JP2006232666A - 肥料及びその使用方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ケイ酸供給力や植物のケイ酸吸収利用効率の高い肥料及びその使用方法の提供。
【解決手段】水稲の試験圃場にシリカゲルを50g/m2となるように施用したところ、従来のケイ酸肥料に比べて、水稲茎葉中のケイ酸含有率は極めて高くなった。これにより、茎はケイ化されて強固になるため、稲穂がたわわに実ったとしても、茎が折れたりすることがない。また、収量が増加した。
【選択図】 なし
【解決手段】水稲の試験圃場にシリカゲルを50g/m2となるように施用したところ、従来のケイ酸肥料に比べて、水稲茎葉中のケイ酸含有率は極めて高くなった。これにより、茎はケイ化されて強固になるため、稲穂がたわわに実ったとしても、茎が折れたりすることがない。また、収量が増加した。
【選択図】 なし
Description
本発明は、肥料特にイネ、ムギ等のイネ科植物に適する肥料及びイネ科植物の成長促進方法に関する。
従来、イネを生育するための肥料としては、例えば、石灰肥料、マグネシア肥料、ケイ酸肥料、石灰窒素、リン酸肥料、カリ塩、過リン酸石灰、複合肥料(N、P2O5)、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、尿素、尿酸アンモニウムなどが使用されている。
また、イネやムギはケイ素を多量に吸収することが知られている。イネのわらの灰分には約80%、ムギのわらの灰分には約70%のSiO2が含まれている。これらのイネ科植物においてケイ素が不足すると、表皮細胞のケイ化が行われず、茎が弱くなって倒れ易くなり、更にイモチ病などの病気にかかり易くなる。
肥料成分としてケイ酸が認められたのは1955年で、そのころから製鉄工業や非鉄金属工業の副産スラグがケイカル肥料の名で利用され始めた。これらのスラグにはCaO、MgO等も含まれる。
ケイカル肥料の多くは、塩基性のケイ酸カルシウムやケイ酸マグネシウムから成るため、酸性土壌中和の役割を果たす。かかるケイカル肥料では、ケイ酸が生成するためには、塩基性ケイ酸塩の分解を必要とするため、その作用は遅い。また、分解した後にpHの変化、カルシウム残渣の影響が少なからずある。
このように、現状ではイネやムギにケイ酸を供給しようとする場合、ケイカル肥料を用いることになるが、この場合には、CaOやMgOやその他の不純物も一緒に散布されることになるため、土壌のpHが変動したり、不純物による予期せぬ問題が発生したりするおそれがある。
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、ケイ酸供給力や植物のケイ酸吸収利用効率の高い肥料及びこの肥料の使用方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の肥料特にイネ科植物に適する肥料は、シリカゲル又はシリカゾルを主成分とすることを特徴とする。尚、肥料とは、植物の生育に必要な成分を供給するため土壌に加える物質のことをいう。
本発明は、従来、主に吸着剤として用いられていたシリカゲルにつき、ケイ酸肥料としての可能性を探求したところ、従来のケイ酸肥料(例えばケイカル)に比して際立って優れた効果が得られたものである。
具体的には、ケイ酸(SiO2)の供給能力や植物のケイ酸吸収利用効率(散布した肥料が実際にイネ科植物に取り込まれる割合)が従来品に比べて極めて高いという効果が得られた。これにより、植物の茎がケイ化されて強固になり例えばイネの場合には稲穂がたわわに実ったとしても茎が折れたり倒れたりするのを防止でき、また風雨等による倒伏も防止できる。
