JPH10107363A - 半導体レーザ素子の製造方法 - Google Patents
半導体レーザ素子の製造方法Info
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- JPH10107363A JPH10107363A JP25461796A JP25461796A JPH10107363A JP H10107363 A JPH10107363 A JP H10107363A JP 25461796 A JP25461796 A JP 25461796A JP 25461796 A JP25461796 A JP 25461796A JP H10107363 A JPH10107363 A JP H10107363A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 半導体レーザの共振器端面及び結晶内部の劣
化を抑制し、高出力長期安定動作を実現する。 【解決手段】 一対の共振器端面を有している半導体レ
ーザ素子の製造過程において、レーザ素子本体の水素ラ
ジカル中での熱処理を少なくとも1回行う。
化を抑制し、高出力長期安定動作を実現する。 【解決手段】 一対の共振器端面を有している半導体レ
ーザ素子の製造過程において、レーザ素子本体の水素ラ
ジカル中での熱処理を少なくとも1回行う。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体レーザの共
振器端面及び結晶内部の劣化を抑制し、高出力長期安定
動作を実現するための製造方法に関する。
振器端面及び結晶内部の劣化を抑制し、高出力長期安定
動作を実現するための製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】AlGaAs及びAlGaInP系の半
導体材料によって構成された半導体レーザ素子において
は、光出力の増加に伴って共振器端面の劣化(光学損
傷、Catastrophic Optical Damage;COD)が生じる
ことが知られている。この光学損傷は高出力動作に伴っ
た共振器端面の温度上昇に起因している。つまり、共振
器端面に存在する表面準位を介してレーザ光が吸収さ
れ、局所的に発熱する。この光吸収に基づく共振器端面
の発熱現象は、共振器端面に存在する転位及び空格子等
の結晶欠陥によっても促進される。この温度上昇によっ
て共振器端面近傍の禁制帯幅が縮小して更に光吸収が増
加し、端面温度が上昇する。この正帰還ループによっ
て、ついには共振器端面が溶融して劣化が生じる。
導体材料によって構成された半導体レーザ素子において
は、光出力の増加に伴って共振器端面の劣化(光学損
傷、Catastrophic Optical Damage;COD)が生じる
ことが知られている。この光学損傷は高出力動作に伴っ
た共振器端面の温度上昇に起因している。つまり、共振
器端面に存在する表面準位を介してレーザ光が吸収さ
れ、局所的に発熱する。この光吸収に基づく共振器端面
の発熱現象は、共振器端面に存在する転位及び空格子等
の結晶欠陥によっても促進される。この温度上昇によっ
て共振器端面近傍の禁制帯幅が縮小して更に光吸収が増
加し、端面温度が上昇する。この正帰還ループによっ
て、ついには共振器端面が溶融して劣化が生じる。
【0003】従来、共振器端面での光吸収を抑制するた
めに、レーザ光に対して透明な材料を共振器端面に形成
する種々の窓構造が試みられている。例えば、1989
年のアイ・イー・イー・イー・ジャーナル・クオンタム
・エレクトロニクス(IEEE J. Quantum Electron.)第
25巻1495〜1499頁の報告によれば、共振器端
面での光吸収を抑制するための窓構造を形成するため、
活性領域における共振器端面のパターニング、選択エッ
チング、及び埋め込み再成長のプロセスが施されてい
る。つまり、図6に示すように、p−GaAs基板61
上にメサ構造62を形成した後(工程(a))、液相エ
ピタキシ成長によりn−GaAsブロッキング層63を
