JPH0999534A - 化粧シートおよびその製造方法 - Google Patents

化粧シートおよびその製造方法

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JPH0999534A
JPH0999534A JP26035995A JP26035995A JPH0999534A JP H0999534 A JPH0999534 A JP H0999534A JP 26035995 A JP26035995 A JP 26035995A JP 26035995 A JP26035995 A JP 26035995A JP H0999534 A JPH0999534 A JP H0999534A
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JP
Japan
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thermoplastic resin
resin film
layer
glitter
decorative sheet
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JP26035995A
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Inventor
Yoshiaki Nezu
津 義 昭 根
Toshitake Kobayashi
林 利 武 小
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Dai Nippon Printing Co Ltd
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Dai Nippon Printing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、立体感のある天然木のような照り
が再現され、意匠性に優れた木目調の化粧シート及びそ
の製造方法を提供することを目的とする。 【解決手段】 透明熱可塑性樹脂フィルム11の背面
に、印刷によって木目印刷層12及び光輝性ベタ印刷層
13を設ける。この光輝性ベタ印刷層13に着色熱可塑
性樹脂フィルム3を重ね合わせ、曲線群からなる溝状凹
凸模様を形成したエンボス版5を用いて、ダブリングエ
ンボス方式にて、着色熱可塑性樹脂フィルム3側に第1
エンボス形状4aを形成して化粧シート1を作製する。
化粧シート1の着色熱可塑性樹脂フィルム3と光輝性印
刷層13の境界面、および光輝性印刷層13と透明熱可
塑性樹脂フィルムとの境界面に断面形状が滑らかな周期
関数からなる第2および第3エンボス形状4b,4cが
形成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、天然木のような視
覚的な奥行き、立体感があり、光源の方向や観察者の視
線方向によってパターン状に光沢(照り)が変化する木
目調、石目調、或いは布目調の外観を再現するために、
エンボス加工により照りを改良した化粧シート及びその
製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】化粧シートに凹凸模様(エンボス)を形
成して、その装飾性を向上させることは従来から行われ
ており、このような化粧シートとして、例えば、特開平
2−14144号公報等に開示される熱可塑性樹脂シー
トの表面に微細条溝の集合体からなる凹凸模様を形成
し、光源方向や観察方によってパターン状に光沢が変化
する外観を利用したものが知られている。
【0003】また、特開平4−64443号公報に開示
されているように、着色ポリ塩化ビニルフィルム上に光
輝性ベタ印刷層、絵柄の印刷層の順に設け、印刷側から
ヘアライン、波型万線等の細線条溝のエンボス加工を施
