JPH099884A - 油ちょう用冷凍食品と油ちょう済の加熱仕上げ用冷凍食品およびそれらの製造方法 - Google Patents

油ちょう用冷凍食品と油ちょう済の加熱仕上げ用冷凍食品およびそれらの製造方法

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JPH099884A
JPH099884A JP7186394A JP18639495A JPH099884A JP H099884 A JPH099884 A JP H099884A JP 7186394 A JP7186394 A JP 7186394A JP 18639495 A JP18639495 A JP 18639495A JP H099884 A JPH099884 A JP H099884A
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frozen
food
frying
coating
oil
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JP7186394A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Hirahara
弘志 平原
Yuichi Kamata
雄一 鎌田
Masahatsu Saka
真初 坂
Yasutaka Kumano
康孝 熊野
Noriko Hamada
紀子 浜田
Takeshi Okago
健 尾籠
Masami Hatanaka
正美 畑中
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Nichiro Corp
Original Assignee
Nichiro Corp
Nichiro Gyogyo Kaisha Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 油ちょう用冷凍食品については、保存と流通
により所定期間経過後に油ちょうしたとしても、中種が
ジューシーさを充分保ちながら衣がカラッと揚がるよう
にするとともに、油ちょう後時間が経過しても、出来る
だけ衣に中種の水分が移行せず衣のクリスピー感が失わ
れない冷凍食品とその製造方法を得ることを目的とし、
また、油ちょう済の加熱仕上げ用冷凍食品は、保存と流
通により所定期間経過後に簡便な加熱処理しても、中種
がジューシーさを充分保ちながら出来るだけ衣に中種の
水分が移行せず衣のクリスピー感が失われないように品
質改良するとともに、そのような冷凍食品を大量生産方
式で製造できる方法を提供することを目的とした。 【構成】 油ちょう用に調整処理した中種の表面にオリ
ゴ糖を付着または被覆し、さらにその表面を衣材で被覆
したうえ、凍結して油ちょう用冷凍食品や油ちょう済の
加熱仕上げ用冷凍食品を構成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、冷凍食品として多数
商品化され、人気を得ているフライ類、コロッケ類、カ
ツ類、てんぷら類など衣の付いた油ちょう食品類の改良
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】冷凍食品は、特にコンシューマー用とし
て、末端消費者に様々な品種のものが供給されており、
その形態、料理法なども多伎に渡っている。特にあらか
じめ調理加工され、末端消費者が暖めたり、揚げたり、
蒸したりするだけで喫食できる調理済み冷凍食品は、調
理の手間を省くのみならず、ファストフード店の普及を
促した。
【0003】このような調理済みの冷凍食品として以前
から親しまれているものとしてフライ類、コロッケ類、
カツ類、てんぷら類など衣付油ちょう食品がある。これ
ら衣付油ちょう食品には、大別すると2種類ある。その
第1は、中種に衣材を付着または被覆する段階まで調理
加工された未加熱の衣付食品を凍結して流通させ、消費
者に最終調理工程である油ちょう(ディープフライ)を
喫食直前にさせる方式の油ちょう用冷凍食品である。第
2は、製造段階で、中種に衣材を付着または被覆したう
え、油ちょうする段階まで調理加工し、この油ちょう済
(プリフライ)の衣付食品を凍結して流通させ、消費者
には、喫食直前にトースターや電子レンジで加熱するだ
けで喫食させる方式の油ちょう済の加熱仕上げ用冷凍食
