JPH0994371A - 洗濯機の制御方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】規定水位まで水を入れた状態での布量検知で
は、化繊類が含まれる混合衣類を多く投入されると、水
をあまり吸収しないため、実際の布量より軽く判定され
信頼性の面で問題となる。 【解決手段】水なし状態で行われた布量センサー３７の
判定結果が高水位の時には、洗い，すすぎ反転撹拌水流
をその後規定水位で行う布量センサー３７での判定結果
に基づき、最適制御する。 【効果】洗い，すすぎ反転撹拌水流を実際の衣類の量に
合った水流に最適制御することにより、洗い，すすぎ時
の床面への水飛散及び布動きの低下を防止する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、水を供給する前に
布量検知を行い水位を決定する方式における洗い，すす
ぎ工程の最適制御に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来の洗濯機では、水なし状態で布量判
定を行い、最適水位が１番高い水位（高水位）と判定の
ときには、その後規定水位まで水をいれた状態で同様に
布量判定を行い、布量判定が１番高い判定以外のときに
は、洗いもしくはすすぎの反転撹拌を１番高い判定のと
きに行われる反転撹拌よりＯＮ時間を短くした反転撹拌
を行うように制御したものであった。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記従来技術におい
て、水なし状態での布量検知では、少量の湿った衣類を
投入された場合、１番高い水位（高水位）に設定される
可能性が高く、少量の衣類を高水位で洗濯すると、衣類
の量に対する撹拌水流が強い場合に水の中で衣類が振り
回されるため、水が洗濯槽内から飛び出し、床面を水浸
しにする恐れが生じる。

【０００４】そこで、衣類の状態（乾布か湿布か）によ
る影響をあまり受けない規定水位まで水を入れた状態で
の布量検知により、１番高い判定（多量の衣類）の時に
は、通常の強い反転撹拌で、それ以外（少量の衣類）
は、いかなる衣類（量，質）が洗濯されても水の飛び出
しが生じない弱い反転撹拌（水飛散防止反転撹拌）で洗
濯するように制御している。

【０００５】しかし、規定水位まで水を入れた状態での
布量検知では、衣類の状態（乾布か湿布か）の影響を受
けないが、衣類の質（バスタオル等の水を吸収する衣類
か，化繊類の水をあまり吸収しない衣類か）による影響
を受けるため、化繊類が含まれる混合衣類を多く投入さ
れると、水をあまり吸収しないため、実際の布量より軽
く判定され、弱い水飛散防止反転撹拌で洗濯される可能
性が高く洗えないといった問題が生じるため信頼性の面
で問題となる。

【０００６】本発明の目的は、以上述べてきた従来技術
での欠点をなくし、安価なコスト（ソフト対応）で信頼
性の高い洗濯機を提供するものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、規定水位での布量検知の判定による洗い及びすすぎ
時の水飛散防止反転撹拌を２段階とし、１番高い判定の
時には通常の強い反転撹拌を行い、２番目に高い判定の
時には１番高い判定の時に行われる反転撹拌よりＯＮ時
間を短くした水飛散防止反転撹拌を行い、３番目以下の
判定のときには２番目に高い判定の時に行われた反転撹
拌よりさらにＯＮ時間を短くした水飛散防止反転撹拌で
洗い及びすすぎを行わせるような制御を行うものであ
る。

【０００８】水飛散防止反転撹拌を２段階としたことに
より、化繊類が含まれた混合実用衣類が多く投入されて
も、通常の強い反転撹拌より少しだけＯＮ時間を短くし
た水飛散防止反転撹拌になるように制御することによ
り、布動きが悪い，汚れが落ちないといった問題をなく
すようにしている。

【０００９】

【発明を実施する形態】本発明の実施例を図面に基づい
て説明する。本発明の一実施例を採用した洗濯機は図１
に示すように、鋼板性の外枠１内には吊り棒２およびコ
イルバネや弾性ゴムからなる防振装置３によって合成樹
脂製の外槽４を吊架する構成となっている吊り棒２およ
び防振装置３は４個設ける。

