JPH10114514A - 変成タルク及び化粧料 - Google Patents

変成タルク及び化粧料

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JPH10114514A
JPH10114514A JP8268689A JP26868996A JPH10114514A JP H10114514 A JPH10114514 A JP H10114514A JP 8268689 A JP8268689 A JP 8268689A JP 26868996 A JP26868996 A JP 26868996A JP H10114514 A JPH10114514 A JP H10114514A
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talc
mixture
present
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cosmetics
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Hiromutsu Nishimura
博睦 西村
Masae Iida
昌枝 飯田
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Pola Chemical Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 油分の吸収性が低く、これが配合された化粧
料、特に着色顔料とともにこれが配合された化粧料にお
いて使用時の吸油による色合いの変化を軽減するように
改質されたタルク及び使用時に変色の少ない化粧料を提
供する。 【解決手段】 タルクと鉄酸化物及び/又は鉄水酸化物
の混合物を800〜1500℃で熱処理することで変成
タルクを得る。また、前記変成タルクを化粧料に配合す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は変成タルク及び化粧
料に関し、詳しくは、タルクを改質した、吸油量が少な
く、これが配合された化粧料、特に着色顔料とともにこ
れが配合された化粧料において使用時の吸油による色合
いの変化の少ない変成タルク及びこれを含有する使用時
に変色の少ない化粧料に関する。
【0002】
【従来の技術】メークアップ化粧料は、色彩を施すこと
により、肌色を変えて見せる、陰影をつけて立体感を出
す、一部分を色彩的に強調する、あるいは皮膚の欠陥を
隠す等の目的で用いられ、この様な各種目的に応じて要
求される様々な色調を造り出すために、メークアップ化
粧料には顔料や染料等の色材がいろいろに組み合わされ
て配合されている。また、メークアップ化粧料ばかりで
なく基礎化粧料においても、少量ではあるが上記色材類
が使用されている。
【0003】この様な化粧料に配合される顔料のうちで
も、着色顔料をうすめて適当な濃さにし着色力を調整し
たり感触を調整したりする目的で用いられる体質顔料の
ひとつであるタルクは、滑らかな感触と強い吸着力を有
することから多種多様の化粧料に多量に用いられてい
る。
【0004】しかし、タルクと着色顔料を配合した化粧
料、特にメークアップ化粧料においては、タルクの油分
吸収性が高いことから、使用時に皮膚からの分泌物等を
吸収し易く、それにより色合いの変化を起こすことが問
題となっている。これを解決する方法として、皮膚から
の分泌物の量を想定して、化粧料製造時にそれを見越し
た色彩設計をする方法が考えられるが、上記色合いの変
化は、皮膚からの分泌物の量の多少により個人差が大き
く、あるいは、スポット的におこることがあり、さら
に、同一人であっても気候や環境の影響でその度合いが
異なったりすることから、この様な方法では色合いの変
化の問題を十分に解決することは期待できない。
【0005】そこで、油分の吸収性が低く、化粧料に配
合され、特に着色顔料とともに化粧料に配合され、使用
される際に上記の様な色合いの変化を起こさないように
改質されたタルクの開発が望まれていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記観点から
なされたものであり、油分の吸収性が低く、これが配合
された化粧料、特に着色顔料とともにこれが配合された