また農作物の収量がアップする。これはおそらくケイ酸を多量に吸収した植物は光合成の効率が良くなり、また病気等に強くなるためと考えられる。加えて、本発明の肥料を施用した処理区においては、病原菌や害虫等による被害が抑制される、特にイモチ病の発生が抑制されるという効果が得られる。このイモチ病予防効果は、どのような作用によるものか定かではないが、茎等がケイ化することによりイモチ病を誘因する菌糸が植物体内に侵入しにくくなることが考えられる。
ところで、シリカゲルとはケイ酸のゲルであり、SiO2・nH2Oで表される。一般的に湿式製造法によるシリカゲルは、非多孔性非晶質なシリカコロイド粒子が互いにシロキサン結合によって結合した三次元網目構造より成っているものであり、単位重量を構成するシリカコロイド粒子個々の表面積の総和が比表面積、これらシリカコロイド粒子の三次元網目により取り囲まれた空間が細孔容積である。
例えば、シリカゲルがケイ酸ナトリウム水溶液と硫酸より調製される場合、ケイ酸ナトリウムの加水分解によりモノケイ酸Si(OH)4 が生成し、更に、モノケイ酸の脱水縮合によりコロイド次元のポリケイ酸粒子が形成され、液状物質いわゆるシリカゾルとなる。この際、コロイド粒子の大きさは、SiO2 濃度、塩濃度及びpH等により影響を受ける。シリカゾル中の個々のコロイド粒子は、その後、凝集して三次元網目構造を形成し、ついに、シリカゾルは流動性を失い、ゼラチン状の固まりとなる。この状態のものをシリカヒドロゲルと呼ぶ。包含するケイ酸ナトリウムと硫酸より生成する硫酸ナトリウムを水洗処理等により除去すれば初期シリカヒドロゾルに依存する量の水と二酸化ケイ素及び他の微量成分より成るシリカヒドロゲルが得られる。このシリカヒドロゲルを脱水、乾燥したものがシリカキセロゲルである。
本発明の肥料の主成分として用いることのできるシリカゲルは、シリカヒドロゲルからシリカキセロゲルに至るすべての状態のシリカゲルを含む。代表的なシリカゲルの例としては、例えば、比表面積が100〜800m2/g、粒径が5mm以下、pH4〜8(5%スラリー)のものが挙げられる。尚、シリカゲルの形状は、粉末状、破砕状、球状等のいずれでもよい。また、シリカゾル(シリカヒドロゾル)も、本発明の肥料の主成分として用いることができる。
本発明の肥料を例えば水田に用いる場合には、シリカゲル又はシリカゾルの水に対するケイ酸溶出速度は速ければ速いほど好ましい。一般に、イネがケイ酸を吸収する速度はかなり速く、特に出穂の時期には多くのケイ酸を吸うようになる。このため、時間当たりに溶出するケイ酸濃度が高ければ高いほど、つまりケイ酸供給力が高ければ高いほど、イネのケイ酸吸収効率がよく、成長が顕著に促進される。具体的には、シリカゲル又はシリカゾルは、水(イオン交換水や蒸留水等のようにケイ酸を含有していない水)に投入してから24時間以内のケイ酸濃度が5ppm以上、特に15ppm以上となる性質を有することが好ましい。前者の条件を満たすシリカゲルとしては、シリカヒドロゲル、シリカキセロゲル、シリカヒドロゲルからシリカキセロゲルに至る状態のシリカゲル、例えばフジシリカゲルA形、B形(富士シリシア化学(株)製)があり、後者の条件を満たすシリカゲルとしては、含水シリカゲル(シリカヒドロゲルが脱水される過程において、もはや、細孔容積の減少が生じなくなった状態、すなわち強固なコロイド粒子三次元網目構造が形成され、なおかつ、含水している状態からシリカキセロゲルに至る手前の含水状態のシリカゲル)がある。
また、水に対するケイ酸溶出速度は、シリカゲルの粒子径に大きく関連していると考えられ、溶出速度を速くするためには、粒子径が100μm以下であることが好ましい。