形成する(工程(b))。次にエッチングによりリッジ
構造64を形成した後(工程(c))、再び液相エピタ
キシ成長によりp−GaAlAsクラッド層65、p−
GaAlAs光ガイド層66、GaAlAs活性層6
7、n−GaAlAs光閉じ込め層68、n−GaAl
Asバッファ層69を順次積層する(工程(d))。こ
のように形成される共振器端面をパターニング、選択エ
ッチングし(工程(e))、最後にMOCVD成長によ
りn−GaAlAsクラッド層70およびn−GaAs
コンタクト層71を再成長させ窓構造を形成している
(工程(f))。
めに、レーザ光に対して透明な材料を共振器端面に形成
する種々の窓構造が試みられている。例えば、1989
年のアイ・イー・イー・イー・ジャーナル・クオンタム
・エレクトロニクス(IEEE J. Quantum Electron.)第
25巻1495〜1499頁の報告によれば、共振器端
面での光吸収を抑制するための窓構造を形成するため、
活性領域における共振器端面のパターニング、選択エッ
チング、及び埋め込み再成長のプロセスが施されてい
る。つまり、図6に示すように、p−GaAs基板61
上にメサ構造62を形成した後(工程(a))、液相エ
ピタキシ成長によりn−GaAsブロッキング層63を
形成する(工程(b))。次にエッチングによりリッジ
構造64を形成した後(工程(c))、再び液相エピタ
キシ成長によりp−GaAlAsクラッド層65、p−
GaAlAs光ガイド層66、GaAlAs活性層6
7、n−GaAlAs光閉じ込め層68、n−GaAl
Asバッファ層69を順次積層する(工程(d))。こ
のように形成される共振器端面をパターニング、選択エ
ッチングし(工程(e))、最後にMOCVD成長によ
りn−GaAlAsクラッド層70およびn−GaAs
コンタクト層71を再成長させ窓構造を形成している
(工程(f))。
【0004】しかし、この方法をAl系の材料を用いた
半導体レ−ザに適用した場合には、再成長界面に強固な
酸化膜が形成されるために再成長界面は結晶欠陥の多い
窓構造となる。これらの結晶欠陥は光吸収を増加させる
ために、COD劣化を効果的に抑制することはできな
い。また、窓構造を加えることによって、レーザ素子構
造は大変複雑になり、各工程の歩留まりによって生産性
を著しく低下させる欠点がある。
半導体レ−ザに適用した場合には、再成長界面に強固な
酸化膜が形成されるために再成長界面は結晶欠陥の多い
窓構造となる。これらの結晶欠陥は光吸収を増加させる
ために、COD劣化を効果的に抑制することはできな
い。また、窓構造を加えることによって、レーザ素子構
造は大変複雑になり、各工程の歩留まりによって生産性
を著しく低下させる欠点がある。
【0005】また、誘電体膜を共振器端面に積層するパ
ッシベーション方法も知られているが、この方法では、
共振器端面の反射率の制御、及び大気中からの酸化促進
を抑制する機能しかない。よって、通常の誘電体膜パッ
シベーションではCOD劣化を効果的に抑制することは
できない。
ッシベーション方法も知られているが、この方法では、
共振器端面の反射率の制御、及び大気中からの酸化促進
を抑制する機能しかない。よって、通常の誘電体膜パッ
シベーションではCOD劣化を効果的に抑制することは
できない。
【0006】一方、AlGaAs及びAlGaInP系
の半導体材料では再成長を行う際に、再成長界面には強
固な自然酸化膜が形成されているために、その界面には
転位等の結晶欠陥が発生しやすい。これらの再成長界面
で発生した結晶欠陥は、レーザ素子を駆動している時に
増殖し、やがてはレーザ素子の特性を劣化させる。つま
り、再成長界面に結晶欠陥が存在する場合には、レーザ
素子の長期信頼性を実現することはできない。
の半導体材料では再成長を行う際に、再成長界面には強
固な自然酸化膜が形成されているために、その界面には
転位等の結晶欠陥が発生しやすい。これらの再成長界面
で発生した結晶欠陥は、レーザ素子を駆動している時に
増殖し、やがてはレーザ素子の特性を劣化させる。つま