化粧料において使用時の吸油による色合いの変化を軽減
するように改質されたタルク及び使用時に変色の少ない
化粧料を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意研究を行った結果、タルクに鉄酸
化物及び/又は鉄水酸化物を添加しこれを800〜15
00℃で熱処理することにより、タルクの高吸油性を改
質した低吸油性の変成タルクが得られること、及びこれ
を配合した化粧料、特に着色顔料とともにこれを配合し
た化粧料においては、使用時に皮膚からの分泌物等を吸
収することが少なく、変色がほとんどないことを見出
し、本発明を完成するに至った。
【0008】すなわち本発明は、タルクと鉄酸化物及び
/又は鉄水酸化物の混合物を800〜1500℃で熱処
理して得られる変成タルクである。本発明の変成タルク
の組成に関して具体的には、熱処理前の上記混合物にお
けるタルクと鉄酸化物及び/又は鉄水酸化物の重量比と
して、概ね98:2〜99.99:0.01を挙げるこ
とが可能である。
【0009】さらに、本発明は上記本発明の変成タルク
を含有する化粧料を提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
まず、本発明の変成タルクについて説明する。 (1)本発明の変成タルク 本発明の変成タルクは、タルクと鉄酸化物及び/又は鉄
水酸化物の混合物を800〜1500℃で熱処理するこ
とで得られる。
【0011】本発明の変成タルクの原料成分となるタル
クとしては、通常、医薬品や化粧料等に用いられるタル
クを挙げることができる。タルクは、Mg32(SiO
34の化学式で表されるマグネシウムの含水ケイ酸塩鉱
物であり、一般的にはタルク成分を多量に含有するジャ
紋岩、リョクデイ石片岩、カッ石片岩等から精製して得
られる。この様にして得られるタルクは、白色〜灰緑色
の感触が滑らかな微細粉末として市販されており、これ
を本発明の変成タルクの原料とすることができる。ま
た、上記一般的に用いられるタルクの吸油量は、JIS
K5101.21に規定の吸油量試験法に基づく測定に
よれば、文献値で概ね50〜60ml/g×100であ
り、同方法で本発明者が平均粒径1.5〜2.5μmの
タルクを煮アマニ油で測定して得られた吸油量の値は、
52〜59ml/g×100である。
【0012】本発明の変成タルクの原料成分としてタル
クと共に用いられる鉄酸化物及び/又は鉄水酸化物とし
ては、例えば、酸化鉄(II)(FeO)、酸化鉄(II)鉄(I
II)(Fe34)、酸化鉄(III)(Fe23)、水酸化鉄
(II)(Fe(OH)2)、水酸化鉄(II)鉄(III)(Fe3
4・nH2O、例えば、Fe(OH)3等)、水酸化鉄
(III)(Fe23・nH2O、例えば、Fe23・H
2O、FeO・OH等)等を挙げることができる。これ
らは1種を単独で用いることも可能であり、あるいは2
種以上の混合物として用いることも可能である。また、
上記鉄酸化物及び/又は鉄水酸化物を高濃度で含有する
組成物、例えば、ベンガラ、黄酸化鉄等を本発明に用い
ることも可能である。
【0013】本発明の変成タルクは上記タルクと鉄酸化
物及び/又は鉄水酸化物の混合物を原料とするが、前記
混合物におけるタルクと鉄酸化物及び/又は鉄水酸化物
の重量比は、概ね98:2〜99.99:0.01とす
ることが好ましく、より好ましくは99.8:0.2〜
99.99:0.01程度である。タルクに対する鉄酸
化物及び/又は鉄水酸化物の配合量が上記範囲より小さ
いと、得られる変成タルクの吸油量が十分に低くならな
いことがあり、また、タルクに対する鉄酸化物及び/又
は鉄水酸化物の配合量が上記範囲より大きいと、得られ
る変成タルクの赤味が強くなりすぎてタルク本来の有す
る色合いとかなり異なる色合いになってしまうことか
ら、化粧料用の体質顔料としては好適に使用できないこ
とがある。
【0014】また、本発明の変成タルクの原料となる上
記タルクと鉄酸化物及び/又は鉄水酸化物の混合物に
は、前記混合物を変成タルクとするために熱処理する際
の温度800〜1500℃において焼失してしまう様な
成分、例えば、ポリエチレングリコール、流動パラフィ
ン、アラビアガム、ポリビニルアルコール等のバインダ
ー等を必要に応じて適当な量添加することも可能であ
る。
【0015】上記タルクと鉄酸化物及び/又は鉄水酸化