【００１０】洗濯するための水を溜める外槽４内には、
合成樹脂製の洗濯兼脱水槽５を回転自在に設ける。

【００１１】洗濯兼脱水槽５には多数の脱水孔５ａを設
け、中央底部にはパルセータ若しくはアジテータからな
る回転体６を回転可能に設ける。

【００１２】洗い作業、およびすすぎ作業時には洗濯兼
脱水槽５を静止させ回転体６を時計方向および反時計方
向に回転させる。

【００１３】また、脱水回転時は洗濯兼脱水槽５を一方
向に回転させる。回転体６および、洗濯兼脱水槽５の回
転は、駆動装置７により行われる。

【００１４】駆動装置７はモータ８と、このモータ８の
回転を回転体６、若しくは洗濯兼脱水槽５に伝達するた
めのプーリ９ａ，９ｂやベルト９ｃからなる伝達手段９
と洗いおよびすすぎ時に回転体６のみを回転させたりあ
るいは、脱水時に洗濯兼脱水槽５を回転させたりするク
ラッチ装置１０とその切換を行うソレノイド１１，排水
を司る排水装置１５からなる。

【００１５】駆動装置７は外槽４の底面に鋼板製の支持
板１２を用いて固定する。外槽４には外槽４内の水の圧
力を水位センサー１３に伝達するＰＳチューブ１４を接
続する導入口４ａが設けてある。

【００１６】外枠１の上部には洗濯物を投入する投入口
１７ａとコントローラ等の電気部品を収納する操作箱１
７ｂとを形成した合成樹脂製のトップカバー１７が設け
られてある。

【００１７】投入口１７ａには合成樹脂製のフタ１８を
設ける。

【００１８】操作箱１７ｂの上面には操作パネル２１が
取付けてあり、操作箱１７ｂ内には給水電磁弁２４を設
ける。

【００１９】操作箱１７ｂ内に配置した水位センサー１
３は外槽４内の水の圧力を検出することにより、規定水
位まで水が溜ったかどうか判定する。

【００２０】水位センサー１３にはコア，コイル，ばね
などから構成される。

【００２１】洗濯，すすぎ，脱水等を制御するコントロ
ーラ部は収納箱３１内に配置する。操作パネル２１に
は、電源スイッチボタン２９および外部操作スイッチ３
０が配置されている。

【００２２】図２は操作パネル２１を示したものであ
る。

【００２３】この操作パネル２１には表示部３２，外部
操作スイッチ３０，スタートボタン３３が設けられてい
る。表示部３２には、水位，洗い，すすぎ，脱水，予約
時間，コース設定の情報が表示される。

【００２４】外部操作スイッチ３０には水位切換，洗
い，すすぎ，脱水，予約時間を選択設定するボタン、ま
た標準，手作り，ソフト，強力（どろんこ）等を選択設
定するセレクトスイッチのボタンが設けられている。

【００２５】図３は洗濯機全体の回路を簡略して示して
いる。

【００２６】中央処理回路３４，駆動回路３５は、コン
トローラ部としてまとめられて洗濯機本体の収納部３１
に配置されている。

【００２７】モータ８，給水電磁弁２４としての給水
弁，排水装置１５としての排水弁，洗濯，すすぎ，脱水
等のセレクトスイッチ３６，水位センサー１３，布量判
定のための布量センサー３７，脱水中の異常振動防止等
を図る安全スイッチ５０をもっている。

【００２８】図４は布量判定を行う布量センサー３７の
回路を示している。

【００２９】洗濯機の回転体６および洗濯兼脱水槽５の
回転駆動を行うモータ８は進相用のコンデンサー８ａを
もっている。

【００３０】ＦＬＳ３８，３９は、モータ８の回転方向
を切り換えるスイッチである。

【００３１】コンデンサー８ａの両端に抵抗４０，４
１、ツェナダイオード４２を直列接続している。

【００３２】抵抗４１に発光トランジスター４３を並列
接続している。

【００３３】発光トランジスター４３の出力は波形整形
用のトランジスター４４のベースに入れている。

【００３４】トランジスター４４の出力を中央処理回路
３４のマイコンに取り込んでいる。以上の構成におい
て、洗濯機の動作を説明すると、衣類を投入し、電源ス
イッチボタン２９を「入」にして、外部操作スイッチ３
０により「強力(どろんこ)」コースを設定し、スタート
ボタン３３を押すと、全自動運転を実行する。

