JPH0994493A - 塗装ガン - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】噴霧を停止しても、塗料噴霧口から塗料の漏れ
や空気噴射ノズルへ塗料が流入することもなく、停止後
の再噴霧の際も、時間遅れがなく直ちに所定量の噴霧を
行うことができる塗装ガンを提供することを目的として
いる。 【解決手段】塗料噴霧口まで塗料を供給する塗料流路
と、この塗料流路内の前記塗料噴霧口の後方に設けら
れ、前記塗料流路を介して塗料噴霧口の直後まで供給さ
れた塗料に空気を噴射して前記塗料噴霧口から塗料を噴
霧させる空気噴射ノズルと、この空気噴射ノズルに空気
を供給する空気配管とを備える塗装ガンにおいて、前記
空気噴射ノズルが前記塗料噴霧口方向に進退自在になっ
ているとともに、空気噴射ノズルを塗料噴霧口側の所定
位置まで進出させた時、前記塗料流路内に設けられた弁
座に圧接して塗料流路を閉鎖する弁体が空気噴射ノズル
の外周面に設けられている構成とした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、たとえば、建築物
または工業化住宅の外壁に塗装を行うために用いる塗装
ガンに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、建築物に模様付け塗装を行うに
は、図３に示す工業塗装 No.79（１９８６年，塗装報知
社発行 P.79 ) に記載されているような構造の塗装ガン
１００が用いられている。この塗装ガン１００は、塗料
噴霧口１０１と、塗料流路１０２と、空気噴射ノズル１
０３とを備えている。

【０００３】塗料噴霧口１０１は、塗料流路１０２の先
端部を構成するパターンノズル１０４先端に穿設されて
いて、パターンノズル１０４を交換することによってそ
の断面形状を変更できるようになっている。すなわち、
噴霧される塗料の広がり角を代えることができるように
なっている。塗料流路１０２は、図４に示すように、塗
料供給ポンプ（図示せず）に接続された塗料供給口１０
５から供給された塗料を塗料噴霧口１０１まで供給する
ようになっているとともに、塗料供給口１０５と塗料噴
霧口１０１との間に弁体１０６を備えている。

【０００４】弁体１０６は、ニードル１０７を介してピ
ストン１０８と連動して進退し、塗料噴霧口１０１側か
ら所定位置まで（矢印Ａ方向）後退した時、塗料流路１
０２に設けられた弁座１０９に圧接して塗料流路１０２
を閉鎖し、塗料噴霧口１０１への塗料の供給を停止する
ようになっている。空気噴射ノズル１０３は、その先端
が塗料噴射口１０１を臨むように、塗料噴射口１０１の
後方に設けられていて、コンプレッサー等の圧縮空気送
気手段（図示せず）から空気配管１０８を介して送られ
てくる圧縮空気を先端から噴射させて、空気噴射ノズル
１０３の前方にある塗料を塗料噴霧口１０１方向へ吹き
飛ばし、塗料噴霧口１０１から噴霧するようになってい
る。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかし、この塗装ガン
１００は、つぎのような問題がある。 上述のように、弁体１０６によって塗料流路１０２
を途中で閉鎖することによって塗料の噴霧を停止できる
ようになっているが、弁体１０６の部分から塗料噴霧口
１０１までの長さが長く、この区間の塗料流路１０２内
にどうしても塗料が残ってしまう。

【０００６】そして、この残った塗料の制御不可能にな
り、噴霧停止時に塗料噴霧口１０１から漏れ出して付近
を汚してしまう。

【０００７】 弁体１０６の部分から塗料噴霧口１０
１までの区間に残った塗料が塗料噴霧口１０１から漏れ
出てしまうと、図４に示すように弁体１０６を塗料噴霧
口１０１方向へ進出させて塗料流路１０２を開放し、再
度噴霧を始めようとすると、塗料噴霧口１０１から所定
量の塗料が噴霧されるまで時間の遅れが生じる。 弁体１０６の部分から塗料噴霧口１０１までの区間
に塗料が残っている場合、常に、空気噴射ノズル１０３
が塗料中に浸かった状態となるため、不使用時に圧縮空
気の送気を停止していると、空気噴射ノズル１０３から
空気配管１０８内に塗料が流入し、空気噴射ノズル１０
３および空気配管１０８を詰まらせてしまう恐れがあ
る。

