JPH10101377A - 防曇性被膜及びその製法 - Google Patents

防曇性被膜及びその製法

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JPH10101377A
JPH10101377A JP8256201A JP25620196A JPH10101377A JP H10101377 A JPH10101377 A JP H10101377A JP 8256201 A JP8256201 A JP 8256201A JP 25620196 A JP25620196 A JP 25620196A JP H10101377 A JPH10101377 A JP H10101377A
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fogging
metal oxide
layer
water
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Seiji Yamazaki
誠司 山崎
Keiji Honjo
啓司 本城
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Central Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐摩耗性で耐久性に優れ、高透明性で格段に
優れた防曇性能を発揮し、しかも結露等表面が濡れた際
透視像や反射像に歪み発現せず、その性能を長く持続で
きる防曇性被膜を欠陥なく簡便に効率よく得る。 【解決手段】 基板の表面に形成した薄膜が、金属アル
コキシド系化合物と平衡水蒸気圧が低い酸化物微粒子お
よび水溶性有機高分子を添加した溶液から成膜してなる
均一状に分散した前記酸化物微粒子と金属酸化物の複合
酸化物膜を第1層とし、その上に第2層として成膜して
なる金属酸化物膜との積層膜で成る防曇性被膜。及びそ
の製法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両用、建材用、
産業用等の窓ガラスあるいは鏡などに用いて好適な防曇
性被膜およびその製法に関する。
【0002】
【従来の技術】ガラス基板表面に防曇性を付与するに
は、ガラス基板表面に親水性被膜を形成することが一般
的な手法である。
【0003】例えば、界面活性剤をガラス基板表面に塗
布することで表面を親水性にすることは古くから知られ
ており、界面活性剤にポリアクリル酸やポリビニルアル
コ−ルなどの水溶性有機ポリマ−を添加/配合すること
でその持続性を上げる試みがなされている(例えば、特
開昭52-101680 号公報等)。
【0004】また例えば、ポリエチレングリコ−ルやポ
リビニルピロリドンなどのポリエチレンオキシドに代表
される親水性有機高分子をガラス表面に塗布処理して親
水性表面に処理するなどの方法がある(例えば、特開昭
48-89278号公報、特開平1-37268 号公報等)。
【0005】さらに、疎水性ポリマ−よりなる多孔質膜
の表面および内部にポリビニルアルコ−ルと酢酸ビニル
の共重合体の被膜を介してセルロ−スやグリコ−ル類お
よびグリセリンなどの親水性ポリマ−を被膜固定化する
方法がある(例えば、特公平5-67330 号公報等)。
【0006】またさらに、物理的方法には、プラズマ処
理、レ−ザ−照射処理などの親水化処理が実用化されて
いるが、一般に処理後短期間では効果があるが持続性に
問題点があるとされている。化学的方法には、表面にラ
ジカルを発生させ親水性の残基を有する重合性化合物を
グラフト重合させる方法、酸、塩基性物質などのより表
面の結合を切断し親水性の残基に変化させる方法などが
行なわれている。
【0007】しかしながら、これらの方法では一時的も
しくは比較的短時間に親水性を付与するのみであり、防
曇効果の充分な持続性は期待し難いばかりでなく、水膜
が均−となり難く透視像や反射像が歪み、防曇性はあっ
ても実使用においては採用が困難なものであった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】前述したように、例え
ば物理的な処理による親水性は短期的にしか効果を維持
することができず、またポリエチレンオキシド系有機ポ
リマ−膜は、一般に耐水性および耐久性が充分でなく、
膜の強度も低いものであり、用途によっては実用上充分
なものとは言えない。
【0009】また、例えば多孔質膜の表面および内部に
ポリビニルアルコ−ルと酢酸ビニルの共重合体の被膜を
介してセルロ−スなどを被膜固定化する方法において
も、被膜は極めて柔らかいものであり、しかも化学的耐
久性も期待でき難いものであり、使用する用途が限定さ
れるようなものである。
【0010】さらに、例えば無機物質からなる被膜は、
膜の強度は比較的高いが親水性を呈する物質は水に対す
る溶解性も高く被膜は容易に消失するので、実用上その
用途は限られたものとなる。
【0011】そこで、本発明の目的は、耐久性に優れ高
硬度でしかも透明性の高く、しかも生じた水膜が均一と
なって透視像または反射像が歪まない防曇性被膜を提供
することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、従来のかかる
課題を鑑みてなしたものであって、シリカなどの金属ア
ルコキシド系化合物溶液中に、ベ−マイト結晶型アルミ
ナなどの平衡水蒸気圧が低い酸化物微粒子分散ゾルと、
ヒドロキシプロピルセルロ−スなどの水溶性有機高分子
を添加してなる複合溶液とし、該複合溶液を基板に塗布
し、200 〜700℃で焼成することで、シリカ、アルミナ
を含む金属酸化物からなる複合酸化物被膜を第1層と
し、次いで該第1層の上に、ケイ酸エチルなどの金属ア
ルコキシド溶液から成膜するシリカ薄膜などの金属酸化
物膜を第2膜とし積層して成る防曇性被膜を得ることと
した。
【0013】すなわち、本発明は、基板の表面に形成し
た薄膜が、金属アルコキシド系化合物と平衡水蒸気圧が
低い酸化物微粒子および水溶性有機高分子を添加した溶
液から成膜してなる均一状に分散した酸化物微粒子と金
属酸化物の複合酸化物膜を第1層とし、その上に第2層
として成膜してなる金属酸化物膜との積層膜で成ること
を特徴とする防曇性被膜。
【0014】ならびに、前記酸化物微粒子が、ベ−マイ
ト結晶形のアルミナ微粒子であって、その粒子径が10〜
30nmであることを特徴とする上述した防曇性被膜。ま
た、前記第2層としての金属酸化物膜が、シリカ薄膜で
あることを特徴とする上述した防曇性被膜。
【0015】また、前記水溶性有機高分子が、ヒドロキ
シプロピルセルロ−ス単独またはヒドロキシプロピルセ
ルロ−スと他の水溶性有機高分子の混合したものである
ことを特徴とする上述した防曇性被膜。
【0016】また、前記金属酸化物膜が、非晶質の金属
酸化物膜であることを特徴とする上述した防曇性被膜。
さらに、前記防曇性被膜において、金属アルコキシド系
化合物から成る非晶質の金属酸化物が、前記溶液中で30
〜50mol %であることを特徴とする上述した防曇性被
膜。
【0017】さらに、前記防曇性被膜において、被膜全
体に対するアルミナ微粒子の含有率が 1〜10wt%である
ことを特徴とする上述した防曇性被膜。また、前記防曇
性被膜において、被膜全体に対する水溶性有機高分子の
含有率が0.2 〜10.0wt%であることを特徴とする上述し
た防曇性被膜。
【0018】またさらに、前記防曇性被膜における被膜
の表面が数nmピッチの凹凸状であり、表面粗さ(中心線
平均粗さ)が4 〜12nmであることを特徴とする上述した
防曇性被膜。
【0019】またさらに、前記防曇性被膜において、被
膜の反射色調がニュトラルであることを特徴とする上述
した防曇性被膜。さらにまた、前記基板がフロ−トガラ
スであることを特徴とする上述した防曇性被膜。
【0020】ならびに、金属酸化物を形成する金属酸化
物ゾル溶液とアルミナ微粒子分散ゾルおよび水溶性有機
高分子を添加した溶液とからなる複合ゾル溶液を基板に
塗布、焼成することで均一状に分散したアルミナ微粒子
と金属酸化物からなる複合酸化物膜を第1層として基板
の表面に成膜し、次いで第1層膜の上に金属酸化物膜を
第2層として被覆成膜してなる積層膜を形成することを
特徴とする防曇性被膜の製法。
【0021】また、前記金属酸化物膜が、非晶質の金属
酸化物膜であることを特徴とする上述した防曇性被膜の
製法。さらに、前記した焼成が、500 ℃以上700 ℃以下
の温度で行う熱処理であることを特徴とする上述した防
曇性薄膜の製法をそれぞれ提供するものである。
【0022】
【発明の実施の形態】前述したように、本発明は、シリ
カなどの非晶質性金属酸化物を形成する金属アルコキシ
ド系化合物ゾル溶液とベ−マイト結晶型アルミナなどの
平衡水蒸気圧が低い酸化物微粒子分散ゾルおよびヒドロ
キシプロピルセルロ−スやその複合物などの水溶性有機
高分子を添加した溶液とからなる複合ゾル溶液を基板に
塗布し、200 〜700 ℃で焼成することで、均一状に分散
したアルミナ微粒子とシリカなどの非晶質性金属酸化物
からなる複合酸化物膜を第1層として基板の表面に成膜
し、次いで第1層膜の上にケイ酸エチルなどの金属アル
コキシド溶液から成膜するシリカなどの非晶質性の金属
酸化物膜を第2層として被覆成膜してなる積層膜を形成
することで成る防曇性被膜を得るものである。
【0023】これにより、例えばシリカとベ−マイト結
晶型アルミナ微粒子を含む第1層膜は被膜の表面が凹凸
状となって表面積が大幅に増大し、次いで該第1層膜表
面にシリカ薄膜を成膜することで積層膜の表面をシリケ
−ト処理する結果、第1層の複合酸化物のポア−構造の
効果もあいまって、親水性および耐久性に極めて優れた
防曇性被膜とすることができる。
【0024】使用する基板としては、ガラス(自動車用
ガラス、航空機用ガラス、鏡、レンズなど)、金属など
が挙げられるが、これらに限定されたものではない。以
下、本発明を詳細に説明する。
【0025】本発明に係るシリカとしては、金属アルコ
キシドであるテトラエトキシシラン、テトラメトキシシ
ラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシ
シランなどである。また、平衡水蒸気圧が低いベ−マイ
