JP3264838B2 - 育成培地とその製造法 - Google Patents

育成培地とその製造法

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JP3264838B2
JP3264838B2 JP25046396A JP25046396A JP3264838B2 JP 3264838 B2 JP3264838 B2 JP 3264838B2 JP 25046396 A JP25046396 A JP 25046396A JP 25046396 A JP25046396 A JP 25046396A JP 3264838 B2 JP3264838 B2 JP 3264838B2
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裕隆 佐藤
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、リン酸吸収係数が乾土
100gあたり2000mg以上と高く、かつ易還元性
マンガンあるいは交換性マンガンの含有量が乾土100
gあたりそれぞれ40g以下あるいは30g以下の浄水
場発生土を利用した植物育成培地及びその製造法に関す
る。更に詳細には、リン酸吸収係数が乾土100gあた
り2000mg以上と高く、かつ易還元性マンガンある
いは交換性マンガンの含有量が乾土100gあたりそれ
ぞれ40g以下あるいは30g以下の浄水場発生土に、
リン酸肥料、特に熔燐、重焼リン、熔過リン、リンスタ
ーなどのリン酸肥料を添加した野菜、花卉、果樹及び緑
化用樹木の育成培地及びその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】浄水処理の過程で、凝集剤としてポリ塩
化アルミニウムや硫酸アルミニウムを添加するが、これ
らはすべて発生土に含まれて排出される。このため発生
土中のアルミニウム含有量は著しく高くなる。他方、土
壌中の遊離アルミニウムはリン酸と容易に結合し、リン
酸アルミニウムとなり、リン酸を不可給化する。このた
め浄水場発生土は著しいリン酸欠乏土壌となり、このよ
うな浄水場発生土を植物育成培地として利用するのは望
ましくない。火山灰土壌などリン酸吸収係数が高い土壌
に対してはリン酸肥料の施用の効果が高いことは公知で
あるが、リン酸肥料を大量に添加することによって培地
の塩類濃度が高まり、これを植物育成培地として用いた
場合、発芽抑制、活着不良、伸長抑制などの障害が発生
する。また、一般的な土壌に比べて浄水場発生土の窒
素、石灰、苦土、並びに後述のマンガン等の成分の含有
量が著しく異なるため、浄水場発生土を植物育成培地と
して利用するためのリン酸肥料の最適な添加量と最適な
リン酸肥料の種類については明らかとなっていない。一
方、原水中の浮遊物質に含まれる天然由来のマンガン
が、浄水場発生土中のマンガン含量を高める。浄水場発
生土中のマンガンの量は年間を通じて変化し、時には過
剰量のマンガンを含有する発生土が排出されたり、過剰
量以下のマンガンを含有する発生土が排出されたりす
る。また、マンガン含有量は原水を取水する河川によっ
て影響され、浄水場の場所によって、また、同じ浄水場
でも取水する河川によって、発生土のマンガン含有量が
過剰量であったり、過剰量以下であったりする。過剰量
のマンガンを含有する浄水場発生土を植物育成培地に利
用した場合には、マンガン過剰に敏感な作物では障害が
発生するので、ゼオライトの添加やpHの調節などの処
理(特願平4−27904、特願平7−227144)
をすることにより野菜、花卉、果樹、緑化用樹木の育成
培地として利用している。他方、マンガンの含有量が低
くリン酸吸収係が高い浄水場発生土を植物育成培地に利
用する方法の開発が望まれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、リン酸吸収係数が高くマンガン含有量が少ない浄水
場発生土を植物育成培地に利用した場合に生ずる作物の
リン酸欠乏障害が軽減された育成培地及びその製造法を
提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、リン酸吸収係
数2000mg/100g以上且つ乾土100g当り4
0mg以下の易還元性マンガンあるいは30mg以下の
交換性マンガンを含有する浄水場発生土に、リン酸肥料
を800〜4000mg/l添加して得られる野菜、花
卉、果樹及び緑化用樹木の育成培地に関する。更に本発
