JPH1010790A - 磁性体分散型キャリア及びその製造方法、静電荷像現像剤、並びに、画像形成方法 - Google Patents

磁性体分散型キャリア及びその製造方法、静電荷像現像剤、並びに、画像形成方法

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JPH1010790A
JPH1010790A JP16765896A JP16765896A JPH1010790A JP H1010790 A JPH1010790 A JP H1010790A JP 16765896 A JP16765896 A JP 16765896A JP 16765896 A JP16765896 A JP 16765896A JP H1010790 A JPH1010790 A JP H1010790A
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JP16765896A
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Yoshiyuki Ono
好之 小野
Katsuhiro Sato
克洋 佐藤
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Fujifilm Business Innovation Corp
Original Assignee
Fuji Xerox Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 磁性体微粒子による突起がなく、感光体上に
傷やフィルミング等を生じさせることのない磁性体分散
型キャリアを提供する。 【解決手段】 官能基を有するマトリックス形成性物質
における該官能基の反応により形成された磁性体微粒子
がマトリックス中に分散されてなることを特徴とする磁
性体分散型キャリアである。イミド環形成反応であるの
が好ましく、式(1)の構造単位を有する高分子化合
物、式(2)〜(4)のイミド構造を側鎖又は架橋部分
に有する高分子化合物、及び、式(5)で表される有機
化合物の少なくとも1種を含んでなるのが好ましい。 (式中、Xは、炭素数が2以上の4価の有機基、Yは、
炭素数が2以上の2価の有機基、Wは、炭素数2以上の
有機基、Zは、アルキル基、等を表す。Uは、1価の有
機基。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子写真法、静電記録
法等により形成される静電潜像を現像する際に用いられ
る、磁性体分散型キャリア及びその製造方法、静電荷像
現像剤、並びに、画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真法等のように、静電荷像を経て
画像情報を可視化する方法は、現在各種の分野で利用さ
れている。前記電子写真法においては、帯電工程、露光
工程等を経て感光体上に静電荷像を形成し、トナーを含
有する現像剤を用いて前記静電荷像を現像し、転写工
程、定着工程等を経て前記静電荷像が可視化される。前
記現像剤としては、トナー及びキャリアを含有してなる
2成分系現像剤と、磁性トナー又は非磁性トナーを含有
してなる1成分系現像剤とが知られている。前記2成分
現像剤は、キャリアが現像剤の撹拌、搬送、帯電などの
機能を分担し、現像剤として機能分離されているため、
制御性がよい等の点から現在広く用いられている。
【0003】ところで、従来のキャリアとしては、鉄粉
キャリア、フェライトキャリア、フェライト・鉄粉等の
磁性体粒子を樹脂等でコートしてなるコートキャリア、
磁性体が樹脂中に分散されてなる磁性体分散型キャリア
などが、開発され、実用化されている。前記鉄粉キャリ
アは、例えば、特公昭47−193398号公報、同4
8−8138号公報等に記載されており、前記フェライ
トキャリアは、例えば、特公昭56−5203号公報等
に記載されているが、これらのキャリアの場合、比重が
大きく、飽和磁化が非常に大きいため、流動性や撹拌性
が悪く、さらに、撹拌中にトナー及び感光体に与える衝
撃が大きいため、トナーのスペント化、感光体への加傷
などを生じ易いという問題があった。前記コートキャリ
アは、鉄粉・フェライト等の磁性体粒子の表面に樹脂コ
ート層を設けて、流動性の改善、帯電制御を図ったもの
である。前記樹脂コート層は、一般的には溶液法により
形成されるが、鉄粉・フェライトは表面エネルギーが低
く、樹脂とのぬれ性が十分でないので、前記コートキャ
リアの場合、コートむらや、現像機内での撹拌により前
記樹脂コート層が剥がれてしまうなどの問題があった。
【0004】そこで、これらの問題を解決するため、磁
性体分散型キャリアが開発されてきている。この磁性体
分散型キャリアは、前記鉄粉キャリアやコートキャリア
等に比べて穂が柔らかく、画像濃度が高く均一で、かつ
精緻な画像が得られる点で好ましい。この磁性体分散型
キャリアの製造方法としては、例えば、磁性体粉末とス
チレンアクリル樹脂等の絶縁性樹脂とを、バンバリーミ
キサー、ニーダーなどを用いて溶融混練し、冷却した後
に粉砕し、分級する溶融混練法(特公昭59−2441
6号公報、特公平8−3679号公報等)や、結着樹脂
のモノマー単位と磁性体粉末とを溶媒中に分散して懸濁
液を調製し、この懸濁液を重合させる懸濁重合法(特開
平5−100493号公報等)や、樹脂溶液中に磁性体
粉末を混合分散した後、噴霧乾燥するスプレードライ法
などが知られている。前記溶融混練法、前記懸濁重合
法、及び前記スプレードライ法はいずれも、磁性体粉末
をあらかじめ何らかの手段により調製しておき、この磁
性体粉末と樹脂溶液とを混合し、前記樹脂溶液中に前記
磁性体粉末を分散させる工程を含む。
【0005】しかしながら、上述した通り、磁性体粉末
と樹脂とのぬれ性は悪く、また磁性体粉末は残留磁化の
影響により凝集し易いため、これらの製造方法では、磁
性体粉末を凝集させることなく均一に分散させることが
できない。磁性体粉末が凝集した状態の磁性体分散型キ
ャリアを使用すると、現像機内での撹拌の結果、キャリ
ア粒子に割れや欠けが徐々に生じ、帯電特性や流動性な
どが変化してしまったり、キャリア表面に硬い磁性体粒
子が露出し、感光体を傷つけてしまうという問題があ
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来に
おける諸問題を解決することを目的とする。また、本発
明は、電子写真法、静電記録法等により形成される静電
潜像を現像する際に好適に使用可能で、生産性、加工性
等に優れ、磁性体微粒子による突起がないので、感光体
上に傷やフィルミング等を生じさせることがなく、現像
剤を長寿命化し得る磁性体分散型キャリア及びその製造
方法、前記磁性体分散型キャリアを用いた静電荷像現像
剤、並びに、前記静電荷像現像剤を用いた画像形成方法
を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
の手段は、以下の通りである。第一の手段は、官能基を
有するマトリックス形成性物質における該官能基の反応
により形成された磁性体微粒子がマトリックス中に分散
されてなることを特徴とする磁性体分散型キャリアであ
る。前記磁性体分散型キャリアにおいては、前記官能基
の反応が、イミド環形成反応であるのが好ましい。前記
マトリックスが、式(1)で表される繰り返し構造単位
を有する高分子化合物、式(2)〜(4)のいずれかで
表されるイミド構造を側鎖又は架橋部分に有する高分子
化合物、又は、式(5)で表される有機化合物を含んで
なるのが好ましい。
【0008】
【化7】
【0009】(式中、Xは、炭素数が2以上の4価の有
機基を表す。Yは、炭素数が2以上の2価の有機基を表
す。)
【0010】
【化8】
【0011】(式中、Xは、炭素数が2以上の4価の有
機基を表す。Yは、炭素数が2以上の2価の有機基を表
す。Wは、カルボニル基と結合してイミド環を形成する
炭素数2以上の有機基を表す。Zは、アルキル基、アリ
ール基又はアルアルキル基を表す。)
【0012】
【化9】
【0013】(式中、Wは、カルボニル基と結合してイ
ミド環を形成する炭素数2以上の有機基を表す。Uは、
