JPH10188270A - 磁気記録媒体用ガラス基板および磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体用ガラス基板および磁気記録媒体

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JPH10188270A
JPH10188270A JP34196596A JP34196596A JPH10188270A JP H10188270 A JPH10188270 A JP H10188270A JP 34196596 A JP34196596 A JP 34196596A JP 34196596 A JP34196596 A JP 34196596A JP H10188270 A JPH10188270 A JP H10188270A
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laser
height
magnetic recording
glass substrate
recording medium
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JP34196596A
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Fuyuki Haniyu
冬樹 羽生
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Asahi Komag Co Ltd
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Asahi Komag Co Ltd
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  • Manufacturing Of Magnetic Record Carriers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】高さのばらつきが小さいテクスチャを有する磁
気記録媒体用ガラス基板および磁気記録媒体。 【解決手段】表面の圧縮応力が4000kg/cm2
下のイオン交換強化処理されたガラス基板1の表面の複
数の箇所にレーザー光を照射して高さのばらつきが小さ
いレーザーマーク3からなるテクスチャを得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気記録媒体用ガ
ラス基板および磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気記録媒体が内部に装填されているハ
ードディスクドライブ装置は、磁気記録媒体の他に、少
なくとも磁気記録媒体に磁気記録・再生をするための磁
気記録ヘッド、磁気記録媒体の回転や磁気記録ヘッドの
駆動を司るメカトロ部、記録再生のための信号を処理す
る信号処理部より構成されている。
【0003】この円盤状の磁気記録媒体(以下、ディス
クともいう)は、その機能によって磁気記録ヘッド(以
下、ヘッドともいう)が静止・接触している環状のラン
ディング領域とデータの記録再生を行う環状のデータ領
域に分けられる。ハードディスクドライブ装置における
ヘッドの操動は、一般的にはコンタクト・スタート・ス
トップ(CSS)方式が用いられている。
【0004】CSS方式においては、磁気記録媒体が静
止状態にあるときには、ヘッドはディスク上のランディ
ング領域に静止・接触している。ディスクが回転を始め
ると、ディスクの表面と空気の粘性によって発生する空
気流がヘッドとディスクの間隙に流入し、ヘッドの浮上
が発生する。この状態では、ヘッドはディスク上を極薄
の空気層を介して滑空しているため、データ領域内の所
望の記録・再生位置に、ディスクとヘッドの望まざる物
理接触をすることなしに、滑らかかつ高速に移動させう
る。また、ヘッドはランディング領域に移動後、ディス
クの回転を減速・停止させることにより浮揚力を失い、
ディスク上に再び接触・静止する。
【0005】このハードディスクドライブ装置において
は、記録密度を向上させるために、ヘッドを極限までデ