【０００８】 長時間停止していると、弁体１０６の
部分から塗料噴霧口１０１までの区間に残った塗料が固
まり、再度噴霧を始めようとすると、この固まった塗料
が塗料噴霧口１０１から飛び出すスピット現象が発生す
る恐れがある。本発明は、このような事情に鑑みて、噴
霧を停止しても、塗料噴霧口から塗料の漏れや空気噴射
ノズルへ塗料が流入することもなく、停止後の再噴霧の
際も、時間遅れがなく直ちに所定量の噴霧を行うことが
できる塗装ガンを提供することを目的としている。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明にかかる塗装ガン
は、このような目的を達成するために、塗料噴霧口まで
塗料を供給する塗料流路と、この塗料流路内の前記塗料
噴霧口の後方に設けられ、前記塗料流路を介して塗料噴
霧口の直後まで供給された塗料に空気を噴射して前記塗
料噴霧口から塗料を噴霧させる空気噴射ノズルと、この
空気噴射ノズルに空気を供給する空気配管とを備える塗
装ガンにおいて、前記空気噴射ノズルが前記塗料噴霧口
方向に進退自在になっているとともに、空気噴射ノズル
を塗料噴霧口側の所定位置まで進出させた時、前記塗料
流路内に設けられた弁座に圧接して塗料流路を閉鎖する
弁体が空気噴射ノズルの外周面に設けられている構成と
した。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を、
図面を参照しつつ詳しく説明する。図１は、本発明にか
かる塗装ガンの１例をあらわしている。図１に示すよう
に、この塗装ガン１は、ガン本体２と、空気噴射ノズル
３と、空気配管４と、パターンノズル５とを備えてい
る。

【００１１】ガン本体２は、内部に塗料流路６が形成さ
れていて、塗料流路６の一端を塞ぐようにパターンノズ
ル５が着脱自在に一体化されているとともに、他端から
一端に向かってパターンノズル５の内径よりその径が充
分に大きくパターンノズル５の直前でその径がパターン
ノズル５の内径と略一致するように縮径されている。

【００１２】塗料流路６は、他端に塗料圧送ポンプ（図
示せず）からの塗料供給口６１が設けられている。パタ
ーンノズル５は、その先端に所望の噴霧パターンの断面
形状を有する塗料噴霧口５１が穿設されている。空気配
管４は、ガン本体２を貫通していて、その一端４１が塗
料流路６内に臨むとともに、空気配管４に設けられた圧
縮空気により作動する駆動手段としてのピストン７を介
して塗料噴霧口５１方向に進退するようになっており、
しかも、他端４２がガン本体２の外側に突出していて、
コンプレッサー等の圧縮空気送気手段から送られてくる
圧縮空気の供給口となっている。

【００１３】空気噴射ノズル３は、空気配管４の一端４
１に一体に設けられていて、空気配管４の進退に伴って
塗料噴霧口５１方向に進退するようになっているととも
に、塗料噴霧口５１側へ進出していくと、その外周面に
囲むように設けられた弁体３２が塗料流路本体６の先端
部内壁面に設けられたリング状の弁座６２に圧接して塗
料流路６を閉鎖するようになっている。

【００１４】また、空気噴射ノズル３は、その先端に塗
料噴霧口５１と対面するように圧縮空気の噴射口３１が
設けられている。

【００１５】つぎに、この塗装ガン１の塗装作業を説明
する。まず、塗装を行う場合には、図２に示すように、
空気配管４へ圧縮空気を供給するとともに、ピストン７
を駆動させて、空気配管４とともに空気噴射ノズル３を
空気配管４の他端４２方向へ後退させる。すなわち、こ
の空気噴射ノズル３の後退によって、空気噴射ノズル３
の弁体３２が弁座６２から離れるため、塗料流路２が開
放状態になり、塗料供給口６１から塗料流路６内に送り
こまれた塗料Ｐがパターンノズル５へ供給される。

【００１６】パターンノズル５へ供給された塗料Ｐは、
圧縮空気が空気噴射ノズル３の噴射口３１からパターン
ノズル５の塗料噴霧口５１方向に噴射されているから圧
縮空気によって塗料噴霧口５１から塗料噴霧口５１の断
面形状に応じたパターンに広がりながら霧状になって噴
霧され、塗装面に塗布されるようになっている。一方、
塗装を停止する場合には、ピストン７を駆動させ、弁体
３２が弁座６２に圧接されるまで空気噴射ノズル３を空
気配管４とともに塗料噴霧口５１方向へ進出させて、塗
料流路６を閉鎖状態にする。

【００１７】これにより、パターンノズル５側への塗料
Ｐの供給が完全に停止され、圧縮空気が空気噴射ノズル
３の噴射口３１から噴射されていても、塗料噴霧口５１
から塗料Ｐが全く噴霧されなくなる。しかも、この時、
空気噴射ノズル３とパターンノズル５の塗料噴射口５１
との間には、殆ど塗料Ｐが溜まる空間がないため、空気
噴射ノズル３への圧縮空気の供給を停止しても、噴射口
３１から塗料が空気噴射ノズル３に入り込んだり、塗料
Ｐが塗料噴霧口５１から漏れ出たりすることがない。ま
た、再び噴霧作業を行う場合も、スピット現象が発生す
ることもなく、しかも、すぐに所定の噴霧を行うことが
できる。