り、再成長界面に結晶欠陥が存在する場合には、レーザ
素子の長期信頼性を実現することはできない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、従
来、半導体レーザ素子の製造過程における誘電体膜パッ
シベーション、埋め込み再成長等の加工プロセスを通し
て、転位、空格子、及び格子間原子等の結晶欠陥がレー
ザ素子に発生・導入される。これらの過程で発生した結
晶欠陥はレーザ素子動作中に増殖し、やがてはレーザ素
子の特性を劣化させる。つまり、結晶欠陥が内在するレ
ーザ素子は長期安定動作させることができない。
来、半導体レーザ素子の製造過程における誘電体膜パッ
シベーション、埋め込み再成長等の加工プロセスを通し
て、転位、空格子、及び格子間原子等の結晶欠陥がレー
ザ素子に発生・導入される。これらの過程で発生した結
晶欠陥はレーザ素子動作中に増殖し、やがてはレーザ素
子の特性を劣化させる。つまり、結晶欠陥が内在するレ
ーザ素子は長期安定動作させることができない。
【0008】本発明の目的は、レーザ素子の加工プロセ
スで発生した結晶欠陥の増殖を抑制し、高出力で長期安
定動作するレーザ素子を歩留まり良く生産できる方法を
提供するものである。
スで発生した結晶欠陥の増殖を抑制し、高出力で長期安
定動作するレーザ素子を歩留まり良く生産できる方法を
提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、レーザ素子の
共振器端面における誘電体膜パッシベーション、又はレ
ーザ素子本体における再成長、又は不純物原子のイオン
注入及び熱拡散等の加工プロセスの中で、少なくとも一
つのプロセスをレーザ素子に行った後に、レーザ素子本
体を水素ラジカル中で熱処理することを特徴とする半導
体レーザ素子の製造方法である。本発明の方法を実施す
るにより、レーザ素子内部に存在する結晶欠陥の増殖を
抑制して、高出力で長期安定動作を実現することができ
る。
共振器端面における誘電体膜パッシベーション、又はレ
ーザ素子本体における再成長、又は不純物原子のイオン
注入及び熱拡散等の加工プロセスの中で、少なくとも一
つのプロセスをレーザ素子に行った後に、レーザ素子本
体を水素ラジカル中で熱処理することを特徴とする半導
体レーザ素子の製造方法である。本発明の方法を実施す
るにより、レーザ素子内部に存在する結晶欠陥の増殖を
抑制して、高出力で長期安定動作を実現することができ
る。
【0010】
【発明の実施の形態】従来、半導体レーザ素子における
共振器端面の劣化を抑制するために、レーザ光に対して
透明な材料を共振器端面に形成する種々の窓構造が提案
されてきた。しかし、窓構造を形成するためにはレーザ
素子の活性領域へのパターニング、選択エッチング、及
び埋め込み再成長等の加工プロセスが必要であった。こ
れらのプロセスにより、特にAl系の材料を有するレー
ザ素子では再成長界面に強固な自然酸化膜が形成される
ために、この酸化膜に起因して埋め込み界面には転位や
空格子等の結晶欠陥が発生する。これらの結晶欠陥は、
共振器端面での光吸収を増加させるために、充分なCO
D劣化抑制効果を得ることはできなかった。更に、これ
らの窓構造はレーザ素子構造を複雑にし、各工程の歩留
まりによって生産性を著しく低下させていた。
共振器端面の劣化を抑制するために、レーザ光に対して
透明な材料を共振器端面に形成する種々の窓構造が提案
されてきた。しかし、窓構造を形成するためにはレーザ
素子の活性領域へのパターニング、選択エッチング、及
び埋め込み再成長等の加工プロセスが必要であった。こ
れらのプロセスにより、特にAl系の材料を有するレー
ザ素子では再成長界面に強固な自然酸化膜が形成される
ために、この酸化膜に起因して埋め込み界面には転位や
空格子等の結晶欠陥が発生する。これらの結晶欠陥は、
共振器端面での光吸収を増加させるために、充分なCO
D劣化抑制効果を得ることはできなかった。更に、これ
らの窓構造はレーザ素子構造を複雑にし、各工程の歩留
まりによって生産性を著しく低下させていた。
【0011】また、通常行われる誘電体膜パッシベーシ
