JP3554592B2 - バチルス属胞子画分及びその胞子画分を利用する植物病害防除法 - Google Patents

バチルス属胞子画分及びその胞子画分を利用する植物病害防除法 Download PDF

Info

Publication number
JP3554592B2
JP3554592B2 JP31666894A JP31666894A JP3554592B2 JP 3554592 B2 JP3554592 B2 JP 3554592B2 JP 31666894 A JP31666894 A JP 31666894A JP 31666894 A JP31666894 A JP 31666894A JP 3554592 B2 JP3554592 B2 JP 3554592B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
agricultural
spore
fraction
disease
test
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP31666894A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH08175919A (ja
Inventor
真司 鎌田
太 川根
正己 望月
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Idemitsu Kosan Co Ltd
Original Assignee
Idemitsu Kosan Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Idemitsu Kosan Co Ltd filed Critical Idemitsu Kosan Co Ltd
Priority to JP31666894A priority Critical patent/JP3554592B2/ja
Publication of JPH08175919A publication Critical patent/JPH08175919A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3554592B2 publication Critical patent/JP3554592B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、胞子画分及びこれを含有する農園芸用殺菌剤組成物並びにこの農園芸用殺菌剤組成物を用いた植物病害防除法に関し、詳しくは、バチルス属に属する細菌の胞子画分及びこれを含有する病害防除作用に優れた農園芸用殺菌剤組成物及びこれを用いた効果的な植物病害防除法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、農園芸植物を各種病害から保護する方法として、安全性、効果の持続性を考慮して、各種病害を引き起こす病原菌と拮抗する微生物を用いて病害の発生を予防する方法が広く用いられている。
【0003】
この様に農園芸植物の病害を防除するのに用いられてきた微生物として、トリコデルマ属、グリオクラディウム属、バチルス属に属する細菌等が挙げられ、これまでに、これらの微生物を含有する農園芸用殺菌剤組成物も数多く研究開発されている。
【0004】
この中でバチルス属に属する細菌については、例えば、特開昭63−273470号公報では、バチルス ズブチリス(Bacillus subtilis)JB3株菌(NCIB12375)、バチルス ズブチリスJB3.6株菌(NCIB12376)、バチルス ズブチリスR1株菌(NCIB12616)あるいはこれらの変異株等から得られる抗菌物質が植物の病気、動物及びヒトの微生物感染を抑制し、更に一般的な微生物汚染を抑制するとし、上記各菌株の培養物を用いて各種農園芸植物の病害を防除する試みがなされている。
【0005】
また、特開平2−22299号公報には、上記バチルス ズブチリス(Bacillus subtilis)JB3株菌(NCIB12375)、バチルス ズブチリスJB3.6株菌(NCIB12376)、バチルス ズブチリスR1株菌(NCIB12616)あるいはこれらの変異株等から誘導される抗生物質を単離し、これを各種農園芸植物の病害防除に用いるという試みがなされている。
【0006】
しかし、この様なバチルス属に属する細菌を応用した農園芸植物の病害防除方法では何れも、持続性、定着性、安定性等の点が必ずしも十分であるとは言えなかった。
【0007】
また、この様なバチルス属に属する細菌が胞子を形成することは知られており、培養物などから胞子を単離することもよく行われているが、胞子をある量以上に含有する胞子画分が大量に調製され、使用された例はこれまでに報告されていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記観点からなされたものであり、バチルス属に属する細菌の胞子画分及びこれを含有する病害防除作用に優れ、更に、定着性、持続安定性のよい農園芸用殺菌剤組成物及びこれを用いた効果的な植物病害防除法を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、バチルス属に属する細菌の培養物から一定量以上の胞子を含有するように胞子画分を取り出し、これを有効成分として農園芸用殺菌剤組成物に配合することにより、病害防除作用に優れ、更に、定着性、持続安定性がよい農園芸用殺菌剤組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち本発明は、バチルス属に属する細菌の培養物から胞子を50重量%以上含むように調製された胞子画分及びこれを含有する農園芸用殺菌剤組成物並びに、この農園芸用殺菌剤組成物を用いた農園芸植物の病害防除方法である。
【0011】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0012】
<1>バチルス属に属する細菌の胞子画分
本発明の胞子画分は、バチルス属に属する細菌を培養して得られる培養物から胞子を50重量%以上含むようにして調製された胞子画分である。
【0013】
本発明に用いるバチルス属に属する細菌としては、バチルス属に属する細菌であれば特に制限はされないが、好ましくは植物病原菌と拮抗するバチルス属に属する細菌が挙げられ、その内でもより好ましくはバチルス ズブチリス(Bacillus subtilis)が挙げられ、更に、その内でもバチルス ズブチリス FERM P−14647株菌、バチルス ズブチリス FERM P−14646株菌が好ましく挙げられる。
【0014】
