ケイ酸施用量を上回るケイ酸吸収を示し、ケイ酸利用率は100%を超えた。
収量および収量構成要素の結果を表7に示した。
Figure 2017214368
本発明B施用区及び本発明D施用区では、無施用区と比較して収量が増加した。
<実施例6.本発明Dおよび比較例F、H、Jの評価>
実施例1に記載の製造例Dの本発明品(以下「本発明D」と称する場合がある)および比較製造例F、H、Jの比較品(それぞれ「比較例F」、「比較例H」、「比較例J」と称する場合がある)を評価試験に供試した。
市販の荒木田土をプラスチック容器に800gずつ詰めた。各資材を施用し、湛水状態とした。2月3日〜2月20日まで、17日間、30℃、湛水条件でインキュベート後、土壌を採取し、風乾し、可給態ケイ酸含量を分析した。結果を表8に示した。
Figure 2017214368
本発明Dの施用により土壌の可給態ケイ酸量が増加した。10mlの少量でも効果があり、かつ40mlに増加した場合でも効果が安定していた。すなわち、標準施用量を20(ml/100g土壌)とした場合に、標準施用量の1/2〜2倍の範囲内で安定した効果が期待できる。
<実施例7.本発明B、Dおよび比較例Lの評価>
<2015年試験>
実施例1に記載の製造例Bの本発明品(以下「本発明B」と称する場合がある)、製造例Dの本発明品(以下「本発明D」と称する場合がある)および比較製造例Lの比較品(以下「比較例L」と称する場合がある)を評価試験に供試した。
供試品種は水稲品種「はえぬき」を使用し、供試圃場は山形大学附属やまがたフィールド科学センター高坂農場6番水田とした。6株枠(45cm X 60cm X 15cm)の中心に仕切り板を設置し3株枠とした枠を用いて、作土を想定し10cm程度土壌に埋め込んだ。株枠内に22.2株/mとなるよう手植えを行った。移植日は5月13日、出穂日は7月28日であった。施用量は基肥として尿素リン加安系化成肥料(N:P:KO=17:17:17)を用い、6.0N−kg/10aを全層施肥した。追肥として尿素入りNK化成肥料(N:P:KO=20:0:20)を用い2.0N−kg/10aとなるように表層施肥した。資材(本発明B、本発明D又は比較例L)の施用は、出穂10日前(7月18日)および1日前(7月27日)に行った。資材(本発明B、本発明D又は比較例L)の施用量は、実施例5に記載の施用量と同様とした。
比較のために、資材(本発明B、本発明D又は比較例L)を施用しない以外は同様の処理をした無施用区を設けた。
収量・収量構成要素の結果を表9に示した。
Figure 2017214368
収量・収量構成要素の結果から、本発明B、Dおよび比較例Lの各施用区で明らかな増収が確認された。
乾物重量および成分分析の部位別変化の結果を表10に示した。各試験項目の測定手順は実施例2での手順と同様である。
Figure 2017214368
乾物重量:穂揃期においては本発明B区で増加傾向であった。成熟期においては、本発明B区、D区および比較例L区で、無施用区と比較して乾物重は増加した。
窒素(N)の吸収:穂揃期においては、本発明B区で高かった。成熟期においては、本発明D区で最も高くなった。
リン酸(P)の吸収:穂揃期においては、本発明B区で高くなった。成熟期においては、茎葉部では、本発明D区で最も高くなり、穂では、比較例L区で最も高くなった。
カリ(KO)の吸収:穂揃期においては、本発明B区で高くなった。成熟期においては、本発明D区で最も高くなった。
以上、本発明の資材施用により無施用区と比較して明らかに生育が改善され、収量が増加した。
<実施例8.本発明BおよびDの評価>
<2015年試験>
実施例1に記載の製造例Bの本発明品(以下「本発明B」と称する場合がある)、及び、製造例Dの本発明品(以下「本発明D」と称する場合がある)を評価試験に供試した。資材(本発明B又は本発明D)の施用は、実施例5の2回の施用を1回にまとめて、出穂前の時期に行った。
山形庄内地区の生産者圃場において、評価していただいた。結果を表11に示す。
Figure 2017214368
ケイカル施用履歴のない現地圃場において、2種類の方法を用いて収量を算出したが、本発明B施用区及び本発明D施用区において、増収効果が確認できた。
<実施例9.土壌の種類と本発明BおよびDの評価>
<2016年試験>
実施例1に記載の製造例Bの本発明品(以下「本発明B」と称する場合がある)、及び、製造例Dの本発明品(以下「本発明D」と称する場合がある)の10倍濃縮品、比較製造例F、H、Jの各10倍濃縮品、及び比較製造例Lを評価試験に供試した(以下「比較例F、H、J及びL」と称する場合がある)。供試水稲品種は「はえぬき」を使用した。供試土壌は下記の(1)(2)(3)を選定した。
(1)可給態ケイ酸が低い圃場である灰色低地土である山形大学付属やまがたフィールド科学センター高坂農場6番水田。
(2)可給態ケイ酸が高い圃場である細粒グライ土の余目西田水田。
(3)ケイ酸固定力が高い圃場である非アロフェン質黒ぼく土の羽黒水田。
実施例5と同様の枠を用い、施肥量は、基肥として尿素リン加安系化成肥料(N:P:KO=17:17:17)を用い、6.0N−kg/10aを全層施肥した。追肥として尿素入りNK化成肥料(N:P:KO=20:0:20)を用い2.0N−kg/10aとなるように表層施肥した。各資材の施用は、各圃場の出穂期前日に1回行った。施用量は、本発明Bは2.0SiO−kg/10a。本発明Dは本発明Bに含まれる糖・有機酸類の施用量と同じ量を標準施用量とした、他の比較例F、H、J、Lについても本発明Bと共通して含まれる成分の施用量が本発明Bに含まれる該成分の施用量と同じとなる量を標準施用量とした。他に幾つかの資材に関して標準施用量の2倍量の区を設けた。
収量・収量構成要素の代表的な測定結果を表12、表13、表14に示した。