1価の有機基であり、イミド環が置換されていてもよ
い。)
【0014】第二の手段は、官能基を有するマトリック
ス形成性物質と磁性体の前駆体との混合溶液を調製する
工程、及び、該官能基を反応させてマトリックスを形成
させると共に磁性体微粒子を該マトリックス中に分散状
態で形成させる工程を含むことを特徴とする磁性体分散
型キャリアの製造方法である。前記磁性体分散型キャリ
アの製造方法においては、前記官能基の反応が、イミド
環形成反応であるのが好ましい。前記官能基を有するマ
トリックス形成性物質が、式(6)で表される繰り返し
構造単位を有する高分子化合物、式(7)〜(9)のい
ずれかで表されるアミド酸構造を側鎖又は架橋部分に有
する高分子化合物、又は、式(10)で表される有機化
合物を含んでなるのが好ましい。
【0015】
【化10】
【0016】(式中、Xは、炭素数が2以上の4価の有
機基を表す。Yは、炭素数が2以上の2価の有機基を表
す。)
【0017】
【化11】
【0018】(式中、Xは、炭素数が2以上の4価の有
機基を表す。Yは、炭素数が2以上の2価の有機基を表
す。Wは、カルボニル基と結合してイミド環を形成する
炭素数2以上の有機基を表す。Zは、アルキル基、アリ
ール基又はアルアルキル基を表す。)
【0019】
【化12】
【0020】(式中、Wは、カルボニル基と結合してイ
ミド環を形成する炭素数2以上の有機基を表す。Uは、
イミド環形成可能な置換基を有してもよい有機基を表
す。)
【0021】第三の手段は、前記磁性体分散型キャリア
と、トナーとを含んでなることを特徴とする静電荷像現
像剤である。
【0022】第四の手段は、現像剤担体上の現像剤層を
用いて静電荷像担体上に形成された静電荷潜像を現像す
る画像形成方法において、該現像剤が、前記静電荷像現
像剤であることを特徴とする画像形成方法である。
【0023】
【発明の実施の形態】
<磁性体分散型キャリア>本発明の磁性体分散型キャリ
アは、官能基を有するマトリックス形成性物質における
該官能基の反応に伴って形成された磁性体微粒子がマト
リックス中に分散されてなる。
【0024】前記磁性体分散型キャリアとしては、例え
ば、以下の第1〜3態様が好適に挙げられる。第1の態
様は、前記式(1)で表される繰り返し構造単位を有す
る高分子化合物を少なくとも含んでなるマトリックス中
に磁性体微粒子が分散されてなる態様である。第2の態
様は、前記式(2)〜(4)のいずれかで表されるイミ
ド構造を側鎖又は架橋部分に有する高分子化合物を少な
くとも含んでなるマトリックス中に、磁性体微粒子が分
散されてなる態様である。第3の態様は、前記式(5)
で表される有機化合物を少なくとも含んでなるマトリッ
クス中に、磁性体微粒子が分散されてなる態様である。
【0025】また、前記式(1)で表される繰り返し構
造単位を有する高分子化合物、前記式(2)〜(4)の
いずれかで表されるイミド構造を側鎖又は架橋部分に有
する高分子化合物、及び、前記式(5)で表される有機
化合物の混合物を含んでなるマトリックス中に、磁性体
微粒子が分散されてなる態様も好ましい。
【0026】前記式(1)〜(5)において、X、Y、
W、Z及びUは、以下の通りである。Xの具体例として
は、下記の構造式X−1〜9で表される芳香族系有機残
基が好適に挙げられる。これらの中でも、磁性体分散型
キャリアの耐熱性、機械的特性、電気的特性等の点で、
後述する実施例において採用した芳香族系有機残基が好
ましい。
【0027】
【化13】
【0028】(式中、nは、1〜6の整数を表す。) Yの具体例としては、下記の構造式Y−1〜26で表さ
れる有機残基が挙げられる。
【0029】
【化14】
【0030】
【化15】
【0031】(式中、aは、1〜1000の整数を表
す。) Wの具体例としては、下記の構造式で表される有機残基
が挙げられる。
【0032】
【化16】
【0033】これらの中でも芳香族系有機残基が好まし
い。Zの具体例としては、アルキル基、アリール基又は
アルアルキル基が挙げられ、より具体的には、メチル
基、エチル基、ベンジル基、p−メチルフェニル基、p
−メトキシフェニル基などが挙げられる。Uの具体例と
しては、アルキル基、アリール基又はアルアルキル基が
挙げられ、より具体的には、メチル基、エチル基、ベン
ジル基、p−メチルフェニル基、p−メトキシフェニル
基などが挙げられる。
【0034】前記磁性体微粒子としては、特に制限はな
いが、例えば、マグネタイト、ガンマヘマタイト等の酸
化鉄、酸化クロム、鉄、ニッケル、マンガン、コバル
ト、ニッケル合金等の、金属、金属酸化物、金属化合物
などの微粒子が挙げられる。これらの中でも、酸化鉄が
好ましい。前記磁性体微粒子が、酸化鉄微粒子である
と、特性が安定しており、かつ毒性が少ない点で有利で
ある。前記磁性体微粒子の平均粒径としては、通常1〜
600nmであり、5〜400nmが好ましい。前記平
均粒径が、1nm未満であると、磁性を失う場合があ
り、600nmを越えると、キャリア割れの原因となる
ことがある。前記磁性体微粒子の磁性体分散型キャリア
中における含有量としては、通常、30〜95重量%で
あり、45〜90重量%が好ましい。前記含有量が、3
0重量%未満であると、磁性体分散型キャリアの飛散等
を招くことがあり、95重量%を越えると、磁性体分散
キャリアの穂が固くなり、割れ易くなることがある。な
お、前記含有量は、後述のマトリックス形成性物質と後
述の磁性体の前駆体との仕込みの割合で調整される。本
発明の磁性体分散型キャリアは、前記マトリックス及び
前記磁性体微粒子の外、目的に応じてさらにその他の成
分を含有していてもよい。前記その他の成分としては、
例えば、フッ素含有微粒子などが挙げられる。
【0035】本発明の磁性粉分散型キャリアの場合、強
磁性である磁性体微粒子が凝集せず、均一に分散されて
おり、しかも形成された磁性体微粒子による突起が存在
していないので、感光体を傷つけたり、フィルミング、
トナーのインパクション等を招くことがなく、高耐久性
の静電荷像現像剤が得られる。本発明の磁性体分散型キ
ャリアは、以下の本発明の磁性体分散型キャリアの製造
方法により好適に製造される。
【0036】<磁性体分散型キャリアの製造方法>本発
明の磁性体分散型キャリアの製造方法においては、官能
基を有するマトリックス形成性物質と磁性体の前駆体と
の混合溶液を調製する工程(以下、この工程を「第1工
程」と称することがある)と、該官能基を反応させてマ
トリックスを形成させると共に磁性体微粒子を該マトリ
ックス中に形成させる工程(以下、この工程を「第2工
程」と称することがある)とを含む。
【0037】−第1工程− 前記官能基の具体例としては、カルボキシル基、アミノ
基、アミド基、ヒドロキシル基などが挙げられる。こ
れらの中でも、種々の磁性体の前駆体と相互作用し、こ
れらの溶剤への溶解を促進させ、固相でもイミド構造へ
の変化がし易くマトリックス形成が容易な点で、アミド
酸基が好ましい。前記官能基を有するマトリックス形成
性物質は、該官能基の反応により最終的にマトリックス
を形成し得る物質である。換言すると、前記官能基を有
するマトリックス形成性物質は、該官能基の反応後に得
られるマトリックス組成物において磁性体微粒子を除い
たマトリックスを形成するための材料物質である。
【0038】本発明においては、前記官能基を有するマ
トリックス形成性物質が、磁性体の前駆体との相互作用
により該磁性体の前駆体の溶解を促進させる機能を有す
をさらに有するのが好ましい。前記マトリックス形
成性物質がこのような基をも有すると、磁性体微粒子を
マトリックス中に高濃度にドープさせることができる点
で有利である。なお、本発明においては、前記官能基が
このような機能をも併有していてもよい。
【0039】前記官能基を有するマトリックス形成性物
質は、該官能基を有してなり、磁性体の前駆体を十分に
固溶し、加熱処理又は化学処理により該官能基が変化
し、その化学的性質が変化し得る高分子化合物又は低分
子化合物を少なくとも1種含有してなる。前記官能基を
有するマトリックス形成性物質の具体例としては、前記
式(6)で表される繰り返し構造単位を有する高分子化
合物、前記式(7)〜(9)のいずれかで表されるアミ