バチルス ズブチリス FERM P−14647株菌及びバチルス ズブチリス FERM P−14646株菌は、工業技術院生命工学工業技術研究所(FERM)に1994年11月17日付で寄託されている。また、バチルス ズブチリス FERM P−14647株菌はNCIB12376株菌として、バチルスズブチリス FERM P−14646株菌はNCIB12616株菌として、スコットランド,AB98DG,アバーディーン(Aberdeen),アビーロード(Abbey Road)135,P.O.ボックス31のナショナル・コレクションズ・オブ・インダストリアル・アンド・マリン・バクテリア社(National Collectionsof Industrial and Marine Bacteria Ltd.)(NCIB),トリー・リサーチ・ステーション(Torry Research Station)に1986年12月22日付(NCIB12376)、1987年12月24日付(NCIB12616)で寄託されており、これらの株の性質は、欧州特許出願公開第276132号公報に記載されている。
【0015】
本発明の胞子画分は、上記バチルス属に属する細菌の培養物から得られるが、バチルス属に属する細菌の培養は、例えば、往復式振盪培養、ジャーファメンター培養、培養タンク培養等の液体培養や固体培養等、バチルス属に属する細菌の通常の培養方法に準じて行うことができる。
【0016】
培養に用いる培地は、胞子を効率よく形成しやすい培地であれば何でもよく、炭素源としてグルコース、デンプン、デキストリン、シュークロース、糖蜜等の糖類、クエン酸、リンゴ酸等の有機酸類、グリセリン等のアルコール類を、窒素源としてアンモニア、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム等のアンモニウム塩や硝酸塩及び酵母エキス、コーン・スティープ・リーカー、肉エキス、小麦胚芽、ポリペプトン、大豆粉等の有機窒素源を、無機塩としてリン酸、カリウム、カルシウム、マンガン、マグネシウム、鉄等の塩類、例えば、塩化カリウム、塩化カルシウム、硫酸マンガン、硫酸第一鉄などを配合することができる。また、必要に応じて消泡剤等の種々の添加剤を用いることも可能である。
【0017】
培養の条件は特に限定されるものではないが、培養は、固体培養あるいは、液体培養では通気撹拌や振盪培養等の好気的条件下で行うことが好ましく、温度は好ましくは10〜50℃、より好ましくは15〜40℃、pHは好ましくは4〜9、より好ましくは6〜8の範囲で行う。
【0018】
上記の様にして得られたバチルス属に属する培養物より胞子を50重量%以上含有する胞子画分を分離する方法であるが、膜分離、遠心分離、濾過分離等の方法を用いて行うことができる。得られた胞子画分は、そのままある程度の水分を含んだ状態で後述の農園芸用殺菌剤組成物に用いることも、また、必要に応じて凍結乾燥、通風乾燥、スプレードライ等の乾燥法を用いて乾燥物として農園芸用殺菌剤組成物に用いることも可能である。
【0019】
本発明の胞子画分の製造方法を、例えば、バチルス ズブチルス FERM P−14647株菌を用いた場合について説明する。バチルス ズブチリス FERM P−14647株菌の斜面培養物をブイヨン培地(肉エキス1%、ペプトン1%、NaCl0.5%含有)を入れた坂口フラスコに植菌後、回転振盪機で30℃で1日間培養する。得られた培養物を培地(グルコース2%、ポリペプトン1%、酵母エキス0.2%、KHPO0.1%)を入れた発酵槽に植菌して好気的条件下で30℃で72時間培養して培養液を得る。この培養液を遠心分離して培養上清と菌体沈殿物に分離し、培養上清を除去後、菌体沈殿物を水で洗浄し、湿菌体(胞子画分)を得る。また、この胞子画分(湿菌体)を−80℃で凍結後、減圧下で乾燥して粉砕すれば胞子画分の乾燥物とすることができる。この様にして得られるバチルス ズブチリス FERM P−14647株菌培養物の胞子画分は、前記菌株の胞子を乾燥重量で約50重量%〜100重量%含有するものである。
【0020】
<2>農園芸用殺菌剤組成物
本発明の農園芸用殺菌剤組成物に、上記バチルス属に属する細菌の胞子画分を配合する際には、含有胞子重量が組成物全量の0.0001〜100%となるように配合することが好ましい。また、本発明の農園芸殺菌剤組成物に含有される胞子画分は、水分含量が0.1〜80重量%の範囲であることが好ましい。
【0021】
本発明の農園芸用殺菌剤組成物は、通常の微生物製剤の製造方法に従って、上記バチルス属に属する細菌の胞子画分を必要に応じて各種任意成分と共に、粉剤、粒剤、水和剤、乳剤、液剤、フロアブル、塗布剤等に製剤化したものである。
【0022】
上記任意成分としては、固体担体として、カリオンクレー、ベントナイト、モンモリロナイト、珪藻土、酸性白土、タルク類、パーライト、バーミキュライト等の鉱物質微粉末、硫酸アンモニウム、尿素、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム等の無機塩、フスマ、キチン、多糖類、米糠、小麦粉等の有機物微粉末等を、また、補助剤として、カゼイン、ゼラチン、アラビアガム、アルギン酸、糖類、合成高分子(ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸類等)、ベントナイト等の固着剤や分散剤、その他の成分として、プロピレングリコール、エチレングリコール等の凍結防止剤、キサンタンガム等の天然多糖類、ポリアクリル酸類等の増粘剤を挙げることができる。
【0023】
この様にして得られる本発明の農園芸用殺菌剤組成物が適応される植物の病原菌としては、病原菌がかび類に属するもの、例えば、イネの紋枯病菌リゾクトニア ソラニ(Rhizoctonia solani)、いもち病菌ピリキュラリア オリゼー(Pyricularia oryzae)、オオムギのうどんこ病菌エリシフェ グラミニス(Erysiphe graminis)、コムギの立枯病菌ゲウマノマイセス グラミニス(Gaeumannomyces graminis)、エンドウの褐斑病菌アスコキタ ピシ(Ascochyta pisi)、ソラマメの赤色斑点病菌ボトリチス ファバエ(Botrytis fabae)、
【0024】
野菜類、例えば、トマト、ナス、イチゴ、キュウリ、レタス、インゲン等の灰色かび病菌ボトリチス シネレア(Botrytis cinerea)、キャベツの黒すす病菌アルタナリア ブラッシコーラ(Alternaria brassicicola)、トマトの葉かび病菌クラドスポリウム フラバム(Cladosporium fulvum)、疫病菌フィトフトラ インフェスタンス(Phytophthora infestans)、萎ちょう病菌フザリウム オキスポラム(Fusarium oxysporum)、キュウリのうどんこ病菌スフェロテカ フリジネア(Sphaerotheca fuliginea)、べと病菌シュードペロノスポラ キュベンシス(Pseudoperonospora cubensis)、立枯病菌ピシウム sp(Pythium sp.)、ネギのさび病菌プシニア アリー(Puccinia allii)、小菌核病菌スクレロチニア アリー(Sclerotinia allii)、ハクサイの黒斑病菌アルタナリアブラッシセア(Alternaria brassicae)、ニンジンの黒葉枯病菌アルタナリアダウシ(Alternaria dauci)、ホウレンソウの立枯病菌リゾクトニア ソラニ(Rhizoctonia solani)、レタスの菌核病菌スクレロチニア スクレロチオラム(Sclerotinia sclerotiorum)、ナスの半身萎ちょう病菌バーティシリウム ダリア(Verticillium dahliae)、イチゴのうどんこ病菌スファエロテカ フムリ(Sphaerotheca humuli)、炭そ病菌コレトトリカム フラガリア(Colletotrichum fragariae)、
