JPH0998045A - ノイズフィルタ - Google Patents

ノイズフィルタ

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JPH0998045A
JPH0998045A JP7254895A JP25489595A JPH0998045A JP H0998045 A JPH0998045 A JP H0998045A JP 7254895 A JP7254895 A JP 7254895A JP 25489595 A JP25489595 A JP 25489595A JP H0998045 A JPH0998045 A JP H0998045A
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康志 大島
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穂高 坂口
Shigehiro Sasai
重広 笹井
Naoki Katagiri
直希 片桐
Takeshi Ikeda
毅 池田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 小型化しても,広帯域で良好なノイズ減衰効
果を得られ,しかも加工時の作業性に優れたノイズフィ
ルタを提供する。 【解決手段】 外縁が絶縁され且つ断面が長方形状の2
枚の絶縁平角導電線1,2を重ね合わせたものを巻回し
て、1層目のコイル体10および2層目のコイル体20
を形成し、1層目のコイル体10の最も中心側の絶縁平
角導電線が2層目のコイル体20の最も中心側の絶縁平
角導電線に繋がるように2層コイルを構成する。 【効果】 特に、電源ラインに挿入するノイズフィルタ
として有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ノイズフィルタに
関し、さらに詳しくは、小型化しても,広帯域で良好な
ノイズ減衰効果を得ることができ,しかも加工時の作業
性に優れたノイズフィルタに関する。
【0002】
【従来の技術】図22は、特開平5−291865号公
報に開示されたノイズフィルタを示す斜視図である。こ
のノイズフィルタ700は、図23に示すように、表面
が絶縁材13で被覆された薄板状の導電線12−1,1
2−2を重ね合わせたものを渦巻き状に巻回したコイル
形状を有している。このとき、前記導電線12−1と,
導電線12−2はインダクタンスを持っており、且つ、
両者が絶縁体13を介して対向することで、両者の間に
キャパシタンスが形成される。したがって、前記導電線
12−1,12−2の先端A,B,C,D(コイル形状
の最も外周側と中心側の端部)に入力側および出力側の
リード端子を取り付けれれば、分布定数型LCノイズフ
ィルタとして用いることが出来る。
【0003】また、ノイズフィルタではないが、特開昭
61−106044号公報には、1層目のコイルと2層
目のコイルを同時に巻回して2層コイルを形成できるよ
うに工夫した偏平モータ用2層コイルの製造技術が開示
されている。この偏平モータ用2層コイルの製造技術で
は、図24の(a)に示すように、平角線71を予備巻
回する。次に、図24の(b)に示すように、予備巻回
された平角線71を主ボビン(図示せず)に繰り出し
て、前記主ボビンを矢印a方向に回転させて巻回すると
共に、前記主ボビンの中心を回転軸として全体(予備巻
回部分72と平角線71の外部供給側)を、前記主ボビ
ンの2倍の回転速度で矢印b方向に回転させる。する
と、図24の(c)に示すように、平角線71の外部供
給側から新たな平角線71が供給されて1層目のコイル
74が形成されるのと同時に、予備巻回部分72から平
角線71が繰り出されて2層目のコイル75が形成され
る。この結果、図25に示すように、偏平モータ用2層
コイル800を製造できる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記特開平5−291
865号公報に記載された従来のノイズフィルタでは、
ノイズ減衰の効果を高めるために巻回数を多くすると、
外形寸法が増大するが、実装効率などの観点から、小型
化できることが要請されている。また、導電線12−
1,12−2の先端B,Dは、コイル形状の最も中心側
に位置するので、リード端子の取付等の作業を行いにく
く、量産性などの観点から、加工時の作業性を改善する