ィスクに接近させる必要があり、データの記録再生が行
われるデータ領域においてはディスク表面が究極的に滑
らかであることが要求される。最近では、ヘッドのディ
スク表面からの飛翔高さは、高記録密度を達成するため
に、500Å以下、さらに望ましくは300Å以下が要
求されている。
【0006】一方、ディスクとヘッドの間には、それら
が静止・接触している状態では、摩擦力が働いている。
ディスクの表面が滑らかに過ぎ、この静止摩擦力がモー
ターのトルクより大きくなると、スティクションと呼ば
れディスクは回転できない。また、この大きな静止摩擦
力に抗して、さらに大きなモータートルクでディスクを
無理に回転させようとすると、ヘッドがディスクとの吸
着状態から脱するときに発生する不安定な振動などによ
りディスクを破損することがある。
【0007】これらの問題を克服するために、少なくと
もランディング領域では、ディスク面上にテクスチャと
呼ばれる制御された粗さを積極的に付与することによっ
て、ディスクとヘッドの間の摩擦力を低減させる方法が
採られている。また一方では、ディスク用の基板とし
て、従来はNiPに代表される合金をメッキしたアルミ
ニウム基板が用いられてきたが、優れた表面の平滑加工
性、耐衝撃性や高回転特性などからガラス材料に代表さ
れる非磁性脆性基体が用いられてきている。
【0008】このように、当技術分野においては、飛翔
高さを下げるための表面の平滑化と耐スティクションの
ための粗面化という背反する要求がある。この背反する
2つの要求を高い次元で実現させるために、当技術分野
の専門家はテクスチャ加工における有用な技法をいくつ
か提案してきた。
【0009】従来、アルミニウム基板にサンドペーパー
などの研磨材を押し当て同心円状の溝をランディング領
域に形成した磁気ディスクが知られている。しかし、こ
のような機械的研磨法を用いてテクスチャが形成された
表面は、粗さの山の高さが不揃いであり、スティクショ
ンを起こさずにヘッドの飛翔高さを下げることが難し
い。
【0010】この欠点の解消を目的として、よく制御さ
れた均質なテクスチャを形成する方法として、レーザー
によるテクスチャ加工法(以下レーザーテクスチャとも
いう)が、特開昭63−275029号公報、米国特許
第5062021号明細書、米国特許第5108781
号明細書、特開平8−106630号公報により提案さ
れている。また、関連技術は“A New Laser Texturing
Technique for High Performance Magnetic Disk Drive
s ”IEEE Trans.Mag.,Vol.31,pp2946-2951,1995 に詳細
に記述されている。
【0011】これらはレーザー被加工材質として金属や
金属合金を対象としており、これらの材料に対するレー
ザー加工のメカニズムは、レーザー照射により加工領域
内に温度分布が生じ、それに対応して照射領域内に表面
張力の分布が発生し、その表面張力に対応した材料の再
配置、引き続く固化によるといわれている。上記従来の
技術では、これらと加工メカニズムを異にするガラス基
板、ガラスセラミックス基板、カーボン基板などの脆性
基体の加工については考慮されてなく、具体的な方法も
提案されていない。
【0012】また、特開平7−182655号公報で
は、熱衝撃限界フルエンス・レベルを有する脆性材料表
面に対して固有のレーザー加工方法を、すなわち、それ
より上ではヘア・ライン・クラックや材料の噴出の発生
する熱衝撃フルエンス限界よりも低くエネルギーフルエ
ンスを正確に制御した単一レーザーパルスを使用して圧
縮表面応力を有するガラス・ディスク表面に隆起を形成
する方法を提案している。
【0013】ガラス材料を磁気記録媒体の基板として用
いる場合には、基板の破壊強度を高めるために、イオン
交換により表面に圧縮応力を形成する化学強化法が一般
的に用いられているが、上記従来技術では、表面に圧縮
応力を持つガラス材料の加工方法について提案をしてい
るものの、当技術分野で要求されている微小高さの隆起
を再現性よく制御することに関して全く論じていない。
【0014】最近のハードディスクドライブにおいて
は、一層の高密度化のためにヘッドが従来に比べ一層低