本発明の肥料の施用量は10a当たりのシリカゲルの重量が1〜100kgの範囲であることが好ましい。施用量が下限値未満では本発明の効果が十分に得られないおそれがある。尚、施用量が上限値を超えたとしても過剰供給分は土壌に残存して来期に再び肥料としての作用を果たすため、特に問題はないが、散布に要する労力が大きくなる。
本発明の肥料の施用量は10a当たりのシリカゲルの重量が1〜100kgの範囲であることが好ましい。施用量が下限値未満では本発明の効果が十分に得られないおそれがある。尚、施用量が上限値を超えたとしても過剰供給分は土壌に残存して来期に再び肥料としての作用を果たすため、特に問題はないが、散布に要する労力が大きくなる。
本発明の肥料を例えば水田に施用した場合と、施用しなかった場合とを比較すると、その収量は前者が後者に比べて増加する傾向にあり、病気(例えばイモチ病)の発生率は低下する傾向にある。また、この肥料は、窒素、リン酸又はカリと併用することが、より収量が上がるので好ましい。特に窒素と併用した場合には稲穂が豊富に実るため、本発明の肥料によって植物の茎を強くすることが好ましい。
本発明の肥料の使用方法としては、例えば、(1)本発明の肥料をイネ科植物を栽培する土壌に散布する方法、(2)本発明の肥料を微粉末の状態で水に浮遊させる方法、(3)本発明の肥料をイネ科植物の苗床へ敷設し、その後この苗床ごと栽培土壌に植える方法、(4)本発明の肥料を水田用の水の1又は数カ所に局所的に配置する方法(例えば水田の取水口付近に投下する方法)等が挙げられる。
前記(1)の方法では、ムラにならないよう均一に撒くことが好ましいが、前記(2)、(3)、(4)の方法では、均一に撒く作業を行う必要がないためハンドリングがよいという利点がある。特に(2)では、本発明の肥料を微粉末として例えば水田用の水に浮遊させれば、微粉末は自然拡散又は風等によって自ら広範囲に分散していくため、ハンドリングが一層優れている。尚、分散してから数時間〜数日後にはシリカゲルは自ら吸水して沈降し、ケイ酸を水中に溶出することによってイネ科植物に吸収されその生長を促進させる。また、(4)では、本発明の肥料はケイ酸溶出速度が高いため、局所的に配置したとしても、水中に容易にケイ酸が溶出し水田全体に速やかに拡散してイネ科植物に吸収される。
例えば、イネ科植物がイネの場合には、イネが水中に溶解しているケイ酸を吸収してケイ酸濃度が下がると、その分本発明の肥料からケイ酸が迅速に溶出し、イネには十分にケイ酸が供給される。また、本発明の肥料はケイ酸溶出速度が高いため、例えば、イネの成長速度に合わせて必要な時期に散布することで、ケイ酸を植物体内に直ちに吸収させることができ、速効性がある。
[実施例]
以下に、本発明の好適な実施例について説明する。尚、以下の試験例1、2はいずれも道立中央農業試験場で行った。
以下に、本発明の好適な実施例について説明する。尚、以下の試験例1、2はいずれも道立中央農業試験場で行った。
本発明のイネ科植物用肥料としての水田用肥料として、SiO299.5重量%以上のフジシリカゲルA形、B形(いずれも富士シリシア化学(株)製)を用いた。これらの物性値を下記表1に示す。
また、従来のケイ酸肥料として、市販されている2種類のケイカル肥料(便宜上、市販A、Bと称する)を比較対照とした。
[試験例1] 木枠試験
従来のケイ酸肥料である市販A、Bと、本発明の肥料であるフジシリカゲルA形、B形について、ケイ酸供給力を調べるために、下記表2のような木枠試験を行った。
[試験例1] 木枠試験
従来のケイ酸肥料である市販A、Bと、本発明の肥料であるフジシリカゲルA形、B形について、ケイ酸供給力を調べるために、下記表2のような木枠試験を行った。
実施例1、2では供試サンプルとしてフジシリカゲルA形、B形を施用し、比較例1、2では市販A、Bを施用した。各供試サンプルにつき、有効態としてのSiO2量が50g/m2となるように施用量を定め(下記表3参照)、耕起時に全層施用した。尚、対照区では供試サンプルを何も用いなかった。
