JPH10109913A - 農園芸用殺菌剤組成物 - Google Patents

農園芸用殺菌剤組成物

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JPH10109913A
JPH10109913A JP8264617A JP26461796A JPH10109913A JP H10109913 A JPH10109913 A JP H10109913A JP 8264617 A JP8264617 A JP 8264617A JP 26461796 A JP26461796 A JP 26461796A JP H10109913 A JPH10109913 A JP H10109913A
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JP
Japan
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agricultural
genus bacillus
horticultural
fungicide composition
bacterium belonging
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JP8264617A
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English (en)
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Futoshi Kawane
太 川根
Hiroshi Matsunaka
洋 松中
Shigeki Senda
茂樹 千田
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Idemitsu Kosan Co Ltd
Original Assignee
Idemitsu Kosan Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】化学合成殺菌剤の使用量が少なくても殺菌効果
が大きく、かつ耐性菌出現の抑制効果の大きい農園芸用
殺菌剤組成物の提供。貯蔵安定性に優れた農園芸用殺菌
剤組成物の提供。 【解決手段】ベノミル、カルベンダゾール、イプロジオ
ン、ビンクロゾリン、プロシミドン、ジエトフェンカル
ブ、トリホリン、トリアジメホン、ビテルタノール、ト
リフミゾール、フェナリモル、モレスタン、ジメチリモ
ールから選択される1種または2種以上の化学合成殺菌
剤、及びバチルス属に属する細菌の胞子を含有する農園
芸用殺菌剤組成物を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、農園芸用殺菌剤組
成物に関し、更に詳しくは、バチルス属に属する細菌の
胞子と特定の化学合成殺菌剤を含有する、病害防除作用
に優れ、かつ前記化学合成殺菌剤に対して耐性を有する
植物病原菌の出現抑制効果に優れた農園芸用殺菌剤組成
物に関する。
【0002】
【従来の技術】野菜類、花卉類、果樹等の植物の栽培に
おいて、灰色かび病、うどんこ病、菌核病等の病害防除
は重要な課題であり、各種の化学合成殺菌剤が開発され
ている。ところが、一方では、これらの化学合成殺菌剤
に対して耐性を有する植物病原菌(以下、耐性菌と記
す。)が出現し、化学合成殺菌剤の効果の低下、もしく
は全く防除効果が認められないといった現象が現出して
いる。このため、耐性菌の出現回避や耐性菌の防除対策
として、新規な化学合成殺菌剤の開発や複数種の合成殺
菌剤のローテーション散布といった対策がなされてい
る。しかしながら、これらの対策には、多大な開発費用
や時間・労力が必要であったり、防除手順が煩雑であっ
たりするなどの問題がある。また、近年、農薬による環
境汚染が重要な問題として取り上げられており、化学合
成殺菌剤の使用量の削減が望まれている。
【0003】近年、農園芸植物を各種病害から保護する
方法として、安全性や効果の持続性を考慮して、化学合
成殺菌剤ではなく、各種病害を引き起こす病原菌と拮抗
する微生物を用いて病害の発生を予防する方法が広く用
いられている。この様な農園芸植物の病害防除に用いる
微生物として、トリコデルマ属、グリオクラディウム
属、バチルス属に属する細菌等が挙げられる。
【0004】この中でバチルス属に属する細菌について
は、例えば、特開昭63−273470号公報では、バ
チルス ズブチリス(Bacillus subtilis )JB3株菌
(NCIB12375)、バチルス ズブチリスJB
3.6株菌(NCIB12376)、バチルス ズブチ
リスR1株菌(NCIB12616)あるいはこれらの
変異株等から得られる抗菌物質が植物の病気、動物及び
ヒトの微生物感染を抑制し、更に一般的な微生物汚染を
抑制するとし、上記各株菌の培養物を用いて各種農園芸
植物の病害を防除する試みがなされている。
【0005】上記の状況より、化学合成殺菌剤と拮抗微
生物との併用による病害防除が考えられる。しかし、化
学合成殺菌剤は拮抗微生物の生育に悪影響を与える場合
が多く、相乗的な殺菌効果を得るのは難しい。このよう
