JPH10102254A - タングステンブロンズ型酸化物誘電体薄膜の製造方法 - Google Patents

タングステンブロンズ型酸化物誘電体薄膜の製造方法

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JPH10102254A
JPH10102254A JP29219796A JP29219796A JPH10102254A JP H10102254 A JPH10102254 A JP H10102254A JP 29219796 A JP29219796 A JP 29219796A JP 29219796 A JP29219796 A JP 29219796A JP H10102254 A JPH10102254 A JP H10102254A
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Yuko Hochido
雄幸 寶地戸
Hidekimi Kadokura
秀公 門倉
Masamichi Matsumoto
政道 松本
Yumie Okuhara
弓恵 奥原
Hidechika Yokoyama
英親 横山
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 半導体高集積メモリー、光変調素子、赤外線
検出子などに用いられる(SrBa1−x)(Nb
Ta1−yで表されるタングステンブロンズ型
酸化物誘電体の薄膜を化学気相成長法で形成する方法を
提供する。 【解決手段】 A〔B(OR)(ただし、式中A
=Sr,Ba,B=Nb,Ta,R=C,CH
(CHのいずれかを表す)で表されるダブルアル
コキシドを原料として、気化させてCVD装置に導入
し、300〜500℃に加熱した基板上に導き分解堆積
させ、次いで酸化性ガス中で熱処理する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酸化ニオブおよび
/または酸化タンタルと酸化ストロンチウムおよび/ま
たは酸化バリウムとから成るメタニオブ酸塩および/ま
たはメタタンタル酸塩のタングステンブロンズ型酸化物
誘電体薄膜の製造方法に関する。さらに詳しくは、原料
として、特定のダブルアルコキシドを用いて、化学気相
成長法で該薄膜を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ニオブ酸ストロンチウム・バリウム(S
0.75Ba0.25Nb、Sr0.48Ba
0.52Nb)やタンタル酸ストロンチウム(S
rTa)に代表されるメタニオブ酸塩および/ま
たはメタタンタル酸塩のタングステンブロンズ型酸化物
単結晶は、強誘電体であり、焦電効果を利用した赤外線
検出素子や電気光学効果を利用した光変調素子として用
いられている。しかしながらこれらの素子を作る上で、
高価なバルク単結晶を切り出して使う必要は必ずしもな
いはずである。すなわち、上述のデバイスにおいて実際
に機能するのは結晶表面のミクロン単位の領域であるか
らである。よってデバイスに応用可能な良好な薄膜材料
を低コストで製造する技術を確立することは、工業生産
上重要である。また、近年半導体高集積メモリー用に高
誘電率常誘電体薄膜あるいは強誘電体薄膜の応用がなさ
れているが、この目的にもメタニオブ酸塩および/また
はメタタンタル酸塩のタングステンブロンズ型誘電体薄
膜が期待できる。しかしこれらの薄膜形成の報告は少な
い。中野充らは、レーザーアブレーション法による(S
r,Ba)Nb薄膜の作製とその誘電特性を報告
している(第43回応用物理学関係連合講演会講演予稿
集26a−V−4)。しかし未だこれらの薄膜を、一般
的に量産性に優れる有機金属化学気相成長法で作ったと
いう報告はない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】(SrBa1−x
(NbTa1−yで表されるタングステンブ
ロンズ型酸化物誘電体の薄膜を化学気相成長法で製造す
る場合に以下の2点の課題があった。第1点は、Srお
よびBaについて適当な揮発性のある安定な化合物が得
難いことである。SrおよびBaのアルコキシドやジピ
バロイルメタナートなどのβ−ジケトナートは会合で多
量体となっているため、揮発性が低く使い難い。第2点
は、組成の制御である。多成分になればなるほど個々の
原料を正確に制御することが必要になる。
【0004】本発明の目的は、(SrBa1−x
(NbTa1−yで表されるタングステンブ
ロンズ型酸化物誘電体の薄膜を化学気相成長法で製造す
る方法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、原料とし
てA〔B(OR)で表されるダブルアルコキシド
を使えば、前記目的が容易に達成されることを見いだし
本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、(S
Ba1−x)(NbTa1−y(ここで
0≦x≦1,0≦y≦1)で表されるタングステンブロ
ンズ型酸化物誘電体の薄膜を化学気相成長法で製造する
場合において、原料としてA〔B(OR)(ただ
し、式中A=Sr,Ba,B=Nb,Ta,R=C
,CH(CHのいずれかを表す)で表されるダ
ブルアルコキシドを用いるものであり、該ダブルアルコ
キシドを有機溶媒に溶解して得られた溶液を気化させ、
この気化によって得られたガスを基板上に供給して化学
気相成長させるものである。本発明の特徴は、A/Bが
膜と同じ組成比1/2からなる特定のダブルアルコキシ
ドを使用することである。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明のタングステンブロンズ型
酸化物誘電体としては、SrNb,BaNb
,(Sr0.75Ba0.25)Nb,(Sr
Ba1−x)Nb(ここで0≦x≦1),Sr
Ta,BaTaなどである。バルクの(S
0.75Ba0.25)Nbは、キュリー温度
が40℃、室温での誘電率εが9000の強誘電体であ