ことが要請されている。さらに、導電線12−1,12
−2の先端A,B,C,Dにリード端子を取り付けるの
で、接触抵抗により直流抵抗が比較的大きくなってしま
い(例えば100mΩ程度)、定格電流をあまり大きく
できない(例えば0.5A程度)が、大電流が流れる導
電路(電源ラインなど)にも使用可能とするために、定
格電流を増大できることが要請されている。
【0005】そこで、本発明の第1の目的は、小型化し
ても,広帯域で良好なノイズ減衰効果を得られ,しかも
加工時の作業性に優れたノイズフィルタを提供すること
にある。また、本発明の第2の目的は、直流抵抗を低減
して、定格電流を大きくできるノイズフィルタを提供す
ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】第1の観点では、本発明
は、外縁が絶縁され且つ断面が長方形状の絶縁平角導電
線の複数枚を重ね合わせたものを渦巻き状に巻回して1
層目のコイル体および2層目のコイル体を形成し、前記
1層目のコイル体の最も中心側の絶縁平角導電線が2層
目のコイル体の最も中心側の絶縁平角導電線に繋がるよ
うにして2層コイルとなし、前記複数枚の絶縁平角導電
線の少なくとも2本を通電導体として用いることを特徴
とするノイズフィルタを提供する。
【0007】上記第1の観点のノイズフィルタでは、絶
縁平角導電線の複数枚を重ね合わせたものを渦巻き状に
巻回して2層コイルの構造とする。1層目のコイル体を
形成する絶縁平角導電線と,2層目のコイル体を形成す
る絶縁平角導電線はそれぞれインダクタンスを持ち、重
ね合わされたそれぞれの絶縁平角導電線は、各コイル体
においてわずかな距離を隔てて絶縁されているから、キ
ャパシタンスが連続的に分布する。したがって、絶縁平
角導電線の少なくとも2本を通電導体として用いること
で、2つ以上の入力端子および2つ以上の出力端子を持
つ分布定数型LCノイズフィルタを構成することが出来
る。一般には、4端子型LCフィルタを好適に構成する
ことが出来る。また、2層コイルの形状とすることで、
1層当りの巻回数を少なくしても、インダクタンスとキ
ャパシタンスを十分に大きくでき、広帯域で良好なノイ
ズ減衰効果を得ることができる。さらに、それぞれの絶
縁平角導電線の先端は、1層目のコイル体および2層目
のコイル体の最も外周から繰り出されるので、リード端
子の取付などの作業が容易となり、量産性を向上でき
る。
【0008】第2の観点では、本発明は、外縁が絶縁さ
れ且つ断面が長方形状の絶縁平角導電線の複数枚を重ね
合わせたものを渦巻き状に巻回して1層目のコイル体お
よび2層目のコイル体を形成し、前記1層目のコイル体
の最も中心側の絶縁平角導電線が2層目のコイル体の最
も中心側の絶縁平角導電線に繋がるようにして2層コイ
ルとなし、前記複数枚の絶縁平角導電線の少なくとも1
本を通電導体として用い、且つ、少なくとも1本を接地
導体として用いることを特徴とするノイズフィルタを提
供する。
【0009】上記第2の観点のノイズフィルタでは、複
数枚の絶縁平角導電線の少なくとも1本を通電導体とし
て用い、且つ、少なくとも1本を接地導体として用いた
ので、1つ以上の入力端子および1つ以上の出力端子を
持つ分布定数型LCノイズフィルタを構成することが出
来る。一般には、3端子型LCフィルタを好適に構成す
ることが出来る。
【0010】第3の観点では、本発明は、上記構成のノ
イズフィルタにおいて、1層目のコイル体と,2層目の
コイル体とを所定の間隔だけ離したことを特徴とするノ
イズフィルタを提供する。
【0011】上記第3の観点のノイズフィルタでは、1
層目のコイル体と,2層目のコイル体とを所定の間隔だ
け離したので、1層目のコイル体と2層目のコイル体が
近接することに起因する不必要なキャパシタンスの発生
を抑制し、いっそう広い周波数帯域でノイズを効果的に
減衰させることが出来る。
【0012】第4の観点では、本発明は、上記構成のノ
イズフィルタにおいて、1層目のコイル体と2層目のコ
イル体との間隔を0.5mm以上2.0mm以下とした
ことを特徴とするノイズフィルタを提供する。
【0013】上記第4の観点のノイズフィルタでは、1
層目のコイル体と,2層目のコイル体との間隔を0.5
mm以上2.0mm以下としたので、外形寸法の増大を
ほとんど招かずに、不必要なキャパシタンスの発生を効
果的に抑制できる。
【0014】第5の観点では、本発明は、上記構成のノ
イズフィルタにおいて、少なくとも1本の絶縁平角導電