な状況下、特開平6−78753号公報や特表平6−5
11258号公報には、病原菌と拮抗する微生物と化学
殺菌剤成分を併用することにより、相乗殺菌効果を得よ
うとする技術が開示されている。
【0006】しかし、特開平6−78753号公報に
は、単に特定のトリコデルマ ハルジアナム菌株に適用
可能な化学殺菌剤成分を特定した生物抑制組成物が開示
されているに過ぎず、耐性菌の出現抑制効果に関する技
術の開示はない。また、トリコデルマ・ハルジアナム菌
に適用可能な化学殺菌剤の種類が少ないため、技術の適
用可能な範囲が狭いという欠点がある。更に、拮抗微生
物と化学殺菌剤を長期間共存させた場合の殺菌効果につ
いての開示がなく、殺菌剤組成物としての貯蔵安定性が
示されていない。
【0007】特表平6−511258号公報において
は、本発明と同様にバチルス属に属する細菌と化学合成
殺菌剤とからなる殺菌剤組成物が使用されているが、化
学合成殺菌剤に起因する耐性菌の出現の抑制に関する技
術の開示はない。また、該公報には殺菌剤組成物を長期
保存した場合の拮抗微生物の生存割合が開示されている
が、その割合は高いものではなく、貯蔵安定性は十分と
はいえない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記観点か
らなされたものであり、化学合成殺菌剤の使用量が少な
くても殺菌効果が大きく、かつ耐性菌出現の抑制効果の
大きい農園芸用殺菌剤組成物を提供することを目的とす
る。本発明はまた、貯蔵安定性に優れた農園芸用殺菌剤
組成物を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意研究を重ねた結果、バチルス属に
属する細菌の胞子と特定の化学合成殺菌剤との組み合わ
せにより、上記の課題が解決されることを見出した。本
発明は、かかる知見に基づいて完成させたものである。
【0010】すなわち、本発明の要旨は以下のとおりで
ある。 (1)ベノミル、カルベンダゾール、イプロジオン、ビ
ンクロゾリン、プロシミドン、ジエトフェンカルブ、ト
リホリン、トリアジメホン、ビテルタノール、トリフミ
ゾール、フェナリモル、モレスタン、ジメチリモールか
ら選択される1種または2種以上の化学合成殺菌剤、及
びバチルス属に属する細菌の胞子を含有することを特徴
とする農園芸用殺菌剤組成物。
【0011】(2)化学合成殺菌剤が、ベノミル、イプ
ロジオン、ジエトフェンカルブ、トリフミゾールから選
択される前記(1)記載の農園芸用殺菌剤組成物。
【0012】(3)バチルス属に属する細菌の胞子の含
有量が0.001〜99.9重量%である前記(1)又
は(2)記載の農園芸用殺菌剤組成物。
【0013】(4)バチルス属に属する細菌の胞子の含
有量が0.01〜30.0重量%である前記(3)記載
の農園芸用殺菌剤組成物。
【0014】(5)バチルス属に属する細菌が、バチル
ス ズブチリス(Bacillus subtilis)である前記(1)
〜(4)のいずれかに記載の農園芸用殺菌剤組成物。
【0015】(6)前記バチルス ズブチリスが、バチ
ルス ズブチリス NCIB12376株菌またはバチ
ルス ズブチリス NCIB12616株菌から選ばれ
る前記(5)記載の農園芸用殺菌剤組成物。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。 <1>バチルス属に属する細菌の胞子 本発明の農園芸用殺菌剤組成物は、バチルス属に属する
細菌の培養物より得られる胞子を有効成分として含有す
る。
【0017】本発明に用いるバチルス属に属する細菌と
しては、バチルス属に属する細菌であれば特に制限はさ
れないが、好ましくは植物病原菌と拮抗するバチルス属
に属する細菌が挙げられ、その内でもより好ましくはバ
チルス ズブチリス(Bacillus subtilis)が挙げられ、
更に、その内でもバチルス ズブチリス NCIB12
376株菌、バチルス ズブチリス NCIB1261
6株菌が好ましく挙げられる。
【0018】NCIB12376株菌及びNCIB12
616株菌は、スコットランド,AB98DG,アバー
ディーン(Aberdeen),アビーロード(Abbey Road)1
35,P.O.ボックス31のナショナル・コレクショ
ンズ・オブ・インダストリアル・アンド・マリン・バク
テリア社(National Collections of Industrial andMa
rine Bacteria Ltd.)(NCIB),トリー・リサーチ
・ステーション(Torry Research Station)に1986
年12月22日付(NCIB12376)、1987年
12月24日付(NCIB12616)で寄託されてお
り、これらの株の性質は、欧州特許出願公開第2761
32号公報に記載されている。
【0019】本発明に用いる胞子は、上記バチルス属に
属する細菌の培養物から得られる。バチルス属に属する
細菌の培養は、例えば、往復式振盪培養、ジャーファメ
ンター培養、培養タンク培養等の液体培養や固体培養
等、バチルス属に属する細菌の通常の培養方法に準じて
行うことができる。
【0020】培養に用いる培地は、胞子を効率よく形成
しやすい培地であればよく、炭素源としてグルコース、