明は、リン酸吸収係数2000mg/100g以上且つ
乾土100g当り40mg以下の易還元性マンガンある
いは30mg以下の交換性マンガンを含有する浄水場発
生土に添加するリン酸肥料は、それに含まれる全リン酸
で保証リン酸成分としてク溶性リン酸を20%以上含有
し且つその保証リン酸成分中で水溶性リン酸が50%以
下である野菜、花卉、果樹及び緑化用樹木の育成培地に
関する。更に本発明は、リン酸吸収係数2000mg/
100g以上且つ乾土100g当り40mg以下の易還
元性のマンガンあるいは30mg以下の交換性マンガン
を含有する浄水場発生土に添加するリン酸肥料が熔燐、
重焼リン、熔過リン及びリンスターからなる群より選ば
れる任意のリン酸肥料である野菜、花卉、果樹及び緑化
用樹木の育成培地に関する。更に本発明は、リン酸吸収
係数2000mg/100g以上且つ乾土100g当り
40mg以下の易還元性のマンガンあるいは30mg以
下の交換性マンガンを含有する浄水場発生土に、リン酸
肥料に含まれる全リン酸中で保証リン酸成分としてク溶
性リン酸を20%以上含有し且つその保証リン酸成分中
で水溶性リン酸が50%以下となるように複数組み合わ
せたリン酸肥料を添加して得られる育成培地に関する。
更に本発明は、リン酸吸収係数2000mg/100g
以上且つ乾土100g当り40mg以下の易還元性のマ
ンガンあるいは30mg以下の交換性マンガンを含有す
る浄水場発生土に熔燐、重焼リン、熔過リン及びリンス
ターからなる群より選ばれるリン酸肥料、更にカリ肥
料、窒素肥料及び土壌改良材を添加して得られる野菜、
花卉、果樹及び緑化用樹木の育成培地に関する。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明で対象とする浄水場発生土
は、リン酸吸収係数が著しく高く、マンガン含量が比較
的低いものであり、通常、リン酸吸収係数が乾土100
g当り2000mg以上で、乾土100g当り30mg
以下の交換性マンガンあるいは乾土100g当り40m
g以下の易還元性マンガンを含有するものが対象とな
る。ここで乾土とは、浄水場発生土を乾燥させて得られ
る土を意味する。また、リン酸吸収係数とは、土壌のリ
ン酸肥料を保持する能力を表す指標で、土壌にリン酸ア
ンモニウム液を加え、一定時間後に溶液中のリン酸濃度
を測定し、その濃度の減少分を土壌に保持されたリン酸
とするものである(土壌標準分析・測定法・土壌標準分
析・測定法委員会編、博友社発行、124−127
頁)。交換性マンガンとは、二価のマンガンを主たる対
象とし、中性1N酢酸アンモニウム液浸出法(土壌標準
分析・測定法・土壌標準分析・測定法委員会編、博友社
発行、221頁)によって測定されるマンガンを意味す
る。交換性マンガンは蒸留水浸出によって測定される水
溶性マンガンを含む。易還元性マンガンとは、軽度の還
元により二価に変化するマンガンを主たる対象とし、
0.2%ヒドロキノン含有中性1N酢酸アンモニウム液
浸出法(土壌標準分析・測定法・土壌標準分析・測定法
委員会編、博友社発行、221頁)によって測定される
マンガン量を意味する。易還元性マンガンは交換性マン
ガンを含む。浄水場発生土は、通常、浄水処理過程中に
ポリ酸化アルミニウム、硫酸アルミニウムなどの凝集剤
を添加し、脱水処理して得られるものを用いる。本発明
では、浄水場発生土に対して、リン酸肥料を添加する。
リン酸肥料中に含まれるリン酸の保証成分、すなわち保
証リン酸成分には、水溶性リン酸、可溶性リン酸及びク
溶性リン酸がある。一般に可溶性リン酸、ク溶性リン酸
は水溶性リン酸を含む。本発明では、リン酸肥料として
は、それに含まれる全リン酸中で保証リン酸成分として
ク溶性リン酸を20%以上含有し且つその保証リン酸成
分中で水溶性リン酸が50%以下のものが望ましい。ク
溶性リン酸とは、クエン酸可溶性のリン酸を指し、クエ
ン酸で抽出した溶液をキノリン重量法、キノリン容量
法、バナドモリブデン酸アンモニウム法(詳解肥料分析
法・越野正義編著・養賢堂、P96〜114)で定量さ
れるリン酸を意味する。保証リン酸成分としてク溶性リ
ン酸を20%以上含有し且つその保証リン酸成分中で水
溶性リン酸が50%以下であるリン酸肥料として、具体
的には、熔燐、重焼リン、熔過リン、リンスターなどが
挙げられる。ここで水溶性リン酸とは、水に溶けるリン
酸を示し、分析試料を水で抽出しバナドモリブテン酸ア
ンモニウム法により測定されるリン酸である(肥料分析
法、農林水産省農業環境技術研究所編、P.28〜P.
