JP3823399B2 - タングステンブロンズ型酸化物誘電体薄膜の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸化ニオブおよび/または酸化タンタルと酸化ストロンチウムおよび/または酸化バリウムとから成るメタニオブ酸塩および/またはメタタンタル酸塩のタングステンブロンズ型酸化物誘電体薄膜の製造方法に関する。さらに詳しくは、原料として、特定のダブルアルコキシドを用いて、化学気相成長法で該薄膜を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ニオブ酸ストロンチウム・バリウム(Sr0.75Ba0.25Nb2O6、Sr0.48Ba0.52Nb2O6)やタンタル酸ストロンチウム(SrTa2O6)に代表されるメタニオブ酸塩および/またはメタタンタル酸塩のタングステンブロンズ型酸化物単結晶は、強誘電体であり、焦電効果を利用した赤外線検出素子や電気光学効果を利用した光変調素子として用いられている。しかしながらこれらの素子を作る上で、高価なバルク単結晶を切り出して使う必要は必ずしもないはずである。すなわち、上述のデバイスにおいて実際に機能するのは結晶表面のミクロン単位の領域であるからである。よってデバイスに応用可能な良好な薄膜材料を低コストで製造する技術を確立することは、工業生産上重要である。また、近年半導体高集積メモリー用に高誘電率常誘電体薄膜あるいは強誘電体薄膜の応用がなされているが、この目的にもメタニオブ酸塩および/またはメタタンタル酸塩のタングステンブロンズ型誘電体薄膜が期待できる。しかしこれらの薄膜形成の報告は少ない。中野充らは、レーザーアブレーション法による(Sr,Ba)Nb2O6薄膜の作製とその誘電特性を報告している(第43回応用物理学関係連合講演会講演予稿集26a−V−4)。しかし未だこれらの薄膜を、一般的に量産性に優れる有機金属化学気相成長法で作ったという報告はない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
(SrxBa1−x)(NbyTa1−y)2O6で表されるタングステンブロンズ型酸化物誘電体の薄膜を化学気相成長法で製造する場合に以下の2点の課題があった。第1点は、SrおよびBaについて適当な揮発性のある安定な化合物が得難いことである。SrおよびBaのアルコキシドやジピバロイルメタナートなどのβ−ジケトナートは会合で多量体となっているため、揮発性が低く使い難い。第2点は、組成の制御である。多成分になればなるほど個々の原料を正確に制御することが必要になる。
【0004】
本発明の目的は、(SrxBa1−x)(NbyTa1−y)2O6で表されるタングステンブロンズ型酸化物誘電体の薄膜を化学気相成長法で製造する方法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、原料としてA〔B(OR)6〕2で表されるダブルアルコキシドを使えば、前記目的が容易に達成されることを見いだし本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、(SrxBa1−x)(NbyTa1−y)2O6(ここで0≦x≦1,0≦y≦1)で表されるタングステンブロンズ型酸化物誘電体の薄膜を化学気相成長法で製造する場合において、原料としてA〔B(OR)6〕2(ただし、式中A=Sr,Ba,B=Nb,Ta,R=C2H5,CH(CH3)2のいずれかを表す)で表されるダブルアルコキシドを用いるものであり、該ダブルアルコキシドを有機溶媒に溶解して得られた溶液を気化させ、この気化によって得られたガスを基板上に供給して化学気相成長させるものである。
本発明の特徴は、A/Bが膜と同じ組成比1/2からなる特定のダブルアルコキシドを使用することである。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明のタングステンブロンズ型酸化物誘電体としては、SrNb2O6,BaNb2O6,(Sr0.75Ba0.25)Nb2O6,(SrxBa1−x)Nb2O6(ここで0≦x≦1),SrTa2O6,BaTa2O6などである。バルクの(Sr0.75Ba0.25)Nb2O6は、キュリー温度が40℃、室温での誘電率εが9000の強誘電体であり、またバルクのSr0.48Ba0.52Nb2O6は、キュリー温度が115℃、室温での誘電率εが380の強誘電体であることが知られている。
【0007】
本発明のダブルアルコキシドとしては、Sr〔Nb(OEt)6〕2,Sr〔Nb(OiPr)6〕2,Ba〔Nb(OEt)6〕2,Ba〔Nb(OiPr)6〕2,Sr〔Ta(OEt)6〕2,Sr〔Ta(OiPr)6〕2,Ba〔Ta(OEt)6〕2,Ba〔Ta(OiPr)6〕2の8種とそれらの混合物である(上記においてOEtはエトキシ基を、OiPrはイソプロポキシ基を表す)。
【0008】
上記ダブルアルコキシドは蒸留あるいは昇華精製することができる。いずれも単量体であり、本発明者等が気体飽和法により測定した蒸気圧あるいは昇華圧は表1のとおりであった。
【0009】
【表1】
【0010】
上記ダブルアルコキシドを、目的とする薄膜の組成に応じて選び、それらの個々のソース温度やキャリヤーガス流量を調節することにより気化させてCVD室に供給する。あるいは上記ダブルアルコキシドをテトラヒドロフラン(以下THFと略す)などの有機溶媒にとかし、その溶液を流量調節しながら供給し全量気化させてCVD室に供給してもよい。