【0025】
花卉類、例えば、シクラメン、キク、バラ、スターチス等の灰色かび病菌ボトリチス シネレア(Botrytis cinerea)、バラのうどんこ病菌スファエロテカ パノッサ(Sphaerotheca pannosa)、キクの白さび病菌プッシニア ホリアナ(Puccinia horiana)、
【0026】
果樹の白紋羽病菌ロセリニア ネカトリックス(Rosellinia necatrix)、カンキツ類の青かび病菌ペニシリウム イタリカム(Penicillium italicum)、黒点病菌ディアポルセ シトリ(Diaporthe citri)、ナシの赤星病菌ジムノスポランジウム アシアチカム(Gymnosporangium asiaticum)、リンゴの黒星病菌ベンツリア イネクアリス(Venturia inaequalis)、モモの灰星病菌モニリニア フルクチコーラ(Monilinia fructicola)、
【0027】
芝生のラージパッチ病菌リゾクトニア ソラニ(Rhizoctonia solani)、葉枯病菌カーブラリア sp(Curvularia sp)、ヘルミントスポリウム sp(Helminthosporium sp)、さび病菌プッシニア ゾイシア(Puccinia zoysiae)、ダラースポット病菌スクレロチニア ホメオカルパ(Sclerotinia homoeocarpa)、春はげ病菌フザリウム(Fusarium)、リゾクトニア(Rhizoctonia)、ピシウム(Pythium)、雪腐病菌ティフラ インカルナタ(Typhula incarnata)、ブラウンパッチ病菌リゾクトニア ソラニ(Rhizoctonia solani)等を挙げることができる。
【0028】
<3>本発明の植物病害防除法
本発明においては、上記の様な各種栽培植物の各種病害を防除する目的で、上記本発明の農園芸用殺菌剤組成物を栽培植物に施用する。
【0029】
施用の方法としては、剤型等の使用形態、作物や病害によって適宜選択され、例えば、地上液剤散布、地上固形散布、空中液剤散布、空中固形散布、水面施用、施設内施用、土壌混和施用、土壌潅注施用、表面処理(種子粉衣、塗布処理等)育苗箱施用法、単花処理、株元処理等の方法を挙げることができるが、好ましくは、各種剤型の農園芸用殺菌剤組成物を栽培植物の種子にコートする、栽培植物の花に単花処理する、栽培植物の茎葉に処理する、栽培植物の傷口箇所、剪定部に塗布処理する、土壌潅注する、土壌混和する等の方法が挙げられる。
【0030】
また、栽培植物への農園芸用殺菌剤組成物の施用に際して、殺虫剤、殺線虫剤、殺ダニ剤、除草剤、殺菌剤、植物生長調節剤、肥料、土壌改良資材(泥炭、腐植酸資材、ポリビニルアルコール系資材等)等を混合施用、あるいは混合せずに交互施用、または同時施用することも可能である。
【0031】
本発明の農園芸用殺菌剤組成物の施用量は、病害の種類、適用植物の種類、殺菌剤組成物の剤型等によって異なるため一概には規定できないが、例えば、液剤の農園芸用殺菌剤組成物を地上散布する場合には、その施用の胞子濃度は、通常約10CFU(コロニー形成単位)/mL〜1010CFU/mLであり、好ましくは約10CFU/mL〜10CFU/mLであり、施用量は、0.5〜50L/aである。また、粒剤、粉剤等はなんら希釈することなく製剤のままで施用することも可能であり、地上散布する場合、胞子の施用量が、1012〜1014CFU/a程度となるように散布することが好ましい。
【0032】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を説明する。まずはじめに、バチルス属に属する細菌の胞子画分の実施例及び比較例の抗生物質画分、生菌体画分の製造について説明する。
【0033】
【実施例1〜3】
粉末胞子
バチルス ズブチリス FERM P−14647株の保存菌の斜面培養物の一白金耳をフラスコ当たり100mLのブイヨン培地(肉エキス1%、ペプトン1%、NaCl0.5%含有)の入った坂口フラスコ(500mL容)に植菌後、振幅10cm、回転数120rpmの往復振盪機を用いて30℃で1日間培養した。得られた培養物300mLを培地(グルコース2%、ポリペプトン1%、酵母エキス0.2%、KHPO0.1%)15Lの入った30L容の発酵槽に植菌し、好気的条件下で30℃で72時間培養して培養液を得た。得られた約15Lの培養液を常法に従って遠心分離(6000rpm、20分間)して培養上清と菌体沈殿物に分離した。培養上清を抗生物質画分(比較例1)として分離後、菌体沈殿物を水で洗浄し、湿重量約780gの湿菌体(胞子画分)を得た。
【0034】
上記で得られたバチルス ズブチリス FERM P−14647株の胞子画分(湿菌体)約110gを−80℃で凍結後、減圧下で乾燥して粉砕することにより、乾燥重量約22gのバチルス ズブチリス FERM P−14647株の粉末胞子を得た(実施例1)。この粉末胞子は、バチルス ズブチリス FERM P−14647株の胞子を100重量%含有するものであった。
【0035】
また、上記で得られたバチルス ズブチリス FERM P−14647株の胞子画分(湿菌体)約600gを水3Lに懸濁後、スプレードライヤー(ニロジャパン社製)に1.5〜2L/hrの流速で処理した(入口温度150℃、出口温度100℃)。スプレードライヤーによって得られた乾燥物を粉砕することにより乾燥重量約78gの粉末胞子を得た(実施例2)。この粉末胞子は、バチルスズブチリス FERM P−14647株の胞子を100重量%含有するものであった。
【0036】
上記でバチルス ズブチリス FERM P−14647株を用いる替わりに、バチルス ズブチリス FERM P−14646株を用いて同様の培養、分離操作を行い、湿重量750gのバチルス ズブチリス FERM P−14646株湿菌体(胞子画分)を得た、その後、この胞子画分について上記実施例2と同様のスプレードライヤーによる乾燥操作を行い、バチルス ズブチリス FERM P−14646株の胞子を50重量%含有する乾燥重量約98gのバチルス ズブチリス FERM P−14646株粉末胞子を得た(実施例3)。
【0037】
【比較例2】
バチルス属に属する細菌の生菌体画分(湿菌体)
バチルス ズブチリス FERM P−14647株の保存菌の斜面培養物の一白金耳をフラスコ当たり100mLのブイヨン培地(肉エキス1%、ペプトン1%、NaCl0.5%含有)の入った坂口フラスコ(500mL容)に植菌後、振幅10cm、回転数120rpmの往復振盪機を用いて30℃で1日間培養した。得られた培養物300mLを培地(グルコース2%、ポリペプトン1%、酵母エキス0.2%、KHPO0.1%)15Lの入った30L容の発酵槽に植菌し、好気的条件下で18時間培養して培養液を得た。得られた約15Lの培養液を常法に従って遠心分離(6000rpm、20分間)して培養上清と菌体沈殿物に分離した。培養上清を除去後、菌体沈殿物を水で洗浄し、湿重量約600gの湿菌体(生菌体画分)を得た。この生菌体画分は、バチルス ズブチリス FERM P−14647株の胞子を乾燥重量で3重量%含有するものである。
