JPH10102628A - 耐火被覆材 - Google Patents

耐火被覆材

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JPH10102628A
JPH10102628A JP27696296A JP27696296A JPH10102628A JP H10102628 A JPH10102628 A JP H10102628A JP 27696296 A JP27696296 A JP 27696296A JP 27696296 A JP27696296 A JP 27696296A JP H10102628 A JPH10102628 A JP H10102628A
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JP
Japan
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rock wool
diopside
felt
weight
resistant
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Application number
JP27696296A
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English (en)
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Susumu Aoki
進 青木
Kiyoshi Fukuoka
清 福岡
Shoichiro Shirai
省一郎 白井
Shiro Kamiko
史郎 神子
Ryutaro Yokoyama
隆太郎 横山
Yasuaki Imamura
康明 今村
Hidetoshi Tsurita
英利 釣田
Noboru Kobayashi
昇 小林
Takeshi Wada
健 和田
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Nichias Ceratech Corp
Nichias Corp
Original Assignee
Nichias Ceratech Corp
Nichias Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ロックウールフェルトを主材に用いて、セラ
ミック繊維フエルトや金網からなる保護層を採用するこ
となしに、十分な形状安定性と耐熱性を有し、耐火性能
と取り扱い性にすぐれ製造も容易な耐火被覆材を提供す
る。 【解決手段】 高温に加熱されたとき軟化し溶融するこ
となく1050℃においても繊維形態を維持するのに十
分な量のジオプサイドを含有する結晶質の繊維に変化す
る耐熱性ロックウールからなるフェルトと可撓性有機質
表面材(たとえば不織布)との積層物よりなる耐火被覆
材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鉄骨建築物の耐火
性を向上させるために使われる、ロックウール質フェル
トを主材とする耐火被覆材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】柱、梁等、躯体に鉄骨を用いた建築物の
耐火性能を向上させるための耐火被覆材としてロックウ
ールフェルトを用いたものが知られている。その最初の
例は特開昭57−197349号公報に記載されてお
り、鉄骨表面に耐火被覆を施す手段として、ロックウー
ル等の無機繊維を主材とするフエルトを鉄骨に貼付ける
工法が開示されている。しかしながら、ロックウールの
フエルトはニードルパンチ処理を施した程度では形状安
定性が悪く、鉄骨に固定する作業中に裂けたりロックウ
ール繊維の脱落が多いという問題点がある。また、ロッ
クウールフェルトは耐熱性が十分でなく、火災に遭遇し
て温度が上昇すると収縮する傾向があるから、鉄骨を被
覆するときフエルトの端部同士を突き合わせただけにし
ておくとそこに隙間を生じ、鉄骨が露出して耐火性が悪
くなる。そのため、フェルト端部は数cm程度重ね合わせ
ておく必要があり、作業性と仕上がりの外観に問題があ
った。
【0003】このため、特公平5−222015号の発
明ではロックウールからなるフェルトにセラミック繊維
フェルトを積層し、その上にガラス布と金網を重ね合わ
せ、それらを金属ワイヤーで縫合して形状を安定化する
と共に耐火性能を向上させる改良が施された。この耐火
被覆材は、耐熱性に優れ火炎に直接接してもほとんど収
縮しないセラミック繊維のフエルトを高温側(露出面