ド酸構造を側鎖又は架橋部分に有する高分子化合物、前
記式(10)で表される有機化合物、あるいは、これら
を1種以上含んでなるもの乃至これらを全部含む混合物
を含んでなるものなどが挙げられる。本発明において
は、前記式(6)〜(10)で表される高分子化合物又
は有機化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以
上を併用してもよい。
【0040】前記官能基を有するマトリックス形成性物
質は、磁性体分散型キャリアの機械的特性、電気抵抗、
誘電率等の物性を調整する観点から、さらに必要に応じ
て、前記官能基を有しない高分子化合物を含有していて
もよいし、前記官能基を有しない高分子化合物との共重
合体となっていてもよい。前記官能基を有しない高分子
化合物の具体例としては、ポリエチレン系樹脂、ポリス
チレン系樹脂、ポリアクリレート系樹脂、ポリメタクリ
レート系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル
系樹脂、セルロース系樹脂、シリコーン樹脂、ビニル系
重合体、ポリアミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、
ポリウレタン系樹脂、ポリウレア系樹脂又はこれらの共
重合体などが挙げられる。これらの前記官能基を有しな
い高分子化合物は、本発明の効果を阻害しない範囲で使
用することができ、また、これらは1種単独で使用して
もよいし、2種以上を併用してもよい。
【0041】前記式(6)におけるXの具体例として
は、上記構造式X−1〜9で表される芳香族系有機残基
が好適に挙げられる。前記式(6)におけるYの具体例
としては、上記構造式Y−1〜26で表される有機残基
が挙げられる。前記式(6)で表される繰り返し構造単
位を有する高分子化合物は、前記Xで表される基本構造
を有するテトラカルボン酸二無水物と、前記Yで表され
る基本構造を有するジアミンとから合成することができ
る。
【0042】前記式(7)〜(9)のいずれかで表され
るアミド酸構造を側鎖又は架橋部分に有する高分子化合
物における、X及びYの具体例としては、前記式(6)
におけるX及びYと同様である。Wの具体例としては、
上記化16に示す構造式で表される有機残基が挙げられ
る。Zの具体例としては、アルキル基、アリール基又は
アルアルキル基が挙げられ、より具体的には、メチル
基、エチル基、ベンジル基、p−メチルフェニル基、p
−メトキシフェニル基などが挙げられる。
【0043】前記式(7)〜(9)のいずれかで表され
るアミド酸構造を側鎖又は架橋部分に有する高分子化合
物における主鎖構造としては、特に制限はなく、例え
ば、ポリエチレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリア
クリレート系樹脂、ポリメタクリレート系樹脂、ポリカ
ーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース系
樹脂、シリコーン樹脂、ビニル系重合体、ポリアミド系
樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、
ポリウレア系樹脂又はこれらの共重合体などの構造が挙
げられる。
【0044】前記式(7)〜(9)のいずれかで表され
るアミド酸構造を側鎖又は架橋部分に有する高分子化合
物は、側鎖又は架橋部分にアミノ基を有する高分子と、
ジカルボン酸無水物又はテトラカルボン酸二無水物とを
反応させるか、側鎖又は架橋部分に酸無水物構造を有す
る高分子と、アミン又はジアミンとを反応させることに
より得ることができる。また、同様の反応をモノマーの
段階で行い、アミド酸構造を有するモノマーを合成した
後、このモノマーを重合することより、前記式(7)〜
(9)のいずれかで表されるアミド酸構造を側鎖又は架
橋部分に有する高分子化合物を得てもよい。
【0045】前記式(7)〜(9)のいずれかで表され
るアミド酸構造を側鎖又は架橋部分に有する高分子化合
物としては、磁性体の前駆体を十分に固溶し、加熱処理
又は化学処理により官能基が変化し、化学的性質が変化
し得るものであるのが好ましい。
【0046】前記式(10)で表される有機化合物にお
けるWの具体例としては、前記式(7)におけるWと同
様である。Uの具体例としては、アルキル基、アリール
基又はアルアルキル基が挙げられ、より具体的には、メ
チル基、エチル基、ベンジル基、p−メチルフェニル
基、p−メトキシフェニル基などが挙げられる。前記式
(10)で表される有機化合物は、前記Wで表される基
本構造を有するジカルボン酸無水物又はテトラカルボン
酸二無水物と、前記Uで表される基本構造を有するアミ
ン又はジアミンとを反応させることにより得られる。
【0047】前記磁性体の前駆体としては、使用する溶
媒に可溶、又は、前記官能基を有するマトリックス形成
性物質との相互作用により可溶であればよく、特に制限
はないが、例えば、金属ハロゲン化物、金属錯化合物、
金属アルコキシド、金属カルボン酸塩、キレート化合物
等の金属化合物などが挙げられる。これらの具体例とし
ては、FeCl3、FeCl2、CrCl2、CrCl3
CoCl2などの金属ハロゲン化物、Co(NO32
6H2O、Cr(NO33・9H2O、Fe(NO33
9H2Oなどの硝酸塩、下記式(A)〜(C)のいずれ
かで表される化合物などが挙げられる。 M(R1COO)n (A) M(R2COCR4COR3)n (B) (式中、R1、R2及びR3は、それぞれアルキル基又は
アリール基を表す。R4は、水素原子、アルキル基又は
アルコキシ基を表す。)
【0048】
【化17】
【0049】(式中、R5は、水素原子、アルキル基又
はアルコキシ基を表す。nは、1以上の整数を表す。)
【0050】前記式(A)で表される化合物としては、
以下の具体例が挙げられる。即ち、 金属プロピオネート: M(C25COO)n、 金属n−ブチレート: M(C37COO)n、 金属2−メチルプロピオネート: M[(CH32CH
COO]n、 金属n−ペンタネート: M(C49COO)n、 金属2−メチルブチレート: M[C25(CH3)C
HCOO]n、 金属3−メチルブチレート: M[(CH32CHCH
2COO]n、 金属ピバレート: M[(CH33CCOO]n、 金属n−ヘキサネート: M(C511COO)n、 金属n−オクタネート: M(C715COO)n、 金属2−エチルヘキサネート: M[C49CH(C2
5)COO]n、 金属n−デカネート: M(C919COO)n、 金属n−ドデカネート: M(C1123COO)n、 金属n−テトラデカネート: M(C1327COO)
n、 金属n−ヘキサデカネート: M(C1531COO)
n、 金属n−オクタデカネート: M(C1735COO)
n、 金属オレエート: M(C817CH=CHC714CO
O)n、 などが挙げられる。
【0051】前記式(B)で表される化合物としては、
以下の具体例が挙げられる。即ち、 金属2,4−ペンタンジオネート: M(CH3COC
HCOCH3)n、 金属3,5−ヘプタンジオネート: M(C25COC
HCOC25)n、 金属4,6−ノナンジオネート: M(C37COCH
COC37)n、 金属2,6−ジメチル−3,5−ヘプタンジオネート:
M[(CH32CHCOCHCOCH(CH32
n、 金属5,7−ウンデカンジオネート: M(C49CO
CHCOC49)n、 金属3,7−ジメチル−4,6−ノナンジオネート:
M[C25CH(CH3)COCHCOCH(CH3)C
25]n、 金属2,8−ジメチル−4,6−ノナンジオネート:
M[(CH32CHCH2COCHCOCHCH2CH
(CH32]n、 金属2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタン
ジオネート: M[(CH33COCHCOC(C
33]n、 金属3−メチル−2,4−ペンタンジオネート: M
(CH3COCCH3COCCH3)n、 金属4−メチル−3,5−ペンタンジオネート: M
(C25COCCH3COCC25)n、 金属5−メチル4,6−ノナンジオネート: M(C3