く飛翔することが求められている。一方、ヘッドの可能
最低飛翔高さはテクスチャの山の最大高さによって決定
されるがために、隆起高さを500Å以下、さらに望ま
しくは300Å以下に極微小制御することが要求され
る。加えて、これらのテクスチャを構成する微小レーザ
ーマークは、CSSの際のディスクとヘッドの接触・摺
動に充分耐えるためには、その高さのばらつきも厳しく
制御されることが必要である。
【0015】上記提案は、このレーザーマークの微小高
さの制御に関して考慮がされてなく、改善の必要があ
る。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、化学
強化の施されたガラス基体を用いた磁気記録媒体におい
て、ヘッドの飛翔高さを低く、かつスティクションの克
服とCSS耐久性の向上をはかるために、表面の圧縮応
力を適切に選択し、その基体表面上によく制御された微
小高さと形状をもつレーザーマークを形成してテクスチ
ャをなした磁気記録媒体を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明は、前述の課題を
解決すべくなされたものであり、磁気記録媒体用ガラス
基板であって、イオン交換強化処理により得られた基板
表面の圧縮応力が4000kg/cm2 以下であるガラ
ス基板の表面の複数の箇所にレーザー光を照射すること
により少なくとも一部に凸状の部分をもち、該凸状部の
高さHが10〜500Åの範囲にあるレーザーマークが
複数個形成されてなることを特徴とする磁気記録媒体用
ガラス基板を提供する。
【0018】また本発明の磁気記録媒体用ガラス基板の
表面の圧縮応力は、それが小さい場合には破壊強度が著
しく低下するために、ドライブの設計が要求するディス
クの破壊強度によって制限され、2000kg/cm2
以上であることが望ましい。
【0019】ここでガラス基板とは、ガラス材料のバル
ク材からなる基板、またはレーザーマークを形成するの
に支障のない厚さのガラス材料を他の材料からなる基板
に積層してなる基板である。
【0020】また、本発明におけるレーザーマークの形
状は前記基板の外側に向かって実質的に凸状であるか、
レーザーマークの周辺部が前記基板の外側に向かって実
質的に凸状でありかつ中央部に凹状部を有することが好
ましい。
【0021】また、スティクションの回避、CSS耐久
性向上、ヘッド飛翔高さの低下を達成するためにレーザ
ーマークの凸状部の高さHは10〜500Å、特に10
〜300Åの範囲にあることが好ましい。また、Hのば
らつきを標準偏差σで表すとき、σはHの平均値に対し
て5%以下、特に3%以下であることが好ましい。
【0022】また本発明は、請求項1記載の磁気記録媒
体用ガラス基板の上に磁性膜およびその他の所要の膜が
形成されてなる磁気記録媒体を提供する。
【0023】また、本発明の磁気記録媒体がランディン
グ領域とデータ領域を有し、前記レーザーマークが該ラ
ンディング領域にのみ存在するようレーザーマークを設
けることができる。
【0024】また、本発明の磁気記録媒体において、凸
状部の高さHがランディング領域よりもデータ領域にお
いて実質的に低いレーザーマークを設けることができ
る。
【0025】また、本発明の磁気記録媒体において、前
記レーザーマークの密度がランディング領域よりもデー
タ領域において実質的に低いレーザーマークを設けるこ
とができる。
【0026】なお、ランディング領域は、ドーナツ状の
ディスク形状の磁気記録媒体の内周領域、または外周領
域に所定幅をもって形成される。
【0027】本発明のガラス基板において、その上に磁
性膜および所要の薄膜を形成して得られる磁気記録媒体
表面のランディング領域の投影部分をガラス基板のラン
ディング領域、同じくデータ領域の投影部分をガラス基
板のデータ領域と呼ぶと、ガラス基板上のランディング
領域の微細な凹凸は、該基板の上に磁性膜および所要の
薄膜が形成されてなる磁気記録媒体の表面のランディン
グ領域に同様の微細な凹凸として保存される。
【0028】したがって、レーザーマークがランディン
グ領域にのみ存在する本発明の磁気記録媒体は、本発明
の磁気記録媒体用ガラス基板であって、そのランディン