線の先端を直接にリード端子として用いることを特徴と
するノイズフィルタを提供する。
【0015】上記第5の観点のノイズフィルタでは、絶
縁平角導電線の先端を直接にリード端子として使用する
ので、導電線とリード端子の間の接触抵抗を無くして,
直流抵抗を低減することが出来る。この結果、電流定格
を増大することが可能となる。
【0016】第6の観点では、本発明は、上記構成のノ
イズフィルタにおいて、1層目のコイル体の中心部およ
び2層目のコイル体の中心部を貫通する貫通穴に磁性体
コアを挿入したことを特徴とするノイズフィルタを提供
する。
【0017】上記第6の観点のノイズフィルタでは、1
層目のコイル体の中心部および2層目のコイル体の中心
部を貫通する貫通穴に磁性体コアを挿入したので、コイ
ル体のインダクタンスを増大して、遮断周波数を低く
し、ノイズの減衰帯域幅を広げることが出来る。
【0018】第7の観点では、本発明は、上記構成のノ
イズフィルタにおいて、複数の絶縁平角導電線の間、ま
たは、いずれかの絶縁平角導電線と接地面との間にコン
デンサを接続したことを特徴とするノイズフィルタを提
供する。
【0019】上記第7の観点のノイズフィルタでは、複
数の絶縁平角導電線の間、または、いずれかの絶縁平角
導電線と接地面との間にコンデンサを接続することで、
特に低い周波数帯域における減衰特性を改善し、ノイズ
をいっそう効果的に減衰させることが出来る。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、図に示す実施の形態により
本発明をさらに詳細に説明する。なお、これにより本発
明が限定されるものではない。
【0021】−第1の実施形態− 図1は、本発明の第1の実施形態のノイズフィルタを示
す斜視図である。図2は、図1の側面図である。図3
は、図1の上面図である。このノイズフィルタ100
は、外縁が絶縁され且つ断面が長方形状の2枚の絶縁平
角導電線1,2を重ね合わせたものを巻回して、1層目
のコイル体10および2層目のコイル体20(巻回方向
は1層目と2層目とで同じ)を形成し、前記1層目のコ
イル体10の最も中心側の絶縁平角導電線が2層目のコ
イル体20の最も中心側の絶縁平角導電線に繋がるよう
にして2層コイルとしたものである。この2層コイルの
巻回には、上記特開昭61−106044号公報に開示
された技術を応用することができる。前記絶縁平角導電
線1,2としては、例えば、軟銅線(断面寸法は0.1
8mm×1.00mm程度)の周囲をポリエステルイミ
ド樹脂による絶縁層(厚さ0.006mm程度)で被覆
し、それに融着層を塗布した自己融着線(仕上がり寸法
は0.2mm×1.02mm程度)を用いることが出来
る。
【0022】前記1層目のコイル体10および前記2層
目のコイル体20の巻回数は、例えば各6ターン程度で
ある。
【0023】1層目のコイル体10の中心部および2層
目のコイル体20の中心部には、例えば、直径φ=3m
m程度の貫通穴が形成されている。
【0024】また、ノイズ減衰の周波数特性の観点から
は、前記1層目のコイル体10と前記2層目のコイル体
20とを、例えば0.5mm以上2.0mm以下の間隔
dだけ離すことが好ましく(間隔dが周波数特性に与え
る影響については後述する)、間隔dを0.5mm程度
とすることが特に好ましい(理由は後述する)。ただ
し、間隔d=0とし、前記1層目のコイル体10と前記
2層目のコイル体20とを密着させてもよい。図4,図
5に、両者を密着させた場合の図1,図3相当図を示す
(側面図は図2と同じである)。なお、間隔dを設ける
ためには、例えば、絶縁平角導電線1,2の巻回時に、
両者の間にスペーサを挿入して空間的に離し、2層コイ
ルの形状となったら接着剤や自己融着等により固定し、
その後、スペーサを抜き取ればよい。
【0025】図6に示すように、前記絶縁平角導電線
1,2において、前記1層目のコイル体10の先端を
A,Bとし、前記2層目のコイル体20の先端をC,D
とすれば、前記絶縁平角導電線1は前記先端A−B間で
インダクタンスL1を持ち、前記絶縁平角導電線2は前
記先端C−D間でインダクタンスL2を持ち、これらイ
ンダクタンスL1−L2間には、キャパシタンスCAが
分布することとなる。したがって、前記先端A,B,
C,Dのいずれか又は全部に、入力側および出力側のリ
ード端子を接続すれば、分布定数型LCノイズフィルタ
として機能する。
【0026】図7は、このノイズフィルタ100におい