側)にして使用することによりロックウールフエルト層
の温度上昇を抑制しその軟化・収縮を防止できるため、
端部は突き合わせておくだけでも突き合わせ部分(いわ
ゆる目地部)に隙間を生じにくく、高度の耐火性を保証
する。
【0004】これをさらに改良した実公平3−1024
1号の考案では、一部の端部においてセラミック繊維フ
エルト層をロックウールフエルト層から数cm突出させた
耳部を設けておき、施工時、隣接配置された耐火被覆材
同士の端部を突き合わせるとき、耳部を持つ端部と耳部
を持たない端部とをロックウールフェルト層部分で突き
合わせるようにし、耳部を相手方耐火被覆材(耳部を持
たない)の上にかぶせて目地部を覆うことにしており、
それにより一層高度の耐火性を達成している。
【0005】しかしながら、これら改良型ロックウール
フエルト系耐火被覆材では、本質的に耐熱性や形状安定
性が十分でないロックウールフエルトの欠点を補うため
にとられた幾つもの対策が該耐火被覆材をやや高価なも
のにしている。また、金網と共に縫合された積層構造は
重く、施工現場での切断も容易ではないという問題点が
あった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明の目的
は、ロックウールフェルトを主材に用いて、セラミック
繊維フエルトや金網からなる保護層を採用することなし
に、十分な形状安定性と耐熱性を有し、耐火性能と取り
扱い性にすぐれ製造も容易な耐火被覆材を提供すること
にある。
【0007】本発明の他の目的は、特殊耐熱性ロックウ
ールを用いて新規な耐火被覆材を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明が提供することに
成功した耐火被覆材は、SiO2、Al23、およびアル
カリ土類金属酸化物を主成分とし高温に加熱されたとき
軟化し溶融することなく1050℃においても繊維形態
を維持するのに十分な量のジオプサイドを含有する結晶
質の繊維に変化するロックウール(以下、このロックウ
ールを耐熱性ロックウールという)からなるフェルト、
および、前記フェルトの少なくとも片面において積層さ
れた可撓性有機質表面材よりなるものである。
【0009】ここで、可撓性有機質表面材としては、好
適には不織布、編織物、プラスチックフィルム、紙、ま
たはこれらの積層物を用いる。
【0010】可撓性有機質表面材は、好ましくはロック
ウールフェルトの両面に積層される。たとえば、ロック
ウールフェルトの片面に不織布が(あるいは不織布とプ
ラスチックフィルムが前者を外側にして)積層され、反
対側表面にプラスチックフィルムが積層される。
【0011】主材のロックウールフェルトを構成する耐
熱性ロックウールは、高温に加熱されたときその内部で
生成するジオプサイドが好ましくはAl,Fe+3置換ジオ
プサイドであるものであり、化学組成においては、Si
2を30〜45重量%、Al23を10〜16重量%、
CaOを25〜35重量%、MgOを3〜10重量%、F
eOを3〜10重量%含有し、これら必須成分の合計量
が90重量%以上のものである。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の特徴の第一はロックウー
ルフェルトに特殊耐熱性ロックウールを用いることにあ
るので、この耐熱性ロックウールについて最初に説明す
る。
【0013】高温度に加熱されたとき従来の通常のロッ
クウールが850℃付近でメリライトを晶出する前に軟
化、溶融して繊維形態を失うのに対し、耐熱性ロックウ
ールは軟化・溶融開始前に顕著な結晶化を起こす。ジオ
プサイドの生成が特に顕著になる温度は、繊維組成によ
っても多少異なるが約830〜850℃である。ジオプ
サイドの生成が速やかに且つ顕著に起こることにより
(同時にジオプサイド以外の結晶も並行して生成するこ
とにより)、耐熱性ロックウールは高温に加熱されると
事実上結晶質の繊維に変化し、非晶質部分はおそらくは
約5〜10重量%以下に減少する。しかも、生じたジオ
プサイドはさらに温度が上昇しても結晶形の変化を起こ
さない。したがって、この耐熱性ロックウールは高温に
加熱されても1050℃付近まで繊維形態を保ち、その
フエルトは1050℃で3時間加熱しても線収縮率が5
%をこえることはない。
【0014】ガラス質構成成分の結晶化にともないロッ
クウールの繊維としての物性は当然変化し、たとえば柔
軟性が低下するなどの変化も起こすが、耐火被覆材とし
ての使用状態に置かれたのち火災に遭遇したときに起こ
るそのような変化が不都合を招くことはない。
【0015】高温に加熱されたとき耐熱性ロックウール