デンプン、デキストリン、シュークロース、糖蜜等の糖
類、クエン酸、リンゴ酸等の有機酸類、グリセリン等の
アルコール類を、窒素源としてアンモニア、硫酸アンモ
ニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム等のアン
モニウム塩や硝酸塩及び酵母エキス、コーン・スティー
プ・リーカー、肉エキス、小麦胚芽、ポリペプトン、大
豆粉等の有機窒素源を、無機塩としてリン酸、カリウ
ム、カルシウム、マンガン、マグネシウム、鉄等の塩
類、例えば、塩化カリウム、塩化カルシウム、硫酸マン
ガン、硫酸第一鉄などを配合することができる。また、
必要に応じて消泡剤等の種々の添加剤を用いることも可
能である。
【0021】培養の条件は特に限定されるものではない
が、培養は、固体培養あるいは、通気攪拌や振盪培養等
の好気的条件下で行われる液体培養が好ましく、温度は
好ましくは10〜50℃、より好ましくは15〜40
℃、pHは好ましくは4〜9、より好ましくは6〜8の
範囲で行う。
【0022】上記のようにして得られたバチルス属に属
する細菌の培養物より胞子を分離する方法としては、膜
分離、遠心分離、濾過分離等の方法を用いて行うことが
できる。得られた胞子画分は、そのままある程度の水分
を含んだ状態で本発明の農園芸用殺菌剤組成物に用いる
ことも、また、必要に応じて凍結乾燥、スプレードライ
等の乾燥法を用いて乾燥物として本発明の農園芸用殺菌
剤組成物に用いることも可能である。
【0023】<2>化学合成殺菌剤 本発明においては、バチルス属に属する細菌の胞子との
併用で高度の殺菌効果が得られ、かつ耐性菌の出現が抑
制される特定の化学合成殺菌剤を用いる。それは、ベノ
ミル〔メチル−1−(ブチルカルバモイル)−2−ベン
ズイミダゾールカルバメート〕、カルベンダゾール〔2
−(メトキシカルボニルアミノ)ベンズイミダソー
ル〕、イプロジオン〔3−(3,5−ジクロロフェニ
ル)−N−フソプロピル−2,4−ジオキソイミダゾリ
ジン−1−カルボクサミド〕、ビンクロゾリン〔3−
(3,5−ジクロロフェニル)−5−エチル−5−メチ
ル−2,4−オキサゾリジンジオン〕、プロシミドン
〔N−(3’,5’−ジクロロフェニル)−1,2−ジ
メチルシクロプロパン−1,2−ジカルボキシイミ
ド〕、ジエトフェンカルブ〔イソプロピル−3,4−ジ
エトキシカルバニレート〕、トリホリン〔N,N’−
{1,4−ピペラジンジイルビス(2,2,2−トリク
ロロエチリデン}ビスホルムアミド〕、トリアジメホン
〔1−(4−クロロフェノキシ)−3,3−ジメチル−
1−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)−
2−ブタノン〕、ビテルタノール〔β−{(1,1’−
ビフェニル)−4−イルオキシ}−α−(1,1−ジメ
チルエチル)−1H−1,2,4−トリアゾール−1−
エタノール〕、トリフミゾール〔(E)−4−クロロ−
α,α,α−トリフルオロ−N−(1−イミダゾール−
1−イル−2−プロポキシエチリデン)−o−トルイジ
ン〕、フェナリモル〔α−(2−クロロフェニル)−α
−(4−クロロフェニル)−5−ピリミジンメタノー
ル〕、モレスタン〔6−メチルキノキサリン−2,3−
ジチオカーボネート〕、ジメチリモール〔5−ブチル−
2−ジメチルアミノ−6−メチル−4−(1H)−ピリ
ミジン〕である。なお、前記各化学合成殺菌剤の名称に
おいて、かっこ内の語は有効成分の化合物名である。
【0024】前記の化学合成殺菌剤において、ベノミル
及びカルベンダゾールは、共にベンズイミダゾール系殺
菌剤に分類されるものであって、類似する化学構造を有
するものである。また、イプロジオン、ビンクロゾリ
ン、プロシミドンは、共にジカルボキシイミド系殺菌剤
に分類されるものであって、類似する化学構造を有する
ものである。トリホリン、トリアジメホン、ビテルタノ
ール、トリフミゾール、フェナリモルは、共にエルゴス
テロール生合成阻害剤に分類されるものである。
【0025】本発明の構成成分である化学合成殺菌剤
は、これらの有効成分の1種以上を含有するものであれ
ばよい。また、化学合成殺菌剤の形態は特に限定され
ず、例えば、粉剤であっても水和剤であっても本発明の
農園芸用殺菌剤組成物に用いることができる。また、こ
れらの化学合成殺菌剤の2種以上を使用することもでき
る。
【0026】<3>農園芸用殺菌剤組成物 本発明の農園芸用殺菌剤組成物は、上記バチルス属に属
する細菌の胞子及び上記化学合成殺菌剤をそれぞれ1種
または2種以上含有するものである。
【0027】本発明の農園芸用殺菌剤組成物に、上記バ
チルス属に属する細菌の胞子を配合する際には、組成物
全量の0.001〜99.9重量%となるように配合す
ることが好ましく、0.01〜30.0重量%となるよ
うに配合することがより好ましい。胞子含有量が0.0
01重量%未満であると、病害防除効果や耐性菌の出現
抑制効果が十分でないことがあり、99.9重量%を越
えると化学合成殺菌剤の配合効果が不十分となり、病害
防除効果が不十分となることがある。
【0028】本発明の農園芸用殺菌剤組成物は、通常の
微生物製剤の製造方法に従って、上記バチルス属に属す