対照区、実施例1、2、比較例1、2につき、水稲のケイ酸吸収を経時的に追跡した。その結果を表4に示す。この表4から明らかなように、実施例1、2とも、比較例1、2に比べてケイ酸の吸収利用効率が極めて高く(9〜13%増)、水稲茎葉中のケイ酸含有率は高くなる傾向にあった。
また、対照区、実施例1、2、比較例1、2につき、収量を調査した。その結果を表5に示す。この表5から明らかなように、対照区に比べてケイ酸肥料を与えた実施例1、2及び比較例1、2では収量が増加する傾向にあり、また、比較例1、2に比べて実施例1、2では収量が更に増加する傾向にあった。
次に、収穫跡地の土壌中の可給態ケイ酸含量を調査したところ、表6の結果が得られた。この表6から明らかなように、比較例1、2ではケイ酸濃度が対照区とほとんど変わらず、効率的にケイ酸が供給されているとはいえない。これに対して、実施例1、2では対照区と比べてケイ酸濃度が1.27〜1.43倍に増加しており、これはケイ酸供給力が極めて高いことを示している。
以上の木枠試験から、実施例1、2は、比較例1、2と比べて、ケイ酸の供給力が極めて高く、水稲茎葉中のケイ酸含有率も極めて高くなった。これにより、茎はケイ化されて強固になるため、稲穂がたわわに実ったとしても茎が折れたり倒れたりすることがなく、風雨によっても倒伏しないという効果が得られる。
また、実施例1、2は、対照区と比べて収量が7〜10%増加し、また比較例1、2と比べても2〜5%増加した。即ち、水稲の成長が顕著に促進された。
更に、従来のケイ酸肥料では、例えばケイカル肥料には本来不要であるカルシウムが含有されている等、不要物や不純物が含まれていたが、実施例1、2におけるフジシリカゲルA形、B形はいずれも純度が99.5重量%以上であるため、不要物・不純物によって施用量が増加することがなく容易に散布が行え、また、不要物・不純物による作物への影響を心配するおそれもない。
[試験例2] 圃場試験
本発明のイネ科植物用肥料であるフジシリカゲルA形について、ケイ酸供給源としての効果を調べるために、下記表7のような圃場試験を行った。
更に、従来のケイ酸肥料では、例えばケイカル肥料には本来不要であるカルシウムが含有されている等、不要物や不純物が含まれていたが、実施例1、2におけるフジシリカゲルA形、B形はいずれも純度が99.5重量%以上であるため、不要物・不純物によって施用量が増加することがなく容易に散布が行え、また、不要物・不純物による作物への影響を心配するおそれもない。
[試験例2] 圃場試験
本発明のイネ科植物用肥料であるフジシリカゲルA形について、ケイ酸供給源としての効果を調べるために、下記表7のような圃場試験を行った。
試験処理内容については、下記表8にまとめた。
即ち、実施例n(nは3〜8)には比較例nが対応するようにし、両者はシリカゲルの施用の有無を除き、同じ条件とした。また、実施例3〜5及び比較例3〜5では土壌としてグライ土(前年に200kg/10a施用したもの)を使用し、実施例6〜8及び比較例6〜8では土壌として泥炭土を使用した。窒素肥料の施用量は0、4、8(kg/10a)の3段階とし、りん酸・カリはすべての処理区において8(kg/10a)とした。尚、シリカゲルは試験例1と同様、耕起時に全層施用した。
即ち、実施例n(nは3〜8)には比較例nが対応するようにし、両者はシリカゲルの施用の有無を除き、同じ条件とした。また、実施例3〜5及び比較例3〜5では土壌としてグライ土(前年に200kg/10a施用したもの)を使用し、実施例6〜8及び比較例6〜8では土壌として泥炭土を使用した。窒素肥料の施用量は0、4、8(kg/10a)の3段階とし、りん酸・カリはすべての処理区において8(kg/10a)とした。尚、シリカゲルは試験例1と同様、耕起時に全層施用した。