り、またバルクのSr0.48Ba0.52Nb
は、キュリー温度が115℃、室温での誘電率εが38
0の強誘電体であることが知られている。
【0007】本発明のダブルアルコキシドとしては、S
r〔Nb(OEt),Sr〔Nb(OiP
r),Ba〔Nb(OEt),Ba〔Nb
(OiPr),Sr〔Ta(OEt),S
r〔Ta(OiPr),Ba〔Ta(OE
t),Ba〔Ta(OiPr)の8種とそ
れらの混合物である(上記においてOEtはエトキシ基
を、OiPrはイソプロポキシ基を表す)。
【0008】上記ダブルアルコキシドは蒸留あるいは昇
華精製することができる。いずれも単量体であり、本発
明者等が気体飽和法により測定した蒸気圧あるいは昇華
圧は表1のとおりであった。
【0009】
【表1】
【0010】上記ダブルアルコキシドを、目的とする薄
膜の組成に応じて選び、それらの個々のソース温度やキ
ャリヤーガス流量を調節することにより気化させてCV
D室に供給する。あるいは上記ダブルアルコキシドをテ
トラヒドロフラン(以下THFと略す)などの有機溶媒
にとかし、その溶液を流量調節しながら供給し全量気化
させてCVD室に供給してもよい。
【0011】本発明で該薄膜を製造するに際し、原料と
して用いるダブルアルコキシドのA/B元素比と膜のA
/B元素比が同じになるようにするには基板温度は50
0℃以下が好ましい。温度が500℃より高いと原料ダ
ブルアルコキシドガスが基板に到達前に解離してしまう
ため分解堆積のA/Bの比率が原料の比率と異なってし
まうと推定される。よって基板到達前に基板からの熱に
より高温に加熱されることを避けるのが望ましい。すな
わち、できるだけ基板の温度を低くしてCVDするのが
好ましい。
【0012】そこで300〜500℃の基体上に分解堆
積し成膜する工程と該膜を目的のタングステンブロンズ
構造に転化するために400〜800℃で熱処理する工
程にわけて実施することもできる。
【0013】上記熱処理工程では、膜中の残留炭素をへ
らし、結晶化を早めるために酸化性ガスの共存下で行う
ことが好ましい。酸化性ガスとして酸素、亜酸化窒素、
オゾンなどが用いられる。
【0014】化学気相成長をおこさせるエネルギー源と
して、熱、プラズマ、光などがあり、目的によって適当
なものを選ぶことができる。光CVDの際には200〜
260nmの紫外線が有効である。例えば、Sr〔Ta
(OiPr)を5.0×10−3mol/lの溶
液にして光の吸収特性を測定したところ、230〜25
0nmに吸収ピークがあり、248nmにおける分子吸
収係数は、494(1・mol−1・cm−1)であっ
た。この付近の紫外線で分解が促進される。
【0015】以下に本発明の実施例を説明する。
【実施例1】減圧熱CVD装置系(全圧5Torr)の
原料容器にSr〔Ta(OiPr)20gを充填
し、該容器を180℃の恒温に保ち、アルゴンを90m
l/min導入し、Sr〔Ta(OiPr)の昇
華した蒸気を同伴させ、熱分解炉に送った。熱分解炉中
では、Pt/SiO/Si基板を350℃に加熱して
おり、この基板上に上記のガスを導き、20分間、分解
堆積をおこさしめた。次いで、酸素ガスを流しながら昇
温して行き、700℃、30分間の熱処理を施した。こ
うして基板上に250nmの厚さの薄膜を得た。この結
晶構造をXRDで分析した結果、正方タングステンブロ
ンズ構造のSrTaであった。この際の参照した
XRDは、F.Galasso,L.Katz and
R.Ward,J.Am.Chem.Soc.Vol
81,5898(1959)である。そして、この膜
の一部を湿式分解し、ICP発光分析により元素分析し
た結果、膜の組成はSr1.0Ta2.16.0であ
った。
【0016】
【実施例2】Sr〔Nb(OiPr)9.83g
(10nmol)とBa〔Nb(OiPr)
0.32g(10nmol)を乾燥したTHFに溶か
し、200mlのTHF溶液とした。このTHF溶液を
液体マスフローコントローラーにより0.3ml/mi
nでフラッシュ蒸発器に供給し、キャリヤーガスのアル
ゴン400SCCM中に全量を気化させ、次いで、酸素
ガス100SCCMを合わせ減圧熱CVD装置系(全圧
5Torr)に導いた。熱分解炉中では、Pt/SiO
/Si基板を350℃に加熱しており、この基板上に
上記の混合ガスを導き、30分間、分解堆積をおこさし
めた。次いで、酸素ガスを流しながら昇温して行き、7
00℃、30分間の熱処理を施した。こうして基板上に
300nmの厚さの薄膜を得た。この結晶構造をXRD
で分析した結果、正方タングステンブロンズ構造であっ
た。そして、この膜の一部を湿式分解し、ICP発光分
析により元素分析した結果、膜の組成はSr0.50
0.50Nb2.06.0であった。
【0017】
【発明の効果】本発明によれば、(SrBa1−x
(NbTa1−yで表されるタングステンブ
ロンズ型酸化物誘電体の薄膜を、原料として特定のダブ
ルアルコキシドを用いることにより、量産性に優れる化
学気相成長法で製造することができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (SrBa1−x)(NbTa
    1−y(ここで0≦x≦1,0≦y≦1)で表
    されるタングステンブロンズ形酸化物誘電体の薄膜を化
    学気相成長法で製造する場合において、原料としてA
    〔B(OR)(ただし、式中A=Sr,Ba,B
    =Nb,Ta,R=C,CH(CHのいず
    れかを表す)で表されるダブルアルコキシドを用いるこ
    とを特徴とするタングステンブロンズ型酸化物誘電体薄
    膜の製造方法。
  2. 【請求項2】 A〔B(OR)で表されるダブル
    アルコキシドを有機溶媒に溶解して得られた溶液を気化
    させ、この気化により得られたガスを基板上に供給して
    化学気相成長することを特徴とする請求項1のタングス
    テンブロンズ型酸化物誘電体薄膜の製造方法。
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