ト型アルミナのコロイドとしては、アルミニウムイソプ
ロポキシド、アルミニウムトリエトキシド、モノsec−
ブトキシアルミニウムジイソプロピレ−トなどのアルミ
ニウム有機化合物を出発原料として、蒸留精製して作製
した超微粒子を水またはアルコ−ルと水の混合溶媒の分
散剤に分散したゾルである。
【0026】具体的には例えば、シリカゾルとしては、
コルコ−トP 、コルコ−ト6P(日本コルコ−ト社製)、
ス−パ−セラ〔大八化学工業(株)製〕、アトロンNSi
〔日本曹達(株)製〕などで、アルミニウム微粒子分散
ゾルとしては、アルミナゾル-10 、アルミナクリア−ゾ
ル〔川研ファインケミカル(株)製〕などを用いること
ができる。アルミナ微粒子分散ゾルの粒子径は15〜30nm
の範囲であるものが良い。これよりも大きなサイズで
は、焼成後に得られたコ−ティング膜の透明性がやや悪
くなり数%のヘ−ズ(曇化)が発生する。好ましくは、
約20nm程度以下の粒子径が良い。
【0027】非晶質の金属酸化物として用いるシリカの
量は、複合コ−ティング溶液全体の30〜50モル%の範囲
が望ましい。30モル%未満では膜の機械的強度が充分な
ものとはなり難く、また50モル%を超えると表面凹凸状
およびポア−構造が小さくなり、充分な防曇効果が発揮
され難いものとなるからである。
【0028】さらに、第1層コ−ティング溶液に添加す
る水溶性有機高分子としては、ヒドロキシプロピルセル
ロ−ス(HPC )、ポリエチレングリコ−ル(PEG )、ポ
リビニルアルコ−ル(PVA )、ポリビニルピロリドン
(PVP )などが挙げられる。この際、HPC は必須であ
り、単独で添加できることはもちろん、HPC とPEG また
はHPC とPVP を混合して用いることもでき、またHPC と
PEG とPVP の混合でもよい。これら水溶性有機高分子の
平均分子量の異なるものが数種類あるが、特に分子量に
規定されるものではなく、さまざまな分子量のものを用
いることができる。また添加する水溶性有機高分子の量
が被膜全体に対し0.2 〜10.0wt%としたのは、0.2 wt%
未満では得られた防曇性被膜が結露した際の透視像歪み
が改善されず、また10.0wt%を超えると該被膜の膜強度
が充分なものとは言い難いものとなるからである。好ま
しい添加量は3〜8wt%である。
【0029】さらに、ベ−マイト型結晶のアルミナ微粒
子ゾルの量は、固形分換算で1〜10wt%の範囲が望まし
い。1wt%未満では充分な防曇性効果が発揮され難く、
10wt%を超えると膜の機械的強度が充分なものと言い難
いものとなるからである。
【0030】上記、複合ゾル溶液は、必要に応じて水や
有機溶媒で希釈して用いることができる。使用する有機
溶媒としては、メタノ−ル、エタノ−ル等の1級アルコ
−ル、イソプロピルアルコ−ル等の2級アルコ−ル、タ
−シャリ−ブタノ−ル等の3級アルコ−ル、その他、エ
−テル類、ケトン類、シクロヘキサン等またはジメチル
ホルムアミドなども採用することができ、これらは単独
または混合して用いてもよい。
【0031】基板上に上記複合ゾルコ−ティング溶液を
塗布する方法としては、ディッピング法、スプレ−法、
フロ−コ−ト法、スピンコ−ト法、バ−コ−ト法、ロ−
ラ−コ−ト法、リバ−ス法、フレキソ法、印刷法などの
既知の塗布手段が適宜採用できる。
【0032】基板上に塗布した膜は500 〜700 ℃で焼成
することにより、防曇性被膜となる。500 ℃未満では膜
の機械的強度が充分ではなく、また700 ℃を超える温度
では、アルミナのベ−マイト型結晶がベ−タアルミナ
に、そしてまた、有機高分子の燃焼/分解により形成さ
れた細孔が潰され多孔性とはならないために、第2層の
シリカ膜を積層して表面をシリケ−ト処理しても、防曇
性の効果が充分に発揮され難いものとなる。好ましい焼
成温度は約530 〜680 ℃程度である。
【0033】該防曇性被膜の膜厚については、第1層は
100 〜300nm 程度が望ましく、また第2層は10〜15nm程
度が望ましい。第1層被膜の膜厚が100nm 以下では防曇
性能を長期にわたって発揮することが困難であり、300n
m 程度以上では1回の塗布操作では焼成後に膜にクラッ
クが発生する危険性が大きくなったり、膜の透明性が悪
くなったりする場合がある。好ましくは 200〜250nm の
範囲がよい。
【0034】さらにまた、該被膜の表面粗さ(中心線平
均粗さ)が15〜20nmの範囲が望ましい。これは、15nm未
満では、第2層被膜を積層した際に表面の凹凸が消滅
し、充分な防曇性能を発揮することができず、20nmを超
えると膜のヘ−ズ(曇化)が大きくなり、透明性が悪く
なってしまうためである。
【0035】また、上述したように水溶性有機高分子に
ついては、通常300 〜450 ℃で燃焼/分解するため、約
500 ℃程度以上の温度で焼成することで膜には存在しな
い。しかし燃焼/分解によって形成された細孔毛管力が
小さいために親水性を呈する。また、溶液中に水溶性有
機高分子を添加しておくことで、得られた膜の構造は、
ベ−マイト型結晶アルミナ微粒子の分散性が良好とな
り、粒子間距離も未添加の場合と比較すると長くなる。
このため、ベ−マイト型結晶アルミナ微粒子の吸水性効