7COCCH3COCC37)n、 金属2,4,6−トリメチル−3,5−ヘプタンジオネ
ート: M[(CH32CHCOCCH3COCH(C
32]n、 金属6−メチル5,7−ウンデカンジオネート: M
(C49COCCH3COCC49)n、 金属3,5,7−トリメチル−4,6−ノナンジオネー
ト: M[C25CH(CH3)COCCH3COCH
(CH3)C25]n、 金属2,5,8−トリメチル−4,6−ノナンジオネー
ト: M[(CH32CHCH2COCCH3COCH2
CH(CH32]n、 金属2,2,4,6,6−ペンタメチル−3,5−ヘプ
タンジオネート: M[(CH33CCOCCH3CO
C(CH33]n、 などが挙げられる。
【0052】前記式(C)で表される化合物としては、
以下の具体例が挙げられる。即ち、式(D)で表される
金属(N−ベンジリデンアントラニレート)、式(E)
で表される金属[N−(p−メチルベンジリデン)アン
トラニレート]、式(F)で表される金属[N−(p−
エチルベンジリデン)アントラニレート]、式(G)で
表される金属[N−(p−プロピルベンジリデン)アン
トラニレート]、式(H)で表される金属[N−(p−
メトキシベンジリデン)アントラニレート]、式(I)
で表される金属[N−(p−エトキシベンジリデン)ア
ントラニレート]、式(J)で表される金属[N−(m
−メチルベンジリデン)アントラニレート]、式(K)
で表される金属[N−(o−メチルベンジリデン)アン
トラニレート]などが挙げられる。
【0053】
【化18】
【0054】
【化19】
【0055】(式中、nは、1以上の整数を表す。) 本発明においては、これらの中でも、金属アセチルアセ
トナート、金属2−エチルヘキサネートが好ましい。前
記磁性体の前駆体の前記混合溶液における含有量として
は、例えば、1〜90重量%が好ましく、5〜70重量
%がより好ましい。前記含有量が1重量%未満である
と、溶剤量が極端に多くなり、溶剤除去が困難になり易
く、90重量%を越えると、混合、溶解が困難になるこ
とがある。
【0056】前記混合溶液は、前記官能基を有するマト
リックス形成性物質と前記磁性体の前駆体とを、溶剤に
溶解することにより調製される。前記溶剤としては、例
えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、
n−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジメチ
ルスルホンアミド、m−クレゾール、p−クロロフェノ
ール、ジメチルイミダゾリン、テトラメチル尿素、ジグ
ライム、トリグライム、テトラグライム等の極性有機溶
剤などが挙げられる。前記混合溶液を調製する手法とし
ては、特に制限はなく、それ自体公知の方法に従い、そ
れ自体公知の装置、器具等を用いて行うことができる。
前記混合溶液を調製する際の各成分の添加順序として
は、特に制限はないが、前記磁性体の前駆体の溶解を促
進させる観点から、前記(6)〜(10)のいずれかで
表される高分子化合物又は有機化合物をはじめに添加し
ておくのが好ましい。なお、前記混合溶液中に含まれ
る、前記官能基を有するマトリックス形成性物質が、ア
ミド酸基を有する場合、前記混合溶液中においても、ま
た該混合溶液から前記溶剤を除去してなる固形混合物中
においても、前記磁性体の前駆体を比較的高濃度で安定
に溶解させることができる。
【0057】前記混合溶液中30℃での前記官能基を有
するマトリックス形成性物質の固有粘度[η]として
は、0.1〜6dl/gであるのが好ましい。前記固有
粘度[η]が、0.1dl/g未満であると、成膜性が
十分でないことがあり、6dl/gを越えると、塗布適
性に劣ることがある。前記固有粘度[η]の値は、種々
ポリマー濃度における相対粘度の測定値から計算した各
濃度での相対粘度又は還元比粘度を、濃度0に補正する
ことにより求められる値である。
【0058】本発明において、前記混合溶液は、通常加
熱等され、含まれる前記溶剤が除去されて固形混合物と
された後、必要に応じてさらに該固形混合物が粉砕等さ
れた後で、以下の加熱処理又は化学処理がなされる。ま
た、場合により、前記混合溶液は、スピンコーティング
やディップコーティング等のそれ自体公知の塗布方法等
によりフィルム状、ファイバー状等の所望の形状に塗布
等された後、以下の加熱処理又は化学処理がなされる。
なお、前記混合溶液は、通常、均一溶液であるが、使用
する前記磁性体の前駆体、前記溶剤等の種類によっては
スラリー等であってもよい。
【0059】−第2工程− 前記官能基の反応には、マトリックスを形成させる反応
と、磁性体微粒子を形成させる反応とが含まれる。な
お、本発明においては、前記マトリックスを形成させる
反応と、前記磁性体微粒を形成させる反応とが、同一で
あってもよいし、異なっていてもよい。また、前記両反
応は、同一の処理により同時に生ずるものであってもよ
いし、異なる処理により異なる時に生ずるものであって
もよい。
【0060】前記官能基の反応としては、例えば、特開
平7−244305号公報に記載された各種の反応など
が挙げられ、具体的には、分子内又は分子間における環
化反応、縮合反応、付加反応、脱離反応などが挙げられ
る。前記官能基の反応は、加熱処理、光、触媒等を利用
した化学処理などによって引き起こされる。
【0061】前記加熱処理は、加熱により、脱水閉環を
生じさせる処理である。前記加熱の温度としては、形成
されるマトリックス等が分解する温度以下であればよ
く、通常30〜400℃であり、好ましくは50〜30
0℃である。なお、この加熱の途中で温度を段階的に変
化させてもよい。前記化学処理は、溶剤に浸し、脱水閉
環を生じさせる処理である。前記溶剤としては、無水酢
酸・ピリジン混合溶剤、無水酢酸・ピリジン・ベンゼン
混合溶剤、無水酢酸・ピリジン・ジメチルアセトアミド
混合溶剤などが挙げられる。本発明においては、これら
の溶剤の中でも、無水酢酸・ピリジン混合溶剤が好まし
い。なお、前記無水酢酸・ピリジン混合溶剤における無
水酢酸とピリジンとの比(重量)は、1:1付近である
のが好ましい。前記加熱処理又は前記化学処理の時間と
しては、前記官能基の反応が終結する時間であり、特に
限定はないが、0.5〜48時間が好ましい。本発明に
おいては、これらの中でも、操作が簡便である点で加熱
処理が好ましい。
【0062】前記マトリックスを形成させる反応の具体
例としては、(A)加熱処理又は化学処理によるイミド
環形成反応、(B)カルボキシル基、アミノ基、ヒドロ
キシル基又はカルボン酸無水物基等の官能基とイソシア
ネート基又はエポキシ基等との反応、(C)アミノ化合
物の酸処理による酸付加塩形成反応、及び(D)その他
の反応が挙げられる。これらの中でも、硬度が高く、平
均粒径にバラツキがなく、耐久性に優れた磁性体分散型
微粒子を得ることができる点で、(A)加熱処理又は化
学処理によるイミド環形成反応が好ましい。
【0063】前記(A)の一例としては、以下に示す反
応が挙げられる。
【0064】
【化20】
【0065】(式中、nは、1以上の整数を表す。) このアミド酸構造における脱水閉環によりイミド環が形
成される反応は、例えば、前記式(6)〜(10)で表
される高分子化合物又は有機化合物のいずれを用いても
生じ得る。このイミド環形成反応により、マトリックス
形成性物質として使用される、前記式(6)〜(10)
のいずれかで表される高分子化合物又は有機化合物にお
けるアミド酸構造が消失し、それぞれ前記式(1)〜
(5)で表されるイミド環構造が形成され、該イミド環
を有するマトリックスが新たに形成される。
【0066】前記磁性体微粒子を形成させる反応とは、
前記磁性体の前駆体と前記官能基との相互作用を減少又
は消失させ磁性体微粒子の形成させる反応を意味する。
この反応の具体例としては、特開平7−244305号
公報に記載された種々の反応が挙げられる。なお、前記
反応の場合、前記官能基の反応前において前記官能基
は、前記磁性体の前駆体との相互作用によりその溶解を
助長してドープ量を促進させ、前記官能基の反応後にお
いて前記官能基は、磁性体微粒子を形成させる機能を有
する。この反応により、前記磁性体の前駆体が磁性体微