グ領域にのみレーザーマークが存在するガラス基板を用
いることによって得られる。
【0029】ガラス基板にレーザーエネルギーを照射し
徐々にエネルギー量を増加していくと、照射レーザーエ
ネルギーがある閾値を超えたときに表面の隆起形成があ
たかも突然に始まる(図3)。
【0030】さらに照射レーザーエネルギーを増加し続
け、材料の温度が蒸発温度を超えたときに、材料の蒸発
が始まり隆起の頂点にくびれが発生する(図4)。
【0031】さらに照射レーザーエネルギーを増加を続
けると、大領域における材料の蒸発が開始し、くびれが
成長を続けついにはレーザーマーク形状は周辺部が実質
的に凸状の隆起からなり、中央部分に凹部を有する形状
(火口型)となる(図5)。
【0032】本発明におけるレーザーマークは、少なく
とも一部に凸状の部分をもち、該凸状部の高さHが10
〜500Åの範囲にある。本発明における高さHとは、
上記隆起の高さである。図3〜図5に高さHを示す。
【0033】図6は、一般に当技術分野で広く用いられ
ているソーダアルミノシリケート系のガラス基板にパル
ス化したレーザーエネルギーを照射したときの、パルス
当たりの照射レーザーエネルギーと、レーザーマークの
高さの関係を示す。このような基体の上にレーザーマー
クを形成する際に、レーザーマークの高さの制御は、照
射するパルスエネルギーの調整によって行う。
【0034】一方、レーザー出力は、時間軸に対して変
動があることが一般的に知られており、照射エネルギー
をどれだけ厳しく制御できるかは、使用するレーザーの
出力安定性によって制限される。ガラス基体がレーザー
エネルギーの変動に対してどのようなレーザーマークの
高さの変動を生じさせるかは、図6に示したパルスエネ
ルギーとレーザーマーク高さの関係の特性曲線の傾きに
よって示される。つまり、傾きが小さい場合には、照射
するパルスエネルギーが変動が変動したときに、それに
対応して生じる高さの変動が小さく、レーザー照射エネ
ルギーの変化に対する挙動が安定している。
【0035】一方、傾きが大きい場合には、照射エネル
ギーの変化に対するレーザーマークの高さの変動が大き
いことになり、高さのばらつきを厳しく抑えることがで
きなくなる。既に述べたように、市販のレーザーシステ
ムは、時間軸に対する出力の変動があるために、ディス
ク表面上に形成された複数個のレーザーマークの高さの
ばらつきを最小限に制御するためには、前記特性曲線の
傾きを小さく抑えることが必要となってくる。また、厳
密な照射エネルギーの制御を要求することは、生産工程
における管理に対する過度の要求や歩留りの低下などを
誘発しはなはだ非経済的である。このような場合レーザ
ーによる基板のテクスチャ加工は、開発現場のような非
常に管理された条件下では少量枚数具現できる可能性は
あっても、安価に大量生産できず、工業的には意味がな
いことになる。
【0036】本発明は、磁気記録媒体用のガラス基板と
して表面の圧縮応力が4000kg/cm2 以下の基板
を用いることにより、レーザーの照射エネルギーの変動
に対する許容度を高めることができ、高さHの分布が狭
小に制御されたばらつきの小さなレーザーマークが形成
された磁気記録媒体を提供するものである。
【0037】
【発明の実施の形態】図1は本発明の磁気記録媒体の断
面を示す模式図であり、1はイオン交換による化学強化
処理がなされており、表面の圧縮応力が4000kg/
cm2 以下のガラス基板である。
【0038】また、ガラス基板表面は、ヘッドと基板表
面の望ましくない物理接触を避けるため、またレーザー
マークの高さのばらつき範囲を抑えるために、レーザー
光の照射に先立ってあらかじめ10Åより微小の粗さに
鏡面研磨することが望ましい。
【0039】本発明におけるレーザーマークは、少なく
とも一部に凸状の部分をもち、該凸状部の高さHが10
〜500Åの範囲にある。
【0040】図1において、ガラス基板の表面の磁性層
側には、高さHが10〜500Å、好ましくは10〜3
00Åのレーザーマーク3が複数個形成されている。高
さHの下限10Åは、レーザーマークの存在が基板の粗
さに対して実質的に識別可能であることによって決定さ
れ、高さHが10Å未満の場合は、レーザーマークによ
るスティクション防止の効果が期待できない。また上限