実施例3〜8及び比較例3〜8につき、ケイ酸供給と水稲の吸収を経時的に追跡した。その結果を表9に示す。尚、表9における土壌溶液の欄は、水田の水をろ過した後、その水に含まれるSi濃度を測定した値である。
この表9から明らかなように、実施例3〜8のいずれも比較例3〜8に比べて、水田の水のケイ酸濃度が高く、ケイ酸の吸収利用効率が高く、水稲茎葉中のケイ酸含有率は高くなる傾向にあった。
また、実施例3〜8及び比較例3〜8につき、収量を調査した。その結果を表10に示す。この表10から明らかなように、各実施例の収量は対応する比較例に対して概ね増加する傾向にあった。
以上の圃場試験から、水田用肥料であるフジシリカゲルA形は、水稲に対するケイ酸供給能力が優れ、その利用効率も優れていた。また、フジシリカゲルA形を施用した処理区では、収量が増加する傾向にあり、水稲の成長が促進されたのみならず、イモチ病発生率も未処理区と比べて減少する傾向にあった。
[試験例3] ケイ酸溶出試験
シリカゲルに対するケイ酸溶出速度を調査すべく、ケイ酸溶出試験を行った。
[試験例3] ケイ酸溶出試験
シリカゲルに対するケイ酸溶出速度を調査すべく、ケイ酸溶出試験を行った。
供試サンプルとして、シリカゲルパウダA、シリカゲルパウダB、シリカヒドロゲル(製法については[課題を解決するための手段]の欄を参照)、シリカキセロゲル(上記フジシリカゲルA形と同じ)、ケイカル肥料(市販品)を用いた。各サンプルの物性を表11に示す。尚、シリカゲルパウダAは含水シリカゲルであるシリカゲルパウダBの微粉末である。
含水シリカゲルの調製法は公知の方法(例えば特開昭62−207712号記載の方法)を用いた。即ち、ケイ酸ナトリウム水溶液[SiO2 20wt%]と12N硫酸とを混合機中に一定量投入し、過剰酸濃度1.0Nの均一なシリカゾルを調製し、次いで、該シリカゾルを室温で2時間放置して十分な重合を行わせゲル化し、均一透明な塊状シリカヒドロゲルを得、更にこのシリカヒドロゲルを水洗することにより、可溶性塩の除去及び熟成を行った。その後、このシリカヒドロゲルを所望の含水量になるように熱風乾燥し、次いで所望の粒子径となるように粉砕することにより得た。
ケイ酸の定量は次のようにして行った。即ち、それぞれの供試サンプル(シリカ換算で10.0g)をpH6.5の蒸留水1Lに入れ、よく攪拌後静置し、所定の時間毎にサンプリングし、シリカの定量分析を行った。溶出シリカの定量にはイオン状シリカを定量することで結果とした。本方法はイオン状シリカは7モリブデン酸6アンモニウムと反応して生成するヘテロポリ化合物(黄色)の吸光度をUbet-50型分光光度計(日本分光(株)製)で測定してケイ酸を定量した。
このようにして行ったケイ酸溶出試験の結果を図1のグラフに示す。
この図1から明らかなように、ケイ酸溶出速度は、シリカゲルパウダA>シリカゲルパウダB>シリカキセロゲル、シリカヒドロゲル>ケイカル肥料の順であった。水に投入してから3時間後及び24時間後のケイ酸濃度を表12にまとめた。
この図1から明らかなように、ケイ酸溶出速度は、シリカゲルパウダA>シリカゲルパウダB>シリカキセロゲル、シリカヒドロゲル>ケイカル肥料の順であった。水に投入してから3時間後及び24時間後のケイ酸濃度を表12にまとめた。
ところで、上記試験例1における表6の結果から、ケイ酸溶出速度と水稲のケイ酸吸収効率には相関がある。即ち、ケイ酸溶出速度が速いほどつまり単位時間当たりに水に溶出するケイ酸の量が多いほど、水稲のケイ酸吸収効率は高い。また、上記試験例1において、市販A、B即ちケイカル肥料のケイ酸溶出速度では水稲のケイ酸吸収効率及び収量が十分高くなかったこと、及び、フジシリカゲルA型即ちシリカキセロゲルのケイ酸溶出速度では水稲のケイ酸吸収効率及び収量とも十分高くなったこと、から、溶出速度は、少なくともシリカキセロゲルのケイ酸溶出速度があれば十分な効果が得られるといえる。このため、シリカゲルは、蒸留水に投入してからケイ酸濃度が3時間後に2ppm以上、24時間後に5ppm以上となることが好ましいといえる。