中で生成するジオプサイドは、鉱物学では透輝石と呼ば
れる単斜晶系結晶であって、CaO・MgO・2SiO2
基本組成とする。普通は、共通の結晶学的性質を保持し
たまま上記基本組成におけるCa、Mg、およびSiの一
部がAl、Mn、Cr、Zn、Feその他の金属元素で置換
された状態で存在する。本発明で用いる耐熱性ロックウ
ールの中でも代表的なものは、上記一部の金属元素が置
換されたジオプサイドにおける置換成分がAlおよびFe
+3を必須の成分とするものである(この明細書ではこれ
をAl,Fe+3置換ジオプサイドという)。
【0016】高温に加熱されたときAl,Fe+3置換ジオ
プサイドを生じる耐熱性ロックウールは、化学組成にお
いてSiO2を30〜45重量%、Al23を10〜16
重量%、CaOを25〜35重量%、MgOを3〜10重
量%、FeOを3〜10重量%含有し、これら必須成分
の合計量が90重量%以上のものであることが確認され
ている。
【0017】なお、ロックウール中で生成するジオプサ
イドは次の方法で確認することができる。まず200℃
/Hr程度の昇温速度で試料を加熱し、850℃に達した
ならばその温度に3時間保持する。その後、室温まで放
冷し、下記粉末X線回折分析法によりジオプサイドの有
無を確認する(上記加熱処理により顕著に収縮し塊状に
なるなど繊維形態を失うロックウールは、ジオプサイド
の生成を確認するまでもなく耐熱性ロックウールではな
い。)。
【0018】粉末X線回折分析法:試料をメノウ乳鉢で
粉砕して粒径44μm以下(250メッシュ通過)の微
粉末としたのち、これを試料ホルダー(35×50mm2,厚
さ1.5mmのアルミニウム板に20×18mm2の穴を開けたも
の)に充填し、X線回折装置にセットして、管電圧30
KV、管電流15mA、走査角度2θ=5〜70°の範囲
を測定する。得られたX線回折ピーク図形の個々の回折
ピークのd値をJCPDS(Joint comittee of Powder
Diffraction Standard)のデータと対比して、結晶成
分を同定する(後記耐熱性ロックウール製造例参照)。
【0019】耐熱性ロックウールの850℃加熱処理物
におけるジオプサイドの量は、少なくとも50重量%、
通常約90重量%またはそれ以上になる。
【0020】高温に加熱されたときジオプサイドを生じ
得る耐熱性ロックウールは、その化学組成が前述の範囲
になるように原料配合を選ぶことを除けば、従来のロッ
クウールとまったく同様にして製造することができる。
すなわち、高炉スラグ、転炉スラグ、玄武岩、角閃岩、
輝緑岩、珪石、ドロマイト、ろう石、長石、とう石等を
適宜配合し(これらの原料の中でFeO源となりうるも
のは転炉スラグ、玄武岩、角閃岩、輝緑岩等である)、
キュポラ炉で加熱して溶融させ、ローター方式等周知の
方式で繊維化することにより困難なく製造することがで
きる。このとき、前述の必須成分の総含有率はなるべく
高いほうがよく、Fe23、TiO2、MnO、Cr23
BaO、Na2O、K2O、S等、原料に由来し不可避的に
混入する微量成分は合計量で10重量%未満であること
が望ましい。
【0021】形成された耐熱性ロックウールは常法によ
り集綿し、その過程でバインダーを吹き付けながらマッ
ト状に積層したのち、加熱してバインダーを硬化させ
る。このとき、バインダーの吹き付け量や積層条件を調
節して、好ましくは嵩密度が40〜120kg/m3程度、
厚さが約20〜100mmのフェルトを得る。
【0022】本発明の耐火被覆材は、上述のようにして
製造された耐熱性ロックウールのフエルトと有機質表面
材とを接着剤を用いて積層することにより得られるもの
である。耐熱性ロックウールフェルトと表面材との接
着、および複数の表面材を重ねて積層する場合における
表面材間の接着には、エチレン共重合体系接着剤(たと
えばエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニル
アルコール共重合体等を用いたもの)、酢酸ビニル重合
体系接着剤、天然ゴムまたは各種合成ゴムを用いたゴム
系接着剤、アクリルエマルジョン系接着剤、ポリウレタ
ン系接着剤等を用いることができる。
【0023】本発明の耐火被覆材において表面材は、そ
のままでは曲げたとき裂け易くまたロックウールが飛散
し易いロックウールフエルトの表面を覆うことにより、
裂け防止、補強、および発塵防止に役立っている。言う
までもなく、これらの効果はロックウールフェルトの両
面に表面材を積層することにより一層確実になる。表面
材がプラスチックフィルムの場合はさらに防水、防湿の