品である。
【0004】前者の油ちょう用冷凍食品は、現在主力の
冷凍食品として数多くの商品が開発され普及している
が、消費者は、喫食前に油ちょうによる調理がおこなわ
なければならない点で、少しその取り扱いが容易になら
ないかと感じている。なぜなら、油ちょうによる調理
は、油を高温(摂氏180度前後)に加熱して行われる
ことを前提としているためである。このような高温の油
は、その取り扱いを誤れば焼けどを起こしたり、引火す
る虞があり、その取り扱いには充分な注意と用心が必要
で難しい。また、使用後の油や使用した鍋の後始末がベ
トベトして面倒である。以上の理由から、油ちょうによ
る調理は未熟練者や忙しく時間のない人々には敬遠され
る傾向がある。
【0005】これに対し、後者の油ちょう済加熱仕上げ
用冷凍食品は、トースターや電子レンジでの加熱操作が
簡単でかつ安全であるため、未熟練者や忙しく時間のな
い人々には歓迎されている。特に最近は、電子レンジの
普及が進み、その調理加熱操作の簡便さと速さから、電
子レンジ調理対応用の冷凍食品の開発が望まれている。
しかし、油ちょう済冷凍食品というのは、油ちょうによ
り中種や衣が既に熱変性した後であるため、これを冷凍
状態で長期間保存したり、加熱調理後の放置によって、
冷凍変性や品質の劣化が発現し易く、風味が大きく低下
することが多い。しかも、一度劣化した品質は、再加熱
しても戻らず、油ちょう直後のようなおいしさを再現す
るのは難しい。このため、油ちょう済の加熱仕上げ用冷
凍食品類は、その人気の高さにもかかわらず、それに値
するような品質の高さを達成することはできなかった。
【0006】また、このようなフライ類、コロッケ類、
カツ類、てんぷら類など衣付油ちょう食品の冷凍食品を
消費者がどのような用途に使用しているかを調査してみ
たところ、お弁当用のおかずとしての使用や、デリカ食
品(調理済食品)として市販される場合も多いことが解
った。このような用途の場合には、仕上げ加熱調理がす
んでから数時間経過後に喫食されることが多い。つま
り、衣付油ちょう食品の冷凍食品は、最終仕上げ加熱調
理してから数時間の経た後、冷めてから食してもおいし
さが可及的に維持できるように工夫する要請もあること
になる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、衣付油ち
ょう食品の冷凍食品の特徴や要請について研究を進めた
結果、品質改良のために、次のような技術課題のあるこ
とが解った。
【0008】普通の冷凍食品は、凍結の前後において食
品の各部位における水分含量がほぼ一定であるので、そ
の品質や食感に大きな変化はなかった。しかし、衣付油
ちょう食品というのは、衣によって中種の液汁や風味を
逃さないジューシー感と、油ちょうによって生じる熱変
性した衣のクリスピー感と香ばしさという異質の組み合
わせが、食べたときにおいしさとして感じる商品であ
る。従って、衣付油ちょう食品は、中種と衣によって、
水分含量に差があり、中種から衣の部位へ水分が移行し
易い独特の構造になっている。このため、この種食品を
冷凍期間中、解凍中、調理から喫食までにタイムラグが
ある場合には、中種の水分が徐々に衣に移行して食感の
低下や、パン粉の老化をもたらし、おいしさや品質を大
きく変化させる特性がある。
【0009】つまり、未加熱の衣付油ちょう用冷凍食品
を揚げたもの、あるいは衣付の油ちょう済の加熱仕上げ
用冷凍食品を加熱調理したものについて、これを喫食ま
での間放置しておいた場合、内側の中種の水分が外側の
衣に移行して、衣のクリスピー感が失われ、この種食品
として期待されるおいしさが大きく低下する。特に、油
ちょう済の衣付食品を電子レンジにより仕上げ加熱する
場合は、外部からの加熱ではなく内側からの均一な発熱
である。外部からの加熱の場合には、表皮の温度が高く
乾燥するが、電子レンジ加熱では表皮は内側よりの水蒸
気により衣は乾燥せずに湿った食感になる。このため、
衣付油ちょう食品を電子レンジで加熱することは、内側
の中種の水分の衣への移行と同様の現象を引き起こすも
のとして忌避されてきた。
【00010】さらに、油ちょうする段階まで調理加工
した油ちょう済の衣付食品においては冷凍して保存流通
させた場合にも、加工後の放置と同様に、長期の保存で
内側の中種の水分が外側の衣に移行することがあること
がわかっており、この点での対策も必要であった。
【0011】即ち、衣付油ちょう食品の冷凍食品の場