し、そのエンボス面に透明熱可塑性樹脂フィルムをドラ
イミネート或いは透明な塗料をコーティングして化粧シ
ートを作製する方法がある。
【0004】更に、透明熱可塑性樹脂フィルムの裏面側
に裏刷りで絵柄層や光輝性ベタ印刷層を設けて、それを
細線条溝エンボス加工を施した着色ポリ塩化ビニル上に
ドライラミネートする方法もある(特開平4−6444
3号公報に開示)。
【0005】そして、特開平3−8477号公報には、
片面に波型万線の凹凸状溝模様を形成した透明基材シー
トの凹凸模様面に、木目印刷層、光輝性ベタ印刷層を設
け、更に着色隠蔽インキでベタ印刷層を設けることによ
り、木目板固有の光沢(照り)を再現させる方法が開示
されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】表面に凹凸模様を形成
した化粧シートは、表面の凹部にゴミ等の異物が入り込
んで表面の美観を損ねたり、磨耗や傷等によって凹凸形
状を損なう埃があった。
【0007】また、着色ポリ塩化ビニルフィルム上に光
輝性ベタ層、絵柄印刷層を設け、印刷側からエンボス加
工を施し、そのエンボス面に透明熱可塑性樹脂フィルム
をドライミネートあるいは透明な塗料をコーティングす
る方法により得られた化粧シートは、絵柄層の直ぐ下に
光を反射する光輝性ベタ層があるため、意匠的に奥行き
感や深みのあるものは得られなかった。特に、問題とな
るのは、彫刻、腐食等通常の製造工程により製造される
エンボス版は、条溝群の横断面の形状は、矩形波等の角
が角張った形状になるため、照りを得るための凹凸模様
の凹凸形状が、光を反射する光輝性ベタ層部分でも矩形
波等角張った横断面形状となり、光沢が天然木と異な
り、照りの効果が十分でなかった。
【0008】本発明は、これらの問題を解決して、従来
の化粧シートでは見られない、意匠性に優れ、天然木の
ような照りが再現され、リアル感のある美麗な木目調、
布目調、或いは石目調の化粧シートおよびその製造方法
を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、背面に絵柄模
様層が印刷された透明性熱可塑性樹脂フィルムと、この
透明性熱可塑性樹脂フィルムの背面側に設けられ光輝性
顔料を有する光輝層と、光輝層の背面側に設けられた着
色熱可塑性樹脂フィルムとを備え、前記着色熱可塑性樹
脂フィルムの背面、前記着色熱可塑性樹脂フィルムと前
記光輝層との間の境界面、および前記光輝層と前記透明
性熱可塑性樹脂フィルムとの間の境界面に第1、第2お
よび第3エンボス形状が各々形成され、前記着色熱可塑
性樹脂フィルムと前記光輝層との間の境界面、および前
記光輝層と前記透明性熱可塑性樹脂フィルムとの間の境
界面に形成された第2および第3エンボス形状は、横断
面上において各々滑らかな周期関数曲線又は擬似周波数
曲線であり、且つ光輝層の光輝性顔料は、第1エンボス
形状の凹部に対応する部分において濃度が薄くなり、第
1エンボス形状の凸部に対応する部分において濃度が濃
くなっていることを特徴とする化粧シート、および透明
性熱可塑性樹脂フィルムの背面に、絵柄模様層および光
輝性顔料を有する光輝層を順次印刷により設ける工程
と、前記光輝層の背面に着色熱可塑性樹脂フィルムを貼
り合わせる工程と、エンボス版を用いて着色熱可塑性樹
脂フィルムの背面に第1エンボス形状を形成すると同時
に、前記着色熱可塑性樹脂フィルムと前記光輝層との間
の境界面、および前記光輝層と前記透明性熱可塑性樹脂
フィルムとの間の境界面に、各々横断面上において滑ら
かな周期関数曲線または擬似周波数曲線からなる第2お
よび第3エンボス形状を形成し、その際のエンボス版の
加圧により、第1エンボス形状の凹部において光輝性顔
料の濃度が高く、又第1エンボス形状の凸部において光
輝性顔料の濃度が低くなる様に光輝性顔料を移動させる
工程とを備えたことを特徴とする化粧シートの製造方法
である。
【0010】本発明によれば、従来の化粧シートでは見
られない、意匠性に優れ、立体感のある天然木のような