物の混合物を得るには、両者が均一に混合した状態とな
るような混合方法を用いればよく、例えば、粉末状のタ
ルクと粉末状の鉄酸化物及び/又は鉄水酸化物と、さら
に必要に応じて添加される上記任意成分とをヘンシェル
ミキサー等によりよく混合する方法等を採ることができ
る。また、鉄塩を含有する水溶液中に粉末状のタルクを
分散させ、塩基性水溶液、例えばアンモニア、水酸化ナ
トリウム、水酸化カリウム等の水溶液を添加すると、粉
末タルクの表面に鉄水酸化物を均一に付着させることが
できるが、この様にして得られる鉄水酸化物付着のタル
ク粉末を混合物として用いてもよい。この場合にも必要
に応じて上記任意成分を添加することが可能である。
【0016】上記の様にして得られるタルクと鉄酸化物
及び/又は鉄水酸化物の混合物を800〜1500℃で
熱処理することにより本発明の変成タルクが得られる。
熱処理の温度が800℃より低いと、改質タルクである
低吸油性のタルク変成物が殆ど生成されずに、タルクと
鉄酸化物及び/又は鉄水酸化物の混合物の低温熱処理物
が得られる。また、熱処理温度が1500℃より高いと
タルクと鉄酸化物及び/又は鉄水酸化物の混合物は溶融
してガラス状になってしまうことがある。熱処理の時間
は、特に制限されないが、概ね2〜8時間とすることが
好ましい。また、上記熱処理は通常の空気雰囲気(酸化
雰囲気)で行うことが可能であり、冷却のための条件も
特に限定されず、自然冷却等の通常の方法が可能であ
る。
【0017】この様にして得られる本発明の変成タルク
は、800〜1500℃の高温においてタルク結晶に酸
化鉄がドーピングされて、タルクの元来の結晶構造が変
化した変成タルクであり、この結晶構造の変化によりタ
ルクの性質が高吸油性から低吸油性に変化したものと考
えられる。また、この様な結晶構造の変化は、熱処理温
度が800℃より低いと起こりにくく、従って800℃
より低い温度で熱処理されたタルクと鉄酸化物及び/又
は鉄水酸化物の混合物は、吸油性に関して熱処理前と殆
ど変わりがないといえる。なお、上記タルクの結晶構造
の変化に関しては、X線回折を行いそのスペクトルを解
析することにより確認できる。
【0018】上記結晶構造の変化を具体的に示すX線回
折のスペクトルの例を図1〜図5に示す。図1はタルク
のX線回折のスペクトルを、図2はタルクとベンガラの
99.8:0.2の混合物のX線回折のスペクトルを、
図3はタルクを900℃で2時間熱処理して得られる熱
処理タルクのX線回折のスペクトルを、図4は上記タル
クとベンガラの99.8:0.2の混合物を900℃で
2時間熱処理して得られる変成タルクのX線回折のスペ
クトルを、図5は上記タルクとベンガラの99.8:
0.2の混合物を700℃で2時間熱処理して得られる
タルク/ベンガラ混合物の熱処理物のX線回折のスペク
トルを、それぞれ示す図である。
【0019】これらの図に示されるX線回折のスペクト
ルを比較すると、図4の本発明の変成タルクのX線回折
のスペクトルは、他の4つのX線回折のスペクトル図と
異なったピークパターンを示しており、結晶構造が異な
ることを示している。
【0020】また、上記本発明の変成タルクについて、
実際にJISK5101.21に規定の吸油量試験法に
より測定される吸油量は、上記一般的に化粧料に用いら
れているタルクの吸油量50〜60ml/g×100に
比べて少なく、概ね35〜45ml/g×100であ
る。この様な本発明の変成タルクを化粧料に配合すれ
ば、特に着色顔料を含有する化粧料にこれを配合すれ
ば、この化粧料が使用に際して皮膚からの分泌物等を吸
収して色合いの変化を起こすような現象を抑えることが
可能となる。
【0021】次に上記変成タルクを含有する本発明の化
粧料について説明する。 (2)本発明の化粧料 本発明の化粧料は使用時における色合いの変化を抑える
目的で上記本発明の変成タルクを含有する。
【0022】本発明の変成タルクは、上記一般的に化粧
料に用いられている白色〜灰緑色のタルクとは色合いが
多少異なり、極淡い茶色や極淡い桃色や赤色を呈する
が、これを化粧料に配合する際には、通常のタルクと同
様に、着色顔料をうすめて適当な濃さにし着色力を調整
したり感触を調整したりする目的で用いられる。従っ
て、上記本発明の化粧料における変成タルクの含有量
は、特に制限されないが、通常のタルクが通常化粧料に
含有する量と同程度、例えば、化粧料全量に対して0.