【００１８】さらに、図４に示す従来の塗装ガン１００
の場合、細い径の塗装流路１０２が長く続いているた
め、塗料を圧送する際の抵抗が大きく、所定量の塗料を
塗料噴霧口１０１から噴霧させるには、大きな能力を有
する圧送ポンプを用いなくてはならないとともに、特に
樹脂や繊維が混入した流動性の低い塗料を使用する場
合、圧送による加圧が却ってその塗料の増粘の原因とな
り、圧送不能に陥る場合があったが、この塗装ガン１
は、塗料流路６の径が塗料供給口６１からパターンノズ
ル５側に向かってパターンノズル５の内径より充分大き
な径になっていて、パターンノズル５の直前で縮径され
ているので、ガン内での塗料搬送に必要な圧力に対する
抵抗が小さくなり、塗装ガン１に塗料を一定量供給する
のに必要な圧送ポンプの圧力を小さなものにできる。

【００１９】したがって、圧送ポンプにかかる負担が低
減でき、より小容量のポンプの選定も可能である。ま
た、圧送時に塗料の加圧圧力もより低くできるため、塗
料の増粘の度合いが少なくなり、圧送不能を起こすこと
もなくなる。

【００２０】

【実施例】つぎに、本発明の実施例を比較例と対比させ
つつ詳しく説明する。 （実施例１）塗料供給口６１の口径２５mmφ、塗料流路
６の長さ約８０mm、パターンノズル５近傍以外の塗料流
路６の最小径２５mmφで、２５mmφの内径を有する１０
ｍの長さのホースを塗料供給口６１に接続した図１と同
様の塗装ガン１を用意し、パターンノズル５の塗料噴射
口５１から１０リットル／分の噴霧量でアクリルエマル
ジョン塗料に骨材として発泡エチレン−酢酸ビニル共重
合体粒子（直径１〜２mmφ）を重量比で１６：１の割合
で含む塗装材料を噴霧する場合に要する圧送ポンプ出口
での吐出圧を測定したところ、１８kgf/cm² であった。

【００２１】（比較例１）塗料供給口１０５の口径が１
９mmφ、塗料流路１０２の長さ約８０mm、パターンノズ
ル１０４近傍以外の塗料流路１０２の最小径１２mmφ
で、２５mmφの内径を有する１０ｍの長さのホースを塗
料供給口１０５に接続した図４と同様の塗装ガン１００
を用意し、実施例１と同様にして塗料材料を１０リット
ル／分の噴霧量で噴霧しようとしたところ、圧送ポンプ
出口で２３kgf/cm² の吐出圧が必要であった。なお、ホ
ースは、塗料供給口１０５近傍で口径を１９mmφに縮径
しておいた。

【００２２】本発明にかかる塗装ガンは、上記の実施の
形態に限定されるものではない。たとえば、上記の塗装
ガン１では、ピストン７を圧縮空気によって作動させる
ことによって空気配管４を進退させるようにしている
が、空気配管に接続したレバーを、その一端がガン本体
の外部に突出するように設け、このレバーを手動で操作
して空気配管を進退させるようにしてもよい。

【００２３】

【発明の効果】本発明にかかる塗装ガンは、以上のよう
に構成されているので、空気噴射ノズルへの圧縮空気の
供給を停止しても、噴射口から塗料が空気噴射ノズルに
入り込んだり、塗料が塗料噴霧口から漏れ出たりするこ
とがない。また、再び噴霧作業を行う場合も、スピット
現象が発生することもなく、しかも、すぐに所定の噴霧
を行うことができる。

【００２４】したがって、メンテナンスが容易で、しか
も、塗料のロスも少なくて済むようになる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明にかかる塗装ガンの１つの実施の形態を
あらわす断面図である。

【図２】図１の塗装ガンの塗料の噴霧状態を説明する断
面図である。

【図３】従来の塗装ガンの塗料噴射口付近の断面図であ
る。

【図４】図３の塗装ガン全体の断面図である。

【符号の説明】

１ 塗装ガン ２ ガン本体 ３ 空気噴射ノズル ３１ 噴射口 ３２ 弁体 ４ 空気配管 ４１ 一端 ４２ 他端 ５ パターンノズル ５１ 塗料噴霧口 ６ 塗料流路 ６１ 塗料供給口 ６２ 弁座 ７ ピストン（駆動手段）

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】塗料噴霧口まで塗料を供給する塗料流路
   と、この塗料流路内の前記塗料噴霧口の後方に設けら
   れ、前記塗料流路を介して塗料噴霧口の直後まで供給さ
   れた塗料に空気を噴射して前記塗料噴霧口から塗料を噴
   霧させる空気噴射ノズルと、この空気噴射ノズルに空気
   を供給する空気配管とを備える塗装ガンにおいて、前記
   空気噴射ノズルが前記塗料噴霧口方向に進退自在になっ
   ているとともに、空気噴射ノズルを塗料噴霧口側の所定
   位置まで進出させた時、前記塗料流路内に設けられた弁
   座に圧接して塗料流路を閉鎖する弁体が空気噴射ノズル
   の外周面に設けられていることを特徴とする塗装ガン。