照り、即ち光沢部が木目に同調するパターン状となり、
かつ光源の方向或いは観察者の方向に応じて光沢部分が
移動し変化する光沢が再現されるので、リアル感のある
美麗な木目調の化粧シートを得ることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態について説明する。図1乃至図4は本発明の実
施の形態を示す図である。
【0012】本発明による化粧シート1は、図1に示す
ように、表面側から順に、透明熱可塑性樹脂フィルム1
1と、これに印刷によって形成された木目柄等の絵柄模
様層12と、絵柄模様層12に設けられた光輝層を形成
する光輝性ベタ印刷層13と、光輝性ベタ印刷層13に
設けられた着色熱可塑性樹脂フィルム3とを備えてい
る。また着色熱可塑性樹脂フィルム3の裏面側には第1
エンボス形状4aが形成されている。そして、表面から
見える境界面、即ち透明熱可塑性樹脂フィルム11と光
輝性ベタ印刷層13との境界に第3エンボス形状4cが
形成され、光輝性ベタ印刷層13と着色熱可塑性樹脂フ
ィルム3との境界面に第2エンボス形状4bが形成さ
れ、第2および第3エンボス形状4b、4cは横断面上
において、矩形波の角が丸まったような形状で、滑らか
な周期関数曲線或いは擬似周期関数曲線となっている。
【0013】このような第2および第3エンボス形状4
b、4cの横断面上における形状としては、矩形波、三
角波、台形波等それ自体は角が角張った曲線の角を丸く
した形状、正弦波、ベッセル関数、楕円関数、サイクロ
イド曲線或いはこれに類似するような形状が考えられ
る。また本発明でいう擬似周期関数曲線とは、正確な繰
り返し周期はもたないものの、単発パルス状曲線ではな
く、或る範囲に分布した周期をもち、外観上周期関数曲
線に類似するものをいう。例えば周期関数曲線を振幅変
調、周波数変調、又は位相変調したもの、或いは音声信
号波等である。
【0014】更に、必要に応じて上記化粧シートの透明
フィルムの上に、表面の耐磨耗性、耐薬品性、耐汚染性
の向上のために、図2に示すように紫外線硬化性樹脂等
からなる透明樹脂層の保護層14、或いは更に必要に応
じて艶消剤入りの低光沢インキによる導管溝等の艶消印
刷層15を設けてもよい。
【0015】化粧シート1の着色熱可塑性樹脂フィルム
3側の第1および第2エンボス形状4a、4bは、図3
に示すように、平面上において即ち、化粧シートの法線
方向から見た形状が溝状の平行曲線群となる。同様に、
第3エンボス形状4cも平面上において溝状の平行曲線
群となる。尚この平面上に於ける平行曲線群を形成する
曲線としては、正弦波、ベッセル関数等の周期或いは擬
似周期関数である。そして、着色熱可塑性樹脂フィルム
3と光輝性ベタ印刷層13の界面にある、透明熱可塑性
樹脂フィルム11から目視される第2エンボス形状4
b、及びその上に位置する第3エンボス形状4cの断面
形状は、図3に示すように、矩形波の角が丸まったよう
な形状で、滑らかな周期関数曲線となる。
【0016】溝状の第1エンボス形状4aは、平板又は
ロール状のエンボス版5を使用して、透明熱可塑性樹脂
フィルム11の印刷フィルム2と着色熱可塑性樹脂フィ
ルム3を加熱・加圧することにより、着色熱可塑性樹脂
フィルム側に形成されるが、その第1エンボス形状4a
は、条溝の横断面に於いて凹部28及び凸部29の幅が
1〜1000μmで、好ましくは60〜100μとなっ
ている(図1および図2参照)。凹部28及び凸部29
の幅は同じでもよいし、違った大きさにしてもよい。ま
た、凹部28の深さは5〜100μmで、好ましくは2
0〜35μmとなっている。
【0017】本発明の化粧シート1に使用される透明熱
可塑性樹脂フィルム11としては、ポリ塩化ビニルフィ
ルムが主に使用されるが、この他に、ポリメチルメタア
クリレート、ポリブチルメタアクリレート等のアクリ
ル、ポリエチレン、ポリプロピレン、アイオノマー等の
ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブ
チレンテレフタレート等のポリエステル、ポリ塩化ビニ
リデン、ポリスチレン、ポリカーボネート、エチレンビ
ニルアルコール共重合体、ポリアミド等が使用できる。
フィルム11の厚さは50〜200μmが好ましい。
【0018】また、着色熱可塑性樹脂フィルム3として
は、前記透明熱可塑性樹脂と同様な熱可塑性樹脂に酸化
チタン、カーボンブラック、弁柄、その他の顔料、染
料、充填剤等を混合してフィルム化したものを使用する
ことができる。又着色としては、透明着色とすることも
出来るが、通常は化粧シートを他の下地基材に貼った場
合に下地色を隠蔽する為、不透明着色とすることが好ま
しい。
【0019】そして、この着色熱可塑性樹脂フィルム3
は、後述するエンボス版5(図4(a)−(d))に直
接接触してエンボス加工を受けるので、エンボス版5の
平行曲線群からなる溝状の凹凸部6、7がその横断面形
状に於いて角張った凹凸形状の場合でも、着色熱可塑性
樹脂フィルム3と接する光輝性ベタ印刷層13との間の
第2エンボス形状4bが矩形波の角が丸まった滑らかな
曲線となるようにする。
【0020】そのためには、着色熱可塑性樹脂フィルム
3の厚さはエンボス版5の凹凸部6、7の深さの1倍以
上にして、エンボス版5の角張った凹凸形状がそのまま
の状態で光輝性ベタ印刷層13まで入らないようにする
必要がある。着色熱可塑性樹脂フィルム3の透明熱可塑
性樹脂フィルム11側に凹凸形状が十分突出して、天然
木の照りをよく再現するためには、着色熱可塑性樹脂フ
ィルム3の厚みはエンボス版5の凹凸部6、7の深さの
5倍以下が好適である。
【0021】絵柄模様層12は、欅、杉、檜等の木目
柄、大理石等の石目柄、又は絹等の布目模様が使用さ
れ、グラビア印刷等の印刷法によって形成される。イン
キのビヒクルとしては塩化ビニル酢酸ビニル共重合体等
のビニル系樹脂、ポリメチルメタアクリレート、ポリブ
チルメタアクリレート等のアクリル系樹脂、ニトロセル
ロース樹脂等のセルロース系樹脂、アミノアルキッド樹
脂、ブチラール樹脂等があり、これらの樹脂に顔料、染
料等インキに必要なものを配合してインキを調製する。
【0022】光輝層たる光輝性ベター印刷層13は、一
般的には熱可塑性樹脂バインダ13bに光輝性顔料13
a(図4(a)−(d)参照)を添加したインキを用い
て、公知塗装、又は印刷により全面ベタ、パターン状又
は絵柄状に形成する。
【0023】光輝性顔料13aとしては、主に雲母、二
酸化チタン被覆雲母等の雲母顔料、アルミニウム、真
鍮、銅等金属粉、酸塩化ビスマス、貝殻粉、魚鱗箔等の
微小片状の真珠光沢乃至は金属光沢を有する顔料が用い
られる。
【0024】オーバーコート層14は、表面の耐磨耗
性、耐薬品性、耐汚染性を向上するために設けられるも
のであり、耐磨耗性、耐薬品性、耐汚染性に優れた透明
樹脂でグラビア印刷、コーティング等により形成され
る。主にウレタン系樹脂が使用され、保護層14の厚さ
は3〜10μmが適当である。また、耐スクラッチ性を
向上させるため、アクリル系、エポキシ系、ウレタン系
等の紫外線硬化型樹脂層を形成する場合もある。艶消印
刷層は、保護層と同様の樹脂をバインダーとし、その中
に炭酸カルシム、二酸化硅素、アルミナ、樹脂ビーズ等
の微粒子からなる艶消剤を分散したインキで、公知の印
刷により形成する。必要に応じ着色顔料も添加する。そ
の他図示しないが、本発明の化粧シート表面に導管溝等
をエンボスし、エンボス凹部に着色インキを充填するワ
イピング加工を行うこともできる。
【0025】次に化粧シートの製造方法について、図4
(a)−(d)により説明する。
【0026】まず、図4(a)に示すように、透明熱可
塑性樹脂フィルム11の裏面側に、絵柄模様層12およ
び光輝層たる光輝性ベタ印刷層13が印刷によって形成
され、印刷フィルム2が作製される。次に図4(b)
(c)に示すように、印刷フィルム2と着色熱可塑性フ
ィルム3がプレス装置によって加熱圧着して貼り合わさ