合、中種の水分が衣に浸透すること可及的に遅らせるよ
うな構成にすること、冷凍変性しにくいようにするこ
と、食品である以上絶対の安全性があり、しかも風味に
悪い影響が及ばないようにすることが要請されていた。
【0012】そこで本発明者は、安全で油ちょう衣付食
品の冷凍食品のおいしさを増し、冷凍変性と品質の劣化
を防ぎ、内側の中種の水分が外側の衣に移行しにくい構
成にするため、種々の研究と開発を行った。その結果、
食材として昔から使用され、安全性の確認されている糖
類のうちオリゴ糖には、皮膜形成性、保湿性、低着色
性、粘度、氷点降下性、低浸透圧性などがあることに着
目し、これを中種の表面にオリゴ糖を付着または被覆す
ると、前記油ちょう衣付食品の冷凍食品に要請されてい
る技術課題に対応し、その品質を改良出来る可能性のあ
ることを見出した。この新しいアイデアに基づいて、本
願発明を完成したものである。
【0013】すなわち、本願発明の衣付油ちょう食品の
冷凍食品のうち、油ちょう用冷凍食品については、保存
と流通により所定期間経過後に油ちょうしたとしても、
中種がジューシーさを充分に保ちながら衣がカラッと揚
がるようにするとともに、油ちょう後時間が経過して
も、出来るだけ衣に中種の水分が移行せずに衣のクリス
ピー感が失われない冷凍食品を具現化することと、その
製造方法の提供を第1の目的とした。
【0014】次に、本願発明の衣付油ちょう食品の冷凍
食品のうち、油ちょう済の加熱仕上げ用冷凍食品は、保
存と流通により所定期間経過後に簡便な加熱処理をして
も、中種がジューシーさを充分に保ちながら出来るだけ
衣に中種の水分が移行せず衣のクリスピー感が失われな
いように品質改良するとともに、そのような冷凍食品を
大量生産方式で製造できる方法を提供することを第2の
目的とした。
【0015】第3の目的は、電子レンジによる簡便で、
速やかな調理加熱に対応し、中種がジューシーで衣はク
リスピー感があるおいしい油ちょう済の加熱仕上げ用冷
凍食品を商品化するとともに、その実用性のある製造方
法を提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】特許を受けようとする第
1発明は、油ちょう用に調整処理した中種の表面にオリ
ゴ糖を付着または被覆し、さらにその表面を衣材で被覆
したうえ、凍結したことを特徴とする油ちょう用冷凍食
品である。
【0017】特許を受けようとする第2発明は、油ちょ
う用に調整処理した中種の表面にオリゴ糖を付着または
被覆し、その表面を衣材で被覆したうえ、凍結したこと
を特徴とする油ちょう済の加熱仕上げ用冷凍食品であ
る。
【0018】特許を受けようとする第3発明は、油ちょ
う用に調整処理した中種の表面にオリゴ糖を付着または
被覆し、その表面に炭水化物および/または蛋白質で構
成される微粉を付着または被覆し、さらにその表面を衣
材で被覆したうえ、凍結したことを特徴とする油ちょう
用冷凍食品である。
【0019】特許を受けようとする第4発明は、油ちょ
う用に調整処理した中種の表面にオリゴ糖を付着または
被覆し、その表面に炭水化物および/または蛋白質で構
成される微粉を付着または被覆し、さらにその表面を衣
材で被覆し、油ちょうしたうえ、凍結したことを特徴と
する油ちょう済の加熱仕上げ用冷凍食品である。
【0020】特許を受けようとする第5発明は、前記第
1発明、第2発明、第3発明または第4発明に記載する
オリゴ糖が、その糖鎖を構成する糖の数が3〜7の糖を
40%以上含む糖類で構成されるようにしたことを特徴
とする油ちょう用冷凍食品または油ちょう済の加熱仕上
げ用冷凍食品である。
【0021】特許を受けようとする第6発明は、油ちょ
う用に調整処理した中種をオリゴ糖液に漬け込み、噴
霧、塗布などの方法で接触させて、当該中種の表面にオ
リゴ糖を付着または被覆した後、常法によりバッタリン
グおよびブレッタリングして中種表面を衣材で被覆した
未加熱の衣付食品となし、得られた未加熱の衣付食品を
凍結したことを特徴とする油ちょう用冷凍食品の製造方
法である。
【0022】特許を受けようとする第7発明は、油ちょ
う用に調整処理した中種をオリゴ糖液に漬け込み、噴
霧、塗布などの方法で接触させて、当該中種の表面にオ
リゴ糖を付着または被覆した後、常法によりバッタリン
グおよびブレッタリングして中種表面を衣材で被覆した
うえ、これを油ちょうして油ちょう済衣付食品となし、