て、絶縁平角導電線1,2の先端A−B間および先端C
−D間を通電導体とし、4端子型LCフィルタとして用
いる場合の回路図である。この回路は、DC電源装置P
とデジタル回路基板DBとを結ぶ電源ライン上に混入し
たノーマルモードノイズを減衰させるのに有効である。
なお、ノーマルモードノイズは、図7の矢印の経路に沿
って流れるノイズであり、例えば、DC電源装置P内の
スイッチング回路から発生する。
【0027】図8は、上記図7の回路におけるノーマル
モードノイズ減衰の周波数特性を示すグラフである。横
軸は、対数目盛の周波数であり、測定範囲は1MHz〜
3GHzである。縦軸は、減衰量であり、1目盛あたり
5dBである。このグラフより、周波数が10MHz程
度以上の全周波数帯域で減衰量が3dB以上となり、特
に、周波数が40MHz程度以上の全周波数帯域で減衰
量が10dB以上となることが判る。また、減衰量がピ
ークとなるのは、周波数が200MHz程度のときであ
り、20dB以上となることが判る。
【0028】図9は、このノイズフィルタ100におい
て、絶縁平角導電線1,2の先端A−B間および先端C
−D間を通電導体とし、4端子型コモンモードチョーク
コイルとして用いる場合の回路図である。この回路は、
DC電源装置Pとデジタル回路基板DBとを結ぶ電源ラ
イン上に混入したコモンモードノイズを減衰させるのに
有効である。なお、コモンモードノイズは、図9の矢印
の経路に沿って流れるノイズであり、例えば、DC電源
装置Pへ電力を供給するAC電源系(図示せず)から混
入する。
【0029】図10は、上記図9の回路におけるコモン
モードノイズ減衰の周波数特性を示すグラフである。横
軸は、対数目盛の周波数であり、測定範囲は1MHz〜
3GHzである。縦軸は、減衰量であり、1目盛あたり
5dBである。このグラフより、周波数が40MHz程
度以上の全周波数帯域で減衰量が3dB以上となり、特
に、周波数が100MHz〜400MHz程度の比較的
広い周波数帯域で減衰量が10dB以上となることが判
る。また、減衰量がピークとなるのは、周波数が200
MHz程度のときであり、40dB以上となることが判
る。
【0030】図11は、このノイズフィルタ100にお
いて、絶縁平角導電線1の先端A−B間を通電導体とす
ると共に、絶縁平角導電線2を接地導体と(先端Dは開
放端に)して、3端子型LCフィルタとして用いる場合
の回路図である。この回路は、DC電源装置Pとデジタ
ル回路基板DBとを結ぶ電源ライン上に混入したノーマ
ルモードノイズを減衰させるのに有効である。
【0031】図12は、上記図11の回路におけるノイ
ズ減衰の周波数特性を示すグラフである。横軸は、対数
目盛の周波数であり、測定範囲は1MHz〜3GHzで
ある。縦軸は、減衰量であり、1目盛あたり5dBであ
る。このグラフより、周波数が10MHz程度以上の全
周波数帯域で減衰量が3dB以上となり、特に、周波数
が30MHz〜600MHz程度の比較的広い周波数帯
域で減衰量が10dB以上となることが判る。また、減
衰量がピークとなるのは、周波数が100MHz程度の
ときであり、45dB以上となることが判る。
【0032】図13は、このノイズフィルタ100にお
いて、絶縁平角導電線1の先端Aと絶縁平角導電線2の
先端Cとを共通に接続し、絶縁平角導電線1の先端Bと
絶縁平角導電線2の先端Dとを共通に接続して、チョー
クコイルとして用いる場合の回路図である。
【0033】図14は、上記図9の回路(コモンモード
ノイズを減衰させる4端子型コモンモードチョークコイ
ル)において、ノイズフィルタ100の1層目のコイル
体10と2層目のコイル体20との間隔dを変化させた
場合のノイズ減衰の周波数特性を示すグラフである。横
軸は、対数目盛の周波数であり、測定範囲は300kH
z〜3GHzである。縦軸は、減衰量であり、1目盛あ
たり5dBである。グラフSoは、1層目のコイル体1
0と2層目のコイル体20を密着させた場合(間隔d=
0)である。グラフS1は、間隔d=0.5mmに対応
し、グラフS2は間隔d=0.8mmに対応し、グラフ
S3は間隔d=2.0mmに対応している。グラフSo
の減衰量がピークとなるのは、周波数が60MHz程度
のときであるのに対し、グラフS1〜S3の減衰量がピ
ークとなるのは、周波数が150MHz程度のときであ
る。したがって、60MHz程度の低い周波数では、間
隔d=0とした特性の方がよい。ところが、全体的に見