る細菌の胞子及び上記化学合成殺菌剤を必要に応じて各
種任意成分と共に、粉剤、粒剤、水和剤、乳剤、液剤、
フロアブル剤、塗布剤等に製剤化して使用するのが利便
性等の面より好ましい。
【0029】上記任意成分としては、固体担体として、
カオリンクレー、パイロフェライトクレー、ベントナイ
ト、モンモリロナイト、珪藻土、合成含水酸化ケイ素、
酸性白土、タルク類、粘土、セラミック、石英、セリサ
イト、バーミキュライト、パーライト、大谷石、アンス
ラ石、石灰石、石炭灰、ゼオライト等の鉱物質微粉末、
籾殻、フスマ、カニ殻、エビ殻、オキアミ微粉末、米
糠、小麦粉、トウモロコシ穂軸、落花生殻、骨粉、魚
粉、粕粉、鋸屑、木粉、炭、くん炭、バーク炭、籾殻く
ん炭、草木炭、ピートモス、アタパルジャイト、乾燥畜
糞、活性炭、油粕等の有機物微粉末等を挙げることがで
きる。また、液体担体としては、水、植物油、液体動物
油、合成水溶性高分子(ポリビニルアルコール、ポリビ
ニルピロリドン、ポリアクリル酸類等)等が挙げられ
る。更に、必要に応じて補助剤として、デンプンの加水
分解物、D−ソルビトール、ラクトース、マルチトース
等の可溶性増量剤、カゼイン、ゼラチン、アラビアゴ
ム、アルギン酸、合成高分子(ポリビニルアルール、ポ
リアクリル酸類等)、ベントナイト等の固着剤や分散
剤、その他成分として、プロピレングリコール、エチレ
ングリコール等の凍結防止剤、キサンタンガム等の天然
多糖類、ポリアクリル酸類等の増粘剤を挙げることがで
きる。
【0030】このようにして得られる本発明の農園芸用
殺菌剤組成物は、製剤の態様によらず長期間の保存が可
能で、例えば、水和剤として48月間室温にて保存した
後にも、化学合成殺菌剤無添加のものと同等の防除価が
得られる。
【0031】本発明の農園芸用殺菌剤組成物が適用され
る植物の病原菌としては、病原菌がかび類に属するも
の、例えば、イネの紋枯病菌リゾクトニア ソラニ(Rh
izoctonia solani)、いもち病菌ピリキュラリア オリ
ゼー(Pyricularia oryzae)、オオムギのうどんこ病菌
エリシフェ グラミニス(Erysiphe graminis)、コムギ
の立枯病菌ゲウマノイセス グラミニス(Gaeumannomyc
es graminis)、エンドウの褐斑病菌アスコキタ ピシ
(Ascochita pisi)、ソラマメの赤色斑点病菌ボトリチ
ス ファバエ(Botrytis fabae)、
【0032】野菜類、例えば、トマト、ナス、イチゴ、
キュウリ、レタス、インゲン等の灰色かび病菌ボトリチ
ス シネレア(Botrytis cinerea)、キャベツの黒すす
病菌アルタナリア ブラッシコーラ(Alternaria brass
icicola)、トマトの葉かび病菌クラドスポリウム フラ
バム(Cladosporium fulvum)、疫病菌フィトフトライン
フェスタンス(Phytophthora infestans) 、萎ちょう病
菌フザリウム オキスポラム(Fusarium oxysporum)、
キュウリのうどんこ病菌スフェロテカ フリジネア(Sp
haerotheca fuliginea)、べと病菌シュードペロノスポ
ラ キュベンシス(Pseudoperonospora cubensis)、立
枯病菌ピシウム sp(Pythium sp.)、ネギのさび病菌
プシニア アリー(Puccinia allii)、小菌核病菌スク
レロチニア アリー(Sclerotinia allii)、ハクサイの
黒斑病菌アルタナリア ブラッシセア(Alternaria bra
ssicae)、ニンジンの黒葉枯病菌アルタナリア ダウシ
(Alternaria dauci)、ホウレンソウの立枯病菌リゾク
トニア ソラニ(Rhizoctonia solani)、レタスの菌核
病菌スクレロチニア スクレロチオラム(Sclerotinia
sclerotiorum)、ナスの半身萎ちょう病菌バーティシリ
ウム ダリア(Verticillium dahliae)、イチゴのうど
んこ病菌スファエロテカ フムリ(Sphaerotheca humul
i)、炭そ病菌コレトトリカム フラガリア(Colletotri
chum fragariae)、
【0033】花卉類、例えば、シクラメン、キク、バ
ラ、スターチス等の灰色かび病菌ボトリチス シネレア
(Botrytis cinerea)、バラのうどんこ病菌スファエロ
テカパノッサ(Sphaerotheca pannosa)、キクの白さび
病菌プッシニア ホリアナ(Puccinia horiana)、果樹
の白紋羽病菌ロセリニア ネカトリックス(Rosellinia
necatrix)、カンキツ類の青かび病菌ペニシリウム イ
タリカム(Penicillium italicum)、黒点病菌ディアポ
ルセ シトリ(Diaporthe citri)、ナシの赤星病菌ジム
ノスポランジウム アシアチカム(Gymnosporangium as
iaticum)、リンゴの黒星病菌ベンツリア イネクリアリ
ス(Venturia inaequalis)、モモの灰星病菌モニリニア
フルクチコーラ(Monilinia fructicola)、
【0034】芝生のラージパッチ病菌リゾクトニア ソ