得られた油ちょう済衣付食品を凍結したことを特徴とす
る油ちょう済の加熱仕上げ用冷凍食品の製造方法であ
る。
【0023】特許を受けようとする第8発明は、油ちょ
う用に調整処理した中種をオリゴ糖液に漬け込み、噴
霧、塗布などの方法で接触させて、当該中種の表面にオ
リゴ糖を付着または被覆し、更にその表面に炭水化物お
よび/または蛋白質で構成される微粉をまぶすことによ
り当該微粉を付着または被覆し、その後常法によりバッ
タリングおよびブレッタリングして中種表面を衣材で被
覆した未加熱の衣付食品となし、得られた未加熱の衣付
食品を凍結したことを特徴とする油ちょう用冷凍食品の
製造方法である。
【0024】特許を受けようとする第9発明は、油ちょ
う用に調整処理した中種をオリゴ糖液に漬け込み、噴
霧、塗布などの方法で接触させて、当該中種の表面にオ
リゴ糖を付着または被覆し、更にその表面に炭水化物お
よび/または蛋白質で構成される微粉をまぶすことによ
り当該微粉を付着または被覆し、その後常法によりバッ
タリングおよびブレッタリングをして中種表面を衣材で
被覆したうえ、これを油ちょうして油ちょう済衣付食品
となし、得られた油ちょう済衣付食品を凍結したことを
特徴とする油ちょう済の加熱仕上げ用冷凍食品の製造方
法である。
【0025】特許を受けようとする第10発明は、第6
発明、第7発明、第8発明又は第9発明に記載するオリ
ゴ糖が、その糖鎖を構成する糖の数が3〜7の糖を40
%以上含む糖類で構成されるようにしたことを特徴とす
る油ちょう用冷凍食品または油ちょう済の加熱仕上げ用
冷凍食品の製造方法である。
【0026】本願発明に係る油ちょう用冷凍食品は、中
種に衣を付着または被覆する段階まで加工調理された未
加熱の衣付油ちょう食品を凍結して流通させ、消費者に
最終調理工程である油ちょう(ディープフライ)を喫食
直前にさせる方式の衣付油ちょう食品である。
【0027】また、油ちょう済の加熱仕上げ用冷凍食品
というのは、製造段階で、中種に衣材を付着または被覆
したうえ油ちょうする段階まで調理加工し、この油ちょ
う済(プリフライ)の衣付食品を凍結して流通させ、消
費者には、喫食直前にオーブントースターや電子レンジ
で加熱するだけで喫食させる方式の衣付油ちょう食品で
ある。
【0028】ここでいう衣付油ちょう食品には、農産加
工品、畜産加工品、水産加工品などの各種フライ類、各
種コロッケ類、各種カツ類、各種てんぷら類などを含
む。
【0029】本願発明に用いるオリゴ糖には、皮膜形成
性、保湿性、低粘着性、粘度、氷点降下性、低浸透圧性
がある。このオリゴ糖の皮膜形成性および低浸透圧性
は、水分の拡散を防止し、中種の水分を保持するに役立
ち、ジューシー感を維持する効果があり、その低着色性
は食品の加熱加工による褐変の低減や色調の改善に役立
つ。更に、オリゴ糖の粘度の高さは、食品にボディ感を
付与するとともに、コク味付け効果を発揮するし、その
氷点降下性は、冷凍変性防止効果を高め、蛋白質などの
変質防止に役立つ。
【0030】以上のように、オリゴ糖は、油ちょう衣付
食品の冷凍食品の要請される品質向上に適した多くの特
性を備えているものである。そこで、本発明ではこのオ
リゴ糖を中種の表面に付着または被覆するようにしたも
のである。
【0031】ここにオリゴ糖は、加水分解により2〜1
0個の単糖を生じる糖のことである。これらをそれぞれ
二糖類〜十糖類と称する。またオリゴ糖には、製造原
料、構成単糖の種類あるいはその結合部位の違いによ
り、マルトオリゴ糖、分岐オリゴ糖(イソマルトオリゴ
糖)、βオリゴ糖、4‘ガラクトオリゴ糖、6’ガラク
トオリゴ糖、キシロオリゴ糖、大豆オリゴ糖、フラクト
オリゴ糖、乳果オリゴ糖、カップリングシュガー等の種
類がある。
【0032】本願発明では、そのいずれかのオリゴ糖類
を単独で使用しても良いが、通常は中種や衣の原材料、
油ちょう食品の種類、用途、嗜好などにより複数のオリ
ゴ糖類類を適宜組み合わせて混合構成したオリゴ糖を使
用する。使用時のオリゴ糖の態様は、液状にして使用し
ても粉末にして使用しても良いこと勿論である。
【0033】本願第5発明および第10発明にて、オリ
ゴ糖が、その糖鎖を構成する糖の数が3〜7の糖を40
%以上含む糖類で構成されるようにすることが望ましい
としたのは、次のような理由による。オリゴ糖は、その
種類によって多種多様の特性をもっている。しかし、一
般的に同じ構造の糖でも重合度(糖鎖の長さ)によって