果が増大し、防曇性の持続性が良好となる。
【0036】さらにまた、透視像の歪みの発生度合い
は、膜表面が水で濡れた場合に形成される水膜の均一性
に大きく影響される。つまり膜表面に形成された水膜の
厚みが不均一であれば、透視像は歪んで見えることにな
り、水膜の厚みが均一であれば、透視像は歪まない。本
発明によってガラス基板上に形成された防曇性被膜が結
露した際にも透視像が歪まないのは、被膜表面に均一な
厚みの水膜が形成されるためである。
【0037】本発明の防曇性被膜の膜構成は、より具体
的には第1層がシリカマトリックス中にベ−マイト型結
晶アルミナ微粒子が分散された膜であり、第2層がシリ
カ膜である。さらに、第1層膜はアルミナ微粒子によっ
て表面は凹凸状化されており、その凹凸の状態/分布は
コ−ティング溶液中に添加された水溶性有機高分子によ
りアルミナ微粒子の分散性が均一化されているため、凹
凸の状態/分布も均一となっている。
【0038】このような状態の第1層被膜の上に、該被
膜の凹凸を埋め込んでしまわない厚みの第2層膜を積層
することで、第1層被膜と第2層被膜の間には空気層が
形成され、しかも空気層の壁は親水性となっている。し
たがって、本発明の防曇性被膜は、表面が水で濡れてく
ると同時に、水分はアルミナ微粒子に吸着されながら空
気層にも蓄えられる。つまり、形成された空気層が保水
機能を持ち、この効果により、被膜表面が結露した場合
にも被膜表面に形成される水膜の厚みは均一となり、透
視像が歪まない。
【0039】前述したように、本発明によれば、金属ア
ルコキシド系化合物と平衡水蒸気圧が低い酸化物微粒子
および水溶性有機高分子を添加した溶液でなる複合ゾル
溶液を塗布成膜し、アルミナ微粒子を均一状に分散した
SiO2-Al2O3系膜を形成し、さらにその上にSiO2系膜を形
成し、SiO2-Al2O3/SiO2 系積層酸化物膜である防曇性薄
膜を基板の表面に形成することによって、格段に優れた
防曇性能を発揮するとともに極めて長期的に維持し、ク
ラック等の欠陥がなくかつ充分な可視光透過率と耐久性
等を有し、耐摩耗性に優れ、さらに透視像や反射像に歪
みを発現するようなこともなく、しかも反射色調がニュ
−トラル色である等、建築用窓材もしくは鏡などの産業
用物品、さらには自動車などの車両用窓材をはじめ、船
舶や航空機用窓材など各種ガラス物品等、種々の被膜に
広く採用できる有用な防曇性薄膜及びその製法を提供す
ることができるものである。
【0040】
【実施例】以下、本発明における効果を明確にするため
に、実施例により詳しく説明する。ただし、本発明はこ
れらに限定されるものではない。各実施例の防曇性被膜
の評価を下記の評価方法で行った。 防曇性能評価方法:約43℃の飽和水蒸気に約3分間接
触させた後、曇りの発生を目視で評価し、一旦乾燥させ
室温までサンプル温度が下がった時点で、再び飽和水蒸
気に接触するのを1サイクルとして、この操作を10サイ
クル繰り返し評価した。
【0041】後述する表1では、全く曇りの発生が認め
られなくかつ透視像の歪みがないものを○印、曇りの発
生が認められたものを×印とした。
【0042】〔例えば、眼鏡の曇り止め剤試験(JIS S
4030)を参照〕 [合否判定]10回のサイクルにおいても曇りの発生しな
くかつ透視像の歪みがなかったものを合格とした。
【0043】−20℃の冷凍庫中に約10分間サンプルを
放置し、サンプルの温度が−20℃になったことを確認
後、約25℃、約50%RHの環境に放置するのを1サイクル
として、曇りの発生状況を目視で評価した。
【0044】後述する表2では、全く曇りの発生が認め
られなくかつ透視像の歪みがないものを○印、曇りの発
生が認められたものを×印とした。
【0045】[合否判定]10サイクルの試験で曇りの発
生がなくかつ透視像の歪みがなかったものを合格とし
た。 接触角の経時変化:測定機器 協和界面科学製CA−A型 (水滴) 測定環境 大気中(25℃) 水滴 純水(20μl ) なお、接触角(°)測定時は表面の払拭等なし。
【0046】[合否判定]初期接触角(ゼロ時間)が5
°程度以下でかつ放置時間が240 時間後の接触角が20°
程度以下を合格とした。 膜強度評価方法:堅牢試験 荷重;100 g/cm2 綿帆布;キャンパス布(JIS L 3102-1961-1206) ストロ−ク回数;1000往復 後述する表3では、目視で無キズで呼気による曇りも発
生なしを○印、キズが発生し曇りの発生が認められたも
のを×印とした。
【0047】[合否判定]キズの発生がなく、呼気によ
る曇りも発生しなかったものを合格とした テ−バ−摩耗試験 摩耗輪;CS−10F 荷重 ;250gf 回転数;1000回 ヘ−ズ値測定器;日電色工業(株)製、NDH-20D 後述する表3では、ヘ−ズ値測定器で試験前後の膜ヘ−
ズ値(△H)が5%未満でありかつ呼気による曇りも発
生なしを○印、試験前後の膜ヘ−ズ値(△H)が5%以
上で呼気による曇りの発生が認められたものを×印とし
た。
【0048】[合否判定]試験前後の膜ヘ−ズ値(△
H)が5%未満で、呼気による曇りも発生しなかったも
を合格とした。 被膜形状観察: 走査型プロ−ブ顕微鏡の原子間力顕