ると、グラフSoの減衰帯域幅は、グラフS1〜S3の
ものよりも狭くなってしまう。例えば、減衰量が10d
B以上となるのは、グラフSoでは40MHz〜100
MHz程度の比較的狭い周波数帯域に限られるのに対
し、グラフS1〜S3では50MHz〜400MHz程
度の比較的広い周波数帯域である(この点、グラフS1
〜S3の間では顕著な差は認められない)。グラフSo
のノイズ減衰特性の方が、グラフS1〜S3のよりも悪
くなる理由としては、1層目のコイル体10と2層目の
コイル体20が近接することで不必要なキャパシタンス
が発生し、特に高い周波数で入力側から出力側へのノイ
ズのバイパスが生じるためと考えられる。以上の結果か
ら、間隔dを0.5mm以上2.0mm以下とする方が
好ましく、外形寸法の小型化やスペーサ挿入の容易性等
を考慮すると、間隔dを0.5mm程度とすることが特
に好ましいことが判る。なお、上記図7の回路(ノーマ
ルモードノイズを減衰させる4端子型LCフィルタ)に
おいても、同様の測定を行ったが、間隔dの変化による
周波数特性の顕著な差は認められなかった。
【0034】上記第1の実施形態のノイズフィルタ10
0では、絶縁平角導電線1,2を重ね合わせたものを渦
巻き状に巻回して2層コイルの形状とするので、小型化
しても,広帯域で良好なノイズ減衰効果を得られる分布
定数型LCノイズフィルタを構成できる。また、絶縁平
角導電線1,2の先端は、1層目のコイル体10および
2層目のコイル体20の最も外周から繰り出されるの
で、端末加工時の作業が容易となり、量産性を向上でき
る。
【0035】−第2の実施形態− 図15は、本発明の第2の実施形態のノイズフィルタの
側面図である。このノイズフィルタ200は、絶縁平角
導電線1の先端A,B(斜線部位)および絶縁平角導電
線2の先端C,D(斜線部位)に半田処理を施し、先端
A,B,C,Dを直接にリード端子として使用可能とし
た構成である。
【0036】上記第2の実施形態のノイズフルタ200
によれば、絶縁平角導電線1,2の先端A,B,C,D
を直接にリード端子として使用するので、接触抵抗を無
くして,直流抵抗を低減することが出来る。この結果、
電流定格を増大することが可能となる。例えば、直流抵
抗を25mΩ程度まで小さくして、電流定格を2A程度
にまで増大することが出来る。
【0037】−第3の実施形態− 図16は、本発明の第3の実施形態のノイズフィルタの
斜視図である。このノイズフィルタ300は、上記第1
の実施形態のノイズフィルタ100の1層目のコイル体
10および2層目のコイル体20の中心にできた貫通穴
Hに、円柱状フェライトコア(Ferrite Core)31を
挿入した構成である。前記円柱状フェライトコア31の
寸法は、例えば、直径が2.5mmで,長さが4.5m
m程度である。
【0038】図17は、このノイズフィルタ300を4
端子型コモンモードチョークコイルとして用い、コモン
モードノイズを減衰させる回路(図9参照)で、ノイズ
減衰の周波数特性を測定した場合のグラフである。横軸
は、対数目盛の周波数であり測定範囲は1MHz〜3G
Hzである。縦軸は、減衰量であり1目盛あたり5dB
である。比較のため、円柱状フェライトコア31を挿入
した場合をグラフF1で示し、円柱状フェライトコア3
1を挿入しない場合をグラフFoで示す。減衰量がピー
クとなる周波数は、グラフF1では120MHz程度で
あるのに対し、グラフFoでは180MHzであり、減
衰が急激に増大し始める遮断周波数もグラフF1の方が
低くなる(理由は、円柱状フェライトコア31の挿入に
よりコイル体10,20のインダクタンスが増大するか
らである)。また、減衰量が10dB以上となるのは、
グラフF1では45MHz〜450MHz程度の比較的
広い周波数帯域であるのに対し、グラフFoでは90M
Hz〜450MHz程度の周波数帯域に限られる。
【0039】上記第3の実施形態のノイズフィルタ30
0によれば、コイル体10,20の貫通穴Hに円柱状フ
ェライトコア31を挿入することで、遮断周波数を低く
して、ノイズの減衰帯域幅を広げることが出来る。
【0040】−第4の実施形態− 図18は、本発明の第4の実施形態のノイズフィルタを
4端子型LCフィルタとして用い、ノーマルモードノイ
ズを減衰させる場合の回路図である。このノイズフィル
タ400は、上記第1の実施形態のノイズフィルタ10
0を用いた回路(図7参照)において、絶縁平角導電線
1,2の先端A,Cの間に、コンデンサ41を接続した