粒子に変化し、該磁性体微粒子が前記マトリックス中に
分散された状態で析出形成される。
【0067】なお、前記式(6)〜(10)で表される
高分子化合物又は有機化合物は、アミド酸であり、これ
らのアミド酸におけるアミド酸基は、前記混合溶液中に
おいて前記磁性体の前駆体の溶解を促進させる機能を有
し、前記加熱処理又は化学処理の後においてはそれぞれ
前記式(1)〜(5)で表されるイミド構造を有する化
合物に変化してマトリックスを形成させ、かつ、前記磁
性体微粒子を析出形成させる機能を有する。したがっ
て、マトリックス形成性物質が、前記式(6)で表され
る高分子化合物を少なくとも含んでなる場合、このマト
リックス形成性物質に加熱処理又は化学処理を行うと、
前記第一の態様の磁性体分散型キャリアが得られる。マ
トリックス形成性物質が、前記式(7)〜(9)のいず
れかで表される高分子化合物を少なくとも含んでなる場
合、このマトリックス形成性物質に加熱処理又は化学処
理を行うと、前記第二の態様の磁性体分散型キャリアが
得られる。マトリックス形成性物質が、前記式(10)
で表される有機化合物を少なくとも含んでなる場合、こ
のマトリックス形成性物質に加熱処理又は化学処理を行
うと、前記第三の態様の磁性体分散型キャリアが得られ
る。
【0068】なお、本発明においては、前記マトリック
ス形成性物質が、前記式(6)〜(10)で表される高
分子又は低分子アミド酸以外であって、前記磁性体の前
駆体との相互作用により前記磁性体の前駆体の溶解を促
進させ、かつ前記加熱処理又は化学処理等により、その
構造が変化して前記相互作用を減少又は消失させ、前記
磁性体微粒子を形成させ得る化合物、換言すると、前記
加熱処理又は化学処理の前において前記磁性体の前駆体
を十分に溶解促進し、後においては化学的性質が変化し
得る化合物を含有していてもよい。これらの化合物の前
記混合溶液における含有量としては、特に制限はない
が、前記磁性体の前駆体に対し、通常100当量以下で
あり、好ましくは10当量以下である。
【0069】第2工程において、前記官能基の反応の後
に、水素、水素化ホウ素ナトリウム等の還元剤による還
元処理、水蒸気/酸素混合気流化中での加熱による酸化
処理等の後処理を行い、磁性体微粒子を化学変化させた
りしてもよい。前記後処理を行うと、緻密な磁性体微粒
子を形成したり、マトリックスの導電率を向上させるこ
とができる。前記後処理における温度としては、マトリ
ックスの分解温度以下であり、時間その他の条件として
は、前記官能基の反応における条件と同様である。な
お、本発明においては、所望の平均粒径を有する磁性体
分散型キャリアを造粒するため、前記混合溶媒から前記
溶剤を除去して得られた固形混合物、又は、前記官能基
の反応により得られた反応生成物乃至磁性体分散型キャ
リアを、それ自体公知の粉砕方法に従って粉砕等するこ
とができる。前記粉砕は、例えば、乳鉢、ボールミル、
ジェットミル等のそれ自体公知の粉砕処理手段を用いて
行うことができる。磁性体分散型キャリアの粒度分布を
制御するには、例えば、前記粉砕後に分級等を行うのが
好ましい。本発明においては、さらに帯電性や粉体流動
性などの改善を目的として、得られた磁性体分散型キャ
リアの表面に、樹脂、カップリング剤、界面活性剤、帯
電制御剤、微粉末等で表面処理、被覆処理等を施しても
よい。本発明の磁性体分散型キャリアの製造方法におけ
る各工程は、通常の環境下で行ってもよいし、密閉系で
行ってもよい。
【0070】本発明の磁性体分散型キャリアの製造方法
においては、まず、前記マトリックス形成性物質と前記
磁性体の前駆体とを、前記溶剤中に溶解させ、これを混
合して均一な混合溶液を調製する。次に、この混合溶液
から、加熱蒸発法、真空蒸発法、再沈・炉過法、凍結乾
燥法などの公知の方法により、前記溶剤を除去する。そ
して、得られたマトリックス形成性物質と磁性体の前駆
体との混合物について、前記加熱処理又は前記化学処理
を施す。すると、前記混合物において、マトリックス形
成性物質における官能基が反応してマトリックスが形成
されると共に、磁性体微粒子が該マトリックス中に析出
形成される。次に、得られた混合物を、ジェットミル
法、ボールミル法などの公知の粉砕方法に従って粉砕す
ることにより、所望の平均粒径を有する本発明の磁性体
分散型キャリア粒子が製造される。なお、粒度分布の制
御された磁性体分散型キャリアを得るには、例えば、こ
こで分級等を行うとよい。以上、本発明の磁性体分散型
キャリアの製造方法により、本発明の磁性体分散型キャ
リアが製造される。本発明の磁性体分散型キャリアにお
いては、磁性体微粒子が凝集することなくマトリックス
中に均一に分散されており、しかも磁性体微粒子による
突起がないため、これを用いて画像形成を行うと、感光
体上に傷やフィルミング等を生じさせることがない。
【0071】<静電荷像現像剤>本発明の静電荷像現像
剤は、前記本発明の磁性体分散型キャリアと、トナーと
を含有してなる。前記磁性体分散型キャリアの平均粒
径、粒度分布等としては、特に制限はなく、所望の粒度
分布を有する磁性体分散型キャリアを使用してもよい
し、粒度分布の異なる複数種の磁性体分散型キャリアを
混合することにより、所望の粒径分布を有する磁性体分
散型キャリアとし、これを使用してもよい。
【0072】前記トナーとしては、特に制限はなくそれ
自体公知のトナーが挙げられる。前記トナーは、結着樹
脂と着色剤とを含有してなる。前記結着樹脂としては、
例えば、スチレン、クロロスチレン等のスチレン類、エ
チレン、プロピレン、ブチレン、イソプレン等のモノオ
レフィン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸
ビニル、酢酸ビニル等のビニルエステル、アクリル酸メ
チル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル
酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニ
ル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタク
リル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等のα−メチレン
脂肪族モノカルボン酸エステル、ビニルメチルエーテ
ル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等の
ビニルエーテル、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシル
ケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン
等の単独重合体又は共重合体が挙げられる。なお、特に
代表的な結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−
アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸
エステル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合
体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マ
レイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポ
リエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコン樹
脂、ポリアミド、変性ロジン、パラフィン、ワックス類
などが挙げられる。
【0073】前記着色剤としては、例えば、カーボンブ
ラック、ニグロシン、アニリンブルー、カルコイルブル
ー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポン
オイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロ
リド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーン・オ
キサレート、ランプブラック、ローズベンガル、C.