特性が変化している。オリゴ糖の各種性質と重合度は表
1に示したような関係にある。
【0034】
【表1】
【0035】従って、これらオリゴ糖の種類による特性
の違いを十分考慮した上で、本願発明に用いるオリゴ糖
は、その用途等に応じて適宜組み合わせ構成させること
になるが、いずれの特性も極端に偏るとバランスが悪く
なって最終的には期待する実用的効果を得られなくなる
ので、適度な特性をもつ糖の数が3〜7の糖を40%以
上含む糖類となるように組み合わせ、バランスの良い構
成にするのが望ましい。
【0036】更に、本願第3発明、第4発明、第8発
明、第9発明において、中種の表面にオリゴ糖を付着ま
たは被覆したうえ、その表面に炭水化物および/または
蛋白質で構成される微粉を付着または被覆し、さらにそ
の表面を衣材で被覆する構成にした理由は、次のような
点にある。炭水化物および/または蛋白質で構成される
微粉が、中種の表面に付着または被覆したオリゴ糖のを
安定させる効果があるとともに、保水性を高めて、中種
から衣への水の移行を更に遅らせ、衣と中種の付着性を
向上させる効果があるためである。
【0037】第6発明、第8発明は、油ちょう用冷凍食
品の製造方法であり、第7発明、第9発明は、油ちょう
済の加熱仕上げ用冷凍食品の製造方法である。これら発
明において、中種の表面にオリゴ糖を付着または被覆す
る方法は、オリゴ糖液を用意し、これに中種を漬け込む
ようにしたり、噴霧器で噴霧して表面に付着するように
したり、刷毛等で塗布する等、適宜の方法で中種の表面
にオリゴ糖を接触させれば良い。またオリゴ糖粉末を用
意し、中種の表面にまぶして付着または被覆するように
しても良い。
【0038】また、炭水化物および/または蛋白質で構
成される微粉についても、オリゴ糖を付着または被覆し
た中種の表面に、まぶすことにより付着または被覆すれ
ば良い。
【0039】尚、その後の中種表面への衣付けは、常法
によるバッタリング、ブレッタリングをすれば良いし、
その後の油ちょうも常法により行えば良い。
【0040】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明
する。
【0041】<実施例1>本発明者は、次の実施例に示
す試作製造に基づき、衣付油ちょう食品の冷凍食品の開
発を推進した。本発明においてなる冷凍食品は、長期
の冷凍保存に耐え、油ちょうした段階で衣のソフトなク
リスピー感がそこなわれてないもの。油ちょう後、放
置しておいても衣が湿っぽくならないもの。長期の冷
凍保存によっても、衣を含む食品全体の食味の低下をし
めさないもの。が要求される。これに基づき、技術課題
を解決する方法として、中種の検討、衣に用いるバッタ
ーミックスやパン粉について、種々の基礎研究を積み重
ね、各種素材について検討し、これらを具体的に実現す
る可能性のある素材の探索とこれを用いた新しい製造方
法について、多方面から総合的に研究した。数多くの試
験結果から皮膜形成性、低着色性、粘度、氷点降下性、
低浸透圧性など具体的に前記技術課題を解決する可能性
のある素材として、オリゴ糖が好適であることに気付い
た。そして、この新しい知見に基づきこのオリゴ糖を用
いた衣付油ちょう食品の冷凍食品の試作実験をおこなっ
た。
【0042】本発明者は、まず油ちょう用冷凍食品の実
施例として、冷凍カツの製造試験を行った。豚肉を一定
の寸法に裁断して、油ちょう用に調整処理したものを中
種として用意した。これをa区、b区、c区の三種類に
分け、当該a区は、本願発明の実施様態となし、b区
は、本願第3発明の実施様態となし、c区は、対照区と
してオリゴ糖や、微粉の付着や被覆をしないものとし
た。
【0043】a区は、前記中種をオリゴ糖液(糖鎖6ー
7個のオリゴ糖を40%以上含む糖液)に漬け込んで、
中種の表面をオリゴ糖を被覆した後、バッターミックス
および生パン粉(いずれも市販品を使用)を付着させ、
衣付けした後、急速凍結したものを−20℃で3ケ月冷
凍保存した。その後当該サンプルを取り出し、これを油
ちょう用油(市販されているサラダ油)で185℃、3
〜4分油ちょうして調理を終了させた。これを油ちょう
約15分後と4時間後に喫食してその官能検査を行っ
た。官能検査は、衣のクリスピー感、ネタつき、かた
さ、歯切れの良さ、油っぽさ、および総合評価を14人
のパネラーで行った。尚、評価は、表2のように7段階
で行った。