作用があり、それにより、この耐火被覆材で被覆された
鉄骨が見えない所で水濡れや結露による腐食を起こすの
を防止する。不織布、紙等(特に建物の内装色を考慮し
て着色されたもの)からなる表面材は、それを露出面側
に配置して使用すれば意匠性向上にも役立ち、耐火被覆
された柱、梁等をむき出しで使用する建物に使う場合に
好適な耐火被覆材を与える。
【0024】したがって、上述のような各種表面材素材
の特長を生かして複数種類の表面材を適宜組み合わせ積
層することにより、耐火被覆材の使用条件に応じた最適
の耐火被覆材を提供することができる。
【0025】本発明ではこれらの表面材に有機質のもの
を用いるが、有機質のものは施工時の折り曲げ等の変形
に追随し易く、切断も容易であり、さらに施工中および
施工後に無機繊維質のもののように皮膚を刺激したり粉
塵化して環境衛生上好ましくない状態を生じさせたりす
るおそれがない、などの利点がある。
【0026】表面材は断熱作用を期待して積層されるも
のではないからいずれも薄いものでよく、上述の作用を
するのに十分な強度さえあればよい。有機質の表面材が
可燃性であることに実用上不都合はないが、容易に着火
して火災原因になったりしないよう、難燃性ないし不燃
性の素材、あるいは難燃加工された素材であることが望
ましい場合もある。
【0027】表面材として好適な材料の具体例は次のよ
うなものである。 不織布,編織物,紙:ポリエステル繊維、ポリプロピレ
ン繊維等の各種合成繊維からなるもののほか、再生繊維
素繊維、天然繊維等からなるもの。 プラスチックフィルム:ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル等、耐水性素材から
なるもの。
【0028】本発明の耐火被覆材の代表的な例の層構成
を以下に示す(使用時に露出面となる層から順に記載し
てある。)。いずれの例も、不織布は布、ニット製品、
紙等で代替可能であるが、不織布が価格と強度の点で最
も有利である。
【0029】 不織布/プラスチックフィルム/耐熱
性ロックウール/プラスチックフィルム(形状安定性、
防塵性、意匠性に優れ、防水・防湿性が特に優れてい
る。) 不織布/耐熱性ロックウール/プラスチックフィル
ム(形状安定性、防塵性、防水・防湿性、意匠性に優れ
ている。) プラスチックフィルム/耐熱性ロックウール/プラ
スチックフィルム
【0030】 不織布/耐熱性ロックウール/不織布 プラスチックフィルム/耐熱性ロックウール/プラ
スチックフィルム 不織布/耐熱性ロックウール プラスチックフィルム/耐熱性ロックウール
【0031】本発明による耐火被覆材は、鉄骨建築にお
ける柱・梁等の鉄骨、および鋼板製壁材、その他任意の
部位の耐火性を高めるための被覆材料として、従来のロ
ックウールフェルト製耐火被覆材と同様に使用すること
ができる。施工時の切断はナイフ状カッターだけで可能
であり、金網付きの従来品の場合よりもはるかに容易で
ある。被覆対象物への固定には、周知のスタッド溶接ピ
ン(後記図1参照)、接着剤等を用いることができる。
【0032】本発明の耐火被覆材で被覆された鉄骨から
なる耐火構造においては、火災に遭遇したとき有機質表
面材は当然焼失するが耐熱性ロックウールフェルト層は
そのまま残る。耐熱性ロックウールフェルトは前述のよ
うに本質的に耐熱性に優れていて1050℃に1時間加
熱された程度ではほとんど収縮しないから、耐火被覆材
の端部同士を重ね合わせずに突き合わせただけの目地部
でも、火災に遭遇したとき該目地部が開いてその部分か
ら鉄骨の温度上昇を早めるおそれはない。
【0033】しかしながら、施工上の都合で目地部に隙
間ができた場合はそこに耐熱性ロックウールその他詰め
物として適当な耐火材料を詰め込んで隙間を無くすこと
ができ、また、隙間ができるおそれがある場合も同様の
詰め物をするか突き合わされた端部同士を接着剤で接合
することによって、経時的な、または火災遭遇時の、目
地部拡開を防止してもよい。
【0034】耐火被覆された柱、梁等が可視状態に置か
れる建物の場合、露出面側表面材に意匠性に優れたもの
を用いた耐火被覆材を施工した後、固定に用いた溶接ピ
ンの頭部および目地部に露出面表面材と同じ素材を貼着
すれば、目地部も固定ピンも見えず、意匠的にきわめて
優れた耐火被覆構造を得ることができる。なお、目地部
隠蔽手段としては、前記実公平3−10241号の考案
におけるセラミック繊維フエルト層からなる耳部と同様
の耳部を一部の端部に露出面側表面材により形成してお
き、該耳部を有する端部を耳部を有しない耐火被覆材の
端部と突き合わせ、耳部を相手方耐火被覆材にかぶせて
接着することにより目地部を隠す方法もある。