微鏡(AFM )モ−ド(セイコ−電子製、SPI3700 、5 μ
m 四方スキャン) 被膜の表層表面および断面の写真観察し、JIS B 0601で
定義されている中心線平均粗さRa値を求めた。
【0049】走査型電子顕微鏡(SEM 、日立S−415
) 倍率:3万 被膜の表層表面の写真観察 膜厚の測定: DEKTAK(Sloan 社製、3030)にて測
定した。 その他: クラック等の欠陥の有無。膜の各
種試験による耐久性。可視光透過率の変化等光学特性
への影響など、建築用、産業用ならびに自動車等車両
用、船舶用、航空機用などの窓材をはじめ、各種ガラス
物品に必要な事項を評価した。
【0050】実施例1 基板としては大きさ約100mm ×100mm で、厚さ約2mm の
フロ−トガラス(組成はソ−ダライムシリケ−ト系)を
用い、コ−ティング面を酸化セリウムで充分に研磨し、
上水で水洗、イオン交換水でリンスした後、イソプロピ
ルアルコ−ルまたはアセトンで払拭し、コ−ティング用
ガラス基板とした。
【0051】一方、第1層コ−ティング溶液複合ゾルは
以下の手順で調製した。まず、シリカの出発原料として
は珪酸エチル(キシダ化学製)を用い、溶媒としてはイ
オン交換水(硝酸添加)とエタノ−ルの混合溶媒を用
い、珪酸エチルと混合溶媒を混合攪拌し、60℃で約4時
間還流した後、室温まで冷却する金属酸化物ゾル溶液と
する。
【0052】次いで、該金属酸化物ゾル溶液に、アルミ
ナ微粒子分散ゾルであるアルミナクリア−ゾル(平均粒
子径が15nm;川研ファインケミカル製)を順次攪拌下で
滴下しながら、固形分濃度換算(wt%)でSiO2:Al2O3
50:10 となるよう添加し、さらに約2時間以上室温で攪
拌することで溶液Aを調製した。
【0053】次に、ヒドロキシプロピルセルロ−ス(HP
C-M;平均分子量が150 〜400 、日本曹達製)をイオン交
換水に溶解させ、固形分で2wt%に調製したHPC 溶液を
ト−タルで10wt%になるように先に調製した溶液Aに添
加し、さらに約1時間以上攪拌し、第1層用複合ゾルコ
−ティング溶液とした。
【0054】該複合ゾルコ−ティング溶液を先に準備し
たガラス基板上にスピンコ−トにより塗布した後、約15
0 ℃で約10分乾燥して第1層膜を形成した。なお、スピ
ンコ−トする際の回転数は、約1000rpm/min で回転時間
は約30秒間とした。
【0055】さらに、第2層コ−ティング溶液の調製
は、第1層目と同様に、出発原料としては珪酸エチル
(キシダ化学製)を用い、溶媒としてはイオン交換水
(硝酸添加)とエタノ−ルの混合溶媒を用い、珪酸エチ
ルと混合溶媒を混合攪拌し、60℃で約4時間還流した
後、室温まで冷却することで、第2層用コ−ティング溶
液とした。
【0056】続いて、先にガラス基板上に形成した第1
層膜の上に、該コ−ティング溶液をスピンコ−トにより
塗布した後、約150 ℃で約10分乾燥した後、約600 ℃で
約10分焼成して防曇性被膜を被覆形成した。焼成後の該
被膜の膜厚はDEKTAK(Sloan社製、3030)にて測定した
ところ、第1層目が約300nm 、第2層目が約10nmであっ
た。なお、スピンコ−トする際の回転数は、約500rpm/m
inで回転時間は約30秒間とした。
【0057】その結果、SiO2-Al2O3/SiO2 膜付きガラス
の被膜について評価すると、被膜の水に対する接触角は
測定不可であって格段の親水性能を示し、また表1およ
び表2に示すように、防曇性能およびの評価試験で
も10サイクルにおいて全く曇りの発生が認められなく○
印であり、格段に優れた防曇性能を示すものであり、し
かもまた結露による透視像の歪みも認められなかった。
【0058】また表3に示すように、実験室(25℃、50
%RH)に放置した場合においても初期接触角が5°未満
であってかつ該接触角の推移が240 時間放置後も15°と
20°未満であり極めて良好であり、優れた防曇性能を充
分に維持でき、格段の防曇持続性を有するものであっ
た。
【0059】さらに表4に示すように、膜強度の評価試
験でも、堅牢試験がキズの発生がなく試験後の呼気検査
でも曇りの発生がなく良好で○印であり、テ−バ−摩耗
試験が試験前後の膜ヘ−ズ値(△H)が5%未満で、呼
気による曇りも発生なく○印であり、格段の膜強度を示
し、それぞれ充分合格するもので、充分に実用に供する
ものであった。
【0060】また、第1層の被膜形状については、前記
AFM で被膜の表層表面および断面の写真観察し、JIS B
0601で定義されている中心線平均粗さRa値等を求めたと
ころ、表面が数nmピッチの凹凸状で、表面粗さ(中心線
平均粗さ)が4〜12nmの範囲内であった。なお、前記SE
M でも被膜の表層表面の写真観察を行った。
【0061】またさらに、該被膜の刺激純度は約2%程
度で反射色調がニュ−トラルであり、耐久性に優れ、安
定かつ確実に厄介な工程もなく簡便な手段で効率よく得
ることができ、建築用、産業用ならびに自動車等車両
用、船舶用、航空機用などの窓材をはじめ、各種ガラス
物品に採用可能なめざす所期の防曇性被膜を得ることが
できた。
【0062】実施例2 第1層複合ゾルコ−ティング溶液組成を、固形分濃度換