は、レーザーマークの高さが直接的にヘッドの最低可能
飛翔高さを決定するがゆえに、当技術分野が要求するヘ
ッド飛翔高さによって決定される。
【0041】2は磁性層を示し、一般的には厚さ50〜
500ÅのCo合金系の強磁性合金であり、スパッタ法
や真空蒸着法などにより形成される。本発明における構
成は、ガラス基板上に少なくとも磁性層を有するが、ガ
ラス基板と磁性層の間には耐腐食のためのバリア層や、
磁性層の成長を制御するための下地層を設けることがで
きる。バリア層としては、Cr系やTi系の材質が好ま
しい。また、下地層としてはNiPやCr系の材料が用
いられる。
【0042】また、この磁性層2上には保護膜や潤滑膜
を設けることができる。保護膜としてはカーボン膜、水
素化カーボン膜、窒化カーボン膜、窒素を含む水素化カ
ーボン膜や、TiC、SiCなどの炭化物膜、ZrO2
などの酸化物膜が用いられ、また潤滑膜としては例えば
パーフルオロポリエーテル系の潤滑剤が5〜50Åの厚
さで設けられる。
【0043】ガラス基板上に形成されたレーザーマーク
の形状は、そのうえに設けられたバリア層、下地層、磁
性層、保護膜、潤滑膜などを通じて、最表面に保存さ
れ、ヘッドとディスクの間の摩擦力の低減に寄与する。
【0044】また、本発明のガラス基板1としては、ガ
ラス材料のバルク材よりなる基板の他に、ガラス材料を
他の材料の上に層状にコートしたものを使用できる。
【0045】図2は、ガラス基板にレーザー照射を行
い、表面にレーザーマークを形成するための装置の構成
の一例であるが、本発明は必ずしもこれに限定されな
い。4は、YAG・Qスイッチパルスレーザーである
が、共振器内部に非線形素子を配置することによって、
YAGの基本波(波長1. 064μm)の2次高調波で
ある波長532nmの放射エネルギーが出力として得ら
れる。
【0046】レーザーとしては、YAGレーザーの他
に、ガラス材料の吸収域に波長をもつレーザーであれば
よく、YLFやYVO4 などの固体レーザー、エキシマ
レーザーや炭酸ガスレーザー、アルゴンレーザーなどが
広範囲に使用できるが、ガラス材料が波長3μm以上の
赤外領域と300nm以下の紫外領域に強い吸収をもつ
ために、これらの領域に発振エネルギーを有するYAG
レーザー、YLFレーザー、YVO4 レーザーなどの4
次高調波、またはエキシマレーザー、またはアルゴンレ
ーザーの可視域の2次高調波や紫外域、または炭酸ガス
レーザーを用いることが好ましい。
【0047】また、離散型のレーザーマークを得るため
には、Qスイッチパルスレーザーの他に、連続発振(C
W)レーザーをEOMやAOMで変調してパルス化する
ことや、マスクを介して一括露光することもできる。
【0048】レーザー光は折り返しミラー5、非線形素
子6から照射エネルギーを制御するためのアッテネータ
7、折り返しミラー8を経て、レーザービームを所望の
形に整形するための開口9へ、さらに記録面でのエネル
ギーの強度分布を制御するためのエキスパンダ10へと
導かれる。レーザー光は、ガルバノミラー(X軸)1
1、ガルバノミラー(Y軸)12、対物レンズ13を経
てガラス基板14の表面へと導かれる。ガラス基板上に
複数個のレーザーマークが、同心円状、スパイラル状、
その他任意のパターンで、パルスレーザーの繰り返し周
波数との間で制御されたX、Y2軸のガルバノミラーの
駆動により形成される。
【0049】複数個のレーザーマークの形成は、上述の
ガルバノミラー(X軸)11とガルバノミラー(Y軸)
12の駆動によりレーザービームを偏向させる方法によ
る他に、位置の固定されたレーザービーム下で、ガラス
基板を装着したスピンドルを回転し、その回転との間に
制御された半径方向へのスピンドルの移動により、スパ
イラル状、または同心円状のレーザーマーク列を形成す
ることもできる。また、スピンドルの移動に代えてレー
ザービームを半径方向に移動させることで置き換えるこ
ともできる。
【0050】
【作用】ガラス基板のレーザー加工によって発生する隆
起の形成機構について、本発明者は Dimensional Chang
es Caused in Glass by Heating Cycles(A.Q.Tool,D.B.