37)。 水溶性リン酸は、通常、土壌中の活性アルミ
ニウムなどと結合し、植物に対して不可給態に変化(リ
ン酸固定)する。浄水場発生土は凝集剤として添加した
ポリ塩化アルミニウムを含むため、リン酸を固定しやす
い。また、水溶性リン酸は土壌の電気伝導度(EC)を
上昇させる原因となる。また、可溶性リン酸はアンモニ
アアルカリ性クエン酸アンモニウム液可溶性のリン酸を
指す。
【0006】熔燐はリン鉱石に蛇紋岩や塩基性苦土含有
物を混合して高温で溶解し、水中で急冷して細かく砕
き、乾燥したもので、公定規格はク溶性リン酸17.0
%以上である。市販製品の保証リン酸成分はク溶性リン
酸20%である。熔燐には、ホウ素を加えたB熔燐と、
ホウ素及びマンガンを加えたBM熔燐があるが、B熔燐
が好ましい。重焼リンはリン鉱石を焼成した焼成リン肥
に蛇紋岩またはかんらん岩を混合し、リン酸スラリー
(リン鉱石にリン酸または硫酸を加えた分解液)を加え
造粒したもので、公定規格はク溶性リン酸16.0%以
上、うち水溶性リン酸1.0%以上である。市販製品の
保証リン酸成分は例えばク溶性リン酸35.0%、うち
水溶性リン酸16.0%である。熔過リンは過燐酸石灰
に等量以下の熔燐を混ぜ合わせ、両者の特徴を生かすよ
うに作られた肥料である。含有成分は公定規格ではク溶
性リン酸16%以上、うち水溶性リン酸1%以上と定め
られているが、市販製品の保証リン酸成分は例えばク溶
性リン酸20.0%、うち水溶性リン酸8.0%であ
る。リンスターは副産苦土石灰、フェロニッケル鉱さい
などとリン酸液を混合、反応造粒したもので、ク溶性と
水溶性の両タイプのリン酸を有している。保証リン酸成
分はク溶性リン酸30%、うち水溶性リン酸5%であ
る。
【0007】添加するリン酸肥料はどのような形態のも
のでも用いることができ、例えば2mm以下程度の粒状
が望ましい。リン酸肥料の添加量は、通常、浄水場発生
土1l中にリン酸成分として800〜4000mg、好
ましくは1500〜3000mg、さらに好ましくは2
000〜2500mgである。リン酸肥料の添加時期
は、とくに制限はなくいつでもよいが、例えば、野菜、
花卉、果樹、緑化用樹木の育成培地を製造する時に浄水
場発生土に添加混合してもよく、あるいは予め、浄水場
発生土中に添加混合して数ヶ月後に野菜、花卉、果樹、
緑化用樹木の育成培地を製造してもよい。
【0008】本発明ではリン酸肥料は数種類を同時に添
加してもよい。その時の添加量は通常、浄水場発生土1
リットル中にリン酸成分として800〜4000mg、
好ましくは1500〜3000mgである。添加するリ
ン酸肥料全体中で保証リン酸成分としてク溶性リン酸を
20%以上含有し且つその保証リン酸成分の内、水溶性
リン酸の割合いが50%以下であることが望ましい。リ
ン酸肥料の添加時期は、特に制限はなくいつでもよい
が、例えば、野菜、花卉、果樹、緑化用樹木の育成培地
を製造する時に浄水場発生土に添加混合してもよく、あ
るいは予め、浄水場発生土中に添加混合して数ヶ月後に
野菜、花卉、果樹、緑化用樹木の育成培地を製造しても
よい。また、浄水場発生土にリン酸肥料を添加して得ら
れる本発明の育成培地は、その電気伝導度(EC)が
0.5〜1.0mS/cmの範囲にあるのが好ましい。
ここでECとは、具体的には、育成培地の乾土1に対し
て脱塩水5の割合で調製した抽出液中に1cm2 の2枚
の極板を1cm間隔で置いたときの極間の電気抵抗値の
逆数であり、通常、土壌溶液中の無機塩類濃度の指標と
なる。通常、ECが0.5より低いとその土壌は肥料不
足となり好ましくない。また1を越えると肥料過多によ
る障害の恐れがあり好ましくない。本発明では、浄水場
発生土に対して、生育期間が長期間にわたる場合、カリ
肥料を多く必要とする果樹など特殊な植物を栽培する場
合などは、必要に応じて、リン酸肥料に加えて、更に窒
素肥料、カリ肥料などの肥料を添加してもよい。また、
野菜、花卉、果樹、緑化用樹木の育成培地の物理性の向
上を目的として、必要に応じて、堆肥、ピートモス、ゼ