I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント
・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:
1、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグ
メント・イエロー12、C.I.ピグメント・ブルー1
5:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3などが挙
げられる。
【0074】前記トナーの平均粒径としては、通常30
μm以下であり、4〜20μmが好ましい。本発明の静
電荷像現像剤における、前記磁性体分散型キャリアと、
前記トナーとの混合比(磁性体分散型キャリア:トナ
ー)は、100:1〜40:60(重量比)程度である
のが好ましい。本発明の静電荷像現像剤は、必要に応じ
てそれ自体公知の帯電制御剤、定着助剤等の添加剤等を
含有することができる。本発明の静電荷像現像剤は、以
下の本発明の画像形成方法に好適に使用することができ
る。
【0075】<画像形成方法>本発明の画像形成方法
は、静電荷像担体上に静電荷潜像を形成する静電荷潜像
形成工程と、該静電荷潜像を現像剤担体上の現像剤層を
用いて現像する現像工程とを含んでなる。本発明の画像
形成方法においては、現像剤担体上の現像剤層における
現像剤として、前記本発明の静電荷像現像剤を用いる。
本発明の画像形成方法は、それ自体公知のコピー機、フ
ァクシミリ機等の画像形成装置を用いて好適に実施する
ことができる。
【0076】
【実施例】以下、本発明の実施例につき説明する。本発
明は、これらの実施例により何ら制限されるものではな
い。
【0077】(実施例1)乾燥窒素気流下にて、溶剤と
してのジメチルアセトアミド200ml中に下記式
(a)で表されるジアミノジフェニルエーテル10.0
0gを完全に溶解した後、この溶液に、下記式(b)で
表されるピロメリット酸二無水物10.80gを徐々に
添加した。この溶液を、10〜15℃に保ちながら1時
間ゆっくりと攪拌し、さらに20〜25℃に保ちながら
2時間攪拌して、下記式(c)で表される高分子化合物
の含有液を調製した。次に、この高分子化合物の含有液
に、トリス−アセチルアセトナート鉄8.80gを添加
した。トリス−アセチルアセトナート鉄は、完全に溶解
し、濃い赤紫色の粘調な混合溶液が調製された。なお、
この混合溶液中30℃での下記式(c)で表される高分
子化合物の固有粘度[η]は、2.3dl/gであっ
た。この混合溶液をロータリーエバポレーターを用い
て、真空下で70℃に加熱し、含まれる溶剤を除去し
た。
【0078】
【化21】
【0079】
【化22】
【0080】(式中、nは、約500である。)
【0081】得られた固形混合物を、乳鉢を用いて軽く
粉砕した後、70℃で2時間、真空乾燥を行った。得ら
れた乾燥粉砕物について、析出形成物の有無をX線回折
法により調べたところ、結晶性物質の存在は何ら認めら
れなかった。この乾燥粉砕物を、大気雰囲気中で、それ
ぞれ100℃で1時間、200℃で1時間、300℃で
1時間、この順に計3段の加熱処理を行い、前記式
(c)で表される高分子化合物におけるアミド酸基を反
応させた。
【0082】この加熱処理の結果、黒色、粉末状の反応
生成物が得られた。この反応生成物について、析出形成
物の有無をX線回折法により調べた。その結果、得られ
たX線回折パターンを図1に示した。その結果、2シー
タで30.26°と35.5°の明瞭な回折ピークが認
められ、酸化鉄(Fe34)微粒子が析出形成されてい
ることが確認された。また、この反応生成物について、
透過電子顕微鏡により酸化鉄(Fe34)微粒子の平均
粒径を調べたところ、20〜30nm程度であることが
分かった。なお、前記反応生成物においては、酸化鉄
(Fe34)微粒子は、凝集せず、均一に分散している
のが確認された。
【0083】次に、前記反応生成物を、回転式ボールミ
ルを用いて粉砕した後、分級し、平均粒径が50μmで
ある磁性体分散型キャリアを得た。得られた磁性体分散
型キャリアについての、磁化率曲線を図2に示した。こ
の磁化率曲線においては、明瞭なヒステリシスが認めら
れ、この磁性体分散型キャリアが強磁性を示すことが確
認された。この磁性体分散型キャリアの表面を、走査型
電子顕微鏡により観察したところ、走査型電子顕微鏡の
分解能において、酸化鉄(Fe34)微粒子によると思
われる突起は認められなかった。一方、得られた磁性体
分散型キャリア95重量%と、スチレン−n−ブチルア
クリレート系樹脂及びカーボンブラックからなり、平均
粒径が10μmであるトナー5重量%とを含有してなる
静電荷像現像剤を用い、市販の電子写真複写機にて10
万枚の複写を行ったが、感光体上に傷やフィルミング等
の損傷は生じなかった。
【0084】(実施例2)乾燥窒素気流下にて、溶剤と
してのジメチルアセトアミド200ml中に下記式
(d)で表される2,2−ビス[4−(4−アミノフェ
ノキシ)フェニル]ヘキサフロロプロパン10.28g
を完全に溶解した後、この溶液に、下記式(e)で表さ
れる4,4′−(ヘキサフロロイソプロピリデン)無水
フタル酸8.88gを徐々に添加した。この溶液を、1
0〜15℃に保ちながら1時間ゆっくりと攪拌し、さら
に20〜25℃に保ちながら2時間攪拌して、下記式
(f)で示される高分子化合物の含有液を調製した。次
に、この高分子化合物の含有液に、トリス−アセチルア
セトナート鉄8.80gを添加した。トリス−アセチル
アセトナート鉄は、完全に溶解し、赤紫色で透明な混合
溶液が調製された。なお、この混合溶液中30℃での下
記式(f)で表される高分子化合物の固有粘度[η]
は、1.7dl/gであった。この混合溶液をロータリ
ーエバポレーターを用いて、真空下で70℃に加熱し、
含まれる溶剤を除去した。
【0085】
【化23】
【0086】
【化24】
【0087】(式中、nは、約300である。) 得られた固形混合物を、乳鉢を用いて軽く粉砕した後、
70℃で2時間、真空乾燥を行った。この乾燥粉砕物
を、大気雰囲気中で、それぞれ100℃で1時間、20
0℃で1時間、300℃で1時間、この順に計3段の加
熱処理を行い、前記式(f)で表される高分子化合物に
おけるアミド酸基を反応させた。
【0088】この加熱処理の結果、黒色、粉末状の反応
生成物が得られた。この反応生成物について、析出形成
物の有無をX線回折法により調べたところ、酸化鉄(F
34)微粒子が析出形成されていることが確認され
た。また、この反応生成物について、透過電子顕微鏡に
より酸化鉄(Fe34)微粒子の平均粒径を調べたとこ
ろ、20〜30nm程度であることが分かった。なお、
前記反応生成物においては、酸化鉄(Fe34)微粒子
は、凝集せず、均一に分散しているのが確認された。
【0089】次に、前記反応生成物を、回転式ボールミ
ルを用いて粉砕した後、分級し、平均粒径が50μmで
ある磁性体分散型キャリアを得た。得られた磁性体分散
型キャリアについて、磁化率曲線を測定したところ、明
瞭なヒステリシスが認められ強磁性を示すことが確認さ
れた。この磁性体分散型キャリアの表面を、走査型電子
顕微鏡により観察したところ、走査型電子顕微鏡の分解
能において、酸化鉄(Fe34)微粒子によると思われ
る突起は認められなかった。一方、実施例1と同様にし
て静電荷像現像剤を調製し、これを用いて市販の電子写
真複写機にて10万枚の複写を行ったが、感光体上に傷
やフィルミング等の損傷は生じなかった。
【0090】(実施例3)乾燥窒素気流下にて、溶剤と
してのジメチルホルムアミド100ml中にポリ−p−
アミノスチレン(C.Kotlarchik、L.M.