算(wt%)でSiO2:Al2O3=30:5および添加するHPC の量
を 5wt%とした以外は実施例1と同様した。
【0063】その結果、被膜の水に対する接触角は測定
不可であって格段の親水性能を示し、表1〜2および4
に示すように、実施例1と同様に、全て○印であり、ま
た表3に示すように初期接触角が5°未満でかつ該接触
角の推移が240 時間放置後も16°と20°未満である等、
格段に優れた防曇性能を示し、優れた防曇性能を充分に
維持でき、格段の防曇持続性を有するものであり、格段
の膜強度を示し、それぞれ充分合格するもので、充分に
実用に供するものであった。
【0064】また、第1層の被膜形状についても、前記
AFM ならびに前記SEM を実施例1と同様に行い、表面が
数nmピッチの凹凸状で、表面粗さ(中心線平均粗さ)が
4〜12nmの範囲内で実施例1と同様であった。
【0065】しかも、該被膜の刺激純度は約2%程度で
反射色調はニュ−トラルであり、実施例1と同様に建築
用、産業用ならびに自動車等車両用、船舶用、航空機用
などの窓材をはじめ、各種ガラス物品に採用可能なめざ
す所期の防曇性被膜を得ることができた。
【0066】実施例3 第1層複合ゾルコ−ティング溶液組成を、固形分濃度換
算(wt%)でSiO2:Al2O3=50:10 および添加する水溶性
有機高分子をHPC-M とポリビニルピロリドン(PVP;K-3
0、平均分子量40,000:キシダ化学)を用い、両者の混
合割合を重量比でHPC-M:PVP=1:1 とし、溶媒はエタノ−
ル(キシダ化学)としたものを 2wt%に調製した溶液
を、ト−タルで10wt%になるように先に調製した複合ゾ
ル溶液に添加したものを使用した以外は実施例1と同様
した。
【0067】その結果、被膜の水に対する接触角は測定
不可であって格段の親水性能を示し、表1〜2および4
に示すように、実施例1と同様に、全て○印であり、ま
た表3に示すように初期接触角が5°未満でかつ該接触
角の推移が240 時間放置後も17°と20°未満である等、
格段に優れた防曇性能を示し、優れた防曇性能を充分に
維持でき、格段の防曇持続性を有するものであり、格段
の膜強度を示し、それぞれ充分合格するもので、充分に
実用に供するものであった。
【0068】また、第1層の被膜形状についても、前記
AFM ならびに前記SEM を実施例1と同様に行い、表面が
数nmピッチの凹凸状で、表面粗さ(中心線平均粗さ)が
4〜12nmの範囲内で実施例1と同様であった。
【0069】しかも、該被膜の刺激純度は約2%程度で
反射色調はニュ−トラルであり、実施例1と同様に建築
用、産業用ならびに自動車等車両用、船舶用、航空機用
などの窓材をはじめ、各種ガラス物品に採用可能なめざ
す所期の防曇性被膜を得ることができた。
【0070】実施例4 第1層複合ゾルコ−ティング溶液組成を、固形分濃度換
算(wt%)でSiO2:Al2O3=50:10 および添加する水溶性
有機高分子をHPC-M とポリビニルアルコ−ル(PVA;重合
度約500 、けん化度;86.5 〜 89mol%:キシダ化学)を
用い、両者の混合割合を重量比でHPC-M:PVP=1:1 とし、
溶媒はイオン交換水としたものを 2wt%に調製した溶液
を、ト−タルで10wt%になるように先に調製した複合ゾ
ル溶液に添加したものを使用した以外は実施例1と同様
した。
【0071】その結果、被膜の水に対する接触角は測定
不可であって格段の親水性能を示し、表1〜2および4
に示すように、実施例1と同様に、全て○印であり、ま
た表3に示すように初期接触角が5°未満でかつ該接触
角の推移が240 時間放置後も17°と20°未満である等、
格段に優れた防曇性能を示し、優れた防曇性能を充分に
維持でき、格段の防曇持続性を有するものであり、格段
の膜強度を示し、それぞれ充分合格するもので、充分に
実用に供するものであった。
【0072】また、第1層の被膜形状についても、前記
AFM ならびに前記SEM を実施例1と同様に行い、表面が
数nmピッチの凹凸状で、表面粗さ(中心線平均粗さ)が
4〜12nmの範囲内で実施例1と同様であった。
【0073】しかも、該被膜の刺激純度は約2%程度で
反射色調はニュ−トラルであり、実施例1と同様に建築
用、産業用ならびに自動車等車両用、船舶用、航空機用
などの窓材をはじめ、各種ガラス物品に採用可能なめざ
す所期の防曇性被膜を得ることができた。
【0074】実施例5 第1層複合ゾルコ−ティング溶液組成を、固形分濃度換
算(wt%)でSiO2:Al2O3=50:10 および添加する水溶性
有機高分子をHPC-M とPVP およびPVA とし、その混合割
合を重量比でHPC-M:PVP=1:1:1 とし、溶媒はイオン交換
水としたものを2wt%に調製した溶液を、ト−タルで10w
t%になるように先に調製した複合ゾル溶液に添加した
ものを使用した以外は実施例1と同様した。
【0075】その結果、被膜の水に対する接触角は測定
不可であって格段の親水性能を示し、表1〜2および4
に示すように、実施例1と同様に、全て○印であり、ま
た表3に示すように初期接触角が5°未満でかつ該接触