オライトなどの土壌改良材を添加してもよい。
【0009】本発明で添加する窒素肥科は、一般農業用
に施用されている窒素肥料、例えば、硫安、塩安、硝
安、尿素、IB窒素、CDU窒素、ウラホルム窒素など
が挙げられる。添加量は、窒素成分含量が本発明の植物
育成培地中通常10〜150mg/リットル、好ましく
は50〜120mg/リットルとなる量である。カリ肥
料としては、一般農業用に施用されているカリ肥料、例
えば、塩化カリ、硫酸カリ、硫酸カリ苦土、けい酸カリ
などが挙げられる。カリ肥料の混合量は、カリの成分含
量が本発明の植物育成培地中、通常5mg〜l20mg
/リットル、好ましくは、30〜80mg/リットルと
なる量である。本発明で添加する土壌改良材は一般的に
市販されているいずれの土壌改良材でも良く、例えば、
ピート、ピートモス、泥炭・草炭加工物などの植物質資
材やベントナイト、ゼオライト、バーミキュライト、パ
ーライトなどの鉱物質資材、発泡スチロール粒、軽石、
赤玉土などが挙げられる。例えば、保水性を高めたい場
合、植物質資材のピートモス、鉱物質資材のパーライト
などが好ましく、浄水場発生土への添加量は本発明の植
物育成培地中、通常、25〜50容量%、好ましくは3
5〜40容量%である。添加時期は、特に制限はなくい
ずれでもよいが、例えば、育成培地を製造する時に浄水
ケーキに添加混合、あるいは予め浄水ケーキに添加混合
して数カ月後に育成培地を製造することができる。
【0010】本発明では、更に植物病原菌に拮抗性を有
する微生物を添加してもよい。本発明に使用される微生
物としては、植物病原菌の拮抗性を有するものであれ
ば、特に制限なく、細菌類、放線菌類、真菌類などいず
れも使用できる。これら微生物ほ生菌類は勿論、生菌体
を凍結乾燥したもの、凍結融解したものなどであっても
よい。このような拮抗菌としては、例えば特公平3−6
1424、特公平3−6l425号公報などに記載され
たものが挙げられる。より具体的には、土壌伝染性植物
病原菌フサリウム(Fusarium sp)に拮抗性
を有するバチルス・ライケニホルミス(Bacillu
s licheniformis)、サーモアクチノマ
イセス エスピー(Thermoactinomyce
s sp)及ぴペニシリウム エスピー(Penici
llium sp);土壌伝染性植物病原菌コルチシウ
ム・ロルフシイ(Corticium rolfsi
i)に拮抗性を有するアスべルギルス・テルリウス(A
spergillus terreus)及びトリコデ
ルマ・ビリテ(Trichoderma virid
e)などが挙げられる。これらの菌を実際に添加する場
合は、本発明の植物育成培地に添加して混合すれば良
い。拮抗菌の添加量は本発明の植物育成培地中、通常
0.02〜0.1容量%、好ましくは0.04〜0.0
6容量%である。拮抗菌の添加時期は袋詰する時に行
う。拮抗菌を添加することによって、得られる育成培地
は作物の幼苗を育苗した場合、幼苗立枯病の発生防除に
有効であり、土壌病害を軽減する効果がある。
【0011】
【実施例】次に試験例及び実施例に基づいて本発明を更
に詳細に説明する。 実施例1 i) 下記の資材を、以下の様に混合して植物育成培地
を作成した。 浄水場発生土 リンスターをリン酸成分として2500mg/リットル 実施例2 i) 下記の資材を、体積比で以下の様に混合した。 浄水場発生土 (55%) バーク堆肥 (30%) ピートモス (10%) コーラル (5%) ii) さらに肥料成分として、以下の様に混合して植
物育成培地を作成した。 CDUを窒素成分として150mg/リットル 硫酸カリをカリ成分として100mg/リットル リンスターをリン成分として2500mg/リットル
【0012】
【試験例】上記植物育成培地の混合の比率を変え以下の
ような試験をおこなった。 試験例1 i) 浄水場発生土の化学特性 実施例1及び2、並びに試験に供した発生土の化学特性
を表1に示した。実施例1及び2、並びに試験に供した
浄水場発生土は、表1に示した通りリン酸吸収係数が2