【0044】
【表2】
【0045】b区は、中種を、a区と同様にオリゴ糖で
被覆した後、その上から微粉(パン粉の細粉)を付着さ
せ、さらにバッターミックスとパン粉(a区と同じ物)
付着させる。これを急速凍結したものを−20℃で3ケ
月冷凍保存した。その後当該サンプルを取り出し、これ
を油ちょう用油(a区と同じ物)で185℃、3〜4分
油ちょうして調理を終了させた。これを油ちょう後、約
15分後と4時間後に喫食してa区と同じ、パネラーと
評価方法で官能検査を行った。
【0046】c区は、中種にバッターミックスとパン粉
(a区と同じ物)を付着させ、これを急速凍結したもの
を−20℃で3ケ月冷凍保存した。その後当該サンプル
を取り出し、これを油ちょう用油(a区と同じ物)で1
85℃で3〜4分油ちょうして調理を終了させた。これ
を油ちょう後約15分後と4時間後に喫食してa区と同
じパネラーと評価方法で官能検査を行った。官能検査の
結果を表3に示す。
【0047】
【表3】
【0048】当該官能試験の結果を考察すると、a区、
b区のものは、c区のものに比較して、明らかの総合評
価が良好であることが判明した。特に、b区のものがa
区のもに比べても衣のクリスピー感、かたさ、および歯
切れにおいて良好であった。これはオリゴ糖による被覆
が効果を発現させたものと考えられる。また、オリゴ糖
の被覆と微粉の被覆をくみあわせることによって、衣の
クリスピー感、かたさ、および歯切れが良好になるとい
う効果が、より顕著になることが判明した。また、上記
官能試験の結果、加熱後、放置しておいても衣の食感低
下が少なく、衣が水分移行により湿っぽくなりにくくな
っていることが確認された。
【0049】<実施例2>次に、発明者は、電子レンジ
やオーブントースターで仕上げ加熱しただけで、揚げた
てのおいしい油ちょう食品の開発に際し、実施例2に示
すような試験区で開発試験を行った。特に、電子レンジ
対応の衣付油ちょう食品の開発にあたり、以下の3点の
技術課題すなわち電子レンジで加熱しても衣のクリス
ピー感が失われないこと。加熱後、放置しておいても
衣が湿っぽくならないもの。長期冷凍保存しても品質
(衣を含む)が変化しないもの。についてこれを達成せ
んがために、各種検討を行った。
【0050】これらに鑑み本発明者はその課題の達成の
ため、オリゴ糖の特性に注目し、これを利用することと
した。
【0051】本発明者は、下記の方法でコロッケの試作
試験を実施した。すなわち、皮をむき、蒸煮し、押しつ
ぶしたジャガイモに、バターいためした微塵切りのタマ
ネギ、塩、胡椒、砂糖と混合調理したポテト主体のコロ
ッケの中種素材を作成した。これを所定の寸法および重
量になるように成形し、コロッケ中種とした。この中種
をd区、e区、f区の三区分に分けた。当該d区は、本
願第2発明の実施態様をなし、e区は、本願第4発明の
実施様態をなす。f区は、対照区としてオリゴ糖や、微
粉の付着や被覆は実施していない。
【0052】更に詳細には、d区は成形した前記コロッ
ケ中種をオリゴ糖液(糖鎖3〜4個のオリゴ糖を80%
以上含む糖液)に漬け込んで、中種の表面をオリゴ糖を
被覆した後、バッターミックスおよびドライパン粉(い
ずれも市販品を使用)を付着させ、衣付けした後、サラ
ダ油で175℃で3分油ちょうし、その後急速凍結して
油ちょう済の加熱仕上げ用冷凍食品とした。これを−2
0℃で3ケ月冷凍保存した。その後、当該油ちょう済み
の加熱仕上げ用冷凍食を取り出し、これを電子レンジ調
理した。電子レンジによる加熱後約15分後と4時間後
に喫食してその官能検査を行った。官能検査の方法は、
実施例1に準じ、表2に示した7段階の評価を14人の
パネラーで行った。e区は、成形した中種を、d区と同
様にオリゴ糖に漬け込んだ後、細かい小麦粉(市販品)
を被覆したうえで、バッターミックスおよびドライパン
粉(いずれも市販品を使用)を付着させ、衣付けした
後、サラダ油で175℃で3分油ちょうし、その後急速
凍結して油ちょう済の加熱仕上げ用冷凍食品とした。そ
れを−20℃で3ケ月冷凍保存した。その後当該油ちょ
う済の加熱仕上げ用冷凍食品を取り出し、これを電子レ
ンジ調理した。電子レンジによる加熱後約15分後と4
時間後に喫食してその官能検査を行った。官能検査の方
法はd区と同様に行った。
【0053】f区は、成形した中種にバッターミックス
およびドライパン粉(いずれも市販品を使用)を付着さ