角の推移が240 時間放置後も17°と20°未満である等、
格段に優れた防曇性能を示し、優れた防曇性能を充分に
維持でき、格段の防曇持続性を有するものであり、格段
の膜強度を示し、それぞれ充分合格するもので、充分に
実用に供するものであった。
【0076】また、第1層の被膜形状についても、前記
AFM ならびに前記SEM を実施例1と同様に行い、表面が
数nmピッチの凹凸状で、表面粗さ(中心線平均粗さ)が
4〜12nmの範囲内で実施例1と同様であった。
【0077】しかも、該被膜の刺激純度は約2%程度で
反射色調はニュ−トラルであり、実施例1と同様に建築
用、産業用ならびに自動車等車両用、船舶用、航空機用
などの窓材をはじめ、各種ガラス物品に採用可能なめざ
す所期の防曇性被膜を得ることができた。
【0078】比較例1 基板は実施例1と同様のものを使用し、その上に出発原
料として珪酸エチル(キシダ化学製)、アルミアルコキ
シド〔Al(O-sec-Bu)3;キシダ化学〕を加水分解/縮重合
させたものを、固形分濃度換算(wt%)でSiO2:Al2O3=
50:10 とし、溶媒にはエタノ−ルを用いて調製し、溶液
全体に対する固形分濃度は5wt%としたものを、ガラス
基板にスピンコ−ト法により塗布し、次いで約150 ℃で
約10分間乾燥した後、約600 ℃で約10分間焼成して防曇
性被膜とした。スピンコ−トの回転数は800rpmで30秒と
した。得られた被膜の膜厚は約300nm であった。
【0079】その結果、表1および表2に示すように、
防曇性能の評価試験で4回で×印および防曇性能の
評価試験で2回で×印となり10サイクルにおいて全て曇
りの発生が認められ×印であり、不合格である防曇性能
を示すものであり、また表3に示すように、被膜の水に
対する接触角は約5°で初期の防曇性は認められるが、
実験室放置での接触角は徐々に増加し、72時間後には20
°を超え防曇性が認め難くなり、また表4に示すように
膜強度の評価試験でも、堅牢試験が膜にキズおよび呼気
による曇りが発生し×印、テ−バ−摩耗試験が試験前後
の膜ヘ−ズ値(△H)が5%を超え、呼気による曇りも
発生し×印であり、不合格の膜強度を示すものであっ
た。
【0080】しかも反射色調は薄い青色である等、めざ
す所期の防曇性被膜とは言えないものであった。比較例2 実施例1において、第2層のシリカ膜を形成しなかった
以外は、実施例1とすべて同様とした。
【0081】その結果、表1および表2に示すように、
防曇性能の評価試験で6サイクル以降において全て曇
りの発生が認められ、防曇性能の評価試験で2サイク
ル以降において全て曇りの発生が認められそれぞれ×印
であり、不合格である防曇性能を示すものであり、また
表3に示すように、被膜の水に対する初期接触角は約7
°であるも、実験室放置での接触角は徐々に増加し、12
0 時間後には20°を超え30°となって防曇性が認め難く
なり、また表4に示すように、膜強度の評価試験でも、
比較例1と同様堅牢試験およびテ−バ−摩耗試験とも×
印であり、不合格の膜強度を示すものであった。
【0082】めざす所期の防曇性被膜とは言えないもの
であった。比較例3 実施例3において、第1層の複合ゾル溶液中に添加する
水溶性有機高分子をPVP のみとした以外はすべて実施例
3と同様とした。
【0083】その結果、表1および表2に示すように、
防曇性能の評価試験で3サイクル以降において全て曇
りの発生が認められ、防曇性能の評価試験で3サイク
ル以降において全て曇りの発生が認められそれぞれ×印
であり、不合格である防曇性能を示すものであり、また
表3に示すように、被膜の水に対する初期接触角は約7
°であるも、実験室放置での接触角は徐々に増加し、48
時間後には20°を超え23°となって防曇性が認め難くな
り、また表4に示すように、膜強度の評価試験でも、比
較例1と同様堅牢試験およびテ−バ−摩耗試験では×印
であり、不合格の膜強度を示すものであった。
【0084】めざす所期の防曇性被膜とは言えないもの
であった。比較例4 実施例4において、第1層の複合ゾル溶液中に添加する
水溶性有機高分子をPVP のみとした以外はすべて実施例
4と同様とした。
【0085】その結果、表1および表2に示すように、
防曇性能の評価試験で3サイクル以降において全て曇
りの発生が認められ、防曇性能の評価試験で2サイク
ル以降において全て曇りの発生が認められそれぞれ×印
であり、不合格である防曇性能を示すものであり、また
表3に示すように、被膜の水に対する初期接触角は約9
°であるも、実験室放置での接触角は徐々に増加し、72
時間後には20°となって以降これを超え防曇性が認め難
くなり、また表4に示すように、膜強度の評価試験で
も、比較例1と同様堅牢試験およびテ−バ−摩耗試験で
は×印であり、不合格の膜強度を示すものであった。
【0086】めざす所期の防曇性被膜とは言えないもの
であった。比較例5 実施例5において、第1層の複合ゾル溶液中に添加する
水溶性有機高分子をPVP とPVA の混合溶液 とした以外
はすべて実施例5と同様とした。
【0087】その結果、表1および表2に示すように、
防曇性能の評価試験で4サイクル以降において全て曇