【0035】
【実施例】以下、実施例を示して本発明を説明する。な
お、各例において使用した耐熱性ロックウールフェルト
は、後記耐熱性ロックウール製造例に記載した方法で製
造されたものである。%は重量%である。
【0036】実施例1 着色ポリプロピレン・ポリエステル長繊維不織布(厚さ
0.11mm)/ポリエチレンフィルム(厚さ20μm)/
耐熱性ロックウールフェルト(厚さ50mm)/ポリエチ
レンフィルム(厚さ20μm) 上記材料を接着剤を用いて記載順に積層し、耐火被覆材
を製造した。
【0037】実施例2 着色ポリプロピレン・ポリエステル長繊維不織布(厚さ
0.11mm)/耐熱性ロックウールフェルト(厚さ40m
m)/ポリエチレンフィルム(厚さ30μm) 上記材料を、記載順に接着剤を用いて積層し、耐火被覆
材を製造した。
【0038】比較例 耐熱性ロックウールフェルトに替えて850℃加熱で軟
化する通常のロックウール市販品(化学組成:SiO2
46.9%、Al23 12.4%、CaO 32.7%、Mg
O 3.8%、FeO 0.2%、Fe23 0.0%、TiO2
1.1%、MnO0.4%、Na2O 痕跡、K2O 0.6
%、その他 1.9%)からなる厚さ40mmのフェルトを
用いたほかは実施例2と同様にして、耐火被覆材を製造
した。
【0039】実施例3 図1に示したように、実施例2の耐火被覆材1を不織布
層2を露出面側に配置して鉄骨柱3(H−300×30
0×10×15)を被覆し、表面から突き刺したワッシ
ャー付きスタッド溶接ピン4の先端を鉄骨柱3に溶接す
ることにより鉄骨柱3に固定した。目地部5は、耐火被
覆材1の端部6同士を突付けただけの状態にした。
【0040】上記のようにして被覆された鉄骨につい
て、「建築構造部分の耐火試験方法」(JIS A13
04)により1時間加熱耐火性能を試験した。鉄骨梁
(H−400×200×8×13)についても同様の耐
火被覆を施し、同じ耐火性能試験を行なった。比較のた
め、比較例製品を用いた鉄骨柱についても同様の試験を
行なった。その結果を表1に示す。
【0041】
【表1】 鉄骨柱 鉄骨梁 比較例 1時間加熱後温度 最高(℃) 291 342 610 平均(℃) 272 290 550 変形・破壊・脱落・割目等 なし なし あり 判定 合格 合格 不合格 衝撃試験結果 合格 合格 不合格
【0042】〔耐熱性ロックウール製造例〕化学組成が
SiO2 38.5%(重量%、以下同じ)、Al23 13.
0%、CaO25.5%、MgO 6.2%、FeO 7.6
%、Fe23 0.8%、TiO2 1.0%、MnO 0.9
%、Na2O 3.8%、K2O 0.8%、その他 1.9%
のロックウールが得られるように高炉スラグ、転炉スラ
グ、玄武岩、角閃岩等を配合し、これらの混合物をキュ
ポラ炉で加熱して溶融させた。得られた溶融物をロータ
ー方式で繊維化後、フェノール樹脂バインダーを吹き付
け、集綿、積層し、加熱してバインダーを硬化させるこ
とにより、厚さが40mm、嵩密度が80kg/m3のフェル
トにした。
【0043】得られたフェルトについて、下記の加熱試
験を行なった。 加熱試験:試験片を電気炉に入れ、室温から850℃、
950℃、または1050℃まで、昇温速度200℃/
Hrで昇温し、所定の温度に達したならばその温度に3時
間保つ。その後、試験片を電気炉から取り出して室温ま
で冷却する。その後、粉末X線回折分析により結晶化状
態を調べる。試験結果は表2のとおりであった。
【0044】
【表2】 850℃・3時間加熱後 950℃・3時間加熱後 1050℃・3時間加熱後 ジオプサイド(S) ジオプサイド(S) 同左 メリライト(W) メリライト(W) ウォラストナイト(VW) アノーサイト(VW) (注)S:多量 M:中程度の量 W:少量 VW:微量
【0045】次に、上記試験における850℃加熱処理
物について、生じたジオプサイドの組成を調べた。すな
わち、850℃加熱処理物を200メッシュ以下の粉末
にして常温の0.2N-塩酸に投入し、90分間撹拌処理
してガラス質やジオプサイド以外の結晶を溶解させ、濾
過、水洗してジオプサイドを残渣として得、該ジオプサ
イド質残渣について化学分析およびX線回折分析を行な
った。化学分析の結果は表3のとおりで、これから基本
組成CaMgSi26を基にO数を6として計算したとこ
ろ、このジオプサイド質残渣は下記示性式のAl,Fe+3
置換ジオプサイドからなることがわかった。 Ca1.04(Mg0.45Al0.13Fe+3 0.28Ti0.04Mn0.04Na
0.03K0.03)1.00(Si1.56Al0.44)2O6