Figure 2017214368
Figure 2017214368
Figure 2017214368
収量・収量構成要素の結果(表12〜14)から、土壌の種類により収量は大きく異なった。無施用区で比較すると、高坂農場:640kg/10a、余目:684kg/10a、羽黒:585kg/10aであった。収量の無施用区対比(%)の数値を比較すると、一部例外はあるが、本発明B、Dの施用によりほとんどが100%を超え、収量の向上が確認された。比較例F、H、J、Lの施用では、土壌の種類により結果が安定しなかった。
余目の土壌に鉱さいケイ酸を施用することで収量は増加した(110%)。鉱さいケイ酸と合わせて本発明Dを施用することにより、更に収量が増加することが確認された(119%)。
3種類の土壌におけるイネへのケイ酸吸収量の代表的な測定結果を表15、表16、表17に示した。
Figure 2017214368
Figure 2017214368
Figure 2017214368
ケイ酸の吸収量は3種類の土壌により大きく異なっていた。無施用区における比較では、高坂農場:64.5g/m、余目:146.0g/m、羽黒:82.8g/mであった。
この中でケイ酸を固定しやすく、最もケイ酸吸収量が上がりにくい羽黒の非アロフェン質黒ぼく土において、本発明Bおよび本発明Dの施用によりケイ酸の吸収が著しく向上した。
本発明Dを2倍量施用した区では、無施用区対比で、高坂農場:105%、余目:110%、羽黒:108%と全ての土壌条件でケイ酸吸収が高まった。また、前述の収量比較においても、本発明Dを2倍量施用した区では、無施用区対比で、高坂農場:104%、余目:112%、羽黒:106%と全ての土壌条件で収量の増加が確認された。
比較例の事例においては、3つの土壌条件で、収量とケイ酸吸収量の全てが増加するものは見当たらなかった。
また、鉱さいケイ酸の施用区に本発明Dを合わせて施用した場合に、収量は無施用区対比で119%、ケイ酸吸収は112%と共に著しく増加した。
なお、本発明B及び本発明D1を高坂農場の土壌に施用した試験区において、ケイ酸吸収量が無施用区を下回るデータが取得された(表15参照)。これは、農業分野においてしばしば生じる、圃場の土壌条件などが不均一である場合があることに起因するデータの振れであり、本発明によるイネのケイ酸吸収促進効果を否定するものではない。

Claims (15)

  1. 1種以上の糖と1種以上の有機酸とを含む、イネ科植物によるケイ酸の吸収を促進するケイ酸吸収促進剤。
  2. コロイドケイ酸を更に含む、請求項1に記載のケイ酸吸収促進剤。
  3. 1種以上の糖及び1種以上の有機酸の少なくとも一方と、コロイドケイ酸とを含む、イネ科植物によるケイ酸の吸収を促進するケイ酸吸収促進剤。
  4. 液状物である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のケイ酸吸収促進剤。
  5. 糖がオリゴ糖である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のケイ酸吸収促進剤。
  6. オリゴ糖が、シュクロース、マルトース、ラクトース、ガラクトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、キシロオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ラフィノース、トレハロース、マルトトリオース、マルトテトラオース、セロビオース、セロトリオース及びセロテトラオースからなる群から選択される1種以上を含む、請求項5に記載のケイ酸吸収促進剤。
  7. 有機酸が、1〜10個の炭素原子を有し且つ1〜3個のカルボキシル基を有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載のケイ酸吸収促進剤。
  8. 有機酸が、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、カプロン酸、乳酸、ピルビン酸、α−ケトグルタル酸、クエン酸、イソクエン酸、リンゴ酸、コハク酸、フマル酸、オキサロ酢酸、オキサロコハク酸及びcis-アコニット酸からなる群から選択される1種以上を含む、請求項7に記載のケイ酸吸収促進剤。
  9. 1種以上の糖と1種以上の有機酸とを、イネ科植物が生育する湛水した土壌に供給される流水に添加することで植物に施用する施用工程を含む、イネ科植物によるケイ酸の吸収を促進する方法。
  10. 前記施用工程において、前記流水に更にコロイドケイ酸を添加する、請求項9に記載の方法。
  11. 1種以上の糖及び1種以上の有機酸の少なくとも一方と、コロイドケイ酸とを、イネ科植物が生育する湛水した土壌に供給される流水に添加することで植物に施用する施用工程を含む、イネ科植物によるケイ酸の吸収を促進する方法。
  12. 請求項1〜8のいずれか1項に記載のケイ酸吸収促進剤を、イネ科植物が生育する湛水した土壌に供給される流水に添加することで植物に施用する施用工程を含む、イネ科植物によるケイ酸の吸収を促進する方法。
  13. 施用工程が、幼穂形成期から出穂後2週間までの間に少なくとも1回行われる、請求項9〜12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 請求項1〜8のいずれか1項に記載のケイ酸吸収促進剤を、ケイ酸質資材と併用してイネ科植物に施用することを含む、イネ科植物によるケイ酸の吸収を促進する方法。
  15. 1種以上の糖及び1種以上の有機酸の少なくとも一方と、コロイドケイ酸とを含む、液状物。
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