せ、衣付けした後、サラダ油で175℃で3分油ちょう
し、その後、急速凍結して油ちょう済の加熱仕上げ冷凍
食品とした。これを−20℃で3ケ月冷凍保存した。そ
の後、当該油ちょう済の加熱仕上げ用冷凍食品を取り出
し、これを電子レンジで調理した。電子レンジによる加
熱後約15分後と4時間後に喫食してその官能検査を行
った。官能検査の方法はd区と同様に行った。官能試験
の結果は、次の通りである。
【0054】
【表4】
【0055】当該官能試験の結果考察すると、d区、e
区、のものは、f区のものに比較して、明らかに総合評
価が良好であることが判明した。e区のものは特に衣の
クリスピー感、かたさ、および歯切れにおいて良好であ
った。これはオリゴ糖による被覆が効果を発現させたも
のと考えられる。また、オリゴ糖の被覆と微粉の被覆を
組み合わせることによって、衣のクリスピー感、かた
さ、および歯切れが良好になるという効果が、電子レン
ジにおいてもより顕著になることが判明した。また、上
記官能試験の結果、加熱後、放置しておいても衣の食感
低下が少なく、衣が水分移行により湿っぽくなりにくく
なっていることが確認された。
【0056】
【効果】本願発明は、油ちょう用冷凍食品と油ちょう済
の加熱仕上げ用冷凍食品、およびその製造方法である。
いずれも油ちょう用に調整処理した中種の表面にオリゴ
糖を付着または被覆した点が共通する技術的特徴であ
る。
【0057】この中種の表面にオリゴ糖の付着または被
覆したことによって、第1発明、第3発明の油ちょう用
冷凍食品は、油ちょうの際、中種がジューシーさを充分
保ちながら衣がカラッと揚がるようにするとともに、油
ちょう後時間が経過しても、衣に中種の水分が移行せず
衣のクリスピー感が失われない冷凍食品を具現化するこ
とができた。
【0058】第2発明、第4発明の油ちょう済の加熱仕
上げ用冷凍食品は、長期保存中にオーブントースターや
電子レンジにより仕上げ加熱処理しても、中種がジュー
シーさを充分保ちながら衣のクリスピー感が失われない
商品を具現化することが出来た。
【0059】第2発明、第4発明の油ちょう済の加熱仕
上げ用冷凍食品の仕上げ加熱後数時間放置しておいて
も、品質の安定性が良く、衣のクリスピー感が失われな
い。
【0060】第3発明、第4発明の中種の表面にオリゴ
糖の付着または被覆したうえ、その表面に炭水化物およ
び/または蛋白質で構成されるの微粉を付着または被覆
した場合には、上記中種がジューシーさを充分保ちなが
ら衣のクリスピー感が失われないという商品特性が、さ
らに明確なものとなる。
【0061】第5発明は、使用するオリゴ糖の構成を特
定することにより、本願発明の上記中種がジューシーさ
を充分保ちながら、衣のクリスピー感が失われないとい
う効果が常に安定して、好ましく具現化するようにした
ものである。
【0062】第6発明乃至第10発明は、前述したよう
に品質改良された油ちょう用冷凍食品と油ちょう済の加
熱仕上げ用冷凍食品を、大量生産方式で製造できる方法
を提供するものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 熊野 康孝 神奈川県横須賀市久里浜7−36−5 株式 会社ニチロ久里浜工場内 (72)発明者 浜田 紀子 東京都千代田区有楽町1丁目12番1号 株 式会社ニチロ内 (72)発明者 尾籠 健 東京都千代田区有楽町1丁目12番1号 株 式会社ニチロ内 (72)発明者 畑中 正美 東京都千代田区有楽町1丁目12番1号 株 式会社ニチロ内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 油ちょう用に調整処理した中種の表面に
    オリゴ糖を付着または被覆し、さらにその表面を衣材で
    被覆したうえ、凍結したことを特徴とする油ちょう用冷
    凍食品。
  2. 【請求項2】 油ちょう用に調整処理した中種の表面に
    オリゴ糖を付着または被覆し、その表面を衣材で被覆し
    たうえ、油ちょうし、凍結したことを特徴とする油ちょ
    う済の加熱仕上げ用冷凍食品。
  3. 【請求項3】 油ちょう用に調整処理した中種の表面に
    オリゴ糖を付着または被覆し、その表面に炭水化物およ
    び/または蛋白質で構成される微粉を付着または被覆
    し、さらにその表面を衣材で被覆したうえ、凍結したこ
    とを特徴とする油ちょう用冷凍食品。