構成である。
【0041】図19は、上記図18の回路において、コ
ンデンサ41を0.1μFとしたときのノイズ減衰の周
波数特性を示すグラフである。なお、横軸は、対数目盛
の周波数であり、測定範囲は1MHz〜3GHzであ
る。縦軸は、減衰量であり、1目盛あたり5dBであ
る。グラフを見ると、周波数が10MHz程度のとき
と、200MHz程度のときに、減衰量がピーク(35
dB以上)となることが判る。したがって、コンデンサ
41を接続しない場合(図8参照)よりも、特に300
MHz程度以下の低い周波数帯域における減衰特性を改
善することが出来る。
【0042】上記第4の実施形態のノイズフィルタ40
0によれば、絶縁平角導電線1,2の先端A,Cの間に
コンデンサ41を接続することで、特に低い周波数帯域
における減衰特性を改善し、ノーマルモードノイズをい
っそう効果的に減衰させることが出来る。
【0043】−第5の実施形態− 図20は、第5の実施形態のノイズフィルタをチョーク
コイルとして用いた場合の回路図である。このノイズフ
ィルタ500は、上記第1の実施形態のノイズフィルタ
100を用いた回路(図13参照)において、絶縁平角
導電線1,2の先端A,Cの共通接続点と接地面(マイ
ナス側の電源ライン)の間にコンデンサ41を接続した
構成である。
【0044】図21は、上記図20の回路において、コ
ンデンサ41を0.1μFとしたときのノイズ減衰の周
波数特性を示すグラフである。なお、横軸は、対数目盛
の周波数であり、測定範囲は1MHz〜3GHzであ
る。縦軸は、減衰量であり、1目盛あたり5dBであ
る。
【0045】グラフを見ると、周波数が10MHz程度
のときと、200MHz程度のときに、減衰量がピーク
(35dB以上)となり、しかも、その間で“バスタブ
形状”をなしており、好ましい減衰特性となっているこ
とが判る。
【0046】上記第5の実施形態のノイズフィルタ50
0によれば、絶縁平角導電線1,2の先端A,Cの共通
接続点と接地面(マイナス側の電源ライン)の間にコン
デンサ41を接続することで、特に低い周波数帯域にお
ける減衰特性を改善すると共に、減衰特性を“バスタブ
形状”に近づけ、広帯域に亘って安定な減衰量を保つこ
とが可能となる。
【0047】
【発明の効果】本発明のノイズフィルタによれば、絶縁
平角導電線の複数枚を重ねたものを2層コイルの形状に
巻回するので、小型化しても,広い周波数帯域に亘って
良好なノイズ減衰効果を持つ分布定数型LCノイズフィ
ルタを構成できる。特に、電源ラインに挿入するノイズ
フィルタとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態のノイズフィルタを示
す斜視図である。
【図2】図1のノイズフィルタの側面図である。
【図3】図1のノイズフィルタの上面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態のノイズフィルタを示
す別の斜視図である。
【図5】図4のノイズフィルタの上面図である。
【図6】ノイズフィルタの等価回路図である。
【図7】ノイズフィルタを4端子型LCフィルタとして
用いた場合の回路図である。
【図8】図7の回路におけるノイズ減衰の周波数特性を
示すグラフである。
【図9】ノイズフィルタを4端子型コモンモードチョー
クコイルとして用いた場合を示す回路図である。
【図10】図9の回路におけるノイズ減衰の周波数特性
を示すグラフである。
【図11】ノイズフィルタを3端子型LCフィルタとし
て用いた場合の回路図である。
【図12】図11の回路におけるノイズ減衰の周波数特
性を示すグラフである。
【図13】ノイズフィルタをチョークコイルとして用い
た場合を示す回路図である。
【図14】1層目のコイル体と2層目のコイル体との間
隔を変化させた場合のノイズ減衰の周波数特性を示すグ
ラフである。
【図15】本発明の第2の実施形態のノイズフィルタを
示す側面図である。
【図16】本発明の第3の実施形態のノイズフィルタを
示す斜視図である。
【図17】本発明の第3の実施形態におけるノイズ減衰
の周波数特性を示すグラフである。
【図18】本発明の第4の実施形態のノイズフィルタを
含む回路図である。
【図19】図18の回路におけるノイズ減衰の周波数特
性を示すグラフである。
【図20】本発明の第5の実施形態のノイズフィルタを
含む回路図である。
【図21】図20の回路におけるノイズ減衰の周波数特
性を示すグラフである。