れる。同時に着色熱可塑性フィルム3側から、凹部7と
凸部6とを有するエンボス版5を用いてエンボス加工が
施され、第1、第2および第3エンボス形状4a、4
b、4cが形成される。エンボス加工は所定時間行わ
れ、その後エンボス版5が着色熱可塑性フィルム3から
引離されて、化粧シート1が得られる(図4(d))。
【0027】ここで、該エンボス版は銅、鉄等の金属、
或いはセラミックスを用い、公知のフォトエッチング、
彫刻、レーザビーム加工等により製版した平板或いは円
筒状の版を用いる。図示は略すが、透明熱可塑性樹脂フ
ィルム側にはシリゴム等のクッション材或いは圧胴を配
置し、エンボス版との間でフィルム2,3を挟んで加圧
する。又シート加熱は赤外線ヒーター、加熱ドラム、誘
電加熱等公知の方法で行う。
【0028】次に化粧シート1の製造工程における、光
輝性ベタ印刷層13の内部の挙動について詳述する。上
述のように光輝性ベタ印刷層13は光輝性顔料13aと
熱可塑性樹脂バインダ13bとを有している。
【0029】まず図4(a)において、印刷フィルム2
と着色熱可塑性フィルム3が積層され、これに対してエ
ンボス加工が施された場合、光輝性ベタ印刷層13内の
光輝性顔料13aの密度分布(濃度)がエンボス版5の
位置によって変化する(密度変調される)。このため化
粧シート1の光沢は、光源および観察者に対する化粧シ
ート1の表面の向きによる変化が強調され、これにとも
なって化粧シートの光沢は天然木または天然繊維の光沢
により類似してくる。
【0030】すなわち、上述のようにまず透明熱可塑性
樹脂フィルム11と絵柄模様層12と光輝層たる光輝性
ベタ印刷層13とからなる印刷フィルム2と、着色熱可
塑性フィルム3とが積層され、この積層体に対して凹部
7と凸部6とを有するエンボス版5を用いて加熱状態で
エンボス加工が施される(図4(a))。
【0031】この場合、光輝性ベタ印刷層13は、エン
ボス版5の凸部6に対応する部分30において強く押圧
され、このため部分30の加熱により軟化流動状態にあ
る熱可塑性樹脂バインダ13bは凸部6側から凹部7側
へ流動する。この熱可塑性樹脂バインダ13bの流動に
伴って、光輝性ベタ印刷層13の光輝性顔料13aも凹
部7側へ流動する(図4(b)、(c))。
【0032】この結果として、光輝性ベタ印刷層13の
光輝性顔料13aの密度分布は、凸部6に対応する部分
30(第1エンボス形状4aの凹部28に対応する部
分)において低くなり(薄くなり)、凹部7に対応する
部分31(第1エンボス形状4aの凸部29に対応する
部分)において高くなる(濃くなる)。
【0033】このように光輝性ベタ印刷層13中におい
て、光輝性顔料13aの密度分布がエンボス版5の凸部
6および凹部7に対応して変化するので、溝状凹凸2
8,29…による化粧シート1の光沢が光源および観察
者に対する化粧シート1の表面の向きに応じた変化は、
より強調される。すなわち、化粧シート1の光沢は、顔
料13aが濃い光輝性ベタ印刷層13の部分31におい
て明るくなり、顔料13aが薄い光輝性ベタ印刷層13
の部分30において暗くなる。
【0034】勿論、化粧シート1の光沢の揮度は、光輝
性ベタ印刷層13の顔料13aの分布度によって影響を
受けるだけでなく、顔料13aの密度分布に対応した凹
凸を有する第2および第3エンボス形状4b、4cによ
っても影響を受ける。このため、化粧シート1の光沢
は、顔料13aの密度分布と第2および第3エンボス形
状4b、4cの凹凸の相乗作用によって、より天然木の
ものに類似する。
【0035】なお、光輝性ベタ印刷層13のバインダー
としては、加熱により軟化、流動性を発現する熱可塑性
樹脂が用いられる。このような熱可塑性樹脂バインダ1
3bとしては、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニ
ル共重合体、ポリビニルブチラール、塩素化ポリプロピ
レン、熱可塑性ポリエステル、ポリメチルメタクリレー