000mg/100g以上で、マンガンが易還元性マン
ガンが40mg/100g以下で交換性マンガンが30
mg以下のものを用いた。
【0013】
【表1】 表1 供試発生土の化学特性 ─────────────────────────────────── EC リン酸吸収係数 マンガン含有量mg/100g mS/cm mg/100g 交換性 易還元性 ─────────────────────────────────── 0.6 2383 16.2 18.6 ───────────────────────────────────
【0014】ii) 供試植物育成培地の作成 i)の浄水場発生土を10m/mの篩いに通し粒度を調
えた後、リン酸肥料を表2に示した通り添加し、供試植
物育成培地とした。供試植物育成培地のECと有効態リ
ン酸を分析した。結果は表4に示した通りである。尚、
リン酸肥料の全リン酸中での保証リン酸成分としてのク
溶性リン酸の割合い、及びその内の水溶性リン酸の割合
いを表3に示した。
【0015】
【表2】
【0016】
【表3】 表3 リン酸肥料中の保証リン酸成分 ───────────────────────────────── リン酸肥料 ク溶性リン酸 内水溶性リン酸 ───────────────────────────────── 過リン酸石灰 20% 17% 熔燐 20% − 重焼リン 35% 16% 熔過リン 20% 8% リンスター 30% 5% 腐植リン 15% 2% ─────────────────────────────────
【表4】
【0017】表4に示したように、リン酸肥料の添加量
が多いほどEC、有効態リン酸含有量とも高くなった。
過リン酸石灰は添加量が多いほどECが著しく上昇する
が、有効態リン酸は他の肥料と比べて低かった。これに
対して、熔燐、リンスターはECの上昇が小さく、有効
態リン酸含有量が高くなった。以上の結果から、浄水場
発生土を利用した植物育成培地に添加する肥料として
は、熔燐、リンスターが特に好ましい。 iii)トマトを用いた試験 1996年10月1日にトマト“桃太郎”(タキイ種
苗)を播種し、10月10日に第1本葉が展開した苗を
3寸ポットに詰めた供試植物育成培地に移植し、幼植物
試験を開始した。試験は1試験区6株ずつ、計48株行
った。ガラス温室内で最低気温を15℃に管理し、灌水
は毎日十分に行った。施肥、薬剤散布等は行わなかっ
た。1月間育苗し、11月10日に生育調査を行った。
生育調査は地上部乾物重とリン酸欠乏症状の発生程度に
ついて行った。結果は表5に示した通りである。
【0018】
【表5】
【0019】表5に示したように、トマトでは、リン酸
肥料添加量が0の区では地上部乾物重が著しく小さく、
リン酸欠乏症状が甚だしかった。いずれの肥料でもリン
酸の添加量が1000mg/リットルでリン酸欠乏症状
が軽減され、2000mg/リットル以上でリン酸欠乏
症状はまったく見られず、生育も促進された。地上部乾
物重はリンスターで最も大きく、続いて熔燐が大きかっ
た。しかし、過リン酸石灰、腐植リン、過リン酸石灰と
熔燐を成分で等量混合したものは4000mg/リット
ル添加ではリン酸欠乏とは異なる生理障害がみられた。
以上の結果から、浄水場発生土を利用した植物育成培地
でトマトを栽培する場合、熔燐又はリンスターを、培地
1リットルに対しリン酸成分が2000〜4000mg
となるように添加するのがよいことが明らかとなった。
保証リン酸成分の内、水溶性リン酸の割合の高い過リン
酸石灰などを4000mg/リットル以上添加すると、
土壌中のECが著しく上昇し、生理障害が発生した。 iv)ゴールドクレストを用いた試験 ゴールドクレストを用いた試験では、1996年10月
1日にゴールドクレストの3寸ポット苗を10リットル
容量のポットに詰めた供試植物育成培地に移植し、幼植
物試験を開始した。ガラス温室内で最低気温を15℃に
管理し、灌水は週に2回十分に行った。施肥、薬剤散布
等は行わなかった。6月間育苗し、1997年4月1日