ラニ(Rhizoctonia solani)、葉枯病菌カーブラリア
sp(Curvularia sp)、ヘルミントスポリウム sp
(Helminthosporium sp)、さび病菌プッシニア ゾイシ
ア(Puccinia zoysiae)、ダラースポット病菌スクレロ
チニア ホメオカルパ(Sclerotinia homoeocarpa)、春
はげ病菌フザリウム(Fusarium)、リゾクトニア(Rhiz
octonia)、ピシウム(Pythium)、雪腐病菌ティフラ イ
ンカルタナ(Typhula incarnata)、ブラウンパッチ病菌
リゾクトニア ソラニ(Rhizoctonia solqni)を挙げる
ことができる。
【0035】<4>本発明の農園芸用殺菌剤組成物の施
用方法 本発明の農園芸用殺菌剤組成物は、上記の様な各種栽培
植物の各種病害を防除する目的で栽培植物に施用される
が、その方法は、剤型等の使用形態、作物や病害によっ
て適宜選択され、例えば、地上液剤散布、地上固形散
布、空中液剤散布、空中固形散布、液面施用、施設内施
用、土壌混和施用、土壌灌注施用、表面処理(種子粉
衣、塗布処理等)、育苗箱施用、単花処理、株元処理等
の方法を挙げることができる。また、これらの施用法内
で好ましくは、栽培植物の花に単花処理する、栽培植物
の茎葉に処理する、栽培植物の傷口箇所、剪定部に塗布
処理する等の地上部病害への施用が挙げられる。
【0036】また、栽培植物への農園芸用殺菌剤組成物
の施用に際して、殺虫剤、殺線虫剤、殺ダニ剤、除草
剤、植物生長調節剤、肥料、土壌改良資材(泥炭、腐植
酸資材、ポリビニルアルコール系資材等)等を混合施
用、あるいは混合せずに交互施用、または同時施用する
ことも可能である。
【0037】本発明の農園芸用殺菌剤組成物の施用量
は、病害の種類、適用植物の種類、殺菌剤組成物の剤型
等によって異なるため一概には規定できないが、例え
ば、液剤の農園芸用殺菌剤組成物を地上散布する場合に
は、その施用の胞子濃度は、通常液剤の農園芸用殺菌剤
組成物1ミリリットル当たり約1×106 〜1×1010
CFU(コロニー形成単位)であり、好ましくは約1×
107 〜1×109 CFUである。また、施用量は、1
0アール当たり液剤の農園芸用殺菌剤組成物を0.5〜
300リットル施用するのが好ましい。更に、本発明の
農園芸用殺菌剤組成物を粒剤、粉剤等の固体で使用する
場合には、なんら希釈することなく製剤のままで施用す
ることも可能であり、地上散布する場合、胞子の施用量
が、1012〜1014CFU/アール程度となるように散
布することが好ましい。
【0038】
【実施例】以下に本発明の実施例を説明する。まず、本
発明の農園芸用殺菌剤組成物に配合するバチルス属に属
する細菌の胞子の製造例について説明する。
【0039】〔製造例1〕 (湿菌体(胞子画分)の製
造) バチルス ズブチリス NCIB12376株の保存菌
の斜面培養物の一白金耳をフラスコ当たり100ミリリ
ットルのブイヨン培地(肉エキス1%、ペプトン1%、
塩化ナトリウム0.5%)の入った坂口フラスコ(50
0ミリリットル容)に植菌後、振幅10cm、回転数12
0rpmの往復振盪機を用いて30℃で1日間培養し
た。得られた培養物300ミリリットルを培地(グルコ
ース2%、ポリペプトン1%、酵母エキス0.2%、K
2 PO4 0.1%)15リットルの入った30リット
ル容の発酵槽に植菌し、好気条件下30℃で72時間培
養して培養液を得た。得られた約15リットルの培養液
を常法に従って遠心分離(6000rpm、20分間)
して培養上清と菌体沈殿物に分離した。培養上清を除去
後、菌体沈殿物を水で洗浄し、湿重量約780gの湿菌
体(胞子画分)を得た(製造例1)。この胞子画分は、
バチルス ズブチリス NCIB12376株の胞子を
乾燥重量で100重量%含有するものである。
【0040】〔製造例2〕 (湿菌体(胞子画分)の製
造) 上記でバチルス ズブチリス NCIB12376株を
用いる替わりに、バチルス ズブチリス NCIB12
616株を用いて同様の操作を行い、バチルスズブチリ
ス NCIB12616株の胞子を乾燥重量で50重量
%含有する湿重量約750gの胞子画分を得た。
【0041】〔製造例3および4〕 (粉末胞子の製
造) 上記製造例1によって得られたバチルス ズブチリス
NCIB12376株の胞子画分約600gを水3リッ
トルに懸濁後、スプレードライヤー(ニロジャパン社
製)にて1.5〜2リットル/時間の速度で処理した
(入口温度150℃、出口温度100℃)。スプレード
ライヤーによって得られた乾燥物を粉砕することによ
り、乾燥重量約78gの粉末胞子を得た(製造例3)。
【0042】同様にして、製造例2で得られた胞子画分
約600gより約78gのバチルスズブチリス NCI
B12616株の粉末胞子を得た(製造例4)。
【0043】〔実施例1〜3及び比較例1〜2〕(水和
剤) 製造例1の方法により製造した湿菌体(胞子画分)の
他、第1表に示す成分をよく混和して、本発明の農園芸
用殺菌剤組成物に該当する水和剤を得た。ただし、比較
例1〜3おいては、バチルス属に属する細菌の胞子が配
合されないため、本発明の農園芸用殺菌剤組成物に該当