上述したようにケイ酸溶出速度は高いほど有利であるため、水田用肥料としての適性は、ハンドリング性を考慮しなければ、シリカゲルパウダA>シリカゲルパウダB>シリカキセロゲル、シリカヒドロゲルの順である。
尚、本発明は上記各実施例に限定されることなく、本発明の技術的範囲に属する限り、種々の態様で実施できることはいうまでもない。
例えば、上記試験例2の圃場試験においては、シリカゲル(フジシリカゲルA形)は水田にほぼ均一に散布したが、イネの苗床へシリカゲルを敷設し、その後この苗床ごと栽培土壌に植えてもよく、この場合にも同様の効果が得られる。
例えば、上記試験例2の圃場試験においては、シリカゲル(フジシリカゲルA形)は水田にほぼ均一に散布したが、イネの苗床へシリカゲルを敷設し、その後この苗床ごと栽培土壌に植えてもよく、この場合にも同様の効果が得られる。
あるいは、同シリカゲルを微粉末の状態で水田用の水に浮遊させてもよく、この場合、シリカゲルは自ら拡散して広範囲に分散しその後自ら吸水して沈降しつつケイ酸を水中に溶出することによって、ケイ酸がイネ科植物に吸収されその生長を促進させる。
あるいは、同シリカゲルを水田用の水の1又は数カ所に局所的に配置してもよく、この場合、シリカゲルは自らケイ酸を水中に溶出させてそのケイ酸が水田全体に拡散することによって、ケイ酸がイネ科植物に吸収されその生長を促進させる。
Claims (9)
- シリカゲル又はシリカゾルを主成分とすることを特徴とする肥料。
- イネ科植物に用いることを特徴とする請求項1記載の肥料。
- 前記シリカゲル又はシリカゾルは、水に投入してから24時間以内にケイ酸濃度が5ppm以上となることを特徴とする請求項1又は2記載の肥料。
- 前記シリカゲル又はシリカゾルは、水に投入してから24時間以内にケイ酸濃度が15ppm以上となることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の肥料。
- 病原菌及び害虫の予防に用いることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の肥料。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の肥料をイネ科植物を栽培する土壌に散布することによってイネ科植物の成長を促進させることを特徴とする肥料の使用方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の肥料を微粉末の状態で水に浮遊させることにより、自ら拡散して広範囲に分散しその後自ら吸水して沈降しつつケイ酸を水中に溶出することによってイネ科植物の生長を促進させることを特徴とする肥料の使用方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の肥料をイネ科植物の苗床へ敷設し、その後この苗床ごと栽培土壌に植えることを特徴とする肥料の使用方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の肥料を水田用の水の1又は数カ所に局所的に配置することにより、自らケイ酸を水中に溶出させて水田全体に拡散させることによってイネ科植物の生長を促進させることを特徴とする肥料の使用方法。
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