【0038】
次に、上記実施例で得られたバチルス属に属する細菌の胞子画分を含有する本発明の農園芸用殺菌剤組成物の実施例及び上記比較例のバチルス属に属する細菌の生菌体画分を含有する比較例組成物について説明する。
【0039】
【実施例4〜5】
懸濁液剤
上記実施例2で得られた粉末胞子の約3gを2Lの水に懸濁して約1.5×10CFU/mLのバチルス ズブチリス FERM P−14647株の胞子懸濁液を製造した(実施例4)。同様にして、実施例3で得られた粉末胞子より約1.5×10CFU/mL濃度のバチルス ズブチリス FERM P−14646株の胞子懸濁液を得た(実施例5)。
【0040】
【実施例6】
ペースト液剤
上記実施例1によって得られた粉末胞子約12gを300mLの水に懸濁して約4×1010CFU/mLのバチルス ズブチリス FERM P−14647株の胞子ペースト液を得た。
【0041】
【実施例7】
水和剤
実施例2によって得られた粉末胞子50重量部にタルク50重量部を混和してバチルス ズブチリス FERM P−14647株の粉末胞子含有の水和剤を得た。
【0042】
【実施例8】
粒剤
実施例1によって得られた粉末胞子0.5重量部、ベントナイト50重量部、カオリンクレー49.5重量部を加えよく混和した。これに水10重量部を加えよく練合した後、直径0.8mmのスクリーンの付いた押し出し造粒機で造粒し、室温条件下にて乾燥した。これを300〜1700μmの粒径となるように製粒してバチルス ズブチリス FERM P−14647株の粉末胞子含有の粒剤を得た。
【0043】
【実施例9】
粉剤
実施例2によって得られた粉末胞子1重量部にタルク99重量部を混和してバチルス ズブチリス FERM P−14647株の粉末胞子含有の粉剤を得た。
【0044】
【比較例3】
生菌体懸濁液
上記比較例2によって得られたバチルス ズブチリス FERM P−14647株の生菌体画分約100gを水10Lに懸濁させて生菌体懸濁液を得た。
【0045】
次に、上記実施例4〜9で得られた農園芸用殺菌剤組成物及び比較例1、3で得られた抗生物質画分、生菌体懸濁液を用いて農園芸植物の病害防除の試験を行った。以下に、この実施例について説明する。
【0046】
【実施例10】
芝草ブラウンパッチ病防除試験
砂、フスマ培地で10日間培養した病原菌リゾクトニア ソラニを接種源とした。稲用育苗箱で播種後60日間育成した芝(ベントグラス)に、上記の様にして調製した接種源をコルクボーラーを用いて試験区(400cm/区、3反復)の2ヶ所に接種し、目土を処理し供試した。この試験区に実施例4で得られた胞子懸濁液を病原菌接種の1日後に小型噴霧器を用いて1L/mの量で7日間隔で2回、土壌潅注した。最終処理の3週間後に被害度測定表示盤(16×25cm、32マス)を用いて発病を程度別に調査し、下記式により発病度を算出した。
【0047】
【数1】
発病度=Σ(程度別発病マス数×発病指数)/(調査マス数×4)
Figure 0003554592
【0048】
また、上記試験区と同様に病原菌を接種し、実施例4で得られた胞子懸濁液による処理を行わなかった区を無処理区として、次式により試験区の防除価を算出した。
【0049】
【数2】
防除価(%)=(1−(試験区の発病度/無処理区の発病度))×100
【0050】
更に、比較のために実施例4で得られた胞子懸濁液を市販のバシタック(主成分;メプロニル、クミアイ化学製、1500ppm)に替えて同様の試験を行い、発病度及び防除価を算出した。結果を表1に示す。
【0051】
【表1】
Figure 0003554592
【0052】
【実施例11】
芝草ラージパッチ病防除試験
日本シバを用いて栽培管理しているゴルフ場のフェアウェイを用いて試験を行った(試験区:25m/区、2連制)。試験場所は、毎年ラージパッチ病害が多発している所を選定した。実施例7で得られた水和剤の1000倍希釈液を上記試験区に、動力噴霧器を用いて1L/mの割合で14日間隔で2回、土壌潅注した。最終処理後、1ヶ月目に発病状態を調査した。調査は発病面積を測定し、発病面積率(%)を算出して行った。また、上記実施例7で得られた水和剤による処理を行わなかった区を無処理区として、上記実施例10と同様にして試験区の防除価を算出した。結果を表2に示す。
【0053】
【表2】
Figure 0003554592
【0054】
【実施例12】
芝草葉枯性病害防除試験(圃場試験)
ベントグラスを5mmの長さに管理しているゴルフ場のグリーンを用いて試験(試験区:1m/区、3連制)した。なお、試験場所とした上記グリーンには、毎年葉枯性病害が多発している。この試験区に実施例4で得られた胞子懸濁液を1L/mの量で7日間隔で3回、土壌潅注し、最終処理の2週間後に発病状態を発病面積を測定して調査し、発病面積率(%)を求めた。また、上記実施例4で得られた胞子懸濁液による処理を行わなかった区を無処理区として、上記実施例10と同様にして試験区の防除価を算出した。更に、比較のために実施例4で得られた胞子懸濁液を市販のバシタック(1500ppm)に替えて同様の試験を行い、発病面積率及び防除価を算出した。結果を表3に示す。
【0055】
【表3】
Figure 0003554592
【0056】
【実施例13〜15】
ホウレンソウ立枯病防除試験
砂、フスマ、水(容量比=3:1:1)を混合後、オートクレーブ(121℃、60分)滅菌し、フスマ培地とした。このフスマ培地にリゾクトニア菌を植菌し、培地全体にリゾクトニア菌の菌糸が蔓延するまで培養した。これを殺菌土壌で所定濃度に希釈し、汚染土壌とした。この汚染土壌に実施例4で得られた胞子懸濁液を2L/mの量で土壌潅注処理した。また、別の試験区に実施例9で得られた粉剤を20g/mの割合で土壌混和処理した。その後、これらの処理が施された2種類の土壌にホウレンソウ種子を播種した。また、これらとは別に、実施例9で得られた粉剤をホウレンソウ種子に種子重量に対して1重量%の割合で粉衣処理し、この種子を無処理の汚染土壌に播種した。これら3種類の試験区について播種後、1週間目に発芽率を調査した。
【0057】
更に無処理の汚染土壌に、無処理のホウレンソウ種子を播種したコントロールについても同様に播種後、1週間目の発芽率を調査した。結果を表4に示す。
【0058】
【表4】
Figure 0003554592
【0059】
【実施例16】
キュウリ灰色かび病防除試験
培土を詰めたプラスチックポット(径6cm)にキュウリ(光3号P型)を播種し、温室内で12から14日間育成した。子葉が展開したキュウリの幼苗に実施例4によって調製した胞子懸濁液を葉面に十分付着するように噴霧処理した。処理後、葉面を風乾し、明(25℃、12時間)、暗(18℃、12時間)乾燥条件下1〜2日間置いた。キュウリ子葉を胚軸より切断し、キュウリ灰色かび病菌胞子を含んだ寒天プラグ(径6mm)を子葉中央に接種した。接種後、18℃、暗黒、多湿条件下3日間置いた後、発病斑径を測定した。
【0060】