ト、ポリブチルメタクリレート、ポリメチルアクリレー
ト、およびポリブチルアクリレート等がある。これらバ
インダーは単独で、或いは2種以上混合して用いる。本
発明の化粧シートは、木材板、金属板、樹脂等の下地基
板に接着して床材、天井材、壁材等建築内装材、家具や
弱電機器の表面化粧材として用いることができる。
【0036】
【発明の効果】本発明によれば、従来の化粧シートでは
見られない、意匠性に優れ立体感のある天然木、天然
石、布帛により近似した照りが再現されるので、リアル
感のある美麗な木目調、石目調、或いは布目調の化粧シ
ートを得ることができる。また、特に木正目調木目柄に
於いてエンボスされた条溝の化粧シートの法線方向から
見た形状を正弦波とし、その正弦波の流れ方向(y=s
inxにおけるx軸方向)を、木目の絵柄印刷の流れ方
向と略直角にすることにより、「照り」の移動が表現で
き、より一層深みのある立体的意匠性に優れた化粧板を
得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の化粧シートの一実施の形態を示す断面
図。
【図2】本発明の表面に保護層を設けた化粧シートの断
面図。
【図3】化粧シートに形成された平行曲線群の凹凸模様
の形状を示した図。
【図4】化粧シートの製造工程を示す図。
【符号の説明】
1 化粧シート 2 印刷フィルム 3 着色熱可塑性樹脂フィルム 4a、4b、4c エンボス形状 5 エンボス版 6 凸部 7 凹部 13 光輝性ベタ印刷度 13a 光輝性顔料 13b 熱可塑性樹脂バインダ 30、31 光輝性ベタ印刷層の部分 28 凹部 29 凸部

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】背面に絵柄模様層が印刷された透明性熱可
    塑性樹脂フィルムと、 この透明性熱可塑性樹脂フィルムの背面側に設けられ光
    輝性顔料を有する光輝層と、 光輝層の背面側に設けられた着色熱可塑性樹脂フィルム
    とを備え、 前記着色熱可塑性樹脂フィルムの背面、前記着色熱可塑
    性樹脂フィルムと前記光輝層との間の境界面、および前
    記光輝層と前記透明性熱可塑性樹脂フィルムとの間の境
    界面に第1、第2および第3エンボス形状が各々形成さ
    れ、 前記着色熱可塑性樹脂フィルムと前記光輝層との間の境
    界面、および前記光輝層と前記透明性熱可塑性樹脂フィ
    ルムとの間の境界面に形成された第2および第3エンボ
    ス形状は、横断面上において各々滑らかな周期関数曲線
    又は擬似周波数曲線であり、且つ光輝層の光輝性顔料
    は、第1エンボス形状の凹部に対応する部分において濃
    度が薄くなり、第1エンボス形状の凸部に対応する部分
    において濃度が濃くなっていることを特徴とする化粧シ
    ート。
  2. 【請求項2】透明性熱可塑性樹脂フィルムの背面に、絵
    柄模様層および光輝性顔料を有する光輝層を順次印刷に
    より設ける工程と、 前記光輝層の背面に着色熱可塑性樹脂フィルムを貼り合
    わせる工程と、 エンボス版を用いて着色熱可塑性樹脂フィルムの背面に
    第1エンボス形状を形成すると同時に、前記着色熱可塑
    性樹脂フィルムと前記光輝層との間の境界面、および前
    記光輝層と前記透明性熱可塑性樹脂フィルムとの間の境
    界面に、各々横断面上において滑らかな周期関数曲線ま
    たは擬似周波数曲線からなる第2および第3エンボス形
    状を形成し、その際のエンボス版の加圧により、第1エ
    ンボス形状の凹部において光輝性顔料の濃度が高く、又
    第1エンボス形状の凸部において光輝性顔料の濃度が低
    くなる様に光輝性顔料を移動させる工程とを備えたこと
    を特徴とする化粧シートの製造方法。
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