【００３５】まず、最初に洗濯兼脱水槽５内に水を供給
する前に布量検知を実行する。

【００３６】これは、０.５秒ＯＮ−１.０秒ＯＦＦの反
転撹拌を行わせ、停止時に回転体６が惰性にて回転した
時のモータ８の逆起電力をモータ８，駆動用コンデンサ
ー８ａの端子電圧にて検知し、これを直流短形波パルス
に変換し、このパルス間の時間ｔ₁ を測定して布量を判
定するものである。

【００３７】すなわち衣類が多い場合には、回転体６へ
の抵抗が大きいため、惰性回転が妨げられパルス間の時
間ｔ₁ は長くなり、衣類の量が少ない場合には逆にパル
ス間の時間ｔ₁ は短くなる。パルス間の時間の計測は図
４に示す回路で検出した両波検知のパルスの１発目のパ
ルス（イ）と３発目のパルス（ロ）の立上り時間の幅ｔ
₁ を計測し（図５）、これを３回繰り返した内の反時計
方向の２回の合計時間を５倍した時間をあらかじめマイ
コンに記憶した衣類量と時間の関係と比較することによ
り、布量を判定し、最適水位を自動設定する。

【００３８】次に、給水電磁弁２４に通電され、規定水
位まで給水される。規定水位までの給水を水位センサー
１３が検知すると、給水電磁弁２４への通電を停止し、
モータ８へ通電し、０.５秒ＯＮ−１.０秒ＯＦＦの反転
撹拌を行わせ、再度、布量検知を実行する。

【００３９】ここでは、反転撹拌を１０回行い、その合
計時間をあらかじめマイコンに記憶した衣類量と時間の
関係と比較し、布量判定を行っている。

【００４０】ここで、少量の湿った衣類を投入された場
合、水なし状態での布量判定では１番高い水位(高水位)
に自動設定される可能性が高いため、「強力(どろん
こ)」コースのように、前もって設定された強い反転撹
拌(１.２秒ＯＮ−０.６秒ＯＦＦ)で洗い行程が実行され
ると、衣類の量に対する反転撹拌が強すぎるため、水が
洗濯兼脱水槽５から飛び出し、床面を濡らす不具合を生
じる。

【００４１】よって、従来では図６に示すように、通常
の強い反転撹拌（1.2秒ＯＮ−0.6秒ＯＦＦ）では床面へ
の水飛散が生じる可能性が高いバスタオル負荷で定格の
４割以下を水飛散の生じない水飛散防止反転撹拌（０.
９秒ＯＮ−１.２秒ＯＦＦ）にするように制御してい
た。

【００４２】しかし、化繊類の衣類が含まれた混合実用
衣類では定格の７割負荷が水飛散防止反転撹拌で洗濯さ
れる可能性が高く、布動きが悪い，汚れが落ちないとい
った不具合が生じる。

【００４３】そこで、本発明では図７に示すように、水
飛散防止反転撹拌を２段階に分けて、床面への水飛散が
比較的少ないバスタオル負荷で、定格の４割近辺を通常
の強い反転撹拌より少しＯＮ時間を短くした水飛散防止
反転撹拌（１.１ 秒ＯＮ−０.６ 秒ＯＦＦ）になるよ
うに制御し、また比較的水飛散が多い少量負荷（定格の
３割以下）を従来の水飛散防止反転撹拌（０.９秒Ｏ
Ｎ−１.２秒ＯＦＦ）になるように制御するようにし
た。