に生育調査を行った。生育調査は樹高伸長量とリン酸欠
乏症状の発生程度について行った。結果は表6に示した
通りである。
【0020】
【表6】
【0021】表6に示したように、ゴールドクレストで
は、いずれの肥料でもリン酸の添加量が500mg/リ
ットルでリン酸欠乏症状が軽減され、1000mg/リ
ットル以上でリン酸欠乏症状はまったく見られず、生育
も促進された。しかし、4000mg/リットルでは生
育が抑制され、過リン酸石灰、腐植リンでは移植直後に
濃度障害と思われる原因で枯死に至った。また、浄水場
発生土を利用した植物育成培地でゴールドクレストを栽
培する場合、培地1リットルに対しリン酸成分が100
0〜2000mgとなるように添加するとよいと思われ
た。リン酸肥料の種類については、トマトほど顕著な差
は見られなかったが、熔燐、熔過リン、リンスターで生
育がよい傾向が見られた。以上の結果から、マンガン含
有量の低い発生土にリン酸肥料をトマトでは2000m
g/リットル以上、ゴールドクレストでは1000mg
/リットル以上添加することにより植物育成培地として
利用可能であることが明らかとなった。
【0022】
【発明の効果】リン酸吸収係数が高く、マンガン含有量
が比較的低い浄水場発生土に、リン酸肥料を添加するこ
とによって、リン酸吸収係数が高く、マンガン含有量が
比較的低い浄水場発生土を野菜、花卉、果樹、緑化用樹
木の育成培地に用いた場合に作物の生育が促進され、リ
ン酸欠乏障害が軽減される。従って、本発明によって、
リン酸吸収係数が高く、マンガン含有量が比較的低い浄
水場発生土を野菜、花卉、果樹、緑化用樹木の育成培地
として有効に利用することが可能となった。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C05G 1/00 C05G 1/00 F C09K 17/40 C09K 17/40 H // C09K 101:00 101:00 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09K 17/48 A01G 1/00 C05B 1/02 C05B 13/00 C05G 1/00 C09K 17/40

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リン酸吸収係数2000mg/100g
    以上且つ乾土100g当り40mg以下の易還元性マン
    ガンあるいは30mg以下の交換性マンガンを含有する
    浄水場発生土に、リン酸肥料として、リン酸肥料に含ま
    れる全リン酸中で保証リン酸成分としてク溶性リン酸を
    20%以上含有し且つその保証リン酸成分中で水溶性リ
    ン酸が50%以下であるリン酸肥料を、800〜400
    0mg/l添加して得られる野菜、花卉及び果樹及び緑
    化用樹木の育成培地。
  2. 【請求項2】 リン酸肥料が、熔燐、重焼リン、熔過リ
    ン及びリンスターからなる群より選ばれるリン酸肥料で
    ある請求項1記載の野菜、花卉、果樹及び緑化用樹木の
    育成培地。
  3. 【請求項3】 リン酸肥料は、それに含まれる全リン酸
    中で保証リン酸成分としてク溶性リン酸を20%以上含
    有し且つその保証リン酸成分中で水溶性リン酸が50%
    以下となるように複数のリン酸肥料を組み合わせたもの
    である、請求項1または2記載の野菜、花卉、果樹及び
    緑化用樹木の育成培地。
  4. 【請求項4】 カリ肥料、窒素肥料及び土壌改良材を更
    に添加する請求項1から3のいずれかに記載の野菜、花
    卉、果樹及び緑化用樹木の育成培地。
  5. 【請求項5】 浄水場発生土に、リン酸肥料を添加して
    得る請求項1から4のいずれかに記載の野菜、花卉、果
    樹及び緑化用樹木の育成培地の製造法。
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