りの発生が認められ、防曇性能の評価試験で3サイク
ル以降において全て曇りの発生が認められそれぞれ×印
であり、不合格である防曇性能を示すものであり、また
表3に示すように、被膜の水に対する接触角は約5°で
初期の防曇性は認められるが、実験室放置での接触角は
徐々に増加し、96時間後には20°となって以降これを超
え防曇性が認め難くなり、また表4に示すように、膜強
度の評価試験でも、テ−バ−摩耗試験が○印であるもの
の、堅牢試験が×印であり、不合格の膜強度を示すもの
であった。
【0088】めざす所期の防曇性被膜とは言えないもの
であった。
【0089】
【表1】
【0090】
【表2】
【0091】
【表3】
【0092】
【表4】
【0093】
【発明の効果】本発明の防曇性被膜及びその製法によれ
ば、安定かつ確実に厄介な工程もなく手軽に容易な特定
の手段をもって格段に優れた防曇性能を有する酸化物薄
膜を安価に効率よく高生産性で得ることができ、クラッ
ク等の欠陥がなくかつ充分な可視光線透過率と耐久性等
に優れ、耐摩耗性に優れる。さらに、反射色調がガラス
基板と同じニュ−トラル色であり、優れた防曇性能を持
続するため、建築用窓材もしくは鏡などの産業用物品、
さらには自動車用をはじめ車両用窓材、船舶や航空機の
窓材など各種ガラス物品等、種々の防曇用被膜に広く採
用できる有用な防曇性被膜及びその製法を提供すること
ができるものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI E06B 7/12 E06B 7/12 // B60S 1/02 B60S 1/02 A

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板の表面に形成した薄膜が、金属アル
    コキシド系化合物と平衡水蒸気圧が低い酸化物微粒子お
    よび水溶性有機高分子を添加した溶液から成膜してなる
    均一状に分散した前記酸化物微粒子と金属酸化物の複合
    酸化物膜を第1層とし、その上に第2層として成膜して
    なる金属酸化物膜との積層膜で成ることを特徴とする防
    曇性被膜。
  2. 【請求項2】 前記酸化物微粒子が、ベ−マイト結晶形
    のアルミナ微粒子であって、その粒子径が10〜30nmであ
    ることを特徴とする請求項1記載の防曇性被膜。
  3. 【請求項3】 前記第2層としての金属酸化物膜が、シ
    リカ薄膜であることを特徴とする請求項1乃至2記載の
    防曇性被膜。
  4. 【請求項4】 前記水溶性有機高分子が、ヒドロキシプ
    ロピルセルロ−ス単独またはヒドロキシプロピルセルロ
    −スと他の水溶性有機高分子の混合したものであること
    を特徴とする請求項1乃至3記載の防曇性被膜。
  5. 【請求項5】 前記金属酸化物膜が、非晶質の金属酸化
    物膜であることを特徴とする請求項1乃至4記載の防曇
    性被膜。
  6. 【請求項6】 前記防曇性被膜において、金属アルコキ
    シド系化合物から成る非晶質の金属酸化物が、前記溶液
    中で30〜50mol %であることを特徴とする請求項1乃至
    5記載の防曇性被膜。
  7. 【請求項7】 前記防曇性被膜において、被膜全体に対
    するアルミナ微粒子の含有率が 1〜10wt%であることを
    特徴とする請求項1乃至6記載の防曇性被膜。
  8. 【請求項8】 前記防曇性被膜において、被膜全体に対
    する水溶性有機高分子の含有率が0.2 〜10.0wt%である
    ことを特徴とする請求項1乃至7記載の防曇性被膜。
  9. 【請求項9】 前記防曇性被膜における被膜の表面が数
    nmピッチの凹凸状であり、表面粗さ(中心線平均粗さ)
    が4 〜12nmであることを特徴とする請求項1乃至8記載
    の防曇性被膜。
  10. 【請求項10】 前記防曇性被膜において、被膜の反射色
    調がニュトラルであることを特徴とする請求項1乃至9
    記載の防曇性被膜。
  11. 【請求項11】 前記基板がフロ−トガラスであることを
    特徴とする請求項1乃至10記載の防曇性被膜。
  12. 【請求項12】 金属酸化物を形成する金属酸化物ゾル溶
    液とアルミナ微粒子分散ゾルおよび水溶性有機高分子を
    添加した溶液とからなる複合ゾル溶液を基板に塗布、焼
    成することで均一状に分散したアルミナ微粒子と金属酸
    化物からなる複合酸化物膜を第1層として基板の表面に
    成膜し、次いで第1層膜の上に金属酸化物膜を第2層と
    して被覆成膜してなる積層膜を形成することを特徴とす
    る防曇性被膜の製法。
  13. 【請求項13】 前記金属酸化物膜が、非晶質の金属酸化
    物膜であることを特徴とする請求項12記載の防曇性被膜
    の製法。
  14. 【請求項14】 前記した焼成が、500 ℃以上700 ℃以下
    の温度で行う熱処理であることを特徴とする請求項12乃
    至13記載の防曇性薄膜の製法。
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