【００４４】これにより、化繊類の衣類が含まれた混合
実用衣類での定格の６〜７割負荷が通常の強い反転撹拌
より少しだけＯＮ時間を短くした水飛散防止反転撹拌
で洗い行程が行われるため、布動きが悪い，汚れが落ち
ないといった心配がなくなる。また、すすぎ行程におい
ても同様の制御を行う。

【００４５】本発明で「強力（どろんこ）」コースの場
合を例にとって説明したが、その他のコースでも同様の
制御を行うものである。

【００４６】とくに、「標準」コースの場合、布質検知
を行って洗い，すすぎ反転撹拌の強さ，洗い，すすぎ時
間等を決定しているが、設定水位が高水位の場合には洗
いもしくはすすぎ反転撹拌の強さは図７の制御により決
定されるものである。

【００４７】さらに、図７の制御は、外部操作スイッチ
３０の水位切換スイッチにより、あらかじめ手動で高水
位に設定された場合も含まれる。

【００４８】

【発明の効果】本発明によれば、特に「強力（どろん
こ）」コース設定スタートにおいて、水なし状態での布
量検知による最適水位の判定が、一番高い水位（高水
位）の時またはあらかじめ手動で一番高い水位（高水
位）に設定された時には、洗い反転撹拌水流を規定水位
での布量検知の判定結果により、強力水流か、または、
強力水流よりＯＮ時間を短くした水飛散防止水流のいず
れかに設定するように制御する。

【００４９】これにより、少量の湿った衣類により布量
検知による最適水位判定が一番高い水位（高水位）にな
った時には、水飛散防止水流になるように制御すること
により、洗い工程での床面への水飛散防止が図れ、信頼
性の高い洗濯機が提供できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す全自動洗濯機の断面
図。

【図２】本発明の一実施例を示す操作パネルの詳細図。

【図３】洗濯機全体の概略回路図。

【図４】布量検知の一実施例の回路図。

【図５】布量センサーのセンサー出力を示す図。

【図６】従来の水飛散防止制御における負荷量と時間の
関係図。

【図７】本発明の一実施例を示す水飛散防止制御におけ
る負荷量と時間の関係図。

【符号の説明】

５…洗濯兼脱水槽、６…回転体、８…モータ、８ａ…コ
ンデンサー、１３…水位センサー、２１…操作パネル、
２４…給水電磁弁、２９…電源スイッチボタン、３０…
外部操作スイッチ。

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】洗濯機に衣類を投入し、スタートボタンを
   押して運転を開始した後、洗濯槽内に水を供給する前に
   槽内に設置された回転体を回転させ、停止させた時の回
   転体に加わる抵抗を検知することにより、衣類の量を感
   知して布量判定を行い、最適水位を決定する洗濯機にお
   いて、 最適水位が一番高い水位（高水位）判定の時には、その
   後規定水位まで水を入れ槽内に設置された回転体を回転
   させて停止させた時の回転体に加わる抵抗を検知して衣
   類の量を再度検出し、その時の布量判定が上から２番目
   に高い判定の時には、洗いの反転撹拌を１番高い判定の
   ときに行われる反転撹拌よりＯＮ時間を短くした反転撹
   拌で洗いを行うようにし、さらに布量判定が上から３番
   目以下の判定の時にはさらにＯＮ時間を短くした反転撹
   拌で洗いを行うようにしたことを特徴とする洗濯機の制
   御方法。
2. 【請求項２】請求項１において、洗いの反転撹拌の他
   に、すすぎ反転撹拌も同じように布量判定が上から２番
   目に高い判定の時には、すすぎの反転撹拌を、１番高い
   判定のときに行われる反転撹拌よりＯＮ時間を短くした
   反転撹拌ですすぎを行うようにし、さらに３番目以下の
   判定の時には、さらにＯＮ時間を短くした反転撹拌です
   すぎを行うようにしたことを特徴とする洗濯機の制御方
   法。
3. 【請求項３】請求項１，２において、手動であらかじめ
   高水位に設定された場合にも同様の制御を行うようにし
   たことを特徴とする洗濯機の制御方法。