Lioyd and G.E.Merritt:J.Res.Nat.Bur.Stand.,5,627,1
930)のFig.1 を引用する。すなわち、ガラス材料がレー
ザーエネルギーの照射により高温に熱せられ体積が膨張
(密度の低下)した後の引き続く冷却によって体積が収
縮(密度の増加)・復帰する過程において、冷却サイク
ルが早い場合には材料が元の密度に復帰しないことに起
因して隆起が形成されると考えている。
【0051】レーザー照射の停止後、加熱昇温したガラ
ス材料の箇所は周囲に存在するレーザーの照射されてい
ない領域の大きな熱容量の存在のために、熱平衡を保た
ないで急冷されることになり、結果として冷却後におい
て元の体積より若干大きな体積(小さな密度)をもつこ
とになる結果と推測している。したがって、表面より外
側に向く隆起部分は、レーザーにより加熱・昇温した深
さ領域の体積増加量の総和として発生していると考えら
れる。さらに照射エネルギーを増加していくと照射領域
の温度の高い部分が材料の蒸発温度を超え材料の蒸発が
始まる。この段階では、体積増加による隆起形成のメカ
ニズムと照射部の温度の高い部分(集光されたレーザー
エネルギーの場合は、中央部分)の材料の蒸発メカニズ
ムが同時に進行しており、周辺に隆起、中央にくびれを
持つ火口型のレーザーマークが得られる。
【0052】一方、磁気記録媒体に用いるガラス基板に
は、破壊強度を高めるためのイオン交換による化学強化
が一般的に施されている。つまり、ガラス基板の表面の
アルカリイオンを、それより原子半径の大きい他のアル
カリイオンで置換することにより、例えばリチウムイオ
ンをそれより原子半径の大きなナトリウムイオンで、ま
たはナトリウムイオンを同じくカリウムイオンで置換す
ることにより、表面に圧縮応力を生成せしめ強度を高め
る。このような、イオン交換処理が施されているガラス
基板にレーザーエネルギーを照射すると、高温になった
ガラス基板の箇所では圧縮応力が緩和され、圧縮応力が
ない場合に比べ隆起の高さが高くなり、結果として照射
エネルギーの変化に対する高さの変化が急峻(特性曲線
の傾きが大きくなる)となる。
【0053】本発明の磁気記録媒体においては、表面の
圧縮応力を4000kg/cm2 以下に制限したガラス
基板を用いる。表面の圧縮応力を4000kg/cm2
以下に制限することにより、レーザー照射により材料が
高温になったときの応力の緩和を極小に抑えることがで
き、それがレーザーの照射エネルギーの変化に対するレ
ーザーマークの高さ変動を抑えるように作用し、500
Å以下望ましくは300Å以下という極微小高さのレー
ザーマークの高さのばらつきを著しく抑制したレーザー
マークをガラス基板表面上に形成することができる。
【0054】
【実施例】次に実施例により本発明をさらに具体的に説
明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されな
い。用いたガラス基板は、ソーダアルミノシリケートガ
ラスからなる。
【0055】表1は、実施例1、2および比較例1にお
ける照射レーザーの出力の変動に対する許容度を示す。
レーザーマークの平均高さは、200Åである。実施例
1および2は、表面の圧縮応力がそれぞれ3000kg
/cm2 および0のガラス基板、比較例1は、表面の圧
縮応力が4400kg/cm2 のガラス基板におけるレ
ーザー加工の結果である。各々のガラス基板の照射レー
ザーの出力変動に対する許容度は、パルスエネルギーと
それに対する高さの各々の特性曲線から傾きをもとめ、
この傾きから1%の照射レーザーの出力変動が生じたと
きの高さの変動{高さ(Å)/照射レーザーの出力変動
(%)}を計算により求めた。
【0056】レーザー加工時のプロセスパラメータは以
下の通りである。
【0057】レーザー波長λ=266nm、 パルス繰り返し周波数=5kHz、 レーザーパルス幅=65nsec、 対物レンズ焦点距離=150mm、 ビームウエスト直径=15μm。
【0058】図2に示したNd:YAGのFHG出力
は、最も良い場合でも±4%の出力変動が認められる。
このような照射レーザーの出力変動があったときには、
実施例1、2および比較例1ではそれぞれ±25.6
Å,±16.4Å,±33.2Åの高さの変動が生ず
る。一方、ハードディスクドライブの最新の技術分野で