【0046】
【表3】 SiO2 40.6% Al23 12.6 CaO 25.2 MgO 7.8 FeO − Fe23 9.8 TiO2 1.3 MnO 1.3 Na2O 0.4 K2O 0.6 その他 0.8
【0047】また、X線回折分析の結果はJCPDSカ
ードに記載されている2種類のジオプサイド(No.11-65
4およびNo.41-1370)の粉末X線回折データと良い一致
を示した。
【0048】
【発明の効果】上述のように、断熱材として耐熱性ロッ
クウールからなるフェルトを用いた本発明によればセラ
ミック繊維フエルトからなる保護層なしで十分な耐火性
能が達成され、また、それにより、薄い有機質表面材か
らなる保護層を接着剤で積層するだけで十分な取り扱い
性と形状安定性が達成された。
【0049】着色や模様付けが容易な有機質表面材を用
いたことにより、意匠的に優れた表面材を採用して耐火
被覆後の鉄骨をそのまま可視状態に置くことも、建物内
部の美観を損ねることなく可能になった。
【0050】また、有機質表面材としてプラスチックフ
ィルムを用いたものは防水性と防湿性にも優れ、水がか
かったり結露を生じたりするおそれがある場所に用いれ
ば鉄骨表面のサビを防ぐ作用にも優れている。
【0051】通常のロックウールとほとんど変わらない
原料と装置で製造可能な耐熱性ロックウールはセラミッ
ク繊維よりもはるかに安価なものであるから、本発明の
耐火被覆材を用いることにより従来よりも優れた作業性
と低いコストで高品質の耐火被覆を施すことが可能にな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例3の耐火試験の説明図(本発明の耐火
被覆材で鉄骨を被覆した状態を示す断面図)である。
【符号の説明】
1:耐火被覆材 2:不織布層 3:鉄骨柱 4:溶接ピン 5:目地部
フロントページの続き (72)発明者 神子 史郎 横浜市神奈川区栗田26 (72)発明者 横山 隆太郎 埼玉県浦和市大字大谷口693−1−306 (72)発明者 今村 康明 千葉県市川市相之川3−7−17 (72)発明者 釣田 英利 静岡県浜松市上島5−5−7 (72)発明者 小林 昇 長野県須坂市塩川238−4 (72)発明者 和田 健 長野県長野市大字稲葉1731−170

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 SiO2、Al23、およびアルカリ土類
    金属酸化物を主成分とし高温に加熱されたとき軟化し溶
    融することなく1050℃においても繊維形態を維持す
    るのに十分な量のジオプサイドを含有する結晶質の繊維
    に変化するロックウールからなるフェルト、および、前
    記フェルトの少なくとも片面において積層された可撓性
    有機質表面材よりなる耐火被覆材。
  2. 【請求項2】 可撓性有機質表面材が不織布、編織物、
    プラスチックフィルム、紙、またはこれらの積層物であ
    る請求項1記載の耐火被覆材。
  3. 【請求項3】 SiO2、Al23、およびアルカリ土類
    金属酸化物を主成分とし高温に加熱されたとき軟化し溶
    融することなく1050℃においても繊維形態を維持す
    るのに十分な量のジオプサイドを含有する結晶質の繊維
    に変化するロックウールからなるフェルトの片面に不織
    布が積層され反対側表面にプラスチックフィルムが積層
    されてなる耐火被覆材。
  4. 【請求項4】 SiO2、Al23、およびアルカリ土類
    金属酸化物を主成分とし高温に加熱されたとき軟化し溶
    融することなく1050℃においても繊維形態を維持す
    るのに十分な量のジオプサイドを含有する結晶質の繊維
    に変化するロックウールからなるフェルトの片面にプラ
    スチックフィルムおよび不織布が順次積層され反対側表
    面にプラスチックフィルムが積層されてなる耐火被覆
    材。
  5. 【請求項5】 ジオプサイドがAl,Fe+3置換ジオプサ
    イドである請求項1〜4のいずれかに記載の耐火被覆
    材。
  6. 【請求項6】 必須成分としてSiO2を30〜45重量
    %、Al23を10〜16重量%、CaOを25〜35重
    量%、MgOを3〜10重量%、FeOを3〜10重量%
    含有し、これら必須成分の合計量が90重量%以上のも
    のであるロックウールからなるフェルトを使用した耐火
    被覆材。
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