また、上記実施例4で得られた胞子懸濁液による処理を行わなかったキュウリ子葉についても同様の試験を行い発病斑径を測定し、これを用いて上記実施例10と同様にして実施例の防除価を算出した。更に、比較のために実施例4で得られた胞子懸濁液をポリオキシン(主成分;ポリオキシン複合体、クミアイ化学製)、ダコニール(主成分;TPN、武田薬品製)を各々600倍(1667ppm)、1000倍(1000ppm)の希釈液に替えて同様の試験を行い、発病斑径及び防除価を算出した。結果を表5に示す。
【0061】
【表5】
Figure 0003554592
【0062】
【実施例17】
キュウリ灰色かび病防除試験
灰色かび病原菌として薬剤耐性菌を用いて発病させた以外は実施例16と同様に実施した。用いた薬剤耐性菌はベンズイミダゾール系薬剤(商品名:トップジンM、ベンレート)及びジカルボキシイミド系薬剤(商品名:ロブラール、スミレックス、ロニラン)に対して各々100ppm、10ppm濃度で生育阻害を受けない耐性菌である。
【0063】
比較のために実施例4で得られた胞子懸濁液をトップジンM(日本曹達製、667ppm)、ベンレート(デュポン製、1000ppm)、ロブラール(武田薬品製、1000ppm)、スミレックス(北興化学製、1000ppm)、ロニラン(三共製、1000ppm)に替えて同様の試験を行い、発病斑径及び防除価を算出した。結果を表6に示す。
【0064】
【表6】
Figure 0003554592
【0065】
【実施例18】
キュウリうどんこ病防除試験
キュウリうどんこ病に対する防除効果をガラス温室において試験した。径9cmのビニール鉢を用いて栽培した第2本葉時のキュウリ(品種:相模半白節成、試験区:1本/鉢、4鉢/区)に実施例4によって得られた胞子懸濁液を小型噴霧器を用いて7日間隔で2回、1鉢当たり50mL散布し、最終処理の2週間後にキュウリうどんこ病の発病の様子を調査し、下記式により発病度を算出した。
【0066】
【数3】
発病度=Σ(程度別発病葉数×発病指数)/(調査葉数×4)
Figure 0003554592
【0067】
また、実施例4で得られた胞子懸濁液による処理を行わなかったキュウリについても上記同様に実験を行い、発病度を算出し、これを用いて実施例10と同様にして実施例の防除価を算出した。結果を表7に示す。
【0068】
【表7】
Figure 0003554592
【0069】
【実施例19、20】
ナス灰色かび病防除試験ナス灰色かび病に対する防除効果をガラス温室において試験(品種:千両、試験区:8株/区、3反復)した。ナス灰色かび病菌の接種は、灰色かび病菌を感染させ培養したナス果実を温室内に吊り下げて行った。ナスの開花結実期に実施例7で得られた水和剤の500倍希釈液を7日間隔で3回全面散布(株全体(茎葉)噴霧処理、散布液量は150L/10a)した。他の試験区には、実施例7で得られた水和剤の500倍希釈液を開花したナスの花毎に十分量散布する単花処理(散布液量は10L/10a)を行った。最終散布の7日後に発病果・花を測定した。また、実施例7で得られた水和剤による処理を行わなかったナスについても上記同様に実験を行い、発病果・花を測定し、これを用いて実施例10と同様にして実施例の防除価を算出した。結果を表8に示す。
【0070】
【表8】
Figure 0003554592
【0071】
【実施例21】
ナス灰色かび病防除試験
ナス灰色かび病に対する防除効果をガラス温室において試験(品種:千両、試験区:8株/区、3反復)した。ナス灰色かび病菌の接種は、灰色かび病菌を感染させ培養したナス果実を温室内に吊り下げて行った。ナスの開花結実期後期、株の下から発生した徒長枝を残して主枝、第1側枝、第2側枝を剪定した。実施例6で得られた胞子懸濁ペースト液を前記の様に剪定した切断面に7日間隔で2回塗布した。最終塗布の2週間後に試験部位の発病度を測定した。また、実施例6で得られたペースト液による処理を行わなかったナスについても上記同様に実験を行い、発病度を測定し、これを用いて実施例10と同様にして実施例の防除価を算出した。結果を表9に示す。
【0072】
【表9】
Figure 0003554592
【0073】
【実施例22、23】
トマト灰色かび病防除試験
トマト灰色かび病に対する防除効果をガラス温室において試験(品種:瑞健、試験区:12株/区、3反復)した。トマト灰色かび病菌は灰色かび病菌を感染させ培養したミカン果実を温室内に吊り下げて行った。トマトの第3果房開花期に、実施例4、5で得られた胞子懸濁液をそれぞれ施用量200L/10aにて7日間隔で3回散布(茎葉部噴霧処理)した。最終散布の7日後に発病果・花を測定した。また、実施例で得られた胞子懸濁液による処理を行わなかったトマトについても上記同様に実験を行い、発病果・花を測定し、これを用いて実施例10と同様にして実施例の防除価を算出した。結果を表10に示す。
【0074】
【表10】
Figure 0003554592
【0075】
【実施例24、25】
インゲン灰色かび病防除試験
インゲン灰色かび病に対する防除効果をガラス温室において試験(品種:さつきみどり、試験区:60株/区)した。発病は自然発生とした。インゲンの開花期に実施例4及び実施例5で得られた胞子懸濁液を施用量150L/10aの割合で7日間隔で2回散布(茎葉部噴霧処理)した。最終散布の2週間後にインゲン莢について発病の有無を調査し、発病莢率を求めた。また、実施例で得られた胞子懸濁液による処理を行わなかったインゲンについても上記同様に実験を行い、発病莢率(%)を算出し、これを用いて実施例10と同様にして実施例の防除価を算出した。結果を表11に示す。
【0076】
【表11】
Figure 0003554592
【0077】
【実施例26】
キク灰色かび病防除試験
キク灰色かび病に対する防除効果をビニールハウスにおいて試験(品種:秀芳の力、試験区:10株/区、3反復)した。キク灰色かび病菌の接種は灰色かび病菌に感染したキクを植えたプランターを試験区内に並べることにより行った。キクの生育中期(開花期)に、実施例4によって得られた胞子懸濁液をキクの花弁に7日間隔で3回散布し、最終散布の7日後に発病度を調査した。また、実施例4で得られた胞子懸濁液による処理を行わなかったキクについても上記同様に実験を行い、発病度を調査し、これを用いて実施例10と同様にして実施例の防除価を算出した。
【0078】
比較のために実施例4で得られた胞子懸濁液を、市販のダコニール(武田薬品製、1000ppm)に替えて同様の試験を行い、発病度及び防除価を算出した。結果を表12に示す。
【0079】
【表12】
Figure 0003554592
【0080】
【実施例27】
キク白さび病防除試験
キク白さび病に対する防除効果をビニールハウスにおいて試験(品種:秀芳の力、試験区:10株/区、3反復)した。キク白さび病菌の接種は白さび病菌に感染したキクを植えたプランターを試験区内に並べることにより行った。キクの生育中期に、実施例4で得られた胞子懸濁液を7日間隔で3回散布(株全体噴霧処理)し、最終散布の7日後に発病葉率を調査した。また、実施例4で得られた胞子懸濁液による処理を行わなかったキクについても上記同様に実験を行い、発病葉率を算出し、これを用いて実施例10と同様にして実施例の防除価を算出した。
【0081】