  4. 【請求項4】 油ちょう用に調整処理した中種の表面に
    オリゴ糖を付着または被覆し、その表面に炭水化物およ
    び/または蛋白質で構成される微粉を付着または被覆
    し、さらにその表面を衣材で被覆したうえ油ちょうし、
    凍結したことを特徴とする油ちょう済の加熱仕上げ用冷
    凍食品。
  5. 【請求項5】 請求項1、請求項2、請求項3又は請求
    項4に記載するオリゴ糖が、その糖鎖を構成する糖の数
    が3〜7の糖を40%以上含む糖類で構成されるように
    したことを特徴とする油ちょう用冷凍食品または油ちょ
    う済の加熱仕上げ用冷凍食品。
  6. 【請求項6】 油ちょう用に調整処理した中種をオリゴ
    糖液に漬け込み、噴霧、塗布などの方法で接触させて、
    当該中種の表面にオリゴ糖を付着または被覆した後、常
    法によりバッタリングおよびブレッタリングして中種表
    面を衣材で被覆した未加熱の衣付食品となし、得られた
    未加熱の衣付食品を凍結したことを特徴とする油ちょう
    用冷凍食品の製造方法。
  7. 【請求項7】 油ちょう用に調整処理した中種をオリゴ
    糖液に漬け込み、噴霧、塗布などの方法で接触させて、
    当該中種の表面にオリゴ糖を付着または被覆した後、常
    法によりバッタリングおよびブレッタリングして中種表
    面を衣材で被覆したうえ、これを油ちょうして油ちょう
    済衣付食品となし、得られた油ちょう済衣付食品を凍結
    したことを特徴とする油ちょう済の加熱仕上げ用冷凍食
    品の製造方法。
  8. 【請求項8】 油ちょう用に調整処理した中種をオリゴ
    糖液に漬け込み、噴霧、塗布などの方法で接触させて、
    当該中種の表面にオリゴ糖を付着または被覆し、更にそ
    の表面に炭水化物および/または蛋白質で構成される微
    粉をまぶすことにより当該微粉を付着または被覆し、そ
    の後常法によりバッタリングおよびブレッタリングして
    中種表面を衣材で被覆した未加熱の衣付食品となし、得
    られた未加熱の衣付食品を凍結したことを特徴とする油
    ちょう用冷凍食品の製造方法。
  9. 【請求項9】 油ちょう用に調整処理した中種をオリゴ
    糖液に漬け込み、噴霧、塗布などの方法で接触させて、
    当該中種の表面にオリゴ糖を付着または被覆し、更にそ
    の表面に炭水化物および/または蛋白質で構成される微
    粉をまぶすことにより当該微粉を付着または被覆し、そ
    の後常法によりバッタリングおよびブレッタリングをし
    て中種表面を衣材で被覆したうえ、これを油ちょうして
    油ちょう済衣付食品となし、得られた油ちょう済衣付食
    品を凍結したことを特徴とする油ちょう済の加熱仕上げ
    用冷凍食品の製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項6、請求項7、請求項8又は請
    求項9に記載するオリゴ糖がその糖鎖を構成する糖の数
    が3〜7の糖を40%以上含む糖類で構成されるように
    したことを特徴とする油ちょう用冷凍食品または油ちょ
    う済の加熱仕上げ用冷凍食品の製造方法。
JP7186394A 1995-06-29 1995-06-29 油ちょう用冷凍食品と油ちょう済の加熱仕上げ用冷凍食品およびそれらの製造方法 Pending JPH099884A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009254249A (ja) * 2008-04-14 2009-11-05 Matsutani Chem Ind Ltd パン粉及び食品
JP2016165250A (ja) * 2015-03-10 2016-09-15 昭和産業株式会社 ノンフライ加熱調理用食品の製造方法及びノンフライ加熱調理用ミックス並びにノンフライ加熱調理用食品
WO2018159583A1 (ja) * 2017-02-28 2018-09-07 株式会社ニチレイフーズ 揚げ物用衣材
JP2020162541A (ja) * 2019-03-29 2020-10-08 三菱商事ライフサイエンス株式会社 フライドポテトの製造方法

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