1〜30重量%程度の含有量とすることが好ましい。
【0023】なお、本発明の変成タルクを化粧料に配合
する際には、通常のタルク含有化粧料のタルクを本発明
の変成タルクに変えてそれ以外を全く同様の組成とすれ
ば、上記色合いの違いから、得られる化粧料の色合いは
異なるものとなるが、化粧料にともに配合される着色顔
料の種類や着色顔料との配合割合を調整する等により、
一般的なタルクを用いた場合と同様の色合いとなるよう
な色彩設計を行うことも可能である。さらに、本発明の
変成タルクを含有する化粧料は、通常のタルクを含有す
る化粧料と同様に、各種化粧料に応じた様々な色彩設計
を行うことが可能である。
【0024】本発明の化粧料の剤形は、特に限定される
ものではなく、例えば、パウダー状、ケーキ状、スティ
ック状、ペースト状、クリーム状、乳液状、ローション
状、水性ゲル状、オイルゲル状、軟膏状等の剤形を挙げ
ることができる。また、本発明の変成タルクを含有する
化粧料は、化粧料一般に特に制限なく適用可能である
が、メークアップ化粧料、例えば、アンダーメークアッ
プ料、ファンデーション、チークカラー、アイカラー、
マスカラ、まゆずみ、アイブロー、リップカラー等に好
ましく適用される。さらに、これらのメークアップ化粧
料のうちでも、本発明の化粧料がより好ましく適用され
る化粧料としては、着色顔料、例えば、紺青、グンジョ
ウ、黄酸化鉄、ベンガラ、黒酸化鉄、酸化クロム、水酸
化クロム、酸化コバルト、マンガンバイオレット、カー
ボンブラック等が配合され、通常のタルクを用いた場合
に吸油による色合いの変化が顕著であるような化粧料を
挙げることができる。本発明の化粧料は、上記変成タル
クが剤形や色彩設計に応じて適宜選択されて配合される
以外は、通常の化粧料と同様の方法で製造することがで
きる。
【0025】上記本発明の化粧料には、上記変成タルク
以外に、通常、化粧料に適用される、流動パラフィン、
ワセリン、スクワラン等の炭化水素類、ミリスチン酸イ
ソプロピル(IPM)や合成ゲイロウ、ホホバ油、カル
ナウバワックス等のエステル類、オリーブ油、牛脂等の
動植物油脂、セタノール、ステアリルアルコール等の高
級アルコール類、ステアリン酸、オレイン酸等の高級脂
肪酸類、ラウリル硫酸ナトリウム、アルキルスルホコハ
ク酸エステル等のアニオン界面活性剤、4級アルキルア
ミン塩等のカチオン界面活性剤、脂肪酸モノグリセライ
ド、ポオキシエチレン硬化ヒマシ油等のノニオン界面活
性剤、アルキルベタイン等の両性界面活性剤等の界面活
性剤類、グリセリンやプロピレングリコール等の多価ア
ルコール類、エタノール、プロパノール等の低級アルコ
ール類、パラベン類やグルコン酸クロルヘキシジン等の
防腐剤類、パラアミノ安息香酸誘導体、ベンゾフェノン
誘導体等の紫外線吸収剤、ビタミンEやブチルヒドロキ
シトルエン等の酸化防止剤、アラビアゴム、カルボキシ
ビニルポリマー等の増粘剤、ポリエチレングリコール等
の保湿剤、クエン酸塩、酢酸塩等のpH調整剤、顔料、
香料、色素等、ヒアルロン酸、胎盤抽出物、朝鮮人参エ
キス、ビタミン類、ステロール配糖体等の各種目的に応
じた薬効成分などが適宜選択されて任意に配合される。
【0026】なお、本発明の化粧料においては、本発明
の効果を損なわない量であれば、タルク、カリオン、マ
イカ、セリサイト等の体質顔料を本発明の変成タルクと
ともに配合することも可能である。
【0027】
【実施例】以下に本発明の実施例を説明する。
【0028】
【実施例1〜3】 変成タルク タルク(松村産業製)99.8重量部とベンガラ(チタ