Minsk:J.Polymer Sci.Poly
m.Chem.Ed.,13,1743(1975)に
記載の方法により合成)3.5gを完全に溶解した後、
この溶液に、下記式(g)で表される無水フタル酸1.
9gを徐々に添加した。次に、この溶液に、トリス−ア
セチルアセトナート鉄4.00gを添加した。トリス−
アセチルアセトナート鉄は、完全に溶解し、赤紫色で透
明な混合溶液が調製された。なお、この混合溶液中30
℃でのアミド酸構造物の固有粘度[η]は、1.4dl
/gであった。この混合溶液をロータリーエバポレータ
ーを用いて、真空下で70℃に加熱し、含まれる溶剤を
除去した。
【0091】
【化25】
【0092】得られた固形混合物を、乳鉢を用いて軽く
粉砕した後、70℃で2時間、真空乾燥を行った。この
乾燥粉砕物を、大気雰囲気中で、それぞれ100℃で1
時間、200℃で1時間、300℃で1時間、この順に
計3段の加熱処理を行った。
【0093】この加熱処理の結果、黒色、粉末状の反応
生成物が得られた。この反応生成物について、析出形成
物の有無をX線回折法により調べたところ、酸化鉄(F
34)微粒子が析出形成されていることが確認され
た。また、この反応生成物について、透過電子顕微鏡に
より酸化鉄(Fe34)微粒子の平均粒径を調べたとこ
ろ、20〜30nm程度であることが分かった。なお、
前記反応生成物においては、酸化鉄(Fe34)微粒子
は、凝集せず、均一に分散しているのが確認された。
【0094】次に、前記反応生成物を、回転式ボールミ
ルを用いて粉砕した後、分級し、平均粒径が50μmで
ある磁性体分散型キャリアを得た。得られた磁性体分散
型キャリアについて、磁化率曲線を測定したところ、明
瞭なヒステリシスが認められ強磁性を示すことが確認さ
れた。この磁性体分散型キャリアの表面を、走査型電子
顕微鏡により観察したところ、走査型電子顕微鏡の分解
能において、酸化鉄(Fe34)微粒子によると思われ
る突起は認められなかった。一方、実施例1と同様にし
て静電荷像現像剤を調製し、これを用いて市販の電子写
真複写機にて10万枚の複写を行ったが、感光体上に傷
やフィルミング等の損傷は生じなかった。
【0095】(実施例4)乾燥窒素気流下にて、溶剤と
してのジメチルホルムアミド100ml中に下記式
(h)で示されるポリアミドイミド(C.J.Huan
g,et al.:J.Appl.Polym.Sc
i.,42,2267(1991)に記載の方法によっ
て合成。N−メチル−2−ピロリドン中30℃での固有
粘度1.42dl/g)20gを完全に溶解した後、こ
の溶液に、前記式(g)で表される無水フタル酸1.9
gを徐々に添加した。次に、この溶液に、トリス−アセ
チルアセトナート鉄4.00gを添加した。トリス−ア
セチルアセトナート鉄は、完全に溶解し、赤紫色で透明
な混合溶液が調製された。この混合溶液をロータリーエ
バポレーターを用いて、70℃、2時間真空乾燥し、含
まれる溶剤を除去した。
【0096】
【化26】
【0097】(式中、dは、約300である。) 得られた乾燥粉砕物を、大気雰囲気中で、それぞれ10
0℃で1時間、200℃で1時間、300℃で1時間、
この順に計3段の加熱処理を行った。
【0098】この加熱処理の結果、黒色、粉末状の反応
生成物が得られた。この反応生成物について、析出形成
物の有無をX線回折法により調べたところ、酸化鉄(F
34)微粒子が析出形成されていることが確認され
た。また、この反応生成物について、透過電子顕微鏡に
より酸化鉄(Fe34)微粒子の平均粒径を調べたとこ
ろ、10〜30nm程度であることが分かった。なお、
前記反応生成物においては、酸化鉄(Fe34)微粒子
は、凝集せず、均一に分散しているのが確認された。
【0099】次に、前記反応生成物を、回転式ボールミ
ルを用いて粉砕した後、分級し、平均粒径が50μmで
ある磁性体分散型キャリアを得た。得られた磁性体分散
型キャリアについて、磁化率曲線を測定したところ、明
瞭なヒステリシスが認められ強磁性を示すことが確認さ
れた。この磁性体分散型キャリアの表面を、走査型電子
顕微鏡により観察したところ、走査型電子顕微鏡の分解
能において、酸化鉄(Fe34)微粒子によると思われ
る突起は認められなかった。一方、実施例1と同様にし
て静電荷像現像剤を調製し、これを用いて市販の電子写
真複写機にて10万枚の複写を行ったが、感光体上に傷
やフィルミング等の損傷は生じなかった。
【0100】(実施例5)乾燥窒素気流下にて、溶剤と
してのジメチルホルムアミド100ml中に前記式
(h)で示されるポリアミドイミド20gを完全に溶解
した後、この溶液に、下記式(i)で示される化合物
(M.H.Kailani,et al.:Macro
molecules,25,3751(1992)に記
載の方法に従って合成)1.5gを徐々に添加した。次
に、この溶液に、トリス−アセチルアセトナート鉄4.