比較のために実施例4で得られた胞子懸濁液を、市販のサプロール(主成分;トリホリン、武田薬品製、1000ppm)に替えて同様の試験を行い、発病葉率及び防除価を算出した。結果を表13に示す。
【0082】
【表13】
Figure 0003554592
【0083】
【実施例28】
シクラメン灰色かび病防除試験
シクラメン灰色かび病に対する防除効果を温室において試験(品種:ボレロ、試験区:5鉢/区)した。シクラメンの開花期に、実施例4で得られた胞子懸濁液を花弁部に噴霧処理した。シクラメン灰色かび病菌の接種は、胞子懸濁液処理から7日後に灰色かび病菌胞子懸濁液(1.0×10個/L)を鉢全体に噴霧して行った。管理は1鉢毎ビニール袋で覆い多湿条件下で行った。病原菌接種7日後、花弁部での発病度を調査した。また、実施例4で得られた胞子懸濁液による処理を行わずに病原菌を接種したシクラメンについても上記同様に実験を行い、発病度を測定し、これを用いて実施例10と同様にして実施例の防除価を算出した。
【0084】
比較のために実施例4で得られた胞子懸濁液を、市販のトップジンM(日本曹達製、667ppm)に替えて同様の試験を行い、発病度及び防除価を算出した。結果を表14に示す。
【0085】
【表14】
Figure 0003554592
【0086】
【実施例29】
シクラメン灰色かび病防除試験
シクラメン灰色かび病に対する防除効果を温室において試験(品種:ボレロ、試験区:5鉢/区)した。シクラメンの開花期に実施例4によって得られた胞子懸濁液をシクラメンの株もとに噴霧処理した。シクラメン灰色かび病菌の接種は、胞子懸濁液処理から7日後に灰色かび病菌胞子懸濁液(1.0×10個/L)を鉢全体に噴霧して行った。管理は1鉢毎ビニール袋で覆い多湿条件下で行った。病原菌接種14日後、株もとでの発病度を調査した。また、実施例4で得られた胞子懸濁液による処理を行わずに病原菌を接種したシクラメンについても上記同様に実験を行い、発病度を測定し、これを用いて実施例10と同様にして実施例の防除価を算出した。結果を表15に示す。
【0087】
【表15】
Figure 0003554592
【0088】
【実施例30】
スターチス灰色かび病防除試験
スターチス灰色かび病に対する防除効果をビニールハウスにおいて試験(試験区:1.5m/区)した。発病は自然発生とした。スターチスの開花期に、実施例7で得られた水和剤の500倍希釈液を上記試験区に7日間隔で2回散布し、最終散布の2週間後に発病度を調査した。また、実施例7で得られた水和剤による処理を行わなかったスターチスついても上記同様に実験を行い、発病度を測定し、これを用いて実施例10と同様にして実施例の防除価を算出した。
【0089】
比較のために実施例7で得られた水和剤を、市販のトップジンM(日本曹達製、667ppm)に替えて同様の試験を行い、発病度及び防除価を算出した。結果を表16に示す。
【0090】
【表16】
Figure 0003554592
【0091】
【実施例31】
バラうどんこ病防除試験
バラうどんこ病に対する防除効果をビニールハウスにおいて試験(品種:クリスチャンディオール、試験区:1株/区、3反復)した。バラうどんこ病の接種は、うどんこ病に感染した鉢を試験区の間に並べることにより行った。新梢伸長期から展葉期のバラに、実施例4で得られた胞子懸濁液を7日間隔で3回散布し、最終散布の7日後に発病葉率を調査した。また、実施例4で得られた胞子懸濁液による処理を行わず上記同様に実験を行ったバラについても発病葉率を算出し、これを用いて実施例10と同様にして実施例の防除価を算出した。
【0092】
比較のために実施例4で得られた胞子懸濁液を、市販のサプロール乳剤(武田薬品製、1000ppm)に替えて同様の試験を行い、発病葉率及び防除価を算出した。結果を表17に示す。
【0093】
【表17】
Figure 0003554592
【0094】
【実施例32】
ナシ赤星病防除試験
ナシ赤星病に対する防除効果を野外の果樹園において試験(品種:長十郎、樹齢:10年生、試験区:3成木/区)した。発病は自然感染とした。ナシの開花期に、実施例4で得られた胞子懸濁液を肩掛式噴霧器で7日間隔で2回散布(2L/本)した。最終処理の2週間後に、発病の程度を調査し、以下の式を用いて発病度を算出した。
【0095】
【数4】
発病度=Σ(程度別発病葉数×発病指数)/(調査葉数×3)
Figure 0003554592
【0096】
また、実施例4で得られた胞子懸濁液による処理を行わなかったナシの木についても上記同様に実験を行い、発病度を算出し、これを用いて実施例10と同様にして実施例の防除価を算出した。結果を表18に示す。
【0097】
【表18】
Figure 0003554592
【0098】
【実施例33】
レタス菌核病防除試験
レタス菌核病に対する防除効果を試験(品種:シスコ、試験区:40株/区、3反復)した。レタス菌核病菌の接種は素焼き鉢で形成させたレタス菌核病菌子のう盤を試験区内に均等に配置することによって行った。レタスの結球初期に、実施例4で得られた胞子懸濁液を250L/10aの割合で7日間隔で3回散布した。最終散布の7日後に発病度を調査した。また、実施例4で得られた胞子懸濁液による処理を行わなかったレタスについても上記同様に実験を行い、発病度を測定し、これを用いて実施例10と同様にして実施例の防除価を算出した。
【0099】
比較のために実施例4で得られた胞子懸濁液を、市販のトップジンM(日本曹達製、667ppm)に替えて同様の試験を行い、発病度及び防除価を算出した。結果を表19に示す。
【0100】
【表19】
Figure 0003554592
【0101】
【実施例34】
ナス灰色かび病に対する防除効果をガラス温室において試験(品種:千両、試験区:8株/区、3反復)した。ナス灰色かび病菌の接種は、灰色かび病菌を感染させ培養したナス果実を温室内に吊り下げて行った。ナスの開花結実期に、実施例7で得られた水和剤の500倍希釈液(1×1012CFU/L)を7日間隔で3回散布(株全体に噴霧処理、300L/10a)した。最終散布の1週間後、2週間後に発病果・花率(%)を算出した。また、実施例7で得られた水和剤による処理を行わなかったナスについても同様に実験を行い、発病果・花率を算出し、これを用いて実施例10と同様にして実施例の防除価(%)を算出した。
【0102】
比較のために実施例7で得られた水和剤を、比較例3で得られた生菌体懸濁液及び比較例1で得られた培養液上清(抗生物質画分)に替えて同様の試験を行い、発病果・花率及び防除価を算出した。結果を表20に示す。
【0103】
【表20】
Figure 0003554592
【0104】
これらの結果から明らかなうように、本発明のバチルス属に属する細菌の胞子画分を含有する農園芸用殺菌剤組成物は、病害防除作用に優れ、更に、定着性、持続安定性がよい。また、本発明の植物病害防除法によれば、各種植物の病害を効果的に防除することが可能である。
【0105】
【発明の効果】
本発明の農園芸用殺菌剤組成物は、バチルス属に属する細菌の胞子画分を含有することで病害防除作用に優れ、更に、定着性、持続安定性がよい。また、このバチルス属に属する細菌の胞子画分を含有した農園芸用殺菌剤組成物を用いた本発明の植物病害防除法は、非常に効果的に植物を各種病害から保護することができる。