は、500Å以下、さらに望ましくは300Å以下の微
細な突起をばらつきを少なく形成することが求められて
おり、例えば200Åの高さのレーザーマークを3σの
ばらつきを±30Åの精度で得るためには、ガラス基板
の化学強化による表面の圧縮応力を4000kg/cm
2 以下にすることが必要となる。なお、化学強化の圧縮
応力の下限は、ディスクの破壊強度に対するドライブ設
計側からの要求によって決定され2000kg/cm2
以上であることが望ましい。なお、実施例1のガラス基
板は、当技術分野で標準的に要求される標準的な破壊強
度を保有していた。
【0059】
【表1】
【0060】
【発明の効果】本発明は次のような優れた効果を有す
る。
【0061】(1)テクスチャとしてのレーザーマーク
の高さを微小領域(500Å以下、さらに300Å以
下)で精度高く形成でき、ヘッドの飛翔を容易とする。
【0062】(2)テクスチャとしてのレーザーマーク
の高さのばらつきが小さく抑えられることにより、ヘッ
ドの低飛翔とCSS耐久性の両立により、記録容量の向
上が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気記録媒体の一実施例の断面図
【図2】本発明の一実施例に係るレーザーテクスチャ加
工装置のブロック図
【図3】照射エネルギーがEv 以下で形成されたレーザ
ーマークの断面模式図
【図4】照射エネルギーがEv で形成されたレーザーマ
ークの断面模式図
【図5】照射エネルギーがEv 以上で形成されたレーザ
ーマークの断面模式図
【図6】ソーダアルミノシリケート系ガラス基板の加工
特性を示すグラフ
【符号の説明】
1、14:ガラス基板 2:磁性層 3:レーザーマーク 4:YAG−Qスイッチパルスレーザー2次高調波出力 5:折り返しミラー 6:非線形素子 7:アッテネータ 8:折り返しミラー 9:開口 10:エキスパンダ 11:ガルバノミラー(X軸) 12:ガルバノミラー(Y軸) 13:対物レンズ

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】磁気記録媒体用ガラス基板であって、イオ
    ン交換強化処理により得られた基板表面の圧縮応力が4
    000kg/cm2 以下であるガラス基板の表面の複数
    の箇所にレーザー光を照射することにより少なくとも一
    部に凸状の部分をもち、該凸状部の高さHが10〜50
    0Åの範囲にあるレーザーマークが複数個形成されてな
    ることを特徴とする磁気記録媒体用ガラス基板。
  2. 【請求項2】ガラス基板の表面の圧縮応力が2000k
    g/cm2 以上であることを特徴とする請求項1に記載
    の磁気記録媒体用ガラス基板。
  3. 【請求項3】レーザーマークの凸状部の高さHが標準偏
    差σのばらつきを有し、σが高さHの平均値に対して5
    %以下であることを特徴とする請求項1に記載の磁気記
    録媒体用ガラス基板。
  4. 【請求項4】請求項1に記載の磁気記録媒体用ガラス基
    板の上に磁性膜およびその他の所要の膜が形成されてな
    る磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】磁気記録媒体が、ランディング領域とデー
    タ領域を有し、レーザーマークがランディング領域にの
    み存在することを特徴とする請求項4に記載の磁気記録
    媒体。
JP34196596A 1996-12-20 1996-12-20 磁気記録媒体用ガラス基板および磁気記録媒体 Pending JPH10188270A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6522501B1 (en) * 1999-12-28 2003-02-18 Kabushiki Kaisha Toshiba Magnetic recording medium and magnetic write/read apparatus using the same

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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