00gを添加した。トリス−アセチルアセトナート鉄
は、完全に溶解し、赤紫色で透明な混合溶液が調製され
た。なお、この混合溶液中30℃でのアミド酸構造物の
固有粘度[η]は、1.4dl/gであった。この混合
溶液をロータリーエバポレーターを用いて、70℃、2
時間真空乾燥し、含まれる溶剤を除去した。
【0101】
【化27】
【0102】得られた乾燥粉砕物を、大気雰囲気中で、
それぞれ100℃で1時間、200℃で1時間、300
℃で1時間、この順に計3段の加熱処理を行った。
【0103】この加熱処理の結果、黒色、粉末状の反応
生成物が得られた。この反応生成物について、析出形成
物の有無をX線回折法により調べたところ、酸化鉄(F
34)微粒子が析出形成されていることが確認され
た。また、この反応生成物について、透過電子顕微鏡に
より酸化鉄(Fe34)微粒子の平均粒径を調べたとこ
ろ、10〜50nm程度であることが分かった。なお、
前記反応生成物においては、酸化鉄(Fe34)微粒子
は、凝集せず、均一に分散しているのが確認された。
【0104】次に、前記反応生成物を、回転式ボールミ
ルを用いて粉砕した後、分級し、平均粒径が50μmで
ある磁性体分散型キャリアを得た。得られた磁性体分散
型キャリアについて、磁化率曲線を測定したところ、明
瞭なヒステリシスが認められ強磁性を示すことが確認さ
れた。この磁性体分散型キャリアの表面を、走査型電子
顕微鏡により観察したところ、走査型電子顕微鏡の分解
能において、酸化鉄(Fe34)微粒子によると思われ
る突起は認められなかった。一方、実施例1と同様にし
て静電荷像現像剤を調製し、これを用いて市販の電子写
真複写機にて10万枚の複写を行ったが、感光体上に傷
やフィルミング等の損傷は生じなかった。
【0105】(比較例1)スチレン・アクリル酸エステ
ル共重合体樹脂(グッドイヤー社製:ブライオライトA
C)75重量%、及び、磁性酸化鉄微粉(平均粒径0.
4μm)25重量%を加熱混練後、粉砕し、得られた粉
末を分級して平均粒径50μmのキャリア粒子を得た。
このキャリアの透過電子顕微鏡により磁性粉の平均粒
径、磁性粉の分散状態を調べたところ、100〜700
nm程度の粒子が、凝集して、あるいは連なるようにし
て、不均一に分散していることが確認された。このキャ
リアの表面を走査型電子顕微鏡により観察したところ、
析出粒子によると思われる突起の存在が確認された。一
方、得られたキャリアを市販の電子写真複写機に用い
て、10万枚の複写を行ったところ、感光体上にキズや
フィルミング等の損傷が発生した。
【0106】
【発明の効果】本発明によると、前記従来における諸問
題を解決することができる。また、本発明によると、磁
性体微粒子が凝集することなくマトリックス中に均一に
分散され、磁性体微粒子による突起がないため、感光体
上に傷やフィルミング等を生じさせることがなく、電子
写真法、静電記録法等により形成される静電潜像を現像
する際に好適に使用可能で、しかも生産性、加工性等に
優れ、現像剤を長寿命化し得る磁性体分散型キャリア及
びその製造方法、前記磁性体分散型キャリアを用いた静
電荷像現像剤、並びに、前記静電荷像現像剤を用いた画
像形成方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例1において得られた磁性体分散
型キャリアのX線回折パターンを示す図である。
【図2】図2は、実施例1において得られた磁性体分散
型キャリアの磁化率曲線を示す図である。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 官能基を有するマトリックス形成性物質
    における該官能基の反応により形成された磁性体微粒子
    がマトリックス中に分散されてなることを特徴とする磁
    性体分散型キャリア。
  2. 【請求項2】 官能基の反応が、イミド環形成反応であ
    る請求項1に記載の磁性体分散型キャリア。
  3. 【請求項3】 マトリックスが、式(1)で表される繰
    り返し構造単位を有する高分子化合物を含んでなる請求
    項1又は2に記載の磁性体分散型キャリア。 【化1】 (式中、Xは、炭素数が2以上の4価の有機基を表す。
    Yは、炭素数が2以上の2価の有機基を表す)
  4. 【請求項4】 マトリックスが、式(2)〜(4)のい
    ずれかで表されるイミド構造を側鎖又は架橋部分に有す
    る高分子化合物を含んでなる請求項1又は2に記載の磁
    性体分散型キャリア。 【化2】 (式中、Xは、炭素数が2以上の4価の有機基を表す。
    Yは、炭素数が2以上の2価の有機基を表す。Wは、カ
    ルボニル基と結合してイミド環を形成する炭素数2以上
    の有機基を表す。Zは、アルキル基、アリール基又はア
    ルアルキル基を表す。)
  5. 【請求項5】 マトリックスが、式(5)で表される有
    機化合物を含んでなる請求項1又は2に記載の磁性体分
    散型キャリア。 【化3】 (式中、Wは、カルボニル基と結合してイミド環を形成
    する炭素数2以上の有機基を表す。Uは、1価の有機基
    であり、イミド環が置換されていてもよい。)
  6. 【請求項6】 官能基を有するマトリックス形成性物質
    と磁性体の前駆体との混合溶液を調製する工程、及び、
    該官能基を反応させてマトリックスを形成させると共に
    磁性体微粒子を該マトリックス中に分散状態で形成させ
    る工程を含むことを特徴とする磁性体分散型キャリアの
    製造方法。
  7. 【請求項7】 官能基の反応が、イミド環形成反応であ
    る請求項6に記載の磁性体分散型キャリアの製造方法。
  8. 【請求項8】 官能基を有するマトリックス形成性物質
    が、式(6)で表される繰り返し構造単位を有する高分
    子化合物を含んでなる請求項6又は7に記載の磁性体分
    散型キャリアの製造方法。 【化4】 (式中、Xは、炭素数が2以上の4価の有機基を表す。
    Yは、炭素数が2以上の2価の有機基を表す。)
  9. 【請求項9】 官能基を有するマトリックス形成性物質
    が、式(7)〜(9)のいずれかで表されるアミド酸構
    造を側鎖又は架橋部分に有する高分子化合物を含んでな
    る請求項6又は7に記載の磁性体分散型キャリアの製造
    方法。 【化5】 (式中、Xは、炭素数が2以上の4価の有機基を表す。
    Yは、炭素数が2以上の2価の有機基を表す。Wは、カ
    ルボニル基と結合してイミド環を形成する炭素数2以上
    の有機基を表す。Zは、アルキル基、アリール基又はア
    ルアルキル基を表す。)
  10. 【請求項10】 官能基を有するマトリックス形成性物
    質が、式(10)で表される有機化合物を含んでなる請
    求項6又は7に記載の磁性体分散型キャリアの製造方
    法。 【化6】 (式中、Wは、カルボニル基と結合してイミド環を形成
    する炭素数2以上の有機基を表す。Uは、イミド環形成
    可能な置換基を有してもよい有機基を表す。)
  11. 【請求項11】 請求項1から5のいずれかに記載の磁
    性体分散型キャリアと、トナーとを含んでなることを特
    徴とする静電荷像現像剤。
  12. 【請求項12】 現像剤担体上の現像剤層を用いて静電
    荷像担体上に形成された静電荷潜像を現像する画像形成
    方法において、該現像剤が、請求項11に記載の静電荷
    像現像剤であることを特徴とする画像形成方法。
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