Claims (5)

  1. 植物病原菌と拮抗するバチルス ズブチリスNCIB12376株菌およびNCIB12616株菌から選ばれるいずれか1種又は2種の細菌の培養物から胞子を乾燥重量で50重量%以上含むように調製された胞子画分を含有し、抗生物質画分を含有しない農園芸用殺菌剤組成物。
  2. カビ類に属する病原菌により引き起こされる植物の病害を防除する効果を有するバチルス ズブチリスNCIB12376株菌およびNCIB12616株菌から選ばれるいずれか1種又は2種の細菌の培養物から胞子を乾燥重量で50重量%以上含むように調製された胞子画分を含有し、抗生物質画分を含有しない農園芸用殺菌剤組成物。
  3. 前記胞子画分の水分含量が0.1〜80重量%の範囲である請求項1または2に記載の農園芸用殺菌剤組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の農園芸用殺菌剤組成物を栽培植物に施用することを特徴とする農園芸植物の病害防除法。
  5. 前記胞子画分を栽培植物に施用する方法が、栽培植物の種子にコートする、栽培植物の花に単花処理する、栽培植物の茎葉に処理する、栽培植物の傷口箇所、剪定部に塗布処理する、土壌潅注する、土壌混和する、の何れかである請求項4に記載の農園芸植物の病害防除法。
JP31666894A 1994-12-20 1994-12-20 バチルス属胞子画分及びその胞子画分を利用する植物病害防除法 Expired - Fee Related JP3554592B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP31666894A JP3554592B2 (ja) 1994-12-20 1994-12-20 バチルス属胞子画分及びその胞子画分を利用する植物病害防除法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP31666894A JP3554592B2 (ja) 1994-12-20 1994-12-20 バチルス属胞子画分及びその胞子画分を利用する植物病害防除法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH08175919A JPH08175919A (ja) 1996-07-09
JP3554592B2 true JP3554592B2 (ja) 2004-08-18