【図22】従来のノイズフィルタの一例を示す斜視図で
ある。
【図23】図22のノイズフィルタに用いる導電線を示
す説明図である。
【図24】従来の偏平モータ用2層コイルの形成過程を
示す説明図である。
【図25】従来の偏平モータ用2層コイルを示す斜視図
である。
【符号の説明】
100,200 ノイズフィルタ 300,400,500 ノイズフィルタ 1,2 絶縁平角導電線 10 1層目のコイル体 20 2層目のコイル体 31 円柱状フェライトコア 41 コンデンサ H 貫通穴
フロントページの続き (72)発明者 坂口 穂高 長野県上田市大字大屋300番地 東京特殊 電線株式会社上田工場内 (72)発明者 笹井 重広 長野県上田市大字大屋300番地 東京特殊 電線株式会社上田工場内 (72)発明者 片桐 直希 長野県上田市大字大屋300番地 東京特殊 電線株式会社上田工場内 (72)発明者 池田 毅 東京都大田区山王2−5−6−213

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外縁が絶縁され且つ断面が長方形状の絶
    縁平角導電線の複数枚を重ね合わせたものを渦巻き状に
    巻回して1層目のコイル体および2層目のコイル体を形
    成し、前記1層目のコイル体の最も中心側の絶縁平角導
    電線が2層目のコイル体の最も中心側の絶縁平角導電線
    に繋がるようにして2層コイルとなし、前記複数枚の絶
    縁平角導電線の少なくとも2本を通電導体として用いる
    ことを特徴とするノイズフィルタ。
  2. 【請求項2】 外縁が絶縁され且つ断面が長方形状の絶
    縁平角導電線の複数枚を重ね合わせたものを渦巻き状に
    巻回して1層目のコイル体および2層目のコイル体を形
    成し、前記1層目のコイル体の最も中心側の絶縁平角導
    電線が2層目のコイル体の最も中心側の絶縁平角導電線
    に繋がるようにして2層コイルとなし、前記複数枚の絶
    縁平角導電線の少なくとも1本を通電導体として用い、
    且つ、少なくとも1本を接地導体として用いることを特
    徴とするノイズフィルタ。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2に記載のノイズ
    フィルタにおいて、1層目のコイル体と,2層目のコイ
    ル体とを所定の間隔だけ離したことを特徴とするノイズ
    フィルタ。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載のノイズフィルタにおい
    て、1層目のコイル体と2層目のコイル体との間隔を
    0.5mm以上2.0mm以下としたことを特徴とする
    ノイズフィルタ。
  5. 【請求項5】 請求項1から請求項4のいずれかに記載
    のノイズフィルタにおいて、少なくとも1本の絶縁平角
    導電線の先端を直接にリード端子として用いることを特
    徴とするノイズフィルタ。
  6. 【請求項6】 請求項1から請求項5のいずれかに記載
    のノイズフィルタにおいて、1層目のコイル体の中心部
    および2層目のコイル体の中心部を貫通する貫通穴に磁
    性体コアを挿入したことを特徴とするノイズフィルタ。
  7. 【請求項7】 請求項1から請求項6のいずれかに記載
    のノイズフィルタにおいて、複数の絶縁平角導電線の
    間、または、いずれかの絶縁平角導電線と接地面との間
    にコンデンサを接続したことを特徴とするノイズフィル
    タ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015204407A (ja) * 2014-04-15 2015-11-16 株式会社神戸製鋼所 ノイズ低減用巻線素子およびインバータ装置
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JP2018190954A (ja) * 2017-04-28 2018-11-29 株式会社トーキン コイル部品、チョークコイル及びリアクトル
JP2022545674A (ja) * 2020-05-29 2022-10-28 ティーディーケイ・エレクトロニクス・アクチェンゲゼルシャフト コイル素子

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