しない。実施例1〜3および比較例1、2では、化学合
成殺菌剤ベノミルとして、デュポン社製の商品名ベンレ
ートを用いた。また、第1表において、ソルポール50
50およびルノックス1000Cは共に東邦化学(株)
製の界面活性剤である。
【0044】
【表1】
【0045】〔実施例4〜6及び比較例3〜4〕(水和
剤) 製造例3の方法により製造した粉末胞子の他、第2表に
示す成分をよく混和して、本発明の農園芸用殺菌剤組成
物に該当する水和剤を得た。ただし、比較例4〜6おい
ては、バチルス属に属する細菌の胞子が配合されないた
め、本発明の農園芸用殺菌剤組成物に該当しない。実施
例4〜6および比較例4、5では、化学合成殺菌剤イプ
ロジオンとして、日産化学株式会社製の、商品名ロブラ
ールを用いた。
【0046】
【表2】
【0047】〔実施例7〜9及び比較例5〜6〕(水和
剤) 製造例3の方法により製造した粉末胞子の他、第3表に
示す成分をよく混和して、本発明の農園芸用殺菌剤組成
物に該当する水和剤を得た。ただし、比較例7〜9おい
ては、バチルス属に属する細菌の胞子が配合されないた
め、本発明の農園芸用殺菌剤組成物に該当しない。実施
例7〜9および比較例7、8では、化学合成殺菌剤トリ
フミゾールとして、日本曹達株式会社製の、商品名トリ
フミン水和剤を用いた。また、第3表において、ソルポ
ール5072は東邦化学(株)製の界面活性剤である。
【0048】
【表3】
【0049】〔実施例10〜12及び比較例7〜8〕
(水和剤) 製造例4の方法により製造した粉末胞子の他、第4表に
示す成分をよく混和して、本発明の農園芸用殺菌剤組成
物に該当する水和剤を得た。ただし、比較例10〜12
においては、バチルス属に属する細菌の胞子が配合され
ないため、本発明の農園芸用殺菌剤組成物に該当しな
い。実施例10〜12および比較例10、11では、化
学合成殺菌剤ジエトフェンカルブとして、住友化学株式
会社製の商品名ゲッターを用いた。また、第4表におい
て、ソルポール5039は東邦化学(株)製の界面活性
剤である。
【0050】
【表4】
【0051】<農園芸用殺菌剤組成物の評価方法> (1)病害防除効果の評価 植物病害の防除効果は、下式で表される発病果率、発病
葉率または後記する発病率により評価した。
【0052】
【数1】
【0053】
【数2】
【0054】(2)耐性菌出現頻度の評価 灰色かび病菌および菌核病菌の評価 発病部位より、病斑部を任意の大きさに摘出し、70%
エタノール中で10秒間殺菌した。その後、病斑部を抗
生物質(商品名:クロラムフェニコール シグマ社製)
を50ppm含有する寒天培地(ポテトデキストロー
ス)上で18℃で3日間静置した。その後、生育した菌
糸の先端を直径4mmのコルクボーラーで寒天培地ごと
打ち抜き、打ち抜いた寒天片を用いて、後記寒天希釈法
により、耐性菌の出現率を評価した。
【0055】上記寒天希釈法とは以下の方法である。ま
ず、PSA培地を融解し、評価する化学合成殺菌剤(供
試薬剤)、すなわち、ベノミル、ロブラール、ジエトフ
ェンカルブが、400,200,100,50,25,
12.5,6.25,3.13,1.56,0.78,
0.39,0.2,0.1ppmの濃度となるようにP
SA培地に加え、9cmシャーレに約10ミリリットル
注入して検定用の寒天培地を作成する。この寒天培地上
に上記の寒天片をのせ、20℃で2〜3日間培養した後
に菌そうの直径を測定し、化学合成殺菌剤無添加のPS
A培地を無処理区として、下式により求めた菌そう生育
抑制率が70%以下の場合を耐性ありとした。そして、
耐性ありとした場合における、化学合成殺菌剤の濃度の
最も薄いものを、各供試薬剤に対する病原菌株の最小生
育阻止濃度(MIC)として求めた。本発明において
は、MICが12.5ppm以上のものを耐性菌とし
た。
【0056】
【数3】
【0057】うどんこ病菌の評価 予め、キュウリ(光3号)をクレハ園芸培土を満たした
バット(深さ5cm)に播種し、子葉を展開させる。子
葉が展開したら1株ずつポット(半径4cm)に移植す
る。その後、播種2週間後の子葉に、予め調製した各種
濃度のトリフミゾール試験液(400,200,10
0,50,25,12.5,6.2,3.1,1.5,
0.75ppm)を噴霧し、2日間暗黒かつ湿度100
%条件下で静置して、子葉に試験液をしみ込ませる。そ
の後、後記試験例7〜9および比較試験例7〜9におけ
るバラ葉の罹病部分より、うどんこ病菌胞子を上記試験
子葉上に落下させて、うどんこ病菌胞子を接種する。次
いで、うどんこ病菌胞子を接種したキュウリ1株毎に厚
さ5mmのプラスチック製円筒状ケース(半径3.5c
m、高さ10cm)を被せ、ケース上部を2重ガーゼで
蓋をする。そして、接種7日後より毎日観察し、キュウ
リ子葉における、うどんこ病感染の有無を検査し、MI
Cが12.5ppm以上のものを耐性菌と判定した。
【0058】<本発明の農園芸用殺菌剤組成物の評価>
上記各実施例で得られた農園芸用殺菌剤組成物の植物病
害防除効果および耐性菌出現抑制効果を比較例の製剤と
ともに、トマト、キュウリ、バラそしてシクラメンを用
いて評価した。
【0059】(1)トマトの灰色かび病防除試験 トマトの灰色かび病害に対する防除効果を、毎年耐性菌