ョンでは、自然酸化膜及び成膜時のダメージに起因して
共振器端面に空格子及び格子間原子等の結晶欠陥が導入
される。これらの結晶欠陥は、レーザ素子駆動中に増殖
し、やがてはレーザ素子の特性を劣化させる。
ョンでは、自然酸化膜及び成膜時のダメージに起因して
共振器端面に空格子及び格子間原子等の結晶欠陥が導入
される。これらの結晶欠陥は、レーザ素子駆動中に増殖
し、やがてはレーザ素子の特性を劣化させる。
【0012】しかし、本発明では水素ラジカル中で熱処
理することによって、誘電体膜を成膜するときに共振器
端面に発生した結晶欠陥、及び埋め込み再成長界面に発
生した結晶欠陥の増殖を同時に抑制することができる。
つまり、結晶欠陥として半導体結晶内部に存在する結合
の切れたボンドと、結晶内部を拡散した水素ラジカルが
化学的に結合し不活性化することにより、その後の欠陥
増殖を抑制する。共振器端面では、誘電体膜の成膜時に
発生した結晶欠陥の増殖が抑制されるために、より高出
力でレーザ素子の駆動が可能となる。また、埋め込み再
成長界面での結晶欠陥を不活性化することにより、発光
特性において導波路損失を低減することができ、発光効
率を改善することができる。更に、結晶欠陥の増殖を抑
制できることから、長期安定動作を実現することができ
る。なお、本発明は複雑な加工プロセスはなく、従来と
同じ工程でレーザ素子を製作できることから、生産性を
低下させることはない。また、多種多様の半導体レーザ
素子において幅広い適用性を有している。
理することによって、誘電体膜を成膜するときに共振器
端面に発生した結晶欠陥、及び埋め込み再成長界面に発
生した結晶欠陥の増殖を同時に抑制することができる。
つまり、結晶欠陥として半導体結晶内部に存在する結合
の切れたボンドと、結晶内部を拡散した水素ラジカルが
化学的に結合し不活性化することにより、その後の欠陥
増殖を抑制する。共振器端面では、誘電体膜の成膜時に
発生した結晶欠陥の増殖が抑制されるために、より高出
力でレーザ素子の駆動が可能となる。また、埋め込み再
成長界面での結晶欠陥を不活性化することにより、発光
特性において導波路損失を低減することができ、発光効
率を改善することができる。更に、結晶欠陥の増殖を抑
制できることから、長期安定動作を実現することができ
る。なお、本発明は複雑な加工プロセスはなく、従来と
同じ工程でレーザ素子を製作できることから、生産性を
低下させることはない。また、多種多様の半導体レーザ
素子において幅広い適用性を有している。
【0013】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるもので
はない。
るが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるもので
はない。
【0014】実施例1 まず、InGaAs歪量子井戸構造を有する発振波長
0.98μm帯の横モード制御型半導体レーザウエハの
製造方法について述べる。なお、ここではレーザ素子の
共振器端面に誘電体膜を成膜させた後に、水素ラジカル
中で熱処理することによって、誘電体膜の成膜時に共振
器端面に発生・導入された空格子等の結晶欠陥の増殖を
抑制する方法について述べる。
0.98μm帯の横モード制御型半導体レーザウエハの
製造方法について述べる。なお、ここではレーザ素子の
共振器端面に誘電体膜を成膜させた後に、水素ラジカル
中で熱処理することによって、誘電体膜の成膜時に共振
器端面に発生・導入された空格子等の結晶欠陥の増殖を
抑制する方法について述べる。
【0015】図1に、半導体レーザウエハの断面構造を
示す。半導体レーザウエハは、常圧MOVPE装置によ
って成長する。例えば、SiドープしたGaAs(00
1)基板1上にGaAs:Siバッファー層2(不純物
濃度=1×1018cm-3)を0.5μm、Al0.4Ga
0.6As:Siクラッド層3(不純物濃度=1×1017
cm-3)を2μm、成長温度700℃、V/III比10
0で成長する。次に、成長温度を680℃、V/III比
を80でAl0.2Ga0.8As光ガイド層4を40nm、G
aAsバリア層5を20nm、In0.24Ga0.76As活性
層6を4.5nm、GaAsバリア層7を5nm、In
0.24Ga0.76As活性層8を4.5nm、GaAsバリ
ア層9を20nm順次成長する。続いて、Al0.2Ga
0.8As光ガイド層10を40nm、Al0.4Ga0.6A
s:Mgクラッド層11(不純物濃度=1×1018cm
-3)を1.5μm、GaAs:Mgキャップ層12(不
純物濃度=1×1019cm-3)を1μm、気相成長させ
る。
示す。半導体レーザウエハは、常圧MOVPE装置によ
って成長する。例えば、SiドープしたGaAs(00
1)基板1上にGaAs:Siバッファー層2(不純物
濃度=1×1018cm-3)を0.5μm、Al0.4Ga
0.6As:Siクラッド層3(不純物濃度=1×1017
cm-3)を2μm、成長温度700℃、V/III比10
0で成長する。次に、成長温度を680℃、V/III比
を80でAl0.2Ga0.8As光ガイド層4を40nm、G
aAsバリア層5を20nm、In0.24Ga0.76As活性
層6を4.5nm、GaAsバリア層7を5nm、In
0.24Ga0.76As活性層8を4.5nm、GaAsバリ
ア層9を20nm順次成長する。続いて、Al0.2Ga
0.8As光ガイド層10を40nm、Al0.4Ga0.6A
s:Mgクラッド層11(不純物濃度=1×1018cm
-3)を1.5μm、GaAs:Mgキャップ層12(不
純物濃度=1×1019cm-3)を1μm、気相成長させ
る。
【0016】次に、図2、3を用いて上述の半導体レー
ザウエハを横モード制御型レーザに加工する工程を示
す。図2は、[−110]方向のメサストライプが形成
された後の半導体レーザウエハの(−110)面の断面
図を示す。まず、図1に示した半導体レーザウエハの最
上層のGaAsキャップ層にSiO2を成膜し、フォト
リソグラフィ技術によって図2に示す[−110]方向
に幅4μmのSiO2ストライプ13を形成する。この
SiO2ストライプをマスクとして選択エッチングを行
い、Al0.4Ga0.6As:Mgクラッド層11が0.4
μm残る深さまでエッチングすることによって、図2の
断面図に示すメサストライプが形成される。
ザウエハを横モード制御型レーザに加工する工程を示
す。図2は、[−110]方向のメサストライプが形成
された後の半導体レーザウエハの(−110)面の断面
図を示す。まず、図1に示した半導体レーザウエハの最
上層のGaAsキャップ層にSiO2を成膜し、フォト
リソグラフィ技術によって図2に示す[−110]方向
に幅4μmのSiO2ストライプ13を形成する。この
SiO2ストライプをマスクとして選択エッチングを行
い、Al0.4Ga0.6As:Mgクラッド層11が0.4
μm残る深さまでエッチングすることによって、図2の
断面図に示すメサストライプが形成される。
【0017】続いて、上記SiO2ストライプをマスク
とした選択成長技術によって、図3に示すようなメサス
トライプの側部を膜厚0.8μmのAl0.6Ga0.4A
s:Si電流ブロック層14(不純物濃度=1×1018
cm-3)、及び膜厚0.8μmのGaAs:Si電流ブ
ロック層15(不純物濃度=1×1018cm-3)で順次
埋め込み再成長を行う。更に、SiO2マスクを除去し
た後、膜厚1μmのGaAs:Mgキャップ層16(不
純物濃度=1×1019cm-3)を成長して、横モード制
御型半導体レーザウエハを得る。このレーザウエハの両
面にコンタクト電極を蒸着し、その後、レーザのストラ
イプに直行する[110]方向に共振器長が700μm
になるように劈開して、レーザウエハ17を得る。
とした選択成長技術によって、図3に示すようなメサス
トライプの側部を膜厚0.8μmのAl0.6Ga0.4A
s:Si電流ブロック層14(不純物濃度=1×1018
cm-3)、及び膜厚0.8μmのGaAs:Si電流ブ
ロック層15(不純物濃度=1×1018cm-3)で順次
埋め込み再成長を行う。更に、SiO2マスクを除去し
た後、膜厚1μmのGaAs:Mgキャップ層16(不
純物濃度=1×1019cm-3)を成長して、横モード制
御型半導体レーザウエハを得る。このレーザウエハの両
面にコンタクト電極を蒸着し、その後、レーザのストラ
イプに直行する[110]方向に共振器長が700μm
になるように劈開して、レーザウエハ17を得る。
【0018】次に、図4に示すように劈開によって得ら
れたレーザウエハ17の共振器端面に誘電体膜を堆積し
(誘電体膜パッシベーション)、共振器端面の反射率を
制御する。誘電体膜の堆積には多極スパッタ装置を用い
た。レーザ光が出射される前面にはAl2O3単層膜1
8、裏面にはAl2O3層19/a−Si層20の多層膜
を堆積させ、反射率をそれぞれ3%及び95%に制御し
た。成膜温度は150℃で、成膜スパッタパワー密度は
Al2O3及びa−Siをそれぞれ8.5及び6W/cm
2とし、レーザバーを作成した。
れたレーザウエハ17の共振器端面に誘電体膜を堆積し
(誘電体膜パッシベーション)、共振器端面の反射率を
制御する。誘電体膜の堆積には多極スパッタ装置を用い
た。レーザ光が出射される前面にはAl2O3単層膜1
8、裏面にはAl2O3層19/a−Si層20の多層膜
を堆積させ、反射率をそれぞれ3%及び95%に制御し
た。成膜温度は150℃で、成膜スパッタパワー密度は
Al2O3及びa−Siをそれぞれ8.5及び6W/cm
2とし、レーザバーを作成した。
【0019】上述した半導体レーザバーには、共振器端
面の反射率を制御するために誘電体膜パッシベーション
プロセスが施されている。これらのプロセスによって、
共振器端面には成膜時の表面ダメージに起因した空格子
及び格子間原子等の結晶欠陥が発生する。そこで、以下
これらの結晶欠陥の増殖を抑制するための水素ラジカル
を用いた熱処理プロセスについて説明する。
面の反射率を制御するために誘電体膜パッシベーション
プロセスが施されている。これらのプロセスによって、
共振器端面には成膜時の表面ダメージに起因した空格子
及び格子間原子等の結晶欠陥が発生する。そこで、以下
これらの結晶欠陥の増殖を抑制するための水素ラジカル
を用いた熱処理プロセスについて説明する。
【0020】図5に示すように、水素ラジカルは真空引
きされたECR装置21内に高純度水素を導入し、水素
プラズマを発生させることにより生成させる。水素プラ
ズマ中で上記半導体レーザバー22を雰囲気温度400
℃で30分間待機させることにより、共振器端面に発生
した結晶欠陥の増殖を抑制することができる。なお、水
素ラジカルはECR装置を用いた生成に加えて、超高真
空チャンバー内で1500℃以上の温度に加熱されたタ
ングステンに水素ガスを照射することによっても生成す
ることができる。その場合には、半導体レーザバーを超
高真空チャンバー内で400℃に加熱し、熱分解によっ
て得られた水素ラジカルを30分間照射することによ
り、同様にレーザ素子内部に存在する結晶欠陥の増殖を
抑制することできる。熱処理後に、個々のレーザ素子を
劈開によって分割し、ヒートシンクに融着することによ
って本発明のレーザ素子は完成する。
きされたECR装置21内に高純度水素を導入し、水素
プラズマを発生させることにより生成させる。水素プラ
ズマ中で上記半導体レーザバー22を雰囲気温度400
℃で30分間待機させることにより、共振器端面に発生
した結晶欠陥の増殖を抑制することができる。なお、水
素ラジカルはECR装置を用いた生成に加えて、超高真
空チャンバー内で1500℃以上の温度に加熱されたタ
ングステンに水素ガスを照射することによっても生成す
ることができる。その場合には、半導体レーザバーを超
高真空チャンバー内で400℃に加熱し、熱分解によっ
て得られた水素ラジカルを30分間照射することによ
り、同様にレーザ素子内部に存在する結晶欠陥の増殖を
抑制することできる。熱処理後に、個々のレーザ素子を
劈開によって分割し、ヒートシンクに融着することによ
って本発明のレーザ素子は完成する。
【0021】また、水素ラジカル中での熱処理は、0.
98μm帯半導体レーザだけでなく、AlGaInN
系、ZnCdMgSSeTe系及びAlGaInAsP
系の材料によって構成されるその他の波長帯の半導体レ
ーザ素子(0.4〜0.8μm帯半導体レーザ)にも適
用可能である。いずれのレーザ素子においても、共振器
端面に表面保護膜を形成した後、水素ラジカル中で熱処
理することによって共振器端面に発生・導入された結晶
欠陥の増殖を抑制することができる。なお、レーザ素子
の材料系の違いによって、熱処理温度及び時間を最適化
する必要がある。
98μm帯半導体レーザだけでなく、AlGaInN
系、ZnCdMgSSeTe系及びAlGaInAsP
系の材料によって構成されるその他の波長帯の半導体レ
ーザ素子(0.4〜0.8μm帯半導体レーザ)にも適
用可能である。いずれのレーザ素子においても、共振器
端面に表面保護膜を形成した後、水素ラジカル中で熱処
理することによって共振器端面に発生・導入された結晶
欠陥の増殖を抑制することができる。なお、レーザ素子
の材料系の違いによって、熱処理温度及び時間を最適化
する必要がある。
【0022】実施例2 次に、再成長界面を有する半導体レーザ素子において、
再成長後に半導体レーザ素子を水素ラジカル中で熱処理
することによって再成長界面に発生・導入された転位、
空格子等の結晶欠陥の増殖を抑制する方法について説明
する。
再成長後に半導体レーザ素子を水素ラジカル中で熱処理
することによって再成長界面に発生・導入された転位、
空格子等の結晶欠陥の増殖を抑制する方法について説明
する。
【0023】前記図1〜図3に示す過程で製造されたレ
ーザウエハの埋め込み再成長界面に導入された結晶欠陥
の増殖を抑制するために、埋め込み再成長された上記半
導体レーザウエハを前記と同様に水素ラジカル中で熱処
理を行う。再成長界面形成後、レーザウエハを水素ラジ
カル中で熱処理することによって再成長界面に発生・導
入された結晶欠陥の増殖を抑制することができる。な
お、レーザ素子の材料系の違いによって、熱処理温度及
び時間を最適化する必要がある。
ーザウエハの埋め込み再成長界面に導入された結晶欠陥
の増殖を抑制するために、埋め込み再成長された上記半
導体レーザウエハを前記と同様に水素ラジカル中で熱処
理を行う。再成長界面形成後、レーザウエハを水素ラジ
カル中で熱処理することによって再成長界面に発生・導
入された結晶欠陥の増殖を抑制することができる。な
お、レーザ素子の材料系の違いによって、熱処理温度及
び時間を最適化する必要がある。
【0024】このようにして処理された上記レーザウエ
ハの両面に、コンタクト電極を蒸着し、その後、レーザ
のストライプに直行する[110]方向に共振器長が7
00μmになるように劈開して、レーザバーを得る。そ
の後、図4に示すように、このレーザバーの共振器端面
に表面反射率を制御するために、Al2O3単層膜18及
びAl2O3層19/a−Si層20の多層膜をそれぞれ
多極スパッタ装置によって堆積し、前面3%、裏面95
%の反射率にする。最後に、個々のレーザ素子を劈開に
よって分割し、ヒートシンクに融着することによって本
発明のレーザ素子は完成する。
ハの両面に、コンタクト電極を蒸着し、その後、レーザ
のストライプに直行する[110]方向に共振器長が7
00μmになるように劈開して、レーザバーを得る。そ
の後、図4に示すように、このレーザバーの共振器端面
に表面反射率を制御するために、Al2O3単層膜18及
びAl2O3層19/a−Si層20の多層膜をそれぞれ
多極スパッタ装置によって堆積し、前面3%、裏面95
%の反射率にする。最後に、個々のレーザ素子を劈開に
よって分割し、ヒートシンクに融着することによって本
発明のレーザ素子は完成する。
【0025】さらに、再成長界面を有し、かつ、共振器
端面に誘電体膜が成膜してある半導体レーザ素子におい
て、再成長界面に発生・導入された転位、空格子等の結
晶欠陥の増殖及び共振器端面に発生した結晶欠陥の増殖
を、各工程後にそれぞれ前記したような方法で水素ラジ
カル中で熱処理することによって抑制することができ
る。
端面に誘電体膜が成膜してある半導体レーザ素子におい
て、再成長界面に発生・導入された転位、空格子等の結
晶欠陥の増殖及び共振器端面に発生した結晶欠陥の増殖
を、各工程後にそれぞれ前記したような方法で水素ラジ
カル中で熱処理することによって抑制することができ
る。
【0026】本発明では、結晶欠陥の発生しやすい工程
を実施した後に水素ラジカル中での熱処理を行えば良
く、前記以外にも不純物原子のイオン注入後や、熱拡散
後にも実施することができる。
を実施した後に水素ラジカル中での熱処理を行えば良
く、前記以外にも不純物原子のイオン注入後や、熱拡散
後にも実施することができる。
【0027】
【発明の効果】以上説明したように、半導体レーザ素子
の製造プロセス工程において、少なくとも1つのプロセ
ス実施後にレーザ素子本体を水素ラジカル中で熱処理す
ることにより、製造プロセスにより発生したレーザ素子
内部の結晶欠陥の増殖が抑制され、高出力での駆動が可
能なレーザ素子が提供される。また、導波路損失を低減
して発光効率を改善でき、更に長期安定動作を確保する
ことができる。
の製造プロセス工程において、少なくとも1つのプロセ
ス実施後にレーザ素子本体を水素ラジカル中で熱処理す
ることにより、製造プロセスにより発生したレーザ素子
内部の結晶欠陥の増殖が抑制され、高出力での駆動が可
能なレーザ素子が提供される。また、導波路損失を低減
して発光効率を改善でき、更に長期安定動作を確保する
ことができる。
【図1】本発明を適用する半導体レーザウエハの層構造
を示した断面図である。
を示した断面図である。
【図2】半導体レーザウエハをSiO2ストライプによ
って選択エッチングしたときの断面図である。
って選択エッチングしたときの断面図である。
【図3】選択エッチングした半導体レーザウエハに埋め
込み再成長したときの断面図である。
込み再成長したときの断面図である。
【図4】半導体レーザバーにおいて、誘電体膜コーティ
ングを説明する図である。
ングを説明する図である。
【図5】ECR装置内での水素プラズマによる熱処理を
説明する図である。
説明する図である。
【図6】窓構造を有する半導体レーザ素子の製造工程を
示す概略斜視図である。
示す概略斜視図である。
1 基板 2 GaAs:Siバッファー層 3 Al0.4Ga0.6As:Siクラッド層 4 Al0.2Ga0.8As光ガイド層 5 GaAsバリア層 6 In0.24Ga0.76As活性層 7 GaAsバリア層 8 In0.24Ga0.76As活性層 9 GaAsバリア層 10 Al0.2Ga0.8As光ガイド層 11 Al0.4Ga0.6As:Mgクラッド層 12 GaAs:Mgキャップ層 13 SiO2ストライプ 14 Al0.6Ga0.4As:Si電流ブロック層 15 GaAs:Si電流ブロック層 16 GaAs:Mgキャップ層 17 レーザウエハ 18 Al2O3単層膜 19 Al2O3層 20 a−Si層 21 ECR装置 22 半導体レーザバー
Claims (4)
- 【請求項1】 一対の共振器端面を有している半導体レ
ーザ素子の製造過程において、レーザ素子本体の水素ラ
ジカル中での熱処理を少なくとも一回行うことを特徴と
する半導体レーザ素子の製造方法。 - 【請求項2】 前記水素ラジカル中での熱処理が、少な
くとも一つの共振器端面に誘電体膜が形成された後に行
うことを特徴とする請求項1の製造方法。 - 【請求項3】 前記半導体レーザ素子が再成長界面を有
し、該再成長を行った後にレーザ素子本体を水素ラジカ
ル中で熱処理を行うことを特徴とする請求項1の製造方
法。 - 【請求項4】 前記半導体レーザ素子が再成長界面を有
し、再成長を行った後及びその後少なくとも一方の共振
器端面に誘電体膜の形成を行った後にレーザ素子本体を
水素ラジカル中で熱処理を行うことを特徴とする請求項
1に記載の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25461796A JPH10107363A (ja) | 1996-09-26 | 1996-09-26 | 半導体レーザ素子の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25461796A JPH10107363A (ja) | 1996-09-26 | 1996-09-26 | 半導体レーザ素子の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10107363A true JPH10107363A (ja) | 1998-04-24 |
Family
ID=17267531
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP25461796A Pending JPH10107363A (ja) | 1996-09-26 | 1996-09-26 | 半導体レーザ素子の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH10107363A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE10221952A1 (de) * | 2002-05-13 | 2003-11-27 | Forschungsverbund Berlin Ev | Verfahren zur Passivierung der Spiegelflächen von optischen Halbleiterbauelementen |
-
1996
- 1996-09-26 JP JP25461796A patent/JPH10107363A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE10221952A1 (de) * | 2002-05-13 | 2003-11-27 | Forschungsverbund Berlin Ev | Verfahren zur Passivierung der Spiegelflächen von optischen Halbleiterbauelementen |
DE10221952B4 (de) * | 2002-05-13 | 2007-07-12 | Forschungsverbund Berlin E.V. | Verfahren zur Passivierung der Spiegelflächen von optischen Halbleiterbauelementen |
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