【0011】
本発明で該薄膜を製造するに際し、原料として用いるダブルアルコキシドのA/B元素比と膜のA/B元素比が同じになるようにするには基板温度は500℃以下が好ましい。温度が500℃より高いと原料ダブルアルコキシドガスが基板に到達前に解離してしまうため分解堆積のA/Bの比率が原料の比率と異なってしまうと推定される。よって基板到達前に基板からの熱により高温に加熱されることを避けるのが望ましい。すなわち、できるだけ基板の温度を低くしてCVDするのが好ましい。
【0012】
そこで300〜500℃の基体上に分解堆積し成膜する工程と該膜を目的のタングステンブロンズ構造に転化するために400〜800℃で熱処理する工程にわけて実施することもできる。
【0013】
上記熱処理工程では、膜中の残留炭素をへらし、結晶化を早めるために酸化性ガスの共存下で行うことが好ましい。酸化性ガスとして酸素、亜酸化窒素、オゾンなどが用いられる。
【0014】
化学気相成長をおこさせるエネルギー源として、熱、プラズマ、光などがあり、目的によって適当なものを選ぶことができる。光CVDの際には200〜260nmの紫外線が有効である。例えば、Sr〔Ta(OiPr)6〕2を5.0×10−3mol/lの溶液にして光の吸収特性を測定したところ、230〜250nmに吸収ピークがあり、248nmにおける分子吸収係数は、494(1・mol−1・cm−1)であった。この付近の紫外線で分解が促進される。
【0015】
以下に本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
減圧熱CVD装置系(全圧5Torr)の原料容器にSr〔Ta(OiPr)6〕220gを充填し、該容器を180℃の恒温に保ち、アルゴンを90ml/min導入し、Sr〔Ta(OiPr)6〕2の昇華した蒸気を同伴させ、熱分解炉に送った。熱分解炉中では、Pt/SiO2/Si基板を350℃に加熱しており、この基板上に上記のガスを導き、20分間、分解堆積をおこさしめた。次いで、酸素ガスを流しながら昇温して行き、700℃、30分間の熱処理を施した。こうして基板上に250nmの厚さの薄膜を得た。この結晶構造をXRDで分析した結果、正方タングステンブロンズ構造のSrTa2O6であった。この際の参照したXRDは、F.Galasso,L.Katz and R.Ward,J.Am.Chem.Soc.Vol 81,5898(1959)である。
そして、この膜の一部を湿式分解し、ICP発光分析により元素分析した結果、膜の組成はSr1.0Ta2.1O6.0であった。
【0016】
【実施例2】
Sr〔Nb(OiPr)6〕29.83g(10nmol)とBa〔Nb(OiPr)6〕210.32g(10nmol)を乾燥したTHFに溶かし、200mlのTHF溶液とした。このTHF溶液を液体マスフローコントローラーにより0.3ml/minでフラッシュ蒸発器に供給し、キャリヤーガスのアルゴン400SCCM中に全量を気化させ、次いで、酸素ガス100SCCMを合わせ減圧熱CVD装置系(全圧5Torr)に導いた。熱分解炉中では、Pt/SiO2/Si基板を350℃に加熱しており、この基板上に上記の混合ガスを導き、30分間、分解堆積をおこさしめた。次いで、酸素ガスを流しながら昇温して行き、700℃、30分間の熱処理を施した。こうして基板上に300nmの厚さの薄膜を得た。この結晶構造をXRDで分析した結果、正方タングステンブロンズ構造であった。そして、この膜の一部を湿式分解し、ICP発光分析により元素分析した結果、膜の組成はSr0.50Ba0.50Nb2.0O6.0であった。
【0017】
【発明の効果】
本発明によれば、(SrxBa1−x)(NbyTa1−y)2O6で表されるタングステンブロンズ型酸化物誘電体の薄膜を、原料として特定のダブルアルコキシドを用いることにより、量産性に優れる化学気相成長法で製造することができる。
Claims (2)
- (SrxBa1−x)(NbyTa1−y)2O6(ここで0≦x≦1,0≦y≦1)で表されるタングステンブロンズ形酸化物誘電体の薄膜を化学気相成長法で製造する場合において、原料としてA〔B(OR)6〕2(ただし、式中A=Sr,Ba,B=Nb,Ta,R=C2H5,CH(CH3)2のいずれかを表す)で表されるダブルアルコキシドを用いることを特徴とするタングステンブロンズ型酸化物誘電体薄膜の製造方法。
- A〔B(OR)6〕2で表されるダブルアルコキシドを有機溶媒に溶解して得られた溶液を気化させ、この気化により得られたガスを基板上に供給して化学気相成長することを特徴とする請求項1のタングステンブロンズ型酸化物誘電体薄膜の製造方法。
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JP29219796A JP3823399B2 (ja) | 1996-09-27 | 1996-09-27 | タングステンブロンズ型酸化物誘電体薄膜の製造方法 |
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JPH10102254A JPH10102254A (ja) | 1998-04-21 |
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