が出現する大型ガラス温室を用いて試験(品種:ハウス
桃太郎、播種後42日目に定植、試験区:50m2
区、3反復)した。発病は、自然発病とした。
【0060】トマトを播種後、実施例1〜3で得られた
水和剤を10アール当たり250リットルの割合で、7
日間隔で合計9回、株全体に噴霧処理(茎葉処理)し
た。発病の調査は、1回目、3回目、6回目の水和剤散
布直前および9回目散布の7日後に、親指大以上の大き
さの果実を対象に行った。1回の調査で1区当たり10
0果(1反復当たり約30果)を任意に抽出し、果実の
へた部分および果実表面での発病の有無より、発病果率
を算出した。また、発病部位より、病班部を任意の大き
さに摘出(へたあるいは果実表面)し、耐性菌検定を行
い、耐性菌率を求めた。なお、調査後の果実は除去し
た。結果を第5表及び第6表に示す。
【0061】比較のため、上記実施例1〜3で得られた
水和剤に代えて比較例1,2の水和剤を10アール当た
り250リットルの割合で上記と同様にして用いて、ま
た比較試験例3では水和剤を用いずにトマトの栽培を行
い、発病果率および耐性菌率を求めた。結果を第5表及
び第6表に示す。
【0062】
【表5】
【0063】
【表6】
【0064】第5表及び第6表より、本発明の農園芸用
殺菌剤組成物を用いると、発病果率が大きく低下すると
ともに、耐性菌率の低いことが分かる。特に、耐性菌率
が、化学合成殺菌剤を用いない比較試験例3より低いこ
とから、本発明の農園芸用殺菌剤組成物は、耐性菌発生
の抑制効果を有することが分かる。
【0065】(2)キュウリの菌核病防除試験 キュウリの菌核病に対する防除効果を、毎年耐性菌が出
現するガラス温室内において試験(品種:トップグリー
ン、播種後39日目に定植、試験区:約25m 2/区、
3反復)した。発病は、自然発病とした。
【0066】キュウリを播種後、実施例4〜6で得られ
た水和剤を10アール当たり330リットルの割合で、
7日間隔で合計9回、株全体に噴霧処理(茎葉処理)し
た。発病の調査は、1回目、3回目、6回目の水和剤散
布直前および9回目散布の7日後に、全果実を対象に行
った。1回の調査で1区当たり50果(1反復当たり1
6〜17果)を任意に抽出し、果実部分での発病の有無
より、発病果率を算出した。また、発病部位より、病班
部を任意の大きさに摘出し、耐性菌検定を行い、耐性菌
率を求めた。なお、調査後の果実は除去した。結果を第
7表及び第8表に示す。
【0067】比較のため、上記実施例4〜6で得られた
水和剤に代えて比較例3,4の水和剤を10アール当た
り330リットルの割合で上記と同様にして用いて、ま
た比較試験例6では水和剤を用いずにキュウリの栽培を
行い、発病果率および耐性菌率を求めた。結果を第7表
及び第8表に示す。
【0068】
【表7】
【0069】
【表8】
【0070】第7表及び第8表より、本発明の農園芸用
殺菌剤組成物を用いると、発病果率が大きく低下すると
ともに、耐性菌率の低いことが分かる。特に、耐性菌率
が、化学合成殺菌剤を用いない比較試験例6より低いこ
とから、本発明の農園芸用殺菌剤組成物は、耐性菌発生
の抑制効果を有することが分かる。
【0071】(3)バラのうどんこ病防除試験 バラのうどんこ病に対する防除効果を、毎年耐性菌が出
現するビニール温室内において試験(品種:ローテロー
ゼ2年生樹、試験区:約25m2/区、3反復)した。
発病は、各樹木の間にうどんこ病に感染したバラ葉を、
20樹に2〜3枚の割合で静置し、接種源とした。
【0072】うどんこ病に感染したバラ葉を静置後、実
施例7〜9で得られた水和剤を10アール当たり330
リットルの割合で、7日間隔で合計9回、株全体に噴霧
処理(茎葉処理)した。発病の調査は、1回目、3回
目、6回目の水和剤散布直前および9回目散布の7日後
に、蕾のついている枝の小葉を対象に行った。1回の調
査で1区当たり100葉(1反復当たり30〜35葉)
を任意に抽出し、肉眼観察により発病葉の割合を求め、
発病葉率を算出した。また、発病部位を任意の大きさに
摘出し、耐性菌検定を行い、耐性菌率を求めた。なお、
調査後の小葉は除去した。結果を第9表及び第10表に
示す。
【0073】比較のため、上記実施例7〜9で得られた
水和剤に代えて比較例5,6の水和剤を10アール当た
り330リットルの割合で上記と同様にして用いて、ま
た比較試験例9では水和剤を用いずにバラの栽培を行
い、発病果率および耐性菌率を求めた。結果を第9表及
び第10表に示す。
【0074】
【表9】
【0075】
【表10】
【0076】第9表及び第10表より、本発明の農園芸
用殺菌剤組成物を用いると、発病果率が大きく低下する
とともに、耐性菌率の低いことが分かる。特に、耐性菌
率が、化学合成殺菌剤を用いない比較試験例9より低い
ことから、本発明の農園芸用殺菌剤組成物は、耐性菌発
生の抑制効果を有することが分かる。
【0077】(4)シクラメンの灰色かび病防除試験 シクラメンの灰色かび病に対する防除効果を、毎年耐性
菌が出現する大型ガラス温室内において試験(品種:パ
ステル系シューベルト、播種後79日目に鉢上げ、その
後107日目に鉢替え、頭上灌水、試験区:約70m2
/区、3反復)した。発病は、自然発病とした播種後、