ン工業製)0.2重量部をヘンシェルミキサーによりよ
く混合して混合物とした。この混合物を900℃、10
00℃、1100℃の温度に調整された電気炉にそれぞ
れ50gずつ入れた。上記各温度でそれぞれの混合物を
2時間保持し、その後電気炉から取り出して冷却するま
で室温で放置した。900℃の処理を実施例1、100
0℃の処理を実施例2、1100℃の処理を実施例3と
する。
【0029】比較のために、上記混合物の50gを70
0℃で2時間熱処理して、上記同様に冷却して比較例1
の熱処理タルク/ベンガラ混合物を作製した。
【0030】<本発明の変成タルクの評価>上記各実施
例で得られた変成タルク及び比較例1の熱処理タルク/
ベンガラ混合物、タルクとベンガラの混合物等について
吸油量と吸油による色変化の測定を行った。
【0031】(1)吸油量 上記各実施例で得られた変成タルク及び比較例1の熱処
理タルク/ベンガラ混合物、上記実施例の熱処理前のタ
ルクとベンガラの混合物(比較例2)及び上記実施例に
用いたタルク(比較例3)の吸油量を、以下のようにし
て測定した。結果を表1に示す。
【0032】(吸油量の測定方法)測定対象試料3gを
測定板上の中央部に載せ、この試料の中央に煮アマニ油
をビュレットから1回に4、5滴ずつ徐々に滴下し、そ
の都度全体をヘラで十分に練り合わせた。上記滴下と練
り合わせを繰り返し、全体が硬いパテ状の塊となったと
ころで、練り合わせの頻度を煮アマニ油滴下の1滴ごと
に切り換えて、さらに煮アマニ油の滴下で試料が急激に
柔らかくなるまで、この滴下と練り合わせを繰り返し行
った。煮アマニ油の1滴の滴下で試料が急激に柔らかく
なる直前を終点とした。
【0033】
【表1】
【0034】この結果から、タルク、熱処理をしなかっ
たタルクとベンガラの混合物、処理温度が低かったタル
ク/ベンガラ混合物の吸油量に比べて、実施例で得られ
た変成タルクの吸油量は、少ないことがわかる。
【0035】(2)吸油による色変化 上記各実施例で得られた変成タルク及び比較例1の熱処
理タルク/ベンガラ混合物、上記実施例の熱処理前のタ
ルクとベンガラの混合物(比較例2)について、通常の
状態(乾燥した状態)での色と、ノムコートTIO(商
標名:日清製油製のグリセリントリイソオクタネート)
を吸油量限界まで吸油したときの色を、Σ80測色計
(日本電色製)を用いて、L*** 表色系およびH
(色相)V(明度)C(彩度)表色系で測定した。ま
た、同様に標準白板の色をL*** 表色系で測定し
た。L*** 表色系においては、通常時(乾燥時)と
吸油時について、それぞれ以下の色差式により標準白板
との色差(△E* ab)を求め、さらにL*値、a*値、b*
値、色差について通常時と吸油時の差を求めた。
【0036】
【数1】△E* ab(色差)=[(△ L*2+(△a*2
+(△b*21/2
【0037】また、HVC表色系においては、V値およ
びC値について通常時と吸油時の差を求めた。結果を表
2に示す。
【0038】
【表2】
【0039】この結果から、実施例で得られた変成タル
クは、熱処理をしなかったタルクとベンガラの混合物、
処理温度が低かったタルク/ベンガラ混合物に比べて、
通常時(乾燥時)と吸油時での色合いの差が少ないこと
がわかる。
【0040】
【実施例4】 変成タルク 上記実施例1において、タルク/ベンガラ混合物(9
9.8:0.2)の熱処理条件を1200℃、4時間と
した以外は、全く上記実施例1と同様にして変成タルク
を製造した。
【0041】