Family

ID=18079584

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP31666894A Expired - Fee Related JP3554592B2 (ja) 1994-12-20 1994-12-20 バチルス属胞子画分及びその胞子画分を利用する植物病害防除法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3554592B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013042684A (ja) * 2011-08-23 2013-03-04 Ito En Ltd 作物栽培方法及びその方法を用いた装置

Families Citing this family (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3697175B2 (ja) 2001-04-26 2005-09-21 クミアイ化学工業株式会社 農業用水和性組成物、その製造方法及びその保存方法
CN1319442C (zh) * 2002-10-25 2007-06-06 组合化学工业株式会社 农业用可湿性组合物、其制造方法及保存方法
JP2005075813A (ja) * 2003-09-03 2005-03-24 Idemitsu Kosan Co Ltd 微生物農薬組成物
JP2007195542A (ja) * 2005-12-27 2007-08-09 Kumiai Chem Ind Co Ltd 微生物農薬の調製に適したバシルス属細菌の胞子の製造方法
ES2518924T3 (es) * 2008-07-11 2014-11-05 University Of Yamanashi Nuevo microorganismo y agente de control de enfermedades de las plantas usando dicho microorganismo
CN101993295A (zh) * 2009-08-31 2011-03-30 夏荣堂 一种水稻微生物浸种种衣剂
CN102038001B (zh) * 2010-12-03 2014-12-31 成都绿金高新技术股份有限公司 一种印楝素与枯草芽孢杆菌混配水分散粒剂
JP5916098B2 (ja) * 2012-02-27 2016-05-11 関西電力株式会社 植物病害防除資材及び植物病害防除方法
CN106231907B (zh) * 2014-04-09 2019-10-18 Sds生物技术株式会社 微生物农药组合物、其制造方法及微生物农药的稳定化方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013042684A (ja) * 2011-08-23 2013-03-04 Ito En Ltd 作物栽培方法及びその方法を用いた装置

Also Published As

Publication number Publication date
JPH08175919A (ja) 1996-07-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101227714B1 (ko) 신규 페니바실러스 속 균주 및 이들 균주 또는 이의 배양물질을 이용한 식물 병해 방제
JP3059245B2 (ja) トリコデルマの新規な分離菌、この分離菌を含有する殺菌組成物、並びにb.シネレアおよびs.スクレロチオルムに対するその使用
US5288488A (en) Method of controlling foliar microorganism populations
JP3536180B2 (ja) 植物の病害を防除するための組成物と方法
JP2000513582A (ja) 抗菌性微生物製剤、その製造方法及び処理方法
WO2007011025A1 (ja) イネの育苗時期に発生する病害に対する防除剤
CA2296943A1 (en) Biological control of purple loosestrife
JPH10109913A (ja) 農園芸用殺菌剤組成物
JPH08175921A (ja) 農園芸用殺菌剤組成物
JP3554592B2 (ja) バチルス属胞子画分及びその胞子画分を利用する植物病害防除法
WO2020262612A1 (ja) 植物病害防除剤及び植物病害防除法
Lahdenperä The control of Fusarium wilt on carnation with a Streptomyces preparation
KR101287141B1 (ko) 식물병 방제 효과를 가지는 스트렙토마이세스 그리세우스 big105 균주 및 이의 용도
JPH0551305A (ja) バチルス属に属するsc−3菌株による植物病害防除方法および使用される細菌
JP2009221132A (ja) 農園芸植物の病虫害防除剤
JP3527557B2 (ja) 農園芸用殺菌剤組成物
US20220079165A1 (en) Formulation for protection against kiwi bacteriosis, caused by the bacterium pseudomonas syringae pv. actinidiae (psa)
JP3132195B2 (ja) 新規微生物および植物病害防除剤
KR101891296B1 (ko) 키티노파가 속 hk235 균주, 이의 배양액, 상기 배양액의 분획물을 유효성분으로 포함하는 식물병 방제용 조성물
JP2007082499A (ja) フザリウム・オキシスポラムの新菌株
JP2003277210A (ja) バチルス属細菌による植物病害防除剤およびその防除方法
KR0153138B1 (ko) 향균성 미생물제제 및 그 제조방법
JP4226323B2 (ja) 植物の茎葉部病害の防除剤およびそれらの防除法
JP2005289943A (ja) シュードモナス・フロレッセンスによる疫病べと病防除剤およびその防除方法
CA1224055A (en) Colletotrichum coccodes spore production, spore preparation, formulation and agricultural process

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040108

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20040127

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040322

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20040331

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20040427

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20040510

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100514

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110514

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120514

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130514

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140514

Year of fee payment: 10

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees