JPH10105962A - 磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents
磁気記録媒体の製造方法Info
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- JPH10105962A JPH10105962A JP8261041A JP26104196A JPH10105962A JP H10105962 A JPH10105962 A JP H10105962A JP 8261041 A JP8261041 A JP 8261041A JP 26104196 A JP26104196 A JP 26104196A JP H10105962 A JPH10105962 A JP H10105962A
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- laser
- carbon
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- magnetic recording
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- Laser Beam Processing (AREA)
- Manufacturing Of Magnetic Record Carriers (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】磁気記録媒体のカーボン基体又はカーボン系保
護膜表面によく制御されたレーザーマークを形成して所
望のテクスチャを形成する。 【解決手段】330nm以上の波長のレーザー光を基体
1の表面の部分に照射してレーザーマーク3を形成す
る。
護膜表面によく制御されたレーザーマークを形成して所
望のテクスチャを形成する。 【解決手段】330nm以上の波長のレーザー光を基体
1の表面の部分に照射してレーザーマーク3を形成す
る。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気記録媒体の製
造方法に関する。
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気記録媒体が内部に装填されているハ
ードディスクドライブ装置は、磁気記録媒体の他に、少
なくとも磁気記録媒体に磁気記録・再生をするための磁
気記録ヘッド、磁気記録媒体の回転や磁気記録ヘッドの
駆動を司るメカトロ部、記録再生のための信号を処理す
る信号処理部より構成されている。
ードディスクドライブ装置は、磁気記録媒体の他に、少
なくとも磁気記録媒体に磁気記録・再生をするための磁
気記録ヘッド、磁気記録媒体の回転や磁気記録ヘッドの
駆動を司るメカトロ部、記録再生のための信号を処理す
る信号処理部より構成されている。
【0003】この円盤状の磁気記録媒体(以下、ディス
クともいう)は、その機能によって磁気記録ヘッド(以
下、ヘッドともいう)が静止・接触している環状のラン
ディング領域とデータの記録再生を行う環状のデータ領
域に分けられる。ハードディスクドライブ装置における
ヘッドの操動は、一般的にはコンタクト・スタート・ス
トップ(CSS)方式が用いられている。
クともいう)は、その機能によって磁気記録ヘッド(以
下、ヘッドともいう)が静止・接触している環状のラン
ディング領域とデータの記録再生を行う環状のデータ領
域に分けられる。ハードディスクドライブ装置における
ヘッドの操動は、一般的にはコンタクト・スタート・ス
トップ(CSS)方式が用いられている。
【0004】CSS方式においては、磁気記録媒体が静
止状態にあるときには、ヘッドはディスク上のランディ
ング領域に静止・接触している。ディスクが回転を始め
ると、ディスクの表面と空気の粘性によって発生する空
気流がヘッドとディスクの間隙に流入し、ヘッドの浮上
が発生する。この状態では、ヘッドはディスク上を極薄
の空気層を介して滑空しているため、データ領域内の所
望の記録・再生位置に望まざる物理接触をすることな
く、滑らかかつ高速に移動させうる。また、ヘッドはラ
ンディング領域に移動後、ディスクの回転を減速・停止
させることにより浮揚力を失い、ディスク上に再び接触
・静止する。
止状態にあるときには、ヘッドはディスク上のランディ
ング領域に静止・接触している。ディスクが回転を始め
ると、ディスクの表面と空気の粘性によって発生する空
気流がヘッドとディスクの間隙に流入し、ヘッドの浮上
が発生する。この状態では、ヘッドはディスク上を極薄
の空気層を介して滑空しているため、データ領域内の所
望の記録・再生位置に望まざる物理接触をすることな
く、滑らかかつ高速に移動させうる。また、ヘッドはラ
ンディング領域に移動後、ディスクの回転を減速・停止
させることにより浮揚力を失い、ディスク上に再び接触
・静止する。
【0005】このハードディスクドライブ装置において
は、記録密度を向上させるために、ヘッドを極限までデ
ィスクに接近させる必要があり、データの記録再生が行
われるデータ領域においてはディスク表面が究極的に滑
らかであることが要求される。最近では、ヘッドのディ
スク表面からの飛翔高さは、高記録密度を達成するため
に、500Å以下、さらに望ましくは300Å以下が要
求されている。
は、記録密度を向上させるために、ヘッドを極限までデ
ィスクに接近させる必要があり、データの記録再生が行
われるデータ領域においてはディスク表面が究極的に滑
らかであることが要求される。最近では、ヘッドのディ
スク表面からの飛翔高さは、高記録密度を達成するため
に、500Å以下、さらに望ましくは300Å以下が要
求されている。
【0006】一方、ディスクとヘッドの間には、それら
が静止・接触している状態では、摩擦力が働いている。
ディスクの表面が滑らか過ぎ、この静止摩擦力がモータ
ーのトルクより大きくなると(スティクションと呼ばれ
る)、ディスクは回転できない。また、この大きな静止
摩擦力に抗して、さらに大きなモータートルクでディス
クを無理に回転させようとすると、ヘッドがディスクと
の吸着状態から脱するときに発生する不安定な振動など
によりディスクを破損することがある。
が静止・接触している状態では、摩擦力が働いている。
ディスクの表面が滑らか過ぎ、この静止摩擦力がモータ
ーのトルクより大きくなると(スティクションと呼ばれ
る)、ディスクは回転できない。また、この大きな静止
摩擦力に抗して、さらに大きなモータートルクでディス
クを無理に回転させようとすると、ヘッドがディスクと
の吸着状態から脱するときに発生する不安定な振動など
によりディスクを破損することがある。
【0007】これらの問題を克服するために、少なくと
もランディング領域では、ディスク面上にテクスチャと
呼ばれる制御された粗さを積極的に付与することによっ
て、ディスクとヘッドの間の摩擦力を低減させる方法が
採られている。また一方では、ディスク用の基板とし
て、従来はNiPに代表される合金をメッキしたアルミ
ニウム基板が用いられてきたが、優れた表面の平滑加工
性、耐衝撃性や高回転特性などからガラス材料に代表さ
れる非磁性脆性基体が用いられてきている。
もランディング領域では、ディスク面上にテクスチャと
呼ばれる制御された粗さを積極的に付与することによっ
て、ディスクとヘッドの間の摩擦力を低減させる方法が
採られている。また一方では、ディスク用の基板とし
て、従来はNiPに代表される合金をメッキしたアルミ
ニウム基板が用いられてきたが、優れた表面の平滑加工
性、耐衝撃性や高回転特性などからガラス材料に代表さ
れる非磁性脆性基体が用いられてきている。
【0008】このように、当技術分野においては、飛翔
高さを下げるための表面の平滑化と耐スティクションの
ための粗面化という背反する要求がある。この背反する
2つの要求を高い次元で実現させるために、当技術分野
の専門家はテクスチャ加工における有用な技法をいくつ
か提案してきた。
高さを下げるための表面の平滑化と耐スティクションの
ための粗面化という背反する要求がある。この背反する
2つの要求を高い次元で実現させるために、当技術分野
の専門家はテクスチャ加工における有用な技法をいくつ
か提案してきた。
【0009】従来、アルミニウム基板にサンドペーパー
などの研磨材を押し当て同心円状の溝をランディング領
域に形成した磁気ディスクが知られている(特開昭53
−123906号)。しかし、このような機械的研磨法
を用いてテクスチャが形成された表面は、粗さの山の高
さが不揃いであり、スティクションを起こさずにヘッド
の飛翔高さを下げることが難しい。
などの研磨材を押し当て同心円状の溝をランディング領
域に形成した磁気ディスクが知られている(特開昭53
−123906号)。しかし、このような機械的研磨法
を用いてテクスチャが形成された表面は、粗さの山の高
さが不揃いであり、スティクションを起こさずにヘッド
の飛翔高さを下げることが難しい。
【0010】この欠点の解消を目的として、よく制御さ
れた均質なテクスチャを形成する方法として、レーザー
によるテクスチャ(以下レーザーテクスチャと呼ぶ)加
工法が、特開昭63−275029号、米国特許第50
62021号、米国特許第5108781号、特開平8
−106630号により提案されている。また、関連技
術は“A New Laser Texturing Technique for High Per
formance Magnetic Disk Drives ”IEEE Trans.Mag.,Vo
l.31,pp2946-2951,1995 に詳細に記述されている。
れた均質なテクスチャを形成する方法として、レーザー
によるテクスチャ(以下レーザーテクスチャと呼ぶ)加
工法が、特開昭63−275029号、米国特許第50
62021号、米国特許第5108781号、特開平8
−106630号により提案されている。また、関連技
術は“A New Laser Texturing Technique for High Per
formance Magnetic Disk Drives ”IEEE Trans.Mag.,Vo
l.31,pp2946-2951,1995 に詳細に記述されている。
【0011】一方、磁気記録媒体の基体として、カーボ
ン基体はその軽量ゆえの低消費電力、高耐熱性などの長
所から採用が検討されてきている。しかし、上述の技術
はレーザー被加工材質として金属や金属合金を対象とし
ている。これらの材料に対するレーザー加工のメカニズ
ムは、レーザー照射により加工領域内に温度分布が生
じ、それに対応して照射領域内に表面張力の分布が発生
し、その表面張力に対応した材料の再配置、引き続く固
化によるといわれており、これらと加工メカニズムを異
にするカーボン基板の加工については考慮されてなく、
具体的な方法も提案されていない。
ン基体はその軽量ゆえの低消費電力、高耐熱性などの長
所から採用が検討されてきている。しかし、上述の技術
はレーザー被加工材質として金属や金属合金を対象とし
ている。これらの材料に対するレーザー加工のメカニズ
ムは、レーザー照射により加工領域内に温度分布が生
じ、それに対応して照射領域内に表面張力の分布が発生
し、その表面張力に対応した材料の再配置、引き続く固
化によるといわれており、これらと加工メカニズムを異
にするカーボン基板の加工については考慮されてなく、
具体的な方法も提案されていない。
【0012】また、特開平6−295433号では、非
金属である被照射体に紫外レーザービームを照射してア
ブレーションを起こさせ、アブレーションにより生じた
原子、分子の堆積物を被照射体表面に形成しテクスチャ
と成す方法が提案されている。
金属である被照射体に紫外レーザービームを照射してア
ブレーションを起こさせ、アブレーションにより生じた
原子、分子の堆積物を被照射体表面に形成しテクスチャ
と成す方法が提案されている。
【0013】上記従来技術では、金属や合金と加工メカ
ニズムを異にするカーボンなどの非金属材料の加工方法
について提案をしているが、紫外域の波長のレーザー光
を利用しているために、テクスチャ形成の機構がアブレ
ーションにより発生した原子・分子の堆積によるもので
あり、形成したテクスチャの形状の制御を微細に行うこ
とが難しいだけでなく、アブレーションにより生成され
た原子・分子のガス化を阻害するために照射雰囲気を不
活性ガス雰囲気とする必要があるなど、製造装置が複雑
になる問題があった。
ニズムを異にするカーボンなどの非金属材料の加工方法
について提案をしているが、紫外域の波長のレーザー光
を利用しているために、テクスチャ形成の機構がアブレ
ーションにより発生した原子・分子の堆積によるもので
あり、形成したテクスチャの形状の制御を微細に行うこ
とが難しいだけでなく、アブレーションにより生成され
た原子・分子のガス化を阻害するために照射雰囲気を不
活性ガス雰囲気とする必要があるなど、製造装置が複雑
になる問題があった。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、基体
にカーボン材料を用いた磁気記録媒体、又は保護膜にカ
ーボン系の材料を用いた磁気記録媒体の製造方法におい
て、ヘッドの飛翔高さを低く、かつスティクションの克
服とCSS耐久性の向上をはかるために、レーザーを用
いたテクスチャ加工法による安価で簡便な磁気記録媒体
の製造方法を提供することにある。
にカーボン材料を用いた磁気記録媒体、又は保護膜にカ
ーボン系の材料を用いた磁気記録媒体の製造方法におい
て、ヘッドの飛翔高さを低く、かつスティクションの克
服とCSS耐久性の向上をはかるために、レーザーを用
いたテクスチャ加工法による安価で簡便な磁気記録媒体
の製造方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、カーボン基体
上に磁性膜及びその他の所要の膜を有する磁気記録媒体
の製造方法において、前記磁性膜及びその他の所要の膜
を形成するに先立って、前記基体の表面の複数の箇所に
330nm以上の波長のレーザー光を照射することによ
り、少なくとも一部に凸状の部分をもち該凸状部の高さ
Hが10〜500Åの範囲にあるレーザーマークを該表
面に複数個形成することを特徴とする磁気記録媒体の製
造方法を提供する。
上に磁性膜及びその他の所要の膜を有する磁気記録媒体
の製造方法において、前記磁性膜及びその他の所要の膜
を形成するに先立って、前記基体の表面の複数の箇所に
330nm以上の波長のレーザー光を照射することによ
り、少なくとも一部に凸状の部分をもち該凸状部の高さ
Hが10〜500Åの範囲にあるレーザーマークを該表
面に複数個形成することを特徴とする磁気記録媒体の製
造方法を提供する。
【0016】また、非磁性基体上に磁性膜及びカーボン
系保護膜及びその他の所要の膜を有する磁気記録媒体の
製造方法において、前記保護膜を形成した後に、前記保
護膜の表面の複数の箇所に330nm以上の波長のレー
ザー光を照射することにより、少なくとも一部に凸状の
部分をもち該凸状部の高さHが10〜500Åの範囲に
あるレーザーマークを該表面に複数個形成することを特
徴とする磁気記録媒体の製造方法を提供する。
系保護膜及びその他の所要の膜を有する磁気記録媒体の
製造方法において、前記保護膜を形成した後に、前記保
護膜の表面の複数の箇所に330nm以上の波長のレー
ザー光を照射することにより、少なくとも一部に凸状の
部分をもち該凸状部の高さHが10〜500Åの範囲に
あるレーザーマークを該表面に複数個形成することを特
徴とする磁気記録媒体の製造方法を提供する。
【0017】本発明におけるレーザーマークとは、基体
にレーザー光を照射したときに該基体の表面に形成され
る隆起をいう。レーザーマークは照射エネルギーの変化
に応じて図4〜5に示す形態を有するが、少なくとも一
部に凸状の部分をもち、該凸状部の高さHが10〜50
0Åの範囲にある。本発明における高さHとは、図4〜
図5に示す隆起の高さである。
にレーザー光を照射したときに該基体の表面に形成され
る隆起をいう。レーザーマークは照射エネルギーの変化
に応じて図4〜5に示す形態を有するが、少なくとも一
部に凸状の部分をもち、該凸状部の高さHが10〜50
0Åの範囲にある。本発明における高さHとは、図4〜
図5に示す隆起の高さである。
【0018】ここでカーボン基体及びカーボン系保護膜
の材料とは、カーボン、窒化カーボン、水素化カーボ
ン、窒素を含む水素化カーボン、その他カーボンを主体
とする材料を含む。また、本発明において前記レーザー
マークの形状は前記基体の外側に向かって実質的に凸状
であるか、前記レーザーマークの周辺部が前記基体の外
側に向かって実質的に凸状でありかつ中央部に凹状部を
有することが好ましい。
の材料とは、カーボン、窒化カーボン、水素化カーボ
ン、窒素を含む水素化カーボン、その他カーボンを主体
とする材料を含む。また、本発明において前記レーザー
マークの形状は前記基体の外側に向かって実質的に凸状
であるか、前記レーザーマークの周辺部が前記基体の外
側に向かって実質的に凸状でありかつ中央部に凹状部を
有することが好ましい。
【0019】また、本発明において、前記磁気記録媒体
がランディング領域とデータ領域とを有し、前記レーザ
ーマークが該ランディング領域にのみ存在するようレー
ザーマークを設けうる。また、上記磁気記録媒体におい
て、前記レーザーマークの凸状部の高さHがランディン
グ領域よりもデータ領域において実質的に低いレーザー
マークを設けうる。また、上記磁気記録媒体において、
前記レーザーマークの密度がランディング領域よりもデ
ータ領域において実質的に低いレーザーマークを設けう
る。なお、ランディング領域は、ドーナツ状のディスク
形状の磁気記録媒体の内周領域、又は外周領域に所定幅
をもって設けられる。
がランディング領域とデータ領域とを有し、前記レーザ
ーマークが該ランディング領域にのみ存在するようレー
ザーマークを設けうる。また、上記磁気記録媒体におい
て、前記レーザーマークの凸状部の高さHがランディン
グ領域よりもデータ領域において実質的に低いレーザー
マークを設けうる。また、上記磁気記録媒体において、
前記レーザーマークの密度がランディング領域よりもデ
ータ領域において実質的に低いレーザーマークを設けう
る。なお、ランディング領域は、ドーナツ状のディスク
形状の磁気記録媒体の内周領域、又は外周領域に所定幅
をもって設けられる。
【0020】本発明において、前記レーザー光としてY
AGレーザー光、YLFレーザー光又はYVO4 レーザ
ー光、CO2 レーザー光、アルゴンレーザー光、クリプ
トンレーザー光、エキシマレーザー光を使用できる。ま
た、YAGレーザー光、YLFレーザー光又はYVO4
レーザー光のいずれかの高調波を使用できる。
AGレーザー光、YLFレーザー光又はYVO4 レーザ
ー光、CO2 レーザー光、アルゴンレーザー光、クリプ
トンレーザー光、エキシマレーザー光を使用できる。ま
た、YAGレーザー光、YLFレーザー光又はYVO4
レーザー光のいずれかの高調波を使用できる。
【0021】本発明は、磁気記録媒体の製造方法におい
て、カーボン基体の表面、又はカーボン系保護膜形成後
に該保護膜の表面にレーザー光照射によりレーザーマー
クを形成し所望のテクスチャを得るために、レーザー光
の波長を330nm以上に選択するものである。
て、カーボン基体の表面、又はカーボン系保護膜形成後
に該保護膜の表面にレーザー光照射によりレーザーマー
クを形成し所望のテクスチャを得るために、レーザー光
の波長を330nm以上に選択するものである。
【0022】
【発明の実施の形態】図1は本発明の磁気記録媒体の製
造方法により製造された磁気記録媒体の断面を示す模式
図であり、1はカーボン基体である。これらの材料は、
これまで当技術分野で使用されてきたアルミニウム基板
に比べて硬度が著しく硬いがゆえに、耐衝撃性の観点で
好まれて用いられる。
造方法により製造された磁気記録媒体の断面を示す模式
図であり、1はカーボン基体である。これらの材料は、
これまで当技術分野で使用されてきたアルミニウム基板
に比べて硬度が著しく硬いがゆえに、耐衝撃性の観点で
好まれて用いられる。
【0023】また、本発明のカーボン基体1としては、
カーボン系材料などのバルク材よりなる基板の他に、カ
ーボン系材料を他の材料の上にコートしたものを使用で
きる。
カーボン系材料などのバルク材よりなる基板の他に、カ
ーボン系材料を他の材料の上にコートしたものを使用で
きる。
【0024】また、基体表面は、ヘッドと基体表面の望
ましくない物理接触を避けるため、またレーザーマーク
の高さのばらつきを抑えるために、レーザー光の照射に
先立ってあらかじめ10Åより微小の粗さに鏡面研磨す
ることが望ましい。
ましくない物理接触を避けるため、またレーザーマーク
の高さのばらつきを抑えるために、レーザー光の照射に
先立ってあらかじめ10Åより微小の粗さに鏡面研磨す
ることが望ましい。
【0025】前記基体1の磁性層側表面には、330n
m以上の波長をもつレーザー光の照射により高さHが1
0〜500Å、好ましくは10〜300Åのレーザーマ
ーク3が複数個形成されている。高さHの下限10Å
は、レーザーマークの存在が基体の粗さに対して実質的
に識別可能であることによって決定され、高さHが10
Å未満の場合は、レーザーマークによるスティクション
の抑止効果が期待できない。また上限は、レーザーマー
クの高さが直接的にヘッドの最低可能飛翔高さを決定す
るがゆえに、当技術分野が要求するヘッド飛翔高さによ
って決定される。
m以上の波長をもつレーザー光の照射により高さHが1
0〜500Å、好ましくは10〜300Åのレーザーマ
ーク3が複数個形成されている。高さHの下限10Å
は、レーザーマークの存在が基体の粗さに対して実質的
に識別可能であることによって決定され、高さHが10
Å未満の場合は、レーザーマークによるスティクション
の抑止効果が期待できない。また上限は、レーザーマー
クの高さが直接的にヘッドの最低可能飛翔高さを決定す
るがゆえに、当技術分野が要求するヘッド飛翔高さによ
って決定される。
【0026】本発明におけるレーザーマークは、少なく
とも一部に凸状の部分をもち、該凸状部の高さHが10
〜500Åの範囲にある。Hを隆起高さ又はレーザーマ
ークの高さと呼ぶこともある。
とも一部に凸状の部分をもち、該凸状部の高さHが10
〜500Åの範囲にある。Hを隆起高さ又はレーザーマ
ークの高さと呼ぶこともある。
【0027】2は磁性層を示し、一般的には厚さ50〜
500ÅのCo合金系の強磁性合金であり、スパッタ法
や真空蒸着法などにより形成される。本発明における構
成は、カーボン基体上に少なくとも磁性層を有するが、
カーボン基体と磁性層の間には耐腐食のためのバリア層
や、磁性層の成長を制御するための下地層を設けること
ができる。バリア層としては、Cr系やTi系の材質が
好ましい。また、下地層としてはNiPやCr系の材料
が用いられる。
500ÅのCo合金系の強磁性合金であり、スパッタ法
や真空蒸着法などにより形成される。本発明における構
成は、カーボン基体上に少なくとも磁性層を有するが、
カーボン基体と磁性層の間には耐腐食のためのバリア層
や、磁性層の成長を制御するための下地層を設けること
ができる。バリア層としては、Cr系やTi系の材質が
好ましい。また、下地層としてはNiPやCr系の材料
が用いられる。
【0028】また、この磁性層2上には保護膜や潤滑膜
を設けることができる。保護膜としてはカーボン膜、水
素化カーボン膜、窒化カーボン膜、窒素を含む水素化カ
ーボン膜や、TiC、SiCなどの炭化物膜、ZrO2
などの酸化物膜が用いられ、また潤滑膜としては例えば
パーフルオロポリエーテル系の潤滑剤が5〜50Åの厚
さで設けられる。
を設けることができる。保護膜としてはカーボン膜、水
素化カーボン膜、窒化カーボン膜、窒素を含む水素化カ
ーボン膜や、TiC、SiCなどの炭化物膜、ZrO2
などの酸化物膜が用いられ、また潤滑膜としては例えば
パーフルオロポリエーテル系の潤滑剤が5〜50Åの厚
さで設けられる。
【0029】カーボン基体上に形成された本発明のレー
ザーマークの形状は、そのうえに設けられたバリア層、
下地層、磁性層、保護膜、潤滑膜などを通じて、最表面
に保存され、ヘッドとディスクの間の摩擦力の低減に寄
与する。
ザーマークの形状は、そのうえに設けられたバリア層、
下地層、磁性層、保護膜、潤滑膜などを通じて、最表面
に保存され、ヘッドとディスクの間の摩擦力の低減に寄
与する。
【0030】図2は本発明の他の磁気記録媒体の製造方
法により製造された磁気記録媒体の断面を示す模式図で
あり、4は非磁性基体である。また、基体4の表面は、
ヘッドと基体表面の望ましくない物理接触を避けるた
め、またレーザーマークの高さのばらつき範囲を抑える
ために10Åより微小の粗さに鏡面研磨することが望ま
しい。
法により製造された磁気記録媒体の断面を示す模式図で
あり、4は非磁性基体である。また、基体4の表面は、
ヘッドと基体表面の望ましくない物理接触を避けるた
め、またレーザーマークの高さのばらつき範囲を抑える
ために10Åより微小の粗さに鏡面研磨することが望ま
しい。
【0031】5は、磁性層を示し、一般的には厚さ50
〜500ÅのCo合金系の強磁性合金であり、スパッタ
法や真空蒸着法などにより形成される。本発明における
構成は、非磁性基体上に少なくとも磁性層を有するが、
非磁性基体と磁性層の間には耐腐食のためのバリア層
や、磁性層の成長を制御するための下地層を設けること
ができる。バリア層としては、Cr系やTi系の材質が
好ましい。また、下地層としてはNiPやCr系の材料
が用いられる。6は、カーボン膜、水素化カーボン膜、
窒化カーボン膜、窒素を含む水素化カーボン膜などのカ
ーボン系保護膜である。
〜500ÅのCo合金系の強磁性合金であり、スパッタ
法や真空蒸着法などにより形成される。本発明における
構成は、非磁性基体上に少なくとも磁性層を有するが、
非磁性基体と磁性層の間には耐腐食のためのバリア層
や、磁性層の成長を制御するための下地層を設けること
ができる。バリア層としては、Cr系やTi系の材質が
好ましい。また、下地層としてはNiPやCr系の材料
が用いられる。6は、カーボン膜、水素化カーボン膜、
窒化カーボン膜、窒素を含む水素化カーボン膜などのカ
ーボン系保護膜である。
【0032】前記保護膜の磁性層の反対側表面には、3
30nm以上の波長をもつレーザー光の照射により高さ
Hが10〜500Å、好ましくは10〜300Åのレー
ザーマーク7が複数個形成されている。高さHの下限1
0Åは、レーザーマークの存在が基体の粗さに対して実
質的に識別可能であることによって決定され、高さHが
10Å未満の場合は、レーザーマークによるスティクシ
ョンの抑止効果が期待できない。また上限は、レーザー
マークの高さが直接的にヘッドの最低可能飛翔高さを決
定するがゆえに、当技術分野が要求するヘッド飛翔高さ
によって決定される。
30nm以上の波長をもつレーザー光の照射により高さ
Hが10〜500Å、好ましくは10〜300Åのレー
ザーマーク7が複数個形成されている。高さHの下限1
0Åは、レーザーマークの存在が基体の粗さに対して実
質的に識別可能であることによって決定され、高さHが
10Å未満の場合は、レーザーマークによるスティクシ
ョンの抑止効果が期待できない。また上限は、レーザー
マークの高さが直接的にヘッドの最低可能飛翔高さを決
定するがゆえに、当技術分野が要求するヘッド飛翔高さ
によって決定される。
【0033】本発明におけるレーザーマークは、少なく
とも一部に凸状の部分をもち、該凸状部の高さHが10
〜500Åの範囲にある。Hを隆起高さ又はレーザーマ
ークの高さと呼ぶこともある。
とも一部に凸状の部分をもち、該凸状部の高さHが10
〜500Åの範囲にある。Hを隆起高さ又はレーザーマ
ークの高さと呼ぶこともある。
【0034】また、この磁性層5と保護膜6の間には、
耐腐食性改善などの観点からバリア層を設けうる。ま
た、保護膜の上には潤滑膜を設けうる。潤滑膜としては
例えばパーフルオロポリエーテル系の潤滑剤が5〜50
Åの厚さで設けられる。
耐腐食性改善などの観点からバリア層を設けうる。ま
た、保護膜の上には潤滑膜を設けうる。潤滑膜としては
例えばパーフルオロポリエーテル系の潤滑剤が5〜50
Åの厚さで設けられる。
【0035】保護膜上に形成された本発明のレーザーマ
ークの形状は、そのうえに設けられた潤滑膜などを通じ
て最表面に保存され、ヘッドとディスクの間の摩擦力の
低減に寄与する。
ークの形状は、そのうえに設けられた潤滑膜などを通じ
て最表面に保存され、ヘッドとディスクの間の摩擦力の
低減に寄与する。
【0036】図3は、カーボン基板にレーザー光照射を
行い、表面にレーザーマークを形成するための装置の構
成の一例であるが、本発明は必ずしもこれに限定されな
い。8は、YAG・Qスイッチパルスレーザーである
が、共振器内部に非線形素子を配置することによって、
YAGの基本波(波長1. 06μm)の2次高調波であ
る波長532nmの放射エネルギーが出力として得られ
る。
行い、表面にレーザーマークを形成するための装置の構
成の一例であるが、本発明は必ずしもこれに限定されな
い。8は、YAG・Qスイッチパルスレーザーである
が、共振器内部に非線形素子を配置することによって、
YAGの基本波(波長1. 06μm)の2次高調波であ
る波長532nmの放射エネルギーが出力として得られ
る。
【0037】レーザーとしては、波長が330nm以上
であればよく、YAGレーザーの他に、YLFやYVO
4 などの固体レーザー、エキシマレーザーやCO2 レー
ザー、アルゴンレーザー、クリプトンレーザーなどが広
範囲に使用できる。
であればよく、YAGレーザーの他に、YLFやYVO
4 などの固体レーザー、エキシマレーザーやCO2 レー
ザー、アルゴンレーザー、クリプトンレーザーなどが広
範囲に使用できる。
【0038】また、離散型のレーザーマークを得るため
には、Qスイッチパルスレーザーの他に、連続発振(C
W)レーザーをEOMやAOMで変調してパルス化する
ことや、マスクを介して一括露光することもできる。
には、Qスイッチパルスレーザーの他に、連続発振(C
W)レーザーをEOMやAOMで変調してパルス化する
ことや、マスクを介して一括露光することもできる。
【0039】このレーザー出力は、折り返しミラー9に
より、照射エネルギーを制御するためのアッテネータ1
0、折り返しミラー11を経て、レーザービームを所望
の形に整形するための開口12へ、さらに記録面でのエ
ネルギーの強度分布を制御するためのエキスパンダ13
へと導かれる。レーザー光は、ガルバノミラー(X軸)
14、ガルバノミラー(Y軸)15、対物レンズ16を
経て被照射体17の表面へと導かれる。基体上に複数個
のレーザーマークが、同心円状、スパイラル状、その他
任意のパターンで、パルスレーザーの繰り返し周波数と
の間で制御されたX、Y2軸のガルバノミラーの駆動に
より形成される。
より、照射エネルギーを制御するためのアッテネータ1
0、折り返しミラー11を経て、レーザービームを所望
の形に整形するための開口12へ、さらに記録面でのエ
ネルギーの強度分布を制御するためのエキスパンダ13
へと導かれる。レーザー光は、ガルバノミラー(X軸)
14、ガルバノミラー(Y軸)15、対物レンズ16を
経て被照射体17の表面へと導かれる。基体上に複数個
のレーザーマークが、同心円状、スパイラル状、その他
任意のパターンで、パルスレーザーの繰り返し周波数と
の間で制御されたX、Y2軸のガルバノミラーの駆動に
より形成される。
【0040】複数個のレーザーマーク群の形成は、上述
のX軸ガルバノミラー14とY軸ガルバノミラー15の
駆動によりレーザービームを偏向させる方法による他
に、位置の固定されたレーザービーム下で、基板を装着
したスピンドルを回転し、その回転との間に制御された
半径方向へのスピンドルの移動により、スパイラル状、
又は同心円状のレーザーマーク列を形成することもでき
る。また、上記において、スピンドルの移動に代えて、
レーザービームを半径方向に移動させることで置き換え
ることもできる。
のX軸ガルバノミラー14とY軸ガルバノミラー15の
駆動によりレーザービームを偏向させる方法による他
に、位置の固定されたレーザービーム下で、基板を装着
したスピンドルを回転し、その回転との間に制御された
半径方向へのスピンドルの移動により、スパイラル状、
又は同心円状のレーザーマーク列を形成することもでき
る。また、上記において、スピンドルの移動に代えて、
レーザービームを半径方向に移動させることで置き換え
ることもできる。
【0041】カーボン系保護膜を形成した後に該保護膜
の表面にレーザー光照射を行い、該表面にレーザーマー
クを形成する場合も同様である。
の表面にレーザー光照射を行い、該表面にレーザーマー
クを形成する場合も同様である。
【0042】
【作用】カーボン系の材料の表面に波長が330nm以
上のレーザー光を照射することによって発生する隆起の
形成機構について、本発明者は前記材料がレーザーエネ
ルギーの照射により高温に熱せられ体積が膨張(密度の
低下)した後の引き続く冷却によって体積が収縮(密度
の増加)・復帰する過程において、冷却サイクルが早い
場合には材料が元の密度に復帰しないことに起因して隆
起が形成されると考えている。
上のレーザー光を照射することによって発生する隆起の
形成機構について、本発明者は前記材料がレーザーエネ
ルギーの照射により高温に熱せられ体積が膨張(密度の
低下)した後の引き続く冷却によって体積が収縮(密度
の増加)・復帰する過程において、冷却サイクルが早い
場合には材料が元の密度に復帰しないことに起因して隆
起が形成されると考えている。
【0043】カーボンの結合エネルギーは、85kca
l/molであり,それに対応する光エネルギーの波長
は約330nmである。したがって、330nmより短
い波長をもつレーザーエネルギーがカーボン基板に照射
されると、光化学的反応によりカーボンの原子間の結合
が切断され、いわゆるアブレーションが生ずる。アブレ
ーションにより生成された原子・分子の多くは、一般的
には再結合により熱に変換されるといわれているが、カ
ーボン系の材料の場合は、カーボンが雰囲気中の酸素原
子又は酸素分子と結合し、一酸化炭素又は二酸化炭素と
なり気体の形態で消耗される。
l/molであり,それに対応する光エネルギーの波長
は約330nmである。したがって、330nmより短
い波長をもつレーザーエネルギーがカーボン基板に照射
されると、光化学的反応によりカーボンの原子間の結合
が切断され、いわゆるアブレーションが生ずる。アブレ
ーションにより生成された原子・分子の多くは、一般的
には再結合により熱に変換されるといわれているが、カ
ーボン系の材料の場合は、カーボンが雰囲気中の酸素原
子又は酸素分子と結合し、一酸化炭素又は二酸化炭素と
なり気体の形態で消耗される。
【0044】したがって、カーボン材料を330nmよ
り短い波長のレーザーで加工すると、被照射領域は気体
の形で消耗され、被照射領域に穴が生成されるだけであ
る(照射前の面からの穴の深さをレーザーマークの深さ
又は単に深さという)。テクスチャの機能は、ディスク
とヘッドの間の接触面積を縮小し摩擦を低減することに
あり、基準表面から外側にのびる突起の存在が要求され
る。
り短い波長のレーザーで加工すると、被照射領域は気体
の形で消耗され、被照射領域に穴が生成されるだけであ
る(照射前の面からの穴の深さをレーザーマークの深さ
又は単に深さという)。テクスチャの機能は、ディスク
とヘッドの間の接触面積を縮小し摩擦を低減することに
あり、基準表面から外側にのびる突起の存在が要求され
る。
【0045】一方、波長が330nm以上のレーザー光
をカーボン系の材料に照射すると、光子のエネルギーが
カーボンの結合エネルギーより小さいため、アブレーシ
ョンが発生せずに、多くは熱に変換される。カーボン材
料が、330nm以上の波長のエネルギーで加熱・昇温
し、引き続く急冷過程を経て、冒頭に述べた機構により
隆起が形成されると考えられる。隆起の典型的形状を図
4に示す。
をカーボン系の材料に照射すると、光子のエネルギーが
カーボンの結合エネルギーより小さいため、アブレーシ
ョンが発生せずに、多くは熱に変換される。カーボン材
料が、330nm以上の波長のエネルギーで加熱・昇温
し、引き続く急冷過程を経て、冒頭に述べた機構により
隆起が形成されると考えられる。隆起の典型的形状を図
4に示す。
【0046】一方、さらに照射エネルギーを増加してい
くと照射領域の温度の高い部分が材料の蒸発温度を超え
材料の蒸発が始まる。この段階では、体積増加による隆
起形成のメカニズムと照射部の温度の高い部分(集光さ
れたレーザーエネルギーの場合は、中央部分)の材料の
蒸発メカニズムが同時に進行しており、周辺に隆起、中
央にくびれを持つ火口型のレーザーマークが得られる
(レーザー照射前の面からのくびれの深さをレーザーマ
ークの深さ又は単に深さという)。典型的形状を図5に
示す。
くと照射領域の温度の高い部分が材料の蒸発温度を超え
材料の蒸発が始まる。この段階では、体積増加による隆
起形成のメカニズムと照射部の温度の高い部分(集光さ
れたレーザーエネルギーの場合は、中央部分)の材料の
蒸発メカニズムが同時に進行しており、周辺に隆起、中
央にくびれを持つ火口型のレーザーマークが得られる
(レーザー照射前の面からのくびれの深さをレーザーマ
ークの深さ又は単に深さという)。典型的形状を図5に
示す。
【0047】本発明においては、カーボン材料表面のレ
ーザーマークの形成に関して、波長が330nm以上の
レーザー光を用いる。330nmより短い波長のレーザ
ー光を用いると、レーザーのエネルギーは、光化学反応
によるカーボン原子の結合の切断に消費され、生成され
たカーボン原子や分子は、雰囲気中の酸素と反応して、
一酸化炭素や二酸化炭素などの気体の形態で消耗され、
当技術分野で要求される突起の形成につながらない。一
方、330nm以上の波長のレーザーを用いることによ
り、レーザーエネルギーが光化学反応ではなく、その多
くを熱的に変換するように作用し、カーボン材料の加
熱、引き続く急冷過程を経ることにより、表面上での突
起の形成につながり、安価で量産性に優れたレーザーテ
クスチャ製造方法を提供する。
ーザーマークの形成に関して、波長が330nm以上の
レーザー光を用いる。330nmより短い波長のレーザ
ー光を用いると、レーザーのエネルギーは、光化学反応
によるカーボン原子の結合の切断に消費され、生成され
たカーボン原子や分子は、雰囲気中の酸素と反応して、
一酸化炭素や二酸化炭素などの気体の形態で消耗され、
当技術分野で要求される突起の形成につながらない。一
方、330nm以上の波長のレーザーを用いることによ
り、レーザーエネルギーが光化学反応ではなく、その多
くを熱的に変換するように作用し、カーボン材料の加
熱、引き続く急冷過程を経ることにより、表面上での突
起の形成につながり、安価で量産性に優れたレーザーテ
クスチャ製造方法を提供する。
【0048】
【実施例】次に実施例により本発明をさらに具体的に説
明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されな
い。
明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されな
い。
【0049】(実施例)10Å以下に鏡面研磨されたデ
ィスク状カーボン基体上へ、Nd:YAGの2次高調波
である532nmのレーザーエネルギーを照射し、カー
ボン基体面にレーザーマークを形成した。図7に、実施
例のパルス当たりの照射エネルギーとレーザーマーク高
さ/深さの関係を示す。図7において、略5μJから1
7μJまでにわたり、当技術分野で要求されている突起
が観察された。突起の形状は、略5μJから略7μJま
では、図4のような単純突起であった。また、8μJ以
上では、図5のような火口型であった。なお、実施例の
レーザー加工時のプロセスパラメータは以下の通りであ
る。
ィスク状カーボン基体上へ、Nd:YAGの2次高調波
である532nmのレーザーエネルギーを照射し、カー
ボン基体面にレーザーマークを形成した。図7に、実施
例のパルス当たりの照射エネルギーとレーザーマーク高
さ/深さの関係を示す。図7において、略5μJから1
7μJまでにわたり、当技術分野で要求されている突起
が観察された。突起の形状は、略5μJから略7μJま
では、図4のような単純突起であった。また、8μJ以
上では、図5のような火口型であった。なお、実施例の
レーザー加工時のプロセスパラメータは以下の通りであ
る。
【0050】レーザー波長λ =532nm、 パルス繰り返し周波数 =20kHz、 対物レンズ焦点距離 =150mm、 ビームウエスト直径 =10μm。
【0051】(比較例)10Å以下に鏡面研磨されたカ
ーボン基体上へ、Nd:YAGの2次高調波である53
2nmから4次高調波である266nmの波長に変更
し、かかるレーザーエネルギーを照射し、レーザーマー
クをカーボン基体面に形成した。図6は、比較例におい
て、パルス当たりのレーザー照射エネルギーとレーザー
マークの高さ/深さの関係を示す。図6においては、パ
ルス当たりの照射エネルギーが0.7μJにおいて、1
0Å未満の高さの微小な隆起が観察される以外は、実質
的に突起が形成されずに穴が形成され、その深さが増加
するだけであった。これは、レーザーのエネルギーが光
化学反応に消費され、被照射部が一酸化炭素や二酸化炭
素の気体となって消耗し、穴が生じたことに対応してい
る。なお、0.7μJにおいて観察された突起は、レー
ザーエネルギーの極く一部が熱エネルギーに変換された
結果と思われる。なお、比較例のレーザー加工時のプロ
セスパラメータは以下の通りである。
ーボン基体上へ、Nd:YAGの2次高調波である53
2nmから4次高調波である266nmの波長に変更
し、かかるレーザーエネルギーを照射し、レーザーマー
クをカーボン基体面に形成した。図6は、比較例におい
て、パルス当たりのレーザー照射エネルギーとレーザー
マークの高さ/深さの関係を示す。図6においては、パ
ルス当たりの照射エネルギーが0.7μJにおいて、1
0Å未満の高さの微小な隆起が観察される以外は、実質
的に突起が形成されずに穴が形成され、その深さが増加
するだけであった。これは、レーザーのエネルギーが光
化学反応に消費され、被照射部が一酸化炭素や二酸化炭
素の気体となって消耗し、穴が生じたことに対応してい
る。なお、0.7μJにおいて観察された突起は、レー
ザーエネルギーの極く一部が熱エネルギーに変換された
結果と思われる。なお、比較例のレーザー加工時のプロ
セスパラメータは以下の通りである。
【0052】レーザー波長λ =266nm、 パルス繰り返し周波数 =5kHz、 対物レンズ焦点距離 =150mm、 ビームウエスト直径 =10μm。
【0053】
【発明の効果】本発明は次のような優れた効果を有す
る。(1)カーボン基体又はカーボン系保護膜へのレー
ザー光照射により、形状のよく制御されたテクスチャの
形成が可能となり、性能の優れた記録媒体の製造方法を
提供できる。(2)レーザーマークの形成が、アブレー
ション原子・分子の堆積によるものではなく、熱プロセ
スによるものであるために、形状の安定したテクスチャ
を形成できる。(3)レーザーの照射領域に不活性ガス
を充填する必要がなく、簡素で安価な生産設備で製造が
可能であり、かつ生産性に優れる。
る。(1)カーボン基体又はカーボン系保護膜へのレー
ザー光照射により、形状のよく制御されたテクスチャの
形成が可能となり、性能の優れた記録媒体の製造方法を
提供できる。(2)レーザーマークの形成が、アブレー
ション原子・分子の堆積によるものではなく、熱プロセ
スによるものであるために、形状の安定したテクスチャ
を形成できる。(3)レーザーの照射領域に不活性ガス
を充填する必要がなく、簡素で安価な生産設備で製造が
可能であり、かつ生産性に優れる。
【図1】本発明の磁気記録媒体の製造方法で製造された
磁気記録媒体の断面図
磁気記録媒体の断面図
【図2】本発明の磁気記録媒体の他の製造方法で製造さ
れた磁気記録媒体の断面図
れた磁気記録媒体の断面図
【図3】本発明の一実施例に係るレーザーテクスチャ加
工装置のブロック図
工装置のブロック図
【図4】比較的低い照射エネルギーで形成されたレーザ
ーマークの断面摸式図
ーマークの断面摸式図
【図5】比較的高い照射エネルギーで形成されたレーザ
ーマークの断面模式図
ーマークの断面模式図
【図6】波長266nmのレーザー光照射によるカーボ
ン基板の加工特性を示すグラフ
ン基板の加工特性を示すグラフ
【図7】波長532nmのレーザー光照射によるカーボ
ン基板の加工特性を示すグラフ
ン基板の加工特性を示すグラフ
1:カーボン基体 2:磁性層 3:レーザーマーク 4:非磁性基体 5:磁性層 6:カーボン系保護膜 7:レーザーマーク 8:YAG−Qスイッチパルスレーザー2次高調波出力 9:折り返しミラー 10:アッテネータ 11:折り返しミラー 12:開口 13:エキスパンダ 14:ガルバノミラー(X軸) 15:ガルバノミラー(Y軸) 16:対物レンズ 17:被照射体
Claims (2)
- 【請求項1】カーボン基体上に磁性膜及びその他の所要
の膜を有する磁気記録媒体の製造方法において、前記磁
性膜及びその他の所要の膜を形成するに先立って、前記
基体の表面の複数の箇所に330nm以上の波長のレー
ザー光を照射することにより、少なくとも一部に凸状の
部分をもち該凸状部の高さHが10〜500Åの範囲に
あるレーザーマークを該表面に複数個形成することを特
徴とする磁気記録媒体の製造方法。 - 【請求項2】非磁性基体上に磁性膜及びカーボン系保護
膜及びその他の所要の膜を有する磁気記録媒体の製造方
法において、前記保護膜を形成した後に、前記保護膜の
表面の複数の箇所に330nm以上の波長のレーザー光
を照射することにより、少なくとも一部に凸状の部分を
もち該凸状部の高さHが10〜500Åの範囲にあるレ
ーザーマークを該表面に複数個形成することを特徴とす
る磁気記録媒体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8261041A JPH10105962A (ja) | 1996-10-01 | 1996-10-01 | 磁気記録媒体の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8261041A JPH10105962A (ja) | 1996-10-01 | 1996-10-01 | 磁気記録媒体の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10105962A true JPH10105962A (ja) | 1998-04-24 |
Family
ID=17356241
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP8261041A Pending JPH10105962A (ja) | 1996-10-01 | 1996-10-01 | 磁気記録媒体の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH10105962A (ja) |
-
1996
- 1996-10-01 JP JP8261041A patent/JPH10105962A/ja active Pending
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