【実施例5】 化粧料(ファンデーション) 表3に示すの各種成分を均一に混合して上記実施例4で
得られた変成タルクを含有するファンデーションを作製
した。
【0042】また、上記実施例のファンデーションにお
いて、本発明の変成タルクの替わりにタルクとベンガラ
を用いた以外は全く同様にして、比較例のファンデーシ
ョンを作製した。
【0043】
【表3】
【0044】<本発明の化粧料の評価>上記実施例5及
び比較例4で得られたファンデーションの実使用試験を
行い、本発明の化粧料の使用時の色合い変化を評価し
た。
【0045】すなわち、女性パネラー10名の顔面に実
施例5及び比較例4のファンデーションを半顔ずつ塗布
し、8時間後のファンデーションの色のくすみ具合を専
門家が判定した。結果を表4に示す。
【0046】
【表4】
【0047】この結果から明らかなように、本発明の変
成タルクの替わりにタルクとベンガラを含有する比較例
4のファンデーションの使用では、塗布から長時間経過
した後の色のくすみが全てのパネラーで起きているのに
比べ、本発明の変成タルクを含有する実施例5のファン
デーションの使用においては、上記色のくすみはほとん
どのパネラーで起きていない。
【0048】これは、本発明の化粧料が、吸油量が少な
く、乾燥時と吸油時の色合いの差が少ない本発明の変成
タルクを含有することで、通常のタルクを含有する化粧
料に比べて、使用時に皮膚からの分泌物等をあまり吸収
せず、また皮膚からの分泌物等を少量吸収した場合でも
色合いの変化をほとんど起こさないことによるものと言
える。また、この変色を抑える効果は、本発明の変成タ
ルクを着色顔料とともに配合する化粧料において、上記
実施例と比較例のファンデーションの色のくすみの差の
ように特に顕著に現れる。
【0049】
【発明の効果】本発明の変成タルクは、吸油量が少な
く、配合された化粧料、特に着色顔料とともに配合され
た化粧料において使用時の吸油による色合いの変化を軽
減するように改質されている。本発明の化粧料は、前記
変成タルクを含有することで、使用時の吸油による色合
いの変化がほとんどない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 タルクのX線回折のスペクトルを示す図であ
る。
【図2】 タルクとベンガラの99.8:0.2の混合
物のX線回折のスペクトルを示す図である。
【図3】 タルクを900℃で2時間熱処理して得られ
る熱処理タルクのX線回折のスペクトルを示す図であ
る。
【図4】 タルクとベンガラの99.8:0.2の混合
物を900℃で2時間熱処理して得られる変成タルクの
X線回折のスペクトルを示す図である。
【図5】 タルクとベンガラの99.8:0.2の混合
物を700℃で2時間熱処理して得られるタルク/ベン
ガラ混合物の熱処理物のX線回折のスペクトルを示す図
である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 タルクと鉄酸化物及び/又は鉄水酸化物
    の混合物を800〜1500℃で熱処理して得られる変
    成タルク。
  2. 【請求項2】 混合物におけるタルクと鉄酸化物及び/
    又は鉄水酸化物の重量比が98:2〜99.99:0.
    01である請求項1記載の変成タルク。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の変成タルクを含有
    する化粧料。
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