実施例10〜12で得られた水和剤を10アール当たり
250リットルの割合で、7日間隔で合計9回、株全体
に噴霧処理(茎葉処理)した。発病の調査は、1回目、
3回目、6回目の水和剤散布直前および9回目散布の7
日後に、シクラメンの茎部を対象に行った。
【0078】1回の調査で1区当たり20鉢を任意に抽
出し、茎部での発病率を下式により求めた。また、発病
茎を用いて耐性菌検定を行い、耐性菌率を求めた。な
お、調査後のシクラメン鉢は除去した。
【0079】
【数4】
【0080】〔発病度基準:発病なしの場合は発病度
0。全体の1/3以下の茎で発病した場合は発病度1。
全体の1/3以上、2/3以下の茎で発病した場合は発
病度2。全体の2/3以上の茎で発病した場合は発病度
3〕
【0081】比較のため、上記実施例10〜12で得ら
れた水和剤に代えて比較例7,8の水和剤を10アール
当たり250リットルの割合で上記と同様にして用い
て、また比較試験例12では水和剤を用いずにシクラメ
ンの栽培を行い、発病率および耐性菌率を求めた。結果
を第11表及び第12表に示す。
【0082】
【表11】
【0083】
【表12】
【0084】第11表及び第12表より、本発明の農園
芸用殺菌剤組成物を用いると、発病果率が大きく低下す
るとともに、耐性菌率の低いことが分かる。特に、耐性
菌率が、化学合成殺菌剤を用いない比較試験例12より
低いことから、本発明の農園芸用殺菌剤組成物は、耐性
菌発生の抑制効果を有することが分かる。
【0085】(5)農園芸用殺菌剤組成物中の拮抗微生
物の保存安定性試験 本発明の農園芸用殺菌剤組成物中の拮抗微生物の保存安
定性を、キュウリの灰色かび病を対象に試験した。農園
芸用殺菌剤組成物としては、実施例1および2の水和剤
を用いた。水和剤は室温にて貯蔵し、試験に供した。
【0086】クレハ園芸培土を詰めたプラスチックポッ
ト(直径6cm)にキュウリ(品種:光3号P型)を播種
し、温室内で12日間育成した。子葉が展開したキュウ
リの幼葉に、所定の月数貯蔵した実施例1または2の水
和剤を、葉面に十分付着するように噴霧処理した。処理
後、葉面を風乾し、明(25℃、12時間)、暗(18
℃、12時間)条件下で1日置いた。キュウリの子葉を
胚軸より切断し、子葉中央に灰色かび病胞子を含んだ寒
天プラグ(直径6mm)を接種した。接種後、18℃、暗
黒、多湿条件に3日間置いたのち、発病斑径を測定し
た。
【0087】また、上記水和剤による処理を行わなかっ
たキュウリ子葉についても同様の試験を行い発病斑径を
測定し、これをコントロールとして、下式により試験例
の防除価を算出した。また、比較試験例として、実施例
1の水和剤において化学合成殺菌剤を含有しない水和剤
を施用したときの防除価を算出した。結果を第13表に
示す。
【0088】
【数5】
【0089】
【表13】
【0090】第13表より、本発明の農園芸用殺菌剤組
成物は、比較試験例である化学合成殺菌剤を含有しない
水和剤と、48ケ月保存後にも同等の防除価を示したこ
とから、保存安定性に優れることが分かる。
【0091】
【発明の効果】本発明の農園芸用殺菌剤組成物は、バチ
ルス属に属する細菌の胞子および特定の化学合成殺菌剤
を含有することで病害防除作用に優れ、かつ耐性菌の出
現抑制効果に優れる。本発明の農園芸用殺菌剤組成物は
また、長期保存が可能で保存後にも高い防除価を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI (A01N 63/00 47:20)

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ベノミル、カルベンダゾール、イプロジ
    オン、ビンクロゾリン、プロシミドン、ジエトフェンカ
    ルブ、トリホリン、トリアジメホン、ビテルタノール、
    トリフミゾール、フェナリモル、モレスタン、ジメチリ
    モールから選択される1種または2種以上の化学合成殺
    菌剤、及びバチルス属に属する細菌の胞子を含有するこ
    とを特徴とする農園芸用殺菌剤組成物。
  2. 【請求項2】 化学合成殺菌剤が、ベノミル、イプロジ
    オン、ジエトフェンカルブ、トリフミゾールから選択さ
    れる請求項1記載の農園芸用殺菌剤組成物。
  3. 【請求項3】 バチルス属に属する細菌の胞子の含有量
    が0.001〜99.9重量%である請求項1又は2記
    載の農園芸用殺菌剤組成物。
  4. 【請求項4】 バチルス属に属する細菌の胞子の含有量
    が0.01〜30.0重量%である請求項3記載の農園
    芸用殺菌剤組成物。
  5. 【請求項5】 バチルス属に属する細菌が、バチルス
    ズブチリス(Bacillus subtilis)である請求項1〜4の
    いずれかに記載の農園芸用殺菌剤組成物。
  6. 【請求項6】 前記バチルス ズブチリスが、バチルス
    ズブチリス NCIB12376株菌またはバチルス
    ズブチリス NCIB12616株菌から選ばれる請
    求項5記載の